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【発明の名称】 重質油の改質反応装置及び改質反応装置を備えたガスタービンシステム
【発明者】 【氏名】西田 浩二

【氏名】横田 修

【氏名】小久保 慎介

【氏名】高橋 宏和

【氏名】林 明典

【氏名】稲毛 真一

【氏名】穂刈 信幸

【要約】 【課題】本発明の目的は、重質油と水を水熱反応させて改質油成分を生成する際にコークスの発生を抑制しすると共に、付着したコークス場合を容易に清掃し得る改質反応装置を提供することにある。

【構成】本発明の改質反応容器は、圧力容器と、圧力容器の内部に配置して重質油と水を水熱反応させて改質油成分を製造する改質器と、圧力容器に着脱可能に設置した蓋部と、蓋部に配設されて重質油と水との混合流体を供給する第一の配管及び改質器の水熱反応で発生する軽質油成分を抜き出す第二の配管と、圧力容器の下方に配設されて改質器の水熱反応で発生する重質成分を外部に抜き出す第三の配管及び改質器の温度を調節する加熱流体を外部から供給する第四の配管を備え、改質器は圧力容器から着脱可能となるように配設し、改質器の外周側の壁面と圧力容器の内周側の壁面との間に第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を維持する圧力容器と、圧力容器の内部に配置されて高温高圧条件下で重質油と水とを水熱反応させて改質油成分を製造する改質器と、圧力容器に夫々配設されて改質器に高温高圧の重質油と水との混合流体を供給する第一の配管、及び改質器による水熱反応で発生する軽質油成分を抜き出す第二の配管と、圧力容器に夫々配設されて改質器による水熱反応で発生する重質成分を外部に抜き出す第三の配管、及び改質器の温度を調節する加熱流体を外部から供給する第四の配管とを備え、改質器の外周側の壁面と圧力容器の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成したことを特徴とする改質反応装置。
【請求項2】
請求項1に記載の改質反応装置において、圧力容器に開口部を形成すると共にこの開口部を塞ぐ圧力容器の一部を構成する蓋部を圧力容器に対して着脱可能に設置し、改質器を圧力容器に対して着脱可能に配設したことを特徴とする改質反応装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の改質反応装置において、改質器の外周側にシュラウド部材を設置して、この改質器の外周側の壁面とシュラウド部材の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成したことを特徴とする改質反応装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の改質反応装置において、改質器の外周側の壁面に複数のフィン部材を設置して、この改質器の外周側の壁面に設置したフィン部材と圧力容器の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成したことを特徴とする改質反応装置。
【請求項5】
重質油から軽質油成分を製造する改質反応装置と、製造された軽質油成分を燃料として燃焼させるガスタービン装置とを有する改質反応装置を備えたガスタービンシステムにおいて、改質反応装置として、圧力容器と、圧力容器の内部に配置されて高温高圧条件下で重質油と水とを水熱反応させて改質油成分を製造する改質器と、圧力容器に形成された開口部を塞ぐように着脱可能に設置された圧力容器の一部を構成する蓋部と、圧力容器の蓋部に配設されて改質器に高温高圧の重質油と水との混合流体を供給する第一の配管、及び改質器による水熱反応で発生する軽質油成分を抜き出す第二の配管と、圧力容器に配設されて改質器による水熱反応で発生する重質成分を外部に抜き出す第三の配管、及び改質器の温度を調節する加熱流体を外部から供給する第四の配管とを備え、改質器は圧力容器から着脱可能となるように配設し、改質器の外周側の壁面と圧力容器の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成して構成し、ガスタービン装置から排出される燃焼排ガスを熱源とする排熱回収ボイラを設置して排熱回収ボイラから発生した蒸気を改質反応装置の第四の配管に供給して改質器の温度調整を行うことを特徴とする改質反応装置を備えたガスタービンシステム。
【請求項6】
重質油から軽質油成分を製造する改質反応装置と、製造された軽質油成分を燃料として燃焼させるガスタービン装置とを有する改質反応装置を備えたガスタービンシステムにおいて、改質反応装置として、圧力容器と、圧力容器の内部に配置されて高温高圧条件下で重質油と水とを水熱反応させて改質油成分を製造する改質器と、圧力容器に形成された開口部を塞ぐように着脱可能に設置された圧力容器の一部を構成する蓋部と、圧力容器の蓋部に配設されて改質器に高温高圧の重質油と水との混合流体を供給する第一の配管、及び改質器による水熱反応で発生する軽質油成分を抜き出す第二の配管と、圧力容器に配設されて改質器による水熱反応で発生する重質成分を外部に抜き出す第三の配管、及び改質器の温度を調節する加熱流体を外部から供給する第四の配管とを備え、改質器は圧力容器から着脱可能となるように配設し、改質器の外周側の壁面と圧力容器の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成して構成し、改質反応装置の圧力容器に配設した第三の配管から排出された重質成分を燃料とする燃焼炉を設置して燃焼炉で発生した排ガスを利用して加熱流体を生成し、この加熱流体を第四の配管に供給して改質器の温度調整を行うことを特徴とする改質反応装置を備えたガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高温・高圧の条件下で重質油と水を混合して水熱反応させて重質油を分解して軽質化した改質油を製造する重質油の改質反応装置と、改質油を燃料とする改質反応装置を備えたガスタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
