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【発明の名称】 黒色真珠光沢粉体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】橋本 正博

【氏名】大久保 真吾

【氏名】鈴木 福二

【氏名】木村 朝

【要約】 【課題】本発明の解決すべき課題は、色味に優れた低次酸化チタン系黒色真珠光沢粉体、及びその黒色粉体を容易に製造方法を提供することにある。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状粉体表面に低次酸化チタンが被覆された黒色真珠光沢粉体であって、
前記低次酸化チタンは実質的に窒素を含まず、且つTiO(X=1.56〜1.75)であることを特徴とする黒色真珠光沢粉体。
【請求項2】
請求項1記載の粉体において、低次酸化チタンは、少なくともTi及びTiを含むことを特徴とする黒色真珠光沢粉体。
【請求項3】
薄板状基盤粉体が二酸化チタンで被覆された真珠光沢粉体に金属チタンを混合し、TiO(X≦1.5)となるまで低酸素条件下で還元し、
その後に酸化雰囲気中でTiO(X=1.56〜1.75)となるまで酸化焼成することを特徴とする黒色真珠光沢粉体の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、薄板状基盤粉体が二酸化チタンで被覆された真珠光沢粉体に金属チタンを混合し、低酸素条件下700〜1000℃で還元して、その後に酸化雰囲気中200〜500℃で酸化焼成することを特徴とする黒色真珠光沢粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は黒色真珠光沢粉体及びその製造方法、特に低次酸化チタンを用いた黒色顔料の色味改善に関する。
【背景技術】
【0002】
元来、色彩は人間にとって生理的、心理的な影響を与える非常に重要な要素である。現に、色彩が人間に及ぼし得る生理的、心理的な効果を活用して安全で機能的な作業環境や健康で快適な生活環境を創世する手法もあり、色彩的調製技術が様々な分野において活用されている。
【0003】
ここで、無彩色である黒色は、その醸し出す高級感により需要の大きい色であるが、可視光の波長全領域にわたって均一な吸収を奏することが要求される。このため、「真黒」を演出することができ、しかも使用性のよい顔料を得ることは極めて困難であった。例えばカーボンブラックは黒色度が高いが、マットな風合いであり、高級感に欠けるという欠点があり、光沢、特に真珠光沢を有し、しかも黒色度の高い黒色真珠光沢粉体を得ることは長年の開発課題であった。
【0004】
ところで、着色顔料に加えて光の干渉現象を利用した顔料である二酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料が提供されている。
この真珠光沢顔料は、塗料、化粧料、粘着材、印刷インキ、樹脂練り込み等の各種分野において利用されているが、従来の黒色真珠光沢顔料は、黒酸化鉄を被覆したものであり、強磁性であるために塗料などの基材中での分散が悪く十分な光沢が得られない、又、樹脂に練り込むと温度によって黒酸化鉄が酸化され褐色に変色するという欠点があった。
【0005】
一方、アンモニア気流中で二酸化チタン被覆雲母を還元し、暗色真珠光沢顔料を製造する方法が特許文献1に開示されている。
この暗色真珠光沢顔料は色調も真黒に近く、良好な色調及び光沢を有するものであるが、製造過程で有毒なアンモニア気流を使用するため、管理が極めて難しいと言う問題があった。
【0006】
二酸化チタンの還元法については、目的は異なるものの特許文献2,3,4,5にも記載されている。特許文献2は、二酸化チタンで被覆された雲母チタンに金属チタンを混合して有色雲母チタン系顔料を得る方法を開示する。特許文献3は、二酸化チタンをケイ素、水素化チタン、水素化カルシウム、炭素で還元し、有色雲母チタン系顔料を得る方法を開示する。これらの特許文献は雲母チタン系顔料の二酸化チタンを金属で還元し、低次酸化チタンとすることにより、二酸化チタンが灰色〜暗赤褐色に還元され、この低次酸化チタンによって光の吸収が起こり干渉色が外観色として発色した有色雲母チタン系顔料を製造する方法に関するものである。又、特許文献4は、二酸化チタンを酸化アルミニウムで還元した有色雲母チタン系顔料の製造方法を開示する。更に、特許文献5は、二酸化チタンを金属アルミ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛で還元した有色雲母チタン系顔料の製造方法を開示する。このように、アンモニアを用いずに二酸化チタンを還元する方法については公知であるが、黒色真珠光沢顔料の製造方法については、まったく触れられていない。これは、金属チタンなどを用いて低次酸化チタンを生成した場合には、黒色が青みがかったり、赤みがかったりして「真黒色」が得られないためである。
【0007】
【特許文献1】特開昭58−164653
【特許文献2】特許第1732810号
【特許文献3】特開平6−211521号
【特許文献4】特開平8−67830号
【特許文献5】特許第3542388号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記従来技術に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、色味に優れた低次酸化チタン系黒色真珠光沢粉体、及びその黒色粉体を容易に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記アンモニア還元による黒色真珠光沢顔料と同等以上の色調、光沢を有する粉体を、アンモニアガスを用いずに製造することを試みた。
