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【発明の名称】 ゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法および製造装置
【発明者】 【氏名】西村 秀生

【氏名】大貫 一雄

【要約】 【課題】ゴム系廃棄物から製造した重油相当の熱分解油の動粘度を市販のA重油や軽油類と混合する際の油泥スラッジ発生を軽減させる方法および装置を提供する。

【解決手段】ゴム系廃棄物を熱分解して熱分解ガスを生成する熱分解工程3と、前記生成した熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中の重油留分を凝縮させて熱分解油を生成する熱分解油生成工程6とを有するゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法において、前記熱分解工程でゴム系廃棄物と共にポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチックを熱分解処理し、前記熱分解油生成工程の後段に生成した熱分解油を混合する熱分解油混合工程14および前記混合により生成する油泥スラッジを分離する油泥スラッジ分離工程17を設け、前記油泥スラッジ分離後の熱分解油を回収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム系廃棄物を熱分解して熱分解ガスを生成する熱分解工程と、前記生成した熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中の重油留分を凝縮させて熱分解油を生成する熱分解油生成工程とを有するゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法において、前記熱分解工程でゴム系廃棄物と共にポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチックを熱分解処理し、前記熱分解油生成工程の後段に生成した熱分解油を混合する熱分解油混合工程および前記混合により生成する油泥スラッジを分離する油泥スラッジ分離工程を設け、前記油泥スラッジ分離後の熱分解油を回収することを特徴とするゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法。
【請求項2】
前記廃プラスチックが容器包装リサイクル法で規定される「その他プラスチック製容器包装」であることを特徴とする請求項1記載のゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法。
【請求項3】
前記熱分解油生成工程での熱分解油の平均滞留時間が1hr以上であることを特徴とする請求項1または2記載のゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造した熱分解油を、更に、A重油または軽油と混合して製造することを特徴とするゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法。
【請求項5】
ゴム系廃棄物にポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチックを混合して熱分解処理して熱分解ガスを生成させる熱分解炉と、前記生成した熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中の重油留分を凝縮して熱分解油を生成する熱分解油生成装置と、前記生成した熱分解油を混合する熱分解油混合装置と、前記混合装置内で生成した油泥スラッジを分離除去するための油泥スラッジ分離装置とを備えることを特徴とするゴム系廃棄物からの熱分解油の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はゴム系廃棄物を資源として有効利用するための熱分解油の製造方法および熱分解油の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃タイヤをはじめとするゴム系廃棄物の処理方法は従来単純焼却や埋立てが中心であったが、循環型社会促進が大きな社会的課題となっていることから、単純焼却や埋立て以外のゴム系廃棄物の有効利用技術が求められている。ゴム系廃棄物の有効利用を目的とした廃棄物処理方法としては、例えば非特許文献1に記載されているように、ゴム系廃棄物を熱分解炉内で熱分解温度以上(通常400℃以上)に加熱して熱分解ガスと熱分解残渣とを生成した後、熱分解ガスを後段で冷却して熱分解ガス中に含まれる熱分解油を分離回収し、回収した熱分解油は複数の沸点留分に分留した後熱分解油等として利用し、熱分解油分離後の熱分解ガスは燃料ガスや化学原料ガスとして利用し、熱分解残渣は炭素質燃料や金属原料等として利用する廃棄物熱分解油化法が提案されている。
