トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 炭化水素資源の改質方法及び改質装置
【発明者】 【氏名】山口 哲正

【氏名】栃原 義久

【氏名】野田 直希

【氏名】秋保 広幸

【氏名】伊藤 茂男

【要約】 【課題】炭化水素資源を比較的低コストで改質することができる炭化水素資源の改質方法及び改質装置を提供する。

【構成】水1と二酸化炭素2との混合物3を加熱及び加圧した状態で所定の触媒に接触させることによって蟻酸を生成する前処理工程100と、蟻酸を含む混合物3aと炭化水素資源4とを混合したスラリー5を調製すると共に、スラリー5を超臨界状態に保持しスラリー5に含まれる炭化水素資源4を軽質化する改質工程110と、改質工程110で得られた可燃性液体6を少なくとも含む生成物を分離回収する分離回収工程120とを有するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と二酸化炭素との混合物を加熱及び加圧した状態で所定の触媒に接触させることによって蟻酸を生成する前処理工程と、この前処理工程で生成された蟻酸を含む前記混合物と炭化水素資源とを混合したスラリーを調製すると共に、該スラリーを超臨界状態に保持し当該スラリーに含まれる炭化水素資源を軽質化する改質工程と、少なくとも該改質工程で得られた可燃性液体を含む生成物を分離回収する分離回収工程とを有することを特徴とする炭化水素資源の改質方法。
【請求項2】
前記回収工程では、前記生成物を回収すると共に、未反応の水及び二酸化炭素を含む未反応流体を分離回収し、回収した前記未反応流体を前記混合物として再利用することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素資源の改質方法。
【請求項3】
前記改質工程では、前記スラリーに含まれる金属成分の錯体化を促進する添加剤を前記スラリーに添加すると共に、
前記分離回収工程後に、前記未反応流体を、水を含む第1の流体と二酸化炭素を含む第2の流体とに分離する分離工程と、分離した前記第2の流体の圧力を降下させることによって当該第2の流体に含まれる金属成分である不純物を除去する降圧工程とを含む不純物除去工程をさらに有し、前記第1の流体と前記不純物が除去された第2の流体とを前記混合物として再利用することを特徴とする請求項2に記載の炭化水素資源の改質方法。
【請求項4】
前記降圧工程の後に、前記第2の流体の圧力を上昇させる昇圧工程をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の炭化水素資源の改質方法。
【請求項5】
前記生成物が固形成分を含み、前記分離回収工程では前記生成物の固形成分を分離回収し、回収した前記固形成分を前記前処理工程における前記混合物を加熱するための燃料として利用することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の炭化水素資源の改質方法。
【請求項6】
水と二酸化炭素との混合物と所定の触媒とが供給され、前記混合物を加熱及び加圧した状態で前記触媒に接触させて蟻酸を生成する反応器と、該反応器で生成した蟻酸を含む前記混合物と炭化水素資源とを混合したスラリーが供給されると共に該スラリーを超臨界状態に保持して当該スラリーに含まれる炭化水素資源を軽質化する改質器とを具備することを特徴とする炭化水素資源の改質装置。
【請求項7】
前記改質器から未反応の水及び二酸化炭素を含む未反応流体が供給され、供給された前記未反応流体に含まれる金属成分等の不純物を除去する不純物除去器をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の炭化水素資源の改質装置。
【請求項8】
前記不純物除去器では、前記未反応流体を、水を含む第1の流体と二酸化炭素を含む第2の流体とに分離すると共に、分離した前記第2の流体の圧力を降下させることによって当該第2の流体に含まれる金属成分である不純物を除去することを特徴とする請求項7に記載の炭化水素資源の改質装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界水を利用して、例えば、炭素、重油等の炭化水素資源を軽質化する炭化水素資源の改質方法及び改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、石炭等の炭化水素資源が燃料として用いられているが、例えば、褐炭等のいわゆる低品位炭は、水分が多く発熱量が低いためそのままでは燃料としての利用効率が低い。また、低品位炭、特に、褐炭は、自然発火性を有するためそのままでは取扱いが困難である。このため、このような低品位炭を効率よく改質して有効利用する様々な技術が提案されている。