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【発明の名称】 脱硫方法、脱硫装置、燃料電池用燃料ガスの製造装置、および、燃料電池システム
【発明者】 【氏名】勝野 尚

【氏名】松本 寛人

【氏名】佐藤 光一

【要約】 【課題】触媒を長寿命化でき小型化が容易な脱硫装置を備えた燃料電池システムを提供する。

【解決手段】制御装置により、ニッケル系脱硫剤により液体燃料111Aを脱硫する処理期間が長くなるにしたがって脱硫処理の温度が次第に高くなる温度状態に温度制御する。脱硫処理の開始当初におけるニッケル系脱硫剤の活性が高い段階では比較的に低い温度で脱硫処理して比較的に高温域でのコーク析出による活性の低下や、液体燃料111Aのガス化による処理効率の低下を防止できる。処理期間が長くなって次第にニッケル系脱硫剤の活性が低下すると次第に温度を高くして反応性を高めるので、ニッケル系脱硫剤の性能を効率よく発揮でき、ニッケル系脱硫剤の寿命を延長できる。必要以上にニッケル系脱硫剤を用いる必要なく、ニッケル系脱硫剤の充填量を適正化でき、ガス化によるガス処理装置も不要で小型化も容易に図れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素原料を水素無添加状態で脱硫剤により脱硫する脱硫方法であって、
前記脱硫剤による脱硫する処理期間が長くなるにしたがって前記脱硫剤の加熱温度を高くする
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項2】
請求項1に記載の脱硫方法であって、
前記炭化水素原料は、液体燃料である
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項3】
請求項2に記載の脱硫方法であって、
前記液体燃料は、ナフサ、灯油、軽油のうちの少なくともいずれか一種である
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の脱硫方法であって、
前記脱硫剤は、ニッケルを主成分とする金属、または、ニッケルと、銀、銅、亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、アルミニウム、珪素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド系希土類金属の中から選ばれる少なくともいずれか一種の金属とを含む金属である
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の脱硫方法であって、
前記炭化水素原料の供給速度は、0.05L/h以上300L/h以下である
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の脱硫方法であって、
前記炭化水素原料の供給開始時の温度は、100℃以上220℃以下である
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の脱硫方法であって、
前記脱硫剤による処理期間の終了時の温度は、200℃以上270℃以下である
ことを特徴とする脱硫方法。
【請求項8】
炭化水素原料を水素無添加状態で脱硫剤により脱硫する脱硫装置であって、
前記脱硫剤が充填される収容空間を内部に有する容器と、
前記脱硫剤を加熱する加熱手段と、
この加熱手段による加熱を制御し、前記脱硫剤による脱硫処理期間に応じて温度が高くなる状態で前記脱硫剤を加熱させる制御手段と
を具備したことを特徴とした脱硫装置。
【請求項9】
請求項8に記載の脱硫装置と、
前記脱硫装置の容器内に前記炭化水素原料を供給する原料供給手段と、
前記容器に接続され脱硫処理された前記炭化水素原料を原料ガスに気化する気化手段と、
この気化手段で気化された前記原料ガスを改質し水素ガスを主成分とする燃料ガスを生成させる改質手段と
を具備したことを特徴とした燃料電池用燃料ガスの製造装置。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料電池用燃料ガスの製造装置と、
酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、
前記燃料電池用燃料ガスの製造装置の前記改質手段で改質された前記燃料ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池と
を具備したことを特徴とした燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料を脱硫剤によって脱硫する脱硫方法、脱硫装置、燃料電池用燃料ガスの製造装置、および、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば燃料電池で発電に利用する水素ガスを生成するために、液体燃料を脱硫する各種脱硫方法が知られている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
また、脱硫の際には、ニッケル脱硫剤を利用することも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、液体燃料を上部より導入する導入口と液体燃料を下部から導出する導出口とを設けた密閉可能な容器の中心部に、液体燃料を加熱するための加熱手段を設けるとともに、容器内に脱硫剤を充填する領域を設けている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来の液体燃料を脱硫する構成のものでは、液体燃料と脱硫剤との接触効率が不十分であると、接触効率を向上させるために容器が大型化するおそれがある。したがって、特に家庭用などの小型の燃料電池システムに利用する脱硫器として利用するためには、さらなる小型化が望まれる。
【0004】
特許文献2に記載のものは、脱硫剤を内部に充填し脱硫処理する脱硫器からの原料を補助タンクへ供給し、この補助タンクから改質器へ原料を供給させ、起動時に脱硫器から発生する原料の蒸気を補助タンクに流し込んで溜め、改質器へ供給されることを防止し、改質触媒の劣化防止や停止時間を短縮させる構成が採られている。そして、補助タンクが空にならないように補助タンク内の原料レベルを検知し、原料タンクから脱硫器を介して必要量の原料を供給させている。
しかしながら、この特許文献2に記載のような従来の脱硫方法では、補助タンクが空にならないように原料タンクから脱硫器を介して必要量の原料を供給する構成であり、補助タンクにある程度の原料が貯溜する場合に原料タンクからの供給を停止すると、脱硫器内で原料の流動が停止し、脱硫器内での原料の温度が上昇し、蒸気が発生することで、液相吸着法による脱硫処理を実施する脱硫剤の脱硫処理効率が変動するおそれがある。このため、安定した良好な脱硫処理のために十分な容積の脱硫器を用いる必要があり、装置が大型化するおそれがある。
【0005】
特許文献3に記載のものは、脱硫剤を内部に充填し脱硫処理する脱硫反応器の底部に液体燃料を導入し、所定の温度に昇温して脱硫剤と接触させて脱硫処理する。この後、脱硫反応器内での気液界面の部位より、液体成分と気体成分とが併存する状態の反応生成物で引き抜き、下流側の気化器ならびに改質反応器に移送し、水素ガスを生成させ、脱硫後に下流側へ移送する際の脈動を防止する構成が採られている。
しかしながら、この特許文献3に記載のような従来の脱硫方法では、液相吸着法による脱硫処理を実施するための脱硫剤が利用されることから、脱硫反応器内に気体成分と液体成分とが生成することで、脱硫剤による脱硫処理効率が異なってしまうので、安定した良好な脱硫処理のために十分な容積の脱硫反応器を用いる必要があり、装置が大型化するおそれがある。また、例えば、発電処理を中断することにより、液体燃料の流通が停止すると、脱硫反応器内で気体成分がより生成し易くなる。このため、再起動する際に、気体成分と液体成分とが併存する状態で、気体成分を外部へ引き抜いたり、液体成分のみを次工程へ搬送したりするなどの制御が煩雑となるとともに、下流側への移送の際に脈動を生じるおそれがある。さらには、後段での気化器における水蒸気との混合による気化の際に、移送される反応生成物の気体成分と液体成分との割合が変動することで、後段での改質処理における水蒸気バランスが変動し、安定した改質処理が得られなくなるおそれもある。
