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【発明の名称】 バイオガス生成システムおよび方法
【発明者】 【氏名】高橋 潤一

【氏名】梅津 一孝

【氏名】青木 賢二

【氏名】山城 隆樹

【氏名】濱本 修

【氏名】丸本 隆之

【氏名】三崎 卓也

【要約】 【課題】簡易、かつ低コストでバイオガス中の二酸化炭素を取り除くことによって、メタンガス成分等の有効成分の含有量を高める(精製する)ことができるバイオガス生成システムを提供すること。

【構成】有機性廃棄物を発酵させてバイオガスを生成する発酵槽3と、該発酵槽から前記バイオガス1が送られ、該バイオガスに対して脱硫処理を行う生物脱硫塔5とを備えたバイオガス生成システムであって、発酵槽より一部取り出した発酵液7であって、生物脱硫塔5内の温度より高い温度の発酵液17中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する発酵液ガス低減処理装置8を更に備え、該発酵液ガス低減処理装置により処理されたガス低減発酵液9を生物脱硫塔5に導入するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を発酵させてバイオガスを生成する発酵槽と、
前記発酵槽より一部取り出した発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する発酵液ガス低減処理手段と、
該発酵液ガス低減処理手段により処理されたガス低減発酵液を、前記バイオガスと気液接触させてバイオガス中の二酸化炭素を該ガス低減発酵液中に吸収させる気液接触手段と、を備えているバイオガス生成システム。
【請求項2】
有機性廃棄物を発酵させてバイオガスを生成する発酵槽と、
該発酵槽から前記バイオガスが送られ、該バイオガスに対して脱硫処理を行う生物脱硫塔と、を備えたバイオガス生成システムであって、
発酵槽より一部取り出した発酵液であって、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する発酵液ガス低減処理手段を更に備え、該発酵液ガス低減処理手段により処理されたガス低減発酵液を前記生物脱硫塔に導入するように構成されているバイオガス生成システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記発酵液ガス低減処理手段は、一部取り出した発酵液から二酸化炭素を放散させる放散手段を備えていることを特徴とするバイオガス生成システム。
【請求項4】
請求項3において、前記発酵液ガス低減処理手段は、前記発酵液を加熱して昇温する加熱手段を更に備えていることを特徴とするバイオガス生成システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、前記発酵液ガス低減処理手段は、発酵液に対して滅菌効果を発揮する温度以上で所定時間保持する構成を備えていることを特徴とするバイオガス生成システム。
【請求項6】
有機性廃棄物を発酵槽で発酵させてバイオガスを生成し、前記発酵槽より一部取り出した発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理し、該低減処理されたガス低減発酵液を、前記バイオガスと気液接触させてバイオガス中の二酸化炭素を該ガス低減発酵液中に吸収させて精製バイオガスを生成するバイオガス生成方法。
【請求項7】
有機性廃棄物を発酵槽で発酵させてバイオガスを生成し、該バイオガスを生物脱硫塔に通して脱硫処理を行って精製バイオガスを生成するバイオガス生成方法であって、
発酵槽より一部取り出した発酵液であって、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液を脱二酸化炭素処理した後、前記生物脱硫塔に導入するバイオガス生成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物のメタン発酵等により得られるバイオガスを処理して可燃性成分であるメタンガス成分等の有効成分の含有量を高めるように精製するバイオガス生成システム及びバイオガス生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機性廃棄物をメタン発酵することにより得られるバイオガスは、主にメタンガスと二酸化炭素を含んでおり、その割合は有機性廃棄物の性状によって異なるが、通常、メタンガスを50〜60体積%程度、二酸化炭素を40〜50体積%程度含有するものである。その他に硫化水素が約0.2体積%含まれている。このようにバイオガスに二酸化炭素が高濃度で含まれていることにより、バイオガスの燃料としての利用価値を低下させてしまっている。例えば、ガスエンジンを利用して発電を行う場合には、無処理のバイオガスでは二酸化炭素の含有量が多いためガスエンジンを安定して駆動させることができず、信頼性の点で問題があった。そのため、バイオガスを燃料として高効率・高信頼性の発電を行うためには二酸化炭素を低減除去することによりメタンガス成分の濃度を高め、バイオガスの高カロリー化を図ることが有効である。
