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【発明の名称】 灯油組成物
【発明者】 【氏名】齋藤 和久

【氏名】大塚 宏明

【要約】 【課題】製造コストの増加を伴うことなく、石油ストーブへの給油など消費者が灯油を取り扱う際に灯油臭による不快感を感じることがない低臭な灯油を提供すること。

【構成】初留点135〜170℃、30%留出温度175〜200℃、50%留出温度190〜220℃、70%留出温度200〜240℃、90%留出温度215〜265℃、95%留出温度230〜270℃の蒸留性状を有し、硫黄分が50質量ppm以下であり、芳香族炭化水素分含有量が20vol%以下であり、該芳香族炭化水素分において2および3環以上の芳香族炭化水素分含有量が2.0vol%以下であり、かつ175℃以下の留分においてC7、C8およびC9ベンゼンの含有割合が、C7ベンゼンは1mass%以下、C8ベンゼンは9mass%以下、C9ベンゼンは18mass%以下であり、37.8℃における蒸気圧が5.0kPa以下であることを特徴とする灯油組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初留点135〜170℃、30%留出温度175〜200℃、50%留出温度190〜220℃、70%留出温度200〜240℃、90%留出温度215〜265℃、95%留出温度230〜270℃の蒸留性状を有し、硫黄分が50質量ppm以下であり、全芳香族炭化水素分含有量が20vol%以下であり、該全芳香族炭化水素分において2および3環以上の芳香族炭化水素分含有量が2.0vol%以下であり、かつ175℃以下の留分においてC7、C8およびC9ベンゼンの含有割合が、C7ベンゼンは1mass%以下、C8ベンゼンは9mass%以下、C9ベンゼンは18mass%以下であり、37.8℃における蒸気圧が5.0kPa以下であることを特徴とする灯油組成物。
【請求項2】
前記灯油組成物の25℃における発生ガス中の硫化水素濃度が、1volppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の灯油組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、灯油に関し、詳しくは臭気の少ない低臭灯油に関する。
【背景技術】
【0002】
現在石油ストーブに使用されている灯油の種類と規格は、日本工業規格(JIS K 2203)に示されており、その中でも1号灯油は、家庭用の暖房機器等に広く用いられている。灯油留分は主に、原油を常圧蒸留により所定の蒸留性状となるように分留することで得られる。得られた灯油留分は、次いで水素化脱硫装置により硫黄分が所定量以下となるように水素化精製される。さらに、灯油製造過程において、ストリッパにより軽質分を蒸発させることで引火点が40℃以上となるように調整される。
このようにして得られる灯油の品質は、前述のJIS K 2203に示される規格に基づき管理されているが、実用面では規格外の品質として、石油ストーブへの給油などの灯油を取り扱う際の臭気も商品品質上重要な要素である。そのため、炭化水素臭が少ない低臭なものが望まれている。
【0003】
上記灯油の臭気の問題を解決する方法として、灯油に消臭剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照)や、灯油をパラフィン類で構成する方法(例えば、特許文献2参照)などがある。しかしながら、灯油に消臭剤を添加する方法では、炭化水素臭を完全に消し去ることはできないので、他の匂いを有する物質を添加して炭化水素臭をマスキングすることになる。すると灯油には当初の炭化水素臭の代わりに他の物質の香りが残る。そのため臭いに対する個人の好みの問題があり、あまり効果的ではなかった。また、灯油をパラフィン類で構成する方法では、製造コストが上昇し、価格の高い灯油になるという問題があった。
【0004】
さらに、上記問題を改善した取扱に優れた高性能な灯油もある(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。この灯油は、燃焼時の臭気抑制のために高沸点留分の低減と多環アロマ分量を規定すると共に、取扱時の臭気を低減するために低沸点留分の低減と全芳香族炭化水素分量を規定したものである。しかし、この灯油は、灯油としての利用可能な留分範囲を極端に狭くし、さらに灯油全体の芳香族成分を低減するため水素化処理条件を厳しくするなど製造工程を大幅に改良する必要があって、そのために製造コストが上昇し、価格の高い灯油となるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特公昭54−32003号公報
