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【発明の名称】 ガス化ガスの浄化方法及び浄化装置
【発明者】 【氏名】栗田 雅也

【要約】 【課題】ガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭の吸着能力を回復させるために活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物の有効利用を図ることのできるガス化ガスの浄化方法及び浄化装置を提供すること。

【解決手段】有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物をガス化炉2で熱分解してガス化ガスを得、このガス化ガスを改質炉4で酸素及び水蒸気と反応させて改質し、冷却装置5で冷却した後に、活性炭吸着塔1a、1bからなる活性炭式吸着装置1に通し、活性炭にガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着させるガス化ガスの浄化方法において、活性炭吸着塔1a、1bの活性炭に吸着した高沸点炭化水素化合物を活性炭から離脱させて回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉4で改質した後であって冷却装置5で冷却する前のガス化ガス中に吹き込む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物をガス化炉で熱分解してガス化ガスを得、このガス化ガスを改質炉で酸素及び水蒸気と反応させて改質し、冷却装置で冷却した後に、活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置に通し、活性炭にガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着させるガス化ガスの浄化方法において、
活性炭吸着塔の活性炭に吸着した高沸点炭化水素化合物を活性炭から離脱させて回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉で改質した後であって冷却装置で冷却する前のガス化ガス中に吹き込むことを特徴とするガス化ガスの浄化方法。
【請求項2】
高沸点炭化水素化合物を水蒸気とともに吹き込む請求項1に記載のガス化ガスの浄化方法。
【請求項3】
有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解してガス化ガスを得るガス化炉と、ガス化ガスを酸素及び水蒸気と反応させて改質する改質炉と、改質後のガス化ガスを冷却する冷却装置と、冷却後のガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着する活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置とを有するガス化ガスの浄化装置において、
活性炭吸着塔の活性炭から離脱させて回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉で改質した後であって冷却装置で冷却する前のガス化ガス中に吹き込む吹き込み装置を設けたことを特徴とするガス化ガスの浄化装置。
【請求項4】
吹き込み装置が、高沸点炭化水素化合物を水蒸気とともに吹き込む二流体式の噴霧ノズルである請求項3にガス化ガスの浄化装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックやバイオマス等の有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解して得られたガス化ガスの浄化方法及び浄化装置に関し、とくに活性炭吸着塔を用いたガス化ガスの浄化方法及び浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全とくに地球温暖化防止の一環として、エネルギーの有効利用が改めて注目されるなかで、廃プラスチックやバイオマス等の有機性廃棄物の持つエネルギーを有効利用する方法として、有機性廃棄物を熱分解し可燃性ガスを得る、いわゆるガス化が注目を集めている。
【0003】
