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【発明の名称】 総合ガス化複合サイクルにおいて排出成分を減少させる装置
【発明者】 【氏名】テリー・ヒューズ

【要約】 【課題】総合ガス化複合サイクル(100)のためのガス除去システムを提供する。

【解決手段】前記ガス除去システムは:総合ガス化複合サイクルから排出された排出成分に富んだ第一溶媒(214)を貯蔵するように構成された富んだ第一溶媒タンク(210)、前記排出成分に富んだ第一溶媒からのガス(218,234)の除去を助長するように構成された第一ストリッパー(212)、前記排出成分に富んだ第一溶媒から除去されたガスを受取って、排出成分に富んだ第二溶媒(232)を製出するように構成された吸収装置(202)および前記排出成分に富んだ第二溶媒を貯蔵するように構成された富んだ第二溶媒タンク(228)を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総合ガス化複合サイクル(100)のためのガス除去システムであって、
前記総合ガス化複合サイクルから排出された排出成分に富んだ第一溶媒(214)を貯蔵するように構成された富んだ第一溶媒タンク(210);
排出成分に富んだ前記第一溶媒からのガス(218,234)の除去を促進するように構成された第一ストリッパー(212);
前記排出成分に富んだ第一溶媒から除去されたガスを受取り、排出成分に富んだ第二溶媒(232)を製出するように構成された吸収装置(202);および
前記排出成分に富んだ第二溶媒を貯蔵するように構成された富んだ第二溶媒タンク(228)
を包含するガス除去システム。
【請求項2】
前記排出成分に富んだ第二溶媒(232)からのガス(218,234)の除去を助長するように構成された第二ストリッパー(236)をさらに包含する請求項1に記載のガス除去システム。
【請求項3】
前記第一ストリッパー(212)から排出された溶媒を貯蔵するように構成された乏しい第一溶媒タンク(208);および
前記第二ストリッパー(236)から排出された溶媒を貯蔵するように構成された乏しい第二溶媒タンク(226)
をさらに包含する請求項2に記載のガス除去システム。
【請求項4】
前記第一および第二ストリッパー(212,236)がガス(238)を少なくとも1基の硫黄回収装置(112)へと排出する請求項2に記載のガス除去システム。
【請求項5】
前記吸収装置(202)がテールガス処理装置(114)の既存の吸収装置からなる請求項2に記載のガス除去システム。
【請求項6】
始動ポンプ(207)と溶媒を前記富んだ第一溶媒タンク(210)へ排出するよう構成された可変圧吸収装置(150)とを含む少なくとも1基の吸収装置(202)をさらに包含する請求項1に記載のガス除去システム。
【請求項7】
前記吸収装置(202)に流路連通的に連結されたリサイクル圧縮機および硫化水素濃縮装置の少なくとも一方をさらに包含する請求項6に記載のガス除去システム。
【請求項8】
ガス化装置;ならびに、
総合ガス化複合サイクル(100)から排出される排出成分に富んだ第一溶媒(214)を貯蔵するように構成された富んだ第一溶媒タンク(210);
前記排出成分に富んだ第一溶媒からのガス(218,234)の除去を助長するように構成された第一ストリッパー(212);
前記排出成分に富んだ第一溶媒から除去されたガスを受取って、排出成分に富んだ第二溶媒(246)を製出するように構成された吸収装置(202);および、
前記排出成分に富んだ第二溶媒を貯蔵するように構成された富んだ第二溶媒タンク(228)
を包含するガス除去システム
を包含する総合ガス化複合サイクル(100)。
【請求項9】
少なくとも1基の硫黄回収装置(112)をさらに包含し、前記ガス処理システムが前記排出成分に富んだ第二溶媒(232)からガス(218,234)を除去するように構成された第二ストリッパー(236)をさらに包含し、前記第一および第二ストリッパーが前記少なくとも1基の硫黄回収装置へとガス(238)を排出するように構成されている請求項8に記載の総合ガス化複合サイクル(100)。
【請求項10】
前記ガス除去システムが、
前記第一ストリッパー(212)から排出された溶媒を貯蔵するように構成された乏しい第一溶媒タンク(208);および
