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【発明の名称】 油分回収器及び乾留装置
【発明者】 【氏名】金井 文明

【要約】 【課題】冷却器で液化されなかった余剰ガスに含まれる油分を処理する油分回収器及び乾留装置を提供する。

【構成】乾留ガスを冷却する一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される余剰ガスに含有される油分を分離する油分回収器70において、油分吸着液を溜める油分吸着液槽75と、油分吸着液内に余剰ガスを吐出するガス流入管71〜73と、油分吸着液中を浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する気泡分割手段80と、油分吸着液面上に出た余剰ガスを集めるガス室76〜78と、ガス室78に出た余剰ガスを取り出すガス流出管92とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾留ガスを冷却する冷却器から取り出される余剰ガスに含有される油分を分離する油分回収器において、
油分吸着液を溜める油分吸着液槽と、油分吸着液内に余剰ガスを吐出するガス流入管と、油分吸着液中を浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する気泡分割手段と、油分吸着液面上に出た余剰ガスを集めるガス室と、このガス室に出た余剰ガスを取り出すガス流出管とを備えたことを特徴とする油分回収器。
【請求項2】
前記気泡分割手段として多数の小穴が開口した穴あき板を前記油分吸着液中に設けたことを特徴とする請求項1に記載の油分回収器。
【請求項3】
複数の前記ガス室を仕切り、一つの前記ガス室内の余剰ガスを他の前記ガス室の下方に位置する前記油分吸着液中に吐出するガス流入管を備え、余剰ガスが前記油分吸着液中に繰り返し吐出される構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の油分回収器。
【請求項4】
前記ガス室に余剰ガスが当たるオイルミスト衝突板を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の油分回収器。
【請求項5】
前記気泡分割手段を載せるフランジを備え、前記気泡分割手段に前記ガス流入管が着脱可能に差し込まれる挿通穴を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の油分回収器。
【請求項6】
密閉されたカートリッジ内で有機物を加熱する加熱炉と、このカートリッジ内から取り出される乾留ガスを冷却する冷却器と、この冷却器から取り出される余剰ガスの逆流を止める安全器と、この安全器を介して取り出される余剰ガスを燃焼させる余剰ガス燃焼炉と、請求項1から5のいずれか一つに記載の油分回収器とを備えたことを特徴とする乾留装置。
【請求項7】
前記油分回収器に溜められる油分吸着液を燃料油とし、前記油分回収器から排出される油分吸着液を前記加熱炉を加熱する加熱炉バーナに供給する構成としたことを特徴とする請求項6に記載の乾留装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃タイヤ、木材、その他廃棄物等の有機物を乾留して油、ガス、炭化物等に再生する油分回収器及び乾留装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の乾留装置として、図7に示すものがある(特許文献1参照)。
【0003】
これについて説明すると、密閉されたカートリッジ(釜)2内で廃タイヤ等の有機物を加熱する加熱炉1と、このカートリッジ内からバルブ3および配管4を通して取り出される乾留ガスを段階的に冷却する一次冷却器5、二次冷却器6と、この一次冷却器5、二次冷却器6にて液化した油を各配管7、8を通して回収しこの油に含まれる水分を分離除去する油水分離槽9とを備え、この油水分離槽9から取り出される油が配管11とポンプ12とろ過器10と配管13を通して液化物タンク14に送られ、この液化物タンク14に貯留される。
【0004】
一方、一次冷却器5及び二次冷却器6で液化されなかった余剰の乾留ガスは、安全器15および配管16を通して余剰ガス燃焼炉(消臭消煙装置)17に送られ、余剰ガス燃焼炉17にて燃焼し、余剰ガスの消臭消煙がはかられる。
【0005】
