トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法及び製造装置
【発明者】 【氏名】深田 徹

【氏名】水野 三千一

【氏名】山田 恵

【氏名】森田 浩光

【氏名】斉藤 芳則

【氏名】丸澤 博

【氏名】和田 信之

【要約】 【課題】水素に対する一酸化炭素比率の高い合成ガスを製造する方法及び装置を提供する。

【解決手段】炭化水素系ガスを改質することで得られた改質ガス、あるいは、改質ガスの原料ガスを、二酸化炭素吸収後の二酸化炭素吸収材に流通させることで、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出する再生反応と、二酸化炭素と水素から一酸化炭素と水とを生成する逆シフト反応とにより一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管に二酸化炭素吸収材を充填し、この反応管に炭化水素系ガスを水蒸気改質することで得られた改質ガス、または炭化水素系ガスを部分酸化することによって得られた改質ガスを流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させ、この放出された二酸化炭素と改質ガスとの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することを特徴とする高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項2】
前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持のために燃料ガスを燃焼させ、この燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材に吸収させることを特徴とする請求項1に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項3】
前記改質ガスを生成する際に発生した二酸化炭素を、前記他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収することを特徴とする請求項1または2に記載の高一酸化炭素濃度浸炭ガスの製造方法。
【請求項4】
炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを反応管に充填し、この反応管に炭化水素系ガスと水蒸気または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させ、この放出された二酸化炭素と改質ガスとの反応により、高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することを特徴とする高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項5】
前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持のために燃料ガスを燃焼させ、この燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収させることを特徴とする請求項4に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項6】
前記改質ガス、または改質ガス生成用原料ガスを前記反応管に流通させる際に、反応管の温度を900℃〜1100℃に保持することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項7】
前記二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収を900℃〜1100℃の温度で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項8】
前記二酸化炭素吸収材が、アルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属を含有する複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項9】
前記二酸化炭素吸収材がBaTiO系複合酸化物を主たる成分とするものを用いる請求項8に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法。
【請求項10】
二酸化炭素吸収材を充填してなる反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
前記反応管にガス改質装置を連結して接続し、
前記反応管に、炭化水素系ガスを前記ガス改質装置で水蒸気改質することで得られた改質ガス、または炭化水素系ガスを前記ガス改質装置で部分酸化することによって得られた改質ガスを流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するように構成したことを特徴とする高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項11】
二酸化炭素吸収材を充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、その反応管に接続されている前記ガス改質装置で生成された改質ガスを供給流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
この反応を少なくとも2本の反応管に連結された導入路を切り替えることで、交互に行なわせるように構成したことを特徴とする請求項10に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項12】
二酸化炭素吸収材を充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、その反応管に接続されている前記ガス改質装置で生成された改質ガスを供給流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
前記ガス改質装置に連通接続されている反応管に収容されている二酸化炭素吸収材と前記他の反応管に収容されている二酸化炭素吸収材とを流動装置で入替えるように構成したことを特徴とする請求項10に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項13】
前記ガス改質装置において改質ガスを生成する際に発生した二酸化炭素を前記他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収することを特徴とする請求項10〜12に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項14】
炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填した反応管に、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するように構成したことを特徴とする高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項15】
炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
この反応を少なくとも2本の反応管に連結された導入路を切り替えることで、交互に行なわせるように構成したことを特徴とする請求項14に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項16】
炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
前記改質ガス生成用原料ガスを流通させる反応管に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物と、前記他の反応管に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物とを流動装置で入替えるように構成したことを特徴とする請求項14に記載の高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置。
【請求項17】
前記改質ガス、または改質ガス生成用原料ガスを前記反応管に流通させる際に、反応管の温度を900℃〜1000℃に保持するように構成したことを特徴とする請求項10〜16に記載の高一酸化炭素濃度浸炭ガスの製造装置。
【請求項18】
前記二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収を900℃〜1000℃の温度で行なうようにしたことを特徴とする請求項10〜17に記載の高一酸化炭素濃度浸炭ガスの製造装置。
【請求項19】
前記二酸化炭素吸収材が、アルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属酸化物を含有する複合酸化物であることを特徴とする請求項10〜18に記載の高一酸化炭素濃度浸炭ガスの製造装置。
【請求項20】
前記二酸化炭素吸収材が、Ba2TiO4系複合酸化物を主たる成分とするものであることを特徴とする請求項19に記載の高一酸化炭素濃度浸炭ガスの製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガスの製造方法及びその製造装置に関し、特に、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ガスを製造するものとして従来、炭化水素系のガスを水蒸気改質した改質ガスや、炭化水素系のガスを部分酸化して改質した改質ガスを原料として行うものが知られている。
【0003】
炭化水素系ガスの水蒸気改質は、化学式(1)のように記述され、吸熱反応であり、H/CO比が高い合成ガスが得られることから、主に水素製造分野に適用されている。
2n+2 + nHO → (2n+1)H + nCO (1)
【0004】
一方、炭化水素系ガスの部分酸化改質は、化学式(2)に示すように燃料を部分酸化させて水素を生成する発熱反応であり、反応速度が早く、気体空間速度を大きくできるメリットがある反面、熱効率が低いというデメリットが見られる。
2n+2 + 1/2nO→ (n+1)H + nCO (2)
【0005】
【特許文献1】特開2006−45049
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の改質ガスを利用した合成ガスの生成技術では、例えば、炭化水素としてメタンガスを使用した場合には、その生成ガス中の水素と一酸化炭素との比率は水蒸気改質では約3:1となり、部分酸化改質では約2:1となる。
メタノール合成やFT合成においては2:1の合成ガスが必要であり、DME合成においては1:1の合成ガスが必要となる。
このため、水蒸気改質によって得られた合成ガスは、どちらの用途においてもそのまま用いることはできない。また、部分酸化によって得られた合成ガスもDME合成にそのまま用いることはできない。
【0007】
本発明は、このような点に着目して、水素ガスに対する一酸化炭素比率の高い合成ガスを提供できる方法及びその製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために請求項1に記載の本発明は、反応管に二酸化炭素吸収材を充填し、この反応管に炭化水素系ガスを水蒸気改質することで得られた改質ガス、または炭化水素系ガスを部分酸化することによって得られた改質ガスを流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させ、この放出された二酸化炭素と改質ガスとの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載した発明の構成において、前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持に燃料ガスを燃焼させ、この燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材に吸収させることを特徴している。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載した発明の構成において、前記改質ガスを生成する際に発生した二酸化炭素を、前記他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを反応管に充填し、この反応管に炭化水素系ガスと水蒸気または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させ、この放出された二酸化炭素と改質ガスとの反応により、高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載した発明の構成において、前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持のために燃料ガスを燃焼させ、この燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収させることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記改質ガス、または改質ガス生成用原料ガスを前記反応管に流通させる際に、反応管の温度を900