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【発明の名称】 ガス化ガスの浄化方法
【発明者】 【氏名】栗田 雅也

【要約】 【課題】ガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭の吸着能力を回復させるために活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物の有効利用を図ることのできるガス化ガスの浄化方法を提供すること。

【解決手段】有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解して得られたガス化ガスを活性炭吸着塔1a、1bからなる活性炭式吸着装置1に通し、活性炭にガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着させるガス化ガスの浄化方法において、活性炭吸着塔1a、1bの活性炭に吸着した高沸点炭化水素化合物を活性炭から離脱させて回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られた軽質油分あるいは同工程で使用する洗浄油と混合して利用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解して得られたガス化ガスを活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置に通し、活性炭にガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着させるガス化ガスの浄化方法において、活性炭吸着塔の活性炭に吸着した高沸点炭化水素化合物を活性炭から離脱させて回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られた副生物又は前記軽油回収工程で使用する油分と混合して利用することを特徴とするガス化ガスの浄化方法。
【請求項2】
回収した高沸点炭化水素化合物を製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られた軽質油分と混合して利用する請求項1に記載のガス化ガスの浄化方法。
【請求項3】
回収した高沸点炭化水素化合物を、コークス炉ガス精製設備の軽油回収工程においてコークス炉ガスを洗浄する洗浄油と混合して利用する請求項1に記載のガス化ガスの浄化方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックやバイオマス等の有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解して得られたガス化ガスの浄化方法に関し、とくに活性炭充填塔を用いたガス化ガスの浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全とくに地球温暖化防止の一環として、エネルギーの有効利用が改めて注目されるなかで、廃プラスチックやバイオマス等の有機性廃棄物の持つエネルギーを有効利用する方法として、有機性廃棄物を熱分解し可燃性ガスを得る、いわゆるガス化が注目を集めている。
【0003】
ところが、ガス化によって得られた可燃性ガス、すなわちガス化ガスには有機性廃棄物に含まれる塩素分に起因するダイオキシンが含まれているので、ガス化ガスの利用にあたってはダイオキシンの除去が必要である。また、有機性廃棄物のガス化ガスにはダイオキシンのほか、タール分や軽質油分等の常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物(本願明細書では単に「高沸点炭化水素化合物」という。ここで、「高沸点炭化水素化合物」の沸点は概ね60℃以上である。)が含まれている。これらの高沸点炭化水素化合物は、沸点以下の温度でも高い蒸気圧を持ち、冷却等によって除去することが難しく、ガス中に残存する高沸点炭水素化合物は、ガス化ガスの温度が低下すると凝縮し、ガス配管やその付帯設備に付着して設備トラブルを引き起こす原因となる。したがって、ダイオキシンと共にガス化ガス中から除去する必要がある。
【0004】
従来、ガス中のダイオキシンを除去する技術として、特許文献1には、ダイオキシンを触媒層により分解し、残分のダイオキシンを活性炭層により吸着するという技術が開示されている。しかし、この特許文献1の技術は、おもに可燃性物質を燃焼させた後の燃焼排ガスを処理対象とするものであり、特許文献1の技術を有機性廃棄物のガス化ガスの処理に適用すると、触媒層ではダイオキシン以外の炭化水素ガスも分解され煤が発生するので、すぐに閉塞し失活する。また、活性炭層ではダイオキシン以外に上述の高沸点炭化水素化合物が吸着され、活性炭の活性を持続させることができない。持続させるためには、常に新しい活性炭を使用する必要があり、運転費が高くなる。
【0005】