【0006】
特許文献4に記載のものは、ニッケル系脱硫剤を用い、液体燃料中の硫黄分、特にベンゼン環を一つ以上含むチオフェン類を80℃以下の温度で除去している。
しかしながら、所定の脱硫レベルを維持しつつ目標とする運転時間を確保するためには、ある程度の温度を必要とする。例えば、家庭用などの比較的に燃料電池システムの停止、起動が頻繁な構成では、目標とする脱硫レベルで発電に必要な水素ガスが得られるまでに時間を要し、迅速な対応に応じにくいおそれがある。
【0007】
【特許文献1】特開2005−343950号公報
【特許文献2】特開2003−151608号公報
【特許文献3】特開2004−51864号公報
【特許文献4】特開2006−117921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献4に記載のような各種ニッケル系脱硫剤を用いる各種脱硫方法の運転条件では、液体燃料を脱硫する際に、目標とする脱硫レベルを維持しつつ、目標とする運転時間を確保するためには、脱硫器の温度を高温に設定する必要がある。しかしながら、脱硫器の温度を高温に設定すると、脱硫剤性能を低下させる原因となるコーク析出速度が速くなり、脱硫剤の寿命を十分に発揮できなくなるおそれがある。
また、脱硫器の高温化に伴って液体燃料が気化し、接触効率が低減するおそれがある。さらには、気化した液体燃料のガスを排ガス処理装置にて処理することも考えられるが、例えば家庭用などの液体燃料システムに利用する構成など、小型化の要請が高い用途では、排ガス処理装置を設ける設置スペースを確保することが困難であり、無害化できずに大気へ排出されてしまうことを防止するために、後工程における改質処理でのバーナの燃焼などに利用するなど、さらには、上述した特許文献2に記載のような補助タンクを用いたり、特許文献3に記載のような煩雑で特別な運転制御が必要となったりするなど、別途複雑なシステム構成が必要となるなどの問題もある。
【0009】
本発明の目的は、このような点に鑑みて、触媒の長寿命化が得られ小型化が容易な脱硫方法、脱硫装置、燃料電池用燃料ガスの製造装置、および、燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に記載の脱硫方法は、炭化水素原料を水素無添加状態で脱硫剤により脱硫する脱硫方法であって、前記脱硫剤による脱硫する処理期間が長くなるにしたがって前記脱硫剤の加熱温度を高くすることを特徴とする。
この発明では、脱硫剤により炭化水素原料を水素無添加状態で脱硫する処理期間が長くなるにしたがって脱硫触媒の加熱温度を次第に高く設定する。
このことにより、脱硫処理の開始当初における脱硫剤の活性が高い段階では比較的に低い温度で脱硫処理してコーク析出による脱硫剤活性の低下を防止するとともに、処理期間が長くなって次第に脱硫剤の活性が低下すると次第に温度を高くして反応性を高めるので、脱硫剤の性能を効率よく発揮でき、脱硫剤の寿命を延長できる。したがって、必要以上に脱硫剤が必要なく、脱硫剤の充填量が適正化し、小型化も容易に図れる。
【0011】
そして、本発明では、請求項1に記載の脱硫方法であって、前記炭化水素原料は、液体燃料である構成とすることが好ましい。
この発明では、炭化水素原料として液体燃料を用いる。
このことにより、脱硫処理の開始当初における脱硫剤の活性が高い段階では比較的に低い温度で脱硫処理して、液体燃料のガス化を抑制し、ガス化による接触効率の低減を抑制し、効率よく処理できるとともに、ガス化によるコーク析出を防止して脱硫剤活性の低下を防止でき、より脱硫剤の寿命を延長できる。さらには、液体燃料のガス化分を処理する構成が不要で、より構成の簡略化が得られる。
【0012】
また、本発明では、請求項2に記載の脱硫方法であって、前記液体燃料は、ナフサ、灯油、軽油のうちの少なくともいずれか一種である構成とすることが好ましい。
【0013】
そして、本発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の脱硫方法であって、前記脱硫剤は、ニッケルを主成分とする金属、または、ニッケルと、銀、銅、亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、アルミニウム、珪素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド系希土類金属の中から選ばれる少なくともいずれか一種の金属とを含む金属である構成とすることが好ましい。
このことにより、特に高温化でガス化による不都合が生じる液体燃料の脱硫に好適な上述の金属を含むものを対象とするので、効率的で良好な脱硫処理時の温度範囲で、コーク析出による活性低下や長期使用による活性低下に応じた昇温による反応性の向上により、良好に脱硫剤の寿命を延長できる。
【0014】
また、本発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の脱硫方法であって、前記炭化水素原料の供給速度は、0.05L/h以上300L/h以下である構成とすることが好ましい。
この発明では、炭化水素原料の供給速度を0.05L/h以上300L/h以下としている。
このことにより、脱硫剤による活性および温度との関係による良好な脱硫処理が適切に実施できる。
ここで、供給速度が0.05L/hより遅くなると、滞留時間が長くなってコーク析出を促進し、寿命が低下するおそれがある。一方、供給速度が300L/hより速くなると、使用する脱硫剤の量が増加し、経済的に不利になる。このため、供給速度を0.05L/h以上300L/h以下に設定する。
【0015】
さらに、本発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の脱硫方法であって、前記炭化水素原料の供給開始時の温度は、100℃以上220℃以下である構成とすることが好ましい。
この発明では、炭化水素原料の供給開始時の温度を100℃以上220℃以下としている。
このことにより、脱硫剤による活性および温度との関係による良好な脱硫処理が適切に実施できる。
ここで、供給開始時の温度が100℃より低くなると、炭化水素原料、特に液体燃料の脱硫レベルが十分に得られない、すなわち十分に脱硫できないおそれがある。一方、供給開始時の温度が220℃より高くなると、十分な脱硫レベルは得られるものの、例えばコーク析出など、脱硫剤への負荷が高まり、寿命が短くなるおそれがある。特に、液体燃料の場合では、ガス化の割合が増大して、良好な脱硫処理が得られなくなるおそれがある。このため、供給開始時の温度を100℃以上220℃以下に設定する。
【0016】
また、本発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の脱硫方法であって、前記脱硫剤による処理期間の終了時の温度は、200℃以上270℃以下である構成とすることが好ましい。
この発明では、脱硫剤による処理期間の終了時の温度を200℃以上270℃以下としている。すなわち、200℃以上270℃以下より高い温度までは昇温しない。
このことにより、脱硫触媒による活性および温度との関係による良好な脱硫処理が適切に実施できる。
ここで、脱硫処理期間の終了時の温度が200℃より低くなると、脱硫剤の本来有する脱硫機能が発揮できないおそれがある。一方、脱硫処理期間の終了時の温度が270℃より高くなると、コーク析出が促進されて、脱硫剤の寿命が短くなるおそれがある。このため、脱硫処理の終了時の温度を200℃以上270℃以下に設定する。
【0017】
本発明に記載の脱硫装置は、炭化水素原料を水素無添加状態で脱硫剤により脱硫する脱硫装置であって、前記脱硫剤が充填される収容空間を内部に有する容器と、前記脱硫剤を加熱する加熱手段と、この加熱手段による加熱を制御し、前記脱硫剤による脱硫処理期間に応じて温度が高くなる状態で前記脱硫剤を加熱させる制御手段とを具備したことを特徴とする。