また、安全器15を通された余剰ガスの一部は、バルブ18および配管19を通して加熱炉1のバーナに供給され、カートリッジを加熱するための熱源として利用される。
【0006】
従来の安全器15としては例えば図8に示すものがある。この安全器15はそのタンク内に所定量の水が溜められ、余剰ガスを流入させる配管68の出口が水中に臨むように設けられている。図8に矢印で示すように配管68を通して導かれる余剰ガスは気泡となって水中に流出し、水上に出た余剰ガスが配管16を通して余剰ガス燃焼炉17へと送られる。余剰ガス燃焼炉17から配管16を通って安全器15へと逆流するガスの流れは安全器15内の水によって止められる。余剰ガス燃焼炉17から火炎が配管16を通って伝播する場合、火炎が安全器15に溜められた水によって遮断される。
【特許文献1】特開2003−277767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の乾留装置にあっては、余剰ガスが安全器15内に溜められた水中を通過するとき、余剰ガスに含まれる油分が液化して安全器15内に溜められた水上に浮かぶ現象が発生する。
【0008】
安全器15内の水は余剰ガスの通過に伴って汚濁するため、定期的に入れ替える必要があるが、汚濁した水(廃水)を処理する方法として、加熱炉1のバーナに燃料油と廃水を混合して燃焼する水混合燃焼方式のものを用い、安全器15からの廃水を燃料油と共にこのバーナに供給して燃焼することが考えられるが、安全器15内の油が多くなると、バーナに供給される流体が「廃水+燃料油」から「油+燃料油」となってしまい、バーナに供給される酸素が不足して不完全燃焼を起こす可能性がある。
【0009】
また、安全器15を通過した余剰ガスに含まれる油分が、余剰ガス燃焼炉17の入口に設けられるガス吸引ファンにて液化して外部に垂れ落ちる可能性がある。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、冷却器で液化されなかった余剰ガスに含まれる油分を処理する油分回収器及び乾留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、乾留ガスを冷却する冷却器から取り出される余剰ガスに含有される油分を分離する油分回収器において、油分吸着液を溜める油分吸着液槽と、油分吸着液内に余剰ガスを吐出するガス流入管と、油分吸着液中を浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する気泡分割手段と、油分吸着液面上に出た余剰ガスを集めるガス室と、ガス室に出た余剰ガスを取り出すガス流出管とを備えたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、油分回収器は油分吸着液中を浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する気泡分割手段を備えたため、余剰ガスに含まれる油分が油分吸着液に触れて液化することが促され、油分回収器から油分が十分に回収された余剰ガスを取り出すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1、図2に示すように、乾留装置は密閉されたカートリッジ(釜)内で廃タイヤ等の有機物を加熱する2つの加熱炉1を備える。この加熱炉1の設置数は2つに限らず、要求される処理能力に応じて1つまたは3つ以上に設定しても良い。
【0015】
各加熱炉1のカートリッジ内から配管3を通して取り出される乾留ガスは一次冷却器5、二次冷却器6にて段階的に冷却され、乾留ガスに含まれる油分が液化する。
【0016】
一次冷却器5、二次冷却器6にて液化した油が各配管7、8を通して一次油タンク25に送られ、この一次油タンク25の油が各配管61を通して清浄油タンク20に送られて貯留される。
【0017】
清浄油タンク20の油は配管32を通して各加熱炉バーナ31に送られると共に、清浄油タンク20から第一リザーバタンク44に送られて貯留される。清浄油タンク20からオーバフローした油が第一地下タンク42に送られて貯留され、清浄油タンク20内の油量が不足した際に第一地下タンク42から清浄油タンク20に戻される。
【0018】
第二地下タンク46、A重油タンク48、第二リザーバタンク56にはA重油等の燃料油が貯留される。A重油タンク48の油が各配管49、50を通して各加熱炉バーナ31に送られる。
【0019】
