トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用

【発明の名称】 整列可能な回折顔料フレーク
【発明者】 【氏名】アルゴチア,アルベルト

【要約】 【課題】複数の顔料フレークを提供する。

【解決手段】回折顔料フレークを選択的に整列させて画像を形成する。一実施形態では、磁性層を有するフレークが磁場で整列しやすいような形状を付与される。別の実施形態では、フレークは磁気的に不連続な層を含む。特定の実施形態では、回折格子パターン上にニッケルを堆積すると、格子パターンに沿った磁針を生じ、得られる回折顔料フレークを磁気的に整列させることができる。磁気的に整列したフレーク試験試料のカラー・スキャンは、磁性回折顔料フレークの整列方向に平行な照射と垂直な照射との間で大きな違いを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顔料フレークであって、前記フレークのそれぞれが反射層、誘電体層および吸収体層を備え、前記層がポリマー支持層の上に堆積されていることを特徴とし、かつ前記フレークのそれぞれが少なくとも20ミクロンの表面差し渡し寸法を有する、複数の顔料フレーク。
【請求項2】
前記ポリマー支持層がその第2の表面に堆積された第2の被膜を有する、請求項1に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項3】
前記第2の被膜が反射層、誘電体層および吸収体層を含む、請求項2に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項4】
前記反射層が磁性層である、請求項1、2または3に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項5】
さらに磁性層を備えた、請求項1、2または3に記載の複数の顔料フレーク。
【請求項6】
前記フレークが選ばれた形状を付与されている、請求項1、2、3または4に記載の複数の顔料フレーク。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光回折構造をもつ顔料と、回折性光学的可変画像デバイス(diffractive optically variable image device、「DOVID」)、例えば、配向性(orientable)回折顔料フレーク、ならびにステレオグラム、キネグラム(kinegram)、グラフィック要素配向デバイス(graphic element−oriented device)、ドット配向デバイス、およびピクセル配向デバイス、さらに配向した光学的変化顔料フレークに関する。
【背景技術】
【0002】
光学的可変顔料(optically variable pigment、「OVP」(登録商標))は、多様な用途に使用される。それらは、塗料もしくはインクに、あるいはプラスチックと混合して使用され得る。このような塗料もしくはインクは、装飾のために、あるいは、紙幣の偽造防止手段として使用される。OVPの1つのタイプでは、光干渉構造を形成する、基板上の幾層かの薄膜が用いられる。通常、誘電体(スペーサ)層が反射体上に形成され、次に、スペーサ層上に光吸収材料の層が形成される。例えば、さらなるスペーサ−吸収体層ペアの付加のように、さらなる効果のための付加層を追加してもよい。別法として、(高−低−高)または(低−高−低)誘電体、あるいは両方の組合せからなる光学的スタックを作製してもよい。
【0003】
別のタイプの顔料では、パターン、例えば一連の溝が回折干渉構造を作り出すために使用される。回折顔料は、印刷物にも、また塗料、例えば自動車塗料にも、虹色の(iridescent)効果を生み出すために使用されている。
【0004】
望みの効果を実現するために回折干渉を利用する他の製品があり、一般に、回折性光学的可変画像デバイス(「DOVID」)として知られている。いくつかのDOVIDは、それらが見られる角度に応じて様々な画像を与える。例えば、いくつかのタイプのDOVIDでは、1つの印刷対象を別のものの前に出現させる、視角(viewing angle)に基づいて一連の画像を与える、あるいは、見る角度が変わるにつれて、2次元の画像が動いて見えるようにすることができる。他のDOVIDでは、1つの視角では現われ、別の視角では消える画像をもつであろう。DOVIDは、銀行券、クレジット・カード、ソフトウェア伝達媒体、および他の高価値ドキュメントの偽造防止のために、また装飾のために使用されている。特定のタイプのDOVIDが、「ピクセル−グラム(pixcel−gram)」として知られている。ピクセル−グラムは、様々な線状回折領域(ピクセル)の一様でない空間分布に基づいている。回転するか傾けられると様々な画像が現われ得る、あるいは消え得るので、ピクセル−グラムは、高品質カラー写真複写機でさえ画像の変化する効果を複写しないであろうから、偽造が困難である。
【0005】
ホログラム原盤上にホログラフィ微細構造を形成するのに使用される技術、例えば、干渉法、ホログラフィ、化学エッチング、イオン・ビーム・リソグラフィ、および電子線リソグラフィは、比較的複雑で費用がかかる。ホログラム原盤が作製された後、通常、原盤から複製成形型(replication tool)が作り出される。複製成形型は表面の起伏のある微細構造をポリマー箔(foil)に加圧転写し、次に、その箔はその背面にアルミニウム蒸着される。次に、その箔はドキュメント上に貼り付けられる。ホログラム原盤は、新しいそれぞれの画像に対して、あるいは、ホログラム原盤が摩耗した場合に、作製されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、DOVIDを製造するための、より簡単な物品と方法が求められているであろう。様々な光学効果を実現するために、顔料フレークを望みの配向に整列させることができれば、さらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
回折格子をもつ顔料粒子が、選択的に整列させられて、1つまたは複数の画像を形成する。異なるフィールドは、異なる回折顔料で、あるいは、選ばれた方向に整列した回折顔料で印刷され得る。同じく、異なる、また/もしくは、異なる整列をした回折顔料の、ピクセルまたはドットを用いて、画像を作り出すことができる。本発明の一実施形態は、印刷されたピクセルグラムであり、別の実施形態はドットDOVIDであり、さらに別の実施形態はキネグラムである。
【0008】
本発明の別の実施形態では、基材(medium)に付けられる前、その間、またはその後に、磁場内で顔料フレークが整列し易いように、磁性材料の層をもつ顔料フレークに形状が付与され得る。別の実施形態では、ランダムな形状のフレークが、磁場内でフレークが整列し易いように、形状を付与された磁気構造体を含む。特定の実施形態では、磁性材料の層がパターン化された下層(例えば、回折格子パターン)上に選ばれた厚さまで堆積されて、磁針(magnetic needle)のような不連続磁性層を形成する。別の実施形態では、例えば、溝があるか、または形状を付与された粒子の上にブレードを引くことにより、あるいはロールにより、回折フレークが機械的に整列させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
I.序
一実施形態では、本発明は磁気配向性回折顔料フレークを提供する。特定の実施形態では、磁気配向性回折顔料フレークは、DOVIDを含めて、画像を印刷するために使用される。回折顔料フレークは通常、色彩、明度、色相、および/または彩度が見る角度に応じて様々に知覚される、塗料、インク、フィルム、プラスチックに使用される小さな粒子である。いくつかの回折顔料、例えばファブリ−ペロー型の干渉構造を含むものは、回折効果を与えるだけでなく、観察される色をシフトさせる。誘電体層を用いる薄膜干渉構造もまた、微細構造回折パターンと組み合わせることができる。いくつかの実施形態は、スペーサ層および吸収体層と組み合わせて回折反射体層を含んでいて、回折と薄膜干渉の両方を有するフレークとなる。
【0010】