この発明では、制御手段により、容器の内部空間に充填された脱硫剤を加熱する加熱手段を、脱硫剤による脱硫処理期間に応じて温度が高くなる状態に加熱させる。
このことにより、脱硫処理の開始当初における脱硫剤の活性が高い段階では比較的に低い温度で脱硫処理してコーク析出による脱硫剤活性の低下を防止するとともに、処理期間が長くなって次第に脱硫剤の活性が低下すると次第に温度を高くして反応性を高めるので、脱硫剤の性能を効率よく発揮でき、脱硫剤の寿命を延長できる。したがって、必要以上に脱硫剤が必要なく、脱硫剤の充填量が適正化して容器が小型化し、小型化も容易に図れる。
特に、炭化水素原料が液体燃料の場合、液体燃料のガス化を抑制し、ガス化による接触効率の低減を抑制し、効率よく処理できるとともに、液体燃料のガス化分を処理する構成が不要で、より構成の簡略化や小型化が得られる。
【0018】
本発明に記載の燃料電池用燃料ガスの製造装置は、請求項8に記載の脱硫装置と、前記脱硫装置の容器内に前記炭化水素原料を供給する原料供給手段と、前記容器に接続され脱硫処理された前記炭化水素原料を原料ガスに気化する気化手段と、この気化手段で気化された前記原料ガスを改質し水素ガスを主成分とする燃料ガスを生成させる改質手段とを具備したことを特徴とする。
この発明では、原料供給手段により、請求項8に記載の脱硫装置の容器内に炭化水素原料を供給させ、脱硫装置で脱硫処理された炭化水素原料を気化手段により原料ガスに気化し、改質手段により原料ガスを改質して水素ガスを主成分とする燃料ガスを生成させる。
このことにより、脱硫剤の長寿命化および小型化が容易な脱硫装置からの脱硫処理した炭化水素原料を処理して燃料電池用の水素ガスを主成分とする燃料ガスを生成させるので、小型化が容易に図れるとともに、脱硫剤の長寿命化による保守管理の頻度が低減し、長期間安定した燃料ガスの製造が得られる。
【0019】
本発明に記載の燃料電池システムは、請求項9に記載の燃料電池用燃料ガスの製造装置と、酸素含有気体を供給する酸素含有気体供給手段と、前記燃料電池用燃料ガスの製造装置の前記改質手段で改質された前記燃料ガスおよび前記酸素含有気体供給手段により供給される前記酸素含有気体を利用して発電する燃料電池とを具備したことを特徴とする。
この発明では、小型化が容易に得られ長期間安定した燃料ガスを製造できる請求項9に記載の燃料電池用燃料ガスの製造装置で製造された燃料ガスと、酸素含有気体供給手段から供給される酸素含有気体とを利用して、燃料電池にて発電させる。
このことにより、容易に小型化でき長期間安定して燃料ガスを製造できる燃料電池用燃料ガスの製造装置を用いるので、小型化が容易に図れ、保守管理が容易で長期間安定して発電できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
〔燃料電池システムの構成〕
以下、本発明の燃料電池システムに係る一実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態では、炭化水素原料として液体燃料である灯油を利用する燃料電池システムの構成を例示するが、例えば灯油に限らず、軽油やナフサなどの各種液体燃料の他、例えば都市ガスやLPG(Liquefied Petroleum Gas)であるプロパンガスなどの気体燃料も対象とする各種燃料電池システムに利用できる。さらに、燃料電池に供給する燃料ガスを製造する製造装置などに適用できる。
図1は、本実施の第一実施形態における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、100は、燃料電池システムで、この燃料電池システム100は、液体燃料を原料として水素を主成分とする燃料ガスに改質し、燃料電池170により発電させるシステムである。
この燃料電池システム100は、液体燃料供給手段110と、脱硫手段120と、気化手段130と、改質ユニット140と、酸素含有気体供給手段150と、燃料電池170と、パージガス供給手段としての不活性ガス供給手段180と、パージガス供給手段を構成する循環手段190と、などを備えている。そして、改質ユニット140の上流側を構成する液体燃料供給手段110、脱硫手段120および気化手段130が本発明の原料ガス供給手段を構成する。
【0022】
液体燃料供給手段110は、液体燃料貯溜タンク111と、液体燃料供給経路112と、を備えている。
液体燃料貯溜タンク111は、例えば灯油などの液体燃料111Aを流出可能に貯溜する。ここで、液体燃料111Aとしては、灯油に限らず、例えば軽油やナフサなど、各種液体燃料が利用できる。
液体燃料供給経路112は、液体燃料貯溜タンク111に接続され、液体燃料貯溜タンク111に貯溜する液体燃料111Aを流通させる。この液体燃料供給経路112は、液体燃料ポンプ112Aおよび燃料供給バルブ112Bを有し、一端が液体燃料貯溜タンク111に接続され他端が脱硫手段120に接続された燃料供給管112Cを備えている。そして、液体燃料供給経路112は、液体燃料ポンプ112Aの駆動により液体燃料貯溜タンク111に貯溜する液体燃料111Aを脱硫手段120へ流通させる。
なお、液体燃料供給手段110としては、液体燃料貯溜タンク111を備えた構成に限られるものではなく、例えば、別途設けられた液体燃料貯溜タンク111に接続されこの液体燃料貯溜タンク111に貯溜する液体燃料111Aを流通させる液体燃料供給経路112のみを備えた構成としてもよい。
【0023】
脱硫手段120は、脱硫器121と、図示しないバッファタンクと、などを備えている。
脱硫器121は、液体燃料貯溜タンク111から液体燃料供給経路112を介して例えば約300[ml/時間]で供給される液体燃料111Aを、液相吸着法により液体燃料111A中に含有される硫黄化合物を吸着除去する脱硫処理を実施する。この脱硫器121は、図示しない容器である脱硫剤容器と、加熱手段である脱硫加熱手段などを備えている。
脱硫剤容器は、内部に脱硫触媒としての脱硫剤が充填された略円筒状に形成され、軸方向の一端に液体燃料供給経路112の燃料供給管112Cの他端が接続され液体燃料111Aが流入される図示しない流入口を有し、軸方向の他端にバッファタンクに接続され脱硫剤と接触して流通する液体燃料111Aを流出させる図示しない流出口を有している。そして、脱硫器121は、脱硫剤容器の軸方向が略鉛直方向に沿う状態で、かつ流入口が鉛直方向の下方に向けて開口するとともに流出口が鉛直方向の上方に向けて開口する状態に設置される。すなわち、脱硫器121は、脱硫剤容器の下部から液体燃料111Aが流入され、鉛直方向の上方に向けて流通しつつ上部から流出させる状態に設置される。
脱硫加熱手段は、例えば脱硫剤容器の外面に螺旋状に配設されたシーズヒータなどの電気ヒータを備え、脱硫剤容器の外面側から流通する液体燃料111Aを適宜加熱して脱硫処理を促進させる。なお、脱硫器121の外面には、電気ヒータとともに脱硫剤容器の外面を被覆して断熱する断熱材が設けられる。また、電気ヒータは、螺旋状に配設する構成に限らず、例えば脱硫剤容器の長手方向に沿って折り返すように配設するなどしてもよい。
なお、この脱硫器121は、水素を添加せずに脱硫処理するものである。すなわち、水素を添加するための添加装置や水素の加圧装置が必要となり設備が重厚となるので、ニッケル系脱硫剤を用いて加熱により脱硫処理するものである。
【0024】
バッファタンクは、脱硫器121で脱硫処理された液体燃料111Aを一時的に貯溜するタンクである。
バッファタンクには、貯溜する液体燃料111Aの液量を検出する液量センサが設けられている。この液量センサは、バッファタンクに所定量が貯溜される状態に、液体燃料供給経路112の液体燃料ポンプ112Aの駆動制御のために液量に関する信号を出力する。
そして、このバッファタンクの下部には、脱硫燃料バルブ122Aおよび図示しない脱硫燃料ポンプを有した脱硫燃料経路122が接続され、貯溜する脱硫処理後の液体燃料111Aを気化手段130へ供給可能となっている。また、バッファタンクの上部には、気化した液体燃料111Aを排出、例えば改質ユニット140で燃焼される燃焼ガスとして供給させる図示しない燃焼ガス供給経路が接続されている。
【0025】
ここで、脱硫剤としては、例えばニッケル系脱硫剤が好適に利用される。