加熱炉バーナ31は水混合燃焼方式のものであり、清浄油タンク20から供給される油またはA重油タンク48から供給される油と、廃水タンク33から配管34を通して供給される水を混合して燃焼させ、加熱炉1のカートリッジを加熱する。
【0020】
一次冷却器5、二次冷却器6を通過した余剰ガスは油分回収器70に送られ、余剰ガスに含まれる油分が回収される。油分回収器70にて回収された油は配管69を通して一次油タンク25に送られる。
【0021】
油分回収器70を通過した余剰ガスは安全器15を経て余剰ガス燃焼炉(消臭消煙装置)17に送られ、余剰ガス燃焼炉17にて燃焼する。
【0022】
安全器15内には水が溜められ、この水によって余剰ガス燃焼炉17から配管16を通って逆流するガスの流れを遮断する。安全器15の水は余剰ガスの通過に伴って汚濁するため、定期的に配管36、37を通して廃水タンク33へ排出する。
【0023】
余剰ガス燃焼炉17は主バーナ58と副バーナ57を備え、主バーナ58には第二リザーバタンク56に貯留されたA重油が供給され、副バーナ57には第一リザーバタンク44に貯留された回収油が供給される。乾留ガスが一次冷却器5、二次冷却器6で液化される油量が多い場合には、主バーナ58にも第一リザーバタンク44に貯留された回収油を燃料とする構成にすることもできる。また、処理すべき廃水の量が多い場合には、余剰ガス燃焼炉17の主バーナ58と副バーナ57を水混合燃焼方式のバーナとして、廃水タンク33の水と油を混合燃焼させる構成とすることもできる。
【0024】
図2に示すように、加熱炉1は廃タイヤ等の有機物が入れられるカートリッジと、このカートリッジを加熱する熱源として水混合燃焼方式の加熱炉バーナ31を備える。密閉されたカートリッジ内にて有機物を無酸素状態で間接加熱することによって、カートリッジ内で有機物を乾留化して炭化物が作られると共に、カートリッジ内から乾留ガスが配管3を通して取り出される。
【0025】
一次冷却器5は、冷却水が流れる冷却配管群21と、乾留ガスが通過する管のまわりを冷却水が循環する熱交換部22とを備え、乾留ガスをこれらによって冷却して液化した油やスラッジ等を回収する。
【0026】
二次冷却器6は、乾留ガスが通過する管のまわりを冷却水が循環する熱交換部23を備え、乾留ガスをこの熱交換部23によって冷却して液化した油やスラッジ等を回収する。
【0027】
油分回収器70は後述するように油分吸着液を溜め、この油分吸着液内に余剰ガスを通し、余剰ガス中に含まれる油が油分吸着液に触れることによって液化し、この液化した油を油分吸着液に取り込んで回収し、回収された油は油分吸着液と共に配管69を通して一次油タンク25に送られる。油分回収器70にて油分吸着液上に出た余剰ガスが配管68を通して安全器15へと送られる。
【0028】
図8に示すように、安全器15は水を溜め、余剰ガスを流入させる配管68の出口が水中に臨むように設けられている。配管68を通して導かれる余剰ガスは気泡となって水中に流出し、水上に出た余剰ガスが配管16を通して余剰ガス燃焼炉17へと送られる。余剰ガス燃焼炉17から配管16を通って安全器15へと逆流するガスの流れは安全器15内に溜められた水によって止められる。余剰ガス燃焼炉17から火炎が配管16を通って伝播する場合、火炎が安全器15に溜められた水によって遮断される。
【0029】
安全器15には手動操作弁38を介して供給される水が溜められる。安全器15と廃水タンク33は3本の配管35、36、37によって連通される。安全器15からオーバフローした廃水は配管36を通して廃水タンク33に流出する。安全器15のメンテナンス時にバルブ39を開いて水が抜き取られる。
【0030】
一次冷却器5、二次冷却器6、油分回収器70を流れる乾留ガスからスラッジが析出されるが、このスラッジは液化した油と共に配管7、8、69を通して一次油タンク25に送られる。
【0031】
一次油タンク25にはこれに溜められる油を循環させる一次油循環回路55が設けられ、一次油循環回路55の途中に油に含まれるスラッジ等を分離除去するスラッジ分離機51が設けられる。一次油循環回路55は一次油タンク25とスラッジ分離機51を連通する配管52、53によって構成される。配管52はその一端が一次油タンク25の下部に接続され、他端がスラッジ分離機51に接続される。配管53の一端が一次油タンク25の上部に接続され、他端がスラッジ分離機51に接続される。一次油タンク25内の油が配管52を通してスラッジ分離機51のポンプに吸い込まれ、スラッジ分離機51から流出する油が配管53を通して一次油タンク25に流下する。スラッジ分離機51は遠心分離機によってこれを循環する油からスラッジを分離する。