【0010】
前述したように低次酸化チタンは暗色ないし黒色を有するので、金属チタンを用いて還元を試みたが、黒褐色化或いは赤みがかった色調となり、アンモニア還元により得られたような「真黒色」に近い色は従来得られていない。
この点についてさらに検討を行った結果、アンモニア還元を行った場合には、アンモニア由来の窒素がチタン化合物中に取り込まれ、窒化チタン化合物を形成し、その黒色度が高いことが解った。
【0011】
一方、金属チタンにより還元を行う場合には、その還元度に応じてTi,Ti等の各種化合物を生じ、それぞれが暗色ではあるものの特有の色味を有するため「真黒色」が得にくいのである。
そして、本発明者らがさらに検討した結果、金属チタンにより還元を行った場合にも、従来のように単に還元度を高めるのではなく、低次酸化チタンの還元度を調整することにより「真黒色」の真珠光沢粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明にかかる黒色真珠光沢粉体は、薄板状粉体表面に低次酸化チタンが被覆された黒色真珠光沢粉体であって、
前記低次酸化チタンは実質的に窒素を含まず、且つTiO(X=1.56〜1.75)であることを特徴とする。
また、前記粉体において、低次酸化チタンは、少なくともTi及びTiを含むことが好適である。
【0013】
また、本発明にかかる黒色真珠光沢粉体の製造方法は、
薄板状基盤粉体が二酸化チタンで被覆された真珠光沢粉体に金属チタンを混合し、TiO(X≦1.5)となるまで低酸素条件下で還元し、
その後に酸化雰囲気中でTiO(X=1.56〜1.75)となるまで酸化焼成することを特徴とする。
【0014】
また、前記方法において、薄板状基盤粉体が二酸化チタンで被覆された真珠光沢粉体に金属チタンを混合し、低酸素条件下700〜1000℃で還元して、その後に酸化雰囲気中200〜500℃で酸化焼成することが好適である。
【0015】
<光輝性>
本発明において、光輝性は以下のように評価した。すなわち、粉体1gを、武蔵塗料社製ニトロンクリヤーラッカー6341の15gに添加し、十分に混合して、白黒下地の隠蔽率試験紙に4ミルのアプリケーターで塗布した。そして、白地上での塗膜の光沢度を堀場製作所製グロスチェッカーIG―300で測定した。
本発明にかかる黒色真珠光沢粉体は、60°と20°の値が60以上であることが好適である。
【0016】
<黒色度>
本発明において、黒色度は以下のように評価した。すなわち、粉体1gを、15gの武蔵塗料社製ニトロンクリヤーラッカー6341に添加し、十分に混合して、白黒下地の隠蔽率試験紙に4ミルのアプリケーターで塗布した。そして、白地上での塗膜の色調がミノルタ社製分光測色計CM−2500dで測色し、ハンターのL,a,b表色値で表した。
本発明にかかる黒色真珠光沢粉体は、L値(明度)が25以下、a値が1.5以下、b値が−0.5〜−2.9であることが好適である。
【0017】
<隠蔽力>
本発明において、隠蔽力は以下のように評価した。すなわち、粉体1gを、武蔵塗料社製ニトロンクリヤーラッカー6341の15gに添加し、十分に混合して、白黒下地の隠蔽率試験紙に4ミルのアプリケーターで塗布した。そして、白地上と黒地上での塗膜の色調をミノルタ社製分光測色計CM−2500dで測色した。
本発明にかかる黒色真珠光沢粉体は、ハンターのL,a,b表色値で表したとき、白地上と黒地上での色差ΔEが1.0以下であることが好適である。
【0018】
<TiO
本発明において、TiOは以下のように測定した。粉体基盤に被覆されているチタンを熱硫酸で溶解させ、金属アルミニウムで還元してチタン量を定量し、そのチタン量と、該還元酸化粉体を大気中700℃で酸化させたときの重量増加値から酸化チタン化合物中の酸素量を定量した。
【0019】
本発明にかかる黒色真珠光沢粉体は、TiOのXが1.56〜1.75である。
なお、還元酸化粉体の化合物は、リガク社製X―線回折装置ミニフレックスで測定したとき、酸化チタンの化合物としてTiとTiが確認される。
なお、薄板状基盤粉体は天然雲母、合成雲母、酸化アルミニウム、酸化ケイ素から選択され、この基盤粉体が二酸化チタンで被覆されたものを原料とすることが好適である。
【0020】
また、原料基盤粉体が二酸化チタンで被覆された真珠光沢粉体は銀色光沢であることが好適である。
また、前記黒色真珠光沢粉体の粒子表面に無色金属酸化物及び/又は無色金属水酸化物で被覆することが可能である。この無色金属酸化物及び/又は無色金属水酸化物の金属がシリカ、アルミナ、ジルコニアから選択されるが好適である。
【0021】
更に、本発明者は、上記の黒色真珠光沢粉体及び/又は被覆黒色真珠光沢粉体を着色成分として含む、「着色用光沢組成物」を提供する。この「着色用光沢組成物」は、種々の具体的な態様、例えば、メーキャップ化粧料等の外用組成物、塗料組成物、印刷インキ組成物、粘着組成物等の態様を採り得る組成物である。
そして、この着色用光沢組成物の使用方法として、黒色真珠光沢組成物を、塗布面上に塗布し、その塗布面上に形成された粉体層において光干渉と特定な酸化チタン化合物の光吸収により黒色真珠光沢にさせることが好適である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明かかる黒色真珠光沢粉体は、アンモニア還元を行っていないので実質的に窒素を含有せず、金属チタンによる還元度調整により優れた黒色度、光輝性を有する黒色真珠光沢粉体を提供することができる。
