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【発明の名称】 脱硫システム
【発明者】 【氏名】飯原 智宏

【氏名】飯山 繁

【氏名】佐藤 光一

【要約】 【課題】脱硫触媒の長寿命化を図ることができる脱硫システムを提供する。

【解決手段】脱硫前灯油を脱硫する脱硫触媒21を有する脱硫器20と、脱硫触媒21を加熱するヒータ22と、ヒータ22を制御するコントローラ50と、を備え、コントローラ50は、ヒータ22により、脱硫触媒21の温度T1〜温度T3を、脱硫触媒21の活性温度である目標温度T14よりも低い予熱温度T11に昇温させた後、目標温度T14に昇温させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素原料を脱硫する脱硫触媒を有する脱硫装置と、
前記脱硫触媒を加熱する加熱装置と、
前記加熱装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記加熱装置により、前記脱硫触媒の温度を、当該脱硫触媒の活性温度よりも低い予熱温度に昇温させた後、前記活性温度に昇温させる
ことを特徴とする脱硫システム。
【請求項2】
前記脱硫装置による脱硫後の炭化水素原料を貯溜する脱硫後原料貯溜装置と、
前記脱硫後原料貯溜装置内の脱硫後の炭化水素原料を圧送する脱硫後原料圧送装置と、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記脱硫後圧送装置による脱硫後の炭化水素原料の圧送の開始後に、前記脱硫触媒の温度を、前記予熱温度から前記活性温度に昇温させる
ことを特徴とする請求項1に記載の脱硫システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記脱硫装置及び前記加熱装置の少なくとも一方の仕様に基づいて設定された時間に従って、前記脱硫触媒の温度を、前記予熱温度から前記活性温度に昇温させる
ことを特徴とする請求項1に記載の脱硫システム。
【請求項4】
脱硫前の炭化水素原料を前記改質装置に圧送する脱硫前原料圧送装置を、さらに備え、
前記制御装置は、前記予熱温度から前記活性温度への昇温中に、脱硫前の炭化水素原料を前記改質装置に圧送するように、前記脱硫前原料圧送装置を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の脱硫システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、灯油等の炭化水素原料を脱硫する脱硫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の電源として、水素と酸素の化学反応により発電する燃料電池が注目されており、開発が進められている。これと共に、燃料電池に供給する水素の製造装置として、灯油、天然ガス、アルコール等の炭化水素原料を改質し、水素を生成する改質装置が提案されている。
【0003】
ところが、灯油等をそのまま改質装置に供給すると、改質装置の改質触媒が、灯油等に含まれる硫黄によって、硫黄被毒してしまう。そこで、改質装置の上流に脱硫装置を設けて、灯油等に含まれる硫黄分を許容濃度以下に低下させる処理が行われている(特許文献1、特許文献2参照)。ここで、脱硫装置に内蔵される脱硫触媒は、その種類に依存した活性温度を固有しているので、脱硫触媒をヒータ等の加熱装置でその活性温度に加熱する必要がある。
【特許文献1】特開平10−40942号公報
【特許文献2】特開2004−263118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、脱硫装置の起動時において、その活性温度に脱硫触媒を昇温させるため、常温の脱硫触媒をヒータ等で加熱すると、脱硫触媒の温度がオーバーシュートする場合があった。そして、このようにオーバーシュートすると、脱硫触媒がコーキング(炭素析出)してしまい、脱硫触媒の活性低下を招き、脱硫触媒の寿命が短くなり、耐久性が低下する虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、オーバーシュートを防止して、脱硫触媒の長寿命化を図ることができる脱硫システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、炭化水素原料を脱硫する脱硫触媒を有する脱硫装置と、前記脱硫触媒を加熱する加熱装置と、前記加熱装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記加熱装置により、前記脱硫触媒の温度を、当該脱硫触媒の活性温度よりも低い予熱温度に昇温させた後、前記活性温度に昇温させることを特徴とする脱硫システムである。
