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【発明の名称】 バイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置
【発明者】 【氏名】山口 英男

【氏名】加藤 卓己

【要約】 【課題】熱分解ガス中のタールを、圧力と温度に基づいて容易かつ確実に除去でき、かつ除去に要するコストの低減が可能であるとともに、熱分解ガスの発熱量の低下も防止することが可能であり、そしてまた、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することが可能で、当該システム中で合理的にタールを除去することができるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置の提供。

【構成】バイオマス原料を熱分解処理して得た熱分解ガスからタールを除去する装置であって、熱分解ガスの流れ方向上流から下流に順次、熱分解ガスを圧縮処理する圧縮装置1と、圧縮処理後の熱分解ガスを冷却処理する冷却装置2を設けた。熱分解ガスで運転される発電装置3を備え、圧縮装置1は発電装置3の排ガスで作動されるターボチャージャー1aで構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を熱分解処理して得た熱分解ガスからタールを除去する方法であって、
上記熱分解ガスを圧縮処理し、その後、該熱分解ガスを冷却処理することを特徴とするバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法。
【請求項2】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの排ガス圧力で、該熱分解ガスを圧縮処理することを特徴とする請求項1に記載のバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法。
【請求項3】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの回転出力で、該熱分解ガスを圧縮処理することを特徴とする請求項1に記載のバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法。
【請求項4】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置で生成される電力で、該熱分解ガスを圧縮処理することを特徴とする請求項1に記載のバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法。
【請求項5】
バイオマス原料を熱分解処理して得た熱分解ガスからタールを除去する装置であって、
上記熱分解ガスの流れ方向上流から下流に順次、該熱分解ガスを圧縮処理する圧縮装置と、圧縮処理後の該熱分解ガスを冷却処理する冷却装置を設けたことを特徴とするバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置。
【請求項6】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の排ガスで作動されるターボチャージャーであることを特徴とする請求項5に記載のバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置。
【請求項7】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の回転出力軸に連結されて作動されるスーパーチャージャーであることを特徴とする請求項5に記載のバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置。
【請求項8】
前記圧縮装置が電力で駆動されるコンプレッサであることを特徴とする請求項5に記載のバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解ガス中のタールを、圧力と温度に基づいて容易かつ確実に除去でき、かつ除去に要するコストの低減が可能であるとともに、熱分解ガスの発熱量の低下も防止することが可能であり、そしてまた、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することが可能で、当該システム中で合理的にタールを除去することができるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスなどの有機物をガス化炉などで熱分解処理等することで得られる可燃性の熱分解ガスを、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関で燃焼させ、熱だけでなく、発電も行えるようにしたコジェネレーションシステムが注目されている。しかしながら、熱分解ガス中には、副産物としてタールが含まれていて、このタールは、後段の配管の閉塞や機器の動作不良の原因となっている。そしてこのタールの除去のために膨大なメンテナンス費用がかかり、システムとしての採算性に多大な悪影響を及ぼす。