そして、ニッケル系脱硫剤は、ニッケルを主成分とする金属、または、ニッケルと、銀、銅、亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、アルミニウム、珪素、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、および、セリウムやランタンなどのランタノイド系希土類金属の中から選ばれる少なくともいずれか一種の金属とを含む金属にて構成された脱硫剤である。
特に、所望の脱硫性能が得られる点で、銅、亜鉛、カルシウム、セリウムが好ましい。また、ニッケル系脱硫剤は、金属を高分散状態に保持する点で、上記金属を多孔質無機酸化物の単体に担持した形態が好ましい。多孔質無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、珪藻土、粘土、酸化亜鉛の中から得られる少なくとも一種が用いられる。なお、アルミナ担体、シリカ−アルミナ担体が好ましい。
そして、ニッケル系脱硫剤は、上述した金属成分の水溶性化合物と多孔質無機酸化物とを、撹拌法、含浸法、流通法、共沈法などにより接触させ、水などで適宜洗浄後に乾燥して焼成する事により得られる。具体的には、シリカ−アルミナを担体としたニッケル−銅系脱硫剤の調製は以下に示すように調製する。
なお、このシリカ−アルミナを担体としたニッケル−銅系脱硫剤では、脱硫性能および脱硫剤の機械的強度などの点から、担持した総金属含有量(酸化物換算)が5質量%〜90質量%で、かつ担体が95質量%〜10質量%の範囲が好ましい。この総金属含有量(酸化物換算)は、共沈法により担持した場合で40質量%〜90質量%、含浸法により担持した場合で5質量%〜40質量%である。
【0026】
まず、ニッケル源、銅源およびアルミニウム源を含む酸性の水溶液または水分散液と、珪素源および無機塩基を含む塩基性水溶液とを調製する。
酸性の水溶液または水分散液に用いられるニッケル源としては、例えば、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、およびこれらの水和物などが挙げられる。また、銅源としては、例えば、塩化銅、硝酸銅、硫酸銅、酢酸銅、およびこれらの水和物などが挙げられる。なお、これらニッケル源や銅源は、それぞれ単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルミニウム源としては、擬ベーマイト、ベーマイトアルミナ、バイヤライト、ジプサイトなどのアルミナ水和物や、α−アルミナなどが挙げられる。これらの内、擬ベーマイト、ベーマイトアルミナおよびα―アルミナが好ましい。そして、これらは粉体状またはゾルの形態で用いることができる。また、アルミニウム源は、単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性水溶液に用いられる珪素源としては、アルカリ水溶液に可溶であって、焼成によりシリカになるものであれば特に制限されない。例えば、オルト珪酸、メタ珪酸、およびこれらのナトリウム塩やカリウム塩、水ガラスなどが挙げられる。そして、珪素源としては、これら単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、珪酸ナトリウム水和物の一種である水ガラスが好適である。
塩基性水溶液に用いられる無機塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが好ましい。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、炭酸ナトリウムの単独、または炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの組み合わせが好適である。この無機塩基の使用量は、次工程で酸性の水溶液または水分散液とこの塩基性水溶液とを混合した場合に、混合液が実質上で中性から塩基性になるように設定する。なお、無機塩基は、全量をこの塩基性水溶液の調製に用いてもよく、またその一部を次工程で上記酸性の水溶液または水分散液と塩基性水溶液との混合液に加えてもよい。
【0027】
上述したように調製した酸性の水溶液または水分散液と塩基性水溶液とを、それぞれ50℃〜90℃程度に加温した後に混合する。混合後、必要に応じて、50℃〜90℃に加温された無機塩基を含む水溶液をさらに加えた後、混合液を50℃〜90℃程度の温度に維持しつつ0.5〜3時間程度攪拌して反応を完結させる。
この後、生成した固形物を十分に洗浄した後に固液分離を実施、または生成した固形物を固液分離した後に十分に洗浄し、得られた固形物を80℃〜150℃程度で乾燥する。そして、得られた乾燥固形物を、好ましくは200℃〜400℃の範囲で焼成し、担体上にニッケルおよび銅が担持されたニッケル−銅系脱硫剤を得る。
【0028】
気化手段130は、脱硫手段120の脱硫燃料経路122に接続され、脱硫手段120から供給される脱硫処理後の液体燃料111Aを気化させる。この気化手段130は、気化器131と、熱交換装置132と、給水経路133と、などを備えている。なお、気化手段130は、改質ユニット140に一体的に構成されてもよく、別体構成としてもよい。
気化器131は、脱硫燃料経路122に接続され液体燃料111Aが供給されるとともに、熱交換装置132に接続され熱交換装置132から水蒸気が供給される。そして、気化器131は、液体燃料111Aおよび水蒸気を適宜混合して気化、すなわち原料ガスである気化液体燃料を生成させる。この気化器131は、改質ユニット140に接続され、水蒸気が混合されて気化した液体燃料111Aである気化液体燃料を改質ユニット140へ供給する。
熱交換装置132は、改質ユニット140に接続され、改質ユニット140から排気される排ガスを冷却させるとともに排ガスと熱交換させる水から水蒸気を生成させ、生成した水蒸気を気化器131へ供給させる。具体的には、熱交換装置132には、純水133Aを貯溜する純水タンク133Bが搬送ポンプ133Cおよび搬送バルブ133Dを有した給水経路133を介して接続され、純水タンク133Bから純水133Aが供給される。この純水133Aが改質ユニット140からの排ガスと熱交換されて水蒸気として気化器131に供給される。なお、純水タンク133Bは、蒸留水などの不純物を含まない純水133Aを貯溜し、例えば水道水などが浄化されて適宜給水される構成が設けられていてもよい。
【0029】
改質ユニット140は、気化手段130により水蒸気が混合されて気化された気化液体燃料を水素リッチな燃料ガスに改質する。この改質ユニット140は、改質手段としての改質器141と、CO変成装置としてのCO変成器142と、CO選択酸化器143と、などを備えている。
改質器141は、内部に図示しないニッケル触媒などの改質触媒および加熱装置としてのバーナ141Aを備えている。バーナ141Aには、液体燃料貯溜タンク111に接続され搬送ポンプ144Aを有し液体燃料貯溜タンク111に貯溜する液体燃料111Aを搬送する燃料搬送経路144が接続されている。また、バーナ141Aには、送気ブロワ145Aおよび送気バルブ145Bを有した送気経路145が接続され、送気ブロワ145Aの駆動により燃焼用空気が供給される。さらに、バーナ141Aには、詳細は後述する燃料電池170に接続され開閉バルブ146Aを有し燃料電池170から排出される流出物である燃料ガスを排出する返送手段としての燃料ガス供給経路146が接続されている。そして、バーナ141Aは、送気ブロワ145Aから供給される空気により、燃料搬送経路144を介して供給された液体燃料111Aおよび燃料ガス供給経路146を介して供給された燃料ガスを燃焼させ、改質器141に供給された気化液体燃料を水素リッチの燃料ガスに水蒸気改質する。このバーナ141Aの燃焼による高温の排ガスは、気化手段130の熱交換装置132に供給され、純水133Aとの熱交換により冷やされて外気中に排気される。
CO変成器142は、改質器141から流出する水素リッチの燃料ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO2)に変成する。このCO変成器142は、図示しない銅系のCO変成触媒、例えばCu−ZnO−Al23の触媒が充填されてCO変成層を形成する内部空間を有したCO変成容器を備えている。