前記第二ストリッパー(236)から排出された溶媒を貯蔵するように構成された乏しい第二溶媒タンク(226)
をさらに包含する請求項8に記載の総合ガス化複合サイクル(100)。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には総合ガス化複合サイクル(IGCC)に関し、より詳細にはIGCCとともに使用する酸性ガス除去(AGR)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知の総合ガス化複合サイクルは、ガス化を利用して、バイオマス原料を分解し、タービンエンジンで使用するための合成ガス(シンガス)を製出している。さらに、IGCC運転中に産生された水蒸気は、蒸気機関を動かすために使用される。既知のIGCCはそれ自体、60%に近い効率で作動できる。ガス化後、既知のUGCCは、通常、ガス化装置で製出された合成ガスから硫黄を除去するための酸性ガス除去システムを利用し、それによってタービンエンジンで使用可能な低硫黄合成ガスを製出する。
【0003】
より詳しくは、合成ガスから硫黄を除去するために、少なくともいくつかの既知のIGCCは、ガス化装置の下流に吸収装置を連結している。この吸収装置は、合成ガスから硫化水素および硫化カルボニルを吸収できる溶媒を含有しており、硫黄に富んだ溶媒が製出される。この硫黄に富んだ溶媒はストリッパーへ運ばれ、そこで、この溶媒から酸性のガスが除去されて、硫黄含量の低い溶媒を吸収装置へ再循環することができる。酸性のガス類は、つぎに、硫黄回収装置へと流路を運ばれ、ここで、利用可能な硫黄製品が、ガス化装置へ再循環できるガス類とともに産生される。
【0004】
少なくともいくつかの既知の酸性ガス除去システムは、すべての運転条件の間、現行の排出基準に適合できない可能性がある。たとえば、高硫黄始動燃料は、大量の排出成分(排気ガス成分)を産生するかもしれない。製出された排出成分の多くは酸性ガス除去過程の間に捕捉されるが、少なくとも若干の排出成分が、システムの運転停止、装置の故障あるいは硫黄回収装置の不調の間に、大気中へ放出されるかもしれない。
【0005】
排出成分低減を容易にする既知の一方法は、低硫黄始動燃料またはメタノールを利用することである。しかし、かかるシステムは、通常、追加の在庫および取扱い設備を必要とし、それらがIGCC関連費用を増大させる。他の既知のシステムは、ガス化に直ちに引続いての合成ガスの吸収を容易にするための始動用吸収装置を包含している。しかし、かかる吸収装置に使用される溶媒は、一般的には、低温で動作し、低温合成ガスを要求する。少なくともいくつかの既知システムでは、始動用吸収装置それ自体が実用不可能である。さらに、既知の始動用吸収装置は、酸性ガス除去システムより上流で排出成分を減少させることができるのみであるが、多くのシステムでは、酸性ガス除去システムの下流で排出成分が産生されうる。
【特許文献1】米国特許第7,137,257号
【特許文献2】米国特許第6,824,575号
【特許文献3】米国特許第6,519,945号
【特許文献4】米国特許第6,513,317号
【特許文献5】米国特許第6,432,368号
【特許文献6】米国特許第6,216,436号
【特許文献7】米国特許第5,953,899号
【特許文献8】米国特許第5,901,547号
【特許文献9】米国特許第5,740,673号
【特許文献10】米国特許第5,421,166号
【特許文献11】米国特許第5,081,845号
【特許文献12】米国特許第4,785,622号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、総合ガス化複合サイクルにおいて排出成分を減少させるための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一面では、総合ガス化複合サイクルのためのガス除去システムが提供される。前記ガス除去システムは、総合ガス化複合サイクルから排出された排出成分に富んだ第一溶媒を貯蔵するよう構成された富んだ第一溶媒タンクおよび前記排出成分に富んだ第一溶媒からのガスの除去を助長するように構成された第一ストリッパーを包含する。前記ガス除去システムは、また、前記排出成分に富んだ第一溶媒から除去されたガスを受入れて、排出成分に富んだ第二溶媒を製出するように構成された吸収装置および前記排出成分に富んだ第二溶媒を貯蔵するように構成された富んだ第二溶媒タンクを包含する。
