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【発明の名称】 バイオガス洗浄システム
【発明者】 【氏名】藤井 和成

【要約】 【課題】低コストでバイオガスを洗浄するバイオガス洗浄システムを提供する。

【解決手段】バイオマスを熱分解する炭化炉20から取り出されるバイオガスを洗浄するバイオガス洗浄システムであって、バイオガスを通過させる洗浄室32と、この洗浄室32に水を撒く散水器33とを備え、洗浄室32を通過するバイオガスは散水器33から撒かれる水に触れることにより冷却され、バイオガス中に含まれる大量の水分の他にタール成分や硫黄成分等が分離され、この分離成分が洗浄室32から流下する水と共に回収される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを熱分解する炭化炉から取り出されるバイオガスを洗浄するバイオガス洗浄システムであって、
前記バイオガスを通過させる洗浄室と、
この洗浄室に水を撒く散水器とを備えたことを特徴とするバイオガス洗浄システム。
【請求項2】
前記バイオガスを通過させるフィルタを備え、
前記散水器から撒かれる水がこのフィルタを通って流下する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のバイオガス洗浄システム。
【請求項3】
前記洗浄室から流下する水を回収し散水器に導く循環回路を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のバイオガス洗浄システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス(有機性廃棄物)を熱分解して発生したバイオガスを洗浄し、発電システム等の燃料として用いるバイオガス洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のバイオガス洗浄システムとして、図2に示すものがある(特許文献1参照)。
【0003】
これについて説明すると、この洗浄システムは、バイオガス4を、トラップ部2を通過させてガス中のタール分およびダストを充填材にトラップさせて溶媒に溶かし込み、バイオガス4をクリーンに洗浄する。
【0004】
溶媒3は、軽油、灯油、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤が、温度条件などに応じて任意に選択して用いられる。
【0005】
トラップ部2の構造は、ハニカム等の格子状のものを多層に組み合わせて形成される。
【0006】
炭化熱分解工程を経て生成されたバイオガス(乾留ガス)4は、冷却されない状態でトラップ部2の下方に送給され、トラップ部2を通過する際、ガス中のタール分やダストがトラップされ、また、ダーティーガスが溶媒3と接触して溶解され洗い落とされる。
【0007】
溶媒3によってタール分やダストが洗い落とされたクリーンなバイオガスは、上方のガス取出口5から取り出され、高カロリー燃料として、ガスタービン等に供給される。
【0008】
一方、ガス中のタール分やダストを溶解した溶剤3は、粘性溶液6となってケーシング1の下部に溜まる。
【0009】
洗浄システム内の温度を適度に維持するため、必要に応じてバルブ13を開くとともに循環ポンプ7を作動させ、タール分やダストを溶解した粘性溶液6を熱交換器8を介して循環させる。
【0010】
粘性溶液6の液面をセンサ11で監視し、粘性溶液6が増えた場合に、制御器12の指令によりバルブ13を開いて排出するようになっている。
【特許文献1】特開2003−277773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来のバイオガス洗浄システムにあっては、バイオガスを洗浄するのに石油等の溶剤を用いるため、バイオガスを洗浄するコストが大きいという問題点があった。
【0012】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、低コストでバイオガスを洗浄するバイオガス洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、バイオマスを熱分解する炭化炉から取り出されるバイオガスを洗浄するバイオガス洗浄システムであって、バイオガスを通過させる洗浄室と、この洗浄室に水を撒く散水器とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、洗浄室を通過するバイオガスは散水器から撒かれる水に触れることにより冷却され、バイオガス中に含まれる大量の水分の他にタール成分や硫黄成分等が分離され、この分離成分が洗浄室から流下する水と共に回収される。これにより、石油等の溶剤を用いることなくバイオガスが洗浄され、バイオガスを洗浄するコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、バイオマス炭化発電システムは、炭化炉(ガス化炉)20にてバイオマスを熱分解してバイオガスを発生し、このバイオガスをバイオガス洗浄システムの冷却脱硫塔30、吸収塔40、ミスト除去装置50を順に通して洗浄し、洗浄されたバイオガスをガスエンジン60に供給する。
【0017】
バイオマスとしては、生ゴミ等の一般可燃ごみをはじめ、木くず、紙くず、動物性残渣等の有機廃棄物が用いられる。
【0018】
炭化炉20は、ヒータによって加熱される密閉された熱分解室22を備え、この熱分解室22に投入装置21を介してバイオマスが搬入される。熱分解室22において、有機物は無酸素雰囲気で所定温度(例えば350〜450℃)で加熱されることにより燃焼することなく熱分解(乾留)される。この熱分解により、有機物から炭化物の固形残渣とバイオガス(乾留ガス)が生成される。
【0019】
炭化炉20で生成された固形残渣(炭化物)は排出装置23を介して炭化炉20の外に排出される。なお、この固形残渣は例えば土壌改良材や固形燃料として用いられる。
【0020】
炭化炉20で生成されたバイオガスは配管29を通って冷却脱硫塔30に導入される。冷却脱硫塔30は、バイオガスを導入する導入室35と、バイオガスを通過させるフィルタ34と、バイオガスを通過させる洗浄室32と、この洗浄室32に水を撒く散水器33とを備える。
【0021】
散水器33は洗浄室32の上部に設けられ、これに供給される水流を細かい水粒にして洗浄室32の全域に撒くものである。
【0022】
