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【発明の名称】 原料ガス精製方法及びシステム
【発明者】 【氏名】荒木 秀暢

【氏名】山村 雄次

【氏名】自見 秀樹

【氏名】清木 義夫

【氏名】田中 幸男

【氏名】小椋 和正

【要約】 【課題】例えばコークス炉ガス等の常法により精製された原料ガス中に低濃度に残留する低級炭化水素を効率的に除去することができる原料ガス精製方法及びシステムを提供する。

【解決手段】常法により精製された主成分としてメタン、一酸化炭素、二酸化炭素、水素を含有する原料ガス11中に残留する低濃度の低級炭化水素を除去する原料ガス高度精製装置12と、該原料ガス高度精製装置12で精製された高度精製ガス13中に存在する硫黄化合物の脱硫を行う脱硫装置14とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、
前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を、水素添加触媒により除去する低級炭化水素除去工程と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項2】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、
前記原料ガスを吸収液と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸収除去する低級炭化水素吸収・除去工程と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項3】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、
前記原料ガスを吸着剤と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸着除去する低級炭化水素吸着・除去工程と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項4】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、
前記原料ガスを冷却又は昇圧のいずれか一方又は両方の操作を行い、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を凝縮除去する低級炭化水素凝縮・除去工程と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
残留する低級炭化水素の濃度を1.5vol%以下とすることを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項6】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、
原料ガスに水素を添加して水素濃度を60%以上とする水素添加工程と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項7】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程において、前記原料ガスの流速を1m/s以上にし、且つ脱硫工程の温度を350℃以下にすることを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つにおいて、
前記炭化水素を含有する原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、高炉ガス、転炉ガス、石油コークスガス化ガス又はバイオマス起源ガスのいずれか一つ又はこれらの組合せであることを特徴とする原料ガス精製方法。
【請求項9】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、
前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を、水素添加触媒により除去する低級炭化水素除去装置と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項10】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、
前記原料ガスを吸収液と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸収除去する低級炭化水素吸収・除去装置と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項11】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、
前記原料ガスを吸着剤と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸着除去する低級炭化水素吸着・除去装置と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項12】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、
前記原料ガスを冷却又は昇圧のいずれか一方又は両方の操作を行い、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を凝縮除去する低級炭化水素凝縮・除去装置と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれか一つにおいて、
残留する低級炭化水素の濃度を1.5vol%以下とすることを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項14】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、