【特許文献2】特開昭63−150380号公報
【特許文献3】特開平2−113092号公報
【特許文献4】特開平3−182594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、製造コストの増加を伴うことなく、臭気を抑制した灯油を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、灯油の炭化水素系の臭気抑制には、灯油に含まれる特定の成分の含有量と蒸気圧が大きく影響することを突き止め、その成分濃度と蒸気圧を適正化することで灯油自体の臭気を抑制することが可能になるという知見を得た。また、昨今のサルファーフリー対応された灯油においても、灯油留分中に超極微量残留する硫化水素が臭気に大きく影響することを突き止め、その超極微量残留する硫化水素を的確に除去する処理を施すことで灯油の臭気を抑制することが可能になるという知見も得て、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示す特徴を有する灯油組成物を提供するものである。
【0008】
(1)初留点135〜170℃、30%留出温度175〜200℃、50%留出温度190〜220℃、70%留出温度200〜240℃、90%留出温度215〜265℃、95%留出温度230〜270℃の蒸留性状を有し、硫黄分が50質量ppm以下であり、全芳香族炭化水素分含有量が20vol%以下であり、該全芳香族炭化水素分において2および3環以上の芳香族炭化水素分含有量が2.0vol%以下であり、かつ175℃以下の留分においてC7、C8およびC9ベンゼンの含有割合が、C7ベンゼンは1mass%以下、C8ベンゼンは9mass%以下、C9ベンゼンは18mass%以下であり、37.8℃における蒸気圧が5.0kPa以下であることを特徴とする灯油組成物。
(2)前記灯油組成物の25℃における発生ガス中の硫化水素濃度が、1volppm以下であることを特徴とする上記(1)に記載の灯油組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の灯油組成物は、大きな製造工程の改良などのコスト増加を伴うことなく、石油ストーブへの給油など消費者が灯油を取り扱う際に灯油臭による不快感を感じることがない低臭な灯油を提供することができて、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の内容をさらに詳細に説明する。
本発明における灯油組成物の蒸留性状は、初留点135〜170℃、30%留出温度175〜200℃、50%留出温度190〜220℃、70%留出温度200〜240℃、90%留出温度215〜265℃、95%留出温度230〜270℃であり、好ましくは、初留点140〜170℃、30%留出温度180〜200℃、50%留出温度195〜220℃、70%留出温度205〜240℃、90%留出温度220〜260℃、95%留出温度240〜270℃である。初留点が170℃以下であれば、着火し難い等の問題が生じる可能性が低いため好ましい。初留点が135℃以上であれば、引火点が低くなることが少なく、JIS K 2203で定められる灯油の引火点規格値である40℃を下回る可能性が少ないため好ましい。30%留出温度が175℃以上であれば、軽質炭化水素成分を含む175℃以下の留出分が少なく灯油自体の臭気を抑えられるため好ましい。また、30%留出温度が200℃以下であれば、着火性が良好となるため好ましい。さらに、50%留出温度が220℃、70%留出温度が240℃、90%留出温度が265℃、95%留出温度が270℃以下であれば、着火しやすいため定常燃焼に至るまでに時間がかからないため好ましい。また、50%留出温度が190℃、70%留出温度が200℃、90%留出温度が215℃、95%留出温度が230℃以上であれば、芯式・放射形石油ストーブ使用時において、炎を燃焼筒の上部から出さずに、燃焼筒を赤熱した状態に保つという安定した燃焼状態を保つことができ、また消火の際も鎮火しやすいため好ましい。
【0011】
また、本発明における灯油組成物に含まれる硫黄分は、50質量ppm以下、好ましくはサルファーフリーと呼ばれる10質量ppm以下であり、さらに好ましくはサルファーゼロと呼ばれる1質量ppm以下である。硫黄分を50質量ppm以下とすることで、またより低減することで、従来の灯油のように硫黄系炭化水素化合物に由来する臭気等を抑制することができ、昨今の石油製品の環境対応の見地からも好ましい。