【0003】
熱分解油化法の熱分解炉の方式としてはロータリーキルン熱分解炉に代表される外熱式熱分解法、流動床熱分解炉や移動床熱分解炉等などに代表される部分燃焼式熱分解法など一般的な方式が適用可能であり、高カロリーガス回収を狙う場合には燃焼空気導入による熱分解ガス部分燃焼や流動化ガス導入に伴う熱分解ガスの希釈がない外熱式熱分解法が特に適している。
【0004】
熱分解ガスを冷却して回収した熱分解油の分留方法としては、熱分解油を別置式の蒸留塔に導入して再度加熱・凝縮する一般的な方法のほか、例えば特許文献1に記載されているように、熱分解炉の後段に複数個の分留段を有する蒸留塔を設けてガス状の熱分解油から直接複数の沸点留分に分留する方法が提案されている。さらに、より簡易な分留方法として、例えば特許文献2の図5に記載されているように、熱分解炉の後段に直接冷却式の熱分解油生成装置を設け、熱分解ガスを前記熱分解油生成装置内で温度コントロールした冷却油と向流で直接熱交換させることによって特定の沸点範囲に制御された熱分解油を凝縮回収するとともに、凝縮回収した熱分解油を熱分解ガスの冷却油として使用する方法が提案されている。
【0005】
【非特許文献1】「日本ゴム協会誌」第59巻、第10号、565頁、図1 (1986)
【非特許文献2】「石油用語解説集 第二版」5頁(幸書房)
【非特許文献3】「PETROTECH」第27巻、第8号、670頁、図3
【非特許文献4】「石炭と重質油 その化学と応用」91頁、図2.26 (講談社サイエンティフィク)
【非特許文献5】「石炭と重質油 その化学と応用」126頁、17行目〜127頁1行目 (講談社サイエンティフィク)
【非特許文献6】「PETROTECH」第27巻、第8号、670頁、26行目〜33行目
【非特許文献7】「ボイラの燃料と燃焼」、28頁、21行目〜29頁5行目(共立出版株式会社)
【非特許文献8】「ボイラ研究」第171号、11頁、第11表(1978)
【特許文献1】特開昭53−57180公報
【特許文献2】特開平8−110024公報
【特許文献3】特開平5−331470公報
【特許文献4】特開平2−238091公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存のゴム系廃棄物の熱分解油化方法の抱える課題として、本発明者らはゴム系廃棄物を熱分解し、熱分解ガスを特許文献2の分留方法を用いてA重油レベルの動粘度および引火点を持つ熱分解油を製造した場合、得られた熱分解油をJIS−K−2205で規定される市販のA重油に混合して使用すると、混合油中に油泥スラッジが発生する問題点があることを見出した。油泥スラッジの発生は燃焼設備のバーナーノズルやフィルター、油供給配管内等の閉塞トラブルの原因となり、操業安定上厄介な問題である。
【0007】
そこで、本発明者らは、ゴム系廃棄物から製造した熱分解油を市販のA重油と混合する場合の油泥スラッジ発生原因解明を目的として熱分解油性状を調査した結果、熱分解油の物性については引火点60℃以上で動粘度2×10-52/sec前後(測定温度50℃、測定方法JIS−K2283)でA重油と類似しているが、熱分解油の化学組成については芳香族系炭化水素類を主成分とし、かつアスファルテン成分を含む油であり、A重油よりもむしろC重油に近い性状であることがわかった。ここでアスファルテン成分とは例えば非特許文献2〜5に記載されているように、n−ヘプタンに不溶でベンゼンやトルエンに可溶な成分であり、極性基を持った重質な芳香族炭化水素類である。従って、ゴム系廃棄物から製造した重油相当の熱分解油を市販のA重油と混合する際の油泥スラッジ発生原因は非特許文献6、非特許文献7等に記載されているようにC重油の場合と同様にアスファルテン成分起因であると考えられる。即ち熱分解油中のアスファルテン成分は通常は多量に共存する高分子量の芳香族炭化水素類である芳香族マルテン油に囲まれて安定的なコロイド状態を形成して高分散しているが、芳香族マルテン油との親和性が高くアスファルテン成分との親和性が低いパラフィン油が多く含まれているA重油を熱分解油に混合すると混合油中でのアスファルテン成分の安定性が低下して凝集し、油泥スラッジとして析出すると考えられる。