ところが、ガス化によって得られた可燃性ガス、すなわちガス化ガスには有機性廃棄物に含まれる塩素分に起因するダイオキシンが含まれているので、ガス化ガスの利用にあたってはダイオキシンの除去が必要である。また、有機性廃棄物のガス化ガスにはダイオキシンのほか、タール分や軽質油分等の常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物(本願明細書では単に「高沸点炭化水素化合物」という。ここで、「高沸点炭化水素化合物」の沸点は概ね60℃以上である。)が含まれている。これらの高沸点炭化水素化合物は、沸点以下の温度でも高い蒸気圧を持ち、冷却等によって除去することが難しく、ガス中に残存する高沸点炭水素化合物は、ガス化ガスの温度が低下すると凝縮し、ガス配管やその付帯設備に付着して設備トラブルを引き起こす原因となる。したがって、ダイオキシンとともにガス化ガス中から除去する必要がある。
【0004】
従来、ガス中のダイオキシンを除去する技術として、特許文献1には、ダイオキシンを触媒層により分解し、残分のダイオキシンを活性炭層により吸着するという技術が開示されている。しかし、この特許文献1の技術は、おもに可燃性物質を燃焼させた後の燃焼排ガスを処理対象とするものであり、特許文献1の技術を有機性廃棄物のガス化ガスの処理に適用すると、触媒層ではダイオキシン以外の炭化水素ガスも分解され煤が発生するので、すぐに閉塞し失活する。また、活性炭層ではダイオキシン以外に上述の高沸点炭化水素化合物が吸着され、活性炭の活性を持続させることができない。持続させるためには、常に新しい活性炭を使用する必要があり、運転費が高くなる。
【0005】
また、特許文献2には、バグフィルター等の集塵装置を設け、その上流側で粉末状の活性炭を吹き込み、バグフィルターのろ布表面上に活性炭層を形成し、その活性炭にダイオキシンを吸着させるという技術が開示されている。しかし、この特許文献2の技術においても、これを有機性廃棄物のガス化ガスの処理に適用すると、ガス化ガスに含まれる上述の高沸点炭化水素化合物によって目詰まり等のトラブルが発生し、安定的な運転を継続することができない。
【0006】
一方、特許文献3及び特許文献4には、排気ガス中の溶剤等の炭化水素、軽質油分を除去するために活性炭を用いた浄化技術が開示されている。しかし、活性炭により有機性廃棄物のガス化ガスに含まれる軽質油分を除去する場合には、ガスの原料が廃棄物であることから原料の性状が安定しないのでガス浄化の制御が難しく、また、ガス化ガス中には軽質油分だけでなくタール分が含まれるので、タール分を含むガスを活性炭で浄化すると、タール分が活性炭から離脱しにくいため、活性炭の寿命が短くなる。
【0007】
また、特許文献5及び特許文献6には、バイオマスを熱分解して得られたバイオマスガス(ガス化ガス)を活性炭を用いて浄化する技術が開示されている。しかし、この技術ではガス処理温度が高く、分子量が大きくて沸点の高いタール分を吸着除去することは可能であるが、分子量が小さくて沸点が比較的低く、高揮発性であって、常温常圧で液状の炭化水素化合物、いわゆる軽質油分を吸着除去することはできない。軽質油分はガス利用の際に、配管中で冷却され、ドレン化する。このドレンは揮発性のきわめて高い引火性油であるため取り扱いが難しい。
【0008】
また、性状の均一なバイオマス以外を原料としたガス化ガスの場合、タール分の発生量及び性状が変化し、活性炭吸着層が閉塞したり、軽質油分がガス利用設備に流れ、トラブルとなる可能性がある。とくに廃プラスチック、石炭等の化石燃料、あるいは化石燃料を原材料とする固体有機物をガス化する場合には、タール分及び軽質油分の量が多く、上記技術による手法では十分な浄化を行うことができない。
【0009】
このように、従来、活性炭を用いてガスを浄化する技術は種々提案されているが、高沸点炭化水素化合物とくにタール分及び軽質油分を多く含むガス化ガスを浄化する場合、上述のような問題があり、活性炭を用いたガス化ガスの浄化技術は確立されていない。
【0010】
これに対して、活性炭を用いないガス化ガスの浄化技術も提案されている。例えば特許文献7には、有機性廃棄物をガス化後、酸素及び水蒸気と反応させ、1100℃程度の高温での改質反応により、ガス化ガス中のタール分や軽質油分を低減させる技術が提案されている。しかし、このような改質反応を用いたガスの浄化技術では、改質反応に必要な熱源を得るためにガス化ガスの部分燃焼が必要となり、ガス化ガスの持つエネルギーを消費されガスカロリーが低下するという問題がある。また、改質反応に用いる酸素の製造にエネルギーを多く必要とし、廃棄物処理に必要な総エネルギーが大きくなりすぎる。
【0011】
他のガス洗浄技術としては、コークス炉ガスの浄化技術に見られるように、低温下でガスを油で洗浄し、ガス中のタール分及び軽質油分等を除去する技術がある。しかし、この技術では、低温下で洗浄を行うにあたり冷熱源を得るためにエネルギーが必要である。また、洗浄後の排水に高度な処理が必要となり、さらに油を再生する工程等が必要となり、再生時に発生するガスの処理等、設備が複雑になる傾向にある。また、ガスの洗浄によってはダイオキシンを除去することはできない。
