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【発明の名称】 エマルジョン燃料及びその製造装置並びに製造方法
【発明者】 【氏名】森 幸 信

【要約】 【課題】安定したエマルジョン燃料とすることができ長期間の貯蔵を可能とし、しかもガソリンを原料としたエマルジョン燃料を製造する。

【構成】液体の攪拌流を発生させる攪拌工程及び液体をセラミック成形体の多孔を通過させることによりエマルジョンとする乳化工程を備え、攪拌工程及び乳化工程を循環している石油系液体燃料に対し、水を供給した後、非イオン界面活性剤、液状アルコール、油剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Aを供給し、その後、陰イオン界面活性剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Bを供給し、これらの混合液を前記攪拌工程及び乳化工程の間で複数回循環させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油系液体燃料20〜70重量%、水5〜70重量%、界面活性剤1〜10重量%、アルカリ水3〜15重量%、液状アルコール0.05〜0.5重量%及び油剤0.03〜0.3重量%を主成分とし、セラミック成形体の多孔を通過することにより乳化されたW/O型エマルジョンとなっていることを特徴とするエマルジョン燃料。
【請求項2】
前記石油系液体燃料はガソリンであることを特徴とする請求項1記載のエマルジョン燃料。
【請求項3】
前記界面活性剤は非イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載のエマルジョン燃料。
【請求項4】
請求項1〜3記載の液体が供給されると共に供給された液体に対して攪拌流を発生させる攪拌器と、微細な多孔を有したセラミック成形体からなり、前記攪拌器から供給された液体が内部に供給されて前記多孔を通過することによりエマルジョンを生成する乳化器と、乳化器と攪拌器との間で前記液体を循環させる循環路とを備えていることを特徴とするエマルジョン燃料の製造装置。
【請求項5】
液体の攪拌流を発生させる攪拌工程及び液体をセラミック成形体の多孔を通過させることによりエマルジョンとする乳化工程を備え、攪拌工程及び乳化工程を循環している石油系液体燃料に対し、水を供給した後、非イオン界面活性剤、液状アルコール、油剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Aを供給し、その後、陰イオン界面活性剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Bを供給し、これらの混合液を前記攪拌工程及び乳化工程の間で複数回循環させることを特徴とするエマルジョン燃料の製造方法。
【請求項6】
前記水は、微粒子化処理された後に供給されることを特徴とする請求項5記載のエマルジョン燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ボイラー等の燃料として用いられるエマルジョン燃料と、その製造装置並びに製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルジョン燃料は、一般的にW/O型(油中水型)のエマルジョンとなっている。このエマルジョン燃料はエンジン等の燃焼器内における高温雰囲気中で水粒子が微小爆発することにより水分子を囲んでいる燃料粒子(油粒子)がさらに細分化され、これにより燃料油と空気とが良好な混合状態となってこれらの接触面積が増大するため、燃料油が完全燃焼して排ガス中の煤や煤塵を低減させることが可能となっている。すなわち、1気圧の下で気化する水は約1700倍の体積に膨張するものであり、W/O型エマルジョン燃料に含まれる水粒子が瞬間的に沸騰し、気化して膨張することにより、周囲の油粒子を粉砕して吹き飛ばす微小爆発が起こり、この微小爆発によって燃料油の完全燃焼を行うものである。
【0003】
このようなエマルジョン燃料においては、空気比を低減させて燃焼できるため、低減した分だけの排ガスの持ち逃げ熱ロスがなくなる。又、燃焼用空気量が少なくなるため、燃焼ガスの燃焼器内での滞留時間が長くなり、熱交換が効率良く行われ熱損失を低減させることができる。さらには、エマルジョン燃料では、燃焼ガスが完全燃焼するため、NOxやSOxの発生量を抑制することができるメリットがある。
