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水利用重質油改質装置及び方法 - 特開2008−95004 | j-tokkyo
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【発明の名称】 水利用重質油改質装置及び方法
【発明者】 【氏名】小久保 慎介

【氏名】稲毛 真一

【氏名】西田 浩二

【氏名】林 明典

【氏名】横田 修

【氏名】高橋 宏和

【要約】 【課題】改質油製造性能を低下させること無く、種類の異なる重質油に対してコークス生成量を最小限にしながら重質油を改質可能な水利用重質油改質装置を実現する。

【解決手段】水タンク1からの水を水ポンプ2で昇圧し水加熱器3で加熱して高温・高圧水を生成する。重質油タンク4からの重質油をポンプ5で昇圧し重質油加熱器6で加熱する。混合器7より上流側の加熱後重質油採取弁17を経て加熱後重質油をサンプリングタンク20に供給し、重量計18で加熱後重質油の液体量を測定しガス流量計19でガス量を測定して液体中のコークス量を測定する。この結果を制御器21に入力し重質油からコークスが生成しないように重質油加熱器6の温度を制御することによって重質油温度を調節し重質油ポンプ5の重質油供給量によって滞留時間を調節する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水加熱器と、重質油加熱器と、この重質油加熱器に重質油を供給する重質油ポンプと、上記水加熱器により加熱された水と重質油加熱器により加熱された重質油とを混合して混合流体とする混合器と、この混合器からの上記混合流体を加熱する混合流体加熱器と、この混合流体加熱器により加熱された混合流体を炭化水素ガス及び軽質油から成る改質油と重質分及び重金属分を含む残渣油とに分離する分離器とを有する水利用重質油改質装置において、
上記重質油加熱器で加熱された重質油を採取する加熱後重質油抜き出し手段と、
上記加熱後重質油抜き出し手段により抜き出された加熱後重質油のコークス生成量を算出し、算出したコークス量に基づいて、コークスの生成を抑制するため、上記重質油加熱器における重質油加熱温度及び滞留時間のうちの少なくとも一つを調節する制御手段とを備えることを特徴とする水利用重質油改質装置。
【請求項2】
請求項1記載の水利用重質油改質装置において、上記制御手段は、上記加熱後重質油の重量を測定する重量測定手段と、上記加熱後重質油のガス量を測定するガス測定手段とを有し、上記重量測定手段により測定された重質油の重量と上記ガス測定手段により測定されたガス量とに基づいて、コークス生成量を算出することを特徴とする水利用重質油改質装置。
【請求項3】
請求項1記載の水利用重質油改質装置において、上記加熱後重質油抜き出し手段は、上記重質油加熱器と上記混合器との間に配置されることを特徴とする水利用重質油改質装置。
【請求項4】
請求項1記載の水利用重質油改質装置において、上記水加熱器の水加熱温度は、上記重質油加熱器の加熱温度以下であることを特徴とする水利用重質油改質装置。
【請求項5】
請求項1記載の水利用重質油改質装置において、上記制御手段は、重質油冷却手段と、減圧手段とを有し、加熱後重質油抜き出し手段により採取した重質油を、上記冷却手段及び減圧手段により、冷却・減圧した後に、加熱後重質油のコークス生成量を算出することを特徴とする水利用重質油改質装置。
【請求項6】
請求項1記載の水利用重質油改質装置において、上記分離器により分離された残渣油を燃焼させる燃焼手段と、この燃焼手段による残渣油の燃焼により生じた燃焼ガスを送り出すブロアと、このブロアから送り出された燃焼ガスを上記水加熱器、上記重質油加熱器、上記混合流体加熱器、上記分離器の加熱管に供給するするダクトとを備えることを特徴とする水利用重質油改質装置。
【請求項7】
ガスタービン燃焼器と、圧縮機とを有するガスタービン装置において、請求項1記載の水利用重質油改質装置により生成された改質油を燃料として上記ガスタービン燃焼器に供給することを特徴とするガスタービン装置。
【請求項8】
水を加熱し、重質油を重質油加熱器に供給して加熱し、上記加熱された水と重質油加熱器により加熱された重質油とを混合して混合流体として、この混合流体を加熱し、加熱した混合流体を炭化水素ガス及び軽質油から成る改質油と重質分及び重金属分を含む残渣油とに分離する水利用重質油改質方法において、
上記重質油加熱器で加熱された重質油を採取し、