なお、本発明における、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験、硫黄分はJIS K 2541の微量電量滴定式酸化法により、それぞれ測定できる。
【0012】
本発明における灯油組成物では、全芳香族炭化水素分含有量が20vol%以下、好ましくは18vol%以下である。全芳香族炭化水素分が20vol%以内であれば、煙点が高いため燃焼性が不良で煤の発生につながる可能性が少なく好ましい。なお、ここでの全芳香族炭化水素分の含有割合(組成割合)は、JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法(HPLC)」に基づいて求められる。
【0013】
本発明における灯油組成物では、2および3環以上の芳香族炭化水素分含有量を上記全芳香族分20vol%の内の2.0vol%以下、好ましくは1.0vol%以下とする。2および3環以上の環芳香族炭化水素分含有量が2.0vol%より少なければ、臭気が弱く、さらに燃焼性が良好なため、煤の発生につながる可能性が少ないため好ましい。
ここでの2環芳香族炭化水素分および3環以上の芳香族炭化水素分の含有割合は、上記JPI−5S−49−97に基づき求めることができる。
【0014】
本発明における灯油組成物では、175℃以下の留分におけるC7、C8およびC9ベンゼンの含有割合を、C7ベンゼンは1mass%以下、好ましくは0.8mass%以下、C8ベンゼンは9mass%以下、好ましくは7mass%以下、C9ベンゼンは18mass%以下、好ましくは17mass%以下とする。上記特定の割合とすることが灯油自身の臭気を抑制する上で好ましい。
従来から留出温度が170℃未満の留分を多く含む場合は灯油自身の臭気が強いこと、また、芳香族炭化水素成分の含有量が多い場合も臭気が強いことが知られていた。しかし、留出温度が170℃未満の留分を多く含む場合に、単純に灯油全体中の芳香族成分含有量を少なくするだけでは、灯油の炭化水素系の臭気を抑制することが困難であることが分かった。
【0015】
本願発明では、臭気のもととなる物質として炭素数C7〜C9の芳香族炭化水素成分を特定し、175℃以下の留分中におけるその含有割合を特定することが臭気の抑制に最も効果的であることを突き止めた。
すなわち、175℃以下の留分が多い場合でも、そのうち炭素数がC7〜C9の芳香族炭化水素成分が少なく、脂肪族炭化水素成分が多ければ、灯油自身の臭気を抑制することが出来ることが分かった。これは、臭いの種類を判別することができる限界濃度、すなわち閾値が、同じ沸点留分における芳香族炭化水素化合物よりも脂肪族炭化水素化合物の方が高いことによる、マスキング効果によるものと考えられる。
よって、これら各成分の175℃以下の留分における含有割合を、上記のように設定することで、取扱時の臭気強度が抑制され、石油ストーブなどの給油の際にも不快な石油臭気を抑制することができる。
【0016】
なお、ここでのC7ベンゼン、C8ベンゼン、C9ベンゼンの含有割合は、ガスクロマトグラフ法(GC)で分析し、JIS K 2536−2 石油製品−成分試験法(ガスクロマトグラフによる全成分の求め方)に従って解析を行い、沸点175℃である1,2,3-トリメチルベンゼン以下の全留分量を求め、さらに各C7ベンゼン類の化合物の含有量を和しC7ベンゼンとし、各C8ベンゼン類の化合物の含有量を和しC8ベンゼンとし、また各C9ベンゼン類の化合物の含有量を和しC9ベンゼンとしたのち、最終的に175℃以下の全留分量で各C7ベンゼン、C8ベンゼン、C9ベンゼンを割ることでそれぞれの含有割合が求められる。
【0017】
ここで言うC7ベンゼンとは、トルエンを示す。またC8ベンゼンとは、エチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンのうち少なくとも1つを示し、C9ベンゼンとはiso-プロピルベンゼン、n-プロピルベンゼン、1-メチル-2-エチル-ベンゼン、1-メチル-3-エチル-ベンゼン、1-メチル-4-エチル-ベンゼン、および1,2,3-メチルベンゼン、1,2,4-メチルベンゼン、1,3,5-メチルベンゼンのうち少なくとも1つを示す。
【0018】
また、本発明者は、灯油の臭気を抑制する検討を進める中で、灯油中に超極微量なppbレベルでも硫化水素が残留すると灯油組成物全体の臭気に大きく影響するという新たな知見を得た。この超極微量残留硫化水素に起因する臭気を抑制する方法として、従来以上に生成油中の硫化水素をppbレベルという低濃度下での管理を実施しながら、スチームを用いたストリッピングにより除去する方法や、苛性ソーダなどのアルカリ洗浄により除去する方法、窒素パージ操作などが挙げられ、これらの方法を実施して超極微量残留硫化水素を除去することが好ましい。