【0008】
アスファルテン成分に起因する油泥スラッジ発生を軽減する方法としては、例えば特許文献3、特許文献4、非特許文献8に記載されているように、C重油をA重油や軽油等に混合する際の油泥スラッジ発生抑制を目的として、スラッジ溶解機能や界面活性作用によるスラッジ凝縮抑制機能等を有する重油添加剤を添加する方法が知られている。しかしながら、重油添加剤をゴム系廃棄物の熱分解油に適用する際の問題点として、添加剤使用は熱分解油製造コストの上昇を招くため、廃棄物を原料とする重油代替油の商品競争力を支える重要な要素である低価格性が損なわれてしまう点が挙げられる。
【0009】
そこで本発明は、ゴム系廃棄物から製造したA重油代替の熱分解油を市販のA重油やA重油の主基材である軽油類と混合する際の油泥スラッジ発生軽減が可能である簡便な熱分解油化方法および装置、すなわち、ゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らはゴム系廃棄物から製造したA重油代替の熱分解油を市販のA重油や軽油類と混合する際の油泥スラッジ発生を軽減させる方法について鋭意検討した結果、ゴム系廃棄物にポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチックを混合してゴム系廃棄物と共に熱分解炉で熱分解処理した後、熱分解ガスを熱分解油回収装置で冷却して熱分解ガス中の重油留分を凝縮させると、廃プラスチック熱分解生成物に由来するパラフィン系油を含むA重油相当の引火点および動粘度を有する熱分解油を生成することができ、さらに熱分解炉内では廃プラスチックに由来するパラフィン系油分とゴム系廃棄物に由来するアスファルテン成分がガス状態で共存しているために熱分解ガスの凝縮で得られた熱分解油はパラフィン系油とアスファルテン成分がミクロなレベルで混合したアスファルテンの安定性の低い油が生成されることを見出し、ゴム系廃棄物熱分解油中に含まれるアスファルテン成分を予め油泥スラッジ化させて分離して、油泥スラッジ分離後の熱分解油を製品油として回収する本方法を発明した。
【0011】
係る課題を解決するため、本発明の要旨とするところは以下(1)〜(5)に示す通りである。
【0012】
(1)第1の発明は、ゴム系廃棄物を熱分解して熱分解ガスを生成する熱分解工程と、前記生成した熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中の重油留分を凝縮させて熱分解油を生成する熱分解油生成工程とを有するゴム系廃棄物からの熱分解油の製造方法において、前記熱分解工程でゴム系廃棄物と共にポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチックを熱分解処理し、前記熱分解油生成工程の後段に生成した熱分解油を混合する熱分解油混合工程および前記混合により生成する油泥スラッジを分離する油泥スラッジ分離工程を設け、前記油泥スラッジ分離後の熱分解油を回収することを特徴とする。
【0013】
(2)第2の発明は、前記廃プラスチックが容器包装リサイクル法で規定される「その他プラスチック製容器包装」であることを特徴とする。
【0014】
(3)第3の発明は、前記熱分解油生成工程での熱分解油の平均滞留時間が1hr以上であることを特徴とする。
【0015】
(4)第4の発明は、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法で製造した熱分解油を、更に、A重油または軽油と混合して製造することを特徴とする。
【0016】
(5)第5の発明は、ゴム系廃棄物にポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチックを混合して熱分解処理して熱分解ガスを生成させる熱分解炉と、前記生成した熱分解ガスを冷却して熱分解ガス中の重油留分を凝縮して熱分解油を生成する熱分解油生成装置と、前記生成した熱分解油を混合する熱分解油混合装置と、前記混合装置内で生成した油泥スラッジを分離除去するための油泥スラッジ分離装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ゴム系廃棄物を熱分解処理して製造した重油相当の熱分解油を、市販のA重油やA重油の主基材である軽油類と混合した際の油泥スラッジ発生の軽減が可能な熱分解油を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は第1の実施形態に係る本発明のゴム系廃棄物の熱分解油化方法および熱分解油化装置を実施するための設備構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
