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【発明の名称】 エマルジョン組成物の製造方法並びにエマルジョン化装置
【発明者】 【氏名】馬場 茂

【氏名】野里 清

【要約】 【課題】本発明は、油中に分散する水滴を従来よりも微細化してより安定なエマルジョンを形成させ、又これを応用して燃料を改質して燃焼性を向上すると共に、有害な廃棄物の少ない燃焼を行わせることを目的とする。

【構成】水タンク2と、油タンク3と、オゾン発生機4と、攪拌タンク5と、を備え、水タンク2及び油タンク3を攪拌タンク5につなぐとともに、オゾン発生機4と攪拌タンク5をつなげ、攪拌タンク5内においてオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン組成物化するエマルジョン化装置1であって、攪拌タンク5内にオゾン微細気泡化装置10を備え、オゾンを微小粒として水及び油内を通過させて両者を攪拌すると共に、攪拌タンク5に水及び油分子の微細化装置13をつなげ、微細化された水及び油分子を攪拌タンク5内に還流するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌手段内に水と油とを供給し、攪拌手段の底部より供給される微細泡とされたオゾン泡にて水及び油が攪拌され、当該攪拌手段内の水及び油を順次水と油分子の微細化手段を通して水及び油分子が微細化され、かかる微細化された水及び油分子を前記攪拌手段内に還流し、かかる操作を繰り返して微細化された水と油分子がオゾンによって結合されたエマルジョン組成物を製造することを特徴とするエマルジョン組成物の製造方法。
【請求項2】
攪拌手段内に供給される水と油の割合が、5〜30:100重量部である請求項1記載のエマルジョン組成物の製造方法。
【請求項3】
水タンクと、油タンクと、オゾン発生機と、攪拌タンクと、を備え、前記水タンク及び前記油タンクを流路を介して前記攪拌タンクとつなぐとともに、前記オゾン発生機と前記攪拌タンクとを流路を介してつなげ、前記攪拌タンク内においてオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン組成物化するエマルジョン化装置において、攪拌タンク内にオゾン微細気泡化装置を備え、オゾンを微小粒として水及び油内を通過させて両者を攪拌すると共に、前記攪拌タンクに流路を介して水及び油分子の微細化装置をつなげ、微細化された水及び油分子を攪拌タンク内に還流するように流路にてつなげたことを特徴とするエマルジョン化装置。
【請求項4】
微細化された水及び油分子を攪拌タンク内にスプリンクラ−にて還流する請求項3記載のエマルジョン化装置。
【請求項5】
オゾン微細気泡化装置が0.3〜1.0mm径の多数の穴を備えた装置で請求項3記載のエマルジョン化装置。
【請求項6】
攪拌タンク又は流路中に水センサ−を設け、この水センサ−が水分を検出しないようになったときに信号を発する請求項3記載のエマルジョン化装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は水と油のエマルジョンに関するものであり、更に詳しくは、エンジンの燃料として有効なエマルジョン組成物及びそのエマルジョン化装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料の燃焼効率を向上し、或いは排気ガス中の有害成分を低減する技術として、燃料中に若干の水を混入する(エマルジョン燃料という)ことが効果的であることが知られている。しかしながら、今までの技術では界面活性剤等の安定剤が使用されていても燃料油に混合された水滴が比較的大きい。このため、運搬時や貯蔵時に油と水に分離してしまうことが多く、更に、エマルジョン燃料がエンジン等の燃焼室に噴射された場合には油滴と水滴とが分離した状態となり、油滴は完全に燃焼することが困難であり、未燃焼成分等の有害成分の発生を抑えることができず、又、高い燃焼効率を得られないという問題があった。
【0003】
このように、エマルジョン燃料は各種燃焼油に対して水を添加すると共に、水を油中に分散させて得られる燃料である。そして、エマルジョン燃料は上記したようにそれ自体ではエマルジョンとして経時的に安定しているわけではない。即ち、水を微細な粒子にして油中に分散しただけのエマルジョン燃料は、やがては凝集して油は上相、水は下相と2相に分離し、かかる油水2相分離した場合には、もはや燃料として使用することは不可能である。従って、運搬や貯蔵時の分散安定性を確保する必要がある。
【0004】
