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【発明の名称】 熱分解炉チューブの組立て方法
【発明者】 【氏名】新田 泰雄

【要約】 【課題】熱分解炉チューブの組立てにおいて作業日数を大幅に短縮できるようにした方法を提供する。

【解決手段】熱分解炉チューブを組立てるにあたり、治具(300)と拘束具(310)を用いてヘッダー用単管(200A')にコイルチューブ(200B)の溶接に起因する溶接歪みを減少させる逆歪みを与え、この状態のヘッダー用単管に複数のコイルチューブの両端を溶接した後、拘束具による拘束を解放することによってチューブブロック(200)を製作する。次に、複数のチューブブロックを熱分解炉内に取り込み、該複数のチューブブロックのヘッダー用単管を相互に溶接して所定長さのヘッダー管(200A)を製作することによって複数のチューブブロックから熱分解炉チューブ(100')を組立てる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のヘッダー管にU字状の複数のコイルチューブの両端を連通して接続してなる熱分解炉チューブを組立てるにあたり、
治具と拘束具を用いてヘッダー用単管にコイルチューブの溶接に起因する溶接歪みを減少させる逆歪みを与え、この状態のヘッダー用単管に複数のコイルチューブの両端を溶接した後、拘束具による拘束を解放することによってチューブブロックを製作する工程と、 上記複数のチューブブロックを熱分解炉内に取り込み、該複数のチューブブロックのヘッダー用単管を相互に溶接して所定長さのヘッダー管を製作することによって上記複数のチューブブロックから熱分解炉チューブを組立てる工程と、
を備えたことを特徴とする熱分解炉チューブの組立て方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は熱分解炉チューブの組立て方法に関し、特に作業日数を大幅に短縮できるようにした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、オレフィン系の化合物を製造する場合、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ナフサあるいはこれらの混合物の飽和炭化水素に、水蒸気などの希釈剤を加えて熱分解炉に供給し、熱分解によってオレフィン系の化合物を得ることが行われている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
上述の熱分解炉には例えば図3に示されるように、相互に平行な2本の大径のヘッダー管100AにU字状をなす複数のコイルチューブ100Bを掛け渡しその両端をヘッダー管100Aに連通して接続して熱分解炉チューブ100を構成し、複数の熱分解炉チューブ100を炉内に内蔵した方式が知られている。
【0004】
ところで、上述の熱分解炉チューブを組立てる場合、10m〜15mの長さのヘッダー管100Aを熱分解炉の現場まで運び、熱分解炉にあけた開口から熱分解炉内にヘッダー管100Aを取込んで相互に平行な姿勢に仮吊りし、このヘッダー管100Aに図4及び図5に示されるように複数のコイルチューブ100Bの両端を溶接することが行われている。なお、図5において、100Cはコイルチューブ100Bの両端をヘッダー管100Aに溶接するためのノズル、100Dはコイルチューブ100Bを製作する際の溶接箇所を示す。
【0005】
【特許文献1】特開平09−53060号公報
【特許文献2】特開昭62−218486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の組立て方法ではコイルチューブのピッチが小さく、ヘッダー管に対して1本ずつ溶接しなければならず、組立てが完了するまでの作業日数が非常に長くなり、普通規模の熱分解炉チューブでは90日ないし120日程度の日数を必要とし、その間は熱分解炉の操業を中止しなければならないという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、作業日数を大幅に短縮できるようにした熱分解炉チューブの組立て方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱分解炉チューブの組立て方法は、2本のヘッダー管にU字状の複数のコイルチューブの両端を連通して接続してなる熱分解炉チューブを