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【発明の名称】 炭酸塩微粒子の表面処理方法、並びに該微粒子を配合してなる樹脂組成物及びフィルム
【発明者】 【氏名】伊東 宏明

【氏名】千葉 隆人

【要約】 【課題】炭酸塩微粒子の形状を損なうことなく微粒子表面に最適な表面処理を施す表面処理方法を提供し、且つ、その微粒子を配合した樹脂組成物を提供する。

【解決手段】炭酸塩微粒子を、カルボン酸基を有する表面改質剤で湿式処理する表面改質工程と、分散剤存在下で分散機により分散する分散工程で表面処理することを特徴とする炭酸塩微粒子の表面処理方法、樹脂組成物及びフィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩微粒子を、カルボン酸基を有する表面改質剤で湿式処理する表面改質工程と、分散剤存在下で分散機により分散する分散工程で表面処理することを特徴とする炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項2】
前記表面改質剤を、前記炭酸塩微粒子の表面塩基量に対して10〜50モル%吸着させることを特徴とする請求項1記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項3】
前記表面改質工程で用いられる表面改質剤は2〜4種類であり、かつ、該表面改質剤は炭素鎖を有し、それぞれの炭素鎖長が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項4】
最も炭素鎖長が短い表面改質剤が、表面改質剤の全モル量に対して60〜95モル%添加されることを特徴とする請求項3記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項5】
最も炭素鎖長が短い表面改質剤の炭素数が8〜14であり、それ以外の表面改質剤の炭素数が15〜20であることを特徴とする請求項4記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項6】
分散剤が、炭酸塩微粒子への吸着基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項7】
吸着基がリン酸基であることを特徴とする請求項6記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項8】
表面改質工程が終了した後に、分散剤が添加されて分散工程を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項9】
前記炭酸塩微粒子が、金属イオン水溶液と、炭酸イオン水溶液とのダブルジェット混合により合成させた炭酸塩微粒子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項10】
炭酸塩微粒子を合成後、脱塩工程、溶媒置換工程を経て、表面改質工程と、分散工程を行うことを特徴とする請求項9記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項11】
脱塩工程、溶媒置換工程が乾燥工程を経ることなく行われることを特徴とする請求項10記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項12】
前記分散工程が、分散機中にバインダーを添加して行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法により得た炭酸塩微粒子を樹脂中に配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法により得た炭酸塩微粒子を透明樹脂中に配合してなることを特徴とするフィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸塩微粒子の表面処理方法、並びに該微粒子を配合してなる樹脂組成物及びフィルムに関し、更に詳しくは、炭酸塩微粒子が高度に分散化され、低ヘイズを達成できる樹脂組成物及びフィルムに用いる炭酸塩微粒子の表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成炭酸カルシウム微粒子は安定性に優れるだけでなく、粒子形状を自由に設計できるなどの特徴を有することから、従来から種々の樹脂に配合させるなど充填剤として幅広く利用されている。特に塗料、インキ、プラスチック複合材などの分野において、近年、高い透明性や光沢といった意匠性と、耐擦性やべたつき防止等といった機械的な特性を両立させるために、サブミクロン〜ナノサイズの合成微粒子を充填剤とした樹脂組成物に多くの期待が集まっている。例えば、塗料などと併用して微粒子を樹脂中に分散させ、粒子を含有させることで、くっつきや擦り傷を防止しながら高い光沢性、透明性を両立した添加剤などに用いられている。また、プラスチック複合剤ではフィルム状に延伸した樹脂中に微粒子を配合することで、膜の透明性をある程度維持したまま引っ張り強度や、巻き取り時のブロッキング防止といった取り扱い性を向上させるなどの高い効果が得られている。
【0003】
しかしながら、サブミクロン〜ナノサイズの合成微粒子は、表面が高い親水性であると同時に極めて活性であり、合成した直後から凝集形態を取るため樹脂組成物に配合しても充分な性能が得られなかった。この様な樹脂組成物に分散させる微粒子は、一般的に何らかの表面処理を施す。例えば、飽和脂肪酸の金属石鹸、不飽和脂肪酸の金属石鹸、脂環族カルボン酸の金属石鹸及び樹脂酸の金属石鹸から選ばれる剤によって表面処理を行うことで、樹脂を含んだ微粒子分散液の分散性が向上する(例えば、特許文献1参照。)ことを報告している。また、沈降性炭酸カルシウム表面をカルボン酸基、又はスルホ基を有する高分子分散剤を用いて分散機により分散することで、分散性を向上させる技術について報告して(例えば、特許文献2参照。)いる。
【0004】
しかしながら、サブミクロン〜ナノサイズの合成微粒子の分散法としは未だ充分ではなく、透明樹脂中に配合してなる、樹脂組成物フィルムの高い透明性は得られていなかった。
【特許文献1】特開2003−147227号公報
【特許文献2】特開2001−87639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、炭酸塩微粒子が溶液中で凝集しない高い分散性を有した分散液を得るために、炭酸塩微粒子の形状を損なうことなく微粒子表面に最適な表面処理を施す表面処理方法を提供し、且つ、その微粒子を配合した樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0007】