回折格子をもつ顔料は、プリズムに似て、光をスペクトル成分に分離するので、知覚される色は、視角で変わる。顔料フレークが磁性材料を含む場合、顔料フレークを磁場で配向させ得ることが見出された。この出願では、「磁性」材料は、フェロ−またはフェリ磁性であり得る。ニッケル、コバルト、鉄、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、ならびにこれらの合金と酸化物、Fe/Si、Fe/Ni、Fe/Co、Fe/Ni/Mo、SmCo、NdCo、SmCO17、NdFe14B、TbFe、Fe、NiFe、およびCoFeは、磁性材料のいくつかの例である。磁性層、または磁性層の磁性材料は、永久磁化が可能である必要はないが、そうであってもよい。いくつかの実施形態では、永久磁化可能な磁性材料がフレークに含まれるが、フレークが付けられて画像を形成し終えるまでは、磁化されないままである。さらなる実施形態では、永久磁石材料を有するフレークは基板に付けられて視覚画像を形成し、その後で磁化されて、視覚画像に加えて磁気画像を生成する。いくつかの磁性フレークは、画像形成、あるいは、塗料またはインクのビヒクルとの混合の前に残留磁化が大きすぎる場合には凝集する傾向がある。
【0011】
II.フレーク構造の例
図1Aは、本発明の実施形態による被覆フレーク10の単純化された横断面である。一連の薄膜層が基板12上に堆積されている。薄膜層は、磁性材料の層14、14’、反射材料層16、16’、および付加層18、18’を含む。付加層は、例えば、特定の干渉波長をもつように選ばれた厚さをもつ誘電体のスペーサ層18、18’および吸収体層19、19’であり得る。被覆フレークは、基板12の両側に対称な皮膜をもつように示されているが、皮膜は非対称であってもよく、一方の側には全く何も無いといことさえもあり得る。同じく、フレークは一連の皮膜層により包み込まれていてもよい。様々なカラー・シフト、選択的吸収/反射、および他の光学的効果を実現するための、多くの光学的な構成が知られている。別の実施形態では、基板12が磁性材料であり、磁性材料14の別個の層は省かれる。さらに別の実施形態では、基板は反射性で磁性もあり、反射層16もまた省かれる。さらに別の実施形態では、反射層が磁性材料であり、磁性材料の別個の層は省かれる。別の実施形態では、(複数の)吸収体層が磁性層であり得る。
【0012】
適切な基板は、ガラス、マイカ、アルミナ、酸化鉄、グラファイト、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、ポリマーまたは金属あるいは同様の粒子のような材料から形成され得る。適切な反射体材料の例には、アルミニウム、鉄、タンタル、イリジウム、レニウム、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、ニオブ、クロム、スズ、および組合せまたは合金が含まれる。スペーサ層に適する材料には、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、ダイヤモンドライク・カーボン、酸化インジウム(In)、インジウム・スズ・酸化物(「ITO」)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化鉄、例えば酸化二鉄(III)鉄(II)(Fe)および酸化鉄(Fe)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジウム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、三酸化アンチモン(Sb)、シリコン(Si)、一酸化ケイ素(SiO)、ゲルマニウム(Ge)、三酸化セリウム(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(A1)、金属フッ化物、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AIF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えば、NaAlFまたはNaAI14)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)、およびこれらの組合せ、さらに、アクリレート(例えばメタクリレート)、パーフルオロアルケンのようなジエンまたはアルケン、ポリテトラフルオロエチレン(例えばTEFLON(登録商標))、フッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)が含まれる有機モノマーおよびポリマー、およびこれらの組合せなどが含まれる。適切な吸収体材料の例には、クロム、ニッケル、鉄、チタン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ニオブ、これらの組合せ、化合物または合金、例えば、インコネル(商標)(Ni−Cr−Fe)、誘電体マトリックに混合された金属、あるいは、可視スペクトルの一様なまたは選択的な吸収体として機能し得る他の物質が含まれる。別法として、吸収体は、酸化鉄(例えば、Fe)、一酸化ケイ素(SiO)、酸化クロム(Cr)、カーボン、亜酸化チタン(TiO、xは2.0より小さい)、金属炭化物、金属炭化−窒化物、これらの組合せなどでもあり得る。金属吸収体層は、通常、その吸収体層を通してかなりの光が透過し得るように十分に薄い層として堆積される。
【0013】
特定の実施形態では、基板はガラス・フレークであり、磁性材料はNi−Coであり、反射層はアルミニウムである。付加層18は、SiOまたはTiOのような誘電体を含み、吸収体材料は、金属、または窒化チタン(TiN)のような金属間の半透明層である。これらの材料は、可能な実施形態の単なる例であり、他の多くの適切な材料と組合せが知られている。
【0014】
反射層16と次の薄膜層18は、強いカラー・シフトが可能であり、フレークの視角が変化するので、「カラー・トラベル(color travel)」とも呼ばれるファブリ−ペロー干渉フィルタを形成する。透明塗料、プラスチック、または他の媒体のようなバインダ中に分散させると、総合的な効果は、対象の色が視角と共に変化するということであり、これは、対象と見る者の間の相対的な運動のために、あるいは、対象が曲面を含んでいるために、起こり得ることである。他の実施形態では、反射体層が省かれる、あるいは、ファブリ−ペロー干渉構造をもたないことがあり、ある場合には銀色をしている。
【0015】
図1Bは、本発明の別の実施形態による回折フレーク20の単純化された横断面である。反射体層22、22’は、基板表面の正弦波変動として横断面に示されている周期構造に、例えばエンボス加工されてパターン化されており、磁性層24が含まれる。別の実施形態では、反射体層は、エンボス加工された反射性磁性材料であり、別個の磁性層24は省かれる。磁性層はエンボス加工されていないように示されているが、別の実施形態ではエンボス加工されていてもよい。別の実施形態では、磁性層は不連続であり、回折格子の構造に沿って形成される。別の実施形態では、エンボス加工された層はフレークの片側にだけ備わる。
【0016】
特定の実施形態では、基板、例えばポリエチレンテレフタレート(「PET」)のフレークまたはフィルムがエンボス可能な層で被覆され、その層がエンボス加工されて回折格子パターンが作り出される。エンボス可能な層は、例えば、少なくとも一方がパターン化されたロールの間で基板をロール加工することによって、パターンをエンボス加工する前または後に、架橋されるポリマー層であり得る。一実施形態では、エンボス加工されたフィルムの巻物は、連続的または不連続的に、磁性層で、次に、反射層、例えばアルミニウム層で被覆される。別の実施形態では、磁性層が反射材料であり、別個の反射体層を不要にする。エンボス加工され、被覆されたフィルムは、次に、例えばレーザー・カット法により、フレークに加工される。いくつかの実施形態では、磁性層が省かれ得る。このようなフレークは、基板にフレークを付けて望みの方向に回折格子を整列させる適当な技術を用いて、DOVIDを形成するために使用され得る。
【0017】
エンボス加工されたパターンは一般に「回折格子」として知られている。線密度は通常、約500本/mmから約5000本/mmの間であり、通常、約20nmから約300nmの深さである。アルミニウム反射体付きの約1400〜2000本/mmの線密度で、塗料ドローダウン試料において色彩特性が良好であることが見出された。線(溝)は、少し例を挙げると、直線、三角形対称格子、三角形鋸波状(blazed)格子、矩形波格子、または網状(cross−hatched)格子であり得る。フレークは通常、差し渡しで約20〜50ミクロンであるが、フレークは、著しくより大きい、あるいはより小さくてもよく、フレークの全厚さは非常に薄くてもよい。いくつかの実施形態では、フレークの全厚さは、約500nmから約2ミクロンの間であるが、より薄くても、より厚くてもよい。特に、剛性を付与する(複数の)層をもつフレークはより厚くなるであろう。剛性を付与する層は通常、取扱い特性を良くするためにフレーク構造に付加される誘電体層である。
【0018】