【0004】
かかるエマルジョン燃料は相溶性のない水及び油を用いるところから、界面活性剤を用いることにより界面張力を低下させて乳化する乳化処理が必須となっている。従来のエマルジョン燃料として、特許文献1には、沸点が130〜425℃の石油系液体燃料(すなわち軽油又は重油)70〜95重量%と、エタノール2〜25重量%と、水0.002〜0.8重量%に対し、アミン界面活性剤、エーテル界面活性剤等の界面活性剤5〜100重量%を混合して乳化することが記載されている。又、特許文献2には、ディーゼル油70重量%に対し、25重量%以下の水を混合し、50重量%以下の界面活性剤を用いて乳化することが記載されている。さらに、特許文献3には、石油系液体燃料として重油、軽油を用い、この燃料に界面活性剤を用いて水道水を乳化する際に超音波振動を加えることが記載されている。
【特許文献1】特表2004−515641公報
【特許文献2】特表2005−504875公報
【特許文献3】特開2001−13964公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のエマルジョン燃料では、以下に示す問題点を有している。
【0006】
(1)エマルジョンとしての安定性が小さいため、常温下で数日程度しかエマルジョンの形態を保持することができない。従って、長期間貯蔵した場合には、油水分離して使用不可能となる。
(2)重油、軽油に対する乳化は可能であるが、ガソリンに対しての乳化が困難となっている。このため、ガソリンの乳化に際しては、大がかりな設備が必要であるばかりでなく、界面活性剤の量も多く必要となりコストが高騰する原因となり実用的とはならない。さらには、このようにガソリンを乳化しても極めて不安定な乳化状態しか得られない。このようなことから、エマルジョン燃料としては、ディーゼルエンジン、ボイラー等へ適用されるだけであり、自動車に搭載されているガソリンエンジンへ適用することはできず、適用範囲が狭いものとなっている。又、
(3)エマルジョン燃料への初期点火ができない。このため、エマルジョン燃料の使用に際しては、当初に重油、軽油を燃焼させてエンジン、ボイラー等を駆動し、駆動が安定して時点でエマルジョン燃料に切り替えているのが現状であり、純粋の燃料としては未完成の段階である。
【0007】
本発明は、以上のような従来の問題点を考慮してなされたものであり、安定したエマルジョン状態とすることができ長期間の貯蔵が可能であるばかりでなく、重油のみならず、特にガソリンを乳化することができてガソリンエンジン用燃料としての適用ができ、さらには、初期点火も可能で使用上便利なエマルジョン燃料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明のエマルジョン燃料は、石油系液体燃料20〜70重量%、水5〜70重量%、界面活性剤1〜10重量%、アルカリ水3〜15重量%、液状アルコール0.05〜0.5重量%及び油剤0.03〜0.3重量%を主成分とし、セラミック成形体の多孔を通過することにより乳化されたW/O型エマルジョンとなっていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエマルジョン燃料であって、前記石油系液体燃料はガソリンであることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のエマルジョン燃料であって、前記界面活性剤は非イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明のエマルジョン燃料の製造装置は、請求項1〜3記載の液体が供給されると共に供給された液体に対して攪拌流を発生させる攪拌器と、微細な多孔を有したセラミック成形体からなり、前記攪拌器から供給された液体が内部に供給されて前記多孔を通過することによりエマルジョンを生成する乳化器と、乳化器と攪拌器との間で前記液体を循環させる循環路とを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明のエマルジョン燃料の製造方法は、液体の攪拌流を発生させる攪拌工程及び液体をセラミック成形体の多孔を通過させることによりエマルジョンとする乳化工程を備え、攪拌工程及び乳化工程を循環している石油系液体燃料に対し、水を供給した後、非イオン界面活性剤、液状アルコール、油剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Aを供給し、その後、