CO選択酸化器143は、酸化ブロワ143Aが接続されて空気が供給される。そして、CO選択酸化器143は、供給される空気中の酸素により、CO変成器142で変成されずに残留するCOをCO2に酸化させ、燃料ガス中のCOを除去する。
なお、CO変成器142およびCO選択酸化器143は、改質器141と一体構成としてもよい。また、CO選択酸化器143の他、COを吸着除去するなどの装置を設けるなどしてもよい。
【0030】
酸素含有気体供給手段150は、酸素含有気体として例えば空気を燃料電池170へ供給する。
具体的には、酸素含有気体供給手段150は、ブロワ151と、一端がブロワ151に接続され他端が燃料電池170に接続された空気供給管152と、この空気供給管152に設けられた空気バルブ153と、を備えている。そして、ブロワ151の駆動により、空気供給管152を介して空気を燃料電池170へ供給する。
【0031】
また、改質ユニット140のCO選択酸化器143には、燃料ガスバルブ163Aを有した燃料ガス供給経路163を介して燃料電池170が接続され、改質ユニット140で改質された水素リッチの燃料ガス、例えば加湿器などにて60〜70℃程度に調整しつつ例えば純水タンク133Bから供給される純水133Aにて加湿した燃料ガスを燃料電池170へ供給する。
また、燃料ガス供給経路163は、燃料ガスバルブ163Aより上流側の位置で、バイパス経路165が接続されている。このバイパス経路165は、切替バルブ165Aを有し、燃料ガス供給経路146における開閉バルブ146Aより下流側に接続されている。そして、バイパス経路165は、燃料ガス供給経路163を流通する燃料ガスを、燃料ガス供給経路146を介して改質器141のバーナ141Aへ供給する。
【0032】
燃料電池170は、水素と酸素とを反応させて直流電力を発生させる。この燃料電池170は、例えば固体高分子型燃料電池で、正極171と、負極172と、正極171および負極172間に配設された図示しない高分子電解質膜と、を備えている。そして、正極171側には、酸素含有気体供給手段150から例えば加湿器で60〜70℃程度に加湿された空気が供給され、負極172側には例えば加湿器で加湿された水素リッチの燃料ガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と空気中の酸素とが反応して水(純水133A)が生成されるとともに、正極171および負極172間に直流電力が発生する。
そして、負極172側は、上述したように改質器141のバーナ141Aに燃料ガス供給経路146を介して接続され、余った水素分をバーナ141Aの燃料として供給する。また、正極171側には、分離器175が接続されている。この分離器175には、正極171側から反応に利用された空気が供給され、気相分の空気と液相分の水(純水133A)とに分離する。なお、分離した空気は、外気に排気される。そして、分離器175には、純水タンク133Bが接続され、分離した水(純水133A)を純水タンク133Bへ供給する。
また、燃料電池170には、冷却装置177が設けられている。この冷却装置177は、燃料電池170に付設された熱回収装置177Aが設けられている。この熱回収装置177Aには、冷却水循環ポンプ178Aおよび熱交換器178Bを備えた冷却水循環経路178を介して純水タンク133Bが接続されている。そして、冷却装置177は、冷却水循環ポンプ178Aの駆動により、熱回収装置177Aと純水タンク133Bとの間で冷却水となる純水133Aを冷却水循環経路178で循環させ、発電に伴って発熱する燃料電池170を冷却させるとともに熱を回収する。熱交換器178Bは、循環され熱回収装置177Aで熱を回収した純水133Aと、例えば水道水などと熱交換させる。この熱交換により温められた水道水は、例えばお風呂などの他の設備に直接供給されて有効利用される。なお、水道水との熱交換の他、熱交換により得られる熱から発電させるなど、他の設備などに有効利用してもよい。
【0033】
不活性ガス供給手段180は、燃料電池システム100の稼働停止の際に不活性ガスを供給して不活性ガスにて燃料電池システム100内を置換・充填、すなわちパージさせる。この不活性ガス供給手段180は、不活性ガスタンク181と、不活性ガス供給経路182と、を備えている。
不活性ガスタンク181は、不活性ガスとして例えばドライガスである窒素ガス(N2)を流出可能に貯蔵する。ここで、不活性ガスとしては、窒素ガスに限らず、ヘリウムガスやアルゴンガスなど、各種不活性ガスが利用できる。なお、不活性ガスは、詳細は後述するが、稼働停止時に結露による触媒の酸化、特に昇温時の酸化により、触媒活性が低下するおそれがあるので、ドライガスであることが好ましい。
不活性ガス供給経路182は、不活性ガスタンク181に接続され、不活性ガスタンク181に貯蔵された不活性ガスを流通させ脱硫手段120の下流側に供給してパージさせる。具体的には、不活性ガス供給経路182は、不活性ガスバルブ182Aを有し、上流側が不活性ガスタンク181に接続された不活性ガス供給管182Bを備えている。また、不活性ガス供給管182Bの下流側は、第1供給管182Cおよび第2供給管182Dに分岐されている。そして、第1供給管182Cは、第1バルブ182C1を有し、下流端が脱硫手段120の下流側で気化手段130の気化器131より上流側、すなわち脱硫燃料経路122における脱硫燃料バルブ122Aより下流側に接続されている。また、第2供給管182Dは、第2バルブ182D1を有し、下流端が燃料ガス供給経路163における燃料ガスバルブ163Aより下流側に接続されている。さらに、第1供給管182Cには、第1バルブ182C1より下流側に位置して、第3供給管182Eが接続されている。この第3供給管182Eは、第3バルブ182E1を有し、燃料搬送経路144における搬送ポンプ144Aより下流側でバーナ141Aより上流側、特に搬送ポンプ144Aの駆動を停止して液体燃料111Aの供給を停止した際に燃料搬送経路144中に残留し改質器141の熱により液体燃料111Aが気化してしまう位置より上流側に接続されている。
【0034】
循環手段190は、燃料電池170に接続され、燃料電池170から流出する流出物、すなわち燃料電池170から排出される燃料ガスや不活性ガスなどの流出物を脱硫手段120より下流側に供給する。この循環手段190は、循環経路191と、貯溜手段192と、循環ブロワ193と、を備えている。
循環経路191は、循環バルブ191Aを有し、一端が燃料電池170の負極172側に接続すなわち燃料ガス供給経路146における開閉バルブ146Aより上流側に接続され、他端が脱硫手段120より下流側に接続すなわち不活性ガス供給経路182の第1供給管182Cにおける第1バルブ182C1より上流側に接続され、燃料電池170の負極172から流出される流出物を脱硫手段120の下流側で気化器131より上流側へ供給させる。
貯溜手段192は、循環経路191に設けられ、燃料電池170の負極172から流出される流出物を貯溜する。この貯溜手段192には、気液分離手段192Aが設けられている。気液分離手段192Aは、負極172から循環経路191を流通し貯溜手段192に流入した流出物を気液分離する。具体的には、気液分離手段192Aは、貯溜手段192を構成する図示しない貯溜タンクに設けられ、流出物中の液相分である水(純水133A)のみを純水タンク133Bへ流過させる図示しないドレントラップと、流出物中の気相分のみを循環経路191の下流側へ流通させるベントトラップとを備えている。
循環ブロワ193は、循環経路191における貯溜手段192より下流側に設けられ、駆動により貯溜手段192に貯留された気相分を脱硫手段120より下流側へ供給させる。
【0035】
そして、燃料電池システム100は、システム全体の動作を制御する制御手段としても機能する図示しない制御装置を備えている。
この制御装置は、液体燃料111Aの流量制御、脱硫器121の脱硫加熱手段の加熱条件である電気ヒータへ供給する電力制御、改質器141のバーナ141Aの燃焼制御、熱交換装置132で水蒸気を生成させるための純水133Aの供給量制御や温度管理、発電量の管理、不活性ガスのパージ処理などを実施する。