回折格子パターンは、透明層26、26’の外側表面に複製されているが、これは他の実施形態では必要でない。透明層は、SiOのような無機材料、またはポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、透明層が皮膜構造に剛性を付加して、細砕(grinding)とサイズによるふるい分け、さらに、顔料フレークを対象に付けることなどの工程の助けとなる。透明層はまた、透明層がなければ反射性を低下させる環境因子から、反射層を保護することもできる。別の実施形態では、(複数の)透明層は省かれる。いくつかの用途では、回折格子パターンをもつ顔料フレークは、環境からのある程度の保護を与えるキャリア中で使用される。さらなる実施形態では、透明層の材料は、想定されるキャリアまたはバインダの屈折率に近い屈折率をもつように選択される。
【0019】
図1Cは、本発明の別の実施形態による回折フレーク21の一部分の単純化された横断面である。エンボス加工された層23が、基板、例えばPETのフレークまたはフィルム25の上に形成されている。磁性材料の不連続層が、回折格子パターン27上に堆積されて、磁針29、29’(見る者から紙の中の向きに突き出している)を形成している。針は、パターンの性質と堆積パラメータに応じて、格子パターンの頂上、側面、または谷(底)に形成され得る。透明トップ層33、例えば、ある時点では流れ平らな表面を形成するように流動化される熱硬化性または熱可塑性ポリマーの層が、磁針とエンボス層の上に形成される。示されたトップ層は比較的平らであるが、エンボス層のパターンに従っていてもよい。別の実施形態では、トップ層が反射材料の層であってもよく、あるいは、エンボス層とトップ層の間に、通常は磁針の上に被せて、反射材料の層を含めてもよい。エンボス層がフィルム基板の上に形成された場合、フィルムをフレークに加工するために、レーザー・カット法または他の方法を用いることができる。フレークは、例えば塗料ビヒクルまたはインク・ビヒクル中にあって、それらが付けられる表面にフレークが整列する(すなわち、腹ばいになる、または「葉」)のを促進するように、表面積と厚さの比のアスペクト比が適切であることが一般に望ましい。例は、公称で、100ミクロンx100ミクロン、もしくは50ミクロンx50ミクロンで、厚さが約10〜15ミクロンのフレークであろう。
【0020】
図1Dは、本発明の別の実施形態による回折フレーク30の一部分の単純化された横断面である。反射体層32、32’の回折格子パターンは、堆積基板(deposition substrate)から複製されている。例えば、ポリマー・フィルムにエンボス加工して格子パターンをつけることができる。第1透明層34’が、エンボス加工されたフィルム上に(通常は離型層の上に、堆積基板からフレークが分離される時に離型層は除去されるので離型層は示されていない)、次に、第1反射体層32’が堆積される。磁性材料の層31が、次に、別の反射体層32と、別の透明層34が堆積される。次に、被覆層が、エンボス加工された堆積基板から分離され、加工されて望みの回折フレークとなる。このような方法は、巻物への皮膜形成(roll−coating)設備で使用され得る。別法として、フレーク基板、例えば磁性フレーク基板上に回折格子パターンをエンボス加工し、次に、反射体層と、それに続く層をフレーク基板上に堆積することができる。同じく、単一の反射体層を、透明層の1つまたは反射体層の1つまたは複数の表面に形成された磁針と共に用い、磁性層を省くことができる。
【0021】
フレークが適切な形状を付与されていれば、図1A〜1Dに示される実施形態によるフレークをフレークの面内で磁気配向させることができる。一般に、フレークが比較的平らで、最小の差し渡し寸法と厚さの比のアスペクト比が少なくとも2:1、より典型的には約100:1を超え、1つの表面寸法がもう1つのものより長ければ、そのフレークは、場のエネルギーを最小にするように磁場内で整列しようとするであろう。
【0022】
III.フレーク形状の例
図2Aは、本発明の実施形態による磁性フレーク40の単純化された上面図である。磁性フレークは、磁性材料を含む顔料フレークである。磁性材料は、フレークの面で本質的に一様である、例えば、平らなシートまたは回折格子でパターン化した層であるか、あるいは、磁性層は、例えば、図3Aおよび3Bに関連して下で検討されるような「ストライプ」に、パターン化されていてもよい。磁性材料のストライプをもつ実施形態では、フレークが磁性配列し得るために、フレークが特別な形状である必要はないであろうが、磁性ストライプにほぼ平行な長軸をもつようにフレークをパターン化することが望ましい。フレークに意図して形状を付与しても、フレークまたは基板の製造過程の所産としてフレークに形状が付与されてもよく、適切な形状を付与されたフレークの割合を増やすためにフレークをふるい分けしてもよい。磁気配向性の強いフレークの割合が高いことが一般に望ましいが、適切な効果を実現するためには、全てのフレークが磁気配向性である必要はない。
【0023】
磁性フレーク40は長辺42と短辺44をもつ。長さと厚さの適切なアスペクト比をもち、適切なキャリア中にあるフレークは、それらが付けられた表面に平らな面を接するようにして存在する傾向がある。長さ(長辺)と幅(短辺)との間のアスペクト比により、フレークの面内での磁気配向が可能になる。キャリアは通常、それが蒸発または硬化する前にフレークが運動できるように、ある時間は液体である。別法として、表面に配置する前にフレークを配向させ、キャリアを事実上直ちに乾燥または固化させてもよい。例えば、インクは、蒸発してフレークを固定させる揮発性キャリアを含んでいてもよく、あるいは、透明塗料ベースのような透明塗料キャリアが硬化してフレークを固定させてもよい。同じく、未硬化の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂では、表面に付ける前か、付けている間か、またはその後で、それぞれ硬化または冷却に先立ってフレークを配向させることができるであろう。
【0024】
磁性材料をもつフレークが磁場の中に置かれると、磁力線を歪める。磁場中のフレークの最も安定な状態は、フレークの極点が磁場の方向に向く場合である。フレークは通常、系のエネルギーが低下するようにそれが配向するまで回転する。フレークが受けるトルクは、磁束の大きさ、フレークの磁気構造体、およびフレークのサイズ(てこの腕)のような多くの因子に依存する。
【0025】
矢印46で表される磁場がかけられると、形状を付与されたフレーク40は、最長寸法が磁場の磁力線に本質的に平行であるように整列しようとするであろう。短辺に対する長辺の長さに制限はない。一般に、フレーク表面のアスペクト比が大きい程、印加磁場に沿って整列する傾向は大きい。適切な光の効果を生じるためには、全てのフレークが磁場で整列する必要はない。通常、いくつかのフレークは、回折格子パターンに沿ってか、あるいは、基板の面内に、完全には整列しない。
【0026】
図2Bは、本発明の別の実施形態による磁性フレーク50の単純化された上面図である。このフレークは、一般に「ダイヤモンド」と呼ばれるひし形の形状である。フレークは、尖った点52、52’がその上にある長軸と、鈍角の点54、54’がそれに沿う短軸をもつ。矢印46で表される磁場では、フレークは、図2Aを参照して上で説明されたように、長軸が磁場に本質的に平行であるように整列しようとする。
【0027】
多くの他の形状により、磁場で整列する磁性フレークを作り出すことができる。図2Aおよび2Bに示される形状は、それらが被覆された表面の本質的に全体を利用し得るので、望ましい。様々な方法により、形状を付与されたフレークを作り出すことができる。1つの手法は、巻物への皮膜形成装置(roll coater)で、堆積基板に、後のミル加工、細砕、またはカット作業において堆積基板から望みの形状に薄膜層を取り出すことが容易になる望みの粒子の形状に、比較的深い溝または高い隆起のような表面凹凸をもつようにパターンをつけることである。別法として、基板から薄膜層(フレーク)に分離する前に、PETフィルムの巻物のような基材をレーザー・カットしてもよい。ここで、任意選択の剛性を付与する層を薄膜スタックに付け、そのスタック(任意選択の剛性を付与する層の付いた)をカットされた基板から分離してもよい。別の実施形態では、薄膜スタックはカットされるが、PET基板はされない。これらの方法を、細砕することなく望みのサイズのフレークを得るのに用いることができ、特定サイズの範囲内のフレーク収率を大きくすることができる。磁性フレークは、主表面の一方または両方に、ファブリ−ペロー型の干渉構造および/または回折格子を含み得る。溝が磁場に沿って整列するように回折格子が整列しても、溝が配向軸に対して別の角度であってもよい。
【0028】
IV.パターン化磁性層
