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【発明の名称】 乾留ガス冷却器
【発明者】 【氏名】金井 文明

【要約】 【課題】乾留ガス中のスラッジを効率良く回収できる乾留ガス冷却器を提供する。

【構成】乾留ガスを冷却して油(液化物)を回収する一次乾留ガス冷却器20において、一次乾留ガス冷却器20の本体30内に、乾留ガスが導入されるガス導入室21と、乾留ガスが液化した液化物を回収する液化物回収室26と、乾留ガスを冷却する主熱交換部22と、主熱交換部22を通過した乾留ガスを回収しガス排出口28から流出させるガス回収室24と、ガス導入室21に介在する冷却パイプ群32,33とを備え、冷却パイプ群32,33の内部に冷却水(冷却媒体)が流れ、冷却パイプ群32,33の外側を流れる乾留ガスから析出されるスラッジが液化物と共に液化物回収室26を経て排出される構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾留ガスを冷却し液化物を回収する乾留ガス冷却器において、高温の乾留ガスが導入されるガス導入室と、乾留ガスが液化した液化物を回収する液化物回収室と、乾留ガスを冷却する主熱交換部と、この主熱交換部を通過した乾留ガスを回収しガス排出口から流出させるガス回収室と、このガス導入室に介在する冷却パイプ群とを備え、この冷却パイプ群の内部に冷却媒体を流し、前記冷却パイプ群の外側を流れる乾留ガスから析出されるスラッジを液化物と共に前記液化物回収室を経て排出する構成としたことを特徴とする乾留ガス冷却器。
【請求項2】
前記ガス導入室は前記ガス供給口が開口するガス導入空間と、このガス導入空間に導入される乾留ガスを前記主熱交換部へと導く上部空間とを備え、この上部空間に前記冷却パイプ群を配置したことを特徴とする請求項1に記載の乾留ガス冷却器。
【請求項3】
前記ガス導入室は前記ガス導入空間と前記液化物回収室の間に画成される下部空間を備え、この下部空間に前記冷却パイプ群を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の乾留ガス冷却器。
【請求項4】
前記冷却パイプ群は上下方向について交互に所定の間隔を持って並ぶ冷却パイプを備え、この冷却パイプを上方から見て互いに交差するように配置したことを特徴とする請求項2または3に記載の乾留ガス冷却器。
【請求項5】
前記冷却パイプ群を収容する本体に前記冷却パイプ群に面して開口する側部メンテナンスホールを設け、この側部メンテナンスホールを開閉するカバーを備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の乾留ガス冷却器。
【請求項6】
前記主熱交換部は前記ガス導入室と前記ガス回収室を連通して上下方向に延びるガスパイプ群と、このガスパイプ群のまわりに冷却媒体を流すガスパイプ収容冷媒室とを備え、前記主熱交換部を収容する本体に前記ガスパイプ群の上端部に面して開口する上端部メンテナンスホールを設け、この上端部メンテナンスホールを開閉するカバーを備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の乾留ガス冷却器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、廃タイヤ、木材、その他廃棄物等の有機物を乾留して油、ガス、炭化物等に再生する乾留装置に備えられる乾留ガス冷却器の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の乾留装置として、図4に示すものがある(特許文献1参照)。
【0003】
これについて説明すると、密閉された容器(釜)2内で廃タイヤ等の有機物を加熱する熱分解炉1と、この容器2内からバルブ3およびパイプ4を通して取り出される乾留ガスを段階的に冷却する一次乾留ガス冷却器5および二次乾留ガス冷却器6と、この一次乾留ガス冷却器5および二次乾留ガス冷却器6にて液化した油を各パイプ7、8を通して回収しこの油に含まれる水分を分離除去する油水分離槽9と、この油水分離槽9からの油がパイプ11とポンプ12とろ過器10を通して送られる液化物タンク14とを備え、この液化物タンク14には精製された油が貯留される。
