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【発明の名称】 高オクタン価ガソリン基材の製造方法
【発明者】 【氏名】阿部 正樹

【氏名】高矢 憲

【要約】 【課題】ガソリン留分以外の留分から、高オクタン価、低硫黄分のガソリン基材となり得る留分を経済的に、かつ効率良く製造することができる方法を提供すること。

【解決手段】沸点範囲が140〜360℃で、かつ、少なくとも40質量%の芳香族炭化水素化合物を含有する石油系炭化水素と、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及びジグリコールアミンを含有する混合物を結晶化させて得られる、粒子径0.5μm以下の粒子分布が80体積%以上の結晶性アルミノシリケートゼオライトに、周期律表第VIII族金属及び第VI族金属から選ばれた少なくとも1種の水素化活性金属を担持させてなる触媒とを、水素存在下で接触させ、リサーチオクタン価90以上、硫黄含有量10質量ppm以下のガソリン基材を製造することを特徴とする高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸点範囲が140〜360℃で、かつ、少なくとも40質量%の芳香族炭化水素化合物を含有する石油系炭化水素と、
シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及びジグリコールアミンを含有する混合物を結晶化させて得られる、粒子径0.5μm以下の粒子分布が80体積%以上の結晶性アルミノシリケートゼオライトに、周期律表第VIII族金属及び第VI族金属から選ばれた少なくとも1種の水素化活性金属を担持させてなる触媒とを、
水素存在下で接触させ、
リサーチオクタン価90以上、硫黄含有量10質量ppm以下のガソリン基材を製造することを特徴とする高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
【請求項2】
石油系炭化水素が接触分解装置循環油(LCO)、コーカー軽油又はその混合物である請求項1に記載の高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高オクタン価ガソリン基材の製造方法に関する。さらに詳しくは、特定の石油系炭化水素を、水素存在下で特定の触媒と接触させて、リサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下のガソリン基材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境規制の強化によりガソリン中の硫黄分の低減が大きな課題となっている。特に日本においては、ガソリン中の硫黄分を10質量ppm以下にする必要があり、各石油会社は対応に迫られている。また、自動車用ガソリンを始めとして、高オクタン価ガソリン基材の需要は年々増加しているため、軽油留分或いは残油留分等のガソリン留分以外の留分を分解して高オクタン価ガソリン基材を増産する技術の開発が望まれている。
【0003】
ガソリン留分以外の留分を水素化分解して高オクタン価ガソリン基材を製造する方法として、LCO(接触分解装置循環油)やコーカー軽油を原料とし、ZSM-5と接触させる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、転化率は高いものの、ガソリン留分の選択率が低くて実用的ではない。また、得られるガソリン留分は、リサーチオクタン価(RON)が低く、含有する硫黄分も高いため、そのままガソリン基材として使用するには適さない。
【0004】
また、上記方法と同様の原料をモルデナイト、フォージャサイト等のアルミノシリケートと接触させる方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法は、得られるガソリン留分のオクタン価は高いものの、ガソリン留分の収率が低い。また、この方法では、ガソリン留分の硫黄分に関しては言及されていない。
【0005】
【特許文献1】特開昭55−149386号公報
【特許文献2】特開昭61−283687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑み、ガソリン留分以外の留分から、高オクタン価、低硫黄分のガソリン基材となり得る留分を、より具体的にはリサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下のガソリン基材となり得る留分を、経済的に、かつ効率良く製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、ある特定のガソリン留分以外の留分の石油系炭化水素を、水素存在下で触媒と接触させることによって、上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、次の高オクタン価ガソリン基材の製造方法を提供する。
(1)沸点範囲が140〜360℃で、かつ、少なくとも40質量%の芳香族炭化水素化合物を含有する石油系炭化水素と、
シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及びジグリコールアミンを含有する混合物を結晶化させて得られる、粒子径0.5μm以下の粒子分布が80体積%以上の結晶性アルミノシリケートゼオライトに、周期律表第VIII族金属及び第VI族金属から選ばれた少なくとも1種の水素化活性金属を担持させてなる触媒とを、