【0036】
制御装置は、脱硫器121の内圧が、大気圧以上1MPa未満となる状態で液体燃料111Aを流通させる。ここで、脱硫器121の内圧が大気圧より低くなると、液体燃料111Aのガス化する割合が増大し、良好な脱硫処理が得られなくなるおそれがある。一方、1MPa以上の加圧下で供給した場合、加圧効果が認められず、加圧状態とする設備が必要となり、脱硫剤容器も肉厚に形成するなどの重厚な設備が必要となり、小型化や製造性の向上などが得られなくなるおそれがある。このため、脱硫器121の内圧が大気圧以上1MPa未満となる状態に液体燃料111Aを流通させる。
そして、制御装置は、液体燃料111Aを脱硫器121へ0.05L/h以上300L/h以下、好ましくは0.1L/h以上100L/h以下の速度で供給する制御をする。ここで、供給速度が0.05L/hより遅くなると、滞留時間が長くなってコーク析出を促進し、寿命が低下するおそれがある。一方、供給速度が300L/hより速くなると、使用する脱硫剤の量が増加し、経済的に不利になる。このため、供給速度を0.05L/h以上300L/h以下、好ましくは0.1L/h以上100L/h以下に設定する。
また、制御装置は、LHSV(液体空間速度)が0.1h-1以上5.0h-1以下、好ましくは0.2h-1以上3.0h-1以下となる条件で液体燃料111Aを流通させる。ここで、LHSVが0.1h-1より遅くなると、脱硫器121の容量が燃料処理量に比べて過大となる。一方、LHSVが5.0h-1より速いと、ニッケル系脱硫剤の負荷が高くなって寿命が短くなり、ニッケル系脱硫剤の交換頻度が高くなって、安定した運転が得られなくなる。このため、LHSVは0.1h-1以上5.0h-1以下、好ましくは0.2h-1以上3.0h-1以下に設定される。すなわち、0.05L/h以上300L/h以下、好ましくは0.1L/h以上100L/h以下の速度で供給すると、上述したLHSVの条件となるように脱硫器121の形状を決定すればよい。
【0037】
脱硫器121の加熱条件としては、液体燃料111Aを脱硫器121へ供給を開始する当初では、100℃〜220℃の範囲、好ましくは130℃以上180℃以下である。すなわち、供給開始時の温度が100℃より低くなると、ニッケル系脱硫剤による脱硫レベルが十分に得られなくなるおそれがある。一方、供給開始時の温度が220℃より高くなると、十分な脱硫レベルは得られるものの、例えばコーク析出など、ニッケル系脱硫剤への負荷が高まり、寿命が短くなるおそれがある。さらには、ガス化の割合が増大して、良好な脱硫処理が得られなくなるおそれがある。このため、制御装置は、供給開始時の温度を100℃以上220℃以下、好ましくは130℃以上180℃以下で加熱する状態に脱硫加熱手段を加熱させる。
また、制御装置は、脱硫器121への液体燃料111Aの供給開始から0.006℃/h以上0.02℃/h以下で、昇温する状態に脱硫加熱手段を制御する。ここで、昇温速度が0.006℃/hより遅くなると、処理時間の経過にともなって次第に十分な脱硫レベルが得られなくなるおそれがある。一方、昇温速度が0.02℃/hより速くなると、ニッケル系脱硫剤への負荷が高くなり、寿命が短くなるおそれがある。このため、昇温速度を0.006℃/h以上0.02℃/h以下とする。また、処理開始当初の昇温速度が速く、処理経過時間が長くなるにしたがって昇温速度を遅くする制御が好ましい。
さらに、制御装置は、ニッケル系脱硫剤による処理期間の終了時の温度が200℃以上270℃以下、好ましくは220℃以上250℃以下となる状態に脱硫加熱手段を制御する。ここで、脱硫処理期間の終了時の温度が200℃より低くなると、脱硫剤の本来有する脱硫機能が発揮できないおそれがある。一方、脱硫処理期間の終了時の温度が270℃より高くなると、コーク析出が促進されて、脱硫剤の寿命が短くなるおそれがある。このため、脱硫処理の終了時の温度を200℃以上270℃以下、好ましくは220℃以上250℃以下に設定する。
なお、制御装置は、脱硫器121での脱硫処理時間あるいは累積通油量を累積的に記憶する例えばメモリなどの記憶手段や、タイマなどの計時のための計時手段などを備えている。
【0038】
〔燃料電池システムの動作〕
次に、上述した燃料電池システム100における動作について、図面を参照して説明する。
【0039】
まず、制御装置は、発電要求に関する信号を取得すると、暖気工程を実施する。なお、発電要求に関する信号としては、利用者によるスイッチの切替操作などの入力操作、現在時刻を計時する計時手段があらかじめ設定された時刻になったことを認識するタイマ制御、電力負荷における電力消費の開始あるいは電力消費の増大などに伴う信号、低下蓄電池の蓄電量の低下に伴う信号などが例示できる。
制御装置は、送気経路145の送気バルブ145Bを開状態にするとともに送気ブロワ145Aを駆動させ、改質器141のバーナ141Aに燃焼用空気を供給させる。さらに、制御装置は、冷却水循環経路178の冷却水循環ポンプ178Aを駆動させ、純水タンク133Bに貯溜する純水133Aを、冷却装置177、熱交換器178Bおよび純水タンク133Bで循環させる。
【0040】
この暖気工程の後、制御装置は、バーナ141Aの温度状態を確認する。そして、制御装置は、バーナ141Aがある程度の温度に暖まったことを認識すると、燃料搬送経路144の搬送ポンプ144Aを駆動させて液体燃料貯溜タンク111に貯溜する液体燃料111Aをバーナ141Aへ供給したり、燃焼ガス供給経路を介してバッファタンクに貯留する気化した液体燃料111Aをバーナ141Aへ供給したりするとともに、バーナ141Aの図示しない点火器を動作させ、液体燃料111Aを燃焼させて改質器141を加熱する。
さらに、制御装置は、バーナ141Aの火炎の温度を検知する。そして、制御装置は、バーナ141Aの火炎検知温度が所定の温度に達したことを認識すると、改質ユニット140の改質器141、CO変成器142およびCO選択酸化器143などの各温度が所定の温度に達したか否かを検出する。この後、制御装置は、改質ユニット140がそれぞれ所定の温度に達したことを認識すると、改質工程を実施する。
【0041】
この改質工程では、制御装置は、給水経路133の搬送バルブ133Dを開状態とするとともに、気化手段130の給水経路133の搬送ポンプ133Cを駆動させ、純水タンク133Bに貯溜する純水133Aを熱交換装置132へ供給する。この純水133Aの供給により、熱交換装置132で改質器141から排気された排ガスとの熱交換により水蒸気が生成されて気化器131へ供給される。
また、制御装置は、脱硫手段120の脱硫燃料経路122の脱硫燃料バルブ122Aを開状態とするとともに図示しない脱硫燃料ポンプを駆動させ、脱硫手段120のバッファタンクに貯溜する脱硫処理された液体燃料111Aを気化手段130の気化器131へ供給させる。この気化器131への液体燃料111Aの供給により、熱交換装置132から気化器131へ供給される水蒸気と混合されて気化され原料ガスである気化液体燃料として、改質ユニット140の改質器141へ供給される。
さらに、制御装置は、液体燃料供給経路112の燃料供給バルブ112Bを開状態とするとともに、液量センサからの検出信号に基づいてバッファタンクに貯溜する液体燃料111Aの液量に応じた供給量となる駆動状態に液体燃料ポンプ112Aを駆動させ、液体燃料貯溜タンク111に貯溜する液体燃料111Aを脱硫手段120の脱硫器121へ液体燃料供給管112Cを介して供給させる。この液体燃料111Aの脱硫器121への供給により、液体燃料111Aは、脱硫剤との接触により含有される硫黄化合物が吸着除去され、バッファタンクへ流入される。
この液体燃料111Aの脱硫器121への供給の際、制御装置は、脱硫器121への液体燃料111Aの供給当初である場合には、100℃〜220℃、好ましくは130℃以上180℃以下に脱硫加熱手段の加熱を制御、例えば電力制御する。なお、既にニッケル系脱硫剤による脱硫処理が所定時間経過している場合には、処理開始からの経過時間に応じて0.006℃/h以上0.02℃/h以下の温度となるように、脱硫加熱手段による加熱状態を制御する。また、制御装置は、0.05L/h以上300L/h以下の速度、好ましくは0.1L/h以上100L/h以下で供給する制御をする。