【0004】
一方、前記一次乾留ガス冷却器5及び二次乾留ガス冷却器6で液化されなかった過剰の乾留ガスが液相安全器15およびパイプ16を通してガス燃焼炉17に送られ、ガス燃焼炉17にて燃焼する。また、液相安全器15を通されたガスの一部は、バルブ18およびパイプ19を通じて熱分解炉1のバーナに供給され、容器2の加熱のための熱源として利用される。
【0005】
各乾留ガス冷却器5、6の冷却媒体は水であり、この冷却水は各乾留ガス冷却器5、6と図示しない貯水槽を循環する。
【0006】
図5に示すように、この一次乾留ガス冷却器5は、乾留ガスが導入されるガス導入室61と、このガス導入室61の上下に配置される複数のガスパイプ70、58と、各上部ガスパイプ70の上方に配置されるガス回収室71と、各下部ガスパイプ58の下方に配置される液化物回収室59とを備える。
【0007】
一次乾留ガス冷却器5内には上下の仕切り板65、66によって上部冷却水室67が画成され、各上部ガスパイプ70がこの上部冷却水室67を貫通するように延びている。この上部冷却水室67に給水口68および排水口69を介して冷却水が循環し、この冷却水によって各上部ガスパイプ70を通過する乾留ガスが冷却される。
【0008】
一次乾留ガス冷却器5内には上下の仕切り板53、54によって下部冷却水室55が画成され、各下部ガスパイプ58がこの下部冷却水室55を貫通するように延びている。この下部冷却水室55に給水口56および排水口57を介して冷却水が循環し、この冷却水によって各下部ガスパイプ58を通過する油及び乾留ガスが冷却される。
【0009】
熱分解炉1の容器2内から取り出された乾留ガスがガス供給口62からガス導入室61に導入される。
【0010】
ガス導入室61に導入された乾留ガスは各ガスパイプ70、58を通って流れる過程で冷却され、乾留ガスが液化して油になることが促される。
【0011】
一次乾留ガス冷却器5内で液化した油が液化物回収室59に流下し、液化物取出口60から油水分離槽9へと送られる。
【0012】
一次乾留ガス冷却器5内で液化されなかった過剰の乾留ガスがガス回収室71に回収され、ガス排出口72から二次乾留ガス冷却器6へと送られる。
【特許文献1】特開2002−80359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来の乾留装置にあっては、一次乾留ガス冷却器5のガス導入室61に導入された乾留ガスは各ガスパイプ70、58を通って流れる過程で冷却される構造のため、乾留ガス中に含まれるスラッジが仕切り板53、65の表面やこれから突出した各ガスパイプ70、58の端部の表面に堆積し始め、やがて各ガスパイプ70、58の内周面に堆積し、乾留ガスの冷却が十分にできなくなったり、各ガスパイプ70、58の内部、ガス導入室61、ガス回収室71がスラッジによって埋まり、乾留ガスが流れにくくなるという問題点があった。
【0014】
また、上記の各ガスパイプ70、58の内部、ガス導入室61、ガス回収室71に堆積したスラッジを取り除くには、一次乾留ガス冷却器5を分解する必要があり、メンテナンスに手間がかかるという問題点があった。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、スラッジを効率良く回収できる乾留ガス冷却器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の発明は、乾留ガスを冷却し液化物を回収する乾留ガス冷却器において、高温の乾留ガスが導入されるガス導入室と、乾留ガスが液化した液化物を回収する液化物回収室と、乾留ガスを冷却する主熱交換部と、この主熱交換部を通過した乾留ガスを回収しガス排出口から流出させるガス回収室と、このガス導入室に介在する冷却パイプ群とを備え、この冷却パイプ群の内部に冷却媒体を流し、冷却パイプ群の外側を流れる乾留ガスから析出されるスラッジを液化物と共に液化物回収室を経て排出する構成としたことを特徴とするものとした。
【0017】