原料ガスに水素を添加して水素濃度を60%以上とする水素添加装置と、
前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項15】
主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置において、前記原料ガスの流速を1m/s以上にし、且つ脱硫装置の温度を350℃以下にすることを特徴とする原料ガス精製システム。
【請求項16】
請求項9乃至15のいずれか一つにおいて、
前記炭化水素を含有する原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、高炉ガス、転炉ガス、石油コークスガス化ガス、バイオマス起源ガスのいずれか一つ又はこれらの組合せであることを特徴とする原料ガス精製システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコークス炉ガス等の原料ガスを常法により精製した後に、さらに残留する低級炭化水素を除去し、原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行う脱硫工程の延命化を図ることができる原料ガス精製方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状における例えばメタノールプラント等のプロセスはCH4が主成分の天然ガスを原料としている。近年、原料ソースの重質化(重油、タール)により、石炭、石油、バイオマス等を起源とするガスの利用が高まっている。
【0003】
ところで、現状の天然ガスプロセスを基本として、前記石炭、石油、バイオマス等を起源とするガスから例えばメタノール合成プラントを建設するとなると、以下のような問題がある。
【0004】
石炭、石油、バイオマス等を起源とするガスには含まれ、天然ガスに含まれない低級炭化水素の存在により、温度350℃以上となると、原料ガス配管、脱硫器、改質器等の設備において炭素(C)析出によるいわゆるコーキング現象が発生する。
このコーキングの発生により配管等の閉塞や脱硫器・改質器の触媒の劣化が発生し、プラント運転が維持できないような場合も発生するおそれがある。
【0005】
ところで、従来より石炭を乾留してコークスを製造する際に副生するコークス炉ガス(COG)は都市ガス等の燃料や化学合成用の原料として使用されており、未精製のコークス炉ガスは不純物(H2S、COS、芳香族炭化水素、タール、ダスト等)を除去するために常法による精製がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−248286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的な常法の精製により得られる原料ガスは、低級炭化水素が未だ低濃度で残留しているので、前述したように、天然ガスの設備に実際に適用するには、やはりプラント内でのコーキング現象を防止するため、低級炭化水素を完全に除去する必要がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その課題は、例えばコークス炉ガス等の常法により精製された原料ガス中に低濃度に残留する低級炭化水素を効率的に除去し、原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行う脱硫工程の延命化を図ることができる原料ガス精製方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第1の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を、水素添加触媒により除去する低級炭化水素除去工程と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0010】
第2の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、前記原料ガスを吸収液と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸収除去する低級炭化水素吸収・除去工程と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0011】
第3の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、前記原料ガスを吸着剤と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸着除去する低級炭化水素吸着・除去工程と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0012】
第4の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、前記原料ガスを冷却又は昇圧のいずれか一方又は両方の操作を行い、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を凝縮除去する低級炭化水素凝縮・除去工程と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0013】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、残留する低級炭化水素の濃度を1.5vol%以下とすることを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0014】
第6の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製工程と、原料ガスに水素を添加して水素濃度を60%以上とする水素添加工程と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程とを有することを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0015】
