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【発明の名称】 水素化脱硫方法
【発明者】 【氏名】壱岐 英

【氏名】小山 成

【氏名】廣瀬 正典

【要約】 【課題】硫黄分10質量ppm以下という極めて高い脱硫深度を達成するとともに、酸化安定性に優れた水素化脱硫方法を提供する。

【構成】硫黄分を含む石油系炭化水素油を水素化脱硫する方法において、水素化脱硫工程が以下の要件を満たしていることを特徴とする石油系炭化水素油の水素化脱硫方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄分を含む石油系炭化水素油を水素化脱硫する方法において、水素化脱硫工程が以下の要件を満たしていることを特徴とする石油系炭化水素油の水素化脱硫方法。
(a)石油系炭化水素油を構成する基材のうち、300℃以上の熱履歴を受けた各基材の熱履歴温度T(℃)とその基材の原料油中の構成割合aによって求められる式1で表される熱履歴指数Hが650以下であること
H= Σ{a×(T−300)3/2} (式1)
(b)水素化脱硫工程により得られる沸点30℃〜150℃の範囲の炭化水素留分の生成量の割合が、沸点30℃より重質な炭化水素留分の全生成量に対して4.0質量%以下であること
(c)水素化脱硫工程における反応温度が390℃以下であること
【請求項2】
水素化脱硫後の生成油を115℃に保持し、16時間酸素ガスを吹き込んだ後の酸価増加量が0.25mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の石油系炭化水素油の水素化脱硫方法。
【請求項3】
石油系炭化水素油の沸点が130〜400℃の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の石油系炭化水素油の水素化脱硫方法。
【請求項4】
水素化脱硫工程によって得られる生成油の硫黄分が10質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の石油系炭化水素油の水素化脱硫方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は酸化安定性に優れた燃料製造のための、石油系炭化水素油の水素化脱硫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル車から排出されるNOxや粒子状物質(PM)を低減することは社会的な要請事項であり、ディーゼル自動車用燃料油として使用される軽油には、粒子状物質の一成分であるサルフェートを低減し、かつ排出ガスの後処理技術における触媒被毒を抑制し、後処理効率を向上させるために、燃料油中の硫黄分を低減させる(低硫黄化する)ことが求められている。軽油の低硫黄化の手段としては、軽油留分を水素化脱硫することが一般的に知られているが、水素化脱硫においては、軽油留分中の硫黄分のみならず、軽油留分中に元来含有している抗酸化物質(アミン系化合物、フェノール系化合物等)も水素化処理されるため、水素化脱硫の進んだ低硫黄軽油では、酸化安定性が低下し、貯蔵時等に過酸化物、スラッジ等が生成しやすくなることが知られている。
また、近年重質油から軽質油を製造する技術として分解処理技術の普及が進んでおり、これらの装置から製造される分解系軽油基材は軽油製造に使用されるケースが少なくない。重質油分解処理技術には、水素化分解、流動接触分解、熱分解等が挙げられるが、いずれの反応においても、高温の条件下で重質炭化水素鎖を解裂し、軽質油を得る。この際に副生するアルキルラジカルが自動酸化反応を促進し、油の安定性を低下させることが知られている。軽油の酸化安定性は、自動車実用性能の中でも重要な性能の一つであり、低硫黄化や分解系基材の使用による軽油の安定性低下は大きな懸念材料となっている。
【非特許文献1】「出光技報」,1996年,39巻,2号
【非特許文献2】「ワールド リファイニング(World Refining)」,(米国),2000年4月,p.40
【非特許文献3】「オートモーティブ フューエル リファレンス ブック セカンドエディション(Automotive Fuels Reference Book 2nd Edition)」,(米国),1995年,p.504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、硫黄分10質量ppm以下という極めて高い脱硫深度を達成するとともに、酸化安定性に優れた水素化脱硫方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明者らは、高い脱硫レベルを達成するためには、高い脱硫深度を達成しうる水素化脱硫工程において、水素化脱硫条件とともに原料油の各基材構成比とそれぞれの熱履歴が生成油の酸化安定性に大きな影響を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、硫黄分を含む石油系炭化水素油を水素化脱硫する方法において、水素化脱硫工程が以下の要件を満たしていることを特徴とする石油系炭化水素油の水素化脱硫方法に関するものである。