【0008】
他の一面では、総合ガス化複合サイクルが提供される。前記総合ガス化複合サイクルは、ガス化装置ならびに総合ガス化複合サイクルから排出された排出成分に富んだ第一溶媒を貯蔵するように構成された富んだ第一溶媒タンクおよび前記排出成分に富んだ第一溶媒からのガスの除去を助長するように構成された第一ストリッパーを包含するガス除去システムを包含する。前記ガス除去システムは、また、排出成分に富んだ第一溶媒から除去されたガスを受入れて、排出成分に富んだ第二溶媒を製出するように構成された吸収装置および前記排出成分に富んだ第二溶媒を貯蔵するように構成された富んだ第二溶媒タンクを包含する。
【0009】
またここでは、総合ガス化複合サイクルのためのガス除去システムを組立てる方法が開示される。前記方法は、富んだ(リッチな)第一溶媒タンクを前記総合ガス化複合サイクルと流路連通的に連結して、総合ガス化複合サイクルから排出された排出成分に富んだ第一溶媒を貯蔵し、第一ストリッパーを前記富んだ第一溶媒タンクと流路連通的に連結して、前記排出成分に富んだ第一溶媒からのガスの除去を助長することを包含する。前記方法は、また、吸収装置を前記第一ストリッパーと流路連通的に連結して、前記第一ストリッパーからのガスを受取って、排出成分に富んだ第二溶媒を製出するようにさせ、富んだ第二溶媒タンクを前記吸収装置に流路連通的に連結して、前記排出成分に富んだ第二溶媒を貯蔵させることを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本書で用いる「乏しい(リーンな)」とは、実質的に排出成分を含有しない溶媒または合成ガスを記述するために用いる。「富んだ(リッチな)」とは、排出成分を含有する溶媒または合成ガスを記述するために用いる。
【0011】
図1は、総合ガス化複合サイクル(IGCC)100の一概念図である。IGCC100は、第一ガス化系列102および第二ガス化系列104を包含している。各ガス化系列102および104は、酸性ガス除去(AGR)システム106と流路連通的に連結されている。AGR106は、各々にガス化系列102またはガス化系列104に流路連通的に連結されている一対の吸収装置108を包含している。AGR106の下流に少なくとも1基の燃焼タービン110が連結される。この実施例では、2基のタービンエンジン110がAGR106の下流に連結されている。さらに、少なくとも1基の硫黄回収装置(SRU)112がAGR106の下流に連結される。この実施例では、2基のSRUがAGR106の下流に連結されている。テールガス処理装置(TGTU)114が少なくとも1基のSRU112に流路連通的に連結される。本実施例では、TGTUが両SRU112に流路連通的に連結されている。
【0012】
運転の間は、ガス化系列102および104が、排出成分に富んだ合成ガス(シンガス)を製出し、これはそれぞれの各吸収装置108へ導かれる。吸収装置108内では、合成ガスが排出成分に乏しい第一溶媒と混合されて、排出成分の除去を促進する。具体例では、前記排出成分に乏しい第一溶媒は、合成ガスから硫化水素および硫化カルボニルを除去するのに使用されるセレクソール(Selexol)である。代替実施例では、他の化学的排出成分を除去するために種々の異なる溶媒が使用される。吸収装置108内では、排出成分に乏しい第一溶媒が、排出成分に富んだ合成ガスと、高圧低温で接触させられる。これらの圧力、温度のもとでは、排出成分に対する溶媒の高い溶解性のために、排出成分が前記溶媒中に吸収されることになり、排出成分に乏しい合成ガスが産生される。この排出成分に乏しい合成ガスは、少なくとも1基のタービン110へと流路を運ばれ、動力発生のための各タービン110内での燃焼を助長するべく使用される。排出成分に乏しい合成ガスの各タービン110内での燃焼で生じた熱は、回収されて、水蒸気を発生させ、これは蒸気タービン118へと流路を運ばれて、追加の動力を産生する。総合ガス化複合サイクル100は、それとしては、ガス化を利用して、タービンエンジンおよび蒸気タービンの両方を動かす。