その技術の一つとして、低品位炭を改質して液体燃料として利用する技術がある。具体的には、例えば、微粉化した石炭と水と蟻酸を混合してスラリーを調製し、このスラリーを超臨界状態に維持して蟻酸を分解させ、この分解反応によって生じた活性水素を石炭と反応させて軽質化(改質)し液化する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような特許文献1に記載の方法では、燃料改質に必要な活性水素を発生させる蟻酸は外部から連続的に供給しなければならず、コストがかかるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、上記方法で得られた油の一部をガス化して水素を生成し、この水素と二酸化炭素から蟻酸を合成し、合成した蟻酸を石炭の軽質化に利用するようにした方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このような方法を採用することによって外部から蟻酸を供給するのと比べてコストを削減することはできると思われる。しかしながら、得られた油の一部をガス化するため、最終的に得られる液体燃料(油)の量が減少することになる。したがって、石炭から液体燃料を得るための全体のコストとしては、十分に削減することができないという問題がある。
【0006】
なお、このような問題は、例えば、重油等の他の炭化水素資源を改質する場合にも、同様に存在する。
【0007】
【特許文献1】特開平10−237465号公報
【特許文献2】特開2001−192676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、炭化水素資源を比較的低コストで改質することができる炭化水素資源の改質方法及び改質装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、水と二酸化炭素との混合物を加熱及び加圧した状態で所定の触媒に接触させることによって蟻酸を生成する前処理工程と、この前処理工程で生成された蟻酸を含む前記混合物と炭化水素資源とを混合したスラリーを調製すると共に、該スラリーを超臨界状態に保持し当該スラリーに含まれる炭化水素資源を軽質化する改質工程と、少なくとも該改質工程で得られた可燃性液体を含む生成物を分離回収する分離回収工程とを有することを特徴とする炭化水素資源の改質方法にある。
【0010】
かかる第1の態様では、水と二酸化炭素との混合物から生成した蟻酸を利用して炭化水素資源を改質(軽質化)するようにしたので、外部から蟻酸を供給する必要がなく、コストが大幅に低減される。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記回収工程では、前記生成物を回収すると共に、未反応の水及び二酸化炭素を含む未反応流体を分離回収し、回収した前記未反応流体を前記混合物として再利用することを特徴とする第1の態様の炭化水素資源の改質方法にある。
【0012】
かかる第2の態様では、未反応流体を混合物として再利用することで、全体として使用する水及び二酸化炭素の使用量を削減することができ、コストがさらに低減される。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記改質工程では、前記スラリーに含まれる金属成分の錯体化を促進する添加剤を前記スラリーに添加すると共に、前記分離回収工程後に、前記未反応流体を、水を含む第1の流体と二酸化炭素を含む第2の流体とに分離する分離工程と、分離した前記第2の流体の圧力を降下させることによって当該第2の流体に含まれる金属成分である不純物を除去する降圧工程とを含む不純物除去工程をさらに有し、前記第1の流体と前記不純物が除去された第2の流体とを前記混合物として再利用することを特徴とする第2の態様の炭化水素資源の改質方法にある。
【0014】
かかる第3の態様では、未反応流体に含まれる金属成分である不純物が二酸化炭素に溶解されるため、未反応流体を分離することで未反応流体に含まれる不純物を除去することができる。したがって、この未反応流体を再利用した混合物を用いて炭化水素資源を軽質化することで、不純物の少ない高品質な生成物、例えば、可燃性液体等が得られる。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記降圧工程の後に、前記第2の流体の圧力を上昇させる昇圧工程をさらに有することを特徴とする第3の態様の炭化水素資源の改質方法にある。
【0016】
かかる第4の態様では、未反応流体を再利用した混合物をより良好且つ確実に調製することができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、前記生成物が固形成分を含み、前記分離回収工程では前記生成物の固形成分を分離回収し、回収した前記固形成分を前記前処理工程における前記混合物を加熱するための燃料として利用することを特徴とする第1〜4の何れかの態様の炭化水素資源の改質方法にある。