水素存在下で接触させ、
リサーチオクタン価90以上、硫黄含有量10質量ppm以下のガソリン基材を製造することを特徴とする高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
(2)石油系炭化水素が接触分解装置循環油(LCO)、コーカー軽油又はその混合物である上記(1)に記載の高オクタン価ガソリン基材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、沸点範囲が140〜360℃で、かつ、少なくとも40質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素を原料として、リサーチオクタン価90以上、硫黄分10質量ppm以下という、高オクタン価、低硫黄分のガソリン基材を経済的に、かつ効率良く製造することができる。したがって、本発明は、高オクタン価、低硫黄分のガソリン基材を増産する上で有用な技術である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の詳細を示す。
本発明においては、触媒に結晶性アルミノシリケートゼオライトが用いられる。この結晶性アルミノシリケートゼオライトは、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及びジグリコールアミンを含有する混合物を結晶化させて得られる、粒子径0.5μm以下の粒子分布が80体積%以上の結晶性アルミノシリケートゼオライトである。
ここでシリカ源としては、シリカ、シリカゾル、シリカゲル、ケイ酸ナトリウムあるいはケイ酸などの通常ゼオライトの合成において用いるものを使用できるが、好ましくはコロイド状シリカがよい。アルミナ源としては、アルミナゲル、アルミナゾル、アルミナ、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウムなどを使用できるが、水溶性のアルミン酸ナトリウムが取扱い上好適である。アルカリ源としては、通常ナトリウムを用い、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムから選ばれた1種以上のナトリウム源が使用できる。また、ジグリコールアミンは、ゼオライトの合成の際に用いられる有機性窒素化合物のテンプレートであって、正式には2−(2−アミノエトキシ)エタノールと称され、NHCHCHOCHCHOHの分子式で示される第1アミンである。本発明においてはジグリコールアミンを生成する前駆体も使用できる。
【0011】
上記シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、水及びジグリコールアミンを含有する混合物を、60〜200℃、好ましくは60〜180℃の温度にて約0.5〜30日密閉容器内で加熱を行って、水熱合成法により結晶化させて、本発明で用いる結晶性アルミノシリケートゼオライトを得ることができる。こうして得られた結晶性アルミノシリケートゼオライトの粒子径は、非常に小さく、粒子径0.5μm以下のものの割合が高く、本発明では、粒子径0.5μm以下の粒子分布が80体積%以上の結晶性アルミノシリケートゼオライトを用いる。
ここで粒子径とは、単一結晶又は凝集物の最大寸法の平均値を表し、通常、遠心沈降−光透過法に基く粒度分布測定装置や走査型電子顕微鏡(SEM)によりその情報を得ることができる。粒子径は小さいほど、原料の石油系炭化水素の分解反応の促進に有効であり、特に粒子径0.5μm以下の粒子分布が80体積%以上のものが該分解反応の促進に優れた効果を示す。粒子径の下限値に制限はなく、ゼオライト構造を維持しているものであれば使用可能であり、一般に粒子径0.03μmのものも使用可能である。
【0012】
本発明で用いる結晶性アルミノシリケートゼオライトを合成する際、上記した混合物の各成分の他に、必要に応じて、金属や界面活性剤などを加えることができる。ゼオライト構造を維持するものであればホウ素、ガリウム、ビスマス、亜鉛、鉄等を添加してゼオライト骨格の一部のアルミニウム原子を置換したメタロシリケートも本発明に含まれる。また、界面活性剤を加えて粒子径を制御して用いることができる。得られた結晶性アルミノシリケートゼオライトは、そのまま触媒担体に用いることもできるが、それにボールミルなどによる物理粉砕処理、酸処理、もしくは水熱処理を行うことによって粒子径を制御して用いることもできる。また、本発明で用いる結晶性アルミノシリケートのシリカアルミナモル比は、結晶構造を維持できる範囲から選択され、通常30〜400が選択される。結晶性アルミノシリケートを合成する際に使用されるジグリコールアミンの量は、シリカ源の使用量に対して10〜250質量%が選択される。アルカリ源及び水の使用量は、混合物の状態でpHが7以上になるように調整される。
【0013】
本発明では、結晶性アルミノシリケートゼオライトは、粉末のまま触媒担体として使用しても問題はないが、バインダーを用いて成型したものも好適に使用できる。このバインダーとしては、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、ボリア、アルミナボリア等が挙げられ、好ましくはアルミナ、シリカアルミナ、シリカ、アルミナボリア、ボリアが挙げられる。バインダーの含有量は、得られる触媒の使用条件により異なるが、5〜70質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜65質量%である。得られる触媒の触媒性能と物理的強度等の観点からバインダーの含有量は上記範囲が好ましい。