この経時安定性確保するべく、特許文献1では分散水粒子の粒径を微小化することが提案されている(特許文献1)。又、この目的のために、安定剤を添加することが提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平02−105890号公報
【0006】
【特許文献2】実公昭58−055231号公報
【0007】
しかるに、前者の水粒子の微小化を図るだけの技術では単に分散していることにはかわりはなく、時間が経つとやはり油水2相分離を起こしてしまう。そして、油水2相分離した後に元の分散状態に戻すことは極めて困難性を伴うこととなる。従って、このようなエマルジョン燃料はディ−ゼルエンジン燃料への適用が難しいという難点がある。
【0008】
一方、後者の安定剤の添加技術は、前者よりも安定性が向上してはいるが、安定剤の添加によって燃料コストが嵩むという欠点がある。又、安定剤を添加してエマルジョン燃料をディ−ゼルエンジン用燃料として用いた場合、エンジン及び吸気排気系統における腐敗が発生しやすくなるという問題が指摘されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、油中に分散する水滴を従来よりも微細化してより安定なエマルジョンを形成させ、又これを応用して燃料を改質して燃焼性を向上すると共に、有害な廃棄物の少ない燃焼を行わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、水と油のエマルジョン組成物の製造方法に関するものであり、攪拌手段内に水と油を供給し、攪拌手段の底部より供給される微細泡とされたオゾン泡にて水及び油が攪拌され、当該攪拌手段内の水及び油を順次水と油分子の微細化手段を通して水及び油分子が微細化され、かかる微細化された水及び油分子を前記攪拌手段内に還流し、かかる操作を繰り返して微細化された水と油分子がオゾンによって結合されたエマルジョン組成物を製造することを特徴とする製造方法である。
【0011】
第1発明において、攪拌手段内に供給される水と油の割合が、5〜30:100重量部であるエマルジョン組成物の製造方法を提供するものである。
【0012】
本発明の第2は、水と油のエマルジョン化装置に関するものであり、水タンクと、油タンクと、オゾン発生機と、攪拌タンクと、を備え、前記水タンク及び前記油タンクを流路を介して前記攪拌タンクとつなぐとともに、前記オゾン発生機と前記攪拌タンクとを流路を介してつなげ、前記攪拌タンク内においてオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン組成物化するエマルジョン化装置において、攪拌タンク内にオゾン微細気泡化装置を備え、オゾンを微小粒として水及び油内を通過させて両者を攪拌すると共に、前記攪拌タンクに流路を介して水及び油分子の微細化装置をつなげ、微細化された水及び油分子を攪拌タンク内に還流するように流路にてつなげたことを特徴とする装置である。
【0013】
第2発明において、微細化された水及び油分子を攪拌タンク内にスプリンクラ−にて還流する手段を採るのが好ましく、オゾンを微細化するのにオゾン微細気泡化装置が0.3〜1.0mm径の多数の穴を備え、この穴を通してオゾンが微細な粒状となって水及び油を攪拌するのが良い。尚、攪拌タンク又は流路中に水センサ−を設け、この水センサ−が水分を検出しないようになったときに信号を発する装置とすることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
第2発明に係るエマルジョン化装置は、上記のように構成されているため、攪拌タンク内で水と油とがオゾンの微細な泡によって攪拌され、エマルジョン液と水と油との混合物となり、その後、水及び油分子の微細化装置(以下、分子微細化装置という)を介して再度攪拌タンク内へ供給される。この作用を繰り返して行い、油と水とのエマルジョン化を完結させるものである。
【0015】
かかる装置を使用すれば所定量の水と油とが完全にエマルジョン化させることができ、例えば、低質油のエマルジョン液の有効利用を促進しやすいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
従来技術におけるこの種のエマルジョン化において、攪拌タンクに水タンクと油タンクとオゾン発生機とを備え、前記攪拌タンク内において攪拌機を作動させることによりオゾンを供給しながら水と油とをエマルジョン化する技術はある(特許文献3)。
【0017】
【特許文献1】特開昭60−231794号公報
【0018】
しかしながら、かかるエマルジョン化は、水と油とを単にオゾンにて攪拌しているにすぎないといってよく、このため水と油の2相に分離しやすいという欠点は取り除けず、エマルジョン液として有効利用しにくいという不都合を有していた。