【0003】
タールの除去方法としては、酸素等の酸化剤付加による高温熱分解や、凝縮させたタールをフィルタで除去する方法が知られている。後者は、熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中のタールを凝縮させ、ダストと一緒にタールをフィルタで除去するものである。他方、前者としては、例えば特許文献1が知られている。特許文献1の「バイオマスガス化システムの燃料ガス改質装置」では、バイオマスから生成される燃料ガスの流通経路に、燃料ガスを流通させる多孔状に形成され、かつ加熱されて1100℃以上の熱を蓄熱する蓄熱体を設けて構成されている。
【特許文献1】特開2005−60533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タール除去に関し、後者の方法では、フィルタを通過した後もタールは飽和蒸気圧を保っていて、温度が少しでも下がると、タールがさらに凝縮してしまい、依然として、後段の配管等の閉塞を招いてしまうおそれがあるという課題がある。また、特許文献1に代表される前者の方法では、1100℃以上にも及ぶタールを燃焼させる部分があり、そのために求められる設備構成や酸素生成設備であるPSA等の併設が必要であって、設備コストやランニングコストが嵩むとともに、それらの設備スペースも必要で、設備が大型化するという課題がある。またタール処理のための燃焼操作でガスの発熱量が低下し、発電効率が低下してしまうという課題もあった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、熱分解ガス中のタールを、圧力と温度に基づいて容易かつ確実に除去でき、かつ除去に要するコストの低減が可能であるとともに、熱分解ガスの発熱量の低下も防止することが可能であり、そしてまた、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することが可能で、当該システム中で合理的にタールを除去することができるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法は、バイオマス原料を熱分解処理して得た熱分解ガスからタールを除去する方法であって、上記熱分解ガスを圧縮処理し、その後、該熱分解ガスを冷却処理することを特徴とする。
【0007】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの排ガス圧力で、該熱分解ガスを圧縮処理することを特徴とする。前記熱分解ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置からの回転出力で、該熱分解ガスを圧縮処理することを特徴とする。前記熱分解ガスで運転される発電装置を用い、該発電装置で生成される電力で、該熱分解ガスを圧縮処理することを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置は、バイオマス原料を熱分解処理して得た熱分解ガスからタールを除去する装置であって、上記熱分解ガスの流れ方向上流から下流に順次、該熱分解ガスを圧縮処理する圧縮装置と、圧縮処理後の該熱分解ガスを冷却処理する冷却装置を設けたことを特徴とする。
【0009】