【0003】
二酸化炭素の除去方法(脱炭酸方法)としては、吸収剤を用いるPSA法のほか、二酸化炭素を吸収剤に吸収させる吸収処理方法が一般的に知られている。吸収剤には、塩基性に調整された液状の吸収液や二酸化炭素を選択的に吸着する固体状の吸収剤が用いられる。これらの吸収処理方法は、多量の吸収剤や副資材を必要とするため高コストであるとともに、設備が大型化するという問題がある。また、PSA法も設備費、運転費が安価ではなく、実用的ではない。
【0004】
また、二酸化炭素を放出することで再生可能な溶媒を吸収液として用いることにより、吸収液を循環再利用させることによって液使用量を削減することができる二酸化炭素の除去方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この二酸化炭素除去方法においても除去工程では一定量の吸収液が常に必要であるとともに、二酸化炭素を吸収した後の吸収液から二酸化炭素を脱気させる工程としての減圧脱気処理装置が別途必要であり、設備の複雑化、高コスト化を招いていた。
【0005】
また、二酸化炭素を選択的に吸着し、かつ再生可能な分子ふるい炭を吸収剤として用いてバイオガスから二酸化炭素を選択的に吸着除去する精製工程と、分子ふるい炭を再生する再生工程とを相互に実施するメタンガス精製方法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この精製方法では、二酸化炭素を吸着した分子ふるい炭を再生させる再生工程が別途必要であり、設備が複雑になってしまっていた。
【0006】
【特許文献1】特開2003−230810号公報
【特許文献2】特開2001−170695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易、かつ低コストでバイオガス中の二酸化炭素を取り除くことによって、メタンガス成分等の有効成分の含有量を高める(精製する)ことができるバイオガス生成システムおよびバイオガス生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係るバイオガス生成システムは、有機性廃棄物を発酵させてバイオガスを生成する発酵槽と、前記発酵槽より一部取り出した発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する発酵液ガス低減処理手段と、該発酵液ガス低減処理手段により処理されたガス低減発酵液を、前記バイオガスと気液接触させてバイオガス中の二酸化炭素を該ガス低減発酵液中に吸収させる気液接触手段と、を備えているものである。
【0009】
本発明によれば、発酵槽より一部取り出した発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する。そして、溶存二酸化炭素が低減された発酵液である「ガス低減発酵液」を前記バイオガスと気液接触させて、バイオガス中の二酸化炭素を気液間の溶解平衡によって、当該「ガス低減発酵液」中に吸収させるように構成されている。従って、二酸化炭素吸収用の吸収剤などを用いること無く、発酵液自体を利用してバイオガス中の二酸化炭素を簡易、かつ低コストで取り除くことでき、以て有用成分の濃度を高めたバイオガスに精製することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るバイオガス生成システムは、有機性廃棄物を発酵させてバイオガスを生成する発酵槽と、該発酵槽から前記バイオガスが送られ、該バイオガスに対して脱硫処理を行う生物脱硫塔と、を備えたバイオガス生成システムであって、発酵槽より一部取り出した発酵液であって、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する発酵液ガス低減処理手段を更に備え、該発酵液ガス低減処理手段により処理されたガス低減発酵液を前記生物脱硫塔に導入するように構成されているものである。
【0011】
生物脱硫塔は、発酵槽で生成されたバイオガス中に含まれる硫化水素を、該生物脱硫塔内の担持部に担持されている硫黄酸化細菌と中性領域付近で接触させて硫酸にまで酸化して除く役割を成す。硫黄酸化細菌は水分、低次硫黄酸化物と養分の供給を得て活性化する。本発明は、硫黄酸化細菌を活性化するために供給する水分等として発酵液を利用すると共に、この発酵液を脱硫塔に供給するに際して二酸化炭素吸収能を高めた「ガス低減発酵液」として送ることで、バイオガス中の二酸化炭素を該「ガス低減発酵液」中に吸収して取り込めるようにしたものである。
【0012】