【0012】
このように、ガス中のダイオキシン及びタール分、軽質油分等の高沸点炭化水素化合物を同時に除去してガスを浄化するには、やはり活性炭を用いて乾式処理することが有用かつ簡便であり、活性炭を用いたガス化ガスの浄化技術の確立が望まれている。
【0013】
一方で、有機物を熱分解し可燃性のガス化ガスを得る場合、ガス化ガスの利用にあたってはメタン等の炭化水素ガスを残し、ガスのカロリーを高く保つことが望ましい。但し、その場合、タール分及び軽質油分が副生しガス利用の妨げとなる。したがって、この点からもガス化ガス中のタール分及び軽質油分を除去する浄化技術の確立が望まれている。
【0014】
活性炭を用いてガス化ガス中のタール分及び軽質油分を主体とする高沸点炭化水素化合物を安定的に除去するには、高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭から定期的に高沸点炭化水素化合物を離脱させて活性炭の吸着能力を回復させる必要がある。したがって、活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物の回収及び処理が必要となるが、エネルギーの有効利用の点から、回収した高沸点炭化水素化合物を単に廃棄処理するのではなく、エネルギーとして有効利用できるようにすることが望ましい。
【特許文献1】特開2003−112012号公報
【特許文献2】特開平11−230529号公報
【特許文献3】特開平9−215908号公報
【特許文献4】特開2005−66503号公報
【特許文献5】特開2006−16469号公報
【特許文献6】特開2006−16470号公報
【特許文献7】特開2004−238535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、総括的には、活性炭を用いたガス化ガスの浄化技術を確立することにある。
【0016】
具体的には、ガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭の吸着能力を回復させるために活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物の有効利用を図ることのできるガス化ガスの浄化方法及び浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物をガス化炉で熱分解してガス化ガスを得、このガス化ガスを改質炉で酸素及び水蒸気と反応させて改質し、冷却装置で冷却した後に、活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置に通し、活性炭にガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着させるガス化ガスの浄化方法において、活性炭吸着塔の活性炭に吸着した高沸点炭化水素化合物を活性炭から離脱させて回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉で改質した後であって冷却装置で冷却する前のガス化ガス中に吹き込むことを特徴とする。
【0018】
このガス化ガスの浄化方法を実施するため、本発明のガス化ガスの浄化装置は、有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解してガス化ガスを得るガス化炉と、ガス化ガスを酸素及び水蒸気と反応させて改質する改質炉と、改質後のガス化ガスを冷却する冷却装置と、冷却後のガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着する活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置とを有するガス化ガスの浄化装置において、活性炭吸着塔の活性炭から離脱させて回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉で改質した後であって冷却装置で冷却する前のガス化ガス中に吹き込む吹き込み装置を設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明では、代表的には有機性廃棄物として廃プラスチック、又は固体有機物として石炭をガス化する。
【0020】