前記熱分解ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の排ガスで作動されるターボチャージャーであることを特徴とする。前記熱分解ガスで運転される発電装置を備え、前記圧縮装置が上記発電装置の回転出力軸に連結されて作動されるスーパーチャージャーであることを特徴とする。前記圧縮装置が電力で駆動されるコンプレッサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置にあっては、熱分解ガス中のタールを、圧力と温度に基づいて容易かつ確実に除去でき、かつ除去に要するコストを低減することができるとともに、熱分解ガスの発熱量の低下も防止することができ、そしてまた、ガスエンジンやガスタービンなどの熱機関を備える発電装置を組み込んだシステムに好適に適用することができて、当該システム中で合理的にタールを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置は基本的には図1に示すように、バイオマス原料を熱分解処理して得た熱分解ガスからタールを除去する装置であって、熱分解ガスの流れ方向上流から下流に順次、熱分解ガスを圧縮処理する圧縮装置1と、圧縮処理後の熱分解ガスを冷却処理する冷却装置2を設けて構成される。
【0012】
また、熱分解ガスで運転される発電装置3を備え、圧縮装置1として、発電装置3の排ガスで作動されるターボチャージャー1aが用いられる。冷却装置2には、発電装置3の排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aが備えられる。冷却装置2の下流には、熱分解ガスを減圧処理する減圧装置4が設けられる。
【0013】
熱分解ガスは、木質バイオマスなどのバイオマス原料を、ロータリーキルンなどのガス化炉で間接加熱処理することなどで生成される。熱分解ガスは、水素や一酸化炭素、メタン等を主成分とする可燃性ガスとして生成される。この熱分解ガス中には例えば、フルフラール(CH3O-CHO)やo−メトキシフェノール(OH(C6H4)OCH3)、フェノール(C6H5-OH)などを主成分とするタールが含有されている。
【0014】
本実施形態にあっては、ガス化炉で生成された可燃性の熱分解ガスは、発電装置3の一例であるガスエンジン発電機3aに供給され、ガスエンジン発電機3aは、熱分解ガスを燃焼して、熱エネルギーや電気エネルギーに変換するようになっている。ガス化炉の出口ガス温度は500℃程度であり、タールは気体として熱分解ガス中に含まれている。
【0015】
図示しないガス化炉とガスエンジン発電機3aとの間には、これらを接続して熱分解ガスを流通させる供給系6が設けられる。供給系6には、ガス化炉から送り出されてガスエンジン発電機3aに供給される熱分解ガスの流れ方向上流に位置させて、熱分解ガスを圧縮するための圧縮装置1が設けられるとともに、圧縮装置1の下流に位置させて、熱分解ガスを冷却して凝縮させるための冷却装置2が設けられ、これら圧縮装置1と冷却装置2とは、供給系6を介して接続される。冷却装置2の下流には供給系6を介して、減圧装置4として、減圧度合いの調整が可能な減圧弁4aが接続される。減圧弁4aは、冷却装置2から流れ込む熱分解ガスの圧力を減圧してタールの凝縮処理を終了させるとともに、熱分解ガスのガスエンジン発電機3aへの導入圧力等を調整するために設けられる。
【0016】
減圧弁4aの下流には供給系6を介して、ガスエンジン発電機3aが接続される。また、減圧弁4aの下流には、必要に応じて他のガス利用先に熱分解ガスを供給するための配管7が接続される。
【0017】
減圧弁4aは必要に応じて設ければよい。また、供給系6には、圧縮装置1の上流に位置させて、熱分解ガス中のダストを予め除去するために、セラミック製などの耐熱性フィルタを設けることが望ましい。
【0018】
第1実施形態にあっては、圧縮装置1は、ガスエンジン発電機3aの排ガスで作動されるターボチャージャー1aで構成される。ターボチャージャー1aは、ガスエンジン発電機3aの排ガス系8に介設される。ターボチャージャー1aは、排ガスで回転駆動されて、熱分解ガスを圧縮する。熱分解ガスは500℃前後の温度を有するので、ターボチャージャー1aは耐熱構造で構成される。排ガス系8には、ターボチャージャー1aをバイパスするバイパス系9が設けられ、バイパス系9には、開度調整可能なバイパス制御弁9aが設けられる。排ガス系8には、バイパス系9とターボチャージャー1aの入口側との間に位置させて、開度調整可能な第1制御弁10aが設けられる。排ガス系8には、ターボチャージャー1aの出口側であって、バイパス系9よりも下流側に位置させて、開度調整可能な第2制御弁10bが設けられる。
【0019】
第1実施形態にあっては、冷却装置2は、循環される冷媒で熱分解ガスを冷却する熱交換器2bと、冷媒を冷却して熱交換器2bとの間で循環させる吸収式冷凍機2aとから構成される。吸収式冷凍機2aは、ターボチャージャー1a下流の排ガス系8に介設され、熱源として排ガスが供給されて、この排ガスの排熱によって冷媒を冷却するようになっている。吸収式冷凍機2aの入口側は、第2制御弁10bの上流側で排ガス系8と接続され、当該入口側には、開度調整可能な排ガス調整弁11が設けられる。また、吸収式冷凍機2aの出口側は、第2制御弁10bの下流側で排ガス系8に接続される。これら吸収式冷凍機2aおよびターボチャージャー1aから排出された排ガスは、排ガス系8を介して送り出されて、排熱回収もしくは大気放散される。