【0032】
一次油タンク25内には冷却パイプ54が設けられるが、この冷却パイプ54を循環する冷却水によって一次油タンク25内の油が冷却される。
【0033】
一次油タンク25と清浄油タンク20を連通する配管61にはポンプ62が介装される。一次油タンク25におけるスラッジの分離除去工程が終了した後に、ポンプ62が駆動され、一次油タンク25の油が配管61を通して清浄油タンク20に送られて貯留される。
【0034】
清浄油タンク20の油を循環ポンプ64を介して循環させる清浄油循環回路65が設けられる。清浄油循環回路65の吸込口は清浄油タンク20の下部に接続される。循環ポンプ64を駆動して清浄油タンク20の油が清浄油循環回路65を循環することにより、清浄油タンク20の油に含まれるタール状物質が沈殿しないように撹拌される。これにより、清浄油タンク20から配管32を通して各加熱炉バーナ32に送られる油にタール状物質が均一に混ざり、加熱炉バーナ31にて油と共に燃焼する。
【0035】
図3の(a),(b)に示すように、油分回収器70は油分吸着液を溜める油分吸着液槽75を備え、油分吸着液面上の空間が2枚の隔壁79によって3つのガス室76〜78に仕切られ、各ガス室76〜78の下方の油分吸着液内に余剰ガスを吐出する3本のガス流入管71〜73を備える。
【0036】
なお、ガス室76〜78、ガス流入管71〜73の数は、これに限らず、要求される処理能力等に応じて任意に設定される。
【0037】
二次冷却器6を通過した余剰ガスはガス流入管71を通って油分吸着液槽75の油分吸着液内に吐出し、油分吸着液面上のガス室76に出た余剰ガスはガス流入管72を通って油分吸着液槽75の油分吸着液内に吐出し、油分吸着液面上のガス室77に出た余剰ガスはガス流入管73を通って油分吸着液槽75の油分吸着液内に吐出し、油分吸着液面上のガス室78に出た余剰ガスはガス流出管92を通って流出する。ガス流出管92を通って油分回収器70を出た余剰ガスは配管68を通って安全器15に導かれる。
【0038】
油分吸着液槽75には各ガス流入管71〜73から吐出した後に浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する気泡分割手段80として穴あき板81が設けられる。各ガス流入管71〜73から大きな気泡となって吐出する余剰ガスは油分吸着液中を浮上する過程で穴あき板81を通過することにより細かい気泡となり、余剰ガスに含まれる油分が油分吸着液に接触し、液化して油分吸着液に混ざることが促される。
【0039】
図4に示すように、穴あき板81は多数の小穴82が所定の間隔で開口している。なお、気泡分割手段80は穴あき板81に限らず、例えばメッシュ材等を用いても良い。
【0040】
ガス流入管71〜73の下端部は穴あき板81に形成された挿通穴83に着脱可能に差し込まれている。
【0041】
図5に示すように、3枚の穴あき板81が上下方向に並んで設けられ、各穴あき板81はスペーサ84を介してボルト85によって締結される。なお、穴あき板81の数はこれに限らず、要求される処理能力等に応じて任意に設定される。
【0042】
油分吸着液槽75と隔壁79には水平方向に延びるフランジ86が取り付けられる。穴あき板81はその端部がフランジ86の上に載せられる。
【0043】
図3の(b)に示すように、ガス流入管71は天板87に固定され、メンテナンス時にガス流入管71は天板87と共に取り外され、その後に穴あき板81がフランジ86上から取り外されるようになっている。
【0044】
隔壁79にはそれぞれを貫通する中継管88が固定され、この中継管88にフランジ89を介してガス流入管72、73が締結される。メンテナンス時に天板87が取り外され、ガス流入管72、73が各中継管88のフランジ89から取り外され、その後に穴あき板81がフランジ86上から取り外されるようになっている。
【0045】
円筒状の中継管88は水平方向に延び、ガス室77に対する開口端上部に切り欠き状のガス取り入れ口90が形成され、このガス取り入れ口90に対峙するオイルミスト衝突板91が固定される。これにより、ガス室77のガスはオイルミスト衝突板91を超えてガス取り入れ口90から中継管88へと流入する。油分吸着液槽75の油分吸着液が泡だってガス室77にオイルミストが発生するような場合、このオイルミストがオイルミスト衝突板91に当たって液化することが促される。
【0046】
