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【発明の名称】 スポンジメタル触媒の反応器への充填方法
【発明者】 【氏名】早川 陽喜

【氏名】戸井田 努

【要約】 【課題】酸化や発熱を確実に防止しながら、効率よく炭化水素燃料の脱硫が行えるスポンジメタル触媒の充填方法を提供する。

【構成】水3漬けされたスポンジメタル触媒1を、水3とともに反応器4に充填後、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒10を流し、触媒1粒子間及び表面に付着している水分を除去した後に、水素、アルコール、脱硫済み灯油等の還元性物質の雰囲気とした充填方法なので、効率良く確実に硫黄成分の除去が行え、酸化や発熱を確実に防止しながら効率の良い触媒の充填作業が出来、極めて使用勝手が良いものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水漬けされたスポンジメタル触媒を、水とともに反応器に充填後、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒を流し、触媒粒子間及び表面に付着している水分を除去した後に、水素、アルコール、脱硫済み灯油等の還元性物質の雰囲気とした事を特徴とするスポンジメタル触媒の反応器への充填方法。
【請求項2】
スポンジメタル触媒を、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶液に入れ、反応器に溶媒とともに充填する事を特徴とするスポンジメタル触媒の反応器への充填方法。
【請求項3】
前記反応器を所定温度に加熱して、触媒表面や触媒細孔内に吸着されている水分を脱離除去する事を特徴とする請求項1及び2記載のスポンジメタル触媒の反応器への充填方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化水素燃料から硫黄成分を除去するスポンジメタル触媒の反応器への充填方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、スポンジメタル触媒を反応器に充填し、炭化水素燃料を通過させることで、硫黄成分を除去して改質触媒の性能維持を図るものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2005−15543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、スポンジメタル触媒を反応器に充填する時には、スポンジメタル触媒を水に漬けた状態のまま反応器に充填するもので、これはスポンジメタル触媒が高活性で、空気に触れると酸化/発熱して活性を失う為であるが、水漬けのまま充填すると、水が邪魔して炭化水素燃料とスポンジメタル触媒との接触が不十分で、脱硫性能が上がらないと言う問題点を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記問題点を解決する為、特に請求項1ではその構成を、水漬けされたスポンジメタル触媒を、水とともに反応器に充填後、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒を流し、触媒粒子間及び表面に付着している水分を除去した後に、水素、アルコール、脱硫済み灯油等の還元性物質の雰囲気としたものである。
【0005】
請求項2では、スポンジメタル触媒を、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒に入れ、反応器に溶液とともに充填するようにしたものである。
【0006】
請求項3では、前記反応器を所定温度に加熱して、触媒表面や触媒細孔内に吸着されている水分を脱離除去するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、スポンジメタル触媒を水漬けのまま充填後に、親水性及び親油性の両方の性質を持つ溶媒を流すので、水や油と反発し合うことなく、触媒に付着した水分を容易に除去出来ると共に、炭化水素燃料の流通を邪魔することもないので、効率良く確実に硫黄成分の除去が行える状況が出来る。酸化や発熱を確実に防止しながら効率の良い触媒の充填作業が出来、極めて使用勝手が良いものである。
【0008】
又請求項2によれば、スポンジメタル触媒を予め親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒に入れておくことにより、酸化や発熱を確実に防止しながら、そのままの状態で反応器に充填することが可能で、極めて取り扱いが容易で簡単に充填が出来るものである。
【0009】
又請求項3によれば、スポンジメタル触媒を充填後の反応器を所定温度に加熱することで、該スポンジメタル触媒に吸着されている水分を完全に除去することが出来、スポンジメタル触媒としての機能を十分に発揮させることが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1はスポンジ銅、スポンジニッケル、スポンジコバルト等の硫黄との親和性の高い多孔質のメタル触媒から成るスポンジメタル触媒で、ここでは硫黄成分の除去量が一番多いスポンジニッケルを使用しているものである。
【0011】
2はスポンジメタル触媒1を収納した容器で、スポンジメタル触媒1は酸化、発熱を防止する為に水3に漬けられた状態で保持されている。
【0012】
4はスポンジメタル触媒1の充填前の反応器で、外周には電熱ヒーター等から成る加熱手段5が備えられ、又下部には灯油等の炭化水素燃料6が溜められた貯溜槽7から該炭化水素燃料6を吸引し、反応器4に供給する供給手段8が連通している。9は温度センサである。
【0013】
なお、炭化水素燃料6としては、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油等の液体炭化水素燃料のうち軽質油が好ましいが、これに限定されるものではなく、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG、都市ガス、及びこれらの混合物等の気体炭化水素燃料であっても良いものである。
【0014】
次にスポンジメタル触媒1の反応器4への充填方法について説明すれば、水3に漬けられているスポンジメタル触媒1をそのまま水3とともに反応器4内に入れた後、この反応器4内の水3と、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒10とを入れ替えて充填を終了するものであり、これによりスポンジメタル触媒1の粒子間及び表面に付着している水分を除去した後に、水素、アルコール、脱硫済み灯油等の還元性物質の雰囲気としたものである。
【0015】
そして更に前記加熱手段5に通電し所定温度、ここでは100〜130℃に加熱して、触媒表面や触媒細孔内に吸着されている水分を脱離、除去するものである。
【0016】
これにより先ず加熱手段5でスポンジメタル触媒1の層を、130〜160℃に昇温した後、供給手段8を駆動させて炭化水素燃料6が反応器4内に供給され、スポンジメタル触媒1を通過することで硫黄成分が除去され、即ち脱硫されるものであり、そしてこの脱硫された炭化水素燃料6が水蒸気と混合されて水蒸気改質器(図示せず)へ供給され、水素を主成分とする燃料ガスに改質されて、更に燃料電池本体(図示せず)へ供給されて発電に供されるものである。
【0017】
又この充填方法では、スポンジメタル触媒1を水3に漬けた状態で容器2に収納し、これを反応器4に入れて該反応器4内で溶液10と置換したが、図3に示すように予めスポンジメタル触媒1を、アルコール等の親水性、親油性両方の性質を持つ溶媒10に漬けた状態で容器2に入れておけば、そのまま反応器4に移せば充填は終了するものであり、手間がかからず極めて容易に充填することが出来るものである。
アルコール等が親水性も備えているので、原料である灯油を流しても、触媒と灯油とが良好な接触が出来るものである。
【0018】
次にこのスポンジメタル触媒1を用いて実際に灯油を脱硫した場合について説明する。
Ni:Al=50:50のスポンジニッケル用合金をアルカリで展開/水洗した水漬け状態のスポンジニッケル触媒を、内径10.7mmφのステンレス製反応器に7g充填し、イソプロピルアルコール10ml/minで20分間流した後脱硫灯油10ml/minで20分間流し、次いで原料灯油(硫黄分=15ppm含有)に切り替え1.9ml/minにて流し、流出する灯油を30分毎に採取分析した結果を表1に示した。