上記採取した加熱後重質油のコークス生成量を算出し、算出したコークス量に基づいて、コークスの生成を抑制するため、上記重質油加熱器における重質油加熱温度及び滞留時間のうちの少なくとも一つを調節することを特徴とする水利用重質油改質方法。
【請求項9】
請求項8記載の水利用重質油改質方法において、上記採取した加熱後重質油の液体量及びガス量を測定し、測定した重質油の液体量とガス量とに基づいて、コークス生成量を算出することを特徴とする水利用重質油改質方法。
【請求項10】
請求項8記載の水利用重質油改質方法において、上記重質油加熱器で加熱された重質油の採取は、加熱水と混合する以前に行うことを特徴とする水利用重質油改質方法。
【請求項11】
請求項8記載の水利用重質油改質方法において、上記水の加熱温度は、上記重質油加熱器の加熱温度以下であることを特徴とする水利用重質油改質方法。
【請求項12】
請求項8記載の水利用重質油改質方法において、上記採取した重質油を、冷却し、減圧した後に、加熱後重質油のコークス生成量を算出することを特徴とする水利用重質油改質方法。
【請求項13】
請求項8記載の水利用重質油改質方法において、上記混合流体から分離された残渣油を燃焼し、燃焼により生じた燃焼ガスの熱を利用して、水の加熱、重質油の加熱、上記混合流体の加熱、上記分離器の加熱を行うことを特徴とする水利用重質油改質方法。
【請求項14】
ガスタービン燃焼器と、圧縮機とを有するガスタービンの発電方法において、請求項1記載の水利用重質油改質方法により生成された改質油を燃料としてガスタービン燃焼器に供給することを特徴とするガスタービンの発電方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、重質油を高温・高圧水と混合させることによって、炭化水素ガスと軽質油を高温・高圧水と共に回収し、重質分と重金属分を含んだ残渣油を分離除去する水利用重質油改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重質油は廉価であるが、高粘度であると同時に、高濃度の硫黄分や重金属分を含有しているために、800℃以上で燃焼させると、燃焼用機器の高温部分に深刻な高温腐食をもたらす。そのため、重質油は、その用途が800℃以下の低温の燃焼に限定されていた。
【0003】
重質油が軽質化、脱硫黄化、脱金属化されれば、産業上の利用用途が増大する。そのため、一例として、高温・高圧水を利用して重質油からガスタービンに適用可能な燃料を製造し、発電する方法が特許文献1に提案されている。
【0004】
つまり、この特許文献1に記載された技術は、水加熱器により加熱された水と、重質油加熱器により加熱された重質油とが混合され、混合流体加熱器により加熱される。そして、分離器により混合流体から改質油が抽出される。
【0005】
【特許文献1】特許公開2005−53962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術にあっては、重質油加熱器と混合流体加熱器と分離器において、熱分解反応によって生成するコークスについての考慮がなされておらず、使用する重質油の種類や条件によっては熱分解反応が過剰に進行して、生成されたコークスにより重質油流路が閉塞してしまう可能性があった。
【0007】
このため、コークス生成量を低減させるために、重質油加熱器と混合流体加熱器と分離器における重質油温度を下げることが考えられるが、改質油製造量性能が低下してしまう場合もある。
【0008】
また、重質油は産地および製造過程により組成が異なるが、従来技術では、この組成の相違を考慮して、重質油加熱器における重質油温度や滞留時間を調節することは行われていないため、長時間最適条件から外れた条件で運転される場合もあり、生成したコークスが流路に堆積して閉塞させてしまう可能性もあった。
【0009】
本発明の目的は、改質油製造性能を低下させること無く、種類の異なる重質油に対してコークス生成量を最小限にしながら、重質油を改質可能な水利用重質油改質装置及び方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水利用重質油改質装置は、水加熱器と、重質油加熱器と、重質油ポンプと、加熱水と加熱重質油とを混合して混合流体とする混合器と、混合流体を加熱する混合流体加熱器と、加熱された混合流体を炭化水素ガス及び軽質油から成る改質油と重質分及び重金属分を含む残渣油とに分離する分離器とを有し、重質油加熱器で加熱された重質油を採取する加熱後重質油抜き出し手段と、抜き出された加熱後重質油のコークス生成量を算出し、コークスの生成を抑制するため、上記重質油加熱器における重質油加熱温度及び滞留時間のうちの少なくとも一つを調節する制御手段とを備える。