第7の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫工程において、前記原料ガスの流速を1m/s以上にし、且つ脱硫工程の温度を350℃以下にすることを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0016】
第8の発明は、第1乃至7のいずれか一つの発明において、前記炭化水素を含有する原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、高炉ガス、転炉ガス、石油コークスガス化ガス又はバイオマス起源ガスのいずれか一つ又はこれらの組合せであることを特徴とする原料ガス精製方法にある。
【0017】
第9の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を、水素添加触媒により除去する低級炭化水素除去装置と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0018】
第10の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、前記原料ガスを吸収液と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸収除去する低級炭化水素吸収・除去装置と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0019】
第11の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、前記原料ガスを吸着剤と接触させ、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を吸着除去する低級炭化水素吸着・除去装置と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0020】
第12の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、前記原料ガスを冷却又は昇圧のいずれか一方又は両方の操作を行い、前記原料ガス中に残留する低濃度の低級炭化水素を凝縮除去する低級炭化水素凝縮・除去装置と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0021】
第13の発明は、第9乃至12のいずれか一つの発明において、残留する低級炭化水素の濃度を1.5vol%以下とすることを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0022】
第14の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の不純物を除去する精製装置と、原料ガスに水素を添加して水素濃度を60%以上とする水素添加装置と、前記原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置とを有することを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0023】
第15の発明は、主成分として炭化水素を含有する原料ガス中の硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置において、前記原料ガスの流速を1m/s以上にし、且つ脱硫装置の温度を350℃以下にすることを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【0024】
第16の発明は、第9乃至15のいずれか一つの発明において、前記炭化水素を含有する原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、高炉ガス、転炉ガス、石油コークスガス化ガス、バイオマス起源ガスのいずれか一つ又はこれらの組合せであることを特徴とする原料ガス精製システムにある。
【発明の効果】
【0025】
前記構成の本発明によれば、常法により精製された原料ガス中に残留している低級炭化水素を除去することで、原料ガス配管等におけるコーキングの発生を抑制することができる。この結果、システムの運転時間の延命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0027】
[第1の発明の実施の形態]
本発明による第1の実施の形態に係る原料ガスの精製方法について、図面を参照して説明する。図1は、実施例に係る原料ガス高度精製システムを示す概念図である。図1に示すように、本実施例に係る原料ガス高度精製システム10は、常法により精製された主成分としてメタン、一酸化炭素、二酸化炭素、水素を含有する原料ガス11中に残留する低濃度の低級炭化水素を除去する原料ガス高度精製装置12と、該原料ガス高度精製装置12で精製された高度精製ガス13中に存在する硫黄化合物の脱硫を行なう脱硫装置14とを具備するものである。なお、符号15は硫黄化合物が除去された精製ガス(除;硫黄化合物)を図示する。
【0028】
ここで、本発明で前記原料ガス11としては、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、高炉ガス、転炉ガス、石油コークスガス化ガス、バイオマス起源ガスのいずれか一つのいずれか一つ又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0029】
また、前記原料ガス11中に残留する低濃度の低級炭化水素としては、例えばC2以上のオレフィン及びパラフィン(例えばエタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、アセチレン等)を挙げることができる。