【0023】
また、本発明にかかる黒色真珠光沢粉体の製造方法によれば、二酸化チタン被覆粉体を金属チタンにより一度強度に還元し、その後、再酸化して還元度を調整することとしたので、還元度の調整が開放雰囲気下で可能となり、製造が容易となるとともに、黒色度、真珠光沢も良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明にかかる黒色真珠光沢粉体及び/又は被覆黒色真珠光沢粉体とその製造方法は、薄板状基盤粉体が二酸化チタンで被覆された真珠光沢粉体に金属チタンを混合し、低酸素条件下で還元して、その後更に酸化雰囲気中で酸化焼成するものであり、光の干渉作用と特定な酸化チタン化合物の光の吸収作用とにより黒色の真珠光沢粉体が得られる。
【0025】
本発明の黒色の真珠光沢粉体は、従来における真珠光沢粉体の色調が銀色から干渉色で発色した有色真珠光沢粉体に対して、黒色の真珠光沢粉体であることに大きな特徴が認められる。
【0026】
本発明の黒色真珠光沢粉体及び/又は被覆黒色真珠光沢粉体の基盤粒子は、いわゆる薄板状粉体が二酸化チタンで被覆され銀色の真珠光沢粉体である。この銀色の真珠光沢粉体としては、市販されている銀色の真珠光沢粉体、例えば、メルク社製のイリオジンシリーズ、エンゲルハード社製のマグナパールシリーズ、CQV社製のReflexシリーズ等、また、通常公知の方法を用いて製造したものを用いることが出来る。例えば、トピー工業社製の合成マイカを用いて、常法で二酸化チタンを被覆した銀色の真珠光沢粉体を製造し、これを用いることが出来る。
【0027】
また、上記の基盤粒子、いわゆる薄板状粉体とは、天然雲母、合成雲母、酸化アルミニウム、酸化ケイ素から選択される。これらの中でも天然雲母と合成雲母は、その形状及び表面の均一性や粒子の大きさとその分布を制御することが比較的容易であり、更にその粒子表面に二酸化チタンを均一に被覆して銀色の真珠光沢粉体を製造する点においても基盤粒子として選択するに好ましい素材である。
【0028】
天然雲母に二酸化チタンや酸化鉄等の金属酸化物を被覆して、真珠光沢感を出す真珠光沢顔料は、従来から公知である。この種の真珠光沢顔料は、天然雲母であるために雲母中に不純物が含有していることから色の発色が悪く、余色も濁る欠点があった。そこで不純物を無くした合成雲母や板状酸化アルミニウム、板状酸化ケイ素を基盤として二酸化チタンや酸化鉄等を被覆した真珠光沢顔料として使用されていた。
【0029】
なお、基盤粒子の粒子径は特に指定しないが、平均粒子径が30μm以下であることが好ましい。この粒子径が30μm以上の場合には、金属チタンを混合して低酸素条件下での還元は十分に還元されるが、隠蔽力(カバー力:下地を隠す力)が弱くなり、下地色の影響を受け易くなり十分な黒色の光沢が得られなくなり、好ましくない。
【0030】
これらの基盤粒子が二酸化チタンで被覆された銀色の真珠光沢粉体に金属チタンを混合して低酸素条件下で還元する。金属チタンの混合量は基盤粒子の大きさにより多少異なるが、金属チタンの混合量は5質量%〜18質量%であることが好ましい。5質量%未満の場合には、二酸化チタンの還元が不十分であるために、酸化雰囲気中で焼成しても、黒色の真珠光沢粉体にならない。また、18質量%になると二酸化チタンの還元が進むと同時に固溶体による凝集が強くなり、真珠光沢としての光輝性が失われ、好ましくない。
【0031】
また、上記の低酸素条件下で還元する場合、金属チタンの混合量により還元温度は異なるが、700℃〜1000℃が好ましい。700℃未満では十分に二酸化チタンが還元出来ないために、酸化雰囲気下で酸化焼成しても、黒色の真珠光沢粉体にならない。1000℃以上では還元が進み過ぎて金属チタンとの固溶体による凝集が強くなり、真珠光沢としての光輝性が失われ、好ましくない。
【0032】
更に、上記の低酸素条件下で還元する場合には、還元効率を上げるために、不活性ガスである、アルゴンやヘリウムガス及びその混合ガスを流すことによって、熱伝導が良くなり還元効率が良くなる。
【0033】
上記の低酸素条件下で二酸化チタンを還元した低次酸化チタンを酸化雰囲気中で酸化焼成するが、焼成温度は還元度合いにより異なるが、200℃〜500℃で焼成することが好ましい。200℃未満では低次酸化チタンの酸化が起こらず、色調変化もない。500℃以上では低次酸化チタンの酸化が進みすぎて、低次酸化チタンが二酸化チタンに戻り、色調も銀色の真珠光沢粉体となり、好ましくない。
【0034】
上記の条件下で得られた、黒色真珠光沢粉体は、従来の真珠光沢粉体と同じように表面処理することが出来る。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びその混合物による耐光性や分散性改良処理、これを被覆黒色真珠光沢粉体とした。また、アルミやチタンのカップリング剤による疎水化処理。シリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物等での疎水化処理等が挙げられる。
【0035】
このように極めて優れた特性を有する本発明黒色真珠光沢粉体は、対象物の着色を第一義とする光沢組成物である「着色用光沢組成物」の配合成分として、非常に優れている。
【0036】