重質油をガスタービン装置の燃料に用いるためには、ガスタービン翼の腐食の原因となる重質油に含まれているバナジウムを除去すると共に油の粘性を低下させる必要がある。
【0003】
これを実現する方法として、重質油と水との混合流体を350〜550℃、5〜30MPaの高温高圧の条件下で水熱反応させて重質油を改質した改質燃料を製造する技術が知られている。
【0004】
特開2003−286858号公報には、改質器によって高温高圧の条件下で重質油と水を混合して水熱反応させて重質油から軽質化した改質油を製造し、この改質油をガスタービン燃料として使用する改質器を備えたガスタービン発電システムが開示されている。
【0005】
また、特開2004−307535号公報には、高温高圧の条件下で重質油と水を混合して水熱反応させて重質油から改質燃料を製造する改質器を構成する反応容器を、コークスの局所的な発生とコークスによる配管の閉塞を抑制するために高圧に耐える厚肉の内壁と外壁とを有する2重構造として、反応容器の内壁を保温する構成の反応容器が開示されている。
【0006】
また、特開2004−57925号公報には、被処理液を水熱反応処理する反応カートリッジ型の密閉型内筒と、この密閉型内筒を収容する上部開放の反応器本体と、反応器本体の上部開口を閉止する反応器蓋体と、密閉型内筒に設置して水熱反応域で生成する被処理液に含まれる微粒子を付着させる付着機構となる複数段のメッシュ板とを備えた水熱反応容器が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−286858号公報
【特許文献2】特開2004−307535号公報
【特許文献3】特開2004−57925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、高温高圧条件下で重質油と水を水熱反応させる改質器の内部では、重質油中の軽質成分が蒸気中に溶解するとともに熱分解により軽質成分と重質成分とに分離する反応が進む。
【0009】
重質成分は重合を繰返すことにより粘性の高いタールへと変化するが、温度が高くて重合が進みすぎると重質成分の一部が固体であるコークスに変化して改質器の内壁に付着して改質器の内容積が減少することになる。
【0010】
改質器の内容積が減少すると熱分解により重質油からガス状の軽質油成分が十分生成する前に改質器内が反応液によって満たされて改質器から重質油成分が外部に流出する恐れがある。また、改質器内で発生したコークスが改質器に配設された配管等の閉塞を生じさせる恐れもある。
【0011】
特許文献2の改質器では、改質器を構成する反応容器を高圧に耐える厚肉の内壁と外壁からなる2重構造に構成するために反応容器が大型化するだけでなく、厚肉に形成した反応容器の内壁を重質油と水を水熱反応に必要な所望の温度に加熱する熱エネルギーが多大となり、改質器の昇温に要する時間も多くかかるという問題を有する。
【0012】
特許文献3に記載された密閉型内筒と、密閉型内筒を収容する反応器本体を供えた水熱反応容器を高温高圧の条件下で重質油と水を混合して水熱反応させて重質油から改質燃料を製造する改質器に適用した場合に、被処理液となる高温高圧の重質油と水を内部に直接導入する密閉型内筒は密閉型であるが故に高圧に耐えられるよう厚肉の圧力容器として形成せざるを得ない。
【0013】
よって特許文献3の水熱反応容器では、厚肉の圧力容器となる密閉型内筒の反応器が大型化するだけでなく、厚肉に形成した密閉型内筒を重質油と水を水熱反応に必要な所望の温度に加熱する熱エネルギーが多大となり、密閉型内筒の昇温に要する時間も多くかかるという問題を有する。
【0014】
本発明の目的は、高温高圧条件下の改質器で重質油と水とを水熱反応させて改質油成分を生成する際にコークスの発生を抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置、及び改質反応装置を備えたガスタービンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の改質反応装置は、圧力を維持する圧力容器と、圧力容器の内部に配置されて高温高圧条件下で重質油と水とを水熱反応させて改質油成分を製造する改質器と、圧力容器に夫々配設されて改質器に高温高圧の重質油と水との混合流体を供給する第一の配管、及び改質器による水熱反応で発生する軽質油成分を抜き出す第二の配管と、圧力容器に夫々配設されて改質器による水熱反応で発生する重質成分を外部に抜き出す第三の配管、及び改質器の温度を調節する加熱流体を外部から供給する第四の配管とを備え、改質器の外周側の壁面と圧力容器の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成したことを特徴とする。
【0016】
本発明の改質反応装置を備えたガスタービンシステムは、改質反応装置として、圧力容器と、圧力容器の内部に配置されて高温高圧条件下で重質油と水とを水熱反応させて改質油成分を製造する改質器と、圧力容器に形成された開口部を塞ぐように着脱可能に設置された圧力容器の一部を構成する蓋部と、圧力容器の蓋部に配設されて改質器に高温高圧の重質油と水との混合流体を供給する第一の配管、及び改質器による水熱反応で発生する軽質油成分を抜き出す第二の配管と、圧力容器に配設されて改質器による水熱反応で発生する重質成分を外部に抜き出す第三の配管、及び改質器の温度を調節する加熱流体を外部から供給する第四の配管とを備え、改質器は圧力容器から着脱可能となるように配設し、改質器の外周側の壁面と圧力容器の内周側の壁面との間に前記第四の配管から導いた加熱流体が流れる流路を形成して構成し、ガスタービン装置から排出される燃焼排ガスを熱源とする排熱回収ボイラを設置して排熱回収ボイラから発生した蒸気を第四の配管に供給、又は改質反応装置の圧力容器に配設した第三の配管から排出された