【0018】
かかる第5の態様では、生成物として得られる固形成分を、混合物を加熱するための燃料として用いることで、外部から調達する燃料の量を大幅に削減することができ、コストをさらに削減することができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、水と二酸化炭素との混合物と所定の触媒とが供給され、前記混合物を加熱及び加圧した状態で前記触媒に接触させて蟻酸を生成する反応器と、該反応器で生成した蟻酸を含む前記混合物と炭化水素資源とを混合したスラリーが供給されると共に該スラリーを超臨界状態に保持して当該スラリーに含まれる炭化水素資源を軽質化する改質器とを具備することを特徴とする炭化水素資源の改質装置にある。
【0020】
かかる第6の態様では、水と二酸化炭素との混合物から生成した蟻酸を利用して炭化水素資源を改質(軽質化)するようにしたので、外部から蟻酸を供給する必要がなく、コストが大幅に低減される。
【0021】
本発明の第7の態様は、前記改質器から未反応の水及び二酸化炭素を含む未反応流体が供給され、供給された前記未反応流体に含まれる金属成分等の不純物を除去する不純物除去器をさらに有することを特徴とする第6の態様の炭化水素資源の改質装置にある。
【0022】
かかる第7の態様では、未反応流体に含まれる不純物を除去することができる。したがって、この未反応流体を再利用した混合物を用いて炭化水素資源を軽質化することで、不純物の少ない高品質な生成物、例えば、可燃性液体等が得られる。
【0023】
本発明の第8の態様は、前記不純物除去器では、前記未反応流体を、水を含む第1の流体と二酸化炭素を含む第2の流体とに分離すると共に、分離した前記第2の流体の圧力を降下させることによって当該第2の流体に含まれる金属成分である不純物を除去することを特徴とする第7の態様の炭化水素資源の改質装置にある。
【0024】
かかる第8の態様では、未反応流体を再利用した混合物をより良好且つ確実に調製することができる。
【発明の効果】
【0025】
かかる本発明では、水と二酸化炭素との混合物から蟻酸を生成し、生成した蟻酸を利用して炭化水素資源を軽質化するようにしたので、外部から蟻酸を供給する必要がない。したがって、炭化水素資源の軽質化コスト、また可燃性液体の製造コストを大幅に削減することができる。さらに、添加剤を加えることで、金属成分である不純物を超臨界二酸化炭素に溶解させることができるため、不純物の少ない高品質な生成物、例えば、可燃性液体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る炭化水素資源の改質方法の工程図である。
【0028】
本実施形態では、図1に示すように、まず水1と二酸化炭素(CO)2とを混合した混合物3を調製すると共に、本発明に係る改質装置を構成する反応器10に混合物3を供給し、反応器10によって前処理工程100を実施する。ここで、反応器10内には、例えば、酸化銅、酸化亜鉛等の触媒が予め配されている。また、反応器10には、例えば、燃焼炉等である加熱器11が設けられている。そして、前処理工程100では、反応器10に混合物3を連続的に供給しながら、加熱器11によって反応器10を加熱することによって、反応器10内の混合物3を所定温度まで昇温させると共に混合物3を所定圧力まで昇圧させる。所定の温度及び圧力に維持された状態で、混合物3が反応器10内に予め配されている触媒(図示なし)に接触することによって蟻酸が生成される。例えば、本実施形態では、前処理工程100において、混合物3を約1000℃まで昇温させ、また混合物3の反応器10への供給量を制御することによって、反応器10内の混合物3の圧力が数〜数十(MPa)となるように調整している。
【0029】
なお、蟻酸は、混合物3の圧力が常圧(大気圧)であっても生成されるが、本実施形態のように混合物3を比較的高圧とすることで生成量を増加し、所望の量の蟻酸が生成される。また、水と二酸化炭素(CO)とを反応させることで蟻酸が生成されること自体は、例えば、技術文献(R.Terada et al.,(1999)Viva Origino,197-208)等に開示されている。
【0030】
次に、このように前処理工程100で生成された蟻酸を含む混合物3aと、炭化水素資源である、例えば、褐炭等の石炭4を細かく砕いた粉末とを混合してスラリー5を調製し、このスラリー5を改質器20に供給して改質工程110を実施する。改質工程110では、改質器20内でスラリー5を超臨界状態に維持することによってスラリー5に含まれる石炭を液体状に軽質化する。具体的には、改質器20に設けられる加熱手段(図示なし)によってこの改質器20を加熱しつつ改質器20内に供給されるスラリー5の供給量を調整し、改質器20内のスラリー5を所定温度及び圧力に維持する。すなわち、スラリー5を超臨界状態に維持する。