第2の発明は、ガス導入室はガス供給口が開口するガス導入空間と、このガス導入空間に導入される乾留ガスを主熱交換部へと導く上部空間とを備え、この上部空間に冷却パイプ群を配置したことを特徴とするものとした。
【0018】
第3の発明は、ガス導入室はガス導入空間と液化物回収室の間に画成される下部空間を備え、この下部空間に冷却パイプ群を配置したことを特徴とするものとした。
【0019】
第4の発明は、冷却パイプ群は上下方向について交互に所定の間隔を持って並ぶ冷却パイプを備え、この冷却パイプを上方から見て互いに交差するように配置したことを特徴とするものとした。
【0020】
第5の発明は、冷却パイプ群を収容する本体に冷却パイプ群に面して開口する側部メンテナンスホールを設け、この側部メンテナンスホールを開閉するカバーを備えたことを特徴とするものとした。
【0021】
第6の発明は、主熱交換部はガス導入室とガス回収室を連通して上下方向に延びるガスパイプ群と、このガスパイプ群のまわりに冷却媒体を流すガスパイプ収容冷媒室とを備え、主熱交換部を収容する本体にガスパイプ群の上端部に面して開口する上端部メンテナンスホールを設け、この上端部メンテナンスホールを開閉するカバーを備えたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によると、乾留ガスはガス導入室にて冷却パイプ群によって冷却されることでスラッジが回収された後に主熱交換部へと流入するため、主熱交換部にスラッジが付着することを防止し、主熱交換部の冷却性を維持することによって液化物の回収が効率良く行われる。
【0023】
ガス導入室にて冷却パイプ群を介して析出されるスラッジは、液化物回収室に落下し、液化物回収室に流下する液化物と共に排出することが可能となる。
【0024】
第2の発明によると、高温の乾留ガスが直接に主熱交換部に流入することがなく、ガス導入室から主熱交換部へと向かう過程で冷却パイプ群によって乾留ガスが冷却されることによって、乾留ガスからスラッジが析出されることが促され、スラッジの回収が効率良く行われる。
【0025】
第3の発明によると、高温の乾留ガスが直接に液化物回収室に流入することがなく、ガス導入室から液化物回収室へと向かう過程で冷却パイプ群によって乾留ガスが冷却されることによって、乾留ガスからスラッジが析出されることが促され、スラッジの回収が効率良く行われる。
【0026】
第4の発明によると、乾留ガスが各冷却パイプの外表面に繰り返し当たりながら流れて冷却され、乾留ガスからスラッジが析出されることが促され、スラッジの回収が効率良く行われる。また、冷却パイプにある程度のスラッジが堆積しても冷却パイプのまわりに乾留ガスが円滑に流れ、乾留ガス冷却器の冷却性を維持できる。
【0027】
第5の発明によると、冷却パイプ群に堆積したスラッジを取り除く作業を容易に行うことができ、メンテナンス性を高められる。
【0028】
第6の発明によると、ガスパイプ群内に堆積したスラッジを取り除く作業を容易に行うことができ、メンテナンス性を高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
図1に示す乾留ガス冷却器20は、例えば前記した図4に示す乾留装置に備えられ、熱分解炉1の容器2内から取り出された乾留ガスを通過させ、この乾留ガスを冷却して油(液化物)を回収するものである。
【0031】
なお、本発明は、図4に示す乾留装置に限らず、有機物を乾留化して油、ガス、炭化物等に再生する他の乾留装置にも適用できる。
【0032】
以下、一次乾留ガス冷却器20の構成について説明する。
【0033】
一次乾留ガス冷却器20は、円筒状の本体30が略垂直に立てて設けられ、この本体30内の中程にガス導入室21が画成され、本体30内の上部にガス回収室24が画成され、本体30内の下部に液化物回収室26が画成される。
【0034】
図中矢印で示すように、熱分解炉1からの乾留ガスがガス供給口27からガス導入室21に流入し、本体30内で冷却される。本体30内において冷却された乾留ガスが上部のガス回収室24に集まりガス排出口28から流出して二次乾留ガス冷却器6へ送られる一方、本体30内において液化した油が下部の液化物回収室26に集まり液化物排出口29から流出して液化物タンク14へと送られる。