重質成分を燃料とする燃焼炉を設置して燃焼炉で発生した排ガスを利用して加熱流体を生成し、この加熱流体を第四の配管に供給して改質器の温度調整を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、改質反応器での重質油と水との水熱反応の際にコークスが発生することを抑制して改質反応器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置及び改質反応装置を備えたガスタービンシステムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に重質油を水熱反応させて改質燃料を製造する本発明の実施例の改質反応装置及び改質反応容器を備えたガスタービンシステムについて図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は重質油と水を高温高圧条件下で水熱反応させて重質油から改質燃料を製造する本発明の一実施例である改質反応装置を示すものである。
【0020】
図1において、本発明の実施例である改質反応装置1は、5〜30MPaの圧力条件を保つ圧力容器2と、この圧力容器2の内部に設置されて350〜550℃の温度条件下で重質油3と水(蒸気)4とを混合して水熱反応させ、重質油3から改質燃料となる軽質油成分7を生成する改質器10を備えている。
【0021】
改質反応装置1に流体を給排する配管系統は、水熱反応させる重質油3と水又は蒸気4との混合流体を外部から圧力容器2の内部に配置した改質器10に供給する系統と、改質器10にて重質油3と水又は蒸気4とが水熱反応して生成される軽質油成分7と蒸気4’とを圧力容器2の上方から外部に抜き出す系統と、水熱反応時に伴って生じた重質分を圧力容器2の下方より外部に抜き出す系統と、改質器10及び圧力容器2を所望の温度に加熱するための温度調整用の蒸気を外部から供給する系統とを備えた構造を有している。
【0022】
次に、重質油3と水又は蒸気4を高温高圧条件下で混合し水熱反応させて改質燃料となる軽質油成分7を製造する改質反応装置1について詳細に説明する。
【0023】
改質反応装置1の外形を形成して内部に5〜30MPaの圧力条件を保つ圧力容器2は、円筒形状に形成された圧力容器胴体23と、固定具22によって圧力容器胴体23の上部を覆うように取り付けた着脱可能な上蓋21とから構成されている。
【0024】
圧力容器2の内部には外部から供給された重質油3と水又は蒸気4とを高温高圧条件下で水熱反応させて改質燃料となる軽質油成分7を生成する円筒形状の改質器10が収容されている。
【0025】
圧力容器2の上蓋21には、高温高圧の重質油3と水又は蒸気4との混合流体を圧力容器2の内部に設置した改質器10に供給する入口ノズル5が配設されている。
【0026】
この入口ノズル5から供給される高温高圧の重質油3と水又は蒸気4との混合流体は、上蓋21の下側に取り付けた下降管6を通じて改質器10の内部に供給されるように構成されている。
【0027】
改質器10の内部に供給された混合流体の重質油3は、高温高圧条件下で混合流体の蒸気4との水熱反応によって軟質化して蒸気4にその軽質成分を溶解し、反応液15となって改質器10の内部に溜まる。
【0028】
改質器10の内部に溜まった反応液15は、水熱反応による熱分解によって改質油となるガス状の軽質成分7と、熱分解に付随して生じる重質成分であるタール8とに分離する。
【0029】
改質器10の内部で分離した改質油となるガス状の軽質油成分7は、水熱反応に使用された蒸気4’及び圧力容器2の内部に導いた温度調節用蒸気11と共に、圧力容器2の上蓋21に配設された出口ノズル9を通じて圧力容器2の外側に取り出され、改質油となるガス状の軽質油成分7はガスタービン装置に燃料として供給される。
【0030】
また、改質器10の内部で生成した重質成分であるタール8は、改質器10の底部に配設されたタール抜出管16によって圧力容器2の外側に抜き出される。
【0031】
このタール抜出管16は、圧力容器胴体23の底部に設けられた圧力容器フランジ18の内側に設置されるように、圧力容器2の圧力容器胴体23の底部を貫通して配設されている。
【0032】
下降管6は、重質油3の液滴成分が蒸気4’に同伴して出口ノズル9から圧力容器2の外側に直接流出しないようにするために上蓋21の下方に設けているものであり、蒸気の速度が遅い場合や入口ノズル5と出口ノズル9の距離が十分離れて設置されている場合には必ずしも必要ではない。
【0033】
圧力容器胴体23の底部に配設した蒸気供給ノズル12から圧力容器2の内部に供給された温度調節用蒸気11は、圧力容器胴体23の内壁と改質器10を構成する改質器胴体14の外壁との間に形成された流路151を流れるようになっている。
【0034】
そして、蒸気供給ノズル12から圧力容器2の内部に流入した温度調節用蒸気11によって改質器10の改質器胴体14が所望の温度になるように加熱又は冷却することにより、改質器10の内部に供給された重質油を主成分とする反応液15が水熱反応に適切な350〜550℃の温度となるように調節する。
【0035】
温度調節用蒸気11による改質器10の改質器胴体14の温度調節について具体的に説明すると、圧力容器2の圧力容器胴体23に温度計171を複数箇所設置して改質器10を構成する改質器胴体14の近傍の温度を検出し、制御器172に入力する。
【0036】
制御器172では温度計171で検出した温度に基づき、制御器172に予め設定されている温度設定値174と比較して温度偏差を演算する。
【0037】
そして、この温度偏差がなくなるように配管112に設置した調節弁173の開度を制御して、配管112の上流側に設置された熱交換器64から供給されて蒸気供給ノズル12から圧力容器2の内部に導かれる温度用調節蒸気11の流量を調節し、改質器胴体14が所望の温度になるように加熱又は冷却することにより、改質器10の内部に供給された重質油を主成分とする反応液15が水熱反応に適切な350〜550℃の温度となるように調節する。