【0007】
このような脱硫システムによれば、制御装置が、加熱装置により、脱硫触媒の温度を、その活性温度(後記する実施形態における目標温度)よりも低い予熱温度に昇温させた後、活性温度に昇温させるので、脱硫触媒の温度が、その活性温度を大幅に超えにくく、つまり、オーバーシュートしにくくなる。これにより、脱硫触媒がコーキングしにくくなり、その活性が低下しにくくなる。よって、脱硫触媒の長寿命化が図られ、その耐久性が向上する。
【0008】
また、前記脱硫装置による脱硫後の炭化水素原料を貯溜する脱硫後原料貯溜装置と、前記脱硫後原料貯溜装置内の脱硫後の炭化水素原料を圧送する脱硫後原料圧送装置と、をさらに備え、前記制御装置は、前記脱硫後圧送装置による脱硫後の炭化水素原料の圧送の開始後に、前記脱硫触媒の温度を、前記予熱温度から前記活性温度に昇温させることを特徴とする脱硫システムである。
【0009】
このような脱硫システムによれば、制御装置が、脱硫後原料圧送装置による脱硫後の炭化水素原料の圧送の開始後に、脱硫触媒の温度を、前記予熱温度から前記活性温度に昇温させるので、その後、活性温度に到達した脱硫触媒に、脱硫前の炭化水素原料を導入することにより、脱硫後の炭化水素原料を生成し、この脱硫後の炭化水素原料を脱硫後原料貯溜装置に貯溜することができる。このようにして、脱硫後原料貯溜装置に脱硫後の炭化水素原料を連続的に貯溜することができる。
【0010】
また、前記制御装置は、前記脱硫装置及び前記加熱装置の少なくとも一方の仕様に基づいて設定された時間に従って、前記脱硫触媒の温度を、前記予熱温度から前記活性温度に昇温させることを特徴とする脱硫システムである。
【0011】
このような脱硫システムによれば、制御装置が、脱硫装置及び加熱装置の少なくとも一方の仕様に基づいて設定された時間に従って、脱硫触媒の温度を、予熱温度から前記活性温度に昇温させることができる。ここで、脱硫装置の仕様とは、例えば、大きさ、形状、脱硫触媒の量に基づく脱硫触媒の昇温特性であり、加熱装置の仕様とは、例えば、加熱容量、加熱方式に基づく加熱装置の加熱特性ある。
【0012】
また、脱硫前の炭化水素原料を前記改質装置に圧送する脱硫前原料圧送装置を、さらに備え、前記制御装置は、前記予熱温度から前記活性温度への昇温中に、脱硫前の炭化水素原料を前記改質装置に圧送するように、前記脱硫前原料圧送装置を制御することを特徴とする脱硫システムである。
【0013】
このような脱硫システムによれば、制御装置が、予熱温度から活性温度への昇温中に、脱硫前の炭化水素原料を改質装置に圧送するように、脱硫前原料圧送装置を制御するので、圧送される脱硫前の炭化水素原料によって、脱硫触媒の温度がさらにオーバーシュートしにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、脱硫触媒の長寿命化を図ることができる脱硫システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る脱硫システム1は、脱硫前灯油タンク11(脱硫前原料貯溜装置)と、脱硫器20(脱硫装置)と、ヒータ22(加熱装置)と、脱硫後灯油タンク34(脱硫後原料貯溜装置)と、を主に備えている。
因みに、後記する開閉弁37の下流には、脱硫後の灯油を水蒸気改質して改質ガスを生成する改質器、改質ガスをシフト反応させるシフト反応器、一酸化炭素(CO)を選択的に酸化し水素含有ガスを生成するCO選択酸化器、水素含有ガスが供給されることで発電する燃料電池スタックが接続されている。そして、脱硫システム1と、改質器等と、燃料電池スタックとによって、改質装置搭載型の燃料電池システムが構成されている。
【0016】
脱硫前灯油タンク11は、炭化水素原料である脱硫前の灯油(脱硫前灯油という)を貯溜するタンクである。そして、脱硫前灯油タンク11は、配管11a、脱硫前灯油を送液(圧送)する脱硫前ポンプ12(脱硫前原料圧送装置)、配管12a、開閉弁13、配管13a、熱交換器14、配管13bを介して、脱硫器20の底部に接続されている。
そして、コントローラ50が、開閉弁13を開き、脱硫前ポンプ12を作動させると、脱硫前灯油が脱硫器20に送液されるようになっている。なお、熱交換器14では、脱硫器20に送液される脱硫前灯油が、脱硫によって昇温した脱硫後灯油で、加熱されるようになっている。
【0017】
脱硫器20は、脱硫前灯油を脱硫する塔型の装置である。そして、脱硫器20の内部には、脱硫触媒21が装填されており、脱硫触媒層を構成している。脱硫触媒21は、その種類に応じて、良好な活性となり触媒機能が良好に発揮される活性温度を固有している。ここで、本実施形態では、脱硫システム1の定常運転において、脱硫触媒21の温度を活性温度にすることを目標とするので、活性温度を目標温度T14とする。