【0030】
また前記原料ガス11中に残留する低濃度の低級炭化水素の濃度は、特に限定されるものではないが、本発明の原料ガス高度精製装置12により、高度精製ガス(除:低級炭化水素)13を得ることができ、その処理後の出口濃度が1.5 vol%以下、好ましくは0.5vol%、更に好ましくは100ppm以下とすることにより、原料ガスが供給される配管中及び脱硫装置14においてコーキングの発生を防止することができるものとなる。
【0031】
前記原料ガス高度精製装置12としては、1)水素添加・分解触媒により前記低級炭化水素を飽和炭化水素やメタンに水素化もしくは分解する低級炭化水素除去装置、2)前記低級炭化水素を吸収除去する低級炭化水素吸収・除去装置、3)前記低級炭化水素を吸着除去する低級炭化水素吸着・除去装置、4)前記低級炭化水素を凝縮除去する低級炭化水素凝縮・除去装置、5)原料ガスに水素を添加して水素濃度を60%以上とする水素添加装置のいずれか一つの化学的な処理装置又はこれらの組合せからなる装置である。
【0032】
ここで、1)低級炭化水素除去装置は、公知の水素添加・分解触媒を充填したものであり、この水素添加・分解触媒により、原料ガス11中に残留する低級炭化水素を飽和炭化水素やメタンに水素化もしくは分解するものである。
ここで、前記水素添加・分解触媒は、低温用(40〜350℃)の触媒を用いることが好ましい。
【0033】
低温で使用可能な水素添加・分解触媒としては、Pd、Pt、Ni等を活性金属として含有する触媒が好ましく、例えばズードケミー株式会社製の商品名「G−68」、「SC13」、「SC53」、「G74」、「G75」等が挙げられる。
しかしながら、原料ガス中の硫黄化合物による触媒被毒の影響を考慮すると、耐硫黄被毒性の高いPd系触媒が特に好ましい。また、運転条件としては、該触媒を低級炭化水素除去装置に充填し、原料ガス11を40〜350℃、GHSV=150〜30000、0.3〜10.0MPaGで供給することで、低級炭化水素除去装置の出口において、原料ガス11中のオレフィン及びパラフィンの濃度を1.5 vol%以下とすることができる。
【0034】
前記2)の前記低級炭化水素を吸収除去する低級炭化水素吸収・除去装置は、吸収液として、例えば灯油、軽油、重油、粗成ベンゼン、石炭系洗浄油等を用いて、例えばスクラバ法、充填層法、トレイ法により、気液接触させて、原料ガス11中に低濃度に残留する低級炭化水素を吸収・除去するようにしている。
【0035】
また、処理温度は10〜70℃の範囲とするのが好ましい。
これは、前記吸収液における吸収温度は、その温度が低ければ低い方が高い吸収効率を得られるが、原料ガス11中に低濃度に残留する芳香族化合物の凝固の問題から、10℃以上とするのが望ましいからである。また、70℃以上とする場合には、吸収液からのベーパーライズのため、逆に入口よりも出口芳香族濃度が上昇する場合があり、好ましくないからである。
【0036】
また、前記低級炭化水素吸収・除去装置の吸収圧力は0.3〜1.5 MPaGとするのが好ましい。なお、圧力は高ければ高い方が良い。
ここで、L(液体)/G(ガス)比は、0.2〜0.5 kg/kgとするのが好ましい。これは、L/G比をあまり高くしすぎても、L/G=0.5付近でほとんどガス中の低級炭化水素の吸収効率はそれ以上向上しないからである。
【0037】
前記3)の前記低級炭化水素を吸着除去する低級炭化水素吸着・除去装置は、吸着剤として例えばシリカゲルや活性炭等を用いるのが好ましい。通常、予備器を含めて吸着塔を2塔用意し、45〜60分で吸着塔を切替えるのが好ましい。
また、吸着塔の運転温度は、10〜100℃、圧力は1〜5MPaGとするのが好ましい。低級炭化水素を吸着して劣化した吸着剤は、150〜250℃の温度、0〜1MPaGの圧力で低級炭化水素を脱着して再生するのが好ましい。また、公知の手法を利用して除去することも可能である。
【0038】
前記4)の前記低級炭化水素を凝縮除去する低級炭化水素凝縮・除去装置は、常法により精製された原料ガス11を0℃以下に冷却する操作、又は5MPaG以上に昇圧する操作のいずれか一方又は両方を行うことで、原料ガス11中の低級炭化水素を除去できる。原料ガス11の冷却又は/及び昇圧はバッファとなる容器内で行い、その容器内部で凝縮した低級炭化水素を除去する。
【0039】
前記5)の原料ガスに水素を添加して水素濃度を60%以上とする水素添加装置は、例えば水素ボンベ等の水素源供給装置から水素を原料ガス11中に注入し、そのH2濃度を60%以上とすることで、平衡上C2〜C4の分解温度を高めるようにし、原料ガス11が流通する配管内におけるコーキングを抑制するようにしている。
【0040】
運転条件としては、原料ガスの温度を250〜350℃とし、圧力1〜2MPaG程度とする。水素添加装置を用いて原料ガス11中に例えば水素ボンベから水素を供給し、H2濃度を60%以上とすれば原料ガス精製システムのシステム寿命に影響を与えないものとなる。
また、好ましくは70%以上とすれば、C析出量をさらに10〜40%削減でき、さらに好ましくは80%以上とすれば、コーキングの発生を40%以上に削減できる。なお、H2濃度を90%以上とすれば、C析出を完全に抑制できるが、H2添加量が原料ガス量に対して3倍以上になるため、経済的に好ましくない。
【0041】
[第2の発明の実施の形態]
本実施形態は低級炭化水素を化学的に除去するものではなく、原料ガスを極力配管内に滞留させないようにして、コーキングの発生を抑制するようにしたものである。
【0042】
先ず、原料ガスのガス流速を調節することによるコーキングを抑制する手段として、原料ガス11のガス流速を1m/s以上とすると共に、350℃以下、圧力を1MPaG以下とすることにより、原料ガスが流通する配管設備内におけるコーキングの発生を抑制することができる。
また配管レイアウトにおいて、原料ガスの滞留部を作らないようにすることで、配管内部でのコーキング発生を抑制することが可能である。
【0043】
[比較例]