【0035】
一次乾留ガス冷却器20は、乾留ガスを冷却してその成分が液化(凝縮)することを促す主熱交換部22を備える。
【0036】
この主熱交換部22として、ガス導入室21からガス回収室24へと向かう乾留ガスが流れるガスパイプ群34と、ガスパイプ群34のまわりに冷却水(冷却媒体)を流すガスパイプ収容冷媒室35が設けられる。
【0037】
本体30内には水平方向に延びる円盤状の上下隔壁36、37が設けられ、この上下隔壁36、37の間にガスパイプ収容冷媒室35が画成される。
【0038】
ガスパイプ群34は略垂直方向に延びる各ガスパイプ41を備え、各ガスパイプ41はガスパイプ収容冷媒室35に所定の間隔を持って並ぶように設けられる。各ガスパイプ41は上下隔壁36、37をそれぞれ貫通して設けられ、ガス導入室21とガス回収室24を連通している。
【0039】
ガスパイプ収容冷媒室35の下部には冷媒入口35aが開口し、ガスパイプ収容冷媒室35の上部には冷媒出口35bが開口する。冷媒入口35aと冷媒出口35bは本体30に対して互いに反対側に開口するように配置される。なお、冷媒入口35aと冷媒出口35bの配置はこれに限らず、要求される条件に応じて任意に配置される。
【0040】
冷却水は冷媒入口35aを通ってガスパイプ収容冷媒室35に流入し、ガスパイプ収容冷媒室35から冷媒出口35bを通って流出する。
【0041】
ガスパイプ収容冷媒室35において冷却水は冷媒入口35aから冷媒出口35bに向かって流れ、この冷却水の流れに各ガスパイプ41の外表面が晒される。乾留ガスはガス導入室21からガスパイプ群34を通ってガス回収室24へと流れる過程で、ガスパイプ群34を介してガスパイプ収容冷媒室35を流れる冷却水に放熱することにより冷却され、乾留ガスの成分が液化することが促される。
【0042】
ガス導入室21は主熱交換部22の下方に円柱状の空間として画成されており、ガス供給口27はガス導入室21の中程に開口している。ガス供給口27から導入される乾留ガスはガス導入室21のガス導入空間21bに流入し、このガス導入空間21bから上部空間21aと下部空間21cへ拡がる。
【0043】
一次乾留ガス冷却器20のガス導入室21には乾留ガスに含まれるスラッジを回収するため、ガス導入室21の上部空間21aに冷却水が流れる冷却パイプ群32が設けられるとともに、ガス導入室21の下部空間21cに冷却水が流れる冷却パイプ群33が設けられる。
【0044】
上下の冷却パイプ群32、33は互いに同一構造とし、図2に示すように、上方から見て互いに交差する格子状に延びる冷却パイプ38、39を4本づつ備える。
【0045】
なお、冷却パイプ38、39の本数はこれに限らず、例えば1本づつ備えてもよく、任意に設定される。
【0046】
各冷却パイプ38は、1本のパイプ材を曲げて形成され、冷却水が導入される冷媒入口38aと、冷却水が流出する冷媒出口38bと、図2において左右方向に延びる6つの直管部38cと、この各直管部38cを結んで湾曲した5つの曲管部38dとを有する。
【0047】
各冷却パイプ39は、同様に1本のパイプ材を曲げて形成され、冷却水が導入される冷媒入口39aと、冷却水が流出する冷媒出口39bと、図2において上下方向に延びる6つの直管部39cと、この各直管部39dを結んで湾曲した5つの曲管部39dとを有する。
【0048】
なお、直管部38c、39c、曲管部38d、39d等の数はこれに限らず、任意に設定される。
【0049】
各冷却パイプ38、39は上下方向について交互に所定の間隔を持って並び、上方から見てそれぞれの各直管部38c、39cが互いに略直交するように配置される。
【0050】
上方から見て各直管部38c、39cは互いに直交するように配置されるが、各直管部38c、39cの交差角度は90度に限らず、他の角度に設定しても良い。
【0051】
各冷却パイプ38、39には図示しない配管を介して図示しないクーリングタワーにて冷却された冷却水が主として循環するが、貯水槽に溜められた冷却水を循環させることも可能である。
