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【発明の名称】 乾留装置
【発明者】 【氏名】金井 文明

【要約】 【課題】乾留ガスを液化した油からスラッジを回収できる乾留装置を提供する。

【構成】加熱炉1のカートリッジ内から取り出される乾留ガスを冷却する一次冷却器5、二次冷却器6と、この一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される油とスラッジを貯留する一次油タンク25とを備える乾留装置において、一次油タンク25の貯留油を循環させる一次油循環回路55と、この一次油循環回路55を通過する油からスラッジを分離するスラッジ分離機51とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉されたカートリッジ内で有機物を加熱する加熱炉と、このカートリッジ内から取り出される乾留ガスを冷却する冷却器と、この冷却器から取り出される油とスラッジを貯留する一次油タンクとを備える乾留装置において、
前記一次油タンクの貯留油を循環させる一次油循環回路と、この一次油循環回路を通過する油からスラッジを分離するスラッジ分離機とを備えたことを特徴とする乾留装置。
【請求項2】
前記一次油タンクの油が移される清浄油タンクと、この清浄油タンクに貯留された油をポンプを介して循環させる清浄油循環回路とを備え、前記清浄油タンクの油を前記加熱炉を加熱する加熱炉バーナに供給する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の乾留装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃タイヤ、木材、その他廃棄物等の有機物を乾留して油、ガス、炭化物等に再生する乾留装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の乾留装置として、図3に示すものがある(特許文献1参照)。
【0003】
これについて説明すると、密閉されたカートリッジ(釜)2内で廃タイヤ等の有機物を加熱する加熱炉1と、このカートリッジ内からバルブ3および配管4を通して取り出される乾留ガスを段階的に冷却する一次冷却器5、二次冷却器6と、この一次冷却器5、二次冷却器6にて液化した油を各配管7、8を通して回収しこの油に含まれる水分を分離除去する油水分離槽9とを備え、この油水分離槽9から取り出される油が配管11とポンプ12とろ過器10と配管13を通して液化物タンク14に送られ、この液化物タンク14に貯留た油は加熱炉1のバーナに供給され、カートリッジの加熱のための熱源として利用される。
【0004】
一方、一次冷却器5、二次冷却器6で液化されなかった余剰の乾留ガスは、安全器15および配管16を通して余剰ガス燃焼炉(消臭消煙装置)17に送られ、余剰ガス燃焼炉17にて燃焼し、余剰ガスの消臭消煙等がはかられる。
【0005】
また、安全器15を通された余剰ガスの一部は、バルブ18および配管19を通して加熱炉1のバーナに供給され、カートリッジを加熱するための熱源として利用される。
【特許文献1】特開2003−277767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の乾留装置にあっては、一次冷却器5、二次冷却器6では乾留ガスに含まれる油分が液化するとともに、乾留ガスに含まれるカーボン等がスラッジとして析出されるため、このスラッジが液化物タンク14の油を加熱炉1のバーナに供給する管路を詰まらせるという問題点があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、乾留ガスを液化した油からスラッジを回収できる乾留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、密閉されたカートリッジ内で有機物を加熱する加熱炉と、このカートリッジ内から取り出される乾留ガスを冷却する冷却器と、この冷却器から取り出される油とスラッジを貯留する一次油タンクとを備える乾留装置において、一次油タンクの貯留油を循環させる一次油循環回路と、この一次油循環回路を通過する油からスラッジを分離するスラッジ分離機とを備えたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、一次油タンクに溜められる油から大部分のスラッジを取り除き、一次油タンクからの油を取り出す管路がスラッジによって詰まることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1、図2に示すように、乾留装置は密閉されたカートリッジ(釜)内で廃タイヤ等の有機物を加熱する2つの加熱炉1を備える。この加熱炉1の設置数は2つに限らず、要求される処理能力に応じて1つまたは3つ以上に設定しても良い。
【0012】
各加熱炉1のカートリッジ内から配管3を通して取り出される乾留ガスは一次冷却器5、二次冷却器6にて段階的に冷却され、乾留ガスに含まれる油分が液化する。
【0013】
一次冷却器5、二次冷却器6にて液化した油が各配管7、8を通して一次油タンク25に送られ、この一次油タンク25の油が各配管61を通して清浄油タンク20に送られて貯留される。
【0014】