【0020】
第1制御弁10a、第2制御弁10b、バイパス制御弁9aおよび排ガス調整弁11は、ガスエンジン発電機3aの運転状態に応じて適宜に開度調節されて、ターボチャージャー1aおよび吸収式冷凍機2a両者への排ガス供給量を調整し、ひいてはそれらの運転を制御するようになっている。
【0021】
第1実施形態にかかる熱分解ガス中のタール除去方法について説明すると、基本的には、まず熱分解ガスを圧縮処理し、その後、冷却処理するようになっている。熱分解ガス中に含まれるタールは、当該熱分解ガス中にガス態として存在できる量が、温度に依存する飽和蒸気圧によって左右される。他方、飽和蒸気圧は、圧力には依存しない。
【0022】
例えば、500℃の熱分解ガスを40℃まで冷却すると、40℃で熱分解ガス中にフルフラールがガス態で存在できる量は、飽和蒸気圧がおおよそ701Pa(5.26mmHg)で24.5g/m3Nである。同様に、o−メトキシフェノールは、飽和蒸気圧がおおよそ120Pa(0.9mmHg)で6.8g/m3N、フェノールは、飽和蒸気圧がおおよそ160Pa(1.2mmHg)で6.5g/m3Nである。
【0023】
これらタールの成分であるフルフラール等が、例えばガス化炉出口でそれぞれ10g/m3Nずつ存在しているとして、40℃まで冷却されると、フルフラールは依然として全てガス態で存在し、o−メトキシフェノールは、3.2g/m3N(=10−6.8)凝縮し、フェノールは、3.5g/m3N(=10−6.5)凝縮する。このような凝縮操作では、少なくともo−メトキシフェノールおよびフェノールは飽和状態にあり、僅かな温度降下によってもさらにタールの凝縮作用が起こり、供給系6等に付着・滞留するおそれがある。
【0024】
ここに、冷却する前に予め熱分解ガスを圧縮処理するようにすると、一例として、0.1MPaから1MPa程度に圧縮すると、熱分解ガス中のフルフラール等の量をそれぞれ、100g/m3N程度にまで高めることが可能で、このように圧縮処理した熱分解ガスを40℃まで冷却すると、フルフラールについては75.5g/m3N(=100−24.5)、o−メトキシフェノールについては93.2g/m3N(=100−6.8)、フェノールについては93.5g/m3N(=100−6.5)の量を凝縮させることができる。圧縮処理は、熱分解ガス中のタール分圧を高める目的で行われ、圧縮処理時の温度における飽和蒸気圧中に含み得るガス態のタール量を超えない圧力に設定されるもので、それ故、冷却処理の前に行われる。
【0025】
第1実施形態では、圧縮装置1として、ガスエンジン発電機3aの排ガス圧力で作動されるターボチャージャー1aを用いていて、ガス化炉で生成された熱分解ガスは、フィルタでダストが除去された後、供給系6を介して、ターボチャージャー1aに導入される。以下、便宜上、熱分解ガス中のタール濃度は、実際の単位時間当たりの熱分解ガス量A(m3/h)中の濃度を、0℃、0.1MPaに換算した基準状態の熱分解ガス量(ノルマルガス量)B(m3N/h)中の濃度として説明する。ガス化炉から送り出されるガス量A(m3/h)(=B(m3N/h))の熱分解ガス中のタール濃度が例えば、フルフラール、o−メトキシフェノール、フェノールそれぞれ10g/m3Nであると仮定して、以下説明する。例えばターボチャージャー1aに導入される前、ガス温度が500℃、ガス圧力が0.1MPaである熱分解ガスは、ターボチャージャー1aで圧縮されることにより、ガス温度500℃で、ガス圧力が1MPaに昇圧される。これにより、単位体積あたりのタール含有量(タール濃度)が10倍程度高められる(圧縮によりガス量が0.1A(m3/h)となる)。ターボチャージャー1aによる熱分解ガスの圧縮率の調整は、第1,第2制御弁10a,10bやバイパス制御弁9a等の開度調整による排ガス流量制御で行われる。タールの凝縮作用に関わる飽和蒸気圧は、圧力を変化させても変わらず、温度のみに依存するので、ターボチャージャー1aによる圧縮では、タールの凝縮作用は生じない。
【0026】