【0018】
このような脱硫触媒21としては、例えば、コバルト−モリブデン系、ニッケル−アルミニウム系、ニッケル−タングステン系の水素化脱硫触媒と酸化亜鉛とを組み合わせた触媒系、又はニッケル系吸着脱硫剤を使用することができる。
【0019】
ヒータ22は、脱硫触媒21を加熱する電気式の加熱装置であり、適所に設けられている。そして、ヒータ22は、コントローラ50と接続されており、コントローラ50によって、その出力が制御されるようになっている。
【0020】
また、脱硫器20内には、熱電対等によって構成された温度センサ23〜25が設けられている。温度センサ23は、高さ方向において、脱硫触媒21の上部の温度T1を検出可能なように、温度センサ24は、脱硫触媒21の中部の温度T2を検出可能なように、温度センサ25は、脱硫触媒21の下部の温度T3を検出可能なように、それぞれ設けられている。そして、温度センサ23〜25はコントローラ50と接続されており、コントローラ50は、温度T1〜T3を検知するようになっている。
【0021】
脱硫器20の上部は、配管20a、熱交換器14、配管20b、開閉弁31、配管31a、ストレーナ32、配管32a、背圧弁33、配管33aを介して、脱硫後灯油タンク34に接続されている。
そして、コントローラ50が、開閉弁31及び前記した開閉弁13を開き、前記した脱硫前ポンプ12を作動させると、脱硫器20によって脱硫された後の灯油(脱硫後灯油という)が、熱交換器14で脱硫前灯油を加熱し、ストレーナ32で固形物が除去された後、脱硫後灯油タンク34に送液されるようになっている。
因みに、開閉弁13は、脱硫前ポンプ12の作動に対応して開かれる。また、開閉弁31は、例えば、脱硫触媒21の温調制御の予熱温度T11から目標温度T14への切り換えに対応して開かれ、これにより、昇温による脱硫器20内の圧力が開放される。
【0022】
また、圧力センサ26が、脱硫器20内の圧力を検出可能なように、本実施形態では配管20aに設けられている。そして、圧力センサ26はコントローラ50と接続されており、コントローラ50は脱硫器20内の圧力を検知しつつ、所定の圧力となるように、背圧弁33を制御するようになっている。
【0023】
脱硫後灯油タンク34は、脱硫後灯油を貯溜するタンクである。そして、脱硫後灯油タンク34には、その内部の脱硫後灯油の貯溜量を検出する貯溜量センサ35が設けられている。この貯溜量センサ35はコントローラ50と接続されており、コントローラ50は脱硫後灯油の貯溜量を検知するようになっている。
【0024】
脱硫後灯油タンク34の下部は、配管34a、脱硫後灯油を送液する脱硫後ポンプ36(脱硫後原料圧送装置)、配管36a、開閉弁37、配管37aを介して、改質器(図示しない)に接続されている。そして、コントローラ50が、開閉弁37を開き、脱硫後ポンプ36を作動させると、脱硫後灯油が脱硫後灯油タンク34から改質器に送液されるようになっている。
脱硫後灯油タンク34の上部は、配管34b、ストレーナ38、配管38aを介して、脱硫システム1の外部に開放されている。そして、脱硫器20における脱硫により生成したガスが、脱硫後灯油タンク34に一時的に滞留した後、ストレーナ38を介して、脱硫システム1の外部に排気されるようになっている。
【0025】
スイッチ40は、脱硫システム1の起動スイッチであり、適所に設けられている。
コントローラ50は、CPU、ROM等によって構成され、脱硫システム1の制御を司る制御装置である。そして、コントローラ50は、スイッチ40のON信号を検知すると、ROMに記憶されたプログラムに従って、各機器を制御するようになっている。
【0026】
次に、脱硫システム1の起動時の動作について、図1、図2を参照して説明する。
スイッチ40がONされると、図2のフローチャートがスタートし、脱硫システム1の動作が開始する。なお、以下の説明において、事前試験等により求められた予熱温度T11、下限温度T12、供給可能温度T13、目標温度T14を使用する。まず、これら温度について説明する。
【0027】
目標温度T14は、前記したように、脱硫触媒21が良好な活性状態となる活性温度であり、脱硫触媒21の種類に依存する。
【0028】
予熱温度T11は、目標温度T14よりも低い温度であって、ヒータ22の温調制御を、予熱温度T11から目標温度T14に切り換えた後、脱硫触媒21の温度T1〜T3が目標温度T14をオーバーシュートしないように設定される温度である。よって、予熱温度T11を目標温度T14に対してどの程度低く設定するかは、ヒータ22の性能(定格出力等)、脱硫触媒21の量、脱硫器20やヒータ22の形状等の機械的構造に依存し、事前試験等によって求められる。