清浄油タンク20の油は配管32を通して各加熱炉バーナ31に送られると共に、清浄油タンク20から第一リザーバタンク44に送られて貯留される。清浄油タンク20からオーバフローした油が第一地下タンク42に送られて貯留され、清浄油タンク20内の油量が不足した際に第一地下タンク42から清浄油タンク20に戻される。
【0015】
第二地下タンク46、A重油タンク48、第二リザーバタンク56にはA重油等の燃料油が貯留される。A重油タンク48の油が各配管49、50を通して各加熱炉バーナ31に送られる。
【0016】
加熱炉バーナ31は水混合燃焼方式のものであり、清浄油タンク20から供給される油またはA重油タンク48から供給される油と、廃水タンク33から配管34を通して供給される水を混合して燃焼させ、加熱炉1のカートリッジを加熱する。
【0017】
一次冷却器5、二次冷却器6を通過した余剰ガスは油分回収器70に送られ、余剰ガスに含まれる油分が回収される。
【0018】
油分回収器70は、油分吸着液を溜める油分吸着液槽75と、油分吸着液内に余剰ガスを吐出するガス流入管71〜73と、油分吸着液中を浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する穴あき板(図示せず)と、油分吸着液面上に出た余剰ガスを取り出すガス流出管92とを備える。各ガス流入管71〜73から大きな気泡となって吐出する余剰ガスは油分吸着液中を浮上する過程で穴あき板の小穴を通過することにより細かい気泡となり、余剰ガスに含まれる油分が油分吸着液に触れて液化することが促され、油分回収器70にて回収された油は配管69を通して一次油タンク25に送られる。
【0019】
油分回収器70を通過した余剰ガスは安全器15を経て余剰ガス燃焼炉(消臭消煙装置)17に送られ、余剰ガス燃焼炉17にて燃焼する。
【0020】
安全器15内には水が溜められ、この水によって余剰ガス燃焼炉17から配管16を通って逆流するガスの流れを遮断する。安全器15の水は余剰ガスの通過に伴って汚濁するため、定期的に配管36、37を通して廃水タンク33へ排出する。
【0021】
余剰ガス燃焼炉17は主バーナ58と副バーナ57を備え、主バーナ58には第二リザーバタンク56に貯留されたA重油が供給され、副バーナ57には第一リザーバタンク44に貯留された回収油が供給される。乾留ガスが一次冷却器5、二次冷却器6で液化される油量が多い場合には、主バーナ58にも第一リザーバタンク44に貯留された回収油を燃料とする構成にすることもできる。また、処理すべき廃水の量が多い場合には、余剰ガス燃焼炉17の主バーナ58と副バーナ57を水混合燃焼方式のバーナとして、廃水タンク33の水と油を混合燃焼させる構成とすることもできる。
【0022】
図2に示すように、加熱炉1は廃タイヤ等の有機物が入れられるカートリッジと、このカートリッジを加熱する熱源として水混合燃焼方式の加熱炉バーナ31を備える。密閉されたカートリッジ内にて有機物を無酸素状態で間接加熱することによって、カートリッジ内で有機物を乾留化して炭化物が作られると共に、カートリッジ内から乾留ガスが配管3を通して取り出される。
【0023】
一次冷却器5は、冷却水が流れる冷却配管群21と、乾留ガスが通過する管のまわりを冷却水が循環する熱交換部22とを備え、乾留ガスをこれらによって冷却して液化した油やスラッジ等を回収する。
【0024】
二次冷却器6は、乾留ガスが通過する管のまわりを冷却水が循環する熱交換部23を備え、乾留ガスをこの熱交換部23によって冷却して液化した油やスラッジ等を回収する。
【0025】
油分回収器70は油分吸着液を溜め、この油分吸着液内に余剰ガスを通し、余剰ガス中に含まれる油が油分吸着液に触れることによって液化し、この液化した油を油分吸着液に取り込んで回収し、回収された油は油分吸着液と共に配管69を通して一次油タンク25に送られる。油分回収器70にて油分吸着液上に出た余剰ガスが配管68を通して安全器15へと送られる。
【0026】
安全器15は水を溜め、余剰ガスを流入させる配管68の出口が水中に臨むように設けられている。配管68を通して導かれる余剰ガスは気泡となって水中に流出し、水上に出た余剰ガスが配管16を通して余剰ガス燃焼炉17へと送られる。余剰ガス燃焼炉17から配管16を通って安全器15へと逆流するガスの流れは安全器15内に溜められた水によって止められる。余剰ガス燃焼炉17から火炎が配管16を通って伝播する場合、火炎が安全器15に溜められた水によって遮断される。
【0027】
安全器15には手動操作弁38を介して供給される水が溜められる。安全器15と廃水タンク33は3本の配管35、36、37によって連通される。安全器15からオーバフローした廃水は配管36を通して廃水タンク33に流出する。安全器15のメンテナンス時にバルブ39を開いて水が抜き取られる。
【0028】
一次冷却器5、二次冷却器6、油分回収器70を流れる乾留ガスからスラッジが析出されるが、このスラッジは液化した油と共に配管7、8、69を通して一次油タンク25に送られる。
【0029】
一次油タンク25にはこれに溜められる油を循環させる一次油循環回路55が設けられ、一次油循環回路55に油に含まれるスラッジ等を分離除去するスラッジ分離機51が設けられる。
【0030】
一次油循環回路55は一次油タンク25とスラッジ分離機51を連通する配管52、53によって構成される。配管52はその一端が一次油タンク25の下部に接続され、他端がスラッジ分離機51に接続される。配管53の一端が一次油タンク25の上部に接続され、他端がスラッジ分離機51に接続される。
【0031】