陰イオン界面活性剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Bを供給し、これらの混合液を前記攪拌工程及び乳化工程の間で複数回循環させることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のエマルジョン燃料の製造方法であって、前記水は、微粒子化処理された後に供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエマルジョン燃料によれば、石油系液体燃料、水、界面活性剤、アルカリ水、液状アルコール、油剤を原料して用いており、セラミック成形体の多孔を通過させることにより安定したエマルジョンなっている。このため、長期間(例えば、1年以上)、油水分離することなく貯蔵することができる。また、エンジン始動の当初からの点火が可能であり、ガソリンや重油に代えて当初から燃料として使用することができる。さらには、本発明のエマルジョン燃料は、ガソリンに対して安定した乳化が可能であり、ガソリンエンジンへの適用が可能となる。
【0015】
本発明のエマルジョン燃料の製造装置によれば、攪拌器及びセラミック成形体からなる乳化器を備え、これらの間を循環させることにより乳化を行う構造であるため、簡単な構造であり、小型とすることができる。このため、自動車に大規模な改造を行うことなく、そのエンジンに組み込んで使用することができ、汎用性のあるものとすることができる。
【0016】
本発明のエマルジョン燃料の製造方法によれば、石油系液体燃料に対して水を供給した後、非イオン界面活性剤、液状アルコール、油剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Aを供給し、その後、陰イオン界面活性剤及びアルカリ水を主体とした添加剤Bを供給する手順を行うため、安定したW/O型のエマルジョン燃料を製造することができる。又、乳化に際し、セラミック成形体の多孔を通過させながら循環させるため、エマルジョン粒子を1μm以下に細粒化することができる。これにより、製造されたエマルジョン燃料は、長期間油水分離することなく貯蔵でき、ガソリンを原料と場合であっても、安定したエマルジョン燃料とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のエマルジョン燃料は、石油系液体燃料、水及び界面活性剤、アルカリ水、液状アルコール、油剤を主成分として含有するものである。
【0018】
石油系液体燃料としては、重油、軽油、ガソリンをそれぞれ単独で使用するものである。本発明では、後述するように従来よりエマルジョン燃料として用いられている重油、軽油だけでなく、エマルジョン燃料の原料として困難とされていたガソリンを用いることができる点に特徴がある。すなわち、本発明は、ガソリンを石油系液体燃料として用いても、安定した乳化ができ、長期間の保存が可能となるものである。ガソリンを始めとした石油系液体燃料としては、20〜70重量%の配合割合で用いられる。ここで、石油系液体燃料としてガソリンを用いる場合には、30〜60重量%の配合割合が良好であり、従来のエマルジョン燃料に比べて使用割合を少なくすることが可能となる。
【0019】
水は入手が容易な水道水を用いることができ、5〜70重量%の配合割合、好ましくは20〜60重量%の配合割合で用いられる。本発明において、このように石油系液体燃料に対する水の配合比を多くしても、完全燃焼が可能であると共に燃焼効率が低下することがない。さらには、これは本発明のW/O型のエマルジョン粒子が1μm或いはそれ以下であり、エンジン等の燃焼炉内でエマルジョン粒子への熱伝達が高速且つ確実に行われるためである。このように水の配合比が多くなることにより、相対的に石油系液体燃料の配合比を少なくすることができるため燃費を抑制することができる。
【0020】
界面活性剤としては1〜10重量%の配合割合で用いられる。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤が用いられる。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル系やソルビタンモノヤシ油、ソルビタンモノステアレート或いはポリオキシエチレン(POE)ラノリン等の内の一種又は複数を選択することができる。石油系液体燃料としてガソリンを用いる場合においては、ポリオキシ脂肪酸エステル或いはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の石油系界面活性剤を用いることが良好である。