【0029】
供給可能温度T13は、脱硫触媒21が良好な活性を有する目標温度T14よりも低い温度であるものの、予熱温度T11から目標温度T14に温調制御が切り換えられた後、昇温中の脱硫触媒21の温度T1〜T3が、この供給可能温度T13に到達すれば、脱硫器20に脱硫前灯油を供給しても、脱硫前灯油を脱硫可能であると共に、その後、脱硫触媒21は目標温度T14に到達するとされる温度である。よって、供給可能温度T13は、予熱温度T11と同様、ヒータ22の性能(定格出力等)、脱硫触媒21の量、脱硫器20やヒータ22の形状等の機械的構造に依存し、事前試験等によって求められる。
このように、目標温度T14よりも低い供給可能温度T13で、脱硫前灯油が脱硫器20に供給される設定とすることにより、脱硫触媒21の昇温速度が抑えられ、目標温度T14をオーバーシュートしにくくなると共に、予熱温度T11から目標温度T14への到達時間が短縮されるようになっている。
【0030】
下限温度T12は、脱硫触媒21が最小限の活性状態となる温度であって、脱硫触媒21の種類や量、脱硫器20の形状や処理する脱硫前灯油の空間速度(LHSV:Liquid Hourly Space Velocity)等に依存し、事前試験等によって求められる。
これら温度の関係は、例えば、「予熱温度T11(例150℃)<下限温度T12(例180℃)<供給可能温度T13(例200℃)<目標温度T14(例230℃)」となる。
【0031】
そして、脱硫システム1は、システム起動時において、脱硫触媒21の温度T1〜T3を、予熱温度T11(<T14)に一旦昇温させた後、脱硫後ポンプ36がONされるまでの時間、予熱温度T11で保持し、脱硫後ポンプ36がONした場合に目標温度T14(活性温度)に昇温させる、つまり、二段階で脱硫触媒21の温度T1〜T3を昇温させることを特徴とする。また、脱硫後灯油の改質器(図示しない)への送液の開始後に、予熱温度T11から目標温度T14に昇温させることを特徴とする。
以下、図2のフローチャートを具体的に説明する。
【0032】
ステップS101において、コントローラ50は、温度T1、T2、T3のいずれかが供給可能温度T13以上であり、かつ、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内であるか否かを判定する。
温度T1、T2、T3のいずれかが供給可能温度T13以上であり、かつ、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内であると判定した場合(S101・Yes)、コントローラ50の処理はステップS111に進む。一方、温度T1、T2、T3のいずれかが供給可能温度T13以上でなく、又は、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内でない、と判定した場合(S101・No)、コントローラ50の処理はステップS102に進む。
【0033】
都合上、ステップS102に進む場合を先に説明する。
ステップS102において、コントローラ50は、温度T1、T2、T3のいずれかが予熱温度T11以下であるか否かを判定する。
温度T1、T2、T3のいずれかが予熱温度T11以下であると判定した場合(S102・Yes)、コントローラ50はヒータ22をONした後(S103)、その処理はステップS105に進む。一方、温度T1、T2、T3のいずれかが予熱温度T11以下でないと判定した場合(S102・No)、コントローラ50はヒータ22をOFFした後(S104)、その処理はステップS105に進む。
【0034】
ステップS105において、コントローラ50は、脱硫後ポンプ36によって、脱硫後灯油タンク34から改質器(図示しない)に、脱硫後灯油の送液が開始されたか否かを、例えば、脱硫後ポンプ36の通電状態や、脱硫後ポンプ36の下流の流量センサ(図示しない)による脱硫後灯油の送液状態や、貯溜量センサ35による脱硫後灯油タンク34内の脱硫後灯油の減少状態に基づいて判定する。
このうち、貯溜量センサ35によって、脱硫後灯油の送液が開始の有無を判定する場合、例えば、貯溜量センサ35で、脱硫後灯油の満タン液位、中間液位、及び、空液位を検出可能に構成し、中間液位まで脱硫後灯油が減少したことを検出したとき、脱硫後灯油の送液が開始されたと判定するように設定することが好ましい。
因みに、コントローラ50は、例えば、燃料電池(図示しない)に発電要求があったため、水蒸気改質する改質器(図示しない)に水蒸気が供給されたことを検知した場合、開閉弁37を適宜に開き、脱硫後ポンプ36の作動を開始するようになっている。また、このように脱硫後灯油が改質器(図示しない)に供給されると、改質器における改質が開始する設定となっている。