ガス流出管92のガス室77に対する開口端に対峙する円盤状のオイルミスト衝突板93が設けられる。これにより、ガス室77のガスはオイルミスト衝突板93を迂回してガス流出管92へと流入する。油分吸着液槽75の油分吸着液が泡だってガス室77にオイルミストが発生するような場合、このオイルミストがオイルミスト衝突板93に当たって液化することが促される。
【0047】
油分吸着液槽75はその下部に単一の出口94が開口し、この出口94を開閉するバルブ96が設けられる。油分吸着液槽75は出口94に向けて傾斜する底部95を有し、油分吸着液中に含まれるスラッジが重力により底部95を介して出口94に集まり、バルブ96が開かれるとスラッジが油分吸着液と共に配管69を通して一次油タンク25に送られる。
【0048】
油分吸着液槽75には油分吸着液の液面レベルを検出する液面計(図示せず)が設けられる。図2に示すように、油分吸着液槽75には手動操作弁98を介して油分吸着液が供給される。
【0049】
油分吸着液としてA重油が用いられるが、A重油は余剰ガスの気泡を包む液体として適度な粘度が得られ、これより粘度の低い軽油等に比べて油分の回収率を高められることが実験により確認された。
【0050】
油分吸着液はA重油に限らず、他の燃料油または水を用いることが考えられる。しかし、油分吸着液として水を用いる場合、水に浮かぶ油分を回収するのに油水分離器等が必要となり、乾留装置のコストアップを招く。
【0051】
以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
【0052】
加熱炉1にて、密閉されたカートリッジ内にて有機物を無酸素状態で間接加熱することによって、カートリッジ内で有機物を乾留化して炭化物が作られると共に、カートリッジ内から乾留ガスが配管3を通して取り出される。
【0053】
加熱炉1から取り出される高温の乾留ガスは一次冷却器5、二次冷却器6にて冷却され、乾留ガス中の油分が液化して回収される。
【0054】
一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される余剰ガスはここで液化されなかった油分を含むが、この油分が油分回収器70に溜められた油分吸着液に触れることによって液化し、この液化した油が油分吸着液に取り込まれて回収される。
【0055】
油分回収器70にて油分が十分に除去された余剰ガスが安全器15に送られることにより、安全器15に溜められた水に油分が液化して浮かぶことを抑えられ、加熱炉バーナ31に供給される酸素が不足して不完全燃焼を起こすことを防止できる。
【0056】
一方、安全器15を経て取り出される余剰ガスは余剰ガス燃焼炉17に送られるが、安全器15を通過した余剰ガスに含まれる油分が低減されることにより、余剰ガス燃焼炉17の入口に設けられるガス吸引ファンにて余剰ガスに含まれる油分が液化して外部に垂れ落ちることを防止できる。
【0057】
本実施形態では、乾留ガスを冷却する一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される余剰ガスに含有される油分を分離する油分回収器70において、油分吸着液を溜める油分吸着液槽75と、油分吸着液内に余剰ガスを吐出するガス流入管71〜73と、油分吸着液中を浮上する余剰ガスの気泡を通過させて細かい気泡に分割する気泡分割手段80と、油分吸着液面上に出た余剰ガスを集めるガス室76〜78と、ガス室78に出た余剰ガスを取り出すガス流出管92とを備えたため、各ガス流入管71〜73から大きな気泡となって吐出する余剰ガスは油分吸着液中を浮上する過程で気泡分割手段80を通過することにより細かい気泡となり、余剰ガスに含まれる油分が油分吸着液に触れて液化することが促され、油分回収器70から油分が十分に回収された余剰ガスを取り出すことが可能となる。
【0058】
本実施形態では、気泡分割手段80として多数の小穴82が開口した穴あき板81を油分吸着液中に設けたため、各ガス流入管71〜73から大きな気泡となって吐出する余剰ガスは油分吸着液中を浮上する過程で穴あき板81の各小穴82を通過することにより細かい気泡となり、余剰ガスに含まれる油分が油分吸着液に触れて液化することが促され、油分回収器70にて油分が十分に回収された余剰ガスを取り出すことが可能となる。
【0059】