【0038】
圧力容器2の内部に導かれた温度調節された温度用調節蒸気11は圧力容器胴体23の内壁と改質器10を構成する改質器胴体14の外壁との間に形成された流路151を流れることによって、薄肉の改質器胴体14は所望の温度に均等に、且つ迅速に加熱又は冷却される。
【0039】
よって、改質器10を構成する改質器胴体14は水熱反応に適した所望の温度に均一に昇温されるため、改質器胴体14での重質油3と水4とが水熱反応する際にコークスが発生することを抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することが防止できる。
【0040】
また、圧力容器2を構成する圧力容器胴体23の外周側に電気ヒータ24を配設して圧力容器2を外側から加熱して、圧力容器胴体23からの漏れ熱を小さくすることも改質器10に溜められた反応液15の水熱反応を促進する上で有効である。
【0041】
蒸気供給ノズル12から圧力容器2の内部に流入した温度調節用蒸気11の温度が飽和温度である場合には改質器10及び圧力容器2を加熱する際に潜熱を失い、温度調節用蒸気11の一部が凝縮して改質器胴体14の外壁及び圧力容器胴体23の内壁に水膜を形成して圧力容器2の底部に流下する。
【0042】
圧力容器2の底部に流下した凝縮水は、圧力容器2の下方となる圧力容器胴体23の底部に設けられた流路を兼ねる圧力容器フランジ18の内部を流下する。
【0043】
圧力容器フランジ18にはドレイン管26が分岐して配設されており、圧力容器フランジ18の内部を流下した凝縮水をドレイン27としてドレイン管26を通じて圧力容器2の外部に流出させる。
【0044】
ここで、圧力容器胴体23の底部付近の拡大図を図6に示す。圧力容器胴体23の底部に設けた圧力容器フランジ18は、タール配管フランジ19の下側に取り付けた固定具25によってタール配管フランジ19に着脱可能に接続されている。
【0045】
改質器10を構成する改質器胴体14の底部には、高温高圧条件下の改質器10の内部で重質油3と水4との水熱反応による改質燃料となる軽質油成分7の生成に伴って生じたタール8を外部に排出させるためにタール抜出管16が配設されており、このタール抜出管16の下端には改質器フランジ17が設けられている。
【0046】
改質器フランジ17を備えたタール抜出管16は、圧力容器2を構成する圧力容器胴体23の底部に設けた圧力容器フランジ18の内側に同心状に配設されている。
【0047】
この改質器フランジ17は、タール配管フランジ19の下側に取り付けた固定具28によってタール配管フランジ19に着脱可能に取り付けられている。
【0048】
圧力容器フランジ18とタール配管フランジ19とは、圧力容器2と同様に5〜30MPa程度の圧力条件に耐える高圧仕様にする必要がある。
【0049】
これに対して改質器フランジ17は、タール抜出管16の内外の差圧が改質器10の改質器胴体14に溜まった反応液15の位置損失に相当する程度の低圧であるので、低圧仕様で十分である。
【0050】
また、圧力容器フランジ18の代わりにグレイロック等の高圧容器に適用可能な継ぎ手を、改質器フランジ17の代わりに低圧条件で使用できる継ぎ手を夫々用いてもよい。
【0051】
ところで、圧力容器2の内部に設置された改質器10では、高温高圧条件下で重質油と水との混合流体を水熱反応させて改質油となるガス状の軽質油成分7を生成しているが、水熱反応による熱分解によって混合流体は軽質成分と重質成分とに分離される反応が進む。
【0052】
重質成分は重合を繰返すことにより粘性の高いタール8へと変化するが、温度が高くて重合が進みすぎると重質成分の一部が固体であるコークスに変化して改質器10を構成する改質器胴体14の内壁に付着して配管等の閉塞を生じさせる可能性がある。
【0053】
そこで、仮にコークスが付着した場合には、付着したコークスを改質器10から取り除くために、改質器10を清掃する清掃プロセス、或いは新しい改質器10に交換する交換プロセスを実施することになる。
【0054】
改質器10を清掃する清掃プロセス、或いは新しい改質器10に交換する交換プロセスを行う手順を説明すると、まず、上蓋21に取り付けた固定具22を緩めて圧力容器2の上蓋21を圧力容器胴体23から取り外し、圧力容器2を開口させる。
【0055】
次に、タール配管フランジ19に取り付けた固定具28を緩めることによって、改質器10を構成する改質器胴体14の底部に設けたタール抜出管16の下端の改質器フランジ17と、タール配管フランジ19との連結を外す。
【0056】
その後で、改質器10を構成する改質器胴体14をクレーンで吊り上げて、開口した圧力容器2の内部から改質器胴体14を外部に取り出す。
【0057】
そして、圧力容器2から外部に取り出された改質器10の改質器胴体14は、高温高圧条件下で重質油と水との水熱反応による熱分解によって内壁に付着したタール成分のコークスを清掃して除去する改質器10の清掃プロセスを行う。
【0058】
この清掃プロセスによって洗浄された改質器胴体14を有する改質器10、或いは交換品として準備した新しい改質器胴体14を有する改質器10は、クレーンによって吊り上げられ、開口した圧力容器2の内部の所定位置に搬入されて設置される。
【0059】
その後、タール配管フランジ19に取り付けた固定具28を締め付けて、改質器10を構成する改質器胴体14の底部に設けたタール抜出管16の下端の改質器フランジ17と、タール配管フランジ19とを連結して、改質器10の改質器胴体14を圧力容器2の内部に固定する。
【0060】
次に、圧力容器2の上蓋21を圧力容器胴体23の上に被せて上蓋21に取り付けた固定具22を締め付け、上蓋21を圧力容器胴体23に取り付けることにより、改質器10の清掃プロセス、或いは交換プロセスを完了する。
【0061】
本実施例によれば、改質器10は圧力境界を形成していないので改質器10を構成する改質器胴体14を高圧力に耐える厚肉の圧力容器として形成する必要がない。よって改質器10を構成する改質器胴体14の肉厚を薄く形成することができ、改質器胴体14を形成する金属部の熱容量が小さくなる。
