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【発明の名称】 液体燃料脱硫システムとその運転方法
【発明者】 【氏名】川本 浩一

【氏名】佐々木 広美

【氏名】公野 元貴

【要約】 【課題】高温・高圧状態で脱硫を行うことができる液体燃料システムとその運転方法を提供する。

【構成】液体燃料を溜める内部タンク1と、フィルタ2と、液体燃料を昇圧するポンプ4と、ポンプ入口弁3と、液体燃料を燃焼ガスで予熱する予熱器5と、脱硫器6と、圧力調整弁7と、燃料供給弁8とをこの順番に直列に接続され、しかも圧力調整弁7と並列に圧力逃がし弁9及び安全弁10が並列に接続され、更に燃料供給弁8と並列にバイパス弁11が並列に接続され、圧力逃がし弁9、安全弁10、バイパス弁11の夫々の下流側が全て内部タンク1に接続された構成であることを特徴とする固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄分を含む液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムにおいて、
液体燃料を溜める内部タンクと、この内部タンクに接続され,液体燃料を昇圧するポンプと、このポンプに接続され,液体燃料を燃焼ガスで予熱する予熱器と、この予熱器に接続された脱硫器と、この脱硫器に接続された圧力調整弁と、この圧力調整弁に接続された燃料供給弁と、前記圧力調整弁と並列に接続された圧力逃がし弁及び安全弁と、前記燃料供給弁と並列に接続されたバイパス弁とを具備し、
前記内部タンク、ポンプ、予熱器、脱硫器、圧力調整弁、燃料供給弁がこの順番に直列に接続され、かつ前記圧力逃がし弁、安全弁、バイパス弁の夫々の下流側が全て前記内部タンクに接続されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システム。
【請求項2】
前記脱硫器と前記圧力調整弁の間に、燃焼用の空気と熱交換する熱交換器を備えることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システム。
【請求項3】
前記脱硫器は、脱硫触媒を内部に充填する円筒状の容器と、この容器の上下を塞ぐ耐圧性のキャップと、脱硫触媒を上下から固定する金網と、円筒状の容器の側面の外周を覆う燃焼ガス流路とから構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システム
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムを運転する方法において、前記脱硫器を昇圧した後、一旦前記ポンプを停止し、そののち脱硫器を昇温してから再度ポンプを起動することを特徴とする固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの運転方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムを運転する方法において、停止時に、前記燃料供給弁を閉止すると同時に前記ポンプを停止し、脱硫器温度が低下してから前記脱硫器を減圧して、低硫黄の液体燃料を脱硫器内に常温・常圧で封入した状態で停止することを特徴とする固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、灯油等の硫黄分を含む液体燃料を用いた固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
灯油など硫黄分を含む液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池システムでは、液体燃料から水素を精製する改質反応を行う改質触媒が液体燃料中の硫黄分にさらされる場合がある。その結果、硫黄被毒し、寿命などの性能劣化が生じる。従って、改質触媒の硫黄被毒を防止するために、改質触媒に液体燃料を導入する前段階で、脱硫触媒を用いて液体燃料の硫黄濃度を50ppb以下にまで低減する必要がある。ここで、Niを含む脱硫触媒を用いて硫黄分を除去する方法として、特許文献1や特許文献2に示されるように、温度を高温にして脱硫性能を確保し、液体燃料が高温でも蒸発しないように高圧状態を保って脱硫を行う方法が提案されている。
【0003】
このようなことから、このような脱硫触媒を用いて液体燃料から効果的に硫黄を取り除く脱硫システムが求められている。従来このような目的に用いられる脱硫システムとしては、脱硫触媒の温度を高温に保つことを可能とする例として、例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5が知られている。特許文献3には、脱硫済みの灯油を再循環させて昇温することを特徴とすることが記載されている。特許文献4には、脱硫器の周りに巻いた配管で、予め予熱した液体燃料を脱硫器に導入する構成で脱硫触媒の昇温を可能にすることが記載されている。特許文献5には、バーナー排ガスを用いて脱硫触媒を加熱昇温する方法等が記載されている。また、特許文献6には、起動時に、未脱硫の灯油を灯油タンクに戻すことで、起動時の改質触媒の硫黄被毒を防止する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−175966号公報(段落0028記載)