図3Aは、本発明の別の実施形態による磁性フレーク60の単純化された上面図である。フレークは、任意の不規則な形状をもつように示されているが、選ばれた形状を付与されていてもよい。磁性材料のストライプ62が堆積されており、ストライプは磁場46に沿って整列しようとする。磁性材料のストライプは、例えばシャドウ・マスクを通して堆積され得る。例えば巻物への皮膜形成装置で堆積基板上に、あるいは(複数の)フレークの表面に、あるいはフレークの中間層として、磁性材料のストライプを堆積させることができる。ストライプはフレークの光学特性に過度に影響を与えないように、比較的薄くてよい。
【0029】
図3Bは、横断面に端面を付けて示された、エンボス加工された堆積基板72上の皮膜スタック70の一部分の単純化された斜視図である。皮膜スタックの第1透明層74がエンボス加工された基板上に堆積されている。次に、反射体層76が、次に第2透明層78が堆積されている。堆積基板上にエンボス加工された回折格子パターンは、全ての層を通じて保存されている。磁「針」80が、回折格子構造の高い位置に形成されている。別の磁針(示されていない)が、同じ様に、隆起の間の「谷」に、あるいは、ある場合には隆起部分の上にだけ、形成されていてもよい。
【0030】
磁性材料は、堆積中の核形成速度または「陰影(shadowing)」効果のために、隆起および/または谷の部分に優先的に堆積すると考えられている。溝の底と溝の上部との間で違いのある蒸気密度、格子側面の勾配が全て、回折格子に磁性材料がどのように堆積するかに影響を及ぼし得る。別の言い方をすると、このような針が形成される2つ以上の理由があり得る。
【0031】
別法として、皮膜スタックは、剛性を付与する層、例えばMgF層の両側に2つの反射体層を含んでいてもよい。反射体層は不透明なアルミニウムであってもよい。MgFは本質的に透明な材料であるが、透明性は、反射体層の間の(複数の)材料にとって本質的ではない。磁性層を第2アルミニウム層に、あるいは他の位置に、堆積させて磁針を生成させることができる。
【0032】
一実施形態では、磁針は、e−ビーム蒸着法を用いて第2透明層上に50nmの厚さのニッケル層を堆積させることにより形成された。200nmの厚さのニッケル層は針を形成しないが、フレーク自体に形状を付与すれば、本発明による磁性フレークを形作るために使用され得るということが見出された。ニッケルの比較的薄い層は、少なくとも磁気的に不連続であり、回折格子パターンに沿って整列した磁針を形成すると考えられている。いくらかの磁針は、磁性材料の薄い部分と少なくとも部分的に合体しているかもしれないが、非常に薄い部分は、強い磁区を形成できないであろうから、その層は磁気的に不連続である。いくつかの事例では、磁性膜(層)の厚さは変化していてもよい。回折格子の方向でより強い磁気トルクがかかるので、粒子が磁場に整列し易くなる。さらに、50nmより薄いニッケル層は、いくつかの回折格子パターンに沿って整列した不連続磁性層を形成し、50nmと200nmとの間の厚さの磁性層は、いくつかの事例で、針を形成し得ると考えられている。
【0033】
溝付き回折格子はまた、望みの形状を付与されたフレークの作製を容易にし得る。いくつかの実施形態では、薄膜スタックは、回折格子の溝に沿って破断される傾向がある。このことから結果的に、溝の方向に寸法が長く、溝に交差する短い寸法をもつフレークが得られる。この様なアスペクト比により、磁気で、または流体中で、得られるフレークが整列して画像が生成し易くなり得る。
【0034】
それらは凝集する傾向があるので、インクまたは塗料のビヒクルと混合するか、あるいは基板に付けて画像を形成する前に永久磁化されたフレークは、避けることが通常望ましい。磁性材料の十分に薄い層は、フレークの有意な永久磁化を防ぐ。フレークに少量しか磁性材料が存在しなければ、印加の間に顔料フレークを整列させるのにより大きな磁場を、あるいは、より長時間磁場をかけることを必要とし、後者の場合には、より長く流体のままであるキャリアが適切であろう。
【0035】
図3Cは、本発明の別の実施形態による磁性回折フレーク71の単純化された横断面である。このフレークは、エンボス加工されたPETフィルムのようなエンボス加工された基板上に薄膜層を堆積させること、堆積基板から薄膜層を分離すること、次に、細砕しフレークを望みのサイズにふるい分けすることにより、作製される。フレークは、第1のMgF層73、第1のアルミニウム反射体層75、格子の頂上に針として図示される磁気的不連続層をなす50nmのニッケル層77、第2のアルミニウム層79および第2のMgF層81を含む。
【0036】
図3Dは、本発明の実施形態によるカラー・シフト回折フレーク83の単純化された横断面である。フレークは、吸収体層84、スペーサ層85、反射体層86、磁性層87(いくつかの実施形態では、この厚さは、回折格子上に磁気的不連続層、すなわち磁針を形成するように選ばれる)、ならびに、別の反射体層86’、スペーサ層85’、および吸収体層84’をもち、対称的である。回折格子は、エンボス加工された層をもつPETフィルムのように、巻物で皮膜形成される基板上にエンボス加工され得る。層の順序は単なる例示であり、非対称または対称性のない顔料も作製され得る。
【0037】
緑−青のカラー・シフト回折フレークが、8nmの厚さのクロム第1吸収体層、530nmで4/1波長の4倍の光学厚さのMgF第1スペーサ層、80nmの厚さのアルミニウム第1反射体層、50nmの厚さのニッケル磁性層、第1反射体層と本質的に同じ第2反射体層、第1スペーサ層と本質的に同じ第2スペーサ層、および第1吸収体層と本質的に同じ第2吸収体層を堆積させることにより、作製された。層は、エンボス加工されたフィルム(ウェブ)上に、巻物への皮膜形成装置で堆積され、ウェブから分離されフレークに加工された。
【0038】
金から銀へのカラー・シフト回折フレークが、8nmの厚さのクロム第1吸収体層、605nmで4/1波長の2倍の光学厚さのMgF第1スペーサ層、80nmの厚さのアルミニウム第1反射体層、50nmの厚さのニッケル磁性層、第1反射体層と本質的に同じ第2反射体層、第1スペーサ層と本質的に同じ第2スペーサ層、および第1吸収体層と本質的に同じ第2吸収体層を堆積させることにより、作製された。層は、エンボス加工されたフィルム(ウェブ)上に、巻物への皮膜形成装置で堆積され、ウェブから分離されフレークに加工された。
【0039】
銀色のフレークが、530nmで4分の1波長の4倍の光学厚さのMgF層、50nmの厚さのニッケル磁性層、および、530nmで4分の1波長の4倍の光学厚さのMgFの別の層を堆積させることにより、作製された。薄い色の付いた(透明色の)2色またはカラー・シフト回折顔料は、高屈折率と低屈折率の誘電体が交互になっている層と、Feのような磁性酸化物を用いることにより作製されると考えられている。回折格子パターンは、後にフレークがそれから分離される、パターン化された(例えばエンボス加工された)基板上に層を堆積させることにより、フレークに付与され得る。公称で5層構成の例は、HLHLHのスタックであろう(Hは選ばれた光学厚さをもつ高屈折率材料層を表し、Lは低屈折率材料層を表す)。磁性材料の層はスタックの任意の位置に、例えば、中央のH層に上に堆積され得る。他の構成、例えば、7層または9層構成を望むこともできる。同じく、7層および9層構成、ならびに、より多くの、あるいはより少ない層の構成を含めて、LHLHL型配置は望ましいものであり得る。
【0040】
V.印刷できる画像
本発明の実施形態による、回折格子をもつ磁性顔料粒子は、DOVIDまたは偏光子のように、いくつかの効果を生み出すために使用され得る。一般に、回折格子が照らされた時、格子の溝に対して本質的に直交する方向で見ている観察者は回折光を見るであろうが、格子の溝に沿って見ている時、観察者は回折光を見ないであろう。こうして、ピクセルの様子は視角の回転と共に変化する。外観の違いには、明るさだけでなくカラー・トラベルも含まれ得る。より強い回折効果を得るためには、あるいは、ピクセルグラム、ドット画像、またはキネグラムのような画像を作り出すためには、回折顔料フレークを整列させることが望ましい。例えば、通常は基板の面である同じ面により多くのフレークが面を一致させている場合に、通常、より顕著な光の効果が実現される。回折格子の向きを選択することにより、あるいは、間隔の異なる回折格子を用いることにより、効果を得ることができる。例えば、デバイスの1つの領域に、1,400本/mmの線状格子間隔をもつフレークがあり、他の領域には、2,000本/mmの線状格子間隔をもつフレークがあるようにしてもよい。1つの領域は緑に見え、他の領域は赤く見えるかもしれない。見る者は、視角が変わると、それぞれの領域からの異なる光の効果を観察するであろう。