【0062】
したがって、蒸気供給ノズル12から圧力容器2の内部に導入した温度調節用蒸気11を圧力容器胴体23の内壁と改質器胴体14の外壁との間に形成された流路151を流れることによって改質器10を構成する改質器胴体14を所望の温度に昇温する熱エネルギーを減少させて、均一に且つ迅速に加熱又は冷却が可能となる。
【0063】
よって、外部から圧力容器2の内部に供給ノズル12を通じて温度調節用蒸気11を供給する際に、改質器10を構成する改質器胴体14の金属部に生じる温度偏差を小さくでき、この温度偏差の発生に起因して改質器胴体14の内壁に局所的にコークスが発生して付着する現象を抑制できる。
【0064】
また、改質器10で高温高圧条件下の重質油と水との混合流体を水熱反応させて改質油となるガス状の軽質油成分7を生成するために、改質器10を所定の温度に加熱、又は冷却して温度調節することに要する時間を短くすることができる。
【0065】
また、改質器10を構成する改質器胴体14を薄肉にして金属部の熱容量を小さくしたので、改質器10の内部に溜まる反応液15の温度調整も容易となる。
【0066】
更に、改質器10を構成する改質器胴体14は、圧力容器2を構成する圧力容器胴体23の内部から取り出し可能に構成したことから、仮にコークスが改質器10の改質器胴体14の内壁に付着する現象が生じたとしても、改質器10を圧力容器2から外部に容易に取り出して清掃し、清掃した後の改質器10を再度、圧力容器2の内部に組み込むことにより、改質反応装置1の運転を再開することができる。
【0067】
また、改質器10となる改質器胴体14の予備品を予め用意しておけば、コークスが改質器10の改質器胴体14の内壁に付着した場合でも改質器胴体14の清掃作業を待つことなく、迅速に予備品の改質器胴体14を備えた改質器10への交換が可能となり、よって改質反応装置1の運転を早期に再開することができる。
【0068】
以上の説明から明らかなごとく、本発明の実施例によれば、改質器での重質油と水との水熱反応の際にコークスが発生することを抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置が実現できる。
【0069】
また、本発明の実施例によれば、更に、仮にコークスが発生して改質器の壁面に付着した場合でも付着したコークスを容易に清掃し得る重質油の改質反応容器が実現できる。
【実施例2】
【0070】
次に、本発明の他の実施例である改質反応装置について図2を参照して説明する。
【0071】
図2において、本実施例の改質反応装置1は図1に示した実施例の改質反応装置1と基本構成は共通であるので、共通の構成についてはその説明を省略し、相違する部分について説明する。
【0072】
本実施例では圧力容器2と改質器10を有する改質反応装置1において、改質器10を構成する改質器胴体14と圧力容器2を構成する圧力容器胴体23との間に円筒形状のシュラウド30を設け、このシュラウド30を改質器10の改質器胴体14の外周側に同心状の一体構造物となるように取り付けて両者の壁面の間で温度調節用蒸気11が流れる内側流路を形成する構造となっている。
【0073】
圧力容器2の圧力容器胴体23の内部に円筒形状のシュラウド30を改質器10の改質器胴体14の外周側に備えた構成の本実施例の改質反応装置1では、圧力容器胴体23の底部に配設した蒸気供給ノズル12から圧力容器2の内部に供給された温度調節用蒸気11が、圧力容器胴体23の内壁と改質器10を構成する改質器胴体14の外周側に一体に取り付けたシュラウド30の外壁との間に形成された外側の流路153、及びシュラウド30の内壁と改質器胴体14の外壁との間に形成された内側の流路152を夫々流れることになる。
【0074】
そして、蒸気供給ノズル12から流入してシュラウド30の内壁と改質器胴体14の外壁との間に形成された内側の流路152を流れる温度調節用蒸気11によって改質器10の改質器胴体14が所望の温度になるように加熱又は冷却されることにより、改質器10の内部に供給された重質油を主成分とする反応液15が水熱反応に適切な350〜550℃の温度となるように調節される。
【0075】
本実施例の構造を採用することによって、熱容量の大きな圧力容器2の熱容量の影響をあまり受けずに、シュラウド30の内壁と改質器胴体14の外壁との間の内側流路を流れる温度調節用蒸気11によって重質油と水との混合流体を水熱反応させる改質器10の改質器胴体14を所望の温度に加熱又は冷却できる。
【0076】
よって、改質器10を構成する改質器胴体14に溜まった重質油を主成分とする反応液15に温度変化が生じても短時間に所定の温度に調節できる。
【0077】
尚、図2には示していないが、外側流路と内側流路を夫々流れる温度調節用蒸気11の流量配分は、これらの流路に抵抗体を設けて調整することができる。
【0078】
よって、外部から圧力容器2の内部に供給ノズル12を通じて温度調節用蒸気11を供給する際に、改質器10を構成する改質器胴体14の金属部に生じる温度偏差を小さくでき、この温度偏差の発生に起因して改質器胴体14の内壁に局所的にコークスが発生して付着する現象を抑制できる。
【0079】
また、改質器10で高温高圧条件下の重質油と水との混合流体を水熱反応させて改質油となるガス状の軽質油成分7を生成するために、改質器10を所定の温度に加熱、又は冷却して温度調節することに要する時間を短くすることができる。
【0080】
また、改質器10を構成する改質器胴体14を薄肉にして金属部の熱容量を小さくしたので、改質器10の内部に溜まる反応液15の温度調整も容易となる。
【0081】
更に、改質器10を構成する改質器胴体14は、圧力容器2を構成する圧力容器胴体23の内部から取り出し可能に構成したことから、仮にコークスが改質器10の改質器胴体14の内壁に付着する現象が生じたとしても、改質器10を圧力容器2から外部に容易に取り出して清掃し、清掃した後の改質器10を再度、圧力容器2の内部に組み込むことにより、改質反応装置1の運転を再開することができる。