【特許文献2】特開2005−146055号公報(段落0024記載)
【特許文献3】特開2004−213941号公報(段落0059記載)
【特許文献4】特開2004−263118号公報(段落0022〜0024記載)
【特許文献5】特開2005−255896号公報(段落0028記載)
【特許文献6】特開2004−31025号公報(段落0012記載)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の脱硫器の加熱方法では、ヒーターを用いる必要があり、固体高分子型燃料電池システムの電力供給能力を直接的に減らす結果となって、発電効率が悪化させる課題があった。また、特許文献5では脱硫触媒を加熱するために、脱硫触媒層内部に燃焼ガスの流れる流路を設ける必要がある。そのため、脱硫触媒側が高圧になる本件の脱硫システムに適用しようとした場合、燃焼ガスの流れる流路の方が圧力が低くなって、燃焼ガス流路に外圧が加わって、流路を構成する材料に必要以上の強度が必要となる課題があった。また、特許文献6のように、起動時に未脱硫灯油を灯油タンクに戻す方法では、脱硫器内に常に未脱硫の液体燃料が供給され続けるため、脱硫器内に前回停止時に残った脱硫された液体燃料が昇温中に排出されてしまい、昇温が完了しても、すぐには脱硫された液体燃料がえられず、起動時間が長くなる問題があった。
【0005】
本発明は、灯油等の硫黄分を含む液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池システムにおいて、Niを含む脱硫触媒を用いて、高温・高圧状態で脱硫を行うことができる液体燃料脱硫システムとその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の様態による液体燃料脱硫システムの液体燃料脱硫システムは、硫黄分を含む液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムにおいて、液体燃料を溜める内部タンクと、この内部タンクに接続され,液体燃料を昇圧するポンプと、このポンプに接続され,液体燃料を燃焼ガスで予熱する予熱器と、この予熱器に接続された脱硫器と、この脱硫器に接続された圧力調整弁と、この圧力調整弁に接続された燃料供給弁と、前記圧力調整弁と並列に接続された圧力逃がし弁及び安全弁と、前記燃料供給弁と並列に接続されたバイパス弁とを具備し、前記内部タンク、ポンプ、予熱器、脱硫器、圧力調整弁、燃料供給弁がこの順番に直列に接続され、かつ前記圧力逃がし弁、安全弁、バイパス弁の夫々の下流側が全て前記内部タンクに接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様による固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの運転方法は、前記固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムを運転する方法において、前記脱硫器を昇圧した後、一旦前記ポンプを停止し、そののち脱硫器を昇温してから再度ポンプを起動することを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様による固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの運転方法は、前記固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムを運転する方法において、停止時に、前記燃料供給弁を閉止すると同時に前記ポンプを停止し、脱硫器温度が低下してから前記脱硫器を減圧して、低硫黄の液体燃料を脱硫器内に常温・常圧で封入した状態で停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体燃料脱硫システムの液体燃料脱硫システムによれば、脱硫器の温度を高温に保つために、電気ヒーターを用いず、燃料電池システムの燃焼排ガスがもつ排熱を利用するので、直接的に燃料電池システムの電力供給能力を減じることなく、また、発電効率の低下も最小限に抑えることができる。
【0010】
本発明の固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの運転方法によれば、初回を除いて、停止状態で脱硫器内にすでに脱硫された灯油が残っているので、昇圧・昇温完了と同時に、改質器へ灯油を供給することができる。また、昇温完了後、未脱硫の灯油が脱硫器に供給され始めるが、脱硫触媒は既に温度が高くなっているため、脱硫器内部に残った脱硫された灯油が全て供給されるまでの間に、未脱硫灯油の脱硫も完了することができ、起動時間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明の固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの運転方法によれば、脱硫器内に脱硫された灯油が残った状態で停止することができ、次回起動時に、昇圧・昇温完了後ただちに、脱硫された灯油を改質器に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムについて詳細に説明する。