【0013】
排出成分に乏しい合成ガスを製出することに加えて、吸収装置108は、排出成分に富んだ溶媒をも製出する。AGR106を去るに先立ち、排出成分に富んだ溶媒はストリッピングを受けて、ガスと排出成分に乏しい溶媒とを生じる。すなわち、ストリッパー(図示せず)が、水蒸気からの熱を利用して、排出成分に富んだ溶媒を加熱し、それらの排出成分が排出成分に富んだ溶媒からガスとして放出されるようにする。生じた排出成分に乏しい溶媒は、吸収装置108へと再循環され、前記のガスは、少なくとも1基のSRU112中へと排出される。ガスを受取る各SRU112内では、それらのガスが、硫黄とテールガスとを生じる化学反応を受ける。硫黄は、除去して、任意の産業目的のために利用でき、テールガスはTGTU114中へと排出される。TGTUを出た処理ずみテールガスは、ガス化系列102および104へ送り戻されるか、または、第一または第二吸収装置中で再吸収される。
【0014】
上記のプロセスは、合成ガスからガス、とりわけ硫黄ガスを除去し、低水準排出成分を産生させるために利用される。しかし、上記の装置は、設備の故障または運転停止の可能性がある。設備の故障、とりわけSRUの不調、あるいは操業休止があれば、その間は、上記システムはより高濃度の排出物を大気中へ放出する可能性がある。
【0015】
図2は、可変圧始動用吸収装置150および低圧再吸収装置152を包含するIGCC100の概念図である。詳しくは、可変圧始動用吸収装置150は、ガス化系列102およびガス化系列104の下流に流路連通的に連結されている。低圧再吸収装置152は、AGR106と流路連通的に連結されており、AGR106から放出されたガスを低圧再吸収装置152へ循環させることができる。
【0016】
運転に先立ち、可変圧吸収装置150が大気圧下で循環を行なう。可変圧吸収装置150内の低圧のため、排出成分に富んだ始動ガスは、始動運転条件の間にガス化系列102および104から直ちに導入されうる。産生された合成ガスは、可変圧吸収装置150を通り、そこで、排出成分に富んだ溶媒が産生される。この排出成分に富んだ溶媒は、AGR106を貫流し、そこで貯蔵され、のちにストリッピングを受けて、ガスを産生する。生じたガスは、つぎに、少なくとも1基のSRU112へと導かれるか、あるいは、第二溶媒流との流体接触が利用されて、さらに排出成分が除去される低圧再吸収装置152へと導かれる。この実施例では、前記第二溶媒はメチルジエタノールアミン類(MDEA)であるが、相対的低圧下での吸収効率向上のために他の溶媒をもって置換えてもよい。低圧再吸収装置152は、排出成分に富んだ溶媒を製出し、これはのちにストリッピングを受けて、追加のガスを製出する。これらのガスは、低圧再吸収装置152を通して再循環でき、あるいは、少なくとも1基のSRU112へ導かれ、上記のごときさらなる処理を受けさせることができる。可変圧吸収装置150および低圧再吸収装置152の意義は、図3の図解からよりよく理解できよう。
【0017】
図3は、IGCC100(図2に示した)とともに使用できる酸性ガス除去(AGR)システム200の概念的説明図である。一実施例では、AGR200は、既存のAGRを有する既存のIGCCとともに使用するべく設計される。図示した実施例では、AGR200が3基の吸収装置202を包含している。代替一実施例では、AGR200は、3基より多くのまたは少ない吸収装置202を包含する。各吸収装置202は、既存のAGRから排出成分に乏しい溶媒204および合成ガス206を受取る。本実施例では、吸収装置202は、セレクソールを受取り、それが、合成ガスから硫化水素および硫化カルボニルを除去するのに利用されるが、代替実施例では、他の溶媒を用いて、合成ガスから排出成分を除去してもよい。本実施例では、吸収装置202は、吸収装置202中で大気圧下に溶媒を循環させる始動ポンプ207を組み込んだ既存の吸収装置である。代替実施例では、吸収装置202は、IGCC100に連結された可変圧吸収装置である。排出成分に乏しい第一溶媒タンク208は、吸収装置202に流路連通的に連結されており、吸収装置202は排出成分に富んだ第一溶媒タンク210に流路連通的に連結されている。
【0018】