【0082】
以上の説明から明らかなごとく、本発明の実施例によれば、改質器での重質油と水との水熱反応の際にコークスが発生することを抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置が実現できる。
【実施例3】
【0083】
次に、本発明の更に他の実施例である改質反応装置について図3を参照して説明する。
【0084】
図3において、本実施例の改質反応装置1は図1に示した実施例の改質反応装置1と基本構成は共通であるので、共通の構成についてはその説明を省略し、相違する部分について説明する。
【0085】
本実施例では圧力容器2と改質器10を有する改質反応装置1において、改質器10を構成する改質器胴体14の外周面に高さ方向に沿ったフィン32を複数個設け、圧力容器2を構成する圧力容器胴体23の内壁と改質器10を構成するフィン32を設けた改質器胴体14の外壁との間に温度調節用蒸気11が流れる流路154を形成する構造となっている。
【0086】
フィン32は熱抵抗を小さくするために溶接等により改質器胴体14の外周の壁面に取り付けられて温度調節用蒸気11と改質器胴体14の熱抵抗を小さくすると共に、フィン32を溶接したことによって改質器胴体14の強度が増強されるため、改質器胴体14の肉厚を更に薄くすることができる。
【0087】
この結果、改質器10を構成する改質器胴体14を薄肉に形成できるため、改質器胴体14に溜まる反応液15と温度調節用蒸気11との熱抵抗を更に小さくすることが可能となる。
【0088】
よって、外部から圧力容器2の内部に供給ノズル12を通じて温度調節用蒸気11を供給する際に、改質器10を構成する改質器胴体14の金属部に生じる温度偏差を小さくでき、この温度偏差の発生に起因して改質器胴体14の内壁に局所的にコークスが発生して付着する現象を抑制できる。
【0089】
また、改質器10で高温高圧条件下の重質油と水との混合流体を水熱反応させて改質油となるガス状の軽質油成分7を生成するために、改質器10を所定の温度に加熱、又は冷却して温度調節することに要する時間を短くすることができる。
【0090】
また、改質器10を構成する改質器胴体14を薄肉にして金属部の熱容量を小さくしたので、改質器10の内部に溜まる反応液15の温度調整も容易となる。
【0091】
更に、改質器10を構成する改質器胴体14は、圧力容器2を構成する圧力容器胴体23の内部から取り出し可能に構成したことから、仮にコークスが改質器10の改質器胴体14の内壁に付着する現象が生じたとしても、改質器10を圧力容器2から外部に容易に取り出して清掃し、清掃した後の改質器10を再度、圧力容器2の内部に組み込むことにより、改質反応装置1の運転を再開することができる。
【0092】
以上の説明から明らかなごとく、本発明の実施例によれば、改質器での重質油と水との水熱反応の際にコークスが発生することを抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置が実現できる。
【実施例4】
【0093】
次に、本発明の実施例である改質反応装置を備えたガスタービンシステムについて図4を参照して説明する。
【0094】
図4に示した本実施例のガスタービンシステムに備えられた改質反応装置1は、前述した実施例1乃至実施例3で説明した図1乃至図3に示す圧力容器2と改質器10を有する各実施例の改質反応装置1と同一構成のものを採用しているので、詳細な説明は省略する。
【0095】
図4において、重質油タンク130に貯蔵されている重質油3は配管101に設けた重質油ポンプ50により水熱反応に適切な5〜30MPaまで昇圧され、配管101を通じてこの配管101に配設された重油予熱器51に供給される。
【0096】
重油予熱器51に供給された重質油3は、この重油予熱器51にて重質油単体でコークスを発生させない400℃以下、望ましくは350℃以下の温度まで昇温される。
【0097】
重質油予熱器51で昇温された重質油3は重質油予熱器51の下流の配管101にある油水混合器52に供給される。
【0098】
この油水混合器52では排熱回収ボイラ60から配管106を通じて供給された高温高圧の蒸気と、重質油予熱器51で昇温された高温高圧の重質油3とを混合して重質油3と蒸気4との混合流体を生成し、配管103を通じて下流側の重質油・蒸気予熱器55に流下させる。
【0099】
重質油・蒸気予熱器55では、改質反応装置1の圧力容器2に入る前に重質油3と蒸気4との混合流体を水熱反応に最適な350〜450℃の所定の温度にまで昇温させる。
【0100】
重質油予熱器51及び重質油・蒸気予熱器55の加熱にはこれらの機器に設置した図示していない電気ヒータ、又は別途配設した配管系統を通じて供給する高温流体の加熱によって行うことができる。
【0101】
重質油・蒸気予熱器55で加熱された混合流体の重質油3と水4とは配管103を通じて改質反応装置1に供給される。
【0102】
改質反応装置1の外形を形成する圧力容器2は、圧力容器胴体23と固定具22によって圧力容器胴体23の上部を覆うように取り付けた着脱可能な上蓋21とから構成されている。
【0103】
配管103を通じて供給された重質油3と水(蒸気)4とを圧力容器2の上蓋21に設置した入口ノズル5から圧力容器胴体23の内部に導き、高温高圧条件下で水熱反応させて改質燃料となる軽質油成分7を生成する円筒形状の改質器10が収容されている。
【0104】
改質器10は圧力容器2の圧力容器胴体23から取り外して外部に搬出可能なように着脱自在に設けられており、この改質器1にて重質油を主成分とする反応液15を所定の時間滞留させて水熱反応させる。
【0105】
改質器10において生成される改質燃料となるガス状の軽質油成分7は、蒸気4と共に圧力容器2の上蓋21に設置した出口ノズル9を通じて圧力容器胴体23から外部に導出され、配管104を通じて減圧器56に供給される。