すなわち本発明によれば、発酵槽より一部取り出した発酵液であって、生物脱硫塔内の温度より高い温度の該発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理して二酸化炭素吸収能を高めている。このように二酸化炭素吸収能を高められたガス低減発酵液が生物脱硫塔に導入されると、その水分によって硫黄酸化細菌を活性化して発酵槽から送られたバイオガス中の硫化水素を硫酸にまで酸化すると同時に、該バイオガス中の二酸化炭素と気液接触して該二酸化炭素を当該ガス低減発酵液中に確実に吸収する。これにより、バイオガス中の二酸化炭素の含有量が減り、メタンガス等の有効成分の割合を簡単に高めることができる。
このように本発明によれば、二酸化炭素吸収用の吸収剤などを用いること無く、発酵液自体を利用してバイオガス中の二酸化炭素を簡易、かつ低コストで取り除くことでき、以て有用成分の濃度を高めたバイオガスに精製することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係るバイオガス生成システムは、第1の態様又は第2の態様において、前記発酵液ガス低減処理手段は、一部取り出した発酵液から二酸化炭素を放散させる放散手段を備えていることを特徴とするものである。
これにより、発酵液ガス低減処理手段の構造を平易化して容易に発酵液中に溶存する二酸化炭素の含有量を低減することができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係るバイオガス生成システムは、第3の態様において、前記発酵液ガス低減処理手段は、前記発酵液を加熱して昇温する加熱手段を更に備えていることを特徴とするものである。
これにより、発酵液ガス低減処理手段による発酵液ガス低減処理において、効率的且つ確実に発酵液中に溶存する二酸化炭素の含有量を低減することができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係るバイオガス生成システムは、第1の態様から第4の態様のいずれかの態様において、前記発酵液ガス低減処理手段は、発酵液に対して滅菌効果を発揮する温度以上で所定時間保持する構成を備えていることを特徴とするものである。
発酵液を液肥に利用する場合、該発酵液を70℃で1時間或いは55℃で6時間といった条件で加熱して滅菌処理する。本発明によれば、この滅菌処理の為の加熱工程を発酵液中の溶存二酸化炭素を低減する為の上記加熱工程に兼用することが可能であり、効率的である。
【0016】
本発明の第6の態様に係るバイオガス生成方法は、有機性廃棄物を発酵槽で発酵させてバイオガスを生成し、前記発酵槽より一部取り出した発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理し、該低減処理されたガス低減発酵液を、前記バイオガスと気液接触させてバイオガス中の二酸化炭素を該ガス低減発酵液中に吸収させて精製バイオガスを生成するものである。これにより第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
本発明の第7の態様に係るバイオガス生成方法は、有機性廃棄物を発酵槽で発酵させてバイオガスを生成し、該バイオガスを生物脱硫塔に通して脱硫処理を行って精製バイオガスを生成するバイオガス生成方法であって、発酵槽より一部取り出した発酵液であって、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液を脱二酸化炭素処理した後、前記生物脱硫塔に導入するものである。これにより第2の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二酸化炭素吸収用の吸収剤などを用いること無く、発酵液自体を利用してバイオガス中の二酸化炭素を簡易、かつ低コストで取り除くことでき、以て有用成分の濃度を高めたバイオガスに精製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るバイオガス生成システムの一実施形態を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るバイオガス生成システムの一態様を示す概略構成図であり、図2は発酵液ガス低減処理装置の構成図である。
バイオガスには、メタン発酵によるもの、水素発酵によるもの等があるが、本発明はこれらの各発酵に同様に適用することができる。以下の説明ではメタン発酵によるバイオガス生成システムについて説明するが、水素発酵によるバイオガス生成システムの場合も、ほぼ同様のプロセス又はシステムとなる。
【0020】
図1のバイオガス生成システムは、主要な構成要素として、バイオマスすなわち有機性廃棄物が送られて該有機性廃棄物を発酵させてバイオガス1と発酵液2を生成する発酵槽3と、該発酵槽3からバイオガスライン4を介して前記バイオガス1がその下部に送られ、該バイオガス1を硫黄酸化細菌と接触させて脱硫処理を行う生物脱硫塔5とを備えている。