【0019】
本発明の主たる課題は、経時分散安定性が高く、かつ、燃焼排ガスが低公害なエマルジョン組成物の製造方法及びそのエマルジョン化装置(ダイシン・グリ−ンエコパワ−)を提供することにある。
【0020】
以下、第1発明を中心に更に説明すると、第1の特徴はオゾンの微細な泡をもって水と油を攪拌するものであり、第2の特徴は水と油分子の微細化手段(以下、分子微細化手段という)をこれにつなげてより効果的なエマルジョン化組成物を得るところにある。
【0021】
分子微細化手段を施す作用については、未だ完全には解明されてはいないが、発明者は以下のように推考している。即ち、分子微細化手段によって、これらの分子を微細化して活性化をもたらし、特に水分子は弱い電気分解が起こり、得られた水酸イオン(OH )が結びついてヒドロキシルイオン(H )が発生し、瞬間的な間欠放電を繰り返し油の炭素分子に分解が起こり、このような状態でオゾンの微細な泡によって攪拌が加えられ、オゾンが両者を結合させて完全なエマルジョン状態となるもので、これが燃料に用いれれた場合には、低酸素状態でもより良い燃焼状態になると考えている。
【0022】
尚、分子微細化手段としては、例えば、超音波分解、電気分解、磁気分解、強制攪拌分解等の各手段が選択される。
【0023】
第2発明において、分子微細化装置を通過した微細化された水及び油分子は、攪拌タンク内にスプリンクラ−にて万遍なく還流する手段を採るのが好ましい。
【0024】
攪拌タンク内での攪拌はオゾンの気泡で行うが、オゾンを微細化するのには攪拌タンク内に納められたボックス内にオゾンを導き、かかるボックスに0.3〜1.0mm径の多数の穴を備えることによって行われる。
【0025】
尚、攪拌タンク又は流路中に水センサを設け、この水センサが水分を検出しないようになったときに信号を発する装置とすることも可能である。
【0026】
本発明に用いられる油としては、軽油、A重油、B重油、C重油、灯油、ガソリン等の他、食用油等の燃料以外の油があるが、特に油が燃料の場合には非常に燃焼性のよいエマルジョンが得られることとなる。
【0027】
エマルジョンとして上記の油に加えられる水は、油100重量部に対して5〜30重量部であり、好ましくは10〜20重量部である。
【0028】
得られたエマルジョン組成物についていえば、油と水の完全な状態のエマルジョンであり、例えば(軽油+水)のエマルジョンを燃料としてディーゼルエンジンに使用すると、排気ガスがクリーンになり、同時にエンジンの出力が高出力になるという効果がある。
【0029】
即ち、エンジンが吸引した空気を高圧に圧縮することで、シリンダー内の空気が高温になり、噴射ポンプで吹き込まれた軽油は、エンジンのシリンダ内で火がつき、軽油中の水分が高温になり、水素と酸素に分解され全体として水素と酸素量が多くなるので、燃焼がより完全となる。このため、出力の増加とともに排気ガスの大幅な減少になり、更には、アイドリング時のエンジンのノッキングが低下することにより、エンジン音が大変静かになり、低速回転の出力も高くなるという優れた効果がある。
【実施例】
【0030】
以下、第2発明を中心に更に説明すると、図1は第2発明に係るエマルジョン化装置のの流体の流れを中心とした概念図、図2はエマルジョン化装置の側面図、図3は平面図を示す。
【0031】
図において、1はエマルジョン化装置であり、水タンク2と油タンク3とオゾン発生機4と攪拌タンク5とを備えている。水タンク1及び油タンク2は流路6aを介して前記攪拌タンク5とつなぐとともに、前記オゾン発生機4も前記攪拌タンク5に流路6bを介してつなげてある。そして、攪拌タンク5内においてオゾン(微細な泡)を供給しながら水と油とをエマルジョン組成物化するエマルジョン化装置1である。
【0032】
水タンク2と油タンク3とは、開閉バルブ7a、7bと流量計8a、8bとを介して攪拌タンク5につながれている。この例では流路6aが流量計8a、8bの下流側で合流し、攪拌タンク5につながれた例である。各計量計8a、8bは所望とするエマルジョンの混合比率にもとづく各量を計測するためのものである。
【0033】
又、オゾン発生機4は、コンプレッサー9を介して、流路6cにて前記攪拌タンク5内のオゾン微細気泡化装置10につながれている。このオゾン微細気泡化装置10は、この例では攪拌タンク5内の底部に十字状をなして配置されたものであり、内部にオゾンが流れる流路が形成され、この流路につながる多数の穴11を備えたものである。攪拌タンク5内に導かれたオゾンはこの多数の穴11から攪拌タンク5内に微細な気泡として吹き込まれ、水及び油の攪拌に供せられることとなる。従って、オゾンの気泡が小さければそれだけ接触面積が大きくなるため、気泡を形成する穴11の大きさは0.3〜1.0mm径の穴とするのが好ましい。