第一ストリッパー212は、排出成分に富んだ第一溶媒タンク210および既存のAGR(すなわち、図2に示したAGR106)の両者の下流に連結されて、第一ストリッパー212が、既存のAGRおよび溶媒タンク210の両者から、排出成分に富んだ溶媒214を受取るようになっている。ストリッパー212は、排出成分に乏しい溶媒216およびガス218を製出する。ノックアウトドラム220が、第一ストリッパー212に、それの下流で、流路連通的に連結されている。代替的には、AGR200がノックアウトドラム220を包含しない。2基の硫黄回収装置(SRU)222が、ドラム220の下流に連結されている。代替実施例では、AGR200は2基よりも多くのまたは少ないSRU222を包含する。
【0019】
第二吸収装置224も、ストリッパー212の下流に連結され、そこからガス218を受取る。本実施例では、吸収装置224は低圧吸収装置であるが、低圧吸収装置であることに限定されるものではない。さらに、本実施例では、第二吸収装置224が、IGCC100に付加される追加構成要素である。代替的には、前記第二吸収装置224が、IGCC100とともに使用されるテールガス処理装置からの既存吸収装置であってもよい。第二吸収装置224は、排出成分に乏しい第二溶媒タンク226および排出成分に富んだ第二溶媒タンク228に流路連通的に連結されている。すなわち、第二吸収装置224が、排出成分に乏しい第二溶媒タンク226から排出成分に乏しい第二溶媒230を受取り、排出成分に富んだ溶媒232を排出成分に富んだ第二溶媒タンク228へと排出する。第二吸収装置224で使用される溶媒が第一吸収装置202で使用される溶媒と同一である代替実施例では、第二吸収装置224は、排出成分に乏しい第一溶媒タンク208から排出成分に乏しい溶媒を受取り、排出成分に富んだ溶媒を排出成分に富んだ第一溶媒タンク210へと排出する。かかる実施例それ自体は、排出成分に乏しい第二溶媒タンク226および排出成分に富んだ第二溶媒タンク228を包含しない。例示の実施例では、排出成分に乏しい溶媒230であるメチルジエタノールアミン類(MDEA)を使用して硫化水素を除去するが、ストリッパー212から受取った硫化カルボニルなどの他の排出成分を再吸収するために他の溶媒を使用してもよい。吸収装置224中で産生されたガス234は、熱酸化スタックもしくはフレアヘッダー(図示せず)へと排出される。
【0020】
第二ストリッパー236が、排出成分に富んだ第二溶媒タンク228と流路連通的に連結される。例示の実施例では、ストリッパー236は、IGCC100に付加された追加の構成要素である。代替実施例では、ストリッパー236は、IGCC100とともに使用されるテールガス処理装置からの既存のストリッパーであってよい。ストリッパー236は、排出成分に乏しい溶媒230を溶媒タンク226へと回帰させる。さらに、第二ストリッパー236は、ガスをSRU222へと排出し、ガス238をフレアヘッダー(図示せず)へと排出する。かくして、例示の実施例では、吸収装置224およびストリッパー236が第一ストリッパー212からのガス218の再吸収およびSRU222からのテールガスの再吸収を促進する。代替実施例では、吸収装置224およびストリッパー236を、第一ストリッパー212からのガス218を再吸収するだけとなるように設計してもよい。
【0021】
運転の間、吸収装置202は、既存のガス化系列から合成ガス206を受取り、始動ポンプ207は、溶媒タンク208からの乏しい溶媒を吸収装置202へと運ぶ。ポンプ207は、乏しい溶媒タンク208からの乏しい溶媒を大気圧下の吸収装置202を通して循環させる。吸収装置202中の大気圧のため、吸収装置202が、ガス化装置が始動されたときに、直ちに排出成分に富んだ合成ガスを受入れることが可能になる。
【0022】
排出成分に富んだ合成ガスおよび排出成分に乏しい溶媒が吸収装置202中で混合し、そこで排出成分に乏しい合成ガスと排出成分に富んだ溶媒とが製出される。排出成分に乏しい合成ガス240は吸収装置202から流路を運ばれて、タービンエンジンの運転に使用され、排出成分に富んだ溶媒はタンク210へと運ばれる。排出成分に富んだ溶媒は、始動操作条件の間はタンク210中に留まるので、排出成分に富んだ溶媒から大気中へ排出成分が放出されることはない。
【0023】