1.炭酸塩微粒子を、カルボン酸基を有する表面改質剤で湿式処理する表面改質工程と、分散剤存在下で分散機により分散する分散工程で表面処理することを特徴とする炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0008】
2.前記表面改質剤を、前記炭酸塩微粒子の表面塩基量に対して10〜50モル%吸着させることを特徴とする前記1記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0009】
3.前記表面改質工程で用いられる表面改質剤は2〜4種類であり、かつ、該表面改質剤は炭素鎖を有し、それぞれの炭素鎖長が異なることを特徴とする前記1又は2記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0010】
4.最も炭素鎖長が短い表面改質剤が、表面改質剤の全モル量に対して60〜95モル%添加されることを特徴とする前記3記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0011】
5.最も炭素鎖長が短い表面改質剤の炭素数が8〜14であり、それ以外の表面改質剤の炭素数が15〜20であることを特徴とする前記4記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0012】
6.分散剤が、炭酸塩微粒子への吸着基を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0013】
7.吸着基がリン酸基であることを特徴とする前記6記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0014】
8.表面改質工程が終了した後に、分散剤が添加されて分散工程を行うことを特徴とする前記1〜7のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0015】
9.前記炭酸塩微粒子が、金属イオン水溶液と、炭酸イオン水溶液とのダブルジェット混合により合成させた炭酸塩微粒子であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0016】
10.炭酸塩微粒子を合成後、脱塩工程、溶媒置換工程を経て、表面改質工程と、分散工程を行うことを特徴とする前記9記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0017】
11.脱塩工程、溶媒置換工程が乾燥工程を経ることなく行われることを特徴とする前記10記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0018】
12.前記分散工程が、分散機中にバインダーを添加して行うことを特徴とする前記1〜11のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法。
【0019】
13.前記1〜12のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法により得た炭酸塩微粒子を樹脂中に配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
【0020】
14.前記1〜12のいずれか1項記載の炭酸塩微粒子の表面処理方法により得た炭酸塩微粒子を透明樹脂中に配合してなることを特徴とするフィルム。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施により、炭酸塩微粒子が溶液中で凝集しない高い分散性を有した分散液を得るために、炭酸塩微粒子の形状を損なうことなく微粒子表面に最適な表面処理を施す表面処理方法を提供し、且つ、その微粒子を配合した透明な樹脂組成物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を更に詳しく説明する。本発明においては、炭酸塩微粒子がカルボン酸基を有する表面改質剤で湿式処理される工程と、分散剤存在下で分散機により分散される工程とを含むことを特徴とする。以下、その詳細について説明する。
【0023】
《カルボン酸基を有する表面改質剤》
本発明はカルボン酸基を有する表面改質剤により、微粒子表面を改質することを特徴とする。本発明に用いることができる表面改質剤は、カルボン酸基を有しているものであれば特に制限はなく、樹脂との親和性に合わせて適宜選ぶことができる。その他、炭酸塩微粒子の表面改質剤には、リン酸基を有する改質剤、スルホン酸基を有する改質剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤なども用いることが出来るが、本発明の実施においては、比較的pKaが高くpHが低くならないカルボン酸類を用いる。また、炭酸塩表面は強い親水性を示すため、樹脂に配合する際にある程度疎水化されていることが好ましく、カルボン酸基を有する構造としては炭素鎖(アルキル基)を有する表面改質剤が好ましい。
【0024】
本発明で用いられる表面改質剤の具体例としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪族カルボン酸類、及び樹脂酸なる群より選ばれ、さらに具体的には、プロピオン酸、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸などの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及び飽和不飽和混合脂肪酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩など、ナフテン酸などの脂環族カルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩など、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸などの樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが挙げられる。
【0025】
本発明で用いることができる表面改質剤の好ましい炭素鎖長としては、C6〜C22程度のものを用いることができ、更に好ましくはC8〜C18、最も好ましくはC10〜C14程度である。