一次油タンク25内の油が配管52を通してスラッジ分離機51のポンプに吸い込まれ、スラッジ分離機51から流出する油が配管53を通して一次油タンク25に流下する。スラッジ分離機51は遠心分離機によってこれを循環する油からスラッジを分離する。
【0032】
一次油タンク25内には冷却パイプ54設けられ、この冷却パイプ54を循環する冷却水によって一次油タンク25内の油が冷却される。
【0033】
一次油タンク25と清浄油タンク20を連通する配管61にはポンプ62が介装される。一次油タンク25におけるスラッジの分離除去工程が終了した後に、ポンプ62が駆動され、一次油タンク25の油が配管61を通して清浄油タンク20に貯留される。
【0034】
清浄油タンク20の油を循環ポンプ64を介して循環させる清浄油循環回路65が設けられる。清浄油循環回路65の吸込口は清浄油タンク20の下部に接続される。
【0035】
以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
【0036】
加熱炉1にて、密閉されたカートリッジ内にて有機物を無酸素状態で間接加熱することによって、カートリッジ内で有機物を乾留化して炭化物が作られると共に、カートリッジ内から乾留ガスが配管3を通して取り出される。
【0037】
加熱炉1から取り出される高温の乾留ガスは一次冷却器5、二次冷却器6にて冷却され、乾留ガス中の油分が液化して回収されるとともに、乾留ガスに含まれるカーボン等がスラッジとして析出される。
【0038】
一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される余剰ガスはここで液化されなかった油分を含むが、この油分が油分回収器70に溜められた油分吸着液に触れることによって液化し、この液化した油が油分吸着液に取り込まれて回収されるとともに、余剰ガスから析出されるスラッジが油分吸着液に取り込まれて回収される。この油分吸着液としてA重油が用いられるが、これに限らず、他の燃料油を用いても良い。
【0039】
一次冷却器5、二次冷却器6、油分回収器70の油はスラッジと共に配管7、8、69を通して一次油タンク25に送られる。
【0040】
一次油タンク25に溜められる油はスラッジ分離機51を介して所定回数(例えば20回)分だけ一次油循環回路55を循環する。スラッジ分離機51は遠心分離機によってこれを循環する油からスラッジを分離する。スラッジ分離機51にて回収されたスラッジは図示しない排出口から取り出される。
【0041】
これにより、一次油タンク25に溜められる油から大部分のスラッジが取り除かれるが、タール状物質が一次油タンク25に残留する。
【0042】
上記した一次油タンク25において油を所定回数だけ循環とせることが終了すると、ポンプ62を駆動し、一次油タンク25に溜められた油をタール状物質と共に配管61を通して清浄油タンク20に移す。
【0043】
循環ポンプ64を駆動して清浄油タンク20の油が清浄油循環回路65を循環させることにより、清浄油タンク20の油に含まれるタール状物質が沈殿しないように撹拌される。これにより、タール状物質は清浄油タンク20から配管32を通して各加熱炉バーナ31に送られる油に混ざり、加熱炉バーナ31にて油と共に燃焼する。
【0044】
本実施形態では、密閉されたカートリッジ内で有機物を加熱する加熱炉1と、このカートリッジ内から取り出される乾留ガスを冷却する一次冷却器5、二次冷却器6と、この一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される油とスラッジを貯留する一次油タンク25とを備える乾留装置において、一次油タンク25の貯留油を循環させる一次油循環回路55と、この一次油循環回路55を通過する油からスラッジを分離するスラッジ分離機51とを備えたため、一次油タンク25に溜められる油から大部分のスラッジを取り除き、スラッジが配管32等を詰まらせることを防止できる。
【0045】
本実施形態では、一次油タンク25の油が移される清浄油タンク20と、この清浄油タンク20に貯留された油を循環ポンプ64を介して循環させる清浄油循環回路65とを備え、清浄油タンク20の油を加熱炉1を加熱する加熱炉バーナ31に供給する構成としたため、清浄油タンク20の油に含まれるタール状物質が沈殿しないように撹拌され、タール状物質が油と共に加熱炉バーナ31に送られ、加熱炉バーナ31にて燃焼し処理される。
【0046】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態を示す乾留装置のシステム図。
【図2】同じく乾留装置の構成図。
【図3】従来例を示す乾留装置の構成図。
【符号の説明】
【0048】
1 加熱炉
5 一次冷却器
6 二次冷却器
25 一次油タンク
31 加熱炉バーナ
51 スラッジ分離機
55 一次油循環回路
64 ポンプ
65 清浄油循環回路
【出願人】 【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜

【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘

【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭


【公開番号】 特開2008−63490(P2008−63490A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−244284(P2006−244284)