本発明に係わる着色用光沢組成物(以下本発明着色用光沢組成物という)については、上述のように対象物の着色という概念には「着色顔料」による着色のみならず、光の干渉を利用した光沢を付与することも含まれる。これを第一義とする組成物であり、その具体的な態様は、特に限定されず、例えば、メーキャップ化粧料等の外用組成物、塗料組成物、印刷インキ組成物、粘着組成物等の態様を採り得る組成物である。
【0037】
すなわち、本発明着色光沢組成物は、塗布面上に塗布し、その塗布面上に形成された複合粉体層において光干渉を惹起させて黒色光沢させることが出来る光沢組成物である。
【0038】
本発明着色光沢組成物における本黒色真珠光沢粉体の含有量は、組成物の具体的な態様や目的等によって、適宜選択され得るものであり、特に限定されるべきものではない。
以下、本発明着色光沢組成物が採り得る代表的な態様の組成物について説明する。
【0039】
(1)化粧料等の外用組成物の中でも、特にメーキャップ化粧料の役割には、美しく見せる、化粧の持ちを持続させる「美的役割」、気持の引き締め「心理的役割」、更には、肌を守る「保護的役割」が認められている。
これらの役割を十分に果たすためには、メーキャップ化粧料の色彩的要素を向上させると共に、使用性や持続性を向上させる事が不可欠である。
本発明にかかる粉体はこのような外用組成物に好適に用いられる。
【0040】
メーキャップ化粧料において、中心的役割を果たしている成分に粉体成分が挙げられる。この粉体成分の中でも顔料成分は、メーキャップ化粧料に使用感触の良さや、化粧の持続性を持たせたり、彩りを与えたり、その種類によってはさらに紫外線遮蔽効果等を発揮することにより上記の「保護的役割」を果たしている。
よって、顔料成分の色彩的要素を向上させると共に、化粧料の使用性と持続性に直結する要素を向上させることは、優れたメーキャップ化粧料を作り出す上での中心的な課題である。
【0041】
本発明外用組成物に、本発明着色光沢組成物を配合することにより、黒色の光沢が良く、しかも化粧料の持続性が飛躍的に向上した外用組成物が提供される。
外用組成物における本発明黒色真珠光沢粉体の配合量は、組成物の剤形や形態、さらに本発明着色光沢組成物を配合する目的等に応じて適宜選択することが可能であり特に限定されるべきものではなく、通常は、組成物中に0.1〜80.0重量%程度の範囲で配合される。
また、本発明外用組成物においては、本発明の所期の効果を損なわない限り、通常化粧料中に配合される他の成分を配合することが出来る。
【0042】
例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形又は半固形油分、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、トリグリセライド等の流動油分、シリコーン油等の油分、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン等の保湿剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤、顔料、防腐剤、香料、賦活剤、紫外線遮蔽剤等を適宜配合することが出来る。
【0043】
また、本発明外用組成物は、粉末状、ケーキ状、ペンシル、スティック状、液体状等の形態を採ることが可能であり、例えば、ファンデーション、口紅、アイシャドー、頬紅、アイライナー、ネイルエナメル、マスカラ等のメーキャップ化粧料、ヘアートリートメント、ヘアリキッド、セットローション等の毛髪化粧料等が本発明外用組成物の適応対象となり得るが、これらの中でも特にメーキャップ化粧料に配合することにより、本発明着色光沢組成物の優れた特徴を最大限に発揮させることが可能である。
【0044】
本発明外用組成物は、塗布面である肌上又は毛髪上に塗布し、この肌上又は毛髪上に形成された、複合粉体層において光干渉と特定な酸化チタン化合物の光吸収により、黒色真珠光沢が認められる。その黒色真珠光沢は、従来の真珠光沢顔料に比べ、黒色光沢が格段に強い。
【0045】
(2)本発明着色光沢組成物が塗料組成物(以下、本発明塗料組成物という)である場合
物に色彩を施す多くの場合は、有色の「塗料組成物」が用いられることが多い。塗料組成物は、最初は流動性を有し、物の表面に塗り広げて付着させ、その後乾燥過程を経て連続被膜を形成するための組成物である。
【0046】
そして、塗料組成物に対しても、より多彩な色彩を物に施すことが求められる現代にあっては、この顔料としても、前述のフリップ・フロップ効果を発揮することをはじめとして、より多彩な干渉色を付与し得る、真珠光沢顔料を用いることも求められている。
本発明着色光沢組成物は、前述のように、光干渉と特定な酸化チタン化合物の光吸収により黒色真珠光沢を物に付与し、これまでに得られなかった、光沢が得られるようになった点において優れている。
【0047】
このように、本発明は、前述の着色用光沢組成物として、塗料組成物をも提供する。本発明塗料組成物は、上述のように光沢顔料として、本発明黒色真珠光沢粉体を含有する。この本発明塗料組成物における本発明黒色真珠光沢粉体の配合量は、本発明塗料組成物の具体的な種類、目的等に応じて適宜選択しえるものであり、全く限定されるものではないが、特に本発明にかかる粉体は、黒色真珠光沢粉体であるために、従来の真珠光沢顔料に比べて、より多くの量を配合しても、均一に対象物に塗布することが出来、より黒色が強く発色することが容易である。
【0048】
本発明塗料組成物には、この本発明黒色真珠光沢粉体の他に、通常、塗料組成物中に配合され得る要素が、本発明の所期の効果を損なわない限度で、配合され得る。