本発明において、液体燃料としては、例えば灯油、軽油、ナフサ、ガソリンが挙げられる。これらは、取り扱い、保存及び輸送が容易であること、安価であること等の理由で燃料電池用として有用である。先に述べたように、硫黄分を含んだ液体燃料を用いた固体高分子型燃料電池システムでは、液体燃料から水素を精製する改質反応を行う改質触媒が液体燃料中の硫黄分に曝されると、硫黄被毒して性能劣化が生じるので、水素製造用原料中の硫黄分を除去する為に脱硫器が設けられている。本発明では、脱硫器内に脱硫触媒を収容させ、これに灯油等の液体燃料を接触させて液体燃料の脱硫を行う。脱硫器内部には、脱硫器内部の圧力を測定する為の圧力センサーや脱硫触媒の温度を検知する為の温度センサーを設けることが好ましい。脱硫器内部の圧力は0.3MPaG〜0.6MPaGに、温度は200℃〜260℃に保持することが好ましい。圧力を上記のように規定するのは脱硫器内の脱硫触媒を脱硫しやすくためであり、温度を上記のように規定するのは脱硫器内の液体燃料の蒸発を回避するためである。
【0013】
また、脱硫器は、脱硫触媒を内部に充填する円筒状の容器と、この容器の上下を塞ぐ耐圧性のキャップと、脱硫触媒を上下から固定する金網と、円筒状の容器の側面の外周を覆う燃焼ガス流路とから構成することが好ましい。ここで、脱硫器が、脱硫触媒が充填された脱硫容器の外周側に、低圧の燃焼ガス流路を構成する円筒を配置した構成にすることにより、高温になっても強度を保つことができる。また、脱硫触媒の上下を金網で抑えることによって、脱硫触媒の流動を防止することができる。
【0014】
本発明の液体燃料脱硫システムの運転方法においては、前記脱硫器を昇圧した後、一旦前記ポンプを停止し、そののち脱硫器を昇温してから再度ポンプを起動することが好ましい。このような運転方法によれば、初回を除いて、停止状態で脱硫器内にすでに脱硫された灯油が残っているので、昇圧・昇温完了と同時に、改質器へ灯油を供給することができる。また、昇温完了後、未脱硫の灯油が脱硫器に供給され始めるが、脱硫触媒はすでに温度が高くなっているため、脱硫器内部に残った脱硫された灯油がすべて供給されるまでの間に、未脱硫灯油の脱硫も完了することができ、起動時間を短縮することができる。
【0015】
また、同運転方法においては、停止時に、前記燃料供給弁を閉止すると同時に前記ポンプを停止し、脱硫器温度が低下してから前記脱硫器を減圧して、低硫黄の液体燃料を脱硫器内に常温・常圧で封入した状態で停止することが好ましい。このような運転方法によれば、次回起動時に、昇圧・昇温完了後ただちに、脱硫された灯油を改質器に供給することが可能となる。
【0016】
次に、液体燃料脱硫システムの具体的な実施例について図面を参照して説明する。 (第1の実施形態)(請求項1、3〜5対応)
まず、図1〜図3を用いて本実施形態を説明する。ここで、図1は第1の実施形態に係る固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの概略を示す説明図、図2は同液体燃料脱硫システムの一構成である脱硫器の詳細な説明図、図3は同液体燃料脱硫システムの動作を説明するためのフローチャートを示す。なお、本実施形態は硫黄を含む液体燃料の一例として、灯油を用いて説明を行う。
【0017】
図中の符番1は、固体高分子型燃料電池システム内に設置した内部タンクを示す。この内部タンク1には、フィルタ2、ポンプ入口弁3、ポンプ4、液体燃料予熱器5、脱硫器6、圧力調整弁7、燃料供給弁8が順次直列に接続されている。圧力逃がし弁9と安全弁10は、前記圧力調整弁7と並列に接続されている。バイパス弁11は、前記燃料供給弁8と並列に接続されている。前記圧力逃がし弁9、安全弁10及びバイパス弁11の夫々の下流側は、夫々内部タンク1に接続されている。
【0018】
前記内部タンク1には、弁12を介装した配管13を介してホームタンク14に接続されている。ホームタンク14は家庭内に設置され、弁12を通じて、内部タンク1へ灯油を供給する。供給方法としては、内部タンク1の液位低を検知し、弁12を開放することで内部タンク1とホームタンク14の液位差を利用して供給する方法をとることができる。なお、図1中の符番15は制御装置を示す。この制御装置15は、燃料供給弁8、圧力逃がし弁9、バイパス弁11に電気的に接続され、これらに指令を送るようになっている。また、制御装置15は脱硫器6に配置された温度センサー16、圧力センサー17に電気的に接続され、これらから制御装置15に温度信号、圧力信号が夫々送られるようになっている。