【0021】
陰イオン界面活性剤としては、商品名「リポランPB−800」(ライオン株式会社)で代表されるα−オレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ジメチコンポリオール、ショ糖脂肪酸エステルの一種又は複数を選択することができる。石油系液体燃料としてガソリンを用いる場合には、陰イオン界面活性剤として、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩を用いることが良好である。
【0022】
以上の界面活性剤の配合割合は、用いる石油系液体燃料の種類及び配合比さらには水の配合比によって上記配合割合の範囲内で決定されるものである。又、エマルジョン燃料の製造に際し、非イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤は、同時に使用されるものではなく、まず非イオン界面活性剤を混合し、その後に陰イオン界面活性剤を混合するものである。
【0023】
アルカリ水としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水溶液、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の水溶液、さらにはこれらの混合液を用いることができる。これらのアルカリ水を用いることにより、上述した水をイオン水とすることができ、乳化を容易に行うことが可能となる。アルカリ水の配合割合としては3〜15重量%、好ましくは8〜12重量%とすることができる。
【0024】
液状アルコールはガソリンエンジンの水抜き剤として用いられるものであり、本発明ではこの液状アルコールをエマルジョン燃料に配合することによりガソリンエンジンにおいても水抜き剤を用いる必要がなくなる。この液状アルコールとしては、イソプロピルアルコール(IPA)、無水エタノール、メタノール等の低分子アルコールの内の一種又は複数を用いることができる。液状アルコールの配合割合は、0.05〜0.5重量%の範囲内で適宜選択される。
【0025】
油剤としては、親水性ワセリン、グリセリン、白色ワセリン、オリーブオイル、アボカドオイル、レシチン、シリコーンオイル等の内の一種又は複数を用いることができる。石油系液体燃料としてガソリンを用いる場合においては、親水性ワセリンを用いることが良好である。油剤の配合割合は、0.03〜0.3重量%の範囲内で任意に選択することができる。
【0026】
本発明におけるエマルジョン燃料の製造方法は、ガソリン等の石油系液体燃料、水及び上述した添加剤を攪拌しながらセラミック成形体の多孔を通過させることにより行われる。この場合、まず、ガソリン等の石油系液体燃料を循環させた状態で水を混合し、その後、非イオン界面活性剤を含む添加剤Aを混合し、その後にイオン界面活性剤を含む添加剤Bを供給するものである。
【0027】
添加剤Aはポリオキシ脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤及び上述した液状アルコール、油剤、アルカリ水を主体とした混合液である。添加剤Bはα−オレフィンスルホン酸塩及びアルカリ水を主体とした混合液である。すなわち、本発明の製造方法は、まず非イオン界面活性剤を主体とした添加剤Aにより第1段の乳化を行い、次に陰イオン界面活性剤を主体とした添加剤Bを加えて第2段の乳化を行うものである。これに加えて、本発明では、これらの混合液をセラミック成形体の多孔を複数回通過するように循環させるものであり、これにより粒子径が小さく、安定した乳化状態のW/O型のエマルジョン燃料を作製することが可能となる。
【0028】
図1は本発明の一実施形態における製造装置1を示し、攪拌器2と乳化器3とが横並び状に連設されており、これらが循環容器4内に配置されている。
【0029】
攪拌器2は上部に入口2aが開口されており、内部には撹拌羽根5が回転可能に設けられている。撹拌羽根5はモータ6の回転軸6aに取り付けられており、モータ6の駆動により攪拌器2内で高速回転する。7はモータ6を回転させる電力を供給する直流電源である。攪拌器2内に導入された液体は撹拌羽根5の高速回転により攪拌され攪拌流となって排出されて乳化器3に導入される。
【0030】