(a)石油系炭化水素油を構成する基材のうち、300℃以上の熱履歴を受けた各基材の熱履歴温度T(℃)とその基材の原料油中の構成割合aによって求められる式1で表される熱履歴指数Hが650以下であること
H= Σ{a×(T−300)3/2} (式1)
(b)水素化脱硫工程により得られる沸点30℃〜150℃の範囲の炭化水素留分の生成量の割合が、沸点30℃より重質な炭化水素留分の全生成量に対して4.0質量%以下であること
(c)水素化脱硫工程における反応温度が390℃以下であること
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳述する。
本発明において、原料油としては、硫黄分を含む石油系炭化水素油が用いられる。
本発明における石油系炭化水素油を構成する基材としては、常圧蒸留によって得られる灯油留分および/または軽油留分のほかに、熱分解、水素化分解あるいは水素化脱硫によって生成する灯油留分および/または軽油留分が挙げられる。これらは、通常沸点が130〜400℃の範囲にあることが好ましく、140〜380℃の範囲にあることがより好ましい。なお、ここでいう沸点は、JIS K 2254「蒸留試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
【0007】
原料油を構成するこれらの基材について、300℃以上の熱履歴を受けた基材が生成油の酸化安定性に影響を及ぼすことが本発明者らにより見出された。すなわち、これらの各基材が受けた熱履歴温度T(℃)とその基材の原料油中の構成割合aから求められる下記式1で示される熱履歴指数Hが650以下である場合に、生成油の酸化安定性が良好となる。
H= Σ{a×(T−300)3/2} (式1)
【0008】
本発明において熱履歴とは石油系炭化水素油が石油精製工程で受ける熱履歴であり、熱履歴温度とは蒸留、熱分解、接触分解、水素化分解、水素化脱硫などの工程で受けた中で最も高い温度を指す。一般的に、蒸留や熱分解においては、蒸留塔あるいは熱分解塔に供給される炭化水素油を加熱するための加熱炉出口での油温であり、水素化分解や水素化脱硫においては、反応塔に供給される炭化水素油を加熱するための加熱炉出口での油温または反応塔内の最高温度である。
本発明における原料油中の基材の構成割合aとは、原料油全量を1としたときの容量に対する割合である。
具体的には、基材1の熱履歴温度をT、原料油中の構成割合をaとし、基材2の熱履歴温度をT、原料油中の構成割合をaとした場合、熱履歴指数Hは式2で示される。
H= a×(T―300)3/2 + a×(T―300)3/2 (式2)
【0009】
本発明において、熱履歴指数Hは600以下が好ましく、より好ましくは550以下である。熱履歴指数Hが650を超える場合には、生成油の酸化安定性は悪化する恐れがある。酸化安定性が悪化した場合には、燃料タンク等で長期貯蔵された場合や、ディーゼルエンジン内での熱負荷の高い部分において、過酸化物やスラッジが生成し、燃焼性に悪影響を及ぼす可能性がある。熱履歴指数Hが650を超える場合、水素化脱硫を経由して得られる生成油中の不安定物質が急激に増加する傾向にあるものと推測される。詳細は不明であるが、不安定物質としては不飽和結合を有する有機化合物や部分水素化された多環芳香族類が考えられ、これらの物質は高温下であるほど生成しやすい傾向にあると思われ、これらの化合物が水素化脱硫生成油の酸化安定性の悪化を招いている可能性がある。
【0010】
本発明において、水素化脱硫工程により得られる沸点30℃〜150℃の範囲の炭化水素留分の生成量の割合が、沸点30℃より重質な炭化水素留分の全生成量に対して4.0質量%以下であることが必要であり、好ましくは3.5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記沸点30℃〜150℃の軽質炭化水素留分の生成量の割合が4重量%を超える場合、分解反応に伴い酸価上昇につながる化合物生成が促進される恐れがある。
【0011】