【0034】
攪拌タンク5の底部には流路6dにより循環ポンプ12を介して分子微細化装置13の下端部に接続され、この分子微細化装置13の上端より攪拌タンク5の頂部に備えたスプリンクラ−14につながっている。即ち、攪拌タンク5内の水及び油は底部より循環ポンプ12によって分子微細化装置13内へと圧送され、この分子微細化装置13を通過した水及び油は攪拌タンク5内に噴霧状に供給される還流する循環回路を通ることとなる。尚、この例では分子微細化装置13は水及び油に磁気を浴びせ、特に水に対して弱い電気的に分解をもたらすものである。かかる効果については既に説明したので省略する。
【0035】
本発明は、以上の通り、エマルジョン化工程で界面活性剤等の乳化剤を使用しないため、得られたエマルジョン組成物を利用する際にも界面活性剤等の影響を受けることはないという特徴がある。
【0036】
尚、攪拌タンク又は適当な流路中に水センサ−を設け、この水センサ−が水分を検出しないようになったときに信号を発するようにすることができることは言うまでもない。水が存在する場合には、水、油分、及びエマルジョン化された組成物を更に循環させることとなる。そして、水センサーが水分を検出しないようになったときに、エマルジョン化の完結を知らせるもので、この水センサーの一例としては電気伝導度を測定することによって水分の有無が判定される。尚、図中のコック15はエマルジョン化組成物を取り出すためのものである。
【0037】
次に、エマルジョン化組成物について説明すると、軽油40リットルに水4リットルをエマルジョン化した。図1に記載した装置1において、攪拌タンク5の内圧は3kg/cm 、オゾンの発生は リットル/時間、オゾン微細気泡化装置10の穴11の大きさは3mm径であった。又、分子微細化装置13は磁気分解タイプであり、その強さは96000ガウスであった。装置1を1時間連続運転した。得られたエマルジョン化組成物は44.2リットルであった。
【0038】
得られたエマルジョン化組成物及び処理前の軽油の分析結果を表1に示す。油に入れる添加剤として水を使用することで、コストが低く、又、油の中に水が含まれる分油量が増えることとなる。実験の結果、本来の油に対して10〜20%の増量が見込まれる。硫黄分を考えると、エマルジョン化する前の場合には少数第2位の範囲で存在するが、エマルジョン化したためにその単位は少数第3位にまで減少した。このことは、燃料として用いた場合、排気ガス中の有害物質の減少が著しい。
【0039】
勿論、長期間放置しても水及び油に分離することがなく、低温(−30℃)でも凍結しない、更に、走行中の出力アップがもたらされ、燃費が約15〜30%程度節約できる等の特徴がある。
【0040】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0041】
第2発明に係るエマルジョン化装置は、攪拌タンク内で水と油とがオゾンの微細な泡によって攪拌され、かつ、分子微細化装置にて水及び油分子を活性化するものであり、この作用を繰り返して行い、長期間放置しても、水と油が分離しないエマルジョン化を完結させるものである。そして、かかる装置によって得られたエマルジョン化組成物を燃料として使用すれば、排気ガスが減少され、走行中の出力がアップするので、燃費が節約できることとなり、その利用範囲は極めて広い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本第2発明に係るエマルジョン化装置の流体系統を中心とした概念図である。
【図2】図2はエマルジョン化装置の側面図を示す。
【図3】図3はエマルジョン化装置の平面図を示す。
【符号の説明】
【0043】
1‥エマルジョン化装置、
2‥水タンク、
3‥油タンク、
4‥オゾン発生機、
5‥攪拌タンク、
6a、6b、6c、6d‥流路、
7a、7b‥開閉バルブ、
8a、8b‥流量計、
9‥コンプレッサー、
10‥微細気泡化装置、
11‥穴、
12‥循環ポンプ、
13‥分子微細化装置、
14‥スプリンクラ−、
15‥コック。

【出願人】 【識別番号】506242016
【氏名又は名称】新川 義郎
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】 【識別番号】100086896
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 悦郎


【公開番号】 特開2008−19359(P2008−19359A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193434(P2006−193434)