始動操作の間、排出成分に富んだ溶媒がタンク210へと運ばれたのち、IGCCは通常運転を再開することができる。通常運転の間、合成ガス206および排出成分に乏しい溶媒204が、既存のガス化系列から吸収装置202へと運ばれる。溶媒タンク208からの流れは、通常運転の間、バルブ242を用いて阻止される。合成ガス206と排出成分に乏しい溶媒204とは、吸収装置202中で混合し、排出成分に乏しい合成ガスと排出成分に富んだ第一溶媒とを産生する。この運転期間中、排出成分に富んだ第一溶媒タンク210への流れも、バルブ244を用いて阻止される。かくして、排出成分に乏しい合成ガス240および排出成分に富んだ溶媒246はともに既存のシステムへ戻される。すなわち、排出成分に乏しい合成ガスはタービンエンジンの運転に利用され、排出成分に富んだ溶媒は既存のAGRへ戻される。
【0024】
通常運転状態が継続するとき、既存のAGRからの排出成分に富んだ溶媒214はストリッパー212へと運ばれる。ストリッパー212中で、前記排出成分に富んだ溶媒から排出成分が除去されて、ガス218が産生される。ガス218は、つぎに、ノックアウトドラム220へと運ばれ、そこで残留溶媒があれば、それもガス218から除去される。ノックアウトドラム220中の圧が高くなっているため、残留ガス218は、ノックアウトドラム220を出て、流路248に沿って、吸収装置224へと運ばれることとなり、ここでそれらのガスが再吸収される。
【0025】
吸収装置224内では、それらのガスが、排出成分に乏しい第二溶媒タンク226から運ばれてきた排出成分に乏しい第二溶媒と混合し、排出成分に富んだ溶媒を産生する。タンク226の溶媒選択に応じて、硫化カルボニルなどの若干のガスが再吸収されずに、さらなるガスを産生することもありうる。それら追加のガスは、熱酸化装置またはフレアヘッダー(図示せず)へ運ばれ、排出成分に富んだ溶媒は、排出成分に富んだ第二溶媒タンク228へと運ばれ、排出成分に富んだ溶媒はそこで貯蔵されるので、前記排出成分に富んだ溶媒から排出成分が大気中へ放出されることはない。
【0026】
硫黄回収装置(SRU)222が安定した運転状態に達すると、溶媒タンク210に貯蔵されていた排出成分に富んだ溶媒がストリッパー212へ運ばれる。同様に、溶媒タンク228に貯蔵されていた排出成分に富んだ溶媒はストリッパー236へと運ばれる。ストリッパー212およびストリッパー236の両者は、ガスを製出し、それらはSRU222へと流れる。ストリッパー212によって製出された排出成分に乏しい溶媒216は、既存のAGRへと運ばれ、ストリッパー236中で製出された排出成分に乏しい溶媒230は、排出成分に乏しい第二溶媒タンク226へと運ばれて、そこで吸収装置224によって再利用されることができる。さらに、SRU222中のガスは、経路250を通して、吸収装置224へと送り返される。
【0027】
SRU222が不調でオフライン状態となった場合、SRU222へのガス流が吸収装置224へと向けられるので、存在する可能性のあるいかなる排出成分も、排出成分に富んだ第二溶媒タンク228内に貯蔵される。排出成分は、SRU222が適切な運転状態に達するまで、タンク228内に貯蔵される。かくして、排出成分はAGR内に貯蔵され、SRU不調の間によく見られるように大気中へ放出されることはない。さらに、ガス化装置の不調またはガス化装置運転停止の間は、排出成分は、それらをストリッパー212経由でSRU222へ送ることができるようになるまで、排出成分に富んだ第一溶媒タンク210内に貯蔵される。かくして、排出成分に富んだ第一溶媒タンク210中に貯蔵された排出成分も、同様に、大気中へ放出されることがない。
【0028】
代替実施例では、IGCC100は、第二吸収装置224と流路連通的に連結されたリサイクル圧縮機を包含する。このリサイクル圧縮機は、排出ガスを所要の圧力まで圧縮して、排出成分ガスがガス化系列102へ再循環されうるように、または、排出成分に富んだ第二溶媒タンク228での再吸収および貯蔵のために第二吸収装置224へ入ることができるようにする。他の代替実施例では、IGCC100が、第二吸収装置224と流路連通的に連結されたHS濃縮装置を包含する。
【0029】