℃〜1100℃に保持することを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の本発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収を900℃〜1100℃の温度で行うことを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の本発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材が、アルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属を含有する複合酸化物であることを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の本発明は、請求項8に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材がBaTiO系複合酸化物を主たる成分とするものを用いることを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の本発明は、二酸化炭素吸収材を充填してなる反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
前記反応管にガス改質装置を連結して接続し、
前記反応管に、炭化水素系ガスを前記ガス改質装置で水蒸気改質することで得られた改質ガス、または炭化水素系ガスを前記ガス改質装置で部分酸化することによって得られた改質ガスを流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するように構成したことを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の本発明は、請求項10に記載した発明の構成において、二酸化炭素吸収材を充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、その反応管に接続されている前記ガス改質装置で生成された改質ガスを供給流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
この反応を少なくとも2本の反応管に連結された導入路を切り替えることで、交互に行なわせるように構成したことを特徴としている。
【0019】
請求項12に記載の本発明は、請求項10に記載した発明の構成において、二酸化炭素吸収材を充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、その反応管に接続されている前記ガス改質装置で生成された改質ガスを供給流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
前記ガス改質装置に連通接続されている反応管に収容されている二酸化炭素吸収材と前記他の反応管に収容されている二酸化炭素吸収材とを流動装置で入替えるように構成したこすることを特徴としている。
【0020】
請求項13に記載の本発明は、請求項10〜12に記載した発明の構成において、前記ガス改質装置において改質ガスを生成する際に発生した二酸化炭素を前記他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収する用に構成したことを特徴としている。
【0021】
請求項14に記載の本発明は、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填した反応管に、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するように構成したことを特徴としている。
【0022】
請求項15に記載の本発明は、請求項14に記載した発明の構成において、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
この反応を少なくとも2本の反応管に連結された導入路を切り替えることで、交互に行なわせるように構成したことを特徴としている。
【0023】
請求項16に記載の本発明は、請求項14に記載した発明の構成において、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、
少なくとも1本の反応管では、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、
他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、
前記改質ガス生成用原料ガスを流通させる反応管に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物と、前記他の反応管に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物とを流動装置で入替えるように構成したことを特徴としている。
【0024】
請求項17に記載の本発明は、請求項10〜16のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記改質ガス、または改質ガス生成用原料ガスを前記反応管に流通させる際に、反応管の温度を900℃〜1000℃に保持するように構成したことを特徴としている。
【0025】
請求項18に記載の本発明は、請求項10〜17のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収を900℃〜1000℃の温度で行なうようにしたことを特徴としている。
【0026】
請求項19に記載の本発明は、請求項10〜18のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材が、アルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属酸化物を含有する複合酸化物であることを特徴としている。
【0027】
請求項20に記載の本発明は、請求項19に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材が、Ba2TiO4系複合酸化物を主たる成分とするものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の本発明では、反応管に二酸化炭素吸収材を充填し、この反応管に炭化水素系ガスを水蒸気改質することで得られた改質ガス、または炭化水素系ガスを部分酸化することによって得られた改質ガスを流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させ、この放出された二酸化炭素と改質ガスとを反応させるようにしたので、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することができる。