【0021】
更に、発酵槽3より取り出しライン6を介して一部取り出した発酵液7を、生物脱硫塔5内の温度より高い温度の発酵液中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理する発酵液ガス低減処理装置8を備えている。該発酵液ガス低減処理装置8により処理されたガス低減発酵液9は、送りライン10を介して循環液タンク11に送られる。
【0022】
該循環液タンク11内のガス低減発酵液9は、導入ライン12Aを介して前記生物脱硫塔5内の上部の散液部13に送られ、この散液部13から塔内に散液され、その一部は戻りライン12Bを介して循環液タンク11に戻される。図1において符合30は循環用ポンプ、符合31は撹拌機を示す。このようにガス低減発酵液9は、循環液となって生物脱硫塔5内を循環し、担持部40に担持されている硫黄酸化細菌41と連続的に接触する。これにより、硫黄酸化細菌41は活性化され、前記バイオガスライン4から塔内に送られるバイオガス1中の硫化水素に作用してそれを硫酸にまで酸化する。
【0023】
同時に、散液部13から塔内に散液されたガス低減発酵液9は、前記バイオガスライン4から塔内に送られるバイオガス1と気液接触する。これにより、バイオガス1中に含まれている二酸化炭素が二酸化炭素吸収能の高められた状態の当該ガス低減発酵液9中に吸収され、バイオガス1中の二酸化炭素の含有量が減り、メタンガス等の有効成分の含有量を高めた精製バイオガスを得ることができる。
【0024】
具体的には、バイオガス1は生物脱硫塔5内に1分間以上好ましくは3分間以上保持され、バイオガス1の供給流量G(m)に対するガス低減発酵液の流量L(リットル)のL/G値は、0.1〜100、好ましくは1〜50に設定されている。尚、生物脱硫塔5は公知の充填塔又は棚段塔構造である。
【0025】
循環液となったガス低減発酵液9の一部は、抜き出しライン50を介して生物脱硫塔5の底部からスラリータンク60内に抜き出されるようになっている。これにより上記硫酸も抜き出される。また、発酵液2のほとんども発酵槽3の底部から抜き出しライン55を介してスラリータンク60内に送られ、数ヶ月間貯留されるようになっている。
【0026】
尚、生物脱硫塔5内に散液されたガス低減発酵液9は、循環液タンク11による循環をせずに、生物脱硫塔5内の散液された後、該塔の底部から全量をスラリータンク60に送るようにすることも可能である。これにより、二酸化炭素吸収能を常に高い状態にしておくことが出来る。この場合、循環液タンク11は単なる一時的な貯留タンクになり、戻りライン12Bは不要である。
【0027】
次に、図2に基づいて本実施例の発酵液ガス低減処理装置8の構造を詳しく説明する。本実施例の発酵液ガス低減処理装置8は、前記発酵液7を加熱して昇温する加熱装置14と、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液17から二酸化炭素を放散させてガス低減発酵液9とする放散装置15を備えている。更に加熱装置14と放散装置15の間にライン16を介して設けられて加熱装置14で加熱された状態の発酵液17を一定時間保持する貯液タンク18を備えている。該貯液タンク18は発酵液に対して滅菌効果を発揮する温度以上で所定時間保持するように構成されている。
【0028】
加熱装置14は、発酵槽3より一部取り出した発酵液7を、生物脱硫塔5内の温度より高い温度に昇温するもので、前記発酵液7が生物脱硫塔5内の温度より低い場合は、該発酵液7を生物脱硫塔5内の温度より高い温度に加熱昇温し、前記発酵液7が生物脱硫塔5内の温度より高い場合は、その温度が生物脱硫塔5内の温度よりも下がらないように加熱保温するものである。該加熱装置14は、本実施例では図示しないバイオガスコージェネレーションの熱水(80℃程度)を利用した熱交換機19で構成されている。勿論この熱交換機19に限定されず、バイオガスを用いるボイラ等、他の加熱手段であってもよい。
【0029】
放散装置15は、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液17から溶存二酸化炭素を放散させてガス低減発酵液9を得るもので、本実施例では充填塔や棚段塔等の気液接触機能を備えた二酸化炭素放散塔20で構成されている。この二酸化炭素放散塔20は、前記発酵液17の散液部21とブロア22を備えており、該ブロア22から供給する空気23と散液部21から散液された高温発酵液17との気液接触による撹拌作用により、該発酵液17中の溶存二酸化炭素が液外に放散される。該放散による二酸化炭素を含んだ空気は出口部24から二酸化炭素放散塔20外に排出される。発酵液17から二酸化炭素を放散させたガス低減発酵液9は送りライン10を介して循環液タンク11に送られる。