【0052】
各冷却パイプ38、39はその内側を冷却水が流れる一方、その外表面がガス導入室21を流れる乾留ガスに晒される。乾留ガスは各冷却パイプ38、39を流れる冷却水に放熱することによって冷却され、これに伴って液化物とスラッジが析出される。
【0053】
一次乾留ガス冷却器20は、本体30のガス導入室21と液化物回収室26のまわりに冷却水を流す冷媒室42を備える。この冷媒室42は本体30の円筒状の外板30aと内板30bの間に環状の空間として画成される。
【0054】
冷媒室42の中程には冷媒入口42aが開口し、冷媒室42の上部には冷媒出口42bが開口する。冷却水は冷媒入口42aを通って冷媒室42に流入し、冷媒室42から冷媒出口42bを通って流出する。
【0055】
冷媒室42の内板30bはガス導入室21を流れる乾留ガスに晒され、乾留ガスは冷媒室42を流れる冷却水に放熱することによって冷却され、これに伴って液化物とスラッジが析出される。
【0056】
冷媒室42から冷媒出口42bとガスパイプ収容冷媒室35の冷媒入口35aは図示しない配管によって連通される。これにより、冷媒室42から流出した冷却水がこの配管を通ってガスパイプ収容冷媒室35に流入する。
【0057】
本体30にはガス導入室21に面して開口する上下の側部メンテナンスホール30c、30dが設けられる。上下の側部メンテナンスホール30c、30dは本体30の冷却パイプ群32と冷却パイプ群33のそれぞれ側方に対峙する部位に開口する。
【0058】
上下の側部メンテナンスホール30c、30dは互いに同一構造とし、図3に示すように、側部メンテナンスホール30c、30dを開閉するカバー48を備える。
【0059】
本体30の内側には側部メンテナンスホール30c、30dのまわりに内側ガスケット47が設けられ、この内側ガスケット47にカバー48の内壁面を当接させることによって、側部メンテナンスホール30c、30dとカバー48の間が密閉される。
【0060】
本体30の外壁面とカバー48の外壁面に渡って当接する図示しない外側パッキンが設けられ、この外側パッキンによっても側部メンテナンスホール30c、30dとカバー48の間が密閉される。
【0061】
カバー48は、その内部に冷却水を流す冷媒室49を備える。この冷媒室49は本体30のカバー48の外板48aと内板48bの間に画成される。
【0062】
冷媒室49の外板48aには冷媒入口48cと冷媒出口48dが開口する。冷却水は冷媒入口48cを通って冷媒室49に流入し、冷媒室49から冷媒出口48dを通って流出する。
【0063】
円筒状の本体30の上端部にはガス回収室24に面して開口する上端部メンテナンスホール30eが設けられる。上端部メンテナンスホール30eはガスパイプ群34の上端部34aの上方に対峙する部位に開口する。
【0064】
上端部メンテナンスホール30eを開閉するカバー46を備える。円盤状のカバー46はその外周端部が複数のボルト(図示せず)を介して締結される。
【0065】
本体30には液化物回収室26に連通するレベルゲージ45が接続される。一次乾留ガス冷却器20において液化した油が本体30内の液化物回収室26とガス導入室21に渡って溜まった場合、レベルゲージ45における油面高さを見て本体30内の油面高さが一致するように構成される。これにより、液化物排出口29等に詰まりが生じて液化物回収室26に液化した油が溜まった場合、作業者はレベルゲージ45における油面高さを見て本体30内の油面高さを確認できる。
【0066】
本体30は主熱交換部22が収容される本体上部30fと、冷却パイプ群32、33が収容される本体下部30gとに分割され、両者は分割部接合フランジ30hによって結合される。
【0067】
本体上部30fの中程には熱伸縮吸収用フランジ30iが形成され、本体下部30gの中程には熱伸縮吸収用フランジ30jが形成され、本体30の熱伸縮によって歪みが生じることを抑えるようになっている。
【0068】
次に、一次乾留ガス冷却器20の作用について説明する。
【0069】