【0029】
すなわち、反応管の内部では、炭化水素系ガスを水蒸気改質あるいは、部分酸化改質することで得られた一酸化炭素と水素を含む改質ガスと、二酸化炭素吸収材が二酸化炭素を放出すること(二酸化炭素吸収材の再生)により生じた二酸化炭素とで、下記化学式(3)で表される逆シフト反応が起こり、一酸化炭素が生成されるので、一酸化炭素濃度を高めることができる。
CO + H → CO + HO (3)
なお、改質ガスを生成する改質装置としては、炭化水素と水蒸気あるいは炭化水素と空気(酸素)とからなる原料ガスを高温に保持された触媒層を流通させることで、一酸化炭素と水素とを含む改質ガスを生成するような通常の改質装置を用いることができる。
【0030】
請求項2に記載の本発明では、請求項1に記載した発明の構成において、前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持に燃料ガスを燃焼させ、この燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材に吸収させるようにしているので、反応管での反応に必要な温度を簡単に得ることができるうえ、前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造時での温度保持用としての燃焼熱を得るために燃焼させた燃料ガスの燃焼排ガス中の二酸化炭素を高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するための原料として再利用することができる。
【0031】
請求項3に記載の本発明では、請求項1または2に記載した発明の構成において、前記改質ガスを生成する際に発生した二酸化炭素を、前記他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収するようにしているので、さらに二酸化炭素の再利用が可能になる。
【0032】
請求項4に記載の本発明では、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを反応管に充填し、この反応管に炭化水素系ガスと水蒸気または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させ、この放出された二酸化炭素と改質ガスとを反応させるようにしたので、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することができる。
【0033】
また、反応管に炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための触媒を有しているので、反応管内部で改質ガスを生成することができ、外部に改質装置を別途設置する必要がない。
さらにまた、改質ガス生成用の改質触媒としては、炭化水素系ガスと水蒸気または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを高温に保持された触媒層を通過させることで一酸化炭素、水素を含む合成ガスを生成するような通常の炭化水素の水蒸気改質あるいは部分酸化改質に使用される触媒を用いることができ、好適にはニッケル触媒を用いることができる。
【0034】
請求項5に記載の本発明では、請求項4に記載した発明の構成において、前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持に燃料ガスを燃焼させ、この燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収させるようにしているので、反応管での反応に必要な温度を簡単に得ることができるうえ、前記高一酸化炭素濃度合成ガスを製造時での温度保持用としての燃焼熱を得るために燃焼させた燃料ガスの燃焼排ガス中の二酸化炭素を高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するための原料として再利用することができる。
【0035】
請求項6に記載の本発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記改質ガス、または改質ガス生成用原料ガスを前記反応管に流通させる際に、反応管の温度を900℃〜1100℃に保持するようにしているので、二酸化炭素の放出などの反応と、前述の逆シフト反応とを効率よく行うことができる。
【0036】
請求項7に記載の本発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収を900℃〜1100℃の温度で行うようにしているので、二酸化炭素の吸収を二酸化炭素吸収材からの二酸化炭素の放出などの反応及び前述の逆シフト反応と同じ温度域で行うことができる。
【0037】
請求項8に記載の本発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材として、アルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属を含有する複合酸化物を用いるように、また、請求項9に記載の本発明では、請求項8に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材がBaTiO系複合酸化物を主たる成分とするものを用いるようにしたので、高温条件下で高一酸化炭素濃度合成ガスの生成を行うことができる。
【0038】
二酸化炭素吸収材としては、例えば、Ba、Ca、Srを含む酸化物、若しくはTi等との複合酸化物を用いることができる。この中で、例えばBaTiOはチタン酸バリウム(BaTiO)を炭酸バリウム(BaCO)の存在下で焼成し、下記の化学式(4)で示されるような反応を生起させることにより得ることができる。
BaTiO + BaCO → BaTiO + CO ↑ (4)
そして、BaTiO系複合酸化物は、特定の条件下で、下記の化学式(5)の反応により、二酸化炭素を吸収し、BaTiOになる。
BaTiO + CO → BaTiO + BaCO (5)
また、二酸化炭素を吸収することで生じたBaTiOとBaCOは、所定の条件下で下記の化学式(6)の反応により二酸化炭素を放出してBaTiOにもどる。
BaTiO + BaCO → BaTiO + CO (6)
【0039】
すなわち、本発明で好適に用いられるBaTiO系複合酸化物は、この化学式(5)及び化学式(6)の反応を利用して、二酸化炭素の吸収・放出を行うことができる。