組立てるにあたり、治具と拘束具を用いてヘッダー用単管にコイルチューブの溶接に起因する溶接歪みを減少させる逆歪みを与え、この状態のヘッダー用単管に複数のコイルチューブの両端を溶接した後、拘束具による拘束を解放することによってチューブブロックを製作する工程と、上記複数のチューブブロックを熱分解炉内に取り込み、該複数のチューブブロックのヘッダー用単管を相互に溶接して所定長さのヘッダー管を製作することによって上記複数のチューブブロックから熱分解炉チューブを組立てる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは熱分解炉チューブを複数のチューブブロックに分割し、このチューブブロックを工場製作した後、熱分解炉まで輸送し、熱分解炉の内部に取り込んでチューブブロックのヘッダー用単管を相互に接続して熱分解炉チューブを組立てるようにした点にある。
【0010】
これにより、作業現場における溶接箇所は基本的にヘッダー用単管の接続箇所であり、従来の組立て方法に比して少なく、しかも溶接の品質検査を複数のチューブブロックについて工場で行うことができ、作業現場における検査を少なくできる結果、作業日数を大幅に短縮できる。
【0011】
また、従来の組立て方法ではヘッダー管にコイルチューブの両端を溶接する際に、熱分解炉内に仮設足場を組立て、作業後に解体する必要があり、これも作業日数の増加につながっていたが、本発明ではコイルチューブをヘッダー用単管に溶接したチューブブロックを工場生産しているので、熱分解炉内に仮設足場を組立てる必要がなく、足場の組立・解体作業が不要となり、作業日数を短くできる。
【0012】
さらに、熱分解炉内という環境上好ましくない現場での作業を少なくできる結果、作業者の安全性を向上できる。
【0013】
ところで、従来の組立て方法では所定長さのヘッダー管に複数のコイルチューブを溶接しており、溶接の入熱によってヘッダー管の全体が歪むものの、矯正用の入熱をヘッダー管の適切な箇所に与えることによって歪みを減少させることができ、それほど問題は生じない。
【0014】
これに対し、上述のようにヘッダー用単管に複数のコイルチューブを溶接すると、溶接の入熱によってヘッダー用単管に溶接歪みが残り、ヘッダー用単管を相互に溶接する際に溶接不良が懸念されるばかりでなく、作業に熟練を必要とする。
【0015】
本発明の他の特徴は治具と拘束具とによってヘッダー用単管に逆歪みを与え、その状態でヘッダー用単管にコイルチューブを溶接するようにした点にある。これにより、拘束を解放すると、溶接歪みと逆歪みとが相殺しあい、溶接歪みの少ないチューブブロックが得られる。その結果、チューブブロックのヘッダー用単管を溶接しても溶接不良のおそれを少なくできる。
【0016】
また、上述のように、チューブブロックを工場製作するようにしたので、工場においてチューブブロックの品質検査を行うことができ、組立て現場では比較的簡単な最終検査のみを行えばよく、現場における検査作業を簡略化でき、これによっても作業日数を少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る熱分解炉チューブの組立て方法の好ましい実施形態を示す。本例の熱分解炉チューブ100’は相互に平行な2本の大径のヘッダー管200Aの間にU字状をなす複数のコイルチューブ200Bを掛け渡し、その両端をヘッダー管200Aに溶接して構成され、ヘッダー管200Aは複数のヘッダー用単管200A’を溶接して製作されている。
【0018】
本例の熱分解炉チューブ100’を組立てる場合、図2の(a)に示されるようにヘッダー用単管200A’、つまりヘッダー管200Aを適切な長さに分割した長さの管を準備する。このヘッダー用単管200A’を図2の(b)に示されるように治具300上に載せ、チェーンと引締め具などからなる拘束具310によってヘッダー用単管200A’の両端部分を床面に対して拘束し、溶接歪みの影響を減少させる逆歪みを与える。
【0019】
その状態でヘッダー用単管200A’の複数箇所にノズル200Cを溶接する。ノズル200Cはコイルチューブ200Bの両端をヘッダー用単管200A’に接続するための部品である。溶接作業が済み、拘束具310の拘束を解放すると、図2の(c)に示されるように逆歪みが溶接歪みの影響を軽減する。
【0020】
こうして、ヘッダー用単管200A’にノズル200Cが溶接されると、図1の(b)に示されるように、コイルチューブ200Bの本体部分を溶接にして組立てるとともに、本体部分をノズル200Cに溶接すると、図1の(c)に示されるチューブブロック200が得られる。