冷却脱硫塔30は、洗浄室32の下部にフィルタ34を備え、このフィルタ34の下部に導入室35が画成される。炭化炉20で生成されたバイオガスは配管29を通って導入室35に導入され、導入室35からフィルタ34を通って洗浄室32に流入する。
【0023】
フィルタ34は例えばスポンジ等の多孔質材が用いられ、バイオガスと水をそれぞれ通過させる。
【0024】
導入室35に流下した水を散水器33に導く循環回路36が設けられ、この循環回路36にはポンプ37が介装される。ポンプ37は図示しないモータによって駆動され、導入室35に流下した水を循環回路36を通して散水器33に圧送する。
【0025】
散水器33から撒かれた水は洗浄室32とフィルタ34を通って導入室35に流下する過程でバイオガスに触れてバイオガスを冷却するとともに、バイオガス中の水分やタール成分や硫黄成分が水によって取り除かれる。
【0026】
洗浄室32を通過するバイオガスは散水器33から撒かれる水に触れることにより、バイオガス中に含まれるタール成分や硫黄成分と水分が分離され、この分離成分が洗浄室32からフィルタ34を通って流下する水と共に回収される。
【0027】
フィルタ34は散水器33から撒かれる水を吸収している。フィルタ34を通過するバイオガスはフィルタ34に含まれる水に触れることにより、バイオガス中に含まれる大量の水分の他にタール成分や硫黄成分が分離され、この分離成分がフィルタ34から導入室35へと流下する水と共に回収される。バイオガス中の硫黄成分を取り除くには、冷却脱硫塔30を循環する水に次亜塩素等の酸化剤を加えるとよい。
【0028】
洗浄室32とフィルタ34を通って導入室35を流下した水はポンプ37を介して循環回路36を通して散水器33に圧送され、冷却脱硫塔30を循環する。導入室35に流下する水にはバイオガス中から分離した水が加わるため、冷却脱硫塔30に補充される水の量を抑えられる。
【0029】
導入室35に流下した水は図示しない処理装置を循環してタール成分や硫黄成分が取り除かれる。
【0030】
冷却脱硫塔30の洗浄室32から出たバイオガスは配管39を通って吸収塔40に導入され、吸収塔40を循環する水によって冷却されるとともに、バイオガス中の油分やダストが除去される。
【0031】
吸収塔40は、前記した冷却脱硫塔30と同様の構造を有し、バイオガスを導入する導入室45と、バイオガスを通過させるフィルタ44と、バイオガスを通過させる洗浄室42と、この洗浄室42に水を撒く散水器43とを備える。
【0032】
散水器43から撒かれた水は洗浄室42とフィルタ44を通って導入室45に流下する過程でバイオガスに触れてバイオガスを冷却するとともに、バイオガス中の水分や油分やダスト等が水によって取り除かれる。
【0033】
洗浄室42とフィルタ44を通って導入室45を流下した水はポンプ47を介して循環回路46を通して散水器43に圧送され、吸収塔40を循環する。導入室45に流下する水にはバイオガス中から分離した水が加わるため、吸収塔40に補充される水の量を抑えられる。
【0034】
導入室45に流下した水は図示しない処理装置を循環して油分やダスト等が取り除かれる。
【0035】
吸収塔40の洗浄室42から出たバイオガスは配管49を通ってミスト除去装置50に導入され、ミスト除去装置50にて水分等のミストが除去される。
【0036】
ミスト除去装置50はバイオガスを通過させるフィルタ51を備え、バイオガス中の水分等のミストが取り除かれる。
【0037】
ミスト除去装置50を通過したバイオガスは配管59を通ってガスエンジン60に供給される。ガスエンジン60はこのバイオガス内の可燃成分を燃焼して運転され、図示しない発電機を駆動して発電を行う。
【0038】
こうして、ガスエンジン60に供給されるバイオガスは水分やタール成分や硫黄成分やダストが十分に取り除かれているため、ガスエンジン60の運転性能が維持される。
【0039】
なお、安定した発電を行うために、ガスエンジン60の燃料としてバイオガスに都市ガス等を混合してもよい。
【0040】
また、ガスエンジン60の排ガスは例えば汚泥を乾燥させるための熱源として用いたり、暖房の熱源として用いることが可能である。
【0041】
本実施の形態では、バイオマスを熱分解する炭化炉20から取り出されるバイオガスを洗浄するバイオガス洗浄システムであって、バイオガスを通過させる洗浄室32と、この洗浄室32に水を撒く散水器33とを備えたため、洗浄室32を通過するバイオガスは散水器33から撒かれる水に触れることにより冷却され、バイオガス中に含まれる大量の水分の他にタール成分や硫黄成分等が分離され、この分離成分が洗浄室32から流下する水と共に回収される。これにより、石油等の溶剤を用いることなくバイオガスが洗浄され、バイオガスを洗浄するコストを削減することができる。
【0042】
本実施の形態では、バイオガスを通過させるフィルタ34を備え、散水器33から撒かれる水がこのフィルタ34を通って流下する構成としたため、フィルタ34を通過するバイオガスはフィルタ34を流下する水に触れることにより冷却され、バイオガス中に含まれる大量の水分の他にタール成分や硫黄成分等が分離され、この分離成分がフィルタ34から流下する水と共に回収される。
【0043】
本実施の形態では、洗浄室32から流下する水を回収し散水器33に導く循環回路36を備えたため、洗浄室32から流下する水にはバイオガス中から分離した水が加わり、この循環回路36に補充される水の量を抑えられる。
【0044】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態を示すバイオマス炭化発電システムの構成図。
【図2】従来例を示すバイオガス洗浄システムの構成図。
【符号の説明】
【0046】
20 炭化炉
32 洗浄室
33 散水器
34 フィルタ
36 循環回路
【出願人】 【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
【出願日】 平成19年5月31日(2007.5.31)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜

【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘

【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭


【公開番号】 特開2008−297435(P2008−297435A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−145104(P2007−145104)