ゴム系廃棄物1−aおよびポリプロピレン系、ポリエチレン系のいずれか一種類以上の廃プラスチック1−bを例えばスクリューフィーダー等の廃棄物供給装置2を用いて熱分解炉3内に定量供給し、熱分解炉3内で熱分解処理し、可燃性ガスと油分から構成される熱分解ガス4並びに熱分解残渣5を生成する。熱分解炉3の方式としては特に限定するところはなく、外熱ロータリーキルン式熱分解炉や流動層式熱分解炉などの一般的な熱分解方法が適用可能である。熱分解温度条件については温度を上げ過ぎるとガス化が進行し過ぎて油収率が低下することに加え、パラフィン油を主成分とする廃プラスチック熱分解油の環化反応による芳香族化も懸念されるため、炉内温度750℃以下程度とするのが好ましい。
【0020】
熱分解炉3で発生した熱分解ガス4は熱分解炉3の後段に設けた熱分解油生成装置6に導入され、間接冷却式熱交換器通過後の熱分解ガス冷却媒体10と向流で接触させて熱分解ガス中に含まれている重油留分を凝縮させて熱分解油7を生成し、生成した熱分解油7を熱分解油生成装置6内に一時貯留する。熱分解油凝縮後の熱分解ガス11は次工程以降で軽油成分回収、ガス精製等を行って可燃性ガスを回収する。熱分解ガス4と間接冷却式熱交換器通過後の熱分解ガス冷却媒体10とを向流で接触させる方法としては充填塔方式、濡れ壁方式、スプレー方式、スクラバー方式など蒸気凝縮やガス吸収等で用いられている一般的な方法が適用可能である。熱分解油生成装置6内に一時貯留した熱分解油7は、続いて撹拌機13を備えた熱分解油混合装置14に導入し、熱分解油混合装置14内で熱分解油15を撹拌混合して熱分解油中アスファルテン成分を油泥スラッジとして析出させる。アスファルテン成分が油泥スラッジ化した熱分解油は送油ポンプ16により油泥スラッジ分離装置17に送られ、油泥スラッジ18を分離除去した後に製品油19として回収する。
【0021】
熱分解油混合工程に求められる機能は、熱分解油中のアスファルテン成分同士を接触して凝集させるために熱分解油中を混合することにあるため、熱分解油混合工程の混合手段については特に限定するところはなく液体流体の一般的な混合手段が適用可能である。図1の撹拌装置を備えた混合槽による方法の他、例えば図2に示すように熱分解油貯蔵タンク22、熱分解油循環ライン25、送液ポンプ24、油泥スラッジ分離装置20を設け、熱分解油を熱分解油回収装置6と熱分解油一時貯留槽22の間で循環させることによって混合させる方法も適用が可能である。一方、超音波振動器等の分子振動に基づく混合手段については、アスファルテン成分の凝集が阻害される恐れがあり好ましくない。
【0022】
熱分解油混合工程での処理時間としては、熱分解油混合装置内での熱分解油の平均滞留時間を1hr以上とするのが望ましく、平均滞留時間を1hr以下に短縮するとアスファルテン成分の粒子成長が不十分となる恐れがあり好ましくない。
【0023】
熱分解油混合工程における熱分解油の平均滞留時間の調整方法としては、例えば熱分解油混合装置14内あるいは熱分解油一時貯留槽22内や熱分解油生成装置6内での熱分解油体積を液面レベル計等を用いて一定レベルに維持すると共に熱分解油混合装置14内あるいは熱分解油一時貯留槽22内からの熱分解油の抜出し速度を測定し、次式
(熱分解油混合装置や熱分解油一時貯留槽内での熱分解油体積)/(熱分解油の抜出し速度)≦1時間
を満足するように熱分解油の抜出し速度を調整する方法など、連続槽型反応器等での滞留時間調整手段として考えられる方法の適用が可能である。
【0024】
油泥スラッジ分離装置17、20の方式としては特に限定するところはなく、遠心分離方式やフィルターろ過方式など既存のスラッジ類や汚泥類の分離方式が適用可能である。
【0025】