表1


【0019】
次に上記の反応器に、イソプロピルアルコール10ml/minで20分間流し、次いで脱硫灯油(硫黄分<50ppm含有)に切り替え1ml/minにて流しながら、ヒーターで加熱して150℃まで昇温してから、原料灯油(硫黄分=15ppm含有)に切り替え1.2ml/minにて流し、流通時間300分までの灯油の硫黄分の分析結果を表2に示したが、これで分かるように、灯油の脱硫では該灯油を流しながら触媒部分を加熱することで、脱硫効果が上がることが分かる。

表2


【0020】
更にスポンジメタル触媒1の平均粒子径を、60μm〜200μmとすれば、60μmより小さくなると、充填密度が小さくなり単位体積当たりの充填重量が少なくあるため、単位体積当たりの性能が低くなり、脱硫性能が極端に低下するものであり、又200μmより大きくなると、充填密度が上がり、単位体積当たりの充填重量は大きくなるが、触媒内部まで利用されにくくなり性能が低くなってしまい、こちらも脱硫性能が低下するものであり、60μm〜200μmの範囲が脱硫性能の最適な平均粒子径となるものである。
【0021】
又平均粒子径の異なるスポンジニッケル触媒A(粒子径=37μm)、B(粒子径=130μm)を用意し充填密度を測定し、比表面積はいずれも61m2/gであった。この触媒を内径10.7mmφのステンレス製反応器に11ml充填し、上記のような脱硫を行った結果、触媒Bの破壊までの灯油流通量は触媒Aの約5倍であった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態を示すスポンジメタル触媒を水に漬けた状態の説明図。
【図2】同スポンジメタル触媒を充填した反応器の説明図。
【図3】他の実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0023】
1 スポンジメタル触媒
2 容器
3 水
4 反応器
10 溶液
【出願人】 【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
【識別番号】390003001
【氏名又は名称】川研ファインケミカル株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−7583(P2008−7583A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177591(P2006−177591)