また、特許文献2には、バグフィルター等の集塵装置を設け、その上流側で粉末状の活性炭を吹き込み、バグフィルターのろ布表面上に活性炭層を形成し、その活性炭にダイオキシンを吸着させるという技術が開示されている。しかし、この特許文献2の技術においても、これを有機性廃棄物のガス化ガスの処理に適用すると、ガス化ガスに含まれる上述の高沸点炭化水素化合物によって目詰まり等のトラブルが発生し、安定的な運転を継続することができない。
【0006】
一方、特許文献3及び特許文献4には、排気ガス中の溶剤等の炭化水素、軽質油分を除去するために活性炭を用いた浄化技術が開示されている。しかし、活性炭により有機性廃棄物のガス化ガスに含まれる軽質油分を除去する場合には、ガスの原料が廃棄物であることから原料の性状が安定しないのでガス浄化の制御が難しく、また、ガス化ガス中には軽質油分だけでなくタール分が含まれるので、タール分を含むガスを活性炭で浄化すると、タール分が活性炭から離脱しにくいため、活性炭の寿命が短くなる。
【0007】
また、特許文献5及び特許文献6には、バイオマスを熱分解して得られたバイオマスガス(ガス化ガス)を活性炭を用いて浄化する技術が開示されている。しかし、この技術ではガス処理温度が高く、分子量が大きくて沸点の高いタール分を吸着除去することは可能であるが、分子量が小さくて沸点が比較的低く、高揮発性であって、常温常圧で液状の炭化水素化合物、いわゆる軽質油分を吸着除去することはできない。軽質油分はガス利用の際に、配管中で冷却され、ドレン化する。このドレンは揮発性のきわめて高い引火性油であるため取り扱いが難しい。
【0008】
また、性状の均一なバイオマス以外を原料としたガス化ガスの場合、タール分の発生量及び性状が変化し、活性炭吸着層が閉塞したり、軽質油分がガス利用設備に流れ、トラブルとなる可能性がある。とくに廃プラスチック、石炭等の化石燃料、あるいは化石燃料を原材料とする固体有機物をガス化する場合には、タール分及び軽質油分の量が多く、上記技術による手法では十分な浄化を行うことができない。
【0009】
このように、従来、活性炭を用いてガスを浄化する技術は種々提案されているが、高沸点炭化水素化合物とくにタール分及び軽質油分を多く含むガス化ガスを浄化する場合、上述のような問題があり、活性炭を用いたガス化ガスの浄化技術は確立されていない。
【0010】
これに対して、活性炭を用いないガス化ガスの浄化技術も提案されている。例えば特許文献7には、有機性廃棄物をガス化後、酸素及び水蒸気と反応させ、1100℃程度の高温での改質反応により、ガス化ガス中のタール分や軽質油分を低減させる技術が提案されている。しかし、このような改質反応を用いたガスの浄化技術では、改質反応に必要な熱源を得るためにガス化ガスの部分燃焼が必要となり、ガス化ガスの持つエネルギーを消費されガスカロリーが低下するという問題がある。また、改質反応に用いる酸素の製造にエネルギーを多く必要とし、廃棄物処理に必要な総エネルギーが大きくなりすぎる。
【0011】
他のガス洗浄技術としては、コークス炉ガスの浄化技術に見られるように、低温下でガスを油で洗浄し、ガス中のタール分及び軽質油分等を除去する技術がある。しかし、この技術では、低温下で洗浄を行うにあたり冷熱源を得るためにエネルギーが必要である。また、洗浄後の排水に高度な処理が必要となり、さらに油を再生する工程等が必要となり、再生時に発生するガスの処理等、設備が複雑になる傾向にある。また、ガスの洗浄によってはダイオキシンを除去することはできない。
【0012】
このように、ガス中のダイオキシン及びタール分、軽質油分等の高沸点炭化水素化合物を同時に除去してガスを浄化するには、やはり活性炭を用いて乾式処理することが有用かつ簡便であり、活性炭を用いたガス化ガスの浄化技術の確立が望まれている。
【0013】
一方で、有機物を熱分解し可燃性のガス化ガスを得る場合、ガス化ガスの利用にあたってはメタン等の炭化水素ガスを残し、ガスのカロリーを高く保つことが望ましい。但し、その場合、タール分及び軽質油分が副生しガス利用の妨げとなる。したがって、この点からもガス化ガス中のタール分及び軽質油分を除去する浄化技術の確立が望まれている。
【0014】
活性炭を用いてガス化ガス中のタール分及び軽質油分を主体とする高沸点炭化水素化合物を安定的に除去するには、高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭から定期的に高沸点炭化水素化合物を離脱させて活性炭の吸着能力を回復させる必要がある。したがって、活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物の回収及び処理が必要となるが、エネルギーの有効利用の点から、回収した高沸点炭化水素化合物を単に廃棄処理するのではなく、燃料等として有効利用できるようにすることが望ましい。
【特許文献1】特開2003−112012号公報
【特許文献2】特開平11−230529号公報
【特許文献3】特開平9−215908号公報
【特許文献4】特開2005−66503号公報
【特許文献5】特開2006−16469号公報
【特許文献6】特開2006−16470号公報