具体的には、塗膜形成要素として、重合油、天然もしくは合成樹脂、セルロースやゴム誘導体等の高分子物質等の塗膜形成主要要素;可塑剤、乾燥剤、硬化剤、皮張り防止剤、流動性調整剤(増粘剤、平坦化剤等)、たれ防止剤、防腐剤、防黴剤、防さび剤、紫外線吸収剤等の塗膜形成助要素;本発明黒色真珠光沢粉体以外の顔料等を、本発明塗料組成物中に配合することが出来る。
【0049】
また、塗膜形成要素を熔解するための溶剤も、適宜選択して用いることが出来る。本発明塗料組成物においては、塗布面に塗布し、この塗布面上に形成された、複合粉体層において光干渉と酸化チタンの特定な化合物による光の吸収により、黒色真珠光沢が認められる。
【0050】
この本発明塗料組成物は、各種の塗料、例えば、建築塗料、石材塗料、車両塗料、船舶・船底塗料、木材塗料、機具塗料、標識塗料、電気絶縁塗料、導電・半導電塗料、大約品性塗料、防食塗料、耐熱塗料、防火塗料、示温塗料、発光塗料、殺虫塗料等に広くもいいる事が可能である。
【0051】
(3)本発明着色光沢組成物が印刷インキ組成物(以下、本発明印刷インキ組成物という)である場合:印刷インキ組成物とは、原稿又は版等で規定された像を、印刷手段によって、被印刷物の表面に形成して固定化する像形性材料として用いる組成物である。
【0052】
この印刷インキ組成物は、印刷工程において支障なく印刷物を作成するに必要な特性である「印刷発色」を有する、という点において、上述の塗料組成物とは区別される。
そして、印刷インキ組成物においても、より多彩な印刷を提供する必要性から、上述の塗料組成物と同様に、色料として真珠光沢顔料を用いることが検討されている。
【0053】
本発明黒色真珠光沢粉体は、前述のように、黒色の光沢を物に付与するという点に於いても、印刷インキ組成物の色料として優れ、さらに、黒色光沢粉体であるので、これを色料とした印刷インキ組成物を用いて提供された印刷物は、隠蔽力の強い黒色光沢が効果的に得られるという点に於いても優れている。
この様に、本発明は、前述の着色用組成物として、印刷インキ組成物をも提供する。
【0054】
本発明印刷インキ組成物は、上述のように色料として、本発明黒色真珠光沢粉体を含有する。この本発明印刷インキ組成物における本発明黒色真珠光沢粉体の配合量は、本発明印刷インキ組成物の具体的な種類、目的等により要求される印刷適性に応じて適宜選択子得る物であり、全く限定される物ではないが、特に、本発明黒色真珠光沢粉体は、黒色光沢粉体で隠蔽力がつよいことから、従来の真珠光沢顔料に比べて、黒色真珠光沢が容易に得られるようになった。
本発明印刷インキ組成物には、この本発明黒色真珠光沢粉体の他に、通常、印刷インキ組成物中に配合され得る要素が、本発明の初期の効果を損なわない限度で、配合され得る。
【0055】
具体的には、色材として、本発明黒色真珠光沢粉体以外の顔料や染料;ビヒクルとして、油(亜麻仁油、きり油等の植物油、インキオイル、ソルベント類等の鉱物油等)、樹脂(ギルソナイト、ロジン等の天然樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂、エステルガム等の合成樹脂等)、可塑剤、ワックス、溶剤等;助剤として、乾燥制御剤(ドライヤー、皮張り防止剤等)、粘度制御剤(コンパウンド、増粘剤、腰切剤等)、分散性制御剤(分散剤、色分かれ防止剤、安定剤等)、色調整剤(トナー、つや消し剤等)、反応剤(光重合開始剤、触媒、架橋剤等)、その他、湿潤剤、消泡剤、防かび剤等を、本発明印刷インキ組成物中に配合することが出来る。
【0056】
本発明印刷インキ組成物においては、塗布面に塗布し、次いで印刷工程を経た上で、この塗布面上に形成された、複合粉体層において光干渉と酸化チタンの特定な化合物による光の吸収により、黒色真珠光沢が認められる。
この本発明印刷インキ組成物は、各種の印刷インキ、例えば、平版印刷インキ、グラビア印刷インキ、凸版印刷インキ、スクリーン印刷インキ、フレキソ印刷インキ、凹版印刷インキ、各種の特殊印刷インキ等として広く用いることが可能である。
【0057】
この様に、本発明着色光沢用組成物は、多くの態様を有するが、
上述した態様に本発明着色光沢用組成物の態様が限定される物ではない。例えば、後述する実施例において示すような、本発明黒色真珠光沢粉体をプラスチックにおいて練り混んだ、「プラスチック着色物」も、本発明着色光沢組成物である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に開示するが、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
なお、本実施例における配合量は特に断らない限り、重量部である。また、製造例等で示した数値の測定方法は次の通りである。
【0059】
a)光沢度測定法
本黒色真珠光沢粉体1gを、武蔵塗料社製ニトロンクリヤーラッカー6341の15gに添加し、ラボディスパーで十分に混合分散して、白黒下地の隠蔽率試験紙に4ミル(0.101mm)のアプリケーターで塗布した。そして、白地上での塗膜の光沢度を、堀場製作所製グロスチェッカーIG−300で60°と20°で測定した値を示した。
【0060】
b)測色値L,a,bの測定法
本黒色真珠光沢粉体1gを、武蔵塗料社製ニトロンクリヤーラッカー6341の15gに添加し、ラボディスパーで十分に混合分散して、白黒下地の隠蔽率試験紙に4ミル(0.101mm)のアプリケーターで塗布した。そして、白地上での塗膜の色調をミノルタ社製分光測色計CM−2500dで測定し、ハンターのL,a,b表色値で表した値を示した。