【0106】
減圧器56に供給されたガス状の軽質油成分7は、ガスタービン装置80を構成する燃焼器81での燃焼に適切な圧力まで減圧して燃焼器81に燃料として供給される。
【0107】
燃焼器81では圧縮器82によって圧縮された空気も供給されており、燃料の軽質油成分7はこの圧縮された空気と共に燃焼器81にて燃焼される。
【0108】
燃焼器81で軽質油成分7を燃焼して発生した燃焼ガスはタービン83を駆動し、このタービン83の駆動によって発電機84を回転させて発電し、電力を得ている。
【0109】
一方、圧力容器胴体23に設置された改質器10の内部での水熱反応による改質油となる軽質油成分7の生成に伴って生じた重質成分のタール8は、改質器10の底部に配設されたタール抜出管16によって圧力容器2の外側に抜き出して配管107を通じてタールタンク65に貯蔵する。
【0110】
ガスタービン装置80のタービン83から排出された燃焼排ガス59は高温であるので、燃焼排ガス59を熱源とする排熱回収ボイラ60を燃焼排ガス59の排出系統に設置して、排熱回収ボイラ60にて燃焼排ガス59の熱を回収して高温の蒸気を発生させる。
【0111】
排熱回収ボイラ60では、水タンク140に貯蔵された水4を水ポンプ61で昇圧して配管105を通じて排熱回収ボイラ60に供給する。
【0112】
排熱回収ボイラ60に供給された水の一部は排熱回収ボイラ60の高圧ポンプ62によって水熱反応に適切な5〜30MPaまで昇圧され、排熱回収ボイラ60における燃焼排ガス59との熱交換によって400〜550℃の温度に昇温した後に、配管106を通じて油水混合器52に高温高圧の水又は蒸気として供給され、重質油予熱器51を通じて供給される高温高圧の重質油3と混合される。
【0113】
排熱回収ボイラ60から高温高圧の蒸気を導く配管106の途中から配管112が分岐しており、この分岐した配管112及び配管112に設置した熱交換器64を通じて改質器10に溜まる反応液15の温度用調節蒸気11となる蒸気を圧力容器2の圧力容器胴体23の底部に設けた蒸気供給ノズル12から流入させる。
【0114】
温度調節用蒸気11を供給する配管112に設けた熱交換器64では、温度用調節蒸気11に対して加熱、又は除熱を行うことによって、圧力容器胴体23の内部の改質器10に供給する温度調節蒸気11の温度を調整する。
【0115】
尚、熱交換器64における温度調節は図示していない電気ヒータ、又は別途配設した配管系統を通じて供給する高温流体の加熱によって行うことができる。
【0116】
本実施例の改質反応装置を備えたガスタービンシステムにおいては、ガスタービン装置80から排出される燃焼排ガス59の排熱を有効利用して排熱回収ボイラ60にて蒸気を発生させ、発生蒸気の一部を改質器10内の反応液15の温度調節用蒸気11として用いているため、プラントとして高い熱効率を実現することができる。
【0117】
尚、重油予熱器51で加熱された重質油3と排熱回収ボイラ60から配管106を通じて供給される加熱された水又は蒸気4によって改質反応装置1の水熱反応に適した350〜550℃の昇温が実現できるのであれば、重質油・水予熱器55の設置は必ずしも必要ではない。
【0118】
本実施例では排熱回収ボイラ60から蒸気を導く配管106から温度調節用蒸気11を導く配管112を分岐しているが、排熱回収ボイラ60内に配管106と配管112に夫々蒸気を供給する熱交換器を別々に設置することもできる。
本発明の実施例によれば、改質器での重質油と水との水熱反応の際にコークスが発生することを抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置を有するプラント効率の高いガスタービンシステムが実現できる。
【実施例5】
【0119】
次に、本発明の他の実施例である改質反応装置を備えたガスタービンシステムについて図5を参照して説明する。
【0120】
図5において、本実施例の改質反応装置1は図1に示した実施例の改質反応装置1と基本構成は共通であり、また改質反応装置を備えたガスタービンシステムは図4に示した実施例である改質反応装置を備えたガスタービンシステムと基本構成は共通であるので、これらの共通の各構成についてはその説明を省略し、相違する部分について説明する。
【0121】
本実施例の改質反応装置を備えたガスタービンシステムは、油水混合器52にて高温高圧の重質油3と混合する高温高圧の蒸気を生成する蒸気源として、ガスタービン装置80から排出する燃焼排ガス59の熱を回収して高温の蒸気を発生させる排熱回収ボイラ60を具備していない構成である。
【0122】
図5に示す改質反応容器を備えたガスタービンシステムでは、水タンク140に貯蔵された水4を水ポンプ61で水熱反応に適切な5〜30MPaまで昇圧して配管102を通じて水予熱器66に供給する。
【0123】
水予熱器66では400〜550℃の温度に昇温した後に、配管109を通じて油水混合器52に高温高圧の水又は蒸気として供給され、重質油予熱器51を通じて供給される高温高圧の重質油3と混合される。
【0124】
そして油水混合器52で混合された高温高圧の重質油3及び高温高圧の水又は蒸気4は、改質反応装置1の圧力容器2に入る前に重質油・蒸気予熱器55によって水熱反応に最適な350から450℃までの所定の温度まで昇温させて、配管103を通じて改質反応装置1に供給される。
【0125】
改質反応装置1の外形を形成する圧力容器2は、圧力容器胴体23と固定具22によって圧力容器胴体23の上部を覆うように取り付けた着脱可能な上蓋21とから構成されている。
【0126】
配管103を通じて供給された重質油3と水(蒸気)4とを圧力容器2の上蓋21に設置した入口ノズル5から圧力容器胴体23の内部に導き、高温高圧条件下で水熱反応させて改質燃料となる軽質油成分7を生成する円筒形状の改質器10が収容されている。
【0127】
改質器10は圧力容器2の圧力容器胴体23から取り外して外部に搬出可能なように着脱自在に設けられており、この改質器1にて重質油を主成分とする反応液15を所定の時間滞留させて水熱反応させる。