【0019】
前記脱硫器6の詳細は図2に示すとおりである。図中の符番21は、内部に脱硫触媒22を充填する円筒状の脱硫容器を示す。この脱硫容器21の上下には、該容器21を塞ぐ耐圧性のキャップ23a,23bが設けられている。前記脱硫容器21内には上下から脱硫触媒22を固定する金網24a,24bが設けられている。前記脱硫容器21の側面には、燃焼ガス流路25を構成する円筒26が設けられている。このように、脱硫器6は、脱硫容器21と、脱硫触媒22と、脱硫容器21の上下のキャップ23a,23bと、燃焼ガス流路25を構成する円筒26と、脱硫触媒22の上下に設置した金網24a,24bとを備えた構成になっている。なお、液体燃料は脱硫容器の下部側から脱硫触媒22を経て上部側に供給され、燃焼排ガスは燃焼排ガス流路25を円筒26の底部側から上部側に供給される。
【0020】
次に、固体高分子型燃料電池システムが発電運転している際の液体燃料脱硫システムの動作を説明する。
通常運転時には、制御装置15からの指令により、バイパス弁11、圧力逃がし弁9は閉止状態、燃料供給弁8は開放状態となっている。内部タンク1に一度蓄えられた灯油は、フィルタ2、ポンプ入口弁3を通過して、ポンプ4へと入る。制御装置15からの指令によりポンプ4は灯油の圧力を0.3MPaGから0.6MPaGへ昇圧しながら指示された所定流量を通流する。その後、灯油は液体燃料予熱器5に入り、例えば、図示しない蒸発器高温側を出てきた燃焼排ガスによって加熱され、設定により200℃〜260℃の間のいずれかの温度となって脱硫器6に入る。
【0021】
脱硫器6の圧力は、圧力調整弁7の自立的な作用により、予め設定した0.3MPaG〜0.6MPaGの圧力でかつ200℃〜260℃の温度でも灯油が蒸発しない圧力で一定に保たれる。脱硫器6を出た灯油は、圧力調整弁7を通過すると同時に、常圧に圧力が低下する。その後、燃料供給弁8を通過して、図示しない改質器へと供給される。
【0022】
また、脱硫器6内の圧力が異常に上昇した場合には、安全弁10が自立的に動作して、脱硫器6内の圧力が低下し、脱硫器6の破損を防止することができる。一方、液体燃料予熱器5を通過して温度の下がった燃焼排ガスは、脱硫容器21の周囲に設置された燃焼ガス流路25を通過して、さらに温度が下がり、例えば、燃焼空気予熱器の高温側に供給される。
【0023】
次に、固体高分子型燃料電池システムを起動する際の本発明の液体燃料脱硫システムの動作を説明する。
起動時には、制御装置15の指令により、燃料供給弁8、圧力逃がし弁9、バイパス弁11はすべて閉止状態となっている。
制御装置15からの指令により、ポンプ4を起動すると、最初、圧力調整弁7の自立的作用で、脱硫器6内の圧力が所定圧力0.3MPaG〜0.6MPaGになるまで灯油は流れない。脱硫器6内の圧力が所定圧力になると同時に、灯油が圧力調整弁7、バイパス弁11を通過して、内部タンク1へと循環する。脱硫器6内部に設置された圧力センサー17により、脱硫器6内部圧力の上昇が停止したことを制御装置15が感知すると、一旦ポンプ4に停止命令が出される。
【0024】
次に、図示しない燃焼器で燃焼を開始する指令が制御装置15から出され、燃焼排ガスが液体燃料予熱器5および脱硫容器21周囲の燃焼ガス流路25に流れ始める。燃焼ガスの温度上昇とともに脱硫触媒温度も上昇し、一定時間経過後、脱硫触媒22は200℃〜260℃程度の所定温度に到達する。制御装置15が温度センサー16からの指令を受けて所定温度到達を確認した後、バイパス弁11を開放状態にする指令を、続いて再びポンプ4を起動する指令を送る。これにより、灯油はバイパス弁11を通して内部タンク1へと流れ始める。一定時間経過後、制御装置15から燃料供給弁8を開放、バイパス弁11を閉止する指令が出され、改質器へ灯油の供給を開始する。
【0025】
このような、起動方法によれば、初回を除いて、停止状態で脱硫器内にすでに脱硫された灯油が残っているので、昇圧・昇温完了と同時に、改質器へ灯油を供給することができる。また、昇温完了後、未脱硫の灯油が脱硫器6に供給され始めるが、脱硫触媒22はすでに温度が高くなっているため、脱硫器内部に残った脱硫された灯油がすべて供給されるまでの間に、未脱硫灯油の脱硫も完了することができ、起動時間を短縮することができる。なお、初回については、脱硫された灯油を脱硫器6に充填して起動をかければ良い。
【0026】
次に、固体高分子型燃料電池システムを停止する際の液体燃料脱硫システムの動作を説明する。
停止時には、まず、ポンプ4を停止し、燃料供給弁8を閉止して、改質器への灯油の供給を停止する。これに伴い燃焼器が停止し、温度が低下した燃焼空気が液体燃料予熱器5を流れるようになる。燃焼空気の温度低下に伴って、脱硫器6の温度も低下し、灯油が常温でも蒸発しなくなる所定温度例えば140℃程度まで低下する。温度が低下したことを温度センサー16で検知すると、制御装置15からの指令により圧力逃がし弁9を徐々に開放し、脱硫器6から灯油が流れださないようにしながら脱硫器内の圧力を徐々に低下させる。
【0027】