【0011】
また、本発明の水利用重質油改質方法は、水を加熱し、加熱された水と重質油加熱器により加熱された重質油とを混合して混合流体として加熱し、加熱した混合流体を炭化水素ガス及び軽質油から成る改質油と重質分及び重金属分を含む残渣油とに分離する方法であって、重質油加熱器で加熱された重質油を採取し、採取した加熱後重質油のコークス生成量を算出し、算出したコークス量に基づいて、コークスの生成を抑制するため、重質油加熱温度及び滞留時間のうちの少なくとも一つを調節する。
【発明の効果】
【0012】
改質油製造性能を低下させること無く、種類の異なる重質油に対してコークス生成量を最小限にしながら、重質油を改質可能な水利用重質油改質装置及び方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である高温・高圧水利用重質油改質装置の概略構成図である。この重質油改質装置は、重質油を高温・高圧水と混合して、重質油に含まれるバナジウム等の重金属を除去し、軽質化した改質燃料を製造する装置である。
【0015】
図1において、1は水タンク、2は水ポンプ、3は水加熱器、4は重質油タンク、5は重質油ポンプ、6は重質油加熱器、7は混合器、8は混合流体加熱器、9は分離器、10は残渣油抜き出し弁、11は残渣油、12は改質油抜き出し管、13は減圧弁、14は気液分離器、15は混合液タンク、16は改質ガスタンク、17は加熱後重質油採取弁、18は重量計、19はガス流量計、20は加熱後重質油サンプリングタンク、21は制御器である。
【0016】
水を加圧供給する水ポンプ2で、好ましくは亜臨界〜超臨界条件に昇圧し、水加熱器3で亜臨界〜超臨界条件近傍まで加熱することによって高温・高圧水を生成させる。同様に、重質油を加圧供給する重質油ポンプ5で、好ましくは亜臨界〜超臨界条件に昇圧し、重質油加熱器6で亜臨界〜超臨界条件近傍に加熱する。水加熱器3および重質油加熱器6には電気ヒーターを用いても良いし、燃焼ガス等と熱交換しても良い。
【0017】
加熱により重質油は炭化水素ガス、軽質化された軽質油、分子量の大きい重質油に変化する。分子量の大きい重質油は加熱により熱分解反応してコークスへと変化する。コークスは系統の閉塞などのトラブルを招く原因になることから、重質油の投与量に対して生成量をできるだけ少なく抑えることが望ましい。
【0018】
重質油を加熱すると、熱分解反応して、ガス、アスファルテン、コークスが生成される。ここで、ガスは炭化水素系の化合物から成り室温、大気圧で気体状態の成分、アスファルテンはヘプタンに可溶でトルエンに不溶な成分、コークスはヘプタンに不溶でトルエンに不溶な成分と定義する。
【0019】
図2に、水の亜臨界〜超臨界条件近傍において重質油を熱分解反応させたときの組成変化を示す。図2の縦軸は生成量(重量%)、横軸は重質油滞留時間経過を示す。コークスは、熱分解反応においてガスおよびアスファルテンが生成した後、生成開始する。本発明では、熱分解反応の初期段階でコークスがほとんど生成しない期間をコークス誘導期間と定義する。改質油の製造量を確保する上では熱分解反応によって重質油からガスをできるだけ多く生成させたほうがよいので、コークス誘導期間近傍で熱分解反応を停止する。
【0020】
図3に、400℃〜450℃、15MPa〜30MPaにおいて測定したコークス誘導期間(縦軸)と重質油温度(横軸)との関係の一例を示す。この関係より、温度を変更することでコークスが生成しない好ましくはコークス誘導期間以内での熱分解反応の制御が可能となる。
【0021】
通常、重質油加熱器6における重質油温度と滞留時間は、図2、図3に示すような関係から、導き出されるコークス誘導期間以内の時間と温度で重質油加熱器6を通過するように、制御器21を介してそれぞれ重質油加熱器6の温度と重質油ポンプ5の供給量によって調節する。
【0022】
しかし、重質油の性状は一定ではないため、同一条件であってもコークスが生成する可能性があり、随時コークス生成量を測定して制御する必要がある。そこで、本発明の第1の実施形態では、加熱後重質油に含まれるコークス量を測定するために、重質油加熱器6の出口より下流側、混合器7より上流側に設けた加熱後重質油採取弁17を経て加熱後重質油をサンプリングタンク20に供給する。そして、重量計18によって加熱後重質油の液体量を測定し、ガス流量計19によってガス量を測定する。