【0041】
図4は、本発明の実施形態による回折顔料フレークを用いて印刷された画像90の単純化された上面図である。この画像は、任意の外周と3つのフィールドをもつように示されており、各フィールドは、そのフィールドの回折フレークの格子パターンを表示するパターンにより示されている。第1フィールド92は、比較的細かいピッチの溝付き回折格子をもつ第1のタイプの回折顔料を含むインクで印刷されている。1つの例では、第1フィールドの回折顔料フレークは整列されていない。第2フィールド94は、より粗いピッチの溝付き回折格子をもつ第2のタイプの回折顔料フレークを含むインクで印刷されている。この例では、この回折顔料フレークは整列されている必要はないが、異なる格子パターンをもち、第2フィールドの線の間のより大きな間隔により示されている。第3フィールド96は、例えば交差格子をもつ回折顔料フレークを含むインクで印刷されている。この第3フィールドは、異なるフィールドの顔料フレークが、異なる間隔をもつ、あるいは、異なるパターンをもち得ることを単に示すために含められており、画像形成には2つのタイプのフィールドだけが必要とされる。
【0042】
別の例では、選ばれた方向に、1つまたは複数のフィールドの回折顔料フレークを整列させてもよい。例えば、場の線に沿って回折格子が多かれ少なかれ整列するように、第1フィールド92の顔料フレークを整列させてもよい。第2フィールド94の顔料フレークは異なる方向に整列していても、あるいは整列していなくてもよい。実際に、それらは、第1フィールドを印刷するのに使用されたフレークと同じタイプであってよい。画像は、光の下で適当な角度で見ると、あるいは印刷物を回すと、現われるであろう。
【0043】
第1フィールド92と第2フィールド94が同じフレークで印刷され、1つのフィールドが磁気的に整列し、他方が整列していないか別の角度に整列している場合、見る条件によっては、画像が一様なフィールド、例えば銀色または明るい灰色のフィールドに見え、画像が全く現われないかもしれない。画像、光源、および/または視角を変えると、画像は現われるであろう。
【0044】
他のタイプの画像もまた、回折顔料の技法を用いて作り出すことができる。多くの画像は、いくつかの画素(「ピクセル」)またはドットからなる。画像は単純な画像であっても、ホログラフィであってもよい。いくつかのDOVIDでは、対象を3次元画像のように見せることができ、他のDOVIDでは、視角により画像を変えたり、画像を運動しているように見せたりすることができる。
【0045】
図5は、磁気配向した回折フレークにより印刷された画像100の一部分の単純化された上面図である。画像のこの部分は、本質的には1つのグリッドの上に並べられた9個のピクセルからなっている。この配置は単に例示のためであり、ピクセルは正方形である必要も、同じ形またはサイズである必要もない。他の実施形態では、(複数の)画像形成のために、ピクセルの替わりにドットを使用してもよい。
【0046】
多くの用途で、ピクセルは少なくとも矩形であり、同じサイズをもつ。いくつかの用途では、ピクセルは互いに接しておらず、印刷されていない領域の狭い「細道(alley)」がピクセルを隔てている。いくつかのピクセル102は、任意選択で、印刷されていない。他のピクセル104は、任意選択で、黒インクかカラー・インクの、普通のインクで印刷されている。同じく、非磁性の回折顔料を含むインクで、あるいはランダムに配向した磁性回折顔料フレークを用いて、ピクセルを印刷してもよい。図に示されている他のピクセルは、選ばれた方向に配向させられた磁性回折顔料フレークを含むインクで印刷されている。
【0047】
磁性回折顔料フレークは、インクを塗る前、その間、および/またはその後で磁場がかかることにより、ピクセル内で配向している。説明と図を分かり易くするために、ピクセルには一定の形状をもたない多数の粒子があるように示されている。別の実施形態では、ピクセルは、選ばれた形状を付与された磁性回折フレークを含んでいてもよい。「配向している」という用語は、配向しているフレーク上の回折格子が、同じだが全く配向していないフレークで観察される効果と識別できる総合的な効果を生み出すのに十分なだけ、整列していることを意味する。「配向している」は、大多数のフレークが、それらの溝が平行または、ほぼ平行であるように整列していることを意味する。別の実施形態では、回折フレークは、どのピクセルでも整列していないが、異なるピクセルでは回折格子パターンが異なり、いくつかの異なる回折格子がいくつかのピクセルの各々に使用され得る。さらなる実施形態では、異なる回折格子パターンが用いられ、顔料フレークの1種または複数が選ばれた仕方で整列させられる。
【0048】
フレーク上の回折パターンは、図で横または縦方向に走る平行線106、108により表されている。格子はピクセルの境界線に整列する必要はなく、1つの画像は、整列したピクセルおよび/またはドットのいくつかの異なる組を含み得る。各領域(ピクセル)の格子は、箱型矢印110により表される特定の配向した通常白色光線の下で、選ばれた方向に光を回折し得る。光は、主格子方向に直交する方向に回折される、すなわち、縦に整列したピクセル格子からは横方向面内に、また横に整列したピクセル格子からは縦方向面内に光は回折される。一般に、「横」線をもつフレークは、これらのピクセルからの回折光が箱型矢印107により表される視線方向にあるような総合的な効果をもち、同じ様に、縦に整列した回折格子では、箱型矢印109により表される視線方向に光を回折するであろう。縦に整列したピクセル108により生み出される画像を見るためには、入射光は矢印110’の方向からで、箱型矢印109から見られるべきである。
【0049】
他の実施形態では、1組のピクセルが交差した回折格子をもつフレークを含んでいてもよい。1つの画像は、各タイプのピクセルを同じ数ずつ含んでいる必要はなく、回折格子の配向が同じピクセルが互いに隣接していてもよい。1つのピクセル内で全てのフレークが互いに完全に整列している必要はないことが分かる。
【0050】
ピクセルの各「タイプ」、すなわち、整列方向または格子周期に、異なる線状格子間隔および/または溝の配向を用いることができる。いくつかの実施形態では、ピクセルは、画像形成のために、異なるピクセルに、回折格子が異なる配向していない回折顔料フレークを含んでいてもよい。異なるピクセル・タイプ集団を用いて、異なる画像を構成してもよい。こうすると、視角が変わるか、印刷物が回転するにつれて、1組のピクセルにより得られる画像の各々が動くという効果を生み出すことができる。同じ様に、異なるピクセル・タイプを適当に分布させることにより、2つ以上の画像を1つの印刷領域に作成することができる。フレークとピクセルの相対的なサイズは一定ではない。通常、ピクセルは約50ミクロンから約1,000ミクロンの程度であり、回折フレークは、典型的には、差し渡しで約5ミクロンから約50ミクロンの程度である。
【0051】
図6A〜6Dは、磁気配向した回折顔料フレークで光学可変画像が印刷された場合に、異なる画像が如何にして現われるかを示している。図6Aは印刷されたDOVID120の単純化された上面図である。3種の文字、「A」122、「B」124、および「C」126が、重なり合う領域があるように印刷されている。この図では、図を分かり易くするために、文字の輪郭だけが示されている。実際のDOVIDは、回折のない、または、ランダムに回折するフィールドに埋め込まれていてもよい。例えば、背景は、図6Aでは無地の紙であるが、それに文字と同じインクで印刷して磁気配向させないか、もしくは回折しないインクで印刷するか、あるいは印刷しないままで残してもよい。
【0052】
各文字の画像はいくつかのピクセルからなる。1つの文字を構成するこの1組のピクセルは、特定の方向に配向した回折顔料フレークを有するピクセルを含む。見る者が、画像を構成する回折顔料フレークの回折格子に本質的に直交する方向からDOVIDを見る時に、見る者はその画像を認める。見る者は、DOVIDを例えば回転させることにより、その視角が変わる時、別の画像を認める。1つまたは複数の文字が、薄膜干渉構造をもつ回折顔料を用いて印刷されたら、画像を傾けることにより、回折によるカラー・トラベルだけでなく、カラー・シフト特性も得られるであろう。
【0053】
1つの画像が別のものと重なる領域では、様々な画像のピクセルは交互に配置される、すなわち、文字「A」構成する回折ピクセルは、文字「B」および「C」を構成する回折ピクセルの間に点在する。重なっている領域で各画像がほぼ同数のピクセルをもつ必要はなく、いくらかのピクセルは、密度または他の画像特性を調節するために、印刷されなくても、回折しないインクで印刷されても、あるいは、ランダムに配向した回折顔料フレークで印刷されていてもよい。