これらの反応は、周囲の二酸化炭素ガス分圧により、放出あるいは吸収のどちらかの反応が起こる。例えば、900℃の場合、二酸化炭素ガス分圧が5vol%以上のとき、二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素ガス分圧が5vol%以下のとき、二酸化炭素の放出が起こる。また、同じ二酸化炭素ガス分圧でも温度が高くなると、二酸化炭素の放出が起こり、温度が低くなると、二酸化炭素を吸収することになる。したがって、温度スイングあるいは二酸化炭素ガス分圧スイングによって、吸収・放出のいずれかの反応を起こすことができる。
【0040】
請求項10に記載の本発明では、二酸化炭素吸収材を充填してなる反応管を具備した高一酸化炭素濃度の合成ガス製造装置であって、前記反応管にガス改質装置を連結して接続し、前記反応管に、炭化水素系ガスを前記ガス改質装置で水蒸気改質することで得られた改質ガス、または炭化水素系ガスを前記ガス改質装置で部分酸化することによって得られた改質ガスを流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するように構成しているので、簡単な装置構成でありながら、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成することができる。
【0041】
請求項11に記載の本発明では、請求項10に記載した発明の構成において、二酸化炭素吸収材を充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、少なくとも1本の反応管では、その反応管に接続されている前記ガス改質装置で生成された改質ガスを供給流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、この反応を少なくとも2本の反応管に連結された導入路を切り替えることで、交互に行わせるようにしているので、反応に必要な温度を得るために燃料ガスを燃焼させることにより発生した燃焼排ガス中の二酸化炭素を高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するための原料として再利用することができるうえ、反応管での反応に必要な温度を簡単に得ることができる。
【0042】
請求項12に記載の本発明では、請求項10に記載した発明の構成において、二酸化炭素吸収材を充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、少なくとも1本の反応管では、その反応管に接続されている前記ガス改質装置で生成された改質ガスを供給流通させ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、前記ガス改質装置に連通接続されている反応管に収容されている二酸化炭素吸収材と前記他の反応管に収容されている二酸化炭素吸収材とを流動装置で入替えるように構成しているので、両反応管内に収容されている二酸化炭素吸収材を入替えるだけの簡単な操作で連続的に一酸化炭素濃度合成ガスを生成することができる。
【0043】
請求項13に記載の本発明では、請求項10〜12のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記ガス改質装置において改質ガスを生成の際に発生した二酸化炭素を前記他の反応管に充填した二酸化炭素吸収材で吸収するようにしているので、さらに二酸化炭素の再利用が可能になる。
【0044】
請求項14に記載の本発明では、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填した反応管に、炭化水素系ガスと水蒸気または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスとの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するように構成しているので、別途、改質装置を設ける必要がなく、高一酸化炭素濃度合成ガスを生成する装置として、構成を簡略化することができる。
【0045】
請求項15に記載の本発明では、請求項14に記載した発明の構成において、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填した少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、少なくとも1本の反応管では、炭化水素系ガスと水蒸気または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスとの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際での温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生する燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、この反応を少なくと2本の反応管に連結された導入路を切り替えることで、交互に行わせるようにしているので、別途改質ガスを生成するための改質装置を設ける必要がなく、構成を簡素化することができるうえ、改質ガスの処理時に生成される二酸化炭素を一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成する際の原料ガスとして再利用することができる。また、反応管での反応に必要な温度を簡単に得ることができる。
【0046】
請求項16に記載の本発明では、請求項14に記載した発明の構成において、炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒と二酸化炭素吸収材とを充填してなる少なくとも2本の反応管を具備した高一酸化炭素濃度合成ガスの製造装置であって、少なくとも1本の反応管では、炭化水素系ガスと水蒸気、または炭化水素系ガスと酸素とを含む改質ガス生成用原料ガスを流通させることで改質ガスを生成し、さらに、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を放出させるとともに、二酸化炭素吸収材から放出された二酸化炭素と改質ガスの反応により、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、他の少なくとも1本の反応管では、その反応管に高一酸化炭素濃度合成ガスを製造する際の温度保持用に燃料ガスを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを流通させ、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材で吸収させ、前記改質ガス生成用原料ガスを流通させる反応管に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物と、前記他の反応管に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物とを流動装置で入替えるように構成しているので、両反応管内に収容されている改質触媒と二酸化炭素吸収材との混合物を入替えるだけの簡単な操作で連続的に一酸化炭素濃度合成ガスを生成することができる。