【0035】
脱硫後灯油の送液は開始されたと判定した場合(S105・Yes)、コントローラ50の処理は、ステップS106に進む。一方、脱硫後灯油の送液は開始されていないと判定した場合(S105・No)、コントローラ50の処理は、ステップS102に進む。
したがって、脱硫後灯油の送液が開始されるまで、ステップS102、S103又はS104、S105の処理が繰り返されることになり、脱硫触媒21は、予熱温度T11を指令値として温度調節制御されることなる。つまり、脱硫後灯油の送液が開始されるまで、脱硫触媒21は、予熱温度T11で略保持されることになる。
【0036】
ステップS106において、コントローラ50は、温度T1、T2、T3のいずれかが、目標温度T14以下であるか否かを判定する。
温度T1、T2、T3のいずれかが目標温度T14以下であると判定した場合(S106・Yes)、コントローラ50はヒータ22をONした後(S107)、その処理はステップS109に進む。一方、温度T1、T2、T3のいずれかが目標温度T14以下でないと判定した場合(S106・No)、コントローラ50はヒータ22をOFFした後(S108)、その処理はステップS109に進む。
【0037】
ステップS109において、コントローラ50は、ステップS101と同様に、温度T1、T2、T3のいずれかが供給可能温度T13以上であり、かつ、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内であるか否かを判定する。
温度T1、T2、T3のいずれかが供給可能温度T13以上であり、かつ、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内であると判定した場合(S109・Yes)、コントローラ50の処理はステップS110に進む。一方、温度T1、T2、T3のいずれかが供給可能温度T13以上でなく、又は、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内でない、と判定した場合(S109・No)、コントローラ50の処理はステップS106に進む。
【0038】
したがって、ステップS105の判定がYesとなった後、ステップS109の判定がYesとなるまで、ステップS106、S107又はS108、S109の処理が繰り返されることになり、脱硫触媒21は、目標温度T14を指令値として温度調節制御されることとなる。
【0039】
ステップS110において、コントローラ50は、開閉弁13を適宜に開き、脱硫前ポンプ12の作動を開始させ、脱硫前灯油を、脱硫前灯油タンク11から脱硫器20に送液する。これにより、脱硫前灯油は、昇温中の脱硫触媒21で脱硫されて脱硫後灯油となり、脱硫後灯油は脱硫後灯油タンク34に送られる。
【0040】
次に、ステップS101での判定がYesとなって進むステップS111を説明する。
ステップS111において、コントローラ50は、ステップS105と同様に、脱硫後灯油の送液が開始されたか否かを判定する。
脱硫後灯油の送液は開始されたと判定した場合(S111・Yes)、コントローラ50の処理は、ステップS110に進む。一方、脱硫後灯油の送液は開始されていないと判定した場合(S111・No)、コントローラ50の処理は、ステップS101に進む。
【0041】
したがって、このような脱硫システム1によれば、システム起動時において、脱硫触媒21の温度T1〜T3を、目標温度T14(活性温度)よりも低い予熱温度T11に昇温させた後、脱硫後ポンプ36がONされるまでの時間、予熱温度T11で保持し、脱硫後ポンプ36がONした場合に目標温度T14に昇温させるので、温度T1〜T3が目標温度T14をオーバーシュートしにくくなる(図3参照)。よって、脱硫触媒21の長寿命化が図られると共に、脱硫システム1の耐久性が高くなる。
【0042】
また、脱硫後ポンプ36による脱硫後灯油の送液を検知した後に、温度調節制御の指令値として、予熱温度T11から目標温度T14に切り換え、脱硫触媒21を速やかに昇温させた後(図3参照)、脱硫前灯油を脱硫することによって脱硫後灯油を生成することができる。これにより、脱硫後灯油タンク34における脱硫後灯油の貯溜量を維持することができる。その結果として、例えば、燃料電池(図示しない)に急に大きな発電量の要求があっても、改質器(図示しない)に多量の脱硫後灯油を送液することができる。
【0043】