【0128】
改質器10において生成される改質燃料となるガス状の軽質油成分7は、蒸気4と共に圧力容器2の上蓋21に設置した出口ノズル9を通じて圧力容器胴体23から外部に導出され、配管104を通じて減圧器56に供給される。
【0129】
減圧器56に供給されたガス状の軽質油成分7は、ガスタービン装置80を構成する燃焼器81での燃焼に適切な圧力まで減圧して燃焼器81に燃料として供給される。
【0130】
燃焼器81では圧縮器82によって圧縮された空気も供給されており、燃料の軽質油成分7はこの圧縮された空気と共に燃焼器81にて燃焼される。
【0131】
燃焼器81で軽質油成分7を燃焼して発生した燃焼ガスはタービン83を駆動し、このタービン83の駆動によって発電機84を回転させて発電し、電力を得ている。
【0132】
一方、圧力容器胴体23に設置された改質器10の内部での水熱反応による改質油となる軽質油成分7の生成に伴って生じた重質成分のタール8は、改質器10の底部に配設されたタール抜出管16によって圧力容器2の外側に抜き出して配管107を通じてタールタンク65に貯蔵する。
【0133】
タールタンク65に貯蔵されたタール8はタールポンプ67にて加圧して配管108を通じてタール焚き燃焼炉68に供給し、タール焚き燃焼炉68の燃料として利用される。
【0134】
タール焚き燃焼炉68ではブロア69から供給する空気70によってタール8を燃焼させて高温ガス71を発生させる。
【0135】
タール焚き燃焼炉68で発生した高温ガス71は、配管111を通じて重質油予熱器51に、配管110を通じて水予熱器66に、熱源として夫々供給されて利用された後に系統外に放出される。
【0136】
また、重質油・水予熱器55の加熱源としては図示していない電気ヒータを設置するか、又はタール焚き燃焼炉68の高温ガス71を配管で導いて用いることができる。
【0137】
水予熱器66の下流側の配管109の途中から分岐した配管112が設置されており、この配管112には熱交換器64が設けられている。
【0138】
そして、この熱交換器64を通じて改質器10に溜まる反応液15の温度用調節蒸気11となる蒸気を圧力容器2の圧力容器胴体23の底部に設けた蒸気供給ノズル12から流入させている。
【0139】
温度調節用蒸気11を供給する配管112に設けた熱交換器64では、温度用調節蒸気11に対して加熱、又は除熱を行うことによって、圧力容器胴体23の内部の改質器10に供給する温度調節蒸気11の温度を調整する。
【0140】
本実施例では改質反応装置1の改質器10から外部に排出されるタールを熱源を発生させる燃料の一部として再利用しているので、プラントとして高い熱効率を実現することができる。
本発明の実施例によれば、改質器での重質油と水との水熱反応の際にコークスが発生することを抑制して改質器から重質油成分が外部に流出することを防止すると共に、改質器を所望の温度に加熱するのに必要な熱エネルギーの低減と迅速な昇温を可能にした重質油の改質反応装置を有するプラント効率の高いガスタービンシステムが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は高温・高圧の条件下で重質油と水を混合して水熱反応させて重質油を分解して軽質化した改質油を製造する重質油の改質反応容器、並びに改質油を燃料とする改質反応容器を備えたガスタービンシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施例である重質油を水熱反応させて改質燃料を製造する改質反応装置を示す断面図。
【図2】本発明の他の実施例である重質油を水熱反応させて改質燃料を製造する改質反応装置を示す断面図。
【図3】本発明の更に他の実施例である重質油を水熱反応させて改質燃料を製造する改質反応装置を示す断面図。
【図4】本発明の別の実施例である重質油から改質燃料を製造する改質反応装置を備えたガスタービンシステムを示すプラント系統図。
【図5】本発明の更に別の実施例である重質油から改質燃料を製造する改質反応装置を備えたガスタービンシステムを示すプラント系統図。
【図6】図1に示す改質反応装置の圧力容器胴体の底部付近を示す部分拡大図。
【符号の説明】
【0143】
1:改質反応装置、2:圧力容器、3:重質油、4:水、4’:蒸気、5:入口ノズル、6:下降管、7:軽質油成分、8:タール、9:出口ノズル、10:改質器、16:タール抜出管、11:温度調節用蒸気、12:蒸気供給ノズル、22:固定具、23:圧力容器胴体、24:電気ヒータ、14:改質器胴体、15:反応液、26:ドレイン管、27:ドレイン、17:改質器フランジ、18:圧力容器フランジ、19:タール配管フランジ、21:上蓋、25、28:固定具、30:シュラウド、32:フィン、50:重質油ポンプ、51:重質油予熱器、52:油水混合器、55:重質油・蒸気予熱器、56:減圧器、80:ガスタービン装置、81:燃焼器、83:タービン、84:発電機、59:燃焼排ガス、60:排熱回収ボイラ、61:水ポンプ、62:高圧水ポンプ、63:温度調節用蒸気供給ライン、64:熱交換器、65:タールタンク、66:水予熱器、67:タールポンプ、68:タール燃焼炉、69:ブロア、70:空気、71:燃焼ガス、101〜112:配管、130:重質油タンク、140:水タンク、151〜154:流路、171:温度計、172:制御器、173:調節弁、174:温度設定値。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】590000455
【氏名又は名称】財団法人石油産業活性化センター
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人


【公開番号】 特開2008−31285(P2008−31285A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205884(P2006−205884)