【0030】
具体的には、空気23は、二酸化炭素放散塔20内に1分間以上好ましくは3分間以上保持され、空気23の供給流量G(m)に対する発酵液の流量L(リットル)のL/G値は、0.1〜10に設定されている。尚、このL/G値の好ましい範囲は発酵液の種類や履歴によって異なる。
【0031】
貯液タンク18は、生物脱硫塔内の温度より高い温度の発酵液17を一定時間保持して、発酵液に対して滅菌効果を発揮するように構成されている。図示しない保温手段が設けられている。本実施例では70℃に昇温された発酵液17を1分間貯留保持できるように構成されている。尚、55℃で6時間貯留保持するようにしてもよい。該貯液タンク18の容量設定の目安は、抜き出し発酵液量の1.5〜3倍が良く、例えば抜き出し液量が30リットル/時ならば50〜90リットルである。
【0032】
発酵槽3は、有機性廃棄物が供給部80から槽内に供給される。有機性廃棄物は、発酵槽3内にて嫌気性雰囲気下でメタン発酵菌によってメタン発酵され、バイオガス1と発酵液2を生成する。発酵槽3内の温度は55℃に設定され、高温メタン発酵を行うようになっている。有機性廃棄物の発酵槽3での滞留時間は例えば15日間(槽容積/投入抜出量=15日)に設定される。
【0033】
本発明で使用する有機性廃棄物(バイオマス)としては、例えば、生ごみ、排水処理汚泥、畜産廃棄物や緑農廃棄物などを挙げることができる。ここで、畜産廃棄物としては、家畜の糞尿や、屠体、その加工品が挙げられ、より具体的にはブタ、牛、羊、山羊、ニワトリなどの家畜の糞尿やこれらの屠体、そこから分離された骨、肉、脂肪、内臓、血液、脳、眼球、皮、蹄、角などのほか、例えば肉骨粉、肉粉、骨粉、血粉などに代表される家畜屠体の骨、肉等を破砕した破砕物や、血液などを乾燥した乾燥物も含まれる。その他の廃棄物としては、家庭の生ごみのほか、事業系生ごみとして農水産業廃棄物、食品加工廃棄物等が含まれる。なお、有機性廃棄物の状態により、必要に応じて前処理として破砕・分別工程を実施することができる。
【0034】
次に、上記実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態によれば、先ず発酵槽3より一部取り出した、生物脱硫塔5内の温度より高い温度の発酵液7を該発酵液17中の溶存二酸化炭素ガスを低減処理して二酸化炭素吸収能を高めている。このように二酸化炭素吸収能を高められたガス低減発酵液9が生物脱硫塔5に導入されると、その水分によって硫黄酸化細菌41を活性化して発酵槽3から送られたバイオガス1中の硫化水素を硫酸にまで酸化すると同時に、該バイオガス1中の二酸化炭素と気液接触して該二酸化炭素を当該ガス低減発酵液9中に確実に吸収する。これにより、バイオガス1中の二酸化炭素の含有量が減り、メタンガス等の有効成分の割合を簡単に高めることができる。
このように本実施の形態によれば、二酸化炭素吸収用の吸収剤などを用いること無く、発酵液自体を利用してバイオガス1中の二酸化炭素を簡易、かつ低コストで取り除くことでき、以て有用成分の濃度を高めたバイオガスに精製することができる。
【0035】
また、発酵液ガス低減処理装置8は、発酵液7に対して滅菌効果を発揮する温度以上で所定時間保持する構成である加熱装置14と貯液タンク18を備えているので、この滅菌処理の為の加熱工程部分を発酵液中の溶存二酸化炭素を低減する為の上記加熱工程部分に兼用することが可能であり、効率的である。
【0036】
[他の実施の形態]
図3は、本発明に係るバイオガス生成システムの他の態様を示す概略構成図である。本態様では、加熱装置14は液肥を作るための専用の加熱装置である。この液肥用の専用加熱装置14で加熱された発酵液の一部を貯液タンクに送るように構成されている。その他の構成は、図1に示した態様と同様なので同一部分に同一符合を付してその説明は省略する。本態様においても図1の態様と同様の作用効果が得られる。
【0037】
図1及び図3に示した上記実施の形態では、二酸化炭素吸収能を高めたガス低減発酵液9を生物脱硫塔5内に導入して、該塔内でバイオガス1と気液接触させたが、生物脱硫塔とは別にバイオガス中の二酸化炭素吸収の為の専用の気液接触塔を設けて行うことも可能である。このようにするとガス低減発酵液中に硫酸が増えないので、液肥への利用がし易くなる。
【0038】
<実施例1>
搾乳牛糞尿を中心とするバイオマスを4t/日の供給量で、容量60mの発酵槽3に送り、抜き出し発酵液7の量を0.7m/日、70℃且つ1時間の加熱保持をした後、容量100リットルの循環液タンクに送り、ガス低減発酵液9を生物脱硫塔5内に、循環流量10リットル/分で循環させた。生物脱硫塔5内に送り込まれるバイオガス1(メタンガス:約50体積%、二酸化炭素:約50体積%)の流量は140m/日であった。尚、発酵槽3から容量800mのスラリータンク60に発酵液2が3.3m/日で送られた。このとき、精製バイオガス中の硫化水素濃度は0ppmであり、メタンガス濃度は約65体積%、二酸化炭素濃度は約35体積%であった。