ゴム系廃棄物1−aと共に熱分解処理するのに適した廃プラスチック1−bの種類としては、産廃プラスチック系のポリプロピレンやポリエチレンの他、ポリプロピレンおよびポリエチレンを主要構成成分とする容器包装リサイクル法で規定される「その他プラスチック製容器包装(以降、容リプラと略記)」が挙げられる。廃プラスチック1−bの混合比率の適正値は、廃プラスチックの性状や熱分解油と混合する油の性状等によって異なるため、予めゴム系廃棄物と廃プラスチック混合比の異なる熱分解実験を実施して熱分解油を各々生成し、混合対象とする油と熱分解油とによるスラッジ発生量評価試験を行って適正値を求める方法を採用することが望ましい。適正値の一例としてゴム系廃棄物に容リプラ混合して熱分解処理して得た動粘度2×10-62/secの熱分解油を市販のA重油(動粘度2.4 ×10-62/sec、密度0.86g/cm3、キシレン当量0、アニリン点62℃)に混合した例では、廃棄物全処理量に対して容リプラを20%以上混合すれば、熱分解油とA重油との混合時のスラッジ生成を大きく軽減することが可能である。また、A重油の主基材である軽油類と混合する場合についてもA重油の場合と同様、本発明を用いることによって熱分解油と混合する際のスラッジ発生を大きく軽減することが可能となる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
図1に示した本発明を用いて、ゴム系廃棄物1−aを処理規模80t/日、容リプラ1−bを処理規模20t/日で同時に処理し重油相当の熱分解油を製造した例を示す。熱分解炉3はLNG焚き熱風発生炉を備えた外熱式ロータリーキルンを用い、熱分解油生成装置6は熱分解ガス4を冷却媒体と向流で接触させて油状成分を熱分解油7として凝縮させるとともに生成した熱分解油7を熱分解ガスの冷却媒体8として使用する直接熱交換方式を用い、油泥スラッジ分離装置17は遠心分離機を用いた。廃棄物を熱分解炉3に装入して熱分解ガス4と熱分解残渣5を生成し、熱分解ガス4を熱分解油生成装置6に導入して熱分解ガス冷却媒体8、10と接触させて熱分解油7を約20m3/日得た。得られた熱分解油7を熱分解油混合装置14内で平均滞留時間1hrで撹拌混合して油泥スラッジを析出させ、析出した油泥スラッジを遠心分離装置17で分離除去し、油泥スラッジ18分離後の熱分解油を製品油19として回収した。回収した製品油は引火点60℃〜90℃、動粘度(測定温度50℃)1.0×10-5〜2.5×10-52/sec(10〜25cSt)となりA重油クラスの低粘度を有する油であった。製品油に市販のA重油(動粘度2.4 ×10-62/sec、密度0.86g/cm3、キシレン当量0、アニリン点62℃)を混合し、製品油:A重油混合比が9:1.6:4.3:7.1:9の4条件でのスラッジ析出量を評価したとこと、混合油の50hr経過後のスラッジ析出量はいずれの混合比においても0.1質量%以下であった。
(実施例2)
図2に示した本発明を用いて、実施例1と同様にゴム系廃棄物1−aを処理規模80t/日、容リプラ1−bを処理規模20t/日で同時に処理し重油相当の熱分解油を製造した例を示す。熱分解炉3はLNG焚き熱風発生炉を備えた外熱式ロータリーキルンを用い、熱分解油生成装置6は熱分解ガス4を冷却媒体10と向流で接触させて油状成分を熱分解油として凝縮させるとともに生成した熱分解油7を熱分解ガスの冷却媒体8として使用する直接熱交換方式を用い、油泥スラッジ分離装置20は遠心分離機を用いた。廃棄物1を熱分解炉3に装入して熱分解ガス4と熱分解残渣5を生成し、熱分解ガス4を熱分解油生成装置6に導入して熱分解ガス冷却媒体10と接触させて熱分解油7を約20m3/日得た。得られた熱分解油7を熱分解油回収装置と熱分解油一時貯留槽22の間で平均滞留時間1hrで循環させて油泥スラッジを析出させ、析出した油泥スラッジ21を遠心分離装置20で分離除去し、油泥スラッジ分離後の熱分解油23を製品油26として回収した。回収した製品油は引火点60℃〜90℃、動粘度(測定温度50℃)1.0×10-5〜2.5×10-52/sec(10〜25cSt)となりA重油クラスの低粘度を有する油であった。製品油に市販のA重油(動粘度2.4 ×10-62/sec、密度0.86g/cm3、キシレン当量0、アニリン点62℃)を混合し、製品油:A重油混合比が9:1、6:4、3:7、1:9の4条件でのスラッジ析出量を評価したとこと、混合油の50hr経過後のスラッジ析出量はいずれの混合比においても0.1質量%以下であった。
(実施例3)