そして、制御装置は、バイパス経路165の切替バルブ165Aを開状態とし、気化器131から気化液体燃料として供給され改質ユニット140で改質処理されて流出するガスをバイパス経路165および燃料ガス供給経路146を介して改質器141のバーナ141Aへ供給する。すなわち、改質ユニット140における気化液体燃料の不安定な改質処理状態で処理された燃料ガスは、改質器141の安定加熱のための燃焼に利用される。
【0042】
この改質工程の後、制御装置は、改質ユニット140における改質処理のための改質器141、CO変成器142およびCO選択酸化器143の各温度などの条件を確認する。そして、改質処理の条件が満たされたことを認識すると、酸化ブロワ143Aを駆動させてCO選択酸化器143へ空気を供給する。この空気の供給により、CO変成器142で変成されたCOを二酸化炭素(CO2)に酸化させ、燃料ガス中のCOを除去させる。
そして、改質処理条件の確認後、改質ユニット140が安定したか否か、例えば安定する時間が経過したか否かを判断する。そして、改質ユニット140の安定時間が経過したことを認識すると、発電工程を実施する。
【0043】
発電工程では、制御装置は、酸素含有気体供給手段150の空気バルブ153を開状態とするとともにブロワ151を駆動させ、空気を例えば図示しない加湿器にて60〜70℃に加熱しつつ純水タンク133Bから供給される純水133Aにて加湿し、燃料電池170の正極171へ供給させる。
さらに、制御装置は、バイパス経路165の切替バルブ165Aを閉状態とするとともに、燃料ガス供給経路163の燃料ガスバルブ163Aを開状態とし、改質ユニット140で改質された水素リッチの燃料ガスを、例えば図示しない加湿器にて60〜70℃に調製しつつ純水タンク133Bから供給される純水133Aにて加湿し、燃料電池170の負極172へ供給させる。
これら空気および燃料ガスの供給により、燃料電池170では供給された燃料ガスの水素と供給された空気中の酸素とが反応して水(純水133A)を生成させるとともに、正極171および負極172間に直流電力を発生させる。そして、制御装置は、燃料電池170で発生する直流電力の電圧を確認し、発生した直流電力を制御装置の図示しないインバータを介して交流電力に変換させ、電力負荷へ供給させる。具体的には、外部からの商用交流電源を供給する状態から燃料電池システム100から家庭用電力として供給させる状態に切り替える。
このようにして、定常運転処理に移行する。すなわち、バッファタンクに貯溜する液体燃料111Aの貯溜量に応じた液体燃料111Aの流量制御、脱硫器121の脱硫加熱手段の加熱条件である電気ヒータへ供給する電力制御、改質器141のバーナ141Aの燃焼制御、熱交換装置132で水蒸気を生成させるための純水133Aの供給量制御や温度管理、発電量の管理など、燃料電池システム100全体の運転状態を制御する。
ここで、制御装置は、脱硫器121への液体燃料111Aの供給による処理時間が経過する毎に、供給開始から0.006℃/h以上0.02℃/h以下で昇温する状態に脱硫加熱手段を制御する。なお、この昇温は、200℃以上270℃以下の温度より高くならないように処理する。
【0044】
〔燃料電池システムの作用効果〕
上述したように、上記実施の形態の燃料電池システム100では、制御装置により、ニッケル系脱硫剤により液体燃料111Aを脱硫する処理期間が長くなるにしたがってニッケル系脱硫による脱硫処理の温度が次第に高くなる温度状態に、脱硫加熱手段を制御している。
このため、脱硫処理の開始当初におけるニッケル系脱硫剤の活性が高い段階では比較的に低い温度で脱硫処理して比較的に高温域でのコーク析出によるニッケル系脱硫剤の活性の低下を防止できるとともに、処理期間が長くなって次第にニッケル系脱硫剤の活性が低下すると次第に温度を高くして反応性を高めるので、ニッケル系脱硫剤の性能を効率よく発揮でき、ニッケル系脱硫剤の寿命を延長できる。したがって、必要以上にニッケル系脱硫剤を用いる必要なく、ニッケル系脱硫剤の充填量を適正化できるので脱硫器121の小型化も容易に図れる。
【0045】
そして、脱硫処理対象を液体燃料111Aとしている。すなわち、液体燃料111Aを用いた燃料電池システム100における脱硫処理で、処理期間あるいは処理量に応じた温度制御をしている。
このため、脱硫処理の開始当初におけるニッケル系脱硫剤の活性が高い段階では比較的に低い温度で脱硫処理して、液体燃料111Aのガス化を抑制しているので、ガス化による接触効率の低減を抑制でき、効率よく処理できるとともに、ガス化によるコーク析出を防止してニッケル系脱硫剤の活性の低下を防止でき、よりニッケル系脱硫剤の寿命を延長できる。さらには、液体燃料111Aのガス化分を処理する構成が不要で、より構成の簡略化が得られ、特に小型化の要請が高い家庭用の燃料電池システム100の小型化が容易に図れる。
また、液体燃料111Aとして、ナフサ、灯油、軽油、特に灯油を利用することにより、ガス化による活性低下を適切に防止でき、効率的な良好な脱硫処理が得られ、ニッケル系脱硫剤の寿命をより向上できる。
【0046】
また、特に高温化でガス化による不都合が生じる液体燃料の脱硫に好適なニッケル系脱硫剤を用いている。
このため、効率的で良好な脱硫処理時の温度範囲で、コーク析出による活性低下や長期使用による活性低下に応じた昇温による反応性の向上により、良好にニッケル系脱硫剤の寿命を延長できる。
【0047】
そして、液体燃料111Aの供給速度を0.05L/h以上300L/h以下、好ましくは0.1L/h以上100L/h以下としている。
このため、ニッケル系脱硫剤による活性および温度との関係による良好な脱硫処理が適切に実施できる。
【0048】
また、液体燃料111Aの供給開始時の温度を100℃以上220℃以下、好ましくは130℃以上180℃以下としている。
このため、ニッケル系脱硫剤による活性および温度との関係による良好な脱硫処理が適切に実施できる。
【0049】
さらに、ニッケル系脱硫剤による処理期間の終了時の温度を200℃以上270℃以下、好ましくは220℃以上250℃以下としている。すなわち、200℃以上270℃以下より高い温度までは昇温しない制御をしている。
このため、ニッケル系脱硫剤による活性および温度との関係による良好な脱硫処理が適切に実施できる。
【0050】
そして、制御装置にて統括制御している。
このため、温度、流量、バルブの開閉タイミング、ポンプの駆動停止タイミングなど、比較的に容易に制御でき、例えばソフトウェアによるプログラム制御などにて不活性ガスのパージおよび循環制御の構築も容易で、特に停止・起動が比較的に頻繁に実施される家庭用のシステムとしても、自動制御も容易にできる。
なお、制御装置としては、複数の回路基板にて構成されるなど、1個体の形態に限らず、複数の制御回路がネットワークとして構築されたものなど、各種形態が適用できる。
【0051】
〔実施の形態の変形例〕
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても問題はない。
【0052】
すなわち、本発明の燃料電池システムとしては、制御装置で統括して運転制御する構成に限らず、例えば脱硫手段120や気化手段130、改質ユニット140などの構成毎に制御する構成としてもよい。
また、統括制御としてソフトウェアによる信号制御にてバルブの開閉やポンプあるいはブロワの駆動制御を実施する構成としたり、各構成のハードウェアで制御する構成としたりするなど、制御構成としてはいずれの構成が適用できる。
さらに、燃料電池システム100の構成を例示したが、例えば改質ユニット140から流出する燃料ガスをタンクなどに貯留し、燃料電池用の燃料ガスを製造する装置として構成するなどしてもよい。さらには、制御装置における脱硫加熱手段を制御する制御ユニットと脱硫器120との脱硫手段120である脱硫装置として提供する形態としてもよい。
【0053】