【0023】
続いて、測定した液体量とガス量とから液体中のコークス量を算出する。この結果(算出したコークス量)を制御器21に入力し、重質油からコークスが生成しないように重質油加熱器6の温度を制御することによって重質油温度を調節し、重質油ポンプ5の重質油供給量によって滞留時間を調節する。コークスの生成が検出された場合、まず、重質油温度のみ低下させ(ガス生成量との関係で低下させる温度を予め定めておく)、次のサンプリングにより、コークスが生成されたことを検出したときに、滞留時間を短縮するように制御することもできる。また、その逆、つまり、まず、滞留時間を短縮し、その後、加熱温度を低下させることも可能である。さらに、加熱温度を低下させると共に、滞留時間を短縮させる制御も可能である。
【0024】
図4に400℃〜450℃、15MPa〜30MPaにおいて熱分解反応させた後、重質油から生成したガスとコークス量の関係の一例を示す。図4に示すように、ガス生成量が一定値以下の場合は、コークス生成量は、約0%であり、ガス生成量が一定値を超え、増加するに従ってコークス生成量も増加していく。従って、図4に示した関係について、予め、実験等により具体的数値を求めておき、測定したガス量からコークス量を求めることも可能である。図4に示した関係を利用すれば、より速やかに重質油供給量と重質油温度を制御器21によって制御することが可能である。
【0025】
続いて、加熱後の重質油を混合器7に搬送し、高温・高圧水と混合させ、混合流体とする。この際、供給する高温・高圧水は、加熱後重質油の温度以下とし、熱分解反応によるコークス生成を停止させる。混合流体は、混合流体加熱器8において温度を調整する。
【0026】
次に、混合流体は分離器9に搬送される。分離器9において、炭化水素ガス及び軽質油分は高温・高圧水と共に改質油抜出管12により搬送される。重質油分と重金属分を含んだ残渣油11は高温・高圧水には溶解しないため、分離器9の下部に沈降する。
【0027】
炭化水素ガス及び重金属分が除去された改質油は、減圧弁13により所定の圧力に減圧された後、気液分離器14に供給される。気液分離器14では、減圧後の改質油を炭化水素ガスと軽質油及び水の混合液に分離し、炭化水素ガスは上部より抜き出した後、炭化水素ガスタンク16に搬送され、軽質油と水の混合液は下部より混合液タンク15に搬送される。
【0028】
本発明の第1の実施形態では、分離器9において改質油より分離された残渣油11を、分離器9下部の残渣油抜出弁10の開度を調節して系外に抜き出した後、直接廃棄処理しているが、燃焼により焼却処理してもよい。
【0029】
本発明の第1の実施形態により得られた改質油の試験結果を以下に示す。
【0030】
投与した重質油に対する改質油製造量の割合を改質油製造率として、従来技術を基準に本発明と比較した結果、0.98であった。一方、分離器9から回収したコークス量の投与重質油量に対する割合をコークス生成率として、従来技術を基準に本発明と比較した結果、0.025であった。
【0031】
以上のように、本発明の第1の実施形態により、従来技術と同等の改質油製造率を確保しながら、コークス生成を抑制できた。また、改質油のバナジウム能度を測定したところ、0.5重量ppm以下であり、ガスタービン燃料として供給できる性状を満足することを確認した。
【0032】
また、コークスの生成が開始する温度および時間は重質油の種類(例えばA重油、B重油、C重油、減圧残油、オリマルジョン、オイルサンド、オイルシェルおよび廃油等)によって異なるが、本発明により、加熱後重質油のコークス量を測定して重質油加熱器における重質油の温度・滞留時間を調節することで、重質油の種類に関係なく、コークス生成量を最小限に抑えた改質油の製造が可能となる。
【0033】
また、加熱後重質油採取弁17の下流側に冷却装置及び減圧装置(図示せず)を配置し、加熱後重質油採取弁17により採取した重質油を、冷却装置および減圧装置により、冷却・減圧した後に、液体量、ガス量を検出し、コークスの生成量を算出することも可能である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、重質油から高温・高圧水を利用して改質油と残渣油を生成、分離させる重質油の処理工程において、残渣油を燃焼させて得られる燃焼ガスを利用して、改質装置の重質油加熱器、水加熱器、混合流体加熱器、分離器を加熱するための高温・高圧水利用重質油改質装置である。
【0034】