【0061】
c)隠蔽率の測定法
本黒色真珠光沢粉体1gを、武蔵塗料社製ニトロンクリヤーラッカー6341の15gに添加し、ラボディスパーで十分に混合分散して、白黒下地の隠蔽率試験紙に4ミル(0.101mm)のアプリケーターで塗布した。そして、白地上と黒地上での塗膜の色調をミノルタ社製分光測色計CM−2500dで測定し、ハンターのL,a,b表色値で表し、白地上と黒地上での色差ΔE値を示した。
色差ΔEは次式で求めた。
ΔE={(L−L+(a−a+(b−b}1/2・・1式
w:白下地上の値、b:黒下地上の値
【0062】
d)酸化チタン化合物中の酸素量測定法
本黒色真珠光沢粉体約3gを50cmの坩堝に正確に計り取り、大気中750℃で2時間焼成した。放冷後重量を計り黒酸化チタンが二酸化チタンに変化した、重量増加分を求める。
本黒色真珠光沢粉体の750℃焼成品0.2gを正確に計り取り、三角フラスコ500cmに移し入れる。少量の純水を加え振り混ぜて乳状とし、濃硫酸30cm,及び硫酸アンモニウム12gを加え、電熱器で加熱する。始めは徐徐に加熱し、最後に強熱して溶かす。冷却後、純水80cmと、塩酸80cmを加え、良く振り混ぜる。金属アルミニウム3gは、塩酸(1+5)で洗浄する。三角フラスコに洗浄した金属アルミニウムを加え、ヒーターで温めながら水素を発生させる。金属アルミニウムが完全に溶けて、液が透明な紫になった後、数分間放置し、流水で50℃以下になるまで冷却する。飽和チオシアン酸カリウム溶液3cmを指示薬として、直ちに0.1mol/l硫酸アンモニウム鉄(III)溶液で滴定する。液のうすい褐色が30秒間消えない点を終点とする。
次式より二酸化チタン(%)を求めた。
【0063】
A=(0.00799Bf/S)100・・・・・・・・2式
A:二酸化チタン(%)
B:滴定に要した硫酸アンモニウム鉄(III)溶液の量(cm)
f:硫酸アンモニウム鉄(III)溶液のファクター
S:試料の重量(g)
A値から二酸化チタン量(agとする)と薄板状基盤粉体量を求める。更に、本黒色真珠光沢粉体の量から薄板状基盤粉体量を減じて黒酸化チタン量(bgとする)を求め,a/bの重量増加率とTiOxの関係は次式で求められる。
【0064】
Y=−0.39X+1.1698 ・・・・・・・・・3式
Y:重量増加率
X:TiOxのXの値
【0065】
e)結晶構造解析測定法
本黒色真珠光沢粉体を、リガク社製X−線回折装置ミニフレックスで、Cu対陰極30Kv・15mA・Kβフィルター・粉体セル法で測定する。回折線から酸化チタン化合物の同定を行なう。
【0066】
(製造例1)日本光研工業(株)が販売している,平均粒子径20μmのアルテミカSC−100のシルバー色15Kgを計りこれに金属チタン1.95Kgを加えて、ヘンシェルミキサーで混合した。混合粉体を反応容器に充填し、真空装置で真空にし、真空度が10−1Paに到達したら、加熱を開始し、850℃で10時間反応させた。反応終了後アルゴンガスを流して冷却を早くした、
内部温度が200℃以下を確認してから、反応容器から還元粉体を取り出した。該還元粉体をパルベライザーで粉砕し、風簸分級にて、金属チタンを取り除いた。また、該分級した還元粉体を大気中300℃で3時間酸化焼成した。製造した粉体は14.5Kgで黒色の真珠光沢を有していた。該製造黒色真珠光沢粉体14Kgにイソプロピルアルコール0.45Kgと信越化学工業(株)社製シリコーンKF−9909を0.45Kg加えてヘンシェルミキサーで混合し、140℃で5時間シリコーン処理した。シリコーン被覆黒色真珠光沢粉体14Kgを得た。
まず、本発明者らは製造例1に準じて各種製法で黒色真珠光沢粉体を調製し、その外観を観察した。その結果を次の表1に示す。
【0067】
表1
試験例 1−1 1−2 1−3 1−4 1−5
TiO 1.59 1.61 1.65 1.64
製法 還→酸 還元のみ 還→酸 還元のみ アンモニア還元
光沢 ◎ × ◎ × ○
外観色 真黒色 真黒色 真黒色 真黒色 真黒色
表1より明らかなように、アンモニア還元を行った場合(試験例1−5)には、光沢、真黒色ともに満足のいくものであったが、製造工程で有毒のアンモニアガスを用いるため、管理は極めて困難であった。
【0068】
また、金属還元のみにより還元度の調整を行った場合(試験例1−2,1−4)には真黒色は満足のいくものであったが、光沢が十分に得られず、しかも還元度の調整は高温の密封容器中で行わなければならないため、再現性を得ることは困難であった。
これに対し、十分な金属還元を行った後、再酸化を行った場合(試験例1-1,1-3)には真黒色とともに極めて良好な光沢が得られ、しかも還元度の調整は酸化雰囲気(大気中)で行うことができるため、再現性良く製造が可能であった。
【0069】
このように還元度が略同一であっても、還元工程で還元度の調整を行う場合と、一度、過度に還元を進行させ、再酸化させた場合とでは、光沢に差を生じる。
そこで本発明者らは還元を1.50以下にまで進行させ、その後に再酸化させて黒色真珠光沢粉体を調整することとした。
次に本発明者らは再酸化時の還元度調整について詳細な検討を行った。なお、製造方法は前記製造例1に準じた。結果を表2に示す。
【0070】
表2
試験例 2−1 2−2 2−3 2−4 2−5 2−6 2−7 2−8
TiO 1.50 1.56 1.58 1.59 1.63 1.72 1.74 1.77