【0054】
複写機でDOVIDを写真複写しても、画像の光学的変化効果は保持されないであろう。1つまたは複数の文字は見えるかもしれないが、画像は回転しても変化しないであろう。このように、印刷されたDOVIDは、ドキュメントまたは他の物品上で、セキュリティまたは認証機能として役立ち得る。3,000本/mmを超える格子間隔をもつ回折顔料により、隠された安全策が提供され得るが、この顔料は補助器具のない目には見えないが、紫外線カメラまたは検出器により検出されるであろう。
【0055】
図6Bは、矢印128により示される方向から見られた時の、図6AのDOVIDの平面図である。他の文字は、これらの文字を構成するピクセルの配向した回折フレークは、見ている方向に光を回折しないであろうから、それらはこの方向からは目立たないであろうということを表すために、破線により表されている。図6Cは、矢印130により示される方向から見られた時の、図6AのDOVIDの平面図であり、図6Dは、矢印132により示される方向から見られた時の、図6AのDOVIDの平面図である。図6B〜6Dにおいて文字を横切る線は、それぞれの画像を作り上げているピクセルの配向した回折顔料フレークの、総合的な効果としての回折格子パターンを表している。
【0056】
図7は、単純化してキネグラム140を表したものであり、印刷された紙を回転させると、如何に画像が紙の上を動くように見えるかを示している。画像の第1変体142が、顔料フレーク上の回折溝の主方向を示す縦の線144により表される、第1の方向に整列した配向回折顔料フレークで印刷されている。画像の第2変体146が、線148により表される縦方向でない角で回折溝をもって印刷され、画像の第3変体150が、線152により表される本質的に横方向の回折溝をもって印刷されている。照明光源は、箱型矢印154により表されており、最初の見る方向が矢印156により表されている。
【0057】
DOVIDが曲がった矢印158の方向に回されると、画像は矢印160の方向に移行するように見える。正しい条件の下で見られなければ画像がはっきりしないように、画像の3つの変体全てを、整列していない回折フレークを含む類似のインクの背景上に印刷してもよい。
【0058】
回折磁性顔料フレークを用いて別の効果を得ることができる。1つの場合には、環状(annular)マグネットを1枚の硬い厚紙(card stock)の背後に置いた。硬い厚紙の、磁石の反対側に、透明バインダ中の回折磁性顔料をドクター・ナイフ(本質的には、薄く幅の狭いステンレス鋼のスパチュラ)で全面に塗った。得られた画像は、本物の3次元「魚眼(fish−eye)」の印象を与えた。回折磁性顔料フレークは、磁力線に沿ってフレークを傾けること、および回転させることの何れによっても整列したと考えられている。別の事例では、顔料をスプレー塗料として用いた。
【0059】
VI.付着および整列の方法
いくつかのやり方で磁性顔料フレークを整列させることができる。顔料フレークを整列させるために、顔料を基材上に付ける前に、その間に、もしくはその後で磁場を用いるか、あるいは、工程のいくつかの部分で、または全工程を通して、磁場をかけることができる。例えば、印刷、浸染、粉体塗装、あるいは塗装装置により付着させる前に、フレークを整列または予備整列させるために磁場をかけてもよいし、顔料フレークを基材に付着させた後に磁場をかけてもよい。同じく、顔料フレークを基材に付着させる際に顔料フレークを整列させるために、付着装置、例えばスプレー・ヘッド、ロール、またはスクリーンを磁化してもよい。適切な基材の例には、紙、プラスチック、金属、木材、皮、およびファブリックが含まれる。例示的な印刷方法には、グラビア、スタンプ、凹版、フレキソ、シルク−スクリーン、ジェット、および平板(lithographic)印刷が含まれ、印刷方法の組合せを用いて画像を作り出してもよい。プラスチック物品またはフィルムの押出しまたは射出成形の間にも、磁場を用いて、あるいは、流れの方向に沿って回折格子を整列させようとする流体の傾向の結果として、回折顔料を整列させることができる。
【0060】
転写ロールを使用する印刷法が用いられる場合、顔料フレークがそのロールに付けられる前に、それらを配向させるためにインク源(容器)を磁化してもよい。配向は、予定の基材にフレークが転写される際に実質的に保存される。同じく、スクリーン印刷法では、顔料フレークを整列させるためにスクリーンまたはスクリーン要素の全面に磁場をかけるか、あるいは、インクまたは塗料をスクリーンの全面に広げる際にフレークを整列させるために、スキージを磁化してもよい。この場合には、広げる方向を変えるだけで、フレークに異なる配向を与えられる。
【0061】
印刷または塗装された画像は多くの用途に使用され得る。例えば、印刷されたDOVIDは、銀行券、トラベラーズ・チェック、ソフトウェア伝達媒体、およびクレジット・カードのセキュリティまたは認証機能として使用され得る。DOVIDは基材に直接印刷されても、あるいは、熱転写箔(hot foil)のように、転写フィルムまたは箔の上に印刷され、それから基材に付けられてもよい(ホット・プレスされる)。どちらの手法でも、マスター・ホログラムを作製する必要なしに、DOVIDが得られる。このことにより、結果的に、どんな画像を得るにも柔軟に対応できる。例えば、回折による光学的変化データ・コードを用いてもよい。従来の方法を用いてマスター・ホログラムを作製することは、特に1回の使用のためにそうすることは、比較すると、費用も時間もかかるであろう。しかし、偽造者はマスター・ホログラムを作製する装置の情報を得られるようになったので、このようなデバイスは偽造が容易になりつつある。
【0062】
別の場合には、基材自体が磁化されていてもよい。例えば、選ばれたパターンの残留磁化をスチール・パネルに付与することにより、スチール・パネル上に標章またはロゴを描くことができる。磁性顔料フレークを含む塗料は、十分な磁場をもつ領域では整列し、場がほとんど、あるいは全くない領域では整列しないであろう。同様に、顔料フレークを、それらがパネルに付けられた後に整列させるために、永久磁石および/または電磁石あるいは磁性流体を有する磁気テンプレートを、金属、プラスチック、または木材パネルのようなパネルの背後に置いてもよい。他の方法では、磁化されたワイヤまたは粒子を基材の中または上に付けるか埋め込むか、あるいは、磁性流体を、基板の、顔料フレークの反対側に付けてもよい。続いて付けられる塗料またはインク中の磁性回折顔料粒子が、その磁化された材料に対して整列するであろう。回折顔料の配向は、それがなければ配向しないであろう他の非磁性粒子、例えばミクロ−ワイヤもまた整列させるであろう。フレークを、例えば、フィルタ型陰極アーク堆積法(filtered cathode arc deposition)を用いて基板への軌道の中でフレークを整列させることにより、基板の表面に付ける前に整列させることもできる。
【0063】
多くの異なるキャリアが、本発明の実施形態による顔料フレークと共に使用され得る。例えば、塗料ビヒクルを顔料フレークと合わせて塗料配合物を得ること、インク・ビヒクルと顔料フレークを合わせてインク配合物を得ること、あるいは、粉体塗装バインダを顔料フレークと合わせて粉体塗装配合物とすることができる。磁性顔料は付けている間に散らばり、僅かな部分だけが被覆される物品に到達するであろうから、粉体塗装材料は前もって配合されているべきである。いくつかの用途、例えば速乾性インク配合物では、ビヒクルまたはキャリアは比較的揮発性であるか、あるいは基材、例えば紙に迅速に吸収され得る。付着前に顔料フレークを整列させる方法は、このような速乾性または速硬化性のキャリアに適合し得る。例えば、グラビア印刷で、アイドラがインクを取り上げる前に、インク・レシーバ(receiver)を磁化することができる。
【0064】
他の方法では、比較的遅く乾燥する、あるいは、比較的遅く硬化するキャリアを用いることができる。例えば、自動車塗料配合物では、少なくとも数分間は比較的流動性があるポリウレタンのキャリアを使用することができる。塗料が硬化した際に配向が保存されるなら、フレークを塗装の前に整列させてもよく、あるいは、フレークを配向させずに塗装し、次に磁場をかけることにより整列させてもよい。フレークは通常、基材の表面に沿って平らな面を接するようにして存在し、回折格子はフレークの面で配向し易くなっている。他のキャリアは、赤外、紫外または他の光、あるいは熱を用いて硬化されるキャリアのように、選択的に硬化されるまで、流体のままであり得る。
【0065】
