トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 熱分解ガスの洗浄方法並びにその装置
【発明者】 【氏名】山本 岳身

【氏名】毘舎利 淳

【氏名】増田 匠

【要約】 【課題】タールや炭化物等の捕集効率を高めるとともに、洗浄液の循環経路の閉塞を回避して稼働率を向上することのできる新規な熱分解ガスの洗浄方法並びにその装置の開発を技術課題とした。

【解決手段】樹脂系の産業廃棄物や石炭を熱分解して得られた熱分解ガスを、燃料として有効利用する際に行われる洗浄において、この洗浄は、熱分解ガス(被処理気体G)と洗浄液Lとを接触させることにより、熱分解ガス中に含まれるタールやダストDを除去するものであり、前記接触を、異なる温度に設定された洗浄液Lに対して段階的に複数回行うようにしたことを特徴として成り、凝固点の異なるタールを熱分解ガス中から段階的に除去することができ、一度に多種のタールが凝固してしまうのを回避して、洗浄液Lの循環経路の閉塞を回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂系の産業廃棄物や石炭を熱分解して得られた熱分解ガスを、燃料として有効利用する際に行われる洗浄において、この洗浄は、熱分解ガスと洗浄液とを接触させることにより、熱分解ガス中に含まれるタールやダストを除去するものであり、前記接触を、異なる温度に設定された洗浄液に対して段階的に複数回行うようにしたことを特徴とする熱分解ガスの洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄液を、高温、中温及び低温の三段階に設定することを特徴とする請求項1記載の熱分解ガスの洗浄方法。
【請求項3】
樹脂系の産業廃棄物や石炭を熱分解して得られた熱分解ガスを、燃料として有効利用する際に洗浄を行うための装置において、この装置は、熱分解ガスと洗浄液とを接触させることにより、熱分解ガス中に含まれるタールやダストを除去するものであり、前記熱分解ガスと洗浄液との接触を、異なる温度に設定された洗浄液に対して段階的に複数回行うようにするために、スクラバ装置を多段に具えて構成されたものであることを特徴とする熱分解ガスの洗浄装置。
【請求項4】
前記タールスクラバは、高温用、中温用及び低温用のものが三段階で具えられていることを特徴とする請求項3記載の熱分解ガスの洗浄装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は熱分解ガス等からタールや炭化物等を除去する方法並びに装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より図3に示すように、樹脂系の産業廃棄物や石炭等をガス化炉1′によってガス化して、プラントの熱源等として有効利用することが行われている。
この際、ガス化炉1′で発生した熱分解ガスたる被処理気体Gには、タールや炭化物等のダストDが含まれているため、スクラバ装置中において被処理気体Gにタール、軽油等の洗浄液Lを噴霧することにより、タールやダストDを除去することが行われている(例えば特許文献1参照)。
そしてこのような手法において洗浄液Lは循環使用されているが、回収されたタールは高粘性であり、更に洗浄液Lには固形物であるダストDが取り込まれるため、ノズルや配管経路が閉塞してしまうこととなり、詰まったダストの除去等のメンテナンス作業に非常に手間がかかってしまっていた。
もちろんノズルの前段部分にストレーナを設ける等の対策を施すことにより、ノズルの閉塞を回避することも可能であるが、ストレーナもいずれは閉塞してしまうため、装置を停止してのメンテナンス作業が必要であることには変わりはない。
【0003】
また前記熱分解ガスに含まれるタールは、凝固点の異なるものが多種混在しているものであり、熱分解ガスは洗浄液Lと接触することにより700℃程から50℃程にまで一気に冷却されることとなるため、これら凝固点の異なる多種のタールがまとめて凝固してしまい、その量も多大なものとなってしまっているため、このことが前記ノズルや配管経路を閉塞し易くすることの要因となっていた。