本実施形態では、複数のガス室76〜78を仕切り、一つのガス室76、77内の余剰ガスを他のガス室77、78の下方に位置する油分吸着液中に吐出するガス流入管72、73を備え、余剰ガスが油分吸着液中に繰り返し吐出される構成としたため、余剰ガスが油分吸着液中に吐出される回数を任意に設定して、余剰ガス中の油分を十分に回収することが可能となる。
【0060】
本実施形態では、ガス室76、77に余剰ガスが当たるオイルミスト衝突板91、93を備えたため、ガス室76、77に発生するオイルミストがオイルミスト衝突板91に当たって液化することが促され、余剰ガス中の油分を十分に回収することが可能となる。
【0061】
本実施形態では、気泡分割手段80を載せるフランジ86を備え、気泡分割手段80にガス流入管72、73が着脱可能に差し込まれる挿通穴83を形成したため、メンテナンス時にガス流入管72、73を挿通穴83から抜き取り、その後に気泡分割手段80をフランジ86上から取り外すことが可能となり、油分回収器70のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0062】
本実施形態では、密閉されたカートリッジ内で有機物を加熱する加熱炉1と、このカートリッジ内から取り出される乾留ガスを冷却する一次冷却器5、二次冷却器6と、この一次冷却器5、二次冷却器6から取り出される余剰ガスの逆流を止める安全器15と、この安全器15を介して取り出される余剰ガスを燃焼させる余剰ガス燃焼炉17とを備える乾留装置において、一次冷却器5、二次冷却器6を経て取り出される余剰ガスを安全器15に導く通路に油分回収器70を設け、この油分回収器70は余剰ガスを通す油分吸着液を溜め、余剰ガスに含まれる油分を油分吸着液中に取り込んで回収する構成としたため、油分回収器70にて油分が十分に回収された余剰ガスが安全器15に送られる。これにより、安全器15に溜められた水に油分が液化して浮かぶことを抑えられ、水混合燃焼方式の加熱炉バーナ31に供給される酸素が不足して不完全燃焼を起こすことを防止できる。さらに、余剰ガス燃焼炉17の入口に設けられるガス吸引ファンにて余剰ガスに含まれる油分が液化して外部に垂れ落ちることを防止できる。
【0063】
本実施形態では、油分回収器70に溜められる油分吸着液を燃料油とし、油分回収器70から排出される油分吸着液を加熱炉1を加熱する加熱炉バーナ31に供給する構成としたため、余剰ガスから分離した油を油分吸着液と共に再利用することが可能となる。
【0064】
図6に示すように、油分回収器70は各隔壁79によって3つの油分吸着液槽101〜103を画成しても良い。この場合、油分吸着液槽101〜103の下部には出口104〜106が開口し、この出口104〜106を開閉するバルブ107〜109が設けられる。各油分吸着液槽101〜103は出口104〜106に向けて傾斜する底部111〜113を有し、油分吸着液中に含まれるスラッジが重力により底部111〜113を介して出口104〜106に集まり、バルブ107〜109が開かれるとスラッジが油分吸着液と共に配管69を通して一次油タンク25に送られる。
【0065】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態を示す乾留装置のシステム図。
【図2】同じく乾留装置の構成図。
【図3】同じく油分回収器の断面図。
【図4】同じく図3のB−B線に沿う断面図。
【図5】同じく図3のC部詳細図。
【図6】他の実施の形態を示す油分回収器の断面図。
【図7】従来例を示す乾留装置の構成図。
【図8】従来例を示す安全器の断面図。
【符号の説明】
【0067】
1 加熱炉
5 一次冷却器
6 二次冷却器
15 安全器
17 余剰ガス燃焼炉
25 一次油タンク
31 加熱炉バーナ
70 油分回収器
71〜73 ガス流入管
76〜78 ガス室
80 気泡分割手段
81 穴あき板
82 小穴
83 挿通穴
86 フランジ
91 オイルミスト衝突板
92 ガス流出管
93 オイルミスト衝突板
【出願人】 【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜

【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘

【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭


【公開番号】 特開2008−63489(P2008−63489A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−244258(P2006−244258)