本発明における水素化脱硫条件として、反応温度は390℃以下であることが必要である。390℃より高い場合には、炭化水素油の分解反応の促進や生成油色相の悪化を招くため好ましくない。下限は特に限定されないが250℃以上であることが好ましい。反応温度が250℃より低い場合には、充分な脱硫反応速度を得ることができない恐れがあり好ましくない。
【0012】
本発明における水素化脱硫条件として、LHSVは0.35〜3.5h−1が好ましく、より好ましくは0.4〜3.0h−1、さらに好ましくは0.4〜2.0h−1である。LHSVが0.35h−1より低い場合には、触媒と炭化水素油との接触時間が長くなり、酸化安定性悪化を招く成分の生成を促進する恐れがある。また、LHSVが3.5h−1より大きい場合には、触媒と炭化水素油との接触時間が短くなるため脱硫反応の進行が充分でなく、脱硫活性を十分発揮できない恐れがある。
【0013】
水素分圧は2〜7MPaが好ましく、より好ましくは3〜7MPa、さらに好ましくは4〜6MPaである。水素分圧が2MPaより低い場合には、脱硫活性が十分でなく、7MPaより大きい場合には、炭化水素油の分解反応が促進され、酸化安定性の悪化を招く恐れがあり好ましくない。
【0014】
水素/油比は50〜500NL/Lが好ましい。水素/油比は原料油流量に対する水素ガス流量の比を示すものであり、多いほど系内への水素供給が充分になるだけでなく、硫化水素などの触媒活性点を被毒する物質をすばやく系外に除去できるため、反応性が向上する傾向がある。しかしながら500NL/Lを超える場合には、反応性は向上するが、効果としては徐々に小さくなる。また圧縮機など大きな設備投資が必要となる恐れがある。一方、50NL/Lより少ない場合には、脱硫反応性が低下してしまう恐れがある。脱硫反応性が低下した場合、反応温度を上げて反応性を補償することになり、分解反応を抑制する観点からは好ましくない。
【0015】
水素化脱硫工程における反応塔の反応形式は特に限定されないが、通常は、固定床、移動床等のプロセスから選択できるが、固定床が好ましい。また、原料油の流通法については、ダウンフロー、アップフローのいずれの形式も採用することができる。
【0016】
本発明において、生成油の酸価については、生成油を115℃に保ち、16時間酸素ガスを吹き込んだ後の酸価増加量が0.25mgKOH/g以下であることが好ましく、0.15mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価は、試料1g中の酸性成分量を表す指標であり、酸価増加量が0.25mgKOH/gを超える場合には、生成油の貯蔵安定性が悪化する傾向にある。なお、本明細書における酸価は、JIS K 2276「石油製品−航空燃料油試験方法」にある酸価試験方法に記載の方法に準拠して測定した酸価を意味する。
さらに、前記において酸素ガスを吹き込んだ生成油では、酸価増加量が大きいほど、大幅な不溶解分量の増加が確認された。不溶解分の高い生成油を燃料油基材として使用する場合、長期貯蔵時や、ディーゼルエンジン内での熱負荷の高い部分に接触した際に過酸化物、スラッジの生成の可能性が高く、燃焼への悪影響が懸念される。なお、ここで記載する全不溶解分は、酸化安定性試験ASTM D2274−94に準拠して測定されるものである。
【0017】
本発明では、好ましくはこのような石油系炭化水素油を本発明の方法によって水素化脱硫することにより、硫黄分濃度10質量ppm以下に低減することができる。好ましくは硫黄分濃度5質量ppm以下に低減することができる。硫黄分は前述のごとく少ないほどディーゼルエンジン排ガス処理において極めて有利であり、排ガス処理装置の性能は飛躍的に向上すると言われている。硫黄分濃度が10質量ppmを超えるとこのような排ガス浄化における燃料油硫黄分の低減効果が充分発揮できない恐れがある。
【0018】
灯油留分は、寒冷地における流動性などディーゼル燃料としての性状を調整するため、軽油留分に対して所定量混合して使用する。このため、本発明では、好ましくはこのような灯油留分を本発明の触媒を用いて水素化脱硫して硫黄分濃度10質量ppm以下に低減することにより、ディーゼルエンジン排ガス処理において前述の硫黄低減効果を発揮することができる。さらにはストーブなどの暖房器具燃料として用いる場合には、硫黄分濃度10質量ppm以下の灯油とすることにより有害な硫黄酸化物等の発生を著しく低減することが期待できる。
なお、本明細書における硫黄分含有量とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」またはASTM−D5453に記載の方法に準拠して測定される石油系炭化水素油全量を基準とした硫黄分の質量含有量を意味する。
【0019】