乳化器3は微細な多孔を有したセラミック成形体によって形成されている。セラミック成形体としては、例えば、玄武岩、鉄鉱石、ゼオライト、粘土等をベースにした有底の筒状体となっており、有底の筒状体に成形された後、素焼き或いは仮焼結されることにより多孔を有した状態となっている。セラミック成形体に形成されている多孔としては、その径が1.0〜5.0μmであり、且つ気孔率70%以上が好ましい。かかる乳化器3は一側の導入口3aを攪拌器2の出口2bに連結されることにより攪拌器2からの液体を受け入れる。乳化器3内に導入された液体は、撹拌羽根5の回転に基づいた攪拌流となっているため、セラミック成形体の多孔内で押されながら多孔内を移動する。この多孔内の移動中に、液体はさらに混合されて乳化されてエマルジョンになると共に、微粒子化され、その後、多孔を通じてセラミック成形体の外側に排出される。
【0031】
循環容器4は攪拌器2及び乳化器3の外側を包むように設けられており、乳化器3から排出されたエマルジョンが再度、攪拌器2に入り込むように案内する。従って、この製造装置1では、乳化したエマルジョンが攪拌器2及び乳化器3を複数回循環するようになっており、この循環によってさらに乳化が進行すると共に微粒子化される。所定回数循環したエマルジョン燃料は、循環容器4における乳化器3の下流側に設けられた排出口13から取り出されてエンジン等の燃焼器に供給される。
【0032】
図1において、8はガソリン等の石油系液体燃料の入口、9は水の入口、10は添加剤A,Bの入口であり、循環容器4における乳化器3との反対側に設けられている。なお、循環容器4における攪拌器2の入口2aとの対向部分には、仕切板11が垂下するように設けられている。この仕切板11は乳化前の石油系液体燃料、水、添加剤A,Bの流れと、乳化器3で乳化されたエマルジョンの流れとが衝突することなく円滑に攪拌器2内に導入するためのものである。
【0033】
次に、上述した製造装置1を用いてガソリンのエマルジョン燃料を製造する手順を説明する。モータ6は67Wの出力のものを使用する使用することができ、12V程度の直流電圧によって駆動する。このモータ6の駆動により撹拌羽根5は1750rpmの回転数で高速回転する。撹拌羽根5の高速回転により、攪拌器2内では0.18Kpaの流体圧が発生する。この流体圧により、循環容器4内では13.7リットル/分の流量で液体が流れる。
【0034】
ポリオキシ脂肪酸エステルを25重量部、IPAを10重量部、親水性ワセリンを1.5重量部、水酸化カルシウムからなるアルカリ液を65重量部混合して全体として100重量部の添加剤Aを作製する。一方、商品名「リポラン」を2.5重量部、アルカリ水を10重量部混合して全体として100重量部の添加剤Bを作製する。さらに、水として水道水を用い、この水道水にトルマリン鉱石を浸漬させ、しばらく放置することにより水道水を微粒子化処理する。
【0035】
エマルジョン燃料の配合割合として、市販のガソリンが50重量%、微粒子化した水道水が40重量%、添加剤Aが6重量%、添加剤Bが4重量%であり、全体として1リットルのエマルジョン燃料を製造するように調整する。
【0036】
図2は図1の製造装置1によってエマルジョン燃料を製造する際のタイミングチャートを示す。まず、時刻T1では電源7によってモータ6を駆動し、撹拌羽根5を高速回転させる。この状態で50重量%に相当する量のガソリンを入口8から循環容器4内に導入する。時刻T1に続く時刻T2では、微粒子化した水を40重量%に相当する量となるように入口9から循環容器4内に導入する。その後の時刻T3では、6重量%に相当する量の添加剤Aを入口10から循環容器4内に導入する。これらの導入された液体は、攪拌流に沿って移動するため、攪拌器2から乳化器3に入り込み、乳化器3の多孔を通過する際に乳化及び微粒子化される。
【0037】
時刻T3に続く時刻T4では、4重量%に相当する量の添加剤Bを入口10から循環容器4内に導入する。これにより、全ての原料が循環容器4内に導入される。そして、全ての原料は撹拌羽根5の高速回転により攪拌された後、乳化器3に導入され、セラミック成形体の多孔を通過し、多孔を通過する際に乳化及び微粒子化されてエマルジョン燃料となる。さらに、このエマルジョン燃料はセラミック成形体の多孔から抜け出た後、循環容器4内を逆方向に流動して再度、攪拌器2内で攪拌され、その後、乳化器3の多孔を通過し、再度の乳化及び微粒子化が行われる。以上の循環を少なくとも3回行うことにより、粒径1μm以下の安定したW/O型のエマルジョン燃料を製造することができる。
【0038】