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−106992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、熱分解ガスと洗浄液との接触を、異なる温度に設定された洗浄液に対して段階的に複数回行うことにより、タールや炭化物等の捕集効率を高めるとともに、洗浄液の循環経路の閉塞を回避して稼働率を向上することのできる新規な熱分解ガスの洗浄方法並びにその装置の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1記載の熱分解ガスの洗浄方法は、樹脂系の産業廃棄物や石炭を熱分解して得られた熱分解ガスを、燃料として有効利用する際に行われる洗浄において、この洗浄は、熱分解ガスと洗浄液とを接触させることにより、熱分解ガス中に含まれるタールやダストを除去するものであり、前記接触を、異なる温度に設定された洗浄液に対して段階的に複数回行うようにしたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、凝固点の異なるタールを熱分解ガス中から段階的に除去することができ、一度に多種のタールが凝固してしまうのを回避して、洗浄液の循環経路の閉塞を回避することができる。
【0007】
また請求項2記載の熱分解ガスの洗浄方法は、前記要件に加え、前記洗浄液を、高温、中温及び低温の三段階に設定することを特徴として成るものである。
この発明によれば、例えば熱分解ガスの温度が700℃程度であるような場合に、高温用の洗浄液を200〜250℃に設定し、中温用の洗浄液を100〜150℃に設定し、低温用の洗浄液を20〜50℃に設定することにより、各温度帯で凝固するタール量を調整することができる。
【0008】
また請求項3記載の熱分解ガスの洗浄装置は、樹脂系の産業廃棄物や石炭を熱分解して得られた熱分解ガスを、燃料として有効利用する際に洗浄を行うための装置において、
この装置は、熱分解ガスと洗浄液とを接触させることにより、熱分解ガス中に含まれるタールやダストを除去するものであり、前記熱分解ガスと洗浄液との接触を、異なる温度に設定された洗浄液に対して段階的に複数回行うようにするために、スクラバ装置を多段に具えて構成されたものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、凝固点の異なるタールを熱分解ガス中から段階的に除去することができ、一度に多種のタールが凝固してしまうのを回避して、洗浄液の循環経路の閉塞を回避することができる。
【0009】
更にまた請求項4記載の熱分解ガスの洗浄装置は、前記請求項3記載の要件に加え、前記タールスクラバは、高温用、中温用及び低温用のものが三段階で具えられていることを特徴として成るものである。
この発明によれば、例えば熱分解ガスの温度が700℃程度であるような場合に、高温用の洗浄液を200〜250℃に設定し、中温用の洗浄液を100〜150℃に設定し、低温用の洗浄液を20〜50℃に設定することにより、各温度帯で凝固するタール量を調整することができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タールや炭化物等の捕集効率を高めるとともに、洗浄液の循環経路の閉塞を回避することができるため、装置を長時間にわたって連続運転することが可能となり、生産性を高めるとともにランニングコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の熱分解ガスの洗浄方法並びにその装置について、図示の実施例に基づいて説明するものであるが、この実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例】
【0012】
図1に示すものが本発明の熱分解ガスの洗浄装置たるスクラバ装置5を具えて構成された熱分解ガス化システムSであり、このシステムは一例として、ガス化炉1、投入装置2、熱風炉3、スクラバ装置5、アルカリスクラバ6、ミストセパレータ7、ブロワ8及びガスホルダ9を具えて構成されるものであり、樹脂系の産業廃棄物や石炭等をガス化炉1によってガス化して可燃性の熱分解ガスを得て、燃料として有効利用するためのシステムである。
【0013】
まず前記ガス化炉1は、一例としてロータリーキルン型の装置を適用して成るものであり、内周面に複数のリフタ10aが具えられた回転ドラム10の両端に接続される蓋体に、投入口11、排出口12及び排ガス口13が形成されて成る。