ターボチャージャー1aで圧縮処理された熱分解ガスは供給系6を介して、ガスエンジン発電機3aの排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aから冷媒が供給される熱交換器2bに送り込まれ、例えば40℃まで冷却される(冷却によりガス量が0.041A(m3/h)となる)。熱交換器2bへの冷媒温度の調整は、排ガス調整弁11の開度調整による排ガス流量制御によって行われる。熱分解ガスが冷却されると、熱分解ガス中のタール量は飽和蒸気圧分に対応する量、すなわちフルフラールは約2.45g/m3N、o−メトキシフェノールは約0.68g/m3N、フェノールについては約0.65g/m3Nとなり、フルフラールは約7.55g/m3N、o−メトキシフェノールは約9.32g/m3N、フェノールについては約9.35g/m3Nが凝縮分として熱交換器2b部分で熱分解ガス中から除去される。
【0027】
除去したタールについては、図示しない還流系を介してガス化炉へと戻され、未処理の原料バイオマスと混合されて、熱分解処理による熱分解ガスの生成に用いられるようになっている。これにより、原料を無駄なく可燃性ガスに変換することができて、効率よく運転することができる。
【0028】
冷却された熱分解ガスは、その後供給系6を介して、減圧弁4aに送り込まれ、ガス温度40℃で、ガス圧力が0.1MPaに減圧される(減圧によりガス量が0.41A(m3/h)となる)。この減圧弁4aによる減圧操作により、タールの凝縮作用が終了されてその後の凝縮が防止されるとともに、ガスエンジン発電機3aへの熱分解ガスの導入圧力等が適正化される。
【0029】
減圧弁4aによるタールの凝縮阻止について詳述すると、0.1MPaの圧力下で、熱分解ガスが供給系6の配管等からの放熱により20℃まで冷却された場合(放熱によりガス量が0.38A(m3/h)となる)を想定すると、熱分解ガス中のタール成分の濃度と飽和蒸気圧の関係は、フルフラールが、53.3Pa(0.40mmHg)<240Pa(1.8mmHg)(飽和蒸気圧)、o−メトキシフェノールが11.9Pa(0.089mmHg)<53.3Pa(0.40mmHg)(飽和蒸気圧)、フェノールが16Pa(0.12mmHg)<29.3Pa(0.22mmHg)(飽和蒸気圧)のため、凝縮は起こらない。減圧弁4aで減圧された熱分解ガスは供給系6を介して、ガスエンジン発電機3aへと送り込まれる。また必要に応じて、熱分解ガスは配管7から他のガス利用先へと供給される。
【0030】
ガスエンジン発電機3aへ送り込まれた熱分解ガスは、ガスエンジン部分で燃焼されて発電機部分を駆動し、これにより電力エネルギーに変換されるとともに、またガスエンジン発電機3aを冷却する冷却水等を加熱するなどして、熱エネルギーとしても回収される。さらに熱分解ガスの熱エネルギーを含む排ガスは、排ガス系8を介して、上記ターボチャージャー1aに送り込まれて、当該ターボチャージャー1aを回転駆動し、熱分解ガスを圧縮処理する。また排ガスは、排ガス系8を介して、吸収式冷凍機2aへと送り込まれ、熱交換器2bに循環される冷媒を冷却するための熱源として利用される。排ガス系8を流通した排ガスは最終的には、ターボチャージャー1aや吸収式冷凍機2aなどから排出されて、排熱回収されたり、大気放散される。
【0031】
第1実施形態にあっては、排ガスで作動されるターボチャージャー1aや排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aを用いているので、十分な排ガス量が得られるまで、除去装置の起動用として、ガスエンジン発電機3aをLPGで始動するなどの始動用機器を備えることが好ましい。しかしながら、起動期間中等の短期間であってタール除去を必要としない場合には、上記構成にて除去装置を運転してもよいことはもちろんである。
【0032】
以上説明した第1実施形態にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置にあっては、圧縮した後で冷却処理するようにしたので、冷却処理によってタールを凝縮させて効率よく熱分解ガス中からタールを除去できることはもちろんのこと、事前の圧縮操作により熱分解ガスの単位流量中のタール量を高めた上でタールを凝縮させるようにしたので、さらに容易かつ高効率でタールを熱分解ガス中から除去することができる。
【0033】
すなわち、タールの飽和蒸気圧が温度のみに依存し、圧力に依存しないことから、圧縮によるタール量が当該圧縮時の温度における飽和蒸気圧中に含み得るタール量を超えない限りの範囲で熱分解ガスを圧縮処理することで、ターボチャージャー1a内でのタールの凝縮を防止しつつ、その後の冷却処理で極めて高い除去率でタールを除去することができる。冷却処理についても、必要に応じてできる限り低温に設定することで、タールの凝縮率を高めることができる。これにより、背景技術のようにタール除去のために1100℃に達する高温処理を行う必要がないので、タール除去に要するコストを低減することができるとともに、熱分解ガスの発熱量の低下も防止することができる。特に、分子量が大きく、沸点が高い重質なタール成分は、飽和蒸気圧が小さいので、本方法および装置によることで、きわめて効果的に除去することができる。