以上のように製造されたエマルジョン燃料においては、熱交換の効率が良く、熱損失を低減させることができ、燃焼ガスが完全燃焼するため、NOxやSOxの発生量を抑制することができるというエマルジョン燃料本来の長所を有しているばかりでなく、ガソリンを原料としたエマルジョン燃料とすることができる。又、ガソリン等の燃料の使用量が少ないことから、界面活性剤の量も同様に少なくなり安価とすることができる。さらには、微粒子化された安定したW/O型エマルジョンなっているため、1年以上油水分離することなく長期間の貯蔵を行うことができる。また、エンジン始動の当初からの点火が可能であり、ガソリンに代えて当初から燃料として使用することが可能となる。
【0039】
図3は、本発明の製造装置1を自動車における既存のガソリンエンジンに組み込んだ実施形態を示す。同図において21は水タンクであり、トルマリン22が内部に充填されており、水の微粒子化処理を行うようになっている。この場合、トルマリンに代えて、ゼオライト、麦飯石、イオン交換樹脂、知恵貴石、活性炭を使用しても良い。23は添加剤Aのタンク、24は添加剤Bのタンクである。これらのタンクには、それぞれ流量センサ25,26,27が接続され、流量センサ25,26,27がポンプ28,29,30に接続されている。
【0040】
水タンクのポンプ28は製造装置1の入口9に連結され、添加剤Aのタンク23及び添加剤Bのタンク24のポンプ29,30は製造装置1の入口10に連結されている。31は車載の燃料タンクであり、調整バルブ32を介して製造装置1の入口8に連結されている。製造装置1はキャブレター34を介してガソリンエンジン35に連結されており、製造したエマルジョン燃料をキャブレター34を介してガソリンエンジン35に供給する。
【0041】
図3に示すように、ポンプ28,29,30及び製造装置1がコントローラ45に接続されており、水、添加剤A及びBの供給量及び製造装置1におけるモータの回転数は使用するガソリンの量に合わせて制御されるようになっている。このように製造装置1を車載のガソリンエンジンに連結する場合には、個々の自動車に合わせた最適なエマルジョン燃料を作製することができ、作製したエマルジョン燃料をそのエンジンに供給することができるため、自動車に合わせた仕様を行うことができる。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
ポリオキシ脂肪酸エステル25重量%、IPA10重量%、親水性ワセリン1.5重量%、水酸化カルシウム溶液からなるアルカリ水63.5重量%を混合して添加液Aを1リットル作製した。又、商品名「リポラン」からなる界面活性剤2.5重量%を水酸化カルシウム溶液からなるアルカリ水に混合して添加剤Bを1リットル作製した。さらに、水道水1リットルに対して450gのトルマリン鉱石を浸漬して微粒子化処理した水を作製した。
【0043】
図1に示す製造装置1に対しガソリンを供給し、以上の水、添加剤A及びBを図2に示すタイミングで供給し、製造装置1内を3回循環させることによりエマルジョン燃料を作製した。
【0044】
このエマルジョン燃料と、市販のガソリンとを用いてその消費量を比較した。使用したエンジンはヤンマー製造の「RO488」であり、排気量は113ccである。1時間稼働した後における1回目の消費量は、市販のガソリンが189cc、この実施例のエマルジョン燃料が199ccであり、2回目の消費量は市販のガソリンが200cc、この実施例のエマルジョン燃料が199ccであり、3回目の消費量は市販のガソリンが199cc、この実施例のエマルジョン燃料が200ccであった。これにより、この実施例のエマルジョン燃料は市販のガソリンと同程度の消費量となっていることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態の製造装置を示す断面図である。
【図2】製造手順を示すタイミングチャートである。
【図3】製造装置を車載のガソリンエンジンに組み込んだ場合のブロックズである。
【符号の説明】
【0046】
1 製造装置
2 攪拌器
3 乳化器
4 循環容器
5 撹拌羽根
6 モータ
7 電源
【出願人】 【識別番号】503416881
【氏名又は名称】森 幸信
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−13633(P2008−13633A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184831(P2006−184831)