また前記回転ドラム10はジャケット構造となっており、ジャケット外体10Aと回転ドラム10との間に熱風が供給されることにより、回転ドラム10内に投入された被処理物を加熱できるように構成されるものであり、熱風の給気口14及び排気口15がジャケット外体10Aに形成され、それぞれに熱風炉3、排気ファン16が接続される。
【0014】
また前記投入口11には、一例としてスクリューコンベヤを適用した投入装置2が接続される。
更に前記排ガス口13には、ダクト17が接続されるとともに、その次段にスクラバ装置5が接続されることとなる。
【0015】
そして前記スクラバ装置5は、一例として高温用、中温用及び低温用のタールスクラバ5A、5B、5Cが三段階で具えられて構成されるものである。もちろんこのような三段階の構成の他に、二段階あるいは四段階以上の構成とすることもできる。
前記タールスクラバ5A、5B、5Cは図2に示すように、筐体50内に形成された処理空間50Aに対して被処理気体Gを供給するとともに洗浄液Lを供給し、被処理気体Gと洗浄液Lとの接触を図って被処理気体G中のダストD(タールや析出された固形物)の除去を行うガス洗浄器である。
具体的には、一例として中空円筒状部材(一例として200φ)の下部に逆円錐状部材を接続して形状された貯留空間50Bの上方に、処理空間50Aが連設されて成るものであり、更にこの処理空間50Aの上部側周には給気口51が形成されている。
また前記貯留空間50Bと処理空間50Aとの境界部付近には排気口52が形成され、更に貯留空間50Bの最下部には排出口53が形成されるとともに、排気口52と排出口53との間に流出口54が形成される。
【0016】
また前記処理空間50Aの上部には、ノズル55が配されるとともに、前記流出口54とノズル55との間が管路によって接続されるものであり、この管路には循環ポンプ56及び冷却器57が具えられる。
そして前記貯留空間50Bにおける流出口54の上部にまで、洗浄液Lとしてのタールが充填される。
因みに被処理気体Gに含まれる物質の性状に応じて、軽油やその他の液体を洗浄液Lとして貯留空間50Bに充填してもよい。
【0017】
更にまた前記アルカリスクラバ6は、一例として前記タールスクラバ5A、B、Cと同様の構成が採られるものであり、筐体50内に形成された処理空間50Aに対して被処理気体Gを供給するとともにアルカリ溶液(苛性ソーダ溶液等)を供給し、被処理気体Gとアルカリ溶液との接触を図って被処理気体G中に含まれる酸の中和を行うガス洗浄器である。
【0018】
更にまた前記ミストセパレータ7は、被処理気体G中のミスト成分(微細な粒子・油分・水分)を除去するための装置である。
【0019】
更にまた前記ガスホルダ9は、浄化された被処理気体G(熱分解ガス)を一定量、貯留するための機器であり、適宜の耐圧構造が採られて構成されるものである。
【0020】
本発明の熱分解ガスの洗浄装置たるスクラバ装置5を具えて構成された熱分解ガス化システムSは、一例として上述したように構成されるものであり、以下この装置及びシステムの作動態様について説明する。
なおこの実施例では、樹脂系の産業廃棄物を被処理物とするものであり、このものをガス化炉1によってガス化して、得られた可燃性の熱分解ガスを、熱分解ガス化システムS自体の熱源として有効利用するものとするが、適宜他の機器、プラントの熱源として有効利用することももちろん可能である。
【0021】
まずガス化炉1及び熱風炉3を起動して熱風を給気口14に供給するものであり、この熱風は回転ドラム10を加熱した後、排気口15から排気され、排気ファン16によって外部に排気される。なお起動時の燃料としては、ガスホルダ9に熱分解ガスが貯留されていないときにはLPGが使用される。
またタールスクラバ5A、B、Cにおける循環ポンプ56を起動することにより、洗浄液Lの循環を行うものであり、洗浄液Lは流出口54から冷却器57を経由してノズル55より噴出されて処理空間50A中に放出されることとなる。
【0022】
次いで投入装置2によって被処理物を回転ドラム10内に供給するものであり、このものはリフタ10aによって掻き上げられながら排出口12に向けて進行し、この過程で回転ドラム10から熱を受けて熱分解され、被処理気体Gたる熱分解ガスが生成される。
そして被処理気体G(700℃程)は排ガス口13から排気され、タールスクラバ5Aにおける給気口51から処理空間50A内に供給される。
なおこのとき、被処理物中のガス化しない成分がチャーとして生成されるものであり、このものは排出口12から排出されて適宜廃棄処分されることとなる。
【0023】