図5は本発明の第2の実施形態の概略構成図であり、第1の実施形態と同等のものには同一の符号が付されている。図5において、23は残渣油タンク、24は残渣油燃焼器、25はブロア、26は水温度調節用燃焼ガス流量調節弁、27は重質油温度調節用燃焼ガス流量調節弁、28は混合流体温度調節用燃焼ガス流量調節弁、29は分離器内部温度調節用燃焼ガス流量調節弁、30は煙突である。
【0035】
本発明の第2の実施形態では、分離器9において改質油と分離された残渣油11を、分離器9下部の残渣油抜出弁10の開度を調節して系外に抜き出した後、残渣油タンク23に搬送する。そして、残渣油11を残渣油燃焼器24に供給して燃焼させる。残渣油燃焼器24で発生した燃焼ガスをブロア25にてダクトを介して水加熱器3、重質油加熱器6、混合流体加熱器8、分離器9と熱交換するために各器3、6、8、9に供給する。温度の調整は残渣油11の供給量および上記ダクトに配置された水温度調節用燃焼ガス流量調節弁26、重質油温度調節用燃焼ガス流量調節弁27、混合流体温度調節用燃焼ガス流量調節弁28、分離器内部温度調節用燃焼ガス流量調節弁29の開度を制御器21が調節することで、ガス流量を調節して行う。熱交換後の残渣油燃焼ガスは煙突30を経て大気に放出される。
【0036】
第1の実施形態と同様にして、測定されたコークス量に基づき、制御器21が、重質油ポンプ5の供給量を変化させることによって重質油加熱器6における重質油滞留時間を調節する。同様に、制御器21は、重質油温度調節用燃焼ガス流量調節弁27の開度を変化させることによって重質油加熱器6における重質油温度を調節する。
【0037】
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる他、残渣油を燃焼させて、水、重質油、混合流体、分離器を加熱するように構成したので、残渣油の有効利用を行うことができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態である高温・高圧水利用重質油改質装置を用いたガスタービン装置の概略構成図である。この第3の実施形態は、重質油から高温・高圧水を利用して生成された改質油を原動機に供給する一例であり、ガスタービン燃焼器に供給してガスタービンで発電する装置である。ガスタービンによる発電方法はシンプルサイクルだけでなくコンバインドサイクルでもよい。また、原動機はガスタービン以外にディーゼルエンジンなどでもよい。
【0038】
本発明の第3の実施形態において、第1の実施形態と同様なものには同一の符号が付されている。
【0039】
図6において、31はガスタービン燃焼器、32は圧縮機、33はガスタービンである。改質油抜出管12から減圧弁13に供給された改質油は、減圧弁13によりガスタービン燃料供給圧まで減圧された後、気液分離器14を介してガスタービン燃焼器31に供給される。そして、圧縮機32で圧縮された空気と混合燃焼して高温の燃焼ガスとなり、ガスタービン33を駆動する。
【0040】
本発明の第3の実施形態によれば、重質油の種類に関係なく、コークス生成量を最小限に抑えた改質油を製造し、ガスタービンを駆動可能なガスタービンシステムを実現することができる。この場合、バナジウム量を0.5重量ppm以下の改質油を製造できるため、ガスタービン高温部品の高温腐食を防止することができる。
【0041】
なお、本発明の第3の実施形態では、減圧した改質油を気液分離器14に供給し、炭化水素ガスと軽質油と水の混合液を混合したままガスタービン燃焼器31に供給するガスタービンシステムを示しているが、ガスタービンシステム以外にもボイラなどの原動機に供給し、発電又は動力に使用するシステムも可能である。
【0042】
また、本発明の第2の実施形態により生成された改質油を気液分離器14に供給し、炭化水素ガスと軽質油をガスタービン燃焼器31に供給することも可能である。
【0043】
上述した例においては、加熱後の重質油の液体量とガス量とによりコークス発生量を算出しているが、その他の方法により、コークスの生成量を算出することも可能である。例えば、重質油の成分を詳細に分析してコークスの生成量を算出してよい。また、重質油の液体量とガス量とによりコークス発生量を算出して、実際の温度、滞留時間を制御しながら、重質油の成分を詳細に分析してコークスの生成量を算出し、上記制御のための補正コークス生成量算出の補正を行うことも可能である。
【0044】
また、上述した例では水と混合する前の加熱後重質油を採取して、コークス生成量を算出しているが、水と重質油との混合液を採取して、コークス生成量を算出してもよい。ただし、その場合は、混合液から水を除去する工程が必要である。