【0031】
これにより、スラリー5に含まれる炭化水素資源である石炭が軽質化される。具体的には、スラリー5を超臨界状態に維持することによる蟻酸の分解反応と、石炭の加水分解反応と、石炭の熱分解反応と、上記蟻酸の分解反応により生じる活性水素と未反応の石炭との反応とを併発して複合的に起こさせることによって、石炭が極めて効率的に軽質化される。すなわち、石炭を含むスラリー5から可燃性液体6が生成されると共に、可燃性ガス7及び改質灰である固形成分8が同時に生成される。なお、スラリー5(混合物3a)に蟻酸が十分に含まれていることで、スラリー5に含まれる石炭の約8割が可燃性液体6となり効率的であるのに対し、蟻酸が添加されていない場合、スラリー5に含まれる石炭の約4割程度しか可燃性液体6にならず非効率である。なお、可燃性ガス7の生成量は、数%程度であり、可燃性液体6の生成量と比較してごく少量である。
【0032】
このように石炭を改質(軽質化)する際に、石炭を含むスラリー5に蟻酸が含まれていることで、石炭の液化率が大幅に向上し、可燃性液体6の製造コストが削減される。特に、本発明では、水1と二酸化炭素2との混合物3から蟻酸を生成し、生成した蟻酸を利用して石炭を軽質化するようにしたので、外部から蟻酸を供給する必要がない。したがって、可燃性液体6の製造コストをさらに大幅に削減することができる。
【0033】
また、本実施形態では、生成した蟻酸を含む混合物3aと石炭4とを混合してスラリー5を調製しているため、スラリー5には二酸化炭素(CO)が含まれている。そして、スラリー5に含まれている、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等の金属成分である不純物は、改質工程110で、例えば、ポリエーテル類(特にグライム)とCF(CFCOOHとの混合物等の添加剤を添加することで、その二酸化炭素に溶解させることができる。これにより、スラリー5から生成される可燃性液体6を、不純物が少ない質の高いものとすることができるという効果もある。
【0034】
このように改質工程110で、スラリー5に含まれる石炭を軽質化した後は、分離回収工程120で、改質工程110で生成された各生成物を分離回収する。すなわち、改質工程110で生成される可燃性液体6、可燃性ガス7及び固形成分8を、例えば、気液分離器、固液分離器等によって、それぞれ分離回収する。
【0035】
なお、回収した固形成分8については、その後ブリケット化して、例えば、練炭,豆炭等の固形燃料としてもよいが、本実施形態では、この固形成分8をブリケット化することなく、加熱器11に供給し、反応器10を加熱するための燃料として利用するようにした。また、上述したように可燃性ガス7は、その生成量が比較的少ないため、固形成分8と同様に、反応器10を加熱するための燃料として利用するようにしてもよい。これにより、加熱器11の燃料を、他から大量に調達する必要がなくなるため、さらなるコストの削減を図ることができる。
【0036】
また、分離回収工程120では、これら可燃性液体6、可燃性ガス7及び固形成分8が分離回収された残りのスラリー5、すなわち、未反応の水、二酸化炭素を含む未反応流体9も分離回収される。なお、この未反応流体9に含まれる水とは、いわゆる超臨界水であり、二酸化炭素とは、いわゆる超臨界二酸化炭素である。また、未反応流体9には、蟻酸が含まれていてもよい。回収された未反応流体9は、廃液として処分してもよいが、リサイクルするのが好ましい。例えば、混合物3を調製する際に、新たに供給される水及び二酸化炭素と共にこの未反応流体9を混合することで混合物3を調製するようにしてもよい。このように未反応流体9を混合物3として再利用することで、水1及び二酸化炭素2の使用量が大幅に減少するため、可燃性液体6の製造コストをさらに削減することができる。
【0037】
また、未反応流体9に蟻酸が含まれている場合には、前処理工程100後の混合物3aに含まれる蟻酸の量も増加することになり、改質工程110における石炭の改質(軽質化)がさらに促進されるという効果も期待できる。
【0038】
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2に係る炭化水素資源の改質方法の工程図である。
【0039】
図2に示すように、本実施形態は、分離回収工程120で分離回収した未反応流体9を再利用するための工程に特徴があり、分離回収工程120までに関しては、実施形態1と同様である。
【0040】