【0019】
そして、本発明の灯油組成物では、灯油組成物の25℃における発生ガス中の硫化水素濃度が、1volppm以下であることが臭気を抑制する上で好ましい。さらに好ましくは0.5volppm以下である。またさらに好ましくは0.2volppm以下である。このように灯油に残留する硫化水素を超極微量のppbレベルまで低減させ、灯油組成物の25℃における発生ガス中の硫化水素濃度を低減させることにより、硫黄分に由来する臭気を根絶することができる。
【0020】
なお、ここでの灯油組成物の25℃における発生ガス中の硫化水素濃度の測定は、25℃±5℃にした試料を500mlのキャップ付き1000mlガラス瓶に入れ、30秒間その瓶を激しく振った後、その瓶を静置させ、硫化水素ガス検知管(最低目盛り0.2volppm、最高目盛り2volppm)をセットしたガス吸引器にて、気相部のガスを所定量吸引し、硫化水素濃度を測定するものである。
【0021】
本発明における灯油組成物の37.8℃における蒸気圧は、5.0kPa以下、好ましくは、4.5kPa以下である。なお、37.8℃とは、JIS規格による蒸気圧の測定温度である。灯油組成物の37.8℃における蒸気圧を5.0kPa以下に抑えることにより、灯油組成物からの高蒸気圧成分、すなわち臭気に大きな影響を与える硫化水素分の大気への放出を抑制することが可能となり、硫黄分に由来する臭気を根絶することができる。なお、ここでの灯油組成物の37.8℃における蒸気圧は、JIS K 2258に示される原油および燃料油−蒸気圧試験方法−リード法により測定できる。
【0022】
本発明における灯油組成物の製造方法は特に定めるものではないが、市販溶剤の混合、あるいは本発明で規定する性状を有するように種々の原料を精製することで得ることができる。例えば、原油を常圧蒸留して得られる灯油留分やそれらを脱硫した脱硫灯油を用いることができる。さらに、直接脱硫装置から得られる直接脱硫灯油留分、および重油や残油の水素化分解により得られる灯油留分等が使用可能であり、特に限定されない。上記のように本発明の灯油組成物の製造方法は特に制限されないが、その製造に際して、前記の生成油中の硫化水素をppbレベルまで除去するためのスチームを用いたストリッピングや、苛性ソーダなどのアルカリ洗浄、または窒素によるパージングを所定時間行うことは好ましいことである。
【0023】
本発明の灯油組成物においては、必要に応じて種々の燃料油添加剤を適宜添加することができる。この燃料油添加剤としては、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物等の金属不活性剤、有機りん系化合物等の表面着火防止剤、琥珀酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン等の清浄分散剤、多価アルコールおよびそのエーテル等の氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル等の助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の帯電防止剤、アルケニル琥珀酸エステル等の錆止め剤等、公知の燃料油添加剤が挙げられる。これらは、1種添加することも複数種組み合わせて添加することもできる。また、これらの燃料油添加剤の添加量は必要に応じて適宜設定することができる。
【0024】
本発明の灯油組成物は、いわゆる民生用暖房機器、例えば各種石油ストーブ類、石油ファンヒーター類、あるいは石油式給湯器等に好ましく用いることができ、さらには直火式の食品乾燥用燃料、工業用燃料、石油発動機用燃料、ソルベント等各種用途にも好ましく使用できる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例および比較例により本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例において、引火点、蒸留性状、硫黄分、煙点は、JIS K 2203に定められる方法に準拠して測定を行なった。
また、臭気試験を下記臭気強度の測定と臭気官能試験で行った。
〔臭気強度の測定〕
サンプルの灯油を1mlアルミ製皿上に採取し、容量2.5lのガラス製臭気瓶中に静置させ、室温25℃にて臭気を揮発させる。1分間後、臭気センサー(理研計器(株)製 OD−85)にて、臭気強度を観測開始し、臭気強度が安定する10分後の臭気強度を測定した。