【特許文献7】特開2004−238535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、総括的には、活性炭を用いたガス化ガスの浄化技術を確立することにある。
【0016】
具体的には、ガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭の吸着能力を回復させるために活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物の有効利用を図ることのできるガス化ガスの浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、有機性廃棄物又は石炭等の固体有機物を熱分解して得られたガス化ガスを活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置に通し、活性炭にガス化ガス中のダイオキシン及び常温常圧で液体若しくは固体である高沸点炭化水素化合物を吸着させるガス化ガスの浄化方法において、活性炭吸着塔の活性炭に吸着した高沸点炭化水素化合物を活性炭から離脱させて回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られた副生物又は前記軽油回収工程で使用する油分と混合して利用することを特徴とする。
【0018】
本発明では、代表的には有機性廃棄物として廃プラスチック、又は固体有機物として石炭をガス化する。
【0019】
有機性廃棄物又は固体有機物のガス化ガス中には、ダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物が含まれる。また、高沸点炭化水素化合物としては、ナフタレン、アントラセン等のタール分(炭素原子数が10以上の高分子炭化水素化合物)とベンゼン、トルエン、キシレン等の軽質油分(炭素原子数が10未満の低分子炭化水素化合物)が含まれる。これらのダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物は、ガス化ガスの有効利用にあたり除去する必要があるが、本発明では、上述のように、活性炭吸着塔からなる活性炭式吸着装置によって、有機性廃棄物又は固体有機物のガス化ガス中に可燃性ガスと共に含まれるダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物を除去する。
【0020】
すなわち、活性炭吸着塔に充填されている活性炭には表面に無数の細孔が開いており、この細孔にダイオキシン及び高分子炭化水素化合物の分子が入り込むことで吸着されガス化ガスから除去される。
【0021】
一方、活性炭に高分子炭化水素化合物が吸着すると、活性炭の細孔が閉塞し吸着能力が低下するので、定期的に活性炭から高沸点炭化水素化合物を離脱させて活性炭の吸着能力を回復させる必要がある。この活性炭の吸着能力の回復は、例えば、活性炭吸着塔に蒸気を通し、活性炭の細孔に吸着していた高沸点炭化水素化合物を気化離脱させることによって行う。また、活性炭吸着塔内の圧力を下げ、キャリアガスを通すことで、活性炭の細孔に吸着していた高沸点炭化水素化合物を気化離脱させることによって行うこともできる。
【0022】
そして、本発明では、活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物を回収し、この回収した高沸点炭化水素化合物を製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られた副生物又は前記軽油回収工程で使用する油分と混合して利用する。上述のとおり、ガス化ガス中の含まれていた高沸点炭化水素化合物は、ベンゼン、トルエン、キシレンを主成分とする軽質油分、ナフタレン等のタール分を多く含む。したがって、この高沸点炭化水素化合物を製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られる副生物又は前記軽油回収工程で使用する油分と混合することにより、新規に処理設備を設置することなく、燃料や化学原料等として有効に利用することができる。
【0023】
すなわち、製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程では、コークス炉ガスを洗浄油で洗浄することにより、コークス炉ガス中の軽質油分を洗浄油に溶解させ、この洗浄油を蒸留することにより軽質油分を回収し、蒸留後の洗浄油をコークス炉ガスの洗浄に循環使用するようにしているので、このコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られる軽質油分又は同工程で使用する洗浄油に前記の高沸点炭化水素化合物を混合することで、新規に処理設備を設置することなく、燃料や化学原料等として有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、活性炭を用いたガス化ガスの浄化方法において、ガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物を吸着した活性炭の吸着能力を回復させるために活性炭から離脱させた高沸点炭化水素化合物を、新規に処理設備を設置することなく処理して燃料や化学原料等として有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0026】