光沢 △ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○
外観色 赤黒色 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ 青黒色
表2より明らかなように、真黒色は1.56〜1.75程度で得られるが、特に優れた真黒色及び光沢が得られるのは1.58〜1.72であった。特に還元度が高い場合(試験例2−1)には、赤黒色となり、単に還元度を高めることでは真黒色は得られない。一方、還元度が低めの場合(試験例2−8)には青黒色となり、やはり真黒色は得られないことが理解される。
さらに本発明者らは以下に示す各種の製造試験を行い、さらにその評価を表3に示す。
【0071】
(製造例2)メルク社製、平均粒子径8μmのイリオジン111のシルバー色12Kgを計りこれに金属チタン1.8Kgを加えて、ヘンシェルミキサーで混合した。混合粉体を反応容器に充填し、真空装置で真空にし、真空度が10−1Paに到達したら、加熱を開始し800℃で10時間反応させた。反応終了後アルゴンガスを流して冷却を早くした。内部温度が200℃以下を確認してから、反応容器から還元粉体を取り出した。該還元粉体をパルベライザーで粉砕し、風簸分級にて、金属チタンを取り除いた。又、該分級した還元粉体を大気中320℃で2時間酸化焼成した。製造した粉体は11Kgで黒色の真珠光沢を有していた。該黒色真珠光沢粉体11Kgを200dmの反応釜に入れ、これに硫酸アルミニウム0.55Kg,尿素1.1Kg,上水150Kg加えて撹拌しながら昇温し、95℃で3時間熟成反応させた。放冷後水洗し、これにメタ珪酸ナトリウム0.21Kgを溶解させた上水40dmとオキシ塩化ジルコニウム0.185Kgを溶解させた上水40dmとを加え、更に上水を加えて150dmとして60℃以上の温度で3時間熟成反応させる。水洗・乾燥後アルミニウム・珪酸・ジルコニウムの水酸化物で表面処理した。アルミニウム・珪酸・ジルコニウムの水酸化物被覆黒色真珠光沢粉体11Kgを得た。
【0072】
(製造例3)エンゲルハード社製、平均粒子径18μmのマグナパール1100のシルバー色14Kgを計りこれに金属チタン1.96Kgを加えて、ヘンシェルミキサーで混合した。混合粉体を反応容器に充填し、真空装置で真空にし、真空度が10−1Paに到達したら、加熱を開始し780℃で10時間反応させた。反応終了後アルゴンガスを流して冷却を早くした。内部温度が200℃以下を確認してから、反応容器から還元粉体を取り出した。該還元粉体をパルベライザーで粉砕し、風簸分級にて、金属チタンを取り除いた。又、該分級した還元粉体を大気中310℃で2時間酸化焼成した。製造した粉体は13.5Kgで黒色の真珠光沢を有していた。該製造黒色真珠光沢粉体13Kgを200dmの反応釜に入れ、これに硫酸アルミニウム0.65Kg,尿素0.98Kg,上水150Kg加えて撹拌しながら昇温し、95℃で3時間熟成反応させた。放冷後水洗し、150℃で10時間乾燥しアルミナ処理粉体13Kgを得た。該アルミナ処理粉体13Kgに味の素ファインテクノ(株)製プレンアクトKR55(カップリング剤)を0.26Kgとキシロール1.3Kgとを添加して、ヘンシェルミキサーで混合し混合後150℃で10時間処理した。アルミナ・カップリング剤被覆黒色真珠光沢粉体13Kgを得た。
【0073】
(製造例4)メルク社製、平均粒子径15μmのイリオジン121のシルバー色13Kgを計りこれに金属チタン1.82Kgを加えて、ヘンシェルミキサーで混合した。混合粉体を反応容器に充填し、真空装置で真空にし、真空度が10−1Paに到達したら、加熱を開始し800℃で10時間反応させた。反応終了後アルゴンガスを流して冷却を早くした。内部温度が200℃以下を確認してから、反応容器から還元粉体を取り出した。該還元粉体をパルベライザーで粉砕し、風簸分級にて、金属チタンを取り除いた。又、該分級した還元粉体を大気中290℃で3時間酸化焼成した製造した粉体は12.5Kgで黒色の真珠光沢を有していた。該製造黒色真珠光沢粉体12Kgを200dmの反応釜に入れこれに150dmの上水を加え撹拌しながら、旭硝子(株)製アサヒガードAG−530(フッ素処理剤)を2.2Kg加え、これに10%塩酸水溶液を滴下してpHを4にした。撹拌しながら1時間熟成反応させた。ろ過・水洗後150℃で16時間乾燥させ、フッ素被覆黒色真珠光沢粉体12Kgを得た。
【0074】
(製造例5)メルク社製、平均粒子径22μmのイリオジン103のシルバー色16Kgを計りこれに金属チタン2.08Kgを加えて、ヘンシェルミキサーで混合した。混合粉体を反応容器に充填し、真空装置で真空にし、真空度が10−1Paに到達したら、加熱を開始し850℃で10時間反応させた。反応終了後アルゴンガスを流して冷却を早くした。内部温度が200℃以下を確認してから、反応容器から還元粉体を取り出した。該還元粉体をパルベライザーで粉砕し、風簸分級にて、金属チタンを取り除いた。又、該分級した還元粉体を大気中300℃で3時間酸化焼成した。製造した粉体は15.5Kgで黒色の真珠光沢を有していた。
【0075】
上記製造例で製造された本黒色真珠光沢粉体の粉体特性値を表1に示した。表から分かるように、いずれの製造例から製造した粉体は、光沢があり、明度が低く、色相のa,b値が小さく、しかも隠蔽率が小さい(隠蔽力が強い) 黒色真珠光沢粉体であった。また、表面処理前の黒色真珠光沢粉体のX―線回折の測定結果を図1に示した。図から分かるように、黒色真珠光沢粉体はマイカとTiとTiが確認できる.