そして被処理気体Gは処理空間50A内において、ブロワ8の吸引作用によって給気口51から排気口52に向けて進行する際に、洗浄液Lと接触することとなり、このときダストDが洗浄液L中に取り込まれることとなる。
なおこの実施例では、ノズル55から噴出される洗浄液Lが、200〜250℃となるように冷却器57が設定されるものであり、被処理気体Gは洗浄液Lと触れて温度が低下するため、処理空間50Aにおいてこの温度体を凝固点とするタールが凝縮するものであり、このタールも洗浄液Lに取り込まれることとなる。
また貯留空間50Bの下部に堆積したダストDは、排出口53から定期的に取り出されて適宜廃棄処分される。
一方、洗浄液Lは被処理気体Gと接触した後、一旦、貯留空間50Bに貯留され、流出口54から循環ポンプ56によって圧送されて再びノズル55に送られることとなる。
【0024】
次いで被処理気体Gはタールスクラバ5Aの排気口52から排気され、タールスクラバ5Bにおける給気口51から処理空間50A内に供給される。
なおこの実施例では、ノズル55から噴出される洗浄液Lが、100〜150℃となるように冷却器57が設定されるものであり、被処理気体Gは洗浄液Lと触れて温度が低下するため、処理空間50Aにおいてこの温度体を凝固点とするタールが凝縮するものであり、このタールも洗浄液Lに取り込まれることとなる。
【0025】
次いで被処理気体Gはタールスクラバ5Bの排気口52から排気され、タールスクラバ5Cにおける給気口51から処理空間50A内に供給される。
なおこの実施例では、ノズル55から噴出される洗浄液Lが、20〜50℃となるように冷却器57が設定されるものであり、被処理気体Gは洗浄液Lと触れて温度が低下するため、処理空間50Aにおいてこの温度体を凝固点とするタールが凝縮するものであり、このタールも洗浄液Lに取り込まれることとなる。
このように本発明によれば、凝固点の異なるタールを熱分解ガスたる被処理気体G中から段階的に除去することができ、一度に多種のタールが凝固してしまうのを回避して、洗浄液Lの循環経路の閉塞を回避することができ、長期間にわたる連続運転が可能となるものである。
また上述のように、例えば熱分解ガスの温度が700℃程度であるような場合に、高温用の洗浄液Lを200〜250℃に設定し、中温用の洗浄液Lを100〜150℃に設定し、低温用の洗浄液Lを20〜50℃に設定することにより、各温度帯で凝固するタール量を調整することができ、洗浄液Lの循環経路の閉塞をより確実に回避することができる。
【0026】
そして上述のようにして洗浄された被処理気体Gは、アルカリスクラバ6及びミストセパレータ7によって更なる処理が施された後、ガスホルダ9に貯留され、その後、熱風炉3に供給されて燃料として供されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のスクラバ装置が適用された熱分解ガス化システムを示す骨格図である。
【図2】本発明のスクラバ装置構成するタールスクラバを示す縦断側面図である。
【図3】既存の熱分解ガス化システムを示す骨格図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ガス化炉
10 回転ドラム
10a リフタ
10A ジャケット外体
11 投入口
12 排出口
13 排ガス口
14 給気口
15 排気口
16 排気ファン
17 ダクト
2 投入装置
3 熱風炉
5 スクラバ装置
5A タールスクラバ
5B タールスクラバ
5C タールスクラバ
50 筐体
50A 処理空間
50B 貯留空間
51 給気口
52 排気口
53 排出口
54 流出口
55 ノズル
56 循環ポンプ
57 冷却器
6 アルカリスクラバ
7 ミストセパレータ
8 ブロワ
9 ガスホルダ
D ダスト
G 被処理気体
L 洗浄液
S 熱分解ガス化システム
【出願人】 【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
【出願日】 平成19年5月31日(2007.5.31)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦


【公開番号】 特開2008−297464(P2008−297464A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−145790(P2007−145790)