【0021】
このチューブブロック200のヘッダー用単管200A’の両端を治具、例えばプレートとエアーシリンダとで封鎖し、内部に高圧エアーを供給してエアー圧力の変動からチューブブロック200の品質検査を行うことができる。また、チューブブロック200の製作途中において、ノズル200Cをヘッダー用単管200A’に溶接した段階で、ノズル200Cをプラグで封鎖し、チューブブロック200と同様の作業を行ってノズル200Cの溶接検査を行うこともできる。
【0022】
上述のチューブブロック200の組立て及び検査は工場にて行うことができる。
【0023】
チューブブロック200が組立てられると、これを熱分解炉の組立て現場に輸送する。ブロックの大きさに応じてトラック、トレーラあるいは船舶によって組立て現場まで輸送する。組立て現場ではクレーン、例えば移動式クレーンによってチューブブロック200を吊り下げて移動させ、熱分解炉の天井部にあけた開口から炉内部に取り込む。
【0024】
こうして複数のチューブブロック200を熱分解炉内に取り込み、チューブブロック200を熱分解炉チューブ100’の形状にレイアウトし、図1及び図2の(c)に示されるように隣接するチューブブロック200のヘッダー用単管200A’を相互に溶接すると、熱分解炉チューブ100’を組立てることができる。
【0025】
以上のように、熱分解炉チューブ100’を運搬可能な大きさに分割したチューブブロック200を工場生産し、これを組立て現場に運搬し、チューブブロック200のヘッダー用単管200A’を溶接してヘッダー管200Aを製作することによって熱分解炉チューブ100’を組立てるようにしたので、組立ての作業日数を削減できる。
【0026】
また、従来の組立て方法ではヘッダー管にコイルチューブの両端を溶接する際に、熱分解炉内に仮設足場を組立て、作業後には解体する必要があり、これも作業日数の増加につながっていたが、本例の方法ではコイルチューブ200Bをヘッダー用単管200A’に溶接したチューブブロック200を工場生産しているので、従来の組立て方法のように熱分解炉内に仮設足場を組立てる必要がなく、足場の組立・解体作業が不要となり、これによっても作業日数を短くできる。
【0027】
しかも、チューブコイル200Bの溶接時にヘッダー用単管200A’に逆歪みを与えるようにしたので、ヘッダー用単管200A’の溶接歪みが少なく、ヘッダー管200Aを製作する際の溶接不良が少ない。
【0028】
また、工場でチューブブロック200の品質検査を行うようにしたので、検査作業を熱分解炉内で行う場合に比して容易であり、検査に要する日数も少なくできる。
【0029】
その結果、熱分解炉チューブ100’の組立てに要する日数を大幅に削減でき、熱分解炉の操業中止の日数を少なくできる結果、操業中止に起因する製品の製造量の減少を大幅に少なくできる。
【0030】
また、上述のように熱分解炉内という環境上好ましくない現場での作業を少なくできる結果、作業者の安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る熱分解炉チューブの組立て方法の好ましい実施形態を示す模式図である。
【図2】上記実施形態におけるヘッダー用単管へのノズルの溶接作業を説明するための図である。
【図3】熱分解炉の構造例を示す図である。
【図4】従来の組立て方法を示す図である。
【図5】従来の組立て方法を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
100’ 熱分解炉チューブ
200 チューブブロック
200A ヘッダー管
200A’ ヘッダー用単管
200B コイルチューブ
200C ノズル
300 治具
310 拘束具
【出願人】 【識別番号】506359934
【氏名又は名称】光工業株式会社
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100071434
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 孝美


【公開番号】 特開2008−106174(P2008−106174A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291252(P2006−291252)