また、本発明における水素化脱硫工程によって得られる生成油のセーボルトカラーは20以上であることが好ましい。セーボルトカラーが20に満たない場合、製品が着色していることにより、その商品価値が低下してしまう懸念がある。
【0020】
本発明において、水素化脱硫工程に用いる触媒は、アルミナを主成分として含有する無機多孔質物質を担体としていることが好ましい。アルミナの含有量としては担体に対して80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。アルミナは特に沸点130〜400℃を有する炭化水素分子が拡散するのに好適な細孔容積を与えるのに適した多孔質担体であり、アルミナの含有量が80質量%より少ない場合には、充分な担体細孔容積を得ることが難しくなる。
【0021】
担体は、アルミナ以外の成分として、さらにSi、Ti、Zr、Mg、Ca、PおよびBから選ばれる少なくとも1種類を、酸化物換算で担体に対して1〜20質量%の範囲で含有することができる。これらの成分の含有量は酸化物換算で担体に対して1.2〜15質量%がより好ましく、1.5〜10質量%がさらに好ましい。これらの元素としては、Si、Ti、Zr、P、Bが好ましく、Si、Ti、Bがより好ましく、特にSiが好ましい。また、これらの元素は組み合わせて使用することもできる。これらの元素を組み合わせて使用する場合には、Si−Ti、Si−Zr、Si−B、Ti−B、Si−Pの組み合わせが好ましく、Si−Ti、Si−B、Ti−B、Si−Pがより好ましく、Si−Ti、Si−Bがさらに好ましい。これらの元素による効果発現の機構は解明できていないが、アルミナと複合的な酸化物状態を形成し、担持した活性金属の効果と相乗的に働き、硫黄化合物や窒素化合物の炭素原子と窒素原子間あるいは硫黄原子間結合の開裂を促進するものと思われ、脱硫活性と窒素耐性の向上が見られる。これらの元素の含有量が酸化物換算で1質量%より少ない場合には、脱硫活性が低下してしまい、20質量%を超える場合には担体の酸性質が強くなり、分解反応が促進され、生成油の酸化安定性は悪化する懸念がある。
【0022】
担体の主成分であるアルミナの調製法は特に限定されない。例えば、アルミニウム塩とアルミン酸塩を中和または加水分解する方法、あるいはアルミニウムアマルガム、アルミニウムアルコレートを加水分解する方法などから得られるアルミナ中間体を経由することにより得ることができる。また、市販のアルミナ中間体、ベーマイトパウダーを使用しても良い。
【0023】
本発明において、担体に担持させる活性金属としては、周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属と周期律表第6A族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属が用いられる。第8族金属としてはCo、Niが挙げられ、第6A族金属としてはMo、Wが挙げられる。第8族金属と第6A族金属の組み合わせとしては、Co−Mo、Ni−Mo、Co−W、Ni−W、Co−Ni−Mo、Co−Ni−Wが好ましく、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−Co−Moの組み合わせがさらに好ましい。第6A族金属の含有量は酸化物換算で触媒重量の20〜30質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは21〜26質量%の範囲であり、さらに好ましくは22〜25質量%の範囲である。20質量%より少ない場合には、活性点が少なく、充分な脱硫活性を発揮できない。30質量%より多い場合には、金属の凝集が生じ、かえって脱硫活性が低下する恐れがある。
なお、活性金属の組み合わせの異なる複数の触媒を組み合わせて使用することもできる。例えば、Co−Moを含有する触媒の後段にNi−Moを含有する触媒を充填してもよい。この場合、最終段に用いる触媒は、活性金属としてNiを含んでいることが好ましい。
【0024】
活性金属成分である第8族金属および第6A族金属を担体に担持させる方法は特に限定されず、通常の水素化脱硫触媒を製造する際に適用される公知の方法を用いることができる。例えば、活性金属の塩を含む溶液を担体に含浸する方法が好ましく採用される。また平衡吸着法、Pore−filling法、Incipient−wetness法なども好ましく採用される。例えば、Pore−filling法は、担体の細孔容積を予め測定しておき、これと同じ容積の金属塩溶液を含浸する方法であるが、含浸方法は特に限定されるものではなく、金属担持量や担体の物性に応じて適当な方法で含浸することができる。
【0025】