【0014】
本発明においては、上記した結晶性アルミノシリケートゼオライトを担体として用い、それに水素化活性金属を含有させることが必須である。ここで水素化活性金属とは、周期率表第VIII族又は第VI族の金属のことを指し、より具体的には、第VIII族金属とは、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金が挙げられ、第VI族金属とは、クロム、モリブデン、タングステンが挙げられる。好ましくは、ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、白金、モリブデン、タングステンから選択される。また、これらの水素化活性金属は、1種用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0015】
結晶性アルミノシリケートゼオライトに水素化活性金属を担持させる方法は、特に限定されないが、例えば水素化活性金属の塩を含む溶液を担体に含浸する方法が好ましく採用される。また平衡吸着法、Pore−filling法、Incipient−wetness法なども好ましい。例えば、Pore−filling法は、担体の細孔容積を予め測定し、これと同じ容積の金属塩溶液を含浸する方法であるが、含浸方法は特に限定されるものではなく、金属担持量や担体に用いる結晶性アルミノシリケートゼオライトの物性に応じて適宜選択される。水素化活性金属を担持させる処理の後は、乾燥、焼成を行うことが好ましい。乾燥条件として、20〜150℃が好ましく、さらに好ましくは50〜120℃であり、一般に空気又は窒素気流中にて行われる。焼成条件は、400〜700℃、好ましくは450〜650℃の範囲で選択されることが望ましいが、得られる触媒の使用条件により適宜選択される。
【0016】
結晶性アルミノシリケートゼオライトに含有させる水素化活性金属の量は、通常貴金属と卑金属とで範囲が異なるが、貴金属の場合、下限値として金属換算で0.1質量%、好ましくは0.3質量%が好ましく、上限値として20質量%、好ましくは15質量%が好ましい。また、卑金属の場合、下限値として酸化物換算で1質量%、好ましくは2質量%が好ましく、上限値として30質量%、好ましくは25質量%が好ましい。水素化活性金属の含有量が下限値以上であれば、充分な脱硫活性を得ることができて、得られるガソリン基材中の硫黄分10質量ppm以下を達成することができ、また、上限値以下であれば、脱硫の効果が飽和するだけでなく、分解活性の低下や、得られるガソリン基材のリサーチオクタン価の低下を招くことを回避することができる。
【0017】
本発明においては、原料に、沸点範囲が140〜360℃で、かつ、少なくとも40質量%の芳香族炭化水素化合物を含む石油系炭化水素を用いることが必須である。
原料の石油系炭化水素の沸点範囲が140〜360℃であれば特定の留分に関し蒸留分離・抽出分離することによって抜出し、本発明の原料として使用することも可能である。例えば蒸留によってナローカットした留分や、スルホラン等の溶剤を用い芳香族炭化水素化合物を抽出した留分も使用することが可能である。沸点範囲が360℃を超える原料を用いると、触媒上の堆積コーク量が増大し、触媒の急激な分解活性劣化を引き起こして好ましくない。
本発明において、原料の石油系炭化水素中の芳香族炭化水素化合物の含有量は高いほど良いが、少なくとも40質量%、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%である。芳香族炭化水素化合物の含有量が高いほど、得られるガソリン留分のリサーチオクタン価は向上し、所望の高オクタン価ガソリン基材が得られる。一方、芳香族炭化水素化合物の含有量が40質量%を下回る場合は、得られるガソリン留分は、リサーチオクタン価90以上を満たすことが困難となり、高オクタン価ガソリン基材には適さない。
ここで芳香族炭化水素化合物とは、単環芳香族炭化水素化合物又は多環芳香族炭化水素化合物を指し、両者の混合物でも問題はない。芳香族炭化水素化合物の種類には特に制限はないが、単環芳香族炭化水素化合物としては、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、プロピルベンゼン、エチルメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、インダン、メチルインダン類が好適に挙げられ、多環芳香族炭化水素化合物としては、ナフタレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン、アントラセン類、フェナントレン類が好適に挙げられる。
なお、芳香族炭化水素化合物以外のものとしてパラフィン、ナフテン、オレフィン類の炭化水素化合物、チオフェン、ベンゾチオフェン類などの硫黄化合物が存在しても、本発明において原料として使用し得る。
本発明において原料とし得る石油系炭化水素の具体例としては、接触分解装置(FCC)で得られる接触分解装置循環油(LCO)、コーカー装置で得られるコーカー軽油又は接触改質装置から得られるボトム油等や、それらの2種以上の混合物が挙げられる。また、この接触の際の水素分圧の下限は、原料の石油系炭化水素を好適に水素化分解し得る範囲であれば特に制限されないが、一般に1MPaが望ましい。