【0026】
また、本発明においては、前記表面改質剤が少なくとも2種類以上添加され、それぞれの表面改質剤の炭素鎖長が長短異なることが本発明の効果を得るためには好ましい。この場合、少なくとも最も炭素鎖長が短い表面処理剤が、使用する表面処理剤の全モル量に対して60〜95モル%添加されることが好ましい。更に好ましくは70〜90%、最も好ましくは75〜85%である。
【0027】
前記最も炭素鎖長が短い表面改質剤の炭素数は、8〜14であることが好ましく、更に好ましくは9〜12、最も好ましくは9〜11である。また、それ以外の表面改質剤の炭素数は15〜20が好ましく、16〜20が更に好ましく、17〜19が最も好ましい。
【0028】
例えば炭素数が18のステアリン酸と、炭素数が10のデカン酸などを同時に添加し改質処理を行うと、後述する分散剤との併用で分散性が向上するため好ましい。これは、同じ長さのアルキル基を有する改質剤を粒子表面に高密度に付与するとリジッドな状態になり、アルキル基の分子移動度が制限されるためと推察される。
【0029】
分散剤との併用には、同様な理由から、前記表面改質剤による疎水化処理を適度に行う必要がある。本願で用いる表面改質剤は、炭酸塩微粒子の表面塩基量(測定法については後述)に対して10〜50モル%の吸着率であることが好ましく、更に好ましくは15〜35モル%、最も好ましくは20〜30モル%である。吸着率が低いと粒子表面が充分に改質されず効果が得られない。また、吸着率が高すぎると、前述した理由から充分な粒子分散性が得られない。
【0030】
表面改質剤の添加量は、分散時の粒子量に対して0.1質量%〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜5質量%程度で使用量と吸着量のバランスが良く好ましい。
【0031】
また、粒子表面処理剤の反応プロセスは、室温で撹拌することである程度の吸着量が得られるが、さらに吸着量を向上させるには、一般公知に用いられる各種分散機中で粒子凝集を解しながら行うことが好ましい。具体的にはビーズミル分散機や、超音波ホモジナイザーといった分散機を用いることが出来き、本発明においては超音波ホモジナイザーを用いることが好ましい。
【0032】
《分散剤》
溶剤中で微粒子の凝集を抑制し高度に分散させる方法としては、高分子系の分散剤や極性部と非極性部を有する活性剤などを粒子表面に吸着させ、その立体障害効果により凝集体の生成を抑制する方法がある。分散剤の構造は特に制限はなく、リン酸系、スルホン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系等特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号公報等に記載されている。
【0033】
本発明の実施では、炭酸塩表面の酸塩基サイトと酸塩基相互作用により吸着性を示す分散剤を用いることが好ましく、分散剤の少なくとも1部位に吸着基を有する分散剤を用いることが更に好ましい。例えば、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、もしくはこれらの塩またはエステルといった吸着基を有する分散剤を好ましく用いることが出来るが、本発明においては、樹脂組成物内に微粒子を配合した際、樹脂組成物の延伸により樹脂との密着性が損なわれるおそれがあることから、より強い吸着基であるリン酸基を有する分散剤を用いることが最も好ましい。
【0034】
本発明で用いる分散剤の分子量は、100,000以下が好ましく、更に好ましくは500〜50,000、最も好ましいのは1,000〜20,000である。これは、特に粒径の小さいナノ粒子と、一分子内に複数の吸着基を有する分散剤とを用いる場合に顕著で、あまり分子量が大きすぎると、分散剤が粒子間で橋架け凝集を形成してしまい好ましくない。また、あまり分子量が小さすぎると、分子鎖が短く充分な立体障害効果が得られない。
【0035】
分散剤に求められる他の性質として樹脂との親和性が挙げられる。十分な立体障害効果を得るためには、樹脂を含む溶剤中で分散剤の高分子鎖が如何に延びるかが重要になる。この親和性は、樹脂と分散剤とを溶剤に溶解したときの白濁度、及びキャスト膜の透明性で簡単に評価することができる。また、相溶性のパラメータとしてHansenの溶解度パラメータを比較することで、溶剤−樹脂−分散剤それぞれを好ましく設計することができる。
【0036】
本発明で用いる分散剤の好ましい添加量としては、配合する微粒子質量に対して、1.0〜50.0質量%が好ましく、更には1.0〜30.0質量%が好ましく、最も好ましくは2.0〜10.0質量%である。添加量が少ないと充分な分散効果を得られず、多すぎると橋架け凝集や析出などを引き起こし好ましくない。
【0037】
表面処理操作については 粒子を乾燥させ行う乾式法、液中の分散液の状態で表面処理剤を添加し攪拌、混合する湿式法がある。本発明ではいずれでもよいが表面処理の均一性から湿式法が好ましい。表面処理操作中に超音波分散機による超音波照射やメディア分散機による分散を行うことは表面処理の均一性が増し好ましい。
【0038】
ノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面分散剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0039】
アニオン系分散剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、N−メチル−Nオレイルタウリン、石油スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物等である。
【0040】
カチオン系分散剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジュム塩等を挙げることができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等)を挙げることができる。両性系分散剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタイン等であり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン等である。
【0041】
フッ素系分散剤は、フルオロカーボン鎖を疎水基とする分散剤である。フッ素系分散剤としては、C817CH2CH2O−(CH2CH2O)10−