加えて、脱硫触媒21が予熱温度T11から目標温度T14への昇温中に、常温の脱硫前灯油が脱硫器20に送液されるので、オーバーシュートしにくくなる(図3参照)。さらに説明すると、脱硫触媒21が、温度T12以上であって温度T13に昇温したタイミングで、脱硫前灯油が脱硫器20に送液されるので、脱硫器20において脱硫反応を確実に行うことができると共に、脱硫触媒20の温度をオーバーシュート防止できると同時に目標温度である温度T14に素早く収束させることができ、脱硫触媒20を良好な脱硫可能状態(活性状態)に速やかに移行させることができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更することもできる。
前記した実施形態では、脱硫後灯油の送液が開始された場合(S105・Yes)、予熱温度T11から目標温度T14に切り換えて温度調節制御する構成としたが、切り換えるタイミングはこれに限定されない。
例えば、予熱温度T11での温度調節制御を開始後、所定時間が経過した場合に、脱硫触媒21の温度T1〜T3は予熱温度T11に到達したと推定して、予熱温度T11から目標温度T14に切り換えて温調制御する構成としてもよい。この場合における所定時間は、脱硫器20及びヒータ22の仕様の少なくとも一方に基づいて、事前試験等により設定される時間である。因みに、脱硫器20の仕様とは、例えば、脱硫触媒21の量、脱硫器20の形状に基づく脱硫触媒の昇温特性あり、ヒータ22の仕様とは、例えば、ヒータ22の定格出力、形状、配置状態に基づく加熱特性である。
【0045】
前記した実施形態では、スイッチ40のONに連動して、ヒータ22による予熱温度T11での温調制御を行い、脱硫触媒21の予熱を開始させる構成を例示したが、この他に例えば、脱硫後灯油タンク34の容量が十分に大きい場合、脱硫後ポンプ36が作動した後、貯溜量センサ35によって、脱硫後灯油タンク34内の脱硫後灯油の貯溜量が、所定貯溜量以下となった場合に、脱硫触媒21の予熱を開始させる構成としてもよい。そして、脱硫触媒21の温度が平均的に上昇した場合(T1、T2、T3の全て≧T21)、予熱温度T11から目標温度T14に温調制御を切り換える構成としてもよい。
【0046】
前記した実施形態では、図2のステップS109に示すように、温度T1、T2、T3のいずれか供給可能温度T13以上であって、温度T1、T2、T3の全てが下限温度T12以上で目標温度T14以下の範囲内である場合(S109・Yes)、脱硫前灯油を脱硫器20に導入する(S110)構成を例示したが、脱硫前灯油を脱硫器20に供給するタイミングはこれに限定されない。
例えば、予熱温度T11から目標温度T14への温調制御に切り換わってから所定時間が経過した場合に、ステップS109の要件が満たされると推定して、脱硫前灯油を脱硫器20に導入する構成としてもよい。この場合における所定時間は、脱硫触媒21の量、ヒータ22の仕様等に依存し、事前試験等により求められる。
【0047】
前記した実施形態では、脱硫触媒21(脱硫器20)の温度を、温度センサ23〜25の3点で検出する場合を例示したが、これに限定されず、1点又は2点、あるいは4点以上で脱硫触媒21の温度を検出する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る脱硫システムの構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る脱硫システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る脱硫システムの一動作例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 脱硫システム
11 脱硫前灯油タンク(脱硫前原料貯溜装置)
12 脱硫前ポンプ(脱硫前原料圧送装置)
14 熱交換器
20 脱硫器(脱硫装置)
21 脱硫触媒
22 ヒータ(加熱装置)
23、24、25 温度センサ
33 背圧弁
34 脱硫後灯油タンク(脱硫後原料貯溜装置)
36 脱硫後ポンプ(脱硫後原料圧送装置)
50 コントローラ(制御装置)
T1 脱硫触媒の上部の温度
T2 脱硫触媒の中部の温度
T3 脱硫触媒の下部の温度
T11 予熱温度
T12 下限温度
T13 供給可能温度
T14 目標温度
【出願人】 【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
【出願日】 平成18年11月13日(2006.11.13)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造


【公開番号】 特開2008−120913(P2008−120913A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−306160(P2006−306160)