【0039】
<実施例2>
実施例1と同じく搾乳牛糞尿を中心とする畜産廃棄物約70t/日を処理するバイオガスプラントにおいて、本発明を用いたバイオガスの脱硫および二酸化炭素を吸収する高カロリー化の試験を実施した。本プラントの発酵槽3は55℃の高温発酵方式である。
畜産廃棄物(搾乳牛糞尿)を約70t/日の供給量で、容量980mの発酵槽3に送り、抜き出し発酵液7の量を15m/日とした。該抜き出し発酵液7を55℃に保温し、大気と接触した状態で孔径約4mmのメッシュスクリーンを用いて塊状物を取り除き、抜き出し発酵液7中の溶存二酸化炭素ガスを放散させたのち、ガス低減発酵液9として容量300リットルの循環液タンクに送り、該ガス低減発酵液9を生物脱硫塔5内に循環させた。生物脱硫塔5内にガス低減発酵液9を循環させるための生物脱硫塔循環液用のポンプを、出力の異なる2種類を準備し(実施例2−1:0.25kW、実施例2−2:0.4kW)、それぞれの循環液量における精製バイオガス中の硫化水素濃度およびメタンガス濃度を測定し、バイオガスエンジンの出力の差を検討した。また、比較例では、抜き出し発酵液7を大気と接触させずに塊状物を取り除き、抜き出し発酵液7中の溶存二酸化炭素ガスを放散させていない発酵液を、生物脱硫塔5内に循環させた。生物脱硫塔5内に送り込まれるバイオガス1の流量(メタンガス:約55体積%、二酸化炭素:約45体積%、硫化水素濃度:約3000ppm)は2400m/日である。実施例2における試験結果を表1に示す。
【0040】
【表1】


【0041】
比較例において生物脱硫塔5内に循環させた、抜き出し発酵液7中の溶存二酸化炭素ガスを放散させていない発酵液は、溶存二酸化炭素濃度が飽和状態であるため、二酸化炭素吸収能がほとんど無く、生物脱硫塔5内に送り込まれたバイオガス1と、精製バイオガス中のメタン濃度と二酸化炭素濃度の割合はほとんど変化しない。比較例1の精製バイオガスを用いたガスエンジン平均出力は約160kWであった。
【0042】
比較例と同量のガス低減発酵液9を生物脱硫塔5内に循環させた実施例2−1では、バイオガス1中の二酸化炭素が該ガス低減発酵液9に吸収されることによって、精製バイオガス中のメタン濃度は約65体積%まで高められ、ガスエンジン平均出力は比較例よりも3kW向上した。
【0043】
実施例2−1よりも高出力のポンプを用い、生物脱硫塔5内に送るガス低減発酵液9量を増加した実施例2−2では、ガス低減発酵液9によって吸収される二酸化炭素量も多くなり、精製バイオガス中のメタン濃度は更に高められ、メタン濃度が約80体積%の精製バイオガスが得られた。実施例2−2で得られた精製バイオガスのガスエンジン平均出力は約166kWであり、比較例よりも高出力のポンプ(0.4kW)を用いたことによる消費エネルギー増加分(+0.15kW)を差し引いても、約5.85kWのガスエンジン平均出力が増加する。
尚、精製バイオガス中のメタン濃度を約80体積%以上に高めても、ガスエンジン平均出力の増加は収束するため、メタン濃度が約80体積%の精製バイオガスが効率よく得られるように生物脱硫塔5内に送るガス低減発酵液9量を設定すれば、エネルギー効率がよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、有機性廃棄物のメタン発酵等により得られるバイオガスを処理して可燃性成分であるメタンガス成分等の有効成分の含有量を高めるように精製するバイオガス生成システム及びバイオガス生成方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態に係るバイオガス生成システムを示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る発酵液ガス低減処理装置の構成図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るバイオガス生成システムを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1 バイオガス
2 発酵液
3 発酵槽
4 バイオガスライン
5 生物脱硫塔
7 一部取り出した発酵液
8 発酵液ガス低減処理装置
9 ガス低減発酵液
11 循環液タンク
13 散液部
14 加熱装置
15 放散装置
17 高温発酵液
18 貯液タンク
20 二酸化炭素放散塔
【出願人】 【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹


【公開番号】 特開2008−13649(P2008−13649A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185646(P2006−185646)