有機性廃棄物又は固体有機物のガス化ガス中には、ダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物が含まれる。また、高沸点炭化水素化合物としては、ナフタレン、アントラセン等のタール分(炭素原子数が10以上の高分子炭化水素化合物)とベンゼン、トルエン、キシレン等の軽質油分(炭素原子数が10未満の低分子炭化水素化合物)が含まれる。これらのダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物は、ガス化ガスの有効利用にあたり除去する必要があるが、本発明では、上述のように、活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置によって、有機性廃棄物又は固体有機物のガス化ガス中に可燃性ガスとともに含まれるダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物を除去する。
【0021】
すなわち、活性炭吸着塔に充填されている活性炭には表面に無数の細孔が開いており、この細孔にダイオキシン及び高分子炭化水素化合物の分子が入り込むことで吸着されガス化ガスから除去される。
【0022】
一方、活性炭に高分子炭化水素化合物が吸着すると、活性炭の細孔が閉塞し吸着能力が低下するので、定期的に活性炭から高沸点炭化水素化合物を離脱させて活性炭の吸着能力を回復させる必要がある。この活性炭の吸着能力の回復は、例えば、活性炭吸着塔に蒸気を通し、活性炭の細孔に吸着していた高沸点炭化水素化合物を気化離脱させることによって行う。また、活性炭吸着塔内の圧力を下げ、キャリアガスを通すことで、活性炭の細孔に吸着していた高沸点炭化水素化合物を気化離脱させることによって行うこともできる。
【0023】
そして、本発明では、活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物を回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を、改質後のガス化ガスの冷却材及びガス化ガスの原料として有効利用する。
【0024】
ガス化ガスの改質は800〜1100℃程度の高温で行われるため、改質後のガス化ガスは、これを活性炭式吸着装置に通す前に冷却する必要がある。そこで、従来、水噴霧式の冷却装置が使用されているが、冷却の過程でガス化ガスの持つ顕熱が水に吸収され大気に放散されるので、ガス化ガスの持つ熱量が有効利用できていなかった。
【0025】
これに対して、本発明では、回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉で改質した後であって冷却装置で冷却する前のガス化ガス中に吹き込む。炭化水素化合物が燃焼する場合、炭化水素化合物は熱分解によってメタン等の低分子炭化水素化合物を経て一酸化炭素、水素等に低分子化され、この低分子化された分子が酸素と反応し燃焼する。この熱分解は吸熱反応であるため、熱分解に必要な熱を供給する必要があり、従来は炭化水素化合物自体の燃焼熱を利用していたため、炭化水素化合物の持つ化学エネルギーのすべてを熱に変換できていなかった。これに対して、本発明では、熱分解に必要な熱として改質後のガス化ガスの持つ顕熱を利用する。これによって、高沸点炭化水素化合物の持つエネルギーを消費することなく低分子化でき、全エネルギーをガス化ガスとして取り出すことができる。言い換えれば、従来、大気放散されていた改質後のガス化ガスの持つ顕熱を有効利用することができる。また、顕熱が消費されることでガス化ガスは冷却されるので、その後の冷却装置の負荷を軽減することもできる。
【0026】
図4は、上述の説明を模式的に示したものである。炭化水素化合物の熱分解に必要な熱として従来は炭化水素化合物の持つエネルギーを消費していたため、熱分解に必要な熱の分だけ未利用のエネルギーとなっていたが、本発明では、熱分解に必要な熱として改質後のガス化ガスの顕熱を利用するので、炭化水素化合物の持つ全エネルギーを利用することができる。
【0027】
本発明において高沸点炭化水素化合物の吹き込みは、改質炉と冷却装置とを接続するダクトの途中で行ってもよいし、改質炉と冷却装置との間に反応炉を設け、その反応炉の入口で行ってもよい。反応炉を設けると、滞留時間を十分にとった上で高沸点炭化水素化合物の熱分解を行うことができる。
【0028】
また、吹き込みに使用する吹き込み装置としては、一流体式又は二流体式の噴霧ノズルを使用することができる。ただし、一流体式の噴霧ノズルでは噴霧する液滴径が大きくなるため、噴霧された高沸点炭化水素化合物の反応に必要な滞留時間が長くなり、ダクトを長くしたり反応炉を大きくしたりする必要がある。一方、二流体式の噴霧ノズルを使用すると液滴径を小さくできるが、噴霧用のガスに酸素が含まれている場合、逆火等の危険性があるため、噴霧用のガスには不活性ガス又は水蒸気の使用が必要である。この場合、水蒸気を使用して高沸点炭化水素化合物を水蒸気とともに吹き込むことが好ましい。水蒸気を使用すると、次式(1)の熱分解反応過程で余剰となった炭素分が水蒸気と反応して次式(2)、(3)のとおり水素と一酸化炭素が生成され、ガス化効率が向上する。これらの反応は温度により進行具合が決まる。