図1は本発明のガス化ガスの浄化方法を実施する設備の構成図である。
【0027】
図1において、活性炭式吸着装置1は2塔の活性炭吸着塔1a、1bからなる。有機性廃棄物をガス化するガス化炉2で得られたガス化ガスは、ガス化ガス供給本管3を通り、改質炉4を経た後に、それぞれ活性炭吸着塔1a、1bに通じるガス化ガス供給支管3a、3bを通り、活性炭吸着塔1a、1bにその下部から導入される。
【0028】
活性炭吸着塔1a、1bにガス化ガスが導入されると、ガス化ガス中のダイオキシン及び高沸点炭化水素化合物が活性炭吸着塔1a、1b内の活性炭に吸着され、その後、ガス化ガスは、活性炭吸着塔1a、1b上部に接続されたガス化ガス排出支管5a、5bから排出され、ガス化ガス排出本管5に合流し、ガス利用設備6まで搬送される。ガス化ガスの具体的な利用先としては、加熱炉、コークス炉等の工業炉用の燃料、ガスエンジンやガスタービン用の燃料、ボイラ燃料、熱風炉用の燃料等が挙げられる。
【0029】
ガス化ガス供給支管3a、3b及びガス化ガス排出支管5a、5bには、それぞれ開閉弁3c、3d及び開閉弁5c、5dが設けられている。また、それぞれの活性炭吸着塔1a、1bには、上部に蒸気供給本管7から分岐した蒸気供給支管7a、7bが接続され、下部に廃蒸気排出支管8a、8bが接続されている。蒸気供給支管7a、7b及び廃蒸気排出支管8a、8bには、それぞれ開閉弁7c、7d及び開閉弁8c、8dが設けられている。
【0030】
なお、ガス化炉2としては、シャフト炉、ロータリーキルン炉、流動床炉、固定床炉、噴流炉等、各種の炉を使用することができる。また、ガス化炉2の加熱方式としては、生成したガス化ガスを一部燃焼させて熱源とする部分燃焼方式と、外部熱源を使用する外熱方式のいずれでもよい。
【0031】
また、改質炉4は、ガス化炉2で得られたガス化ガスを800〜1100℃程度で酸素及び水蒸気と反応させる改質反応により、ガス化ガス中の過剰なタール分や軽質油分を低減させるものであるが、改質の必要がない場合には省略できる。
【0032】
なお、操業条件としては、活性炭吸着塔1a、1bに導入するガス化ガスのガス温度は100℃以下としておくことが好ましい。ガス温度が100℃超ではガス化ガス中の高沸点炭化水素化合物の蒸気圧が高くなり、活性炭による吸着力よりも揮発力が高くなり、吸着能力が十分に確保できない。ガス温度は好ましくは60℃以下とする。ただし、ガス温度を20℃以下にしようとすると、例えば、ガス化ガスの冷却に必要な冷却水の温度を冷却塔等の一般的な設備で得ることができなくなり、冷凍機が必要となる。冷凍機の利用は設備コスト及びランニングコストにおいて大きな負担となるため好ましくない。また、活性炭吸着塔の吸着能力回復のために導入する蒸気の温度は、80〜300℃とする。
【0033】
以上の構成において、操業開始時には、両方の活性炭吸着塔1a、1bにガス化ガスを通ガスし、その後、いずれかの活性炭吸着塔の吸着能力が低下したら、あるいはガス化ガスの通ガスから所定の時間が経過したら、吸着能力の低下したいずれか一方の活性炭吸着塔へのガス化ガスの通ガスを遮断する。
【0034】
例えば、活性炭吸着塔1aへの通ガスを遮断する場合、ガス化ガス供給支管3aの開閉弁3c及びガス化ガス排出支管5aの開閉弁5cを閉にする。そして、蒸気供給支管7aの開閉弁7c及び廃蒸気排出支管8aの開閉弁8cを開にして、活性炭吸着塔1aに蒸気を通ガスして吸着能力を回復させる。吸着能力が回復したら、蒸気供給支管7aの開閉弁7c及び廃蒸気排出支管8aの開閉弁8cを閉にすると共に、ガス化ガス供給支管3aの開閉弁3c及びガス化ガス排出支管5aの開閉弁5cを開にしてガス化ガスの通ガスを再開する。
【0035】
その後、もう一つの活性炭吸着塔1bの吸着能力が低下したら、活性炭吸着塔1aの場合と同様に、ガス化ガスの通ガスを遮断後、蒸気を通して吸着能力を回復させ、その後、ガス化ガスの通ガスを再開する。この実施例では、このような操作を繰り返すことで、吸着能力を維持しつつ連続的にガス化ガスの浄化処理を行うことができる。
【0036】
上述の活性炭吸着塔の吸着能力回復に際しては、蒸気の通ガスによって活性炭に吸着していた高沸点炭化水素化合物が気化離脱し、廃蒸気として回収される。この高沸点炭化水素化合物を含む廃蒸気あるいは廃蒸気が凝縮した廃ドレンは、廃蒸気排出本管8を介して一旦、分離装置9に入れられ冷却等により廃蒸気は凝縮し、さらに高沸点炭化水素化合物は、水分から分離される。そして、分離装置9にて分離回収された高沸点炭化水素化合物は、後述するように製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られる副生物又は同工程で使用する油分と混合され利用される。
【0037】