このように、停止指令と同時に、ポンプ4を停止し、脱硫器温度が下がってから減圧することにより、脱硫器内には、脱硫された灯油が残った状態で停止することができる。これにより、次回起動時に、昇圧・昇温完了後ただちに、脱硫された灯油を改質器に供給することが可能となる。以上の起動から停止にいたる手順を図3のフローチャートに示した。
【0028】
第1の実施形態に係る液体燃料脱硫システムは、液体燃料を溜める内部タンク1と、フィルタ2と、液体燃料を昇圧するポンプ4と、ポンプ入口弁3と、液体燃料を燃焼ガスで予熱する予熱器5と、脱硫器6と、圧力調整弁7と、燃料供給弁8とをこの順番に直列に接続され、しかも前記圧力調整弁7と並列に圧力逃がし弁9及び安全弁10が並列に接続され、更に前記燃料供給弁8と並列にバイパス弁11が並列に接続され、圧力逃がし弁9、安全弁10、バイパス弁11の夫々の下流側が全て前記内部タンク1に接続された構成となっている。こうした構成の本発明によれば、上記運転方法を採用することにより、脱硫器6の温度を高温に保つために、電気ヒーターを用いず、燃料電池システムの燃焼排ガスがもつ排熱を利用するので、直接的に燃料電池システムの電力供給能力を減じることなく、また、発電効率の低下も最小限に抑えられる。
【0029】
また、脱硫器6が、脱硫触媒22が充填された脱硫容器21の外周側に、低圧の燃焼ガス流路25を構成する円筒26が配置された構成になっているため、高温になっても強度を保つことができる。更に、脱硫触媒22の上下を金網24a,24bで抑えることによって、脱硫触媒22の流動を防止することができる。
【0030】
(第2の実施形態)(請求項2に対応)
次に、本発明の第2の実施形態に係る固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムについて、図4を参照して説明する。但し、図1及び図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
第2の実施形態の液体燃料脱硫システムは、図4に示すように、脱硫器6と圧力調整弁7の間に液体燃料冷却器27が配置された構成となる。この液体燃料冷却器27の低温側には、例えば、燃焼器に導入される前の燃焼空気などを用いることができる。即ち、図示しない固体高分子型燃料電池システムの燃焼空気ブロワから出た空気を空気予熱器の低温側に入れる前に、液体燃料予熱器に流し、温度を上昇させた後、空気予熱器の低温側に戻すことが可能である。
【0031】
第2の実施形態に係る液体燃料脱硫システムは、液体燃料を溜める内部タンク1と、フィルタ2と、液体燃料を昇圧するポンプ4と、ポンプ入口弁3と、液体燃料を燃焼ガスで予熱する予熱器5と、脱硫器6と、液体燃料冷却器27と、圧力調整弁7と、燃料供給弁8とをこの順番に直列に接続され、しかも前記圧力調整弁7と並列に圧力逃がし弁9及び安全弁10が並列に接続され、更に前記燃料供給弁8と並列にバイパス弁11が並列に接続され、圧力逃がし弁9、安全弁10、バイパス弁11の夫々の下流側が全て前記内部タンク1に接続された構成となっている。こうした構成により、脱硫器6を出た温度が200℃〜260℃の灯油を冷却することができ、かつ、液体燃料冷却器27に燃焼空気を流すことにより熱を回収することができる。従って、圧力調整弁7が低温仕様であっても発電効率の低下を最小限に抑えて、脱硫システムを運転することが可能となる。なお、このような構成によっても、第1の実施形態と同様の運転、起動、停止が可能であることはいうまでもない。
【0032】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、液体燃料は上述したように灯油に限らないし、他の液体燃料でもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの説明図である。
【図2】図2は、図1の液体燃料脱硫システムの一構成である脱硫器の断面図を示す。
【図3】図3は、図1の液体燃料脱硫システムの制御方法を示すフローチャートを示す。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係る固体高分子型燃料電池システムの液体燃料脱硫システムの説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1…内部タンク、4…ポンプ、5…液体燃料予熱器、6…脱硫器、7…圧力調整弁、8…燃料供給弁、9…圧力逃がし弁、10…安全弁、11…バイパス弁、21…脱硫容器、22…脱硫触媒、23a,23b…キャップ、24a,24b…金網、25…燃焼ガス流路、26…円筒、27…液体燃料冷却器。
【出願人】 【識別番号】301060299
【氏名又は名称】東芝燃料電池システム株式会社
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−63448(P2008−63448A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243084(P2006−243084)