そして、液体燃料111Aの脱硫処理を例示したが、液体燃料111Aとしては、上述したように、灯油に限らず、ナフサや軽油などの各種液体燃料を対象とすることができる。さらには、例えば都市ガスや液化石油ガスなどの気体燃料を原料に用いる場合でも、処理期間が長くなるに従って脱硫温度を次第に高くなるように制御すればよい。
また、脱硫手段120としてバッファタンクを備えた構成を例示したが、バッファタンクを設けなくてもよい。
さらに、脱硫触媒としては、上述したように、ニッケル系脱硫剤に限られない。そしてさらには、ニッケル系脱硫剤としても、上述した製造方法により製造したものに限らず、各種製造方法で製造したものも対象とすることができる。
【0054】
また、脱硫処理時の制御としては、上述した処理条件に限られるものではない。
すなわち、液体燃料111Aの供給速度を0.05L/h以上300L/h以下としたが、この範囲に限られない。例えば、気化原料を用いる場合など、原料や触媒の組成あるいは触媒の形状などに応じて適宜設定される。
また、供給開始時の温度を100℃以上220℃以下としたが、例えば室温から開始するなどしてもよい。この開始当初の温度は、原料や触媒の組成あるいは触媒の形状などに応じて適宜設定される。同様に、処理期間の終了時の温度も200℃以上270℃以下に限られない。
【0055】
液体燃料111Aの気化としては、水蒸気混合のみならず、例えば改質ユニット140からの排ガスとの熱交換により直接的に気化させて別途水蒸気を混合したり、エゼクタを用いたりするなど、各種気化装置を用いることができる。
さらに、改質ユニット140として、改質器141、CO変成器142およびCO選択酸化器143の一体構成で説明したが、それぞれ別体構成としてもよい。さらには、気化手段130を一体的に備えた構成としてもよい。
また、燃料電池170は、固体高分子型に限らず、他の各種構成が適用できる。
さらに、不活性ガスパージの構成を設けて説明したが、不活性ガスパージのみならず、水素ガスなどの還元ガス、改質ガスでパージするなどしてもよい。また、パージ方法についても、各種方法を利用することができる。
【0056】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【実施例】
【0057】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
なお、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
【0058】
(ニッケル系脱硫剤の調製)
硫酸ニッケル・6水和物(特級、和光純薬株式会社製)360.1gおよび硫酸銅・5水和物(特級、和光純薬株式会社製)85.2gを、80℃に加温したイオン交換水3Lに溶解し、調製液Aを得た。一方、80℃に加温したイオン交換水3Lに炭酸ナトリウム300.0gを溶解し、水ガラス135.5g(JIS−3号、Si濃度29質量%、日本化学工業株式会社製)を加え、調製液Bを別途用意した。
そして、調製液A,Bの温度をそれぞれ80℃に保持しつつ、内径10mm、長さ寸法10cmのステンレス鋼製の反応管内に導入し、沈殿ケーキを得た。この後、イオン交換水100Lを用いて沈殿ケーキを洗浄して濾過し、120℃送風乾燥機にて12時間乾燥させた。そして、得られた乾燥物をめのう乳鉢を用いて粉砕し、平均粒径0.8mmとし、350℃で3時間焼成してニッケル系脱硫剤を調製した。
この得られたニッケル系脱硫剤のニッケル含有量(NiO換算)は60.0質量%、銅含有量(CuO換算)は15.0質量%、珪素含有量(SiO2換算)は25.0質量%であった。なお、ニッケルおよび銅が全て還元された場合、ニッケル含有量(Ni換算)は56.0質量%、銅含有量(Cu換算)は14.0質量%、珪素含有量(SiO2換算)は30.0質量%に相当する。
(脱硫処理実験)
上述した調製により得られたニッケル系脱硫剤23mlを、メスシリンダで秤量し、内径17mmのステンレス製の反応器に充填した。反応器に1L/分で水素ガスを供給し、室温から300℃まで5時間で昇温し、3時間保持した。この後、水素供給を継続しつつ160℃まで降温し、圧力を0.6MPaに調整した。
圧力調整後、水素供給を停止し、以下の表1に示す性状の灯油をLHSV=0.6h-1の供給速度で供給し、脱硫灯油を得た。
【0059】
【表1】


【0060】
そして、脱硫処理の際、反応器の外周面に設けた電気ヒータにより脱硫処理の温度を適宜設定した。
なお、この脱硫処理において、脱硫灯油のサンプリングは、2〜3回/週の頻度で実施し、酢酸鉛紙試験法に基づいて硫黄分を分析した。具体的には、ASTM D 1045 Hydrogenolyisi and Rateometric Colorimetry法に準拠し、Houston Atlas社の856/825D装置を用いて定量した。検量線は、ジブチルスルフィド(純度99%以上)のイソオクタン溶液を測定して作製した。試料は検量線用溶液と同様に測定し、検量線から求めた硫黄量〔ng〕と試料注入量〔mg〕から試料中の硫黄分〔wtppm〕を算出した。
その結果を、図2ないし図4に示す。なお、図2は、脱硫処理の経過時間が長くなるに従って、脱硫処理の温度を高く制御した実施例の結果である。図3および図4は、本発明を説明するための脱硫処理の温度を一定とした比較例の結果である。
【0061】
実験結果から、図3に示すように、比較的に低い温度の約160℃程度で一定に保持して脱硫処理した比較例1の場合では、比較的に速い時間で硫黄分の流出が認められた。また、図4に示すように、比較的に高い温度の約230℃で一定に保持して脱硫処理した比較例2の場合では、3000時間を経過してから硫黄分が流出することが認められた。一方、同一の脱硫剤を用いて、図2に示すように徐々に温度を高くした本実施例では、6000時間を経過しても硫黄分の流出は認められなかった。このように、脱硫処理が長くなるにしたがって温度を次第に高くすることにより、略2倍の処理時間に延長、すなわち寿命を延長できることが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、灯油などの液体燃料や液化石油ガスなどの炭化水素原料を脱硫処理する処理条件として利用でき、脱硫処理した炭化水素原料を燃料電池システムにおける発電に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を説明するための脱硫処理時間と温度との関係の実験における実施例の実験結果を示すグラフである。
【図3】本発明を説明するための脱硫処理時間と温度との関係の実験における比較例1の実験結果を示すグラフである。
【図4】本発明を説明するための脱硫処理時間と温度との関係の実験における比較例2の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
100……燃料電池システム
110……原料ガス供給手段を構成する液体燃料供給手段
111A…炭化水素原料としての液体燃料
120……原料ガス供給手段を構成する脱硫手段
130……原料ガス供給手段を構成する気化手段
141……改質手段としての改質器
150……酸素含有気体供給手段
170……燃料電池
【出願人】 【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
【出願日】 平成18年11月1日(2006.11.1)
【代理人】 【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所

【識別番号】100079083
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 實三

【識別番号】100094075
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 寛二

【識別番号】100106390
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 剛


【公開番号】 特開2008−115229(P2008−115229A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−298044(P2006−298044)