【0045】
図7は、本発明と異なり、重質油加熱器における重質油温度や滞留時間を調節しない場合の例を示す図であり、本発明と対比するための図である。この図7に示した装置においては、重質油ポンプ5で、重質油を一定の圧力にまで、昇圧し、重質油加熱器6により、一定の温度となるように加熱制御されている。
【0046】
しかしながら、加熱温度、滞留時間について、コークスの生成量を抑制するように、加熱温度、滞留時間を制御することは行われていないので、本発明と異なり、コークスの生成を抑制することができず、コークスが流路に堆積し、重質油の供給量の減少や、場合によっては、流路を閉塞する可能性がある。
【0047】
これに対して、本発明は次のような効果を奏することができる。
本発明によれば、従来技術に比してコークス生成を抑制しながら、重金属を除去した改質燃料を製造できる。また、加熱後重質油の組成を分析しながら、加熱時間および温度を調節可能であるため、改質油の製造を組成の異なる重質油に対しても適応可能となる。
【0048】
また、水と混合する前の加熱後重質油を採取して、コークス生成量を算出することとすれば、採取した重質油の水除去工程がないため、重質油組成の測定が簡便であり、水の混入がないため組成を正確に求められる。
【0049】
また、本発明によれば、水加熱器3による水の加熱温度を、重質油加熱器6による加熱温度以下に設定し、加熱水と加熱重質油とを混合しているので、加熱後重質油の温度が低下し、熱分解反応によるコークス生成を抑制することができる。
【0050】
また、本発明によれば、加熱による重質油のガス生成量から直ちにコークス生成量が判明するため、重質油加熱器の重質油温度および滞留時間を速やかに調節できる。
【0051】
また、本発明によれば、残渣油の燃焼処理、燃焼ガスの有効利用を同時に行うことができるので、システムの効率が良い。
【0052】
また、本発明によれば、バナジウム量は0.5重量ppm以下の改質油を製造できるため、ガスタービン高温部品の高温腐食を防止され、安価な燃料をガスタービン装置に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態である重質油改質装置の概略構成図である。
【図2】加熱した重質油から生成するガス、アスファルテン、コークス量の時間変化を示すグラフである。
【図3】加熱した重質油の温度とコークス誘導期間との関係を示すグラフである。
【図4】加熱した重質油から生成するガスとコークス生成量との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態である重質油改質装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態である重質油改質装置の概略構成図である。
【図7】本発明とは異なり、重質油加熱器における重質油温度や滞留時間を調節しない場合の例であり、本発明と対比するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1・・・水タンク、2・・・水ポンプ、3・・・水加熱器、4・・・重質油タンク、5・・・重質油ポンプ、6・・・重質油加熱器、7・・・混合器、8・・・混合流体加熱器、9・・・分離器、10・・・残渣油抜き出し弁、11・・・残渣油、12・・・改質油抜き出し管、13・・・減圧弁、14・・・気液分離器、15・・・混合液タンク、16・・・改質ガスタンク、17・・・加熱後重質油採取弁、18・・・重量計、19・・・ガス流量計、20・・・サンプリングタンク、21・・・制御器、23・・・残渣油タンク、24・・・残渣油燃焼器、25・・・ブロア、26・・・水温度調節用燃焼ガス流量調節弁、27・・・重質油温度調節用燃焼ガス流量調節弁、28・・・混合流体温度調節用燃焼ガス流量調節弁、29・・・分離器内部温度調節用燃焼ガス流量調節弁、30・・・煙突、31・・・ガスタービン燃焼器、32・・・圧縮機、33・・・ガスタービン
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】 【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓


【公開番号】 特開2008−95004(P2008−95004A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−279846(P2006−279846)