〔臭気官能試験〕
上記臭気センサーによる臭気強度の測定に用いたのと同じ各種灯油を用いて、15名の被験者による臭気官能試験より臭気強度を求めた。この試験は、試料油を1000mlの共栓付きのガラス容器に500ml入れ、30秒間激しく振り、栓を開け5秒後に、試料の臭気を嗅ぎ、その臭気の強度を表1に示す6段階臭気強度評定尺度を用いて判定した。ここで、上記臭気センサーから得た臭気強度と、表1の6段階臭気強度評定尺度との相関関係をグラフにして図1に示した。
【0026】
【表1】


【0027】
なお、本発明では、臭気強度測定における臭気センサー表示1000以下、および6段階臭気強度評定尺度3以下を、目的とする低臭灯油と判定した。
【0028】
実施例1
中東原油を常圧蒸留することで得られる沸点範囲149〜289℃の直留灯油留分を、WABT320℃、水素分圧5.5MPa、液空間速度(LHSV)3.0h−1の条件下での脱硫処理し、続いて窒素によるパージングを所定時間実施し、灯油の発生ガス中の硫化水素濃度を0.2volppmとした、沸点範囲148.5〜275.5℃、硫黄分6質量ppmの灯油組成物Aを得た。得られた灯油組成物Aの性状およびその臭気試験結果を表2に示す。
【0029】
実施例2
中東原油を常圧蒸留することで得られた沸点範囲149〜289℃の灯油留分を、WABT320℃、水素分圧4.5MPa、液空間速度(LHSV)3.0h−1の条件下での脱硫処理し、続いて窒素によるパージングを所定時間実施し、灯油の発生ガス中の硫化水素濃度を0.2volppmとした、沸点範囲149.0〜273.5℃、硫黄分2質量ppmの灯油組成物Bを得た。得られた灯油組成物Bの性状およびその臭気試験結果を表2に示す。
【0030】
比較例1
中東原油を常圧蒸留することで得られた沸点範囲149〜289℃の灯油留分を、WABT315℃、水素分圧5.5MPa、液空間速度(LHSV)3.0h−1の条件下での脱硫処理し、続いて窒素によるパージングを所定時間実施し、灯油の発生ガス中の硫化水素濃度を0.2volppmとした、沸点範囲159〜281℃、硫黄分10質量ppmの灯油組成物Cを得た。得られた灯油組成物Cの性状およびその臭気試験結果を表2に示す。
【0031】
比較例2
実施例2と同様に原油を常圧蒸留し、同じ条件にて脱硫処理し、続いて窒素によるパージングを実施例1より若干短い時間実施し、灯油の発生ガス中の硫化水素濃度を1.0volppmとした、沸点範囲152〜260℃、硫黄分2質量ppmの灯油組成物Dを得た。得られた灯油組成物Dの性状およびその臭気試験結果を表2に示す。
【0032】
比較例3
中東原油を常圧蒸留することで得られた沸点範囲149〜289℃の灯油留分を、WABT320℃、水素分圧3.0MPa、液空間速度(LHSV)5.2h−1の条件下での脱硫処理し、続いて窒素によるパージングを所定時間実施し、灯油の発生ガス中の硫化水素濃度を0.2volppmとした、沸点範囲151.5〜274.0℃、硫黄分8質量ppmの灯油組成物Eを得た。得られた灯油組成物Eの性状およびその臭気試験結果を表2に示す。
【0033】
比較例4
比較例3と同様に原油を常圧蒸留し、同じ条件にて脱硫処理し、続いて窒素によるパージングを実施例1より短い時間実施し、灯油の発生ガス中の硫化水素濃度を2volppmとした、沸点範囲148.5〜283.0℃、硫黄分17質量ppmの灯油組成物Fを得た。得られた灯油組成物Fの性状およびその臭気試験結果を表2に示す。
【0034】
【表2】


【0035】
表2より分かるように、175℃以下の留分中のC7〜C9ベンゼンが低減されず、かつ、蒸気圧が高い場合は、臭気の抑制は不十分であった。さらに、全体的に芳香族成分が低減されていない場合、硫化水素濃度が高い場合は特に臭気が強く検出された。また、175℃以下の留分が実施例より少ない場合でも、175℃以下の留分中のC7〜C9ベンゼンが低減されていないと臭気の抑制は不十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】各種灯油の臭気センサー表示と、6段階臭気強度評定尺度との相関関係を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光

【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛


【公開番号】 特開2008−24840(P2008−24840A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−199550(P2006−199550)