図1に矢印で示すように、熱分解炉1からの高温乾留ガスがガス供給口27から高温のガス導入室21に流入し、ガス導入室21を通って主熱交換部22へと向かう乾留ガスは各冷却パイプ38、39を流れる冷却水に放熱して冷却され、これによって乾留ガスの成分が液化した油が各冷却パイプ38、39の外表面に付いて流下するとともに、各冷却パイプ38、39のまわりで乾留ガスから析出されるスラッジが各冷却パイプ38、39の外表面に付いて落下する。
【0070】
さらに、乾留ガスは、主熱交換部22のガスパイプ群34を通ってガス回収室24へと流れる過程でもガスパイプ群34のまわりを流れる冷却水に放熱することによって冷却され、乾留ガスの成分が液化して油となって各ガスパイプ31の内周面に付いて流下する。
【0071】
こうして冷却された乾留ガスがガス回収室24に集まりガス排出口28から流出して二次乾留ガス冷却器6へ送られる一方、本体30内において液化した油が液化物回収室26に流下するとともに、本体30内において析出されるスラッジが液化物回収室26に落下して集まり液化物排出口29から流出する。
【0072】
液化物排出口29から流出するスラッジを含む油は、図示しないスラッジ分離機を通り、このスラッジ分離機にて油からスラッジが分離し回収される。
【0073】
スラッジ分離機から流出するスラッジが分離された油は、液化物タンク14へと送られ、液化物タンク14に貯留される(図4参照)。
【0074】
乾留ガスは、冷却パイプ群32、33のまわりでスラッジが析出された後に、主熱交換部22のガスパイプ群34へと流入することにより、各ガスパイプ31の内周面にスラッジが堆積することを抑えられ、このスラッジによって主熱交換部22の冷却性が損なわれることを防止し、ガスパイプ群34内が詰まることを防止できる。
【0075】
ガス導入室21から上部空間21aを通って主熱交換部22へと向かう乾留ガスは冷却パイプ群32の各冷却パイプ38、39を流れる冷却水に放熱することによって冷却され、これに伴って析出されるスラッジが各冷却パイプ38、39の外表面にある程度堆積して液化物回収室26へと落下する。
【0076】
ガス導入室21から下部空間21bを経由して主熱交換部22へと向かう乾留ガスは冷却パイプ群33の各冷却パイプ38、39を流れる冷却水に放熱することによって冷却され、これに伴って析出されるスラッジが各冷却パイプ38、39の外表面にある程度堆積して液化物回収室26へと落下する。
【0077】
ガス導入室21にて冷却パイプ群32、33を介して析出されるスラッジは、液化物回収室26に落下し、液化物回収室26に流下する油と共に回収される。
【0078】
冷却パイプ群32、33は、複数の各冷却パイプ38、39が上方から見て互いに交差するように配置されているため、乾留ガスが各冷却パイプ38、39の外表面に繰り返し当たりながら流れ、スラッジが析出されることが促される。
【0079】
冷却パイプ群32、33の外表面に多くのスラッジが堆積した場合、各カバー48を取り外して各側部メンテナンスホール30c、30dを開き、冷却パイプ群32、33に堆積したスラッジを取り除く作業を行う。
【0080】
各ガスパイプ31の内周面にスラッジが堆積した場合、カバー46を取り外して上端部メンテナンスホール30eを開き、各ガスパイプ31の内周面に堆積したスラッジを取り除く作業を行う。
【0081】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0082】
乾留ガスを冷却して油(液化物)を回収する一次乾留ガス冷却器20において、一次乾留ガス冷却器20の本体30内に、乾留ガスが導入されるガス導入室21と、乾留ガスが液化した液化物を回収する液化物回収室26と、乾留ガスを冷却する主熱交換部22と、主熱交換部22を通過した乾留ガスを回収しガス排出口28から流出させるガス回収室24と、ガス導入室21に介在する冷却パイプ群32,33とを備え、冷却パイプ群32,33の内部に冷却水が流れ、冷却パイプ群32,33の外側を流れる乾留ガスから析出されるスラッジが液化物と共に液化物回収室26を経て排出される構成としたため、乾留ガスは冷却パイプ群32、33にてスラッジが効率良く回収された後に主熱交換部22へと流入し、主熱交換部22にスラッジが付着することを防止し、主熱交換部22の冷却性を維持することによって液化物の回収が効率良く行われる。