【0076】
【表3】


【0077】
これらの本黒色真珠光沢粉体を以下の配合例等において用いた。
〔配合例1〕粉末固形タイプ眉目化粧料
配合成分 配合量(重量部)
1.製造例1のシリコーン被覆黒色真珠光沢粉体 32.0
2.タルク 52.8
3.ラノリンワックス 10.0
4.流動パラフィン 4.0
5.パラオキシ安息香酸プロピル 適 量
6.酸化防止剤 適 量
7.香料 適 量
【0078】
〈製法〉上記1〜2をヘンシェルミキサーで混合したものに、加熱溶解混合した3〜7を添加して混練した。パルベライザーで粉砕して、篩を通過させて中皿にプレス成形した。かかる眉目化粧料はブラシを濡らして用いるとアイライナーとして、乾いたブラシを用いるとアイブローとして、マスカラ用ブラシを用いるとマスカラとして使用することが出来る。また、比較例1としては1.の成分をシリコーン処理黒色酸化鉄とした。
【0079】
〔配合例2〕被膜タイプマスカラ
配合成分 配合量(重量部)
1.精製水 50.0
2.カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
3.1,2ペンタンジオール 3.0
4.製造例4のフッ素被覆黒色真珠光沢粉体 12.0
5.酢酸ビニル樹脂エマルション 28.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 適 量
7.香料 適 量
8.エタノール 5.0
〈製法〉上記1.に2.3を添加して加熱溶解し、4.を加えてコロイドミルで処理する。5.を添加して撹拌し、均質化した後、6.7を8.に溶解してこれを添加し、更に混合する。また、比較例2として4.の成分をフッ素処理黒酸化鉄とした。
【0080】
〔配合例3〕鉛筆タイプ眉目化粧料
配合成分 配合量(重量部)
1.カルナバロウ 8.0
2.ミツロウ 20.0
3.オゾケライト 10.0
4.マイクロクリスタリンワックス 10.0
5.ワセリン 8.0
6.ラノリン 5.0
7.流動パラフィン 7.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 4.0
9.製造例5の黒色真珠光沢粉体 28.0
【0081】
〈製法〉上記1.〜8の成分を加熱溶解した後、9を添加してロールミルで混練する。これを、エクストルーダーを用いて直径5mmに押し出し成型する。溝を有する木部で、成型した芯を縫合して圧着する。これを切削して外形を鉛筆型に成型し、木部に塗装、刻印などを施して製品とする。また、比較例3としては9.の成分を黒酸化鉄とした。
上記本発明の配合例及び比較例について、塗布時の、艶、仕上がり色の自然さ、仕上がりの色むらに対する評価を行った。評価者は、専門パネル10名による1〜5の5段階評価を行い、その平均値をとって下記の記号で表4に表示した。
【0082】
◎:4.5以上、5.0以下
○:3.5以上、4.5未満
△:2.5以上、3.5未満
×:1.5以上、2.5未満
××:1.0以上、1.5未満

【表4】


【0083】
この表4から、配合例1の粉末固形タイプ眉目化粧料、配合例2の被膜タイプマスカラ、配合例3の鉛筆タイプ眉目化粧料は塗布時の艶、仕上がり色の自然さ、仕上がりの色むらが無く、美しく改善する効果を有していることが明らかになった。
【0084】
〔配合例4〕塗料組成物
配合成分 配合量(重量部)
1.熱可塑性アクリル樹脂 78.3
2.製造例2のアルミ・シリカ・ジルコ被覆
黒色真珠光沢粉体 8.7
3.酢酸ブチル 13.0
【0085】
〈製法〉上記1〜3の成分をディスパーで均一に分散させて塗料組成物を得た。
この配合例4の塗料組成物を厚さ2mmの軟鋼板に塗膜厚さが約30μmになるようにスプレーガンで塗装し、25℃で30分間放置後、140℃で20分焼き付け処理した。得られた塗膜は黒色の強い光沢を有していた。
【0086】
〔配合例5〕印刷用インキ組成物
配合成分 配合量(重量部)
1.製造例3のアルミナ・カップリング剤被覆
黒色真珠光沢粉体 14.0
2.エチレン酢酸ビニル共重合樹脂 7.5
3.塩化ポリプロピレン 5.5
4.酢酸ブチル 40.0
5.酢酸エチル 29.0
6.イソプロピルアルコール 3.0
7.ポリエチレンワックス 0.8
8.静電防止剤 0.2
〈製法〉上記1〜8の成分を秤取り、ビーズミルで混合分散して印刷用インキ組成物を得た。
この配合例5の印刷用インキ組成物を用いて、乾燥後の厚さ60μmになるように白紙上に印刷を行なったところ、塗装体は黒色の強い光沢を有していた。
【0087】
〔配合例6〕印刷用インキ組成物
配合成分 配合量(重量部)
1.製造例1のシリコーン被覆黒色真珠光沢粉体 15.0
2.アクリル樹脂 20.0
3.ナフサ 35.0
4.ブチルセロソルブ 30.0
〈製法〉上記1〜4の成分を秤取り、ビーズミルで混合分散して印刷用インキ組成物を得た。
この配合例6の印刷用インキ組成物を用いて、乾燥後の膜厚が50μmになるように白紙上印刷を行なったところ、塗装体は黒色の強い光沢を有していた。
【0088】
〔配合例7〕塗装用粘着シート
配合成分 配合量(重量部)
1.アクリル系粘着剤(東洋インキ社製1109) 89.3
2.硬化剤(東洋インキ社製8515) 1.8
3.製造例4のフッ素被覆黒色真珠光沢粉体 8.9
〈製法〉上記1〜3の成分を秤取りディスパーで混合分散し、これを乾燥後の膜厚が30μmになるように厚さ50μmのポリエステルシートに塗布し、乾
燥後薄利ライナーを貼り合わせ、塗装用粘着シートを得た。
得られた塗装用粘着シートは黒色の強い光沢を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】粉体のX―線回折法による、製造例1〜5の回折線を示したものである。この回折線は化合物を同定するのに用いた図である。
【出願人】 【識別番号】594053590
【氏名又は名称】日本光研工業株式会社
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成18年11月13日(2006.11.13)
【代理人】 【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司


【公開番号】 特開2008−120914(P2008−120914A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−306171(P2006−306171)