【0029】
→ XCH+YH+ZC …(1)
CH+HO → CO+3H …(2)
C+HO → CO+H …(3)
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭の吸着能力を回復させるために活性炭から離脱させ回収した高沸点炭化水素化合物を、改質炉で改質した後のガス化ガスの顕熱を利用して熱分解することで、回収した高沸点炭化水素化合物の有する全エネルギーをガス化ガスとして取り出すことができ、そのエネルギーを有効に利用することができる。また、改質後のガス化ガスの顕熱も有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明の第1実施例を示す装置構成図である。
【0033】
図1において、活性炭式吸着装置1は2塔の活性炭吸着塔1a、1bからなる。有機性廃棄物をガス化するガス化炉2で得られたガス化ガスは、ガス化ガス供給本管3を通り、改質炉4及び冷却装置5を経た後に、それぞれ活性炭吸着塔1a、1bに通じるガス化ガス供給支管3a、3bを通り、活性炭吸着塔1a、1bにその下部から導入される。
【0034】
活性炭吸着塔1a、1bにガス化ガスが導入されると、ガス化ガス中のダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物が活性炭吸着塔1a、1b内の活性炭に吸着され、その後、ガス化ガスは、活性炭吸着塔1a、1b上部に接続されたガス化ガス排出支管6a、6bから排出され、ガス化ガス排出本管6に合流し、ガス利用設備7まで搬送される。ガス化ガスの具体的な利用先としては、加熱炉、コークス炉等の工業炉用の燃料、ガスエンジンやガスタービン用の燃料、ボイラ燃料、熱風炉用の燃料等が挙げられる。
【0035】
ガス化ガス供給支管3a、3b及びガス化ガス排出支管6a、6bには、それぞれ開閉弁3c、3d及び開閉弁6c、6dが設けられている。また、それぞれの活性炭吸着塔1a、1bには、上部に蒸気供給本管8から分岐した蒸気供給支管8a、8bが接続され、下部に廃蒸気排出支管9a、9bが接続されている。蒸気供給支管8a、8b及び廃蒸気排出支管9a、9bには、それぞれ開閉弁8c、8d及び開閉弁9c、9dが設けられている。
【0036】
なお、ガス化炉2としては、シャフト炉、ロータリーキルン炉、流動床炉、固定床炉、噴流炉等、各種の炉を使用することができる。また、ガス化炉2の加熱方式としては、生成したガス化ガスを一部燃焼させて熱源とする部分燃焼方式と、外部熱源を使用する外熱方式のいずれでもよい。
【0037】
また、改質炉4は、ガス化炉2で得られたガス化ガスを800〜1100℃程度で酸素及び水蒸気と反応させる改質反応により、ガス化ガス中の過剰なタール分や軽質油分を低減させるものである。
【0038】
冷却装置5は、改質後の高温のガス化ガスを冷却するもので、実施例では水噴霧式の冷却塔を使用している。この冷却装置5において水は循環され、その途中の熱交換器5aによって吸収した熱は大気放散される。
【0039】
操業条件としては、活性炭吸着塔1a、1bに導入するガス化ガスのガス温度は冷却装置5によって100℃以下とすることが好ましい。ガス温度が100℃超ではガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物の蒸気圧が高くなり、活性炭による吸着力よりも揮発力が高くなり、吸着能力が十分に確保できない。ガス温度は好ましくは60℃以下とする。ただし、ガス温度を20℃以下にしようとすると、例えば、ガス化ガスの冷却に必要な冷却水の温度を冷却塔等の一般的な設備で得ることができなくなり、冷凍機が必要となる。冷凍機の利用は設備コスト及びランニングコストにおいて大きな負担となるため好ましくない。また、活性炭吸着塔の吸着能力回復のために導入する蒸気の温度は、80〜300℃とする。
【0040】
以上の構成において、操業開始時には、両方の活性炭吸着塔1a、1bにガス化ガスを通ガスし、その後、いずれかの活性炭吸着塔の吸着能力が低下したら、あるいはガス化ガスの通ガスから所定の時間が経過したら、吸着能力の低下したいずれか一方の活性炭吸着塔へのガス化ガスの通ガスを遮断する。
【0041】
例えば、活性炭吸着塔1aへの通ガスを遮断する場合、ガス化ガス供給支管3aの開閉弁3c及びガス化ガス排出支管6aの開閉弁6cを閉にする。そして、蒸気供給支管8aの開閉弁8c及び廃蒸気排出支管9aの開閉弁9cを開にして、活性炭吸着塔1aに蒸気を通ガスして吸着能力を回復させる。吸着能力が回復したら、蒸気供給支管8aの開閉弁8c及び廃蒸気排出支管9aの開閉弁9cを閉にするとともに、ガス化ガス供給支管3aの開閉弁3c及びガス化ガス排出支管6aの開閉弁6cを開にしてガス化ガスの通ガスを再開する。