【0034】
熱分解ガスの圧縮装置1として、熱分解ガスで運転されるガスエンジン発電機3aの排ガスを利用するターボチャージャー1aを採用しているので、別駆動源で駆動される圧縮装置を用いる場合に比べて、処理対象物である熱分解ガスの熱エネルギーを利用して熱分解ガスを圧縮することができ、合理的かつ効率よく圧縮処理することができる。また、熱分解ガスの冷却装置2に、熱分解ガスで運転されるガスエンジン発電機3aの排ガスを熱源とする吸収式冷凍機2aを備えているので、別熱源で冷却する冷却装置を用いる場合に比べて、ターボチャージャー1aと同様に、処理対象物である熱分解ガスの熱エネルギーを利用して熱分解ガスを冷却することができ、合理的かつ効率よく冷却処理することができる。
【0035】
熱分解ガスを冷却した後、減圧弁4aで熱分解ガスを減圧処理するようにしたので、熱交換器2b通過後におけるタールの凝縮作用を防止できるとともに、ガスエンジン発電機3aへの熱分解ガス導入圧力等を適切に設定することができる。また、凝縮させて除去したタールを再度熱分解処理して熱分解ガスを生成するようにしたので、エネルギー利用の効率をさらに向上することができる。
【0036】
図2および図3にはそれぞれ、本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去方法および除去装置の第2実施形態および第3実施形態が示されている。第2実施形態には、圧縮装置1として、ターボチャージャー1aに代えて、ガスエンジン発電機3aの回転出力軸3bと連結されて、当該ガスエンジン発電機3aからの回転出力で回転駆動されるスーパーチャージャー1bが採用されている。第2実施形態では、発電効率が低下するものの、配管等の設備構成を簡略化することができる。第3実施形態は、圧縮装置1として、商用電力やガスエンジン発電機3aで発電した電力を用いて駆動されるコンプレッサ1cが採用されている。第3実施形態では、電力消費分コストアップするものの、配管等の設備構成を簡単化することができるとともに、ターボチャージャー1aやスーパーチャージャー1bの場合と異なり、起動時用にこれらを作動させるための別の起動用機器を用意しなくてもよいという利点がある。
【0037】
上記いずれの実施形態にあっても、発電装置3としてガスエンジン発電機3aを例示して説明したが、ガスエンジンに限らず、ガスタービン等その他の熱機関を組み込んだ発電機であってもよい。熱交換器2bへ冷媒を循環させる装置としては、排ガスの排熱を利用する吸収式冷凍機2aに限らず、その他の熱源等を利用する冷却機器であってもよい。また、熱分解ガスの初期温度や初期圧力、ターボチャージャー1aやスーパーチャージャー1b、コンプレッサ1cによる圧縮率、熱交換器2bによる冷却温度、減圧弁4aでの減圧率などは、上記実施形態の説明に限られることなく、適宜に設定してよい。また、ガスエンジン発電機3a等の発電装置3上流側には、当該発電装置3を駆動する熱機関のガス入口条件に合わせるために、熱分解ガスを昇温させるヒータなどを設置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明にかかるバイオマス熱分解ガス中のタール除去装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0039】
1 圧縮装置
1a ターボチャージャー
1b スーパーチャージャー
1c コンプレッサ
2 冷却装置
2a 吸収式冷凍機
2b 熱交換器
3 発電装置
3a ガスエンジン発電機
3b 発電装置の回転出力軸
4 減圧装置
4a 減圧弁
【出願人】 【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
【出願日】 平成18年8月1日(2006.8.1)
【代理人】 【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知


【公開番号】 特開2008−37902(P2008−37902A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−210389(P2006−210389)