本発明で用いる水素化脱硫触媒は、窒素によるBET法で求められる触媒の平均細孔半径が30〜45Åの範囲であることが好ましく、より好ましくは32〜40Åの範囲である。30Åより小さい場合には反応分子の細孔内拡散が充分でなく活性が低くなってしまうので好ましくない。また、45Åより大きい場合には、触媒の表面積が小さくなり充分な脱硫活性を発揮できないため好ましくない。また、触媒の細孔半径30Å以下の占める細孔容積は全細孔容積の13〜33%の範囲であるのが好ましく、より好ましくは15〜30%の範囲であり、さらに好ましくは25〜30%の範囲である。細孔半径30Å以下の細孔における反応分子の拡散しやすさは、これより大きい細孔より劣るものの脱硫反応への寄与は無視できず、13%より小さい場合には有効な触媒表面積が減少し、活性が低下してしまう懸念がある。一方、33%より大きい場合には拡散の影響によりかえって活性が低下してしまう懸念がある。また、触媒の細孔半径45Å以上の占める細孔容積は5〜20%の範囲であるのが好ましく、より好ましくは8〜15%の範囲であり、さらに好ましくは12〜15%の範囲である。この領域の細孔は反応分子の反応活性点への到達度合いを左右する重要な細孔と思われ、5%より少ない場合には反応分子の拡散が充分でなく活性が低下してしまう懸念がある。しかしながら、20%より多い場合には触媒の表面積そのものが減少してしまい脱硫活性が低下する懸念がある。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0027】
(実施例1)
内径25mmの反応管に、アルミナ担体にコバルトを酸化物換算で5重量%、モリブデンを酸化物換算で22重量%担持した市販脱硫触媒を100ml充填し、硫黄分濃度が3質量%となるようにジメチルジサルファィドを加えた直留軽油(硫黄分3質量%)を用いて触媒層平均温度300℃、水素分圧6MPa、LHSV1h−1、水素/油比250NL/Lの条件下で、4時間触媒の予備硫化を行った。予備硫化後、表1に示す原料油を反応温度355℃、圧力5MPa、LHSV1h−1、水素/油比200NL/Lの条件で通油して水素化脱硫を行った。反応試験結果を表1に示した。
【0028】
(実施例2)
表2に示す原料油を用いて、反応温度356℃としたほかは実施例1と同様の方法で水素化脱硫を行った。反応試験結果を表2に示した。
【0029】
(比較例1)
表3に示す原料油を用いて、反応温度357℃としたほかは実施例1と同様の方法で水素化脱硫を行った。反応試験結果を表3に示した。
【0030】
(比較例2)
表4に示す原料油を用いて、反応温度395℃としたほかは実施例1と同様の方法で水素化脱硫を行った。反応試験結果を表4に示した。
【0031】
(比較例3)
内径25mmの第一反応管に、アルミナ担体にコバルトを酸化物換算で5重量%、モリブデンを酸化物換算で22重量%担持した市販脱硫触媒を40ml充填した。内径25mmの第二反応管にケイバン比50のZSM−5を70重量、バインダーとしてアルミナを30重量%含み、ニッケルを酸化物換算で2重量%、モリブデンを酸化物換算で18重量%担持した触媒を40ml充填した。内径25mmの第三反応管に、アルミナ担体にコバルトを酸化物換算で5重量%、モリブデンを酸化物換算で22重量%担持した市販脱硫触媒を20ml充填した。これらの反応管を直列に接続し、硫黄分濃度が3質量%となるようにジメチルジサルファィドを加えた直留軽油(硫黄分3質量%)を用いて触媒層平均温度300℃、水素分圧6MPa、LHSV1h−1、水素/油比250NL/Lの条件下で、4時間触媒の予備硫化を行った後、反応温度365℃としたほかは実施例1と同様の方法で水素化脱硫を行った。反応試験結果を表5に示した。
【0032】
(比較例4)
表6に示す原料油を用いて、反応温度357℃としたほかは実施例1と同様の方法で水素化脱硫を行った。反応試験結果を表6に示した。
【0033】
(比較例5)
表7に示す原料油を用いて、反応温度357℃としたほかは実施例1と同様の方法で水素化脱硫を行った。反応試験結果を表7に示した。
【0034】
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【出願人】 【識別番号】000004444
【氏名又は名称】新日本石油株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之


【公開番号】 特開2008−31218(P2008−31218A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203639(P2006−203639)