【0018】
本発明においては、原料の石油系炭化水素と触媒を水素存在下で接触させて、該石油系炭化水素を水素化分解するに当たって、原料の石油系炭化水素と触媒を10MPa以下の水素分圧下で接触させることが好ましい。10MPa以下の水素分圧下で接触させることにより、得られるガソリン留分のリサーチオクタン価の低下を抑制することができる。この接触の際の水素分圧は、好ましくは9MPa以下、さらに好ましくは8MPa以下である。
【0019】
本発明において、触媒と原料炭化水素を接触させる方法は、固定床流通式,流動床式、移動床式等種々の方法で行うことができるが、操作の容易性を考慮すれば、固定床流通式で行うのが好ましい。流通式反応装置で実施する場合、水素/炭化水素比は、100〜10000Nm/KLが好ましく、さらに好ましくは200〜5000Nm/KL、なおさらに好ましくは300〜3000Nm/KLである。またその時の液空間速度(LHSV;Liquid Hourly Space Velocity)は、0.05〜10h−1が好ましく、さらには好ましくは0.1〜5h−1、なおさらに好ましくは0.2〜3h−1である。接触させるときの温度は、原料炭化水素の種類にもよるが、300〜500℃が好ましく、さらに好ましくは350〜470℃、なおさらに好ましくは360〜450℃である。温度がこの範囲であれば、温度が低すぎて目的生成物であるガソリン留分の増量を図ることが困難になることを回避することができる。また、温度が高すぎて、効果が飽和して反応の促進が困難となることや、用いるエネルギーが無駄となり、経済性が悪くなることを回避することができる。
【0020】
本発明においては、得られるガソリン基材となる留分のリサーチオクタン価を90以上と高くすることができるばかりでなく、同時にその硫黄分を10質量ppm以下に低減することができるが、本発明の実施に際して、必要に応じて得られるガソリン基材の硫黄分を一層低減するために、前工程として原料炭化水素の脱硫処理工程や、後工程として得られた分解生成物の脱硫処理工程を設けることが可能である。この前工程や後工程の脱硫処理工程の触媒としては、市販のCoMoアルミナ系触媒や、NiMoアルミナ系触媒等を用いることが可能である。
【0021】
本発明にて得られるガソリン基材となる留分は、リサーチオクタン価(RON)が90以上と高く、硫黄分が10質量ppm以下と低いことに特徴がある。また、本発明で得られるガソリン基材は、芳香族炭化水素化合物の含有量が高いものである。一般に、芳香族炭化水素化合物はオクタン価が高く、発熱量が大きい点でガソリン基材として優れている。本発明で得られるガソリン基材はリサーチオクタン価90以上と高く、そのままガソリン基材として使用することが可能であり、また他のガソリン基材と混合することも可能である。
本発明で得られるガソリン基材と混合する他のガソリン基材としては、例えば、原油を蒸留して得られる石油留出油や、石油留出油に各種の処理を行ったもの、例えば接触改質装置から得られる改質ガソリン、流動接触分解装置から得られる接触分解ガソリンが挙げられ、さらにはアルキレート、エタノール、ETBEなどの基材も挙げられる。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1
オートクレーブ中で、コロイダルシリカ(シリカ含有量20.6質量%)1605gに純水500gとジグリコールアミン362gとを加えた溶液に、苛性ソーダ30.6gを純水500gに溶解させた水溶液と純水493gにアルミン酸ナトリウム31.6gを溶解させた水溶液の双方を、250rpmの速度で攪拌しながら加えて、ゲル原料物を調合した。これを、オートクレーブ中で、120℃に加熱保持して、250rpmの速度で20時間攪拌した。次いで、温度160℃に昇温し、48時間加熱攪拌した。得られた生成物を濾過し、濾液のpHが8以下となるまで純水で洗浄して、結晶性アルミノシリケートゼオライトAを得た。結晶性アルミノシリケートゼオライトAの物性を表1に示した。
このゼオライトAの粒子径は、乾燥試料微粉末を専用セル中に80%グリコール溶媒に入れて超音波洗浄装置により十分分散させた後、遠心沈降−光透過法に基づく堀場製CAPA−300粒度分布測定装置を用いて計測した。
【0024】
次いで、上記ゼオライトA1g当たり5gの割合となるように4N塩化アンモニウム水溶液を用い、90℃で2時間攪拌してイオン交換を実施した。このイオン交換操作を3度繰り返した。イオン交換後、塩素が検出されなくなるまで洗浄を行った。次いでゼオライトケーキを混練装置に入れ、60℃に加熱して水分を除去しながら混練し、粘土状の混練物を得た。得られた混練物を押出し成型機により、直径1.6mmのシリンダーの形状に押出し、次いで110℃で3時間乾燥処理を行い、成型物を得た。さらに水素活性金属を担持させるために、この成型物20gをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターで脱気しながらモリブデン酸六アンモニウム四水和物1.3gを含む含浸溶液をフラスコ中に注入した。含浸した試料は110℃で3時間乾燥処理を行った。乾燥処理後、空気気流中(100ml/min)で500℃にて3時間焼成し、表2に示す触媒Aを得た。この触媒Aを内径15mmのステンレス製反応管に充填し、表3に組成及び性状を示した炭化水素原料Aを用い、410℃、7.0MPa、全LHSV=0.5/h、水素/炭化水素油=600Nm/KLで接触させて反応を行った。その結果を表4に示した。