【0047】
請求項17に記載の本発明では、請求項10〜16のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記改質ガスまたは、改質ガス生成用原料ガスを前記反応管に流通させる際に、反応管の温度を900℃〜1100℃に保持するようにしているので、二酸化炭素の放出などの反応と、前述の逆シフト反応とを効率よく行うことができる。
【0048】
請求項18に記載の本発明では、請求項10〜17のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材による二酸化炭素の吸収を900℃〜1100℃の温度で行うようにしているので、二酸化炭素の吸収を二酸化炭素吸収材からの二酸化炭素の放出などの反応及び前述の逆シフト反応と同じ温度域で行うことができる。
【0049】
請求項19に記載の本発明では、請求項10〜18のいずれか1項に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材が、アルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属酸化物を含有する複合酸化物を用いるように、また、請求項20に記載の本発明では、請求項19に記載した発明の構成において、前記二酸化炭素吸収材がBaTiO系複合酸化物を主たる成分とするものを用いるようにしたので、高温条件下で高一酸化炭素濃度合成ガスの生成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1は、本発明の一実施形態を示す高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置の概略構成図である。
図1の高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)は、内部に並設配置した2本の反応管(2)(3)と、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内を加熱するためのバーナ(4)と、この高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)の内部に配置されている反応管(2)(3)と改質装置(5)とを連通接続する改質ガス供給路(6)と、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)の内部と各反応管(2)(3)とを連通接続する燃焼排ガス供給路(7)及び各反応管(2)(3)から導出した高一酸化炭素濃度合成ガス取出路(8)と排出ガス取出路(9)とを具備しており、各反応管(2)(3)の内部には二酸化炭素吸収材(10)(11)が充填してある。そして、改質ガス供給路(6)、燃焼排ガス供給路(7)、高一酸化炭素濃度合成ガス取出路(8)、排出ガス取出路(9)には、それぞれ流路切換弁(12)が装着されている。
【0051】
バーナ(4)には燃料ガス導入路(13)が連通接続してあり、この燃料ガス導入路(13)から供給された燃料ガスを高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内で燃焼させることにより、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内を900℃から1100℃の温度雰囲気に保持して反応管(2)(3)での二酸化炭素吸収材(10)(11)からの二酸化炭素放出と逆シフト反応とに必要な熱を付与するようにしてある。
【0052】
図1は、図上右側の反応管(2)が改質ガス供給路(6)を介して改質装置(5)に連通するとともに高一酸化炭素濃度合成ガス取出路(8)と連通し、図上左側の反応管(3)が燃焼排ガス供給路(7)を介して高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)の内部に連通するとともに排出ガス取出路(9)と連通する状態を示している。この状態での改質ガスの流れを実線矢印で、また燃焼排ガスの流れを破線矢印で示している。
【0053】
改質装置(5)にはメタンガス等の飽和炭化水素系ガスと水蒸気からなる原料ガスが供給され、この改質装置(5)内で炭化水素系ガスを水蒸気改質して、水素・一酸化炭素が混合した改質ガスとして図上右側に位置する反応管(2)に供給するようにしてある。
【0054】
反応管(2)内に充填する二酸化炭素吸収材(10)としては、BaTiO系複合酸化物を主たる成分とするものが充填してあり、改質装置(5)から改質ガスを900℃〜1100℃の温度範囲で流通させることにより、反応管(2)内での二酸化炭素吸収材(10)が二酸化炭素を放出する二酸化炭素吸収材の再生と、二酸化炭素と水素の逆シフト反応とにより、一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成し、この一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを高一酸化炭素濃度合成ガス取出路(8)から取り出す。
【0055】
燃料ガスを高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内で燃焼させることにより生じた燃焼排ガスは、燃焼排ガス供給路(7)を介して図上左側の反応管(3)に送給され、この反応管(3)の内部に充填されている二酸化炭素吸収材(11)に燃焼排ガス中の二酸化炭素が吸収され、排出ガス取出路(9)から外部に取り出される。
【0056】
また、改質装置(5)から導出した燃焼ガス供給路(14)を燃焼排ガス供給路(7)に連通接続し、改質装置(5)内で反応温度を保持するために発生した燃焼ガスを、改質ガス装置(5)から導出した燃焼ガス供給路(14)を介して、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内で燃焼させた燃焼排ガスと一緒に流通させるようにしてもよい。
【0057】