上述の方法および装置は、極小の排出でIGCCを始動することを可能にする。すなわち、始動の間に産生された排出成分が、最初のうち、IGCC内のシステムのすべてが安定した運転状態に達するまで、排出成分に富んだ第一溶媒タンク中に貯蔵される。すべてのシステムが安定すると、それら排出成分は通常流路を通り続けても良い。さらに、上記の方法および装置は、設備の不調または運転停止の間に生じる排出成分の数を減少させるのを容易にする。これは再吸収を通じて達成される。すなわち、設備不調の間、ガス類は、排出成分に富んだ第一溶媒タンクあるいは排出成分に富んだ第二溶媒タンクのいずれかへ行先を変更して、貯蔵することができる。排出成分が大気中に放出されることがないよう、その実質的期間にわたり、これらのガスは前記タンクに貯蔵され得る。IGCCが再び適切に機能または始動すると、排出成分が再び通常流路を通るようになる。
【0030】
本書において、不定冠詞に続けて単数形で挙げた要素または工程は、明示的に除外する旨を述べない限り、複数の前記要素または工程を排除していないものと解されるべきである。さらに、本発明の「一実施例」というとき、それは、記述した特徴を同様に組み込むこととなる追加の実施例の存在を排除すると解されることを意図したものではない。
【0031】
本書で記述した装置および方法は、総合ガス化複合サイクル(IGCC)のための酸性ガス除去システム(AGR)に関連して記述されているが、それら装置および方法がAGRまたはIGCCに限定されるものではないことを了解されたい。同様に、説明したAGRの構成要素は、本書記載の特定の実施例に限定されるものではなく、本書記載の他の構成要素から別個独立に利用することができる。
【0032】
本発明を種々の特定の実施例によって説明したが、当業者には、特許請求の範囲の精神および範囲の中で変更し実施できることを了解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】既知の総合ガス化複合サイクル(IGCC)システムの既知の一例の概念図である。
【図2】図1に示したIGCCシステムが可変圧始動用吸収装置および低圧再吸収装置を含む場合の概念図である。
【図3】図2に示したIGCCシステムとともに使用できる酸性ガス除去(AGR)システムの概念図である。
【符号の説明】
【0034】
100 総合ガス化複合サイクル
102 ガス化系列
104 ガス化系列
106 AGR
108 吸収装置
110 燃焼タービン
112 硫黄回収装置
114 テールガス処理装置
116 空気分離装置
118 蒸気タービン
150 可変圧吸収装置
152 低圧吸収装置
200 AGR
202 第一吸収装置
204 硫黄に乏しい第一溶媒
206 合成ガス
207 始動ポンプ
208 乏しい第一溶媒タンク
210 富んだ第一溶媒タンク
212 第一ストリッパー
214 硫黄に富んだ第一溶媒
216 硫黄に乏しい第一溶媒
218 酸性ガス
220 ノックアウトドラム
222 硫黄回収装置
224 第二吸収装置
226 MDEAに乏しい第二溶媒タンク
228 MDEAに富んだ第二溶媒タンク
230 MDEAに乏しい第二溶媒
234 ガス
236 第二ストリッパー
238 ガス
240 硫黄に乏しい合成ガス
242 バルブ
244 バルブ
246 硫黄に富んだ第二溶媒
248 流路
300 リサイクル圧縮機
310 HS濃縮装置
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成19年9月5日(2007.9.5)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一

【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博

【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久

【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志


【公開番号】 特開2008−133436(P2008−133436A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2007−229779(P2007−229779)