【0025】
実施例2
オートクレーブ中で80℃に加熱保持して200時間攪拌を行った以外は、実施例1と同様にして結晶性アルミノシリケートゼオライトを合成し、結晶性アルミノシリケートゼオライトBを得た。結晶性アルミノシリケートゼオライトBの物性を表1に示した。この結晶性アルミノシリケートゼオライトBを用いて実施例1と同様な手法により表2に示す触媒Bを得た。この触媒Bを実施例1と同様に反応管に充填し、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0026】
実施例3
実施例1で得られた結晶性アルミノシリケートゼオライトAを用い、水素化活性金属を担持する際にモリブデン酸六アンモニウム四水和物1.3gの代わりに塩化パラジウム0.34gを用いた以外は、実施例1と同様な手法により表2に示す触媒Cを得た。この触媒Cを実施例1と同様に反応管に充填し、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0027】
実施例4
実施例1で得られた結晶性アルミノシリケートゼオライトAをボールミル粉砕装置を用いて60分間粉砕を行い、粉砕済み結晶性アルミノシリケートゼオライトCを得た。結晶性アルミノシリケートゼオライトCの物性を表1に示した。この結晶性アルミノシリケートゼオライトCを用いて実施例1と同様な手法により表2に示す触媒Dを得た。この触媒Dを実施例1と同様に反応管に充填し、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0028】
実施例5
表3に組成及び性状を示した炭化水素原料B(沸点範囲142〜242℃)を用いた以外は、実施例1と同様の触媒、条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0029】
実施例6
反応管に、炭化水素原料の脱硫処理触媒として市販NiMoアルミナ触媒(前処理工程)と触媒Aとを50/50の体積比で、市販NiMoアルミナ触媒を前段に、触媒Aを後段にそれぞれ充填した以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0030】
実施例7
反応管に、触媒Aと、得られた分解生成物の脱硫処理の触媒として市販NiMoアルミナ触媒(後処理工程)とを50/50の体積比で、触媒Aを前段に、市販NiMoアルミナ触媒を後段にそれぞれ充填した以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0031】
比較例1
オートクレーブ中で、コロイダルシリカ(シリカ含有量20.6質量%)1605gに純水500gと10質量%濃度のテトラプロピルアンモニウム水酸化物水溶液6910gとを加えた溶液に、苛性ソーダ30.6gを純水500gに溶解させた水溶液と純水493gにアルミン酸ナトリウム31.6gを溶解させた水溶液の双方を、250rpmの速度で攪拌しながら加えて、ゲル原料物を調合した。これを、オートクレーブ中で、160℃に加熱保持して、250rpmの速度で72時間攪拌した。得られた生成物を濾過し、濾液のpHが8以下となるまで純水で洗浄して、結晶性アルミノシリケートゼオライトDを得た。結晶性アルミノシリケートゼオライトDの物性を表1に示した。この結晶性アルミノシリケートゼオライトDを用いて実施例1と同様な手法により表2に示す触媒Eを調製し、この触媒Eを実施例1と同様に反応管に充填し、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0032】
比較例2
炭化水素原料として表3に組成及び性状を示した炭化水素原料C(芳香族炭化水素化合物含有量30.2%)を用いた以外は、実施例1と同様の触媒、条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0033】
比較例3
炭化水素原料として表3に組成及び性状を示した炭化水素原料D(常圧残油留分)を用いた以外は、実施例1と同様の触媒、条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0034】
比較例4
反応管に、炭化水素原料の脱硫処理の触媒として市販NiMoアルミナ触媒(前処理工程)と触媒Eとを50/50の体積比で、市販NiMoアルミナ触媒を前段に、触媒Aを後段にそれぞれ充填した以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果を表4に示した。
【0035】
【表1】


【0036】
【表2】


【0037】
【表3】


【0038】
【表4】


【0039】
表4の結果より、本発明の製造方法に従って得られたガソリン基材はいずれもリサーチオクタン価(RON)が90以上と高く、かつ硫黄分が10質量ppm以下と低い、優れた性状を示した。
【出願人】 【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
【出願日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光


【公開番号】 特開2008−127541(P2008−127541A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−317436(P2006−317436)