実施例3として、熱分解油混合装置内での熱分解油の平均滞留時間を0.5hrとし、その他条件は実施例1と同一条件としてゴム系廃棄物を処理規模80t/日、容リプラを処理規模20t/日で同時に処理し重油相当の熱分解油を製造した例を示す。油泥スラッジ分離後の熱分解油を製品油として回収し、実施例1と同様に市販のA重油(動粘度2.4 ×10-62/sec、密度0.86g/cm3、キシレン当量0、アニリン点62℃)を混合し、製品油:A重油混合比が9:1、6:4、3:7、1:9の4条件でのスラッジ析出量を評価したところ、混合油の50hr経過後のスラッジ析出量は、製品油:A重油混合比9:1条件で0.1質量%以下、混合比6:4条件で0.3質量%、混合比3:7条件で0.5質量%、混合比1:9条件で0.1質量%以下となり、実施例1、実施例2に比べA重油との混合安定性が低い熱分解油が得られた。尚、前述のようなスラッジ生成挙動を示す原因は、A重油の混合比が低い条件下(製品油:A重油9:1)では混合油中のアスファルテン成分の安定性がまだ維持されているが、A重油混合比が上昇(製品油:A重油6:4)するとアスファルテン成分の安定性が低下してスラッジ析出が生じ、さらにA重油混合比が上昇してA重油リッチ状態(製品油:A重油1:9)に達するとアスファルテン成分の濃度や含有量が低くなってスラッジ生成が生じ難くなるためであると考えられる。
(比較例1)
比較例1として、図1に示した本発明を用いてゴム系廃棄物を単独処理し、処理規模100t/日で重油相当の熱分解油を製造した例を示す。熱分解炉は実施例1と同様にLNG焚き熱風発生炉を備えた外熱式ロータリーキルンを用い、熱分解油生成装置は実施例1と同様に熱分解ガスを冷却媒体と向流で接触させて油状成分を熱分解油として凝縮させるとともに生成した熱分解油を熱分解ガスの冷却媒体として使用する直接熱交換方式を用い、油泥スラッジ分離装置は実施例1と同様に遠心分離機を用いた。廃棄物を熱分解炉に装入して熱分解ガスと熱分解残渣を生成し、熱分解ガスを熱分解油生成装置に導入して熱分解ガス冷却媒体と接触させて熱分解油を約15m3/日得た。得られた熱分解油を熱分解油混合装置内で平均滞留時間1hr撹拌混合した後遠心分離装置を通過させ、遠心分離装置通過後の熱分解油を製品油として回収した。回収した製品油は引火点60℃〜90℃、動粘度(測定温度50℃)1.0×10-5〜2.5×10-52/sec(10〜25cSt)となり実施例1と同様A重油クラスの低粘度を有する油であった。製品油に市販のA重油(動粘度2.4 ×10-62/sec、密度0.86g/cm3、キシレン当量0、アニリン点62℃)を混合し、製品油:A重油混合比が9:1、6:4、3:7、1:9の4条件でのスラッジ析出量を評価したところ、混合油の50hr経過後のスラッジ析出量は、製品油:A重油混合比9:1条件で0.1質量%以下、混合比6:4条件で0.5質量%、混合比3:7条件で1質量%、混合比1:9条件で0.1質量%以下となり、実施例1〜3に比べA重油との混合安定性が低い熱分解油が得られた。
【0027】
また、A重油の主基材である軽油についても前述のA重油の場合と同様な結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の発明に係る装置の設備例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の発明に係る装置の別の設備例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0029】
1−a ゴム系廃棄物
1−b 廃プラスチック
2 廃棄物供給装置
3 熱分解炉
4 熱分解ガス
5 熱分解残渣
6 熱分解油生成装置
7 熱分解油
8 熱分解ガス冷却媒体
9 間接冷却式熱交換器
10 間接冷却式熱交換器通過後の熱分解ガス冷却媒体
11 熱分解油凝縮後熱分解ガス
12 熱分解油移送ライン
13 撹拌機
14 熱分解油混合装置
15 熱分解油
16 送液ポンプ
17 油泥スラッジ分離装置
18 油泥スラッジ
19 製品油
20 油泥スラッジ分離装置
21 油泥スラッジ
22 熱分解油一時貯留槽
23 熱分解油
24 送液ポンプ
25 熱分解油循環ライン
26 製品油
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬

【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次

【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康


【公開番号】 特開2008−133321(P2008−133321A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−318765(P2006−318765)