他の実施形態では、磁性回折顔料フレークをポリマー・フィルム、例えば押出フィルムに含めることができる。押出法では、一般に、フィルムの面にフレークを整列させ、フィルムが押し出される時に磁場をかけて、フレークの面で回折格子を整列させることができる。同様に、磁性回折顔料フレークをポリマーに投入し、キャスティングの前、あるいは、ポリマーがまだ流体である間に磁気整列させてもよい。このような方法は、フレークの面を揃え整列させること、ならびに、フレークの面での回折格子の回転による配向を含み得る。
【0066】
ポリマー・フィルムに使用され得る材料の例には、水性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ(エトキシエチレン)、ポリ(メトキシエチレン)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(無水マレイン酸)、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロースが含まれ、アラビアゴムおよびペクチンのような多糖を用いてもよい。有機溶剤ベースが使用される場合には、溶解するほとんどどんなポリマー系でも使用され得る。これには、水性の例として上で列挙したポリマーが含まれるが、さらに、ポリビニルブチラールのようなポリ(アセタール)、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニレンのようなポリ(ビニルハロゲン化物)、ポリブタジエンのようなポリ(ジエン)、ポリエチレンのようなポリ(アルケン)、ポリアクリル酸メチルのようなポリ(アクリル酸エステル)、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(オキシカルボニルオキシヘキサメチレン)のようなポリ(カーボネート)、ポリエチレンテレフタレートのようなポリ(エステル)、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スルフィド)、ポリ(サルホン)、ポリ(ビニルニトリル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(スチレン)、ポリ(2,5 ジヒドロキシ−1,4−フェニレンエチレン)のようなポリ(フェニレン)、ポリ(アミド)、天然ゴム、ホルムアルデヒド樹脂ならびに他のポリマーからなるポリマーも含まれる。
【0067】
図8Aは、本発明の実施形態による、基材上に画像を形成する方法800の単純化された流れ図である。回折顔料フレークを画像の第1フィールドで整列させる(ステップ802)。整列は、回折顔料フレークが基材に付けられる前、付けている間、および/または付けた後に、行なわれる。
【0068】
図8Bは、本発明の別の実施形態による、顔料フレークを整列させる方法810の単純化された流れ図である。フレークの面で整列し得る磁気構造体をもつ顔料フレークを提供する(ステップ812)。磁気構造体は、フレークの形状のおかげで整列させることができる磁性材料の本質的に一様な層であっても、あるいは、回折格子上に形成されたストライプまたは針のような、磁性材料の一様でない層であってもよい。フレークの面で顔料フレークを整列させるために、顔料フレークの全体に磁場をかける(ステップ814)。特定の実施形態では、磁性顔料フレークは回折格子をもち、その回折格子をかけられた磁場により選ばれた方向に整列させる。
【0069】
図8Cは、本発明の別の実施形態による、光学可変画像820を印刷する方法820の単純化された流れ図である。第1の選ばれた方向に整列した回折顔料フレークを有する第1の複数のピクセルを基材上に配置する(ステップ822)。第2の方向に整列した回折顔料フレークを有する第2の複数のピクセルを基材上に配置する(ステップ824)。さらなる方向に整列した回折フレークを有するさらなるピクセルを含めてもよい。整列は、箔の面内であっても、あるいは望みの角度で傾いていてもよい。ステップの順序は限定されておらず、いくつかの方法では、ピクセルの別の組が同時に基材に付けられてもよい。他のピクセルが、配向していない回折顔料フレークまたは非回折顔料で印刷されていてもよく、あるいは、印刷しないままで残されてもよい。同じく、光学可変画像またはその画像の一部分を、別の画像に重ねて印刷してもよいし、あるいは、別の画像を光学可変画像またはその画像の一部分に重ねてもよい。
【0070】
フレークが付けられる基材の面と平行でない磁場をかけることにより、回折格子が望みの配向をするようにフレークを整列させるだけでなく、望みの傾きでフレークを整列させることができる。例えば、棒磁石の端の極を、回折フレークがその全体に塗り広げられている硬紙(card)の下に置くことができる。曲がった磁力線により、劇的で異常な3次元の「目」の効果が生み出される。同様の効果は、棒、円盤、および環状磁石の端部を用いることにより得られた。環状磁石面を硬紙の裏面に向けて置いた時、回折顔料に、複数の3次元環化効果が生じた。磁性回折顔料は、スクリーン法、塗装法(spreading)、スプレー法を含めて、様々な方法を用いて基材に付けられた。
【0071】
VII.実験結果
いくつかのタイプの磁性回折顔料フレークを製造し、光学特性を調べた。フレークは、大部分は、エンボス加工されたPETフィルム上に薄膜層を堆積させ、次に、堆積基板から薄膜層を分離し、フレークに細砕し、ふるい分けすることにより製造した。次に、デュポン社(E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY)により販売される150K(商標)ベースコートのようなキャリアとしてのバインダをフレークと混合した。やはりデュポン社によるCHROMASYSTEMSバインダおよびベースメーカー(basemaker)、ならびに他の製造元により他の製品などの、別の適切なバインダとキャリアが利用できる。顔料を引き広げるためにドクター・ナイフを用いて、混合物を硬紙の上に塗り広げた。硬紙の全面にドクター・ナイフを引いて動かすことより、顔料フレークは硬紙の面にほとんど腹這いになる。磁石の北極が硬紙の端のすぐ側にあるように1つの磁石を硬紙の端に置いた。第2の磁石を、硬紙の反対端に、その南極を硬紙の端に隣接させて置いた。こうして、第1マグネットの北極と第2マグネットの南極との間に磁場をつくった。約7インチ離れている磁石の間の領域全体で、フレークが回折格子を整列させるように引かれた。こうして、整列した回折顔料フレークは、マスター・ホログラムを用いる従来の方法により作り出され得る箔、あるいは、エンボス加工された反射体の連続シートに匹敵するものであった。
【0072】
別の例では、顔料フレークを引き広げた後で磁場をかけた。顔料フレークがその全体に引き広げられた硬紙の下で、反対の(北−南)磁極が、互いに向かい合うように置かれている間、キャリアは十分な流動性を保っていた。顔料フレークは、回折格子パターンに沿って形成された磁針をもち、その磁針は極の間の磁力線に沿って整列した。
【0073】
変角分光測色計(goniospectrophotometer)を使用して試料のカラー・トラベルを測定した。光検出器にスキャニング・マスクを使用した。標準CIE(商標)LABカラーメトリック変換に従って、「a」軸は負の方向に緑色を、正の方向に赤色を表し、「b」軸は負の方向に青色を、正の方向に黄色を表す。一般的に言えば、曲線が原点から離れる程、所定の明るさでその方向から見た時の色はより鮮やかになる。絶対視角は図を分かり易くするために省かれているが、データ点は、ほぼ2度づつ離れている。
【0074】
図9Aは、本発明の実施形態による、磁気整列した回折顔料フレークのカラー・トラベルについての単純化されたグラフ900である。顔料フレークを、1400本/mmでエンボス加工されたPETフィルム上で製造し、次に、堆積基板から剥がした。フレークの構造は、MgF−Al−Ni−Al−MgF(一般的には図3Cを参照)であった。フッ化マグネシウム層は、得られるフレークに剛性を付与し、取扱いおよび加工を容易にするために、約400nmの厚さであった。それらは光学特性には必要でなく、他の材料を用いてもよい。いくつかの実施形態では、このような層を、環境保護または屈折率整合をもたせるために使用することができる。アルミニウム層は、約80nmの厚さであり、通常、不透明で明るい反射体であった。他の実施形態では、より薄い、またはより厚い反射体層を使用しても、あるいは反射体層を省いてもよい。これと、図9B〜9Eに示される実施形態のニッケル層は、ほぼ50nmの厚さであり、溝に沿って堆積し磁針を作り出していると思われた。このフレークは、明るい銀色の外観を示した。
【0075】