図2−1及び図2−2は第2の実施形態に係る第1のガス供給管のレイアウトの概略図である。図2−1は、立上げ時の際の配管のレイアウト図であり、図2−2は通常の際の配管のレイアウト図である。
図2−1に示すように、第1のガス供給管31−1には第1のヒータ32−1が設けられ、原料ガス11を所定の温度に保持するようにしており、第1のバルブ33−1が介装されている。第1のバルブ33−1の手前に分岐点Xが設けられ、ここから第2のガス供給管31−2が脱硫装置14に連結されている。そして、分岐点Xから分岐された第2のガス供給管31−2には第2のヒータ32−2が設けられ原料ガス11を所定の温度に保持するようにしており、第2のバルブ33−2が介装されている。
【0044】
ここで、原料ガスを脱硫する際の立上げ時においては、第2のバルブ33−2を閉とし、第1のバルブ33−1を開として、原料ガス11を脱硫装置14へは供給させないようにする。この場合には分岐点Xから第2のバルブ31−2間で原料ガスが滞留する。
その後、所定の脱硫温度に達したら、図2−2に示すように、第2のバルブ33−2を開とし、次いで第1のバルブ33−1を閉とする。
この通常運転時には、第2のバルブ33−2を開とし、第1のバルブ33−1を閉としているので、分岐点Xから第1のバルブ33−1の間で原料ガス11が滞留する。
【0045】
この配管レイアウトでシステム寿命は100時間以上であった。
なお、C析出量としては0.007 g/h以上であった。
【0046】
[実施例]
前記低級炭化水素によるコーキング抑制の対応策として、ガス流速1m/s以上、ガス滞留部を作らない配管レイアウトを施し、システム寿命に対する効果を確認した。
図3−1及び図3−2に第2の配管のレイアウトを示す。
図3−1に示すように、第1のガス供給管31−1には第1のヒータ32−1が設けられ、原料ガス11を所定の温度に保持するようにしており、第1のバルブ33−1が介装されている。第1のバルブ33−1の手前に分岐点Xが設けられ、ここから第2のガス供給管31−2が脱硫装置14に連結されている。そして、分岐点Xから分岐された第2のガス供給管31−2には第2のヒータ32−2の手前側に第2のバルブ33−2が介装されている。
【0047】
よって、図2−1及び図2−2に示す場合の第1の配管レイアウトよりも、第1のバルブ33−1及び第2のバルブ33−2が分岐点X側にあるので、原料ガス11の滞留容積が少なくなり、コーキングを更に抑制することができた。
【0048】
この配管レイアウトでシステム寿命を3000時間以上とすることができた。
なお、C析出量としては0.0035 g/h以下であった。
【0049】
[第3の発明の実施の形態]
次に、コークス炉からのコークス炉ガスからの未精製コークス炉ガスを用いて、メタノールを合成する場合について説明する。図4は、コークス炉ガスを用いたメタノールを合成システムの概略図である。
図4に示すように、本実施例に係るコークス炉ガスを用いたメタノール合成システム20は、コークス炉21を用いて、乾留により石炭から未精製コークス炉ガス22を得るコークス炉21と、常法に従って、脱硫、脱タール、脱アンモニア、脱油処理を処理して原料ガス11を得るコークス炉ガス精製装置23と、前述した原料ガス11中に残留する低級炭化水素を除去し、高度精製ガス13とする原料ガス高度精製装置12と、前記高度精製ガス13中に残留する硫黄化合物を除去する脱硫装置14と、脱硫後の精製ガス(除:硫黄化合物)15を改質してCO2、CO及び水素を生成する改質装置24と、改質ガス25を用いてメタノール26を合成するメタノール合成装置27とを具備するものである。
【0050】
本発明の原料ガス11中に残留する低級炭化水素を高度に除去する原料ガス高度精製装置12を用いるので、原料ガス11中に残留する低級炭化水素が除去された高度精製ガス(除:低級炭化水素)を得ることができ、この結果脱硫装置14及び配管設備におけるコーキングが防止される結果、メタノール合成システムのシステム寿命が3000時間以上を確保することができる。
【0051】
なお、本実施例では、高度精製ガスをメタノールの製造に適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メタノールの製造以外に、例えばDME(ジメチルエーテル)、ガソリン等のC1化学において適宜用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、原料ガス中に残留する低級炭化水素を高度に除去することにより、脱硫装置及び配管設備におけるコーキングが防止され、システム寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施の形態に係る原料ガス高度精製システムを示す概念図である。
【図2−1】第2の実施形態に係る第1のガス供給管の立上げ時のレイアウトの概略図である。
【図2−2】第2の実施形態に係る第1のガス供給管の通常時のレイアウトの概略図である。
【図3−1】第2の実施形態に係る第2のガス供給管の立上げ時のレイアウトの概略図である。
【図3−2】第2の実施形態に係る第2のガス供給管の通常時のレイアウトの概略図である。
【図4】第3の実施の形態本発明に係るコークス炉ガスを用いたメタノールを合成システムの概略図である。
【符号の説明】
【0054】
10 原料ガス高度精製システム
11 原料ガス
12 原料ガス高度精製装置
13 高度精製ガス(除:低級炭化水素)
14 脱硫装置
15 精製ガス(除:硫黄化合物)
【出願人】 【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成19年3月28日(2007.3.28)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−239892(P2008−239892A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−85513(P2007−85513)