本実施形態に係る改質装置は、反応器10及び改質器20を具備すると共に、未反応の水及び二酸化炭素を含む未反応流体9から不純物を除去する不純物除去器30をさらに具備し、この不純物除去器30によって、分離工程130及び降圧工程140を含み、未反応流体9に含まれる不純物を除去する不純物除去工程150をさらに有する。
【0041】
ここで、このように不純物除去工程150によって未反応流体9に含まれる不純物を除去する場合、スラリー5に含まれる金属成分の錯体化を促進する添加剤を添加した上で、改質工程110を実施する必要がある。なお、添加剤としては、上述したように、例えば、ポリエーテル類(特にグライム)とCF(CFCOOHとの混合物等が挙げられる。これにより、未反応流体9に含まれる不純物は二酸化炭素に溶解されるため、後述するように、この不純物を未反応流体9から比較的容易に除去することができる。
【0042】
具体的には、まず分離回収工程120で回収された未反応流体9が、改質器20から不純物除去器30に供給されると、未反応流体9を、水を含む第1の流体9aと二酸化炭素を含む第2の流体9bとに分離する分離工程130と、分離した第2の流体9bの圧力を降下させることによって第2の流体9bに含まれる不純物を除去する降圧工程140とが実施される。なお、ここでいう不純物とは、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等の金属成分である。
【0043】
分離工程130における水と二酸化炭素との分離方法は、特に限定されないが、例えば、両者の密度差を利用した分離技術の適用が可能である。例えば、400(℃)、30(MPa)の雰囲気下では、水(超臨界水)の密度が、約0.35(g/cm)であるのに対し、超臨界二酸化炭素の密度は、約0.2(g/cm)であり、両者の密度は異なる。したがって、このような密度差を利用することにより、未反応流体9を第1の流体9aと第2の流体9bとに比較的容易に分離することできる。
【0044】
上述したように、未反応流体9に含まれる金属成分である不純物は、二酸化炭素に溶解されている。したがって、未反応流体9に含まれていた不純物の殆どは、分離工程130によって分離された第2の流体9bに含まれる。
【0045】
そして、このように分離された第1の流体9aは、そのまま、実施形態1と同様に混合物3として再利用される。一方、第2の流体9bは、降圧工程140によって不純物が除去される。すなわち、降圧工程140では、第2の流体9bの圧力を、二酸化炭素の臨界圧力である7.38(MPa)よりも低い圧力まで低下させ、二酸化炭素を気化させることによって第2の流体9bに含まれる不純物と分離する。すなわち、第2の流体9bに含まれる不純物を分離回収する。不純物が除去された第2の流体9bは、その後、第1の流体9aと同様に、混合物3として再利用される。
【0046】
このような本実施形態では、未反応流体9に含まれる不純物が除去されるため、この未反応流体9を再利用した混合物3を用いて生成される可燃性流体に含まれる不純物の量を減少させることができる。したがって、低コストで質の高い可燃性流体を生成することができるようになる。
【0047】
(他の実施形態)
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、勿論、本発明は、このような実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、炭化水素資源として、低品位炭である褐炭を例示して本発明を説明したが、本発明は、褐炭の改質(軽質化)に限定されるものではない。炭化水素資源は、褐炭の他、例えば、草炭、亜瀝青炭、瀝青炭等の他の石炭であってもよく、また石炭の他、重油、残渣油、チャー、コークス、タール、バイオマス等の燃料の改質にも適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態1に係る改質工程を示す工程図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る改質工程を示す工程図である。
【符号の説明】
【0049】
10 反応器
20 改質器
30 不純物除去器
100 前処理工程
110 改質工程
120 分離回収工程
130 分離工程
140 降圧工程
【出願人】 【識別番号】000173809
【氏名又は名称】財団法人電力中央研究所
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之

【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年


【公開番号】 特開2008−50538(P2008−50538A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−231278(P2006−231278)