反応管(2)内に充填されている二酸化炭素吸収材(10)からの二酸化炭素の放出(二酸化炭素吸収材の再生)が終わると、改質ガス供給路(6)、燃焼排ガス供給路(7)、高一酸化炭素濃度合成ガス取出路(8)、排出ガス取出路(9)にそれぞれ配置した流路切換弁(12)を切換えて改質装置(5)を図上左側の反応管(3)に連通するとともに、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内を図上右側の反応管(2)に連通して、図上左側の反応管(3)に充填されている二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材(11)に改質ガスを作用させて二酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するとともに、図上右側の反応管(2)に充填されている二酸化炭素吸収材(10)に高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内からの燃焼排ガスを作用させて燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材(10)に吸収させる。
【0058】
本発明の高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置では、このようなサイクルを繰り返すように構成されているので、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内を反応管(2)(3)での二酸化炭素吸収材(10)(11)からの二酸化炭素放出と逆シフト反応とに必要な温度雰囲気(900℃〜1100℃)に保持するために必要な熱エネルギーを、燃料ガスの燃焼により得るようにしてあるので、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を、高一酸化炭素濃度合成ガスを生成する際の原料として再利用することができる。
【0059】
図2は、本発明の別の実施形態を示す高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置の概略構成図である。
図2においても、図上右側の反応管(2)では、二酸化炭素吸収材(10)が二酸化炭素を放出している状態を、また、左側反応管(3)では二酸化炭素吸収材(11)が燃焼排ガスから二酸化炭素を吸収している状態を示している。この状態での改質ガスの流れを実線矢印で、また燃焼排ガスの流れを破線矢印で示している。
【0060】
この実施形態では、炭化水素系ガスと水蒸気を含む改質ガス生成用原料ガスを高一酸化炭素濃度合成ガス製造成装置(1)内に配置した2本の反応管(2)(3)に供給する改質ガス生成用原料ガス供給路(15)が各反応管(2)(3)連通接続してあり、この改質ガス生成用原料ガス供給路(15)に流路切換弁(12)装着されている。そして、各反応管内(2)(3)内には、二酸化炭素吸収材(10)(11)とともに炭化水素系ガスから改質ガスを生成するための改質触媒(16)(17)がそれぞれ充填してある。他の構成は、前記した実施形態のものと同様である。
【0061】
本実施形態では、改質ガス生成用原料ガスを、改質ガス生成用原料ガス供給路(15)を介して図上右側に位置する反応管(2)に直接供給すると、図上右側に位置する反応管(2)内では改質ガスへの改質と、その改質ガスと二酸化炭素吸収材(10)の再生及び逆シフト反応が起こり、合成ガスの一酸化炭素の高濃度化を行うようにしている。
【0062】
一方、図上左側に配置されている反応管(3)では、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内で燃料ガスを燃焼させることにより生じた燃焼排ガスが、燃焼排ガス供給路(7)を介して送給され、この反応管(3)の内部に充填されている二酸化炭素吸収材(11)に燃焼排ガス中の二酸化炭素が吸収され、排出ガス取出路(9)から外部に取り出される。
【0063】
反応管(2)内に充填されている二酸化炭素吸収材(10)からの二酸化炭素の放出(二酸化炭素吸収材の再生)が終わると、改質ガス生成用原料ガス供給路(15)、燃焼排ガス供給路(7)、高一酸化炭素濃度合成ガス取出路(8)、排出ガス取出路(9)にそれぞれ配置した流路切換弁(12)を切換えて改質ガス生成用原料ガス供給路(15)を図上左側の反応管(3)に連通するとともに、高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内を図上右側の反応管(2)に連通して、図上左側の反応管(3)に充填されている二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材(11)に改質ガスを作用させて一酸化炭素濃度の高い高一酸化炭素濃度合成ガスを生成するとともに、図上右側の反応管(2)に充填されている二酸化炭素吸収材(10)に高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置(1)内からの燃焼排ガスを作用させて燃焼排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸収材(10)に吸収させる。
【0064】
このようなサイクルを繰り返し行う。そしてこのサイクルを繰り返し行うことにより、二酸化炭素吸収材(10)(11)からの二酸化炭素放出と逆シフト反応とに必要な温度雰囲気(900℃〜1100℃)に保持するために必要な熱エネルギーを、燃料ガスの燃焼により得るようにしてあるので、この燃焼排ガス中の二酸化炭素を、高一酸化炭素濃度合成ガスを生成する際の原料として再利用することができる。
【0065】
上記の図1、図2で示した各実施形態では、2本の反応管(2)(3)を並設し、両反応管(2)(3)に連通するガス導入路(6)(7)(14)(15)、ガス取出路(8)(9)に介装した流路切換弁(12)を切換えることで、各反応管(2)(3)に充填した二酸化炭素吸収材(10)(11)での作用を切換えるようにしているが、1本の反応管に二種類のガス導入路を連通接続させ、該反応管にガス導入路を択一的に接続させるようにして、二酸化炭素の放出・吸収を繰り返し行わせるようにしてもよい。
【0066】
また、前記二酸化炭素吸収材(10)(11)あるいは二酸化炭素吸収材(10)(11)と改質触媒(16)(17)の混合物を流動装置(例えば流動床)を用いて流動させながら改質ガスあるいは改質ガス生成用原料ガスや燃焼排ガスと接触させて反応させるようにしてもよい。
【0067】
この実施形態での二酸化炭素吸収材(10)(11)としても、BaTiO系の複合酸化物を主たる成分とするものを用いることができる。また、改質触媒としては、水蒸気改質用触媒として一般に使用されて知るNi系の触媒を使用することができる。
【0068】
上記の図1〜図2で示した各実施形態では、反応管(2)(3)に供給する改質ガスあるいは改質ガス生成用原料ガスとして、炭化水素系ガスを水蒸気改質したものあるいは水蒸気改質用の原料ガスについて説明したが、この改質ガスあるいは改質ガス生成用原料ガスとしては、炭化水素系ガスを部分酸化させることで得られた改質ガスあるいは部分酸化に用いるのに適した改質ガス生成用原料ガスであってもよい。