【0083】
ガス導入室21はガス供給口27が開口するガス導入空間21bと、このガス導入空間21bに導入される乾留ガスを主熱交換部22へと導く上部空間21aとを備え、この上部空間21aに冷却パイプ群32を配置したため、高温の乾留ガスが直接に主熱交換部22に流入することがなく、ガス導入室21から主熱交換部22へと向かう過程で冷却パイプ群32によって乾留ガスが冷却されることによって、乾留ガスからスラッジが析出されることが促され、スラッジの回収が効率良く行われる。
【0084】
ガス導入室21はガス導入空間21bと液化物回収室26の間に画成される下部空間21cを備え、この下部空間21cに冷却パイプ群33を配置したため、高温の乾留ガスが直接に液化物回収室26に流入することがなく、ガス導入室21から液化物回収室26へと向かう過程で冷却パイプ群32によって乾留ガスが冷却されることによって、乾留ガスからスラッジが析出されることが促され、スラッジの回収が効率良く行われる。
【0085】
冷却パイプ群32、33は上下方向について交互に所定の間隔を持って並ぶ冷却パイプ38、39を備え、この冷却パイプ38、39が上方から見て互いに交差するように配置されているため、乾留ガスが各冷却パイプ38、39の外表面に繰り返し当たりながら流れて冷却され、乾留ガスからスラッジが析出されることが促され、スラッジの回収が効率良く行われる。また、冷却パイプ38、39にある程度のスラッジが堆積しても冷却パイプ38、39のまわりに乾留ガスが円滑に流れ、二次乾留ガス冷却器20の冷却性を維持できる。
【0086】
冷却パイプ群32、33を収容する本体30に冷却パイプ群32、33に面して開口する側部メンテナンスホール30c、30dを設け、この側部メンテナンスホール30c、30dを開閉するカバー48を備えたため、冷却パイプ群32、33に堆積したスラッジを取り除く作業を容易に行うことができ、メンテナンス性を高められる。
【0087】
主熱交換部22はガス導入室21とガス回収室24を連通して上下方向に延びるガスパイプ群34と、ガスパイプ群34のまわりに冷却水を流すガスパイプ収容冷媒室35とを備え、主熱交換部22を収容する本体30にガスパイプ群34の上端部34aに面して開口する上端部メンテナンスホール30eを設け、この上端部メンテナンスホール30eを開閉するカバー46を備えたため、ガスパイプ群34内に堆積したスラッジを取り除く作業を容易に行うことができ、メンテナンス性を高められる。
【0088】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態を示す一次乾留ガス冷却器の断面図。
【図2】同じく図1のA−A線、B−B線に沿う断面図。
【図3】同じく一次乾留ガス冷却器の断面図。
【図4】本発明が適用される乾留装置のシステム図。
【図5】従来の一次乾留ガス冷却器を一部破断して示す正面図。
【符号の説明】
【0090】
20 乾留ガス冷却器
21 ガス導入室
21a 上部空間
21b ガス導入空間
21c 下部空間
22 主熱交換部
24 ガス回収室
26 液化物回収室
28 ガス排出口
30c 側部メンテナンスホール
30d 側部メンテナンスホール
30e 上端部メンテナンスホール
32 冷媒パイプ群
33 冷媒パイプ群
38 冷媒パイプ
39 冷媒パイプ
34 ガスパイプ群
35 ガスパイプ収容冷媒室
46 カバー
48 カバー
49 冷媒室
【出願人】 【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜

【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘

【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭


【公開番号】 特開2008−13643(P2008−13643A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185322(P2006−185322)