図1の下段に示すコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程において、コークス炉ガスは吸収塔10にその下部から導入され、上部から排出される。吸収塔10では上部から洗浄油がスプレーされ、この洗浄油にコークス炉ガス中の軽質油分が溶解し、コークス炉ガスから分離・回収される。コークス炉ガス中の軽質油分が溶解した洗浄油は、蒸留塔11に導入され、洗浄油中の軽質油分は蒸留分離され回収される。一方、蒸留後の洗浄油は、吸収塔10におけるコークス炉ガスの洗浄に循環使用される。
【0038】
このようにコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程においては軽質油分が副生物として得られ、また洗浄油を使用するが、本実施例では、これらの油分に上述の分離装置9にて分離回収された高沸点炭化水素化合物を混合して利用する。
【0039】
例えば、図1に配管系統13aで示すように吸収塔10でコークス炉ガス中の軽質油分を回収した洗浄油に混合すれば、分離回収された高沸点炭化水素化合物は洗浄油とともに蒸留塔11に導入され、分離回収された高沸点炭化水素化合物中に含まれていた軽質油分は洗浄油中の軽質油分とともに分離回収され、コンデンサで液化した後に製鉄所の燃料等として利用することができる。また、分離回収された高沸点炭化水素化合物中にはタール分としてナフタレンも多量に含まれるので、蒸留塔11でナフタレンを分離回収することも可能であり、このナフタレンを化学原料等として利用することができる。
【0040】
また、図1に配管系統13bで示すように分離装置9にて分離回収された高沸点炭化水素化合物は、蒸留塔11で軽質油分を分離した後の洗浄油と混合してもよく、図1に配管系統13cで示すように蒸留塔11で分離された軽質油分と混合してもよい。但し、これらの場合には、分離回収された高沸点炭化水素化合物のうち、ナフタレン等のタール分の含有量を低くすることが好ましい。このタール分の含有量を低くするには、上述の改質炉4での改質反応によってガス化ガス中のタール分を分解するようにすればよい。
【0041】
なお、図1では3つの配管系統13a〜13cを同時に示したが、実際にはこれらの3系統を同時に使用することはなく、いずれか1系統のみを設けるか、あるいは3系統のうちいずれか1系統を選択的に使用する。
【0042】
また、図1に示したような活性炭式吸着装置1をガス化ガスの流れ方向に直列に2段設置すれば、1段目の活性炭式吸着装置でおもにタール分が吸着され、2段目の活性炭式吸着装置で残りの軽質油分が吸着されるので、この場合は、1段目の活性炭式吸着装置で分離回収されたタール分主体の高沸点炭化水素化合物は吸収塔10でコークス炉ガス中の軽質油分を回収した洗浄油と混合し、2段目の活性炭式吸着装置で分離回収された軽質油分主体の高沸点炭化水素化合物は蒸留塔11で軽質油分を分離した後の洗浄油あるいは蒸留塔11で分離された軽質油分と混合すればよい。
【0043】
以上の実施例では、活性炭吸着塔内の活性炭の吸着能力を回復させるために蒸気を使用したが、活性炭の吸着能力を回復させる方法はこれに限定されるものではなく、例えば、吸着能力の低下した活性炭吸着塔についてガス化ガスの通ガスを遮断し、当該活性炭吸着塔内の圧力を下げ、キャリアガスを通すことで吸着した高沸点炭化水素化合物をキャリアガス側に吐き出させるようにしてもよい。この場合、キャリアガス側に吐き出させた高沸点炭化水素化合物を回収し、製鉄所のコークス炉ガス精製設備の軽油回収工程で得られた副生物又は同工程で使用する油分と混合して利用する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のガス化ガスの浄化方法を実施する設備の構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 活性炭式吸着装置
1a、1b 活性炭吸着塔
2 ガス化炉
3 ガス化ガス供給本管
3a、3b ガス化ガス供給支管
3c、3d 開閉弁
4 改質炉
5 ガス化ガス排出本管
5a、5b ガス化ガス排出支管
5c、5d 開閉弁
6 ガス利用設備
7 蒸気供給本管
7a、7b 蒸気供給支管
7c、7d 開閉弁
8 廃蒸気排出本管
8a、8b 廃蒸気排出支管
8c、8d 開閉弁
9 分離装置
10 吸収塔
11 蒸留塔
12 コンデンサ
13a〜13c 配管系統
【出願人】 【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成19年3月13日(2007.3.13)
【代理人】 【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益

【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人


【公開番号】 特開2008−222877(P2008−222877A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−63741(P2007−63741)