【0069】
さらに、上述の各実施形態では、反応管(2)内に充填する二酸化炭素吸収材(10)や反応管(3)内に充填する二酸化炭素吸収材(11)として、BaTiO系複合酸化物を主たる成分とするものを使用したものについて説明したが、これらの二酸化炭素吸収材(10)(11)としては、二酸化炭素吸収能力を有するアルカリ土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属酸化物を含有する複合酸化物を使用することもできる。
【実施例1】
【0070】
外部に伝熱ヒータを備えた内径22mm、長さ300mmのステンレス容器で形成した反応管内に、平均粒径2mmのBaTiO焼結体を二酸化炭素吸収材として88g(約40ml)充填し、20Nl/hで窒素ガスを流通させ、伝熱ヒータにより、窒素ガス入口温度を900℃に制御した。流通させた窒素ガスの温度が安定した後、二酸化炭素ガスを4Nl/hの速度で流通させ、二酸化炭素の吸収を行った。この場合の二酸化炭素濃度は、20 Vol%であった。
【0071】
この二酸化炭素を吸収させた二酸化炭素吸収材に対して、二酸化炭素吸収材の温度を900℃に制御しつつ、メタンガスと酸素が2:1のガスを原料として、部分酸化反応により900℃で改質を行った合成ガスを20Nl/hの流通量で流通させ、二酸化炭素吸収材からの二酸化炭素の放出を行った。二酸化炭素の放出工程における排出ガス(高一酸化炭素濃度合成ガス)組成はガス分析装置(島津製作所製ガスクロマトグラフ)で測定し、二酸化炭素の放出工程における水素、一酸化炭素、メタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
【実施例2】
【0072】
二酸化炭素放出時の二酸化炭素吸収材の温度を950℃に制御した以外は、前記実施例1と同じ方法により、二酸化炭素吸収材からの二酸化炭素の放出を行った。二酸化炭素の放出工程における排出ガス(高一酸化炭素濃度合成ガス)組成はガス分析装置(島津製作所製ガスクロマトグラフ)で測定し、二酸化炭素の放出工程における水素、一酸化炭素、メタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
【実施例3】
【0073】
外部に伝熱ヒータを備えた内径22mm、長さ300mmのステンレス容器で形成した反応管内に、平均粒径2mmのBaTiO焼結体を二酸化炭素吸収材として88g(約40ml)と、改質触媒(Ni系触媒)64g(約40ml)とを充填し、20Nl/hで窒素ガスを流通させ、伝熱ヒータにより、窒素ガス入口温度を900℃に制御した。流通させた窒素ガスの温度が安定した後、二酸化炭素ガスを4Nl/hの速度で流通させ、二酸化炭素の吸収を行った。この場合の二酸化炭素濃度は、20 Vol%であった。
【0074】
この二酸化炭素を吸収させた二酸化炭素吸収材と改質触媒との混合体に対して、この混合体の温度を950℃に制御しつつ、メタンガスと酸素が2:1のガスを20Nl/hの流通量で流通させ、二酸化炭素吸収材からの二酸化炭素放出を行った。二酸化炭素の放出工程における排出ガス(高一酸化炭素濃度合成ガス)組成はガス分析装置(島津製作所製ガスクロマトグラフ)で測定し、二酸化炭素の放出工程における水素、一酸化炭素、メタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
【0075】
次に、上記3つの実施例での二酸化炭素放出工程での排出ガス(高一酸化炭素濃度合成ガス)濃度の測定結果を表1に示す。
比較例として、実施例1で用いたメタンと酸素が2:1のガスを原料として、部分酸化反応により900℃で改質を行った合成ガスの組成を示す。
【0076】
【表1】


【0077】
上記の表から次のことが分かる。
二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材に改質ガス、または改質ガスの原料ガスを流通させると、合成ガス中の一酸化炭素濃度を高めることができる。
なお、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材に、改質ガス、または改質ガスの原料ガスを流通させる際に、900℃よりも低温で処理した場合には、化学式(3)で示した逆シフト反応が進行しにくいため、一酸化炭素濃度を高める効果が低い。
【0078】
二酸化炭素吸収材としては、前記したBaTiO以外に酸化カルシウム(CaO)等のアルカリ土類金属酸化物も利用することができる。
【0079】
実施例では、メタンを部分酸化反応により生成した改質ガスの例を示したが、より一般的な改質ガスの生成方法である水蒸気改質した改質ガスでも、同じように一酸化炭素濃度を高めることが可能である。
メタンを水蒸気改質した場合は、一酸化炭素と水素の比率が1:3となるが、本発明を適用することで一酸化炭素と水素の比率が約1:2の合成ガスを得ることができる。
【0080】
このように、炭化水素からの合成ガス製造プロセスにおいて、一酸化炭素濃度の高い合成ガスを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
通常の改質反応で得られるCO/H比を1/2にすることでメタノール合成や液体燃料合成のためのFT合成にそのまま利用することが可能となる。また、CO/H比を1/1にすると、DME合成にそのまま利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態を示す高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の異なる実施形態を示す高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1…高一酸化炭素濃度合成ガス製造装置、2・3…反応管、5…改質装置、10・11…二酸化炭素吸収材、16・17…改質触媒。
【出願人】 【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成19年2月23日(2007.2.23)
【代理人】 【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二

【識別番号】100121474
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 俊之


【公開番号】 特開2008−208148(P2008−208148A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−43196(P2007−43196)