【0042】
その後、もう一つの活性炭吸着塔1bの吸着能力が低下したら、活性炭吸着塔1aの場合と同様に、ガス化ガスの通ガスを遮断後、蒸気を通して吸着能力を回復させ、その後、ガス化ガスの通ガスを再開する。この実施例では、このような操作を繰り返すことで、吸着能力を維持しつつ連続的にガス化ガスの浄化処理を行うことができる。
【0043】
上述の活性炭吸着塔の吸着能力回復に際しては、蒸気の通ガスによって活性炭に吸着していた高沸点炭化水素化合物が気化離脱し、廃蒸気として回収される。この高沸点炭化水素化合物を含む廃蒸気あるいは廃蒸気が凝縮した廃ドレンは、廃蒸気排出本管9を介して一旦、分離装置10に入れられ冷却等により廃蒸気は凝縮し、さらに高沸点炭化水素化合物は、水分から分離される。そして、分離装置10にて分離回収された高沸点炭化水素化合物は、液体の状態で貯留タンク11に一旦貯留され、その後、吹き込み用配管12を介して移送され、その先端の吹き込み装置13から、改質後で冷却前のガス化ガス中に吹き込まれる。実施例では、改質炉4と冷却装置5との間のガス化ガス供給本管3内に吹き込むようにしている。
【0044】
図2はその具体例を示す。図2では、高沸点炭化水素化合物の吹き込み装置13を改質炉4の出口近傍に配置している。また、冷却装置5の冷却水噴霧ノズル5bは冷却装置5の入口近傍に配置している。
【0045】
吹き込み装置13から吹き込まれた高沸点炭化水素化合物は、改質後のガス化ガスの顕熱によって熱分解され、ガス化ガスとなる。また、この熱分解反応は上述のとおり吸熱反応であるので、高沸点炭化水素化合物の熱分解により改質後のガス化ガスは冷却される。
【0046】
高沸点炭化水素化合物の吹き込み量は、ガス化炉の運転状態に応じて調整する。具体的には実施例では、ガス化ガス排出本管6にガス化ガスの量及び成分を計測するガスセンサ14を設けるとともに、吹き込み用配管12に流量調節弁15を設け、ガスセンサ14により計測したガス化ガスの量及び成分が所定の範囲内になるように制御装置16によって流量調節弁15を制御し、吹き込み装置13からの高沸点炭化水素化合物の吹き込み量を調整するようにしている。なお、高沸点炭化水素化合物のほかに軽油、重油、アルコール類を吹き込むこともでき、これらを高沸点炭化水素化合物と混合して吹き込むこともできる。
【実施例2】
【0047】
図3は本発明の第2実施例を示す装置構成図である。この実施例は、改質炉4と冷却装置5との間に反応炉17を設け、この反応炉17の入口に配置した吹き込み装置13から高沸点炭化水素化合物を吹き込み、反応炉17内で高沸点炭化水素化合物を熱分解してガス化するようにしたものである。
【0048】
このように反応炉17を設けると、滞留時間を十分にとった上で高沸点炭化水素化合物の熱分解を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施例を示す装置構成図である。
【図2】図1において高沸点炭化水素化合物を吹き込むための構成の具体例を示す。
【図3】本発明の第2実施例を示す装置構成図である。
【図4】炭化水素化合物の熱分解によるエネルギーの変化を模式的に示す。
【符号の説明】
【0050】
1 活性炭式吸着装置
1a、1b 活性炭吸着塔
2 ガス化炉
3 ガス化ガス供給本管
3a、3b ガス化ガス供給支管
3c、3d 開閉弁
4 改質炉
5 冷却装置
5b 冷却水噴霧ノズル
6 ガス化ガス排出本管
6a、6b ガス化ガス排出支管
6c、6d 開閉弁
7 ガス利用設備
8 蒸気供給本管
8a、8b 蒸気供給支管
8c、8d 開閉弁
9 廃蒸気排出本管
9a、9b 廃蒸気排出支管
9c、9d 開閉弁
10 分離装置
11 貯留タンク
12 吹き込み用配管
13 吹き込み装置
14 ガスセンサ
15 流量調節弁
16 制御装置
17 反応炉
【出願人】 【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成19年6月13日(2007.6.13)
【代理人】 【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益

【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人


【公開番号】 特開2008−308535(P2008−308535A)
【公開日】 平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願番号】 特願2007−155991(P2007−155991)