第1曲線902は、試料、すなわち溝の配向を、約−33度(904)と約80度(906)間で回転させるにつれ、本質的には境面反射である907が約45度の視角で起こる、印加場または回折格子(印加磁場)に直交する45度の入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。第2曲線908は、回折格子に平行な入射光線で照らし、試料を本質的に同じ円弧に回転させた時の試料のカラー・トラベルを示す。第1曲線902は、第2曲線908に比べて高度のカラー・トラベルを示している。第2曲線の、本質的に、原点から出てすぐに戻る性質は、カラー・トラベルが比較的小さいことを示しており、これは回折干渉効果の無い場合の特徴である。
【0076】
図9Bは、本発明の実施形態による、磁気整列した回折顔料フレークのカラー・トラベルについての単純化されたグラフ910である。磁気回折フレークは、図9Aに示された例と実質的に同じに製造されたが、堆積基板上にエンボス加工された格子は2000本/mmであった。得られたフレークをキャリアに混合し、フレークを整列させるための磁場を硬紙面に発生させる2つの磁石の間で、フレークを引き広げるためにドクター・ナイフを用いて硬紙上に塗り広げた。全ての試料を、45度入射で、マイナス33から80度の視角で、2度づつ変えて分析した。
【0077】
第1曲線912は、フレークの全体としての回折格子に直交する入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。第2曲線914は、全体としての回折格子に直交する入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。この試料は、磁場に直交する光源で、いくらかの視角範囲では大きなカラー・トラベルを示したが、残りの範囲では比較的小さいカラー・トラベル、または色度(chromaticity)を示した。第2曲線は比較的小さなカラー・トラベルを示している。
【0078】
図9Cは、本発明の実施形態による、磁気整列した回折顔料フレークのカラー・トラベルの単純化されたグラフ920である。「a」軸と、「b」の負軸のスケールの変更に注意。磁性回折フレークは、図9Aに示された例と実質的に同じに製造されたが、堆積基板上にエンボス加工された格子は3000本/mmであった。同じ様に、得られたフレークをキャリアに混合し、硬紙面にフレークを整列させるための磁場を生じる2つの磁石の間で、フレークを引き広げるためにドクター・ナイフを用いて硬紙上に塗り広げた。
【0079】
第1曲線922は、フレークの全体としての回折格子に直交する入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。第2曲線924は、全体としての回折格子に直交する入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。この試料は、磁場に直交する光源で、中程度のカラー・トラベルを、特に、無彩色中心(achromatic center)から(+a,−b)象限への比較的速い転移を示した。第2曲線は、比較的小さいカラー・トラベルと、比較的低い色度を示している。
【0080】
45度入射では、90度の視角で、紫色(400nm)と緑色(約550nm)の色相を見ることができる。これは1次の波長に対応する。この単位長さあたりの格子数では、550nmを超える波長で、マイナス1次の回折反射が水平線(格子の面)より下にある。
【0081】
図9Dは、本発明の実施形態による、磁気整列した回折顔料フレークのカラー・トラベルの単純化されたグラフ930である。スケール変更に注意。磁性回折フレークは、図9Aに示された例と実質的に同じに製造され、堆積基板上にエンボス加工された格子は1400本/mmであるが、アルミニウム層が無かった。50nmのニッケル層が反射体層として機能した。試料の全体としての外観は、アルミニウム反射層を付けて製造された類似の試料より、明るさが少なかった(より灰色)。同じ様に、得られたフレークをキャリアに混合し、硬紙面にフレークを整列させるための磁場を生じる2つの磁石の間で、フレークを引き広げるためにドクター・ナイフを用いて硬紙上に塗り広げた。
【0082】
第1曲線932は、フレークの全体としての回折格子に直交する入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。第2曲線934は、全体としての回折格子に平行な入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。
【0083】
図9Eは、本発明の実施形態による、磁気整列した回折顔料フレークのカラー・トラベルの単純化されたグラフ940である。この構成は金−銀の色変化効果を生じた。他の図とスケールが違うことに注意。磁性回折フレークを、堆積基板上にエンボス加工された格子は1400本/mmであるが、異なる光学的な構成で製造した。薄膜スタックは、MgF層の上にクロムの半透明層(すなわち、吸収体層)を含んでいた。言い方を変えると、薄膜構造は、Cr−MgF−Al−Ni−Al−MgF−Crであった。MgF層は剛性とファブリ−ペロー・フィルターのためのスペーサ層を提供するが、ファブリ−ペロー型干渉構造は回折格子でパターン化された反射体上に形成されてもよい。同じ様に、得られたフレークをキャリアに混合し、硬紙面にフレークを整列させるための磁場を生じる2つの磁石の間で、フレークを引き広げるためにドクター・ナイフを用いて硬紙上に塗り広げた。
【0084】
第1曲線942は、フレークの全体としての回折格子に直交する入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。第2曲線944は、全体としての回折格子に平行な入射光線で照らされた試料のカラー・トラベルを示している。この試料の全体的な印象は、金色のフィールドが、照射下に試料を傾けると銀色に変わり、フレークの配向した溝(回折格子)に直角に高度に配向した光線で照らすと回折効果を生じることである。
【0085】
別の効果を別の光学的な構成で実現できると考えられている。例えば、回折フレークに金色の基調を付与するために、反射体材料として窒化チタン(TiN)を用いてもよい。同じく、金を回折フレークに応用すると優れた反射体となる。銅はさらに別の基調色とカラー・シフトを得るために使用され得る。
【0086】
本発明が様々な特定の実施形態により上で説明されたが、本発明の精神から逸脱することなく、本発明を他の特定の形態で実施することができる。こうして、上に記載された実施形態は、本発明を例示するが、請求範囲に示される本発明を限定するものではない。請求範囲の意味と範囲内に含まれる全ての修正と均等物は特許の請求範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】1A〜1Dは本発明の様々な実施形態による例示的フレーク構造の単純化された横断面図である。
【図2】2A、2Bは本発明の実施形態による、形状を付与されたフレークの単純化された平面図である。
【図3】3Aは本発明の実施形態による、形状を付与された磁性層の単純化された平面図である。3B〜3Dは本発明の実施形態によるフレークの単純化された横断面図である。
【図4】本発明の実施形態による画像の単純化された平面図である。
【図5】本発明の実施形態によるDOVIDの一部分の単純化された図である。
【図6】6A〜6D本発明の実施形態による画像の1タイプを示す単純化された図である。
【図7】本発明の別の実施形態によるキネグラムを示す単純化された図である。
【図8】8A〜8Cは本発明の実施形態による方法の単純化された流れ図である。
【図9A】本発明の様々な実施形態による整列した回折顔料フレークのカラー・スキャンを示す図である。
【図9B】本発明の様々な実施形態による整列した回折顔料フレークのカラー・スキャンを示す図である。
【図9C】本発明の様々な実施形態による整列した回折顔料フレークのカラー・スキャンを示す図である。
【図9D】本発明の様々な実施形態による整列した回折顔料フレークのカラー・スキャンを示す図である。
【図9E】本発明の様々な実施形態による整列した回折顔料フレークのカラー・スキャンを示す図である。
【出願人】 【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【出願日】 平成19年11月13日(2007.11.13)
【代理人】 【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清

【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり


【公開番号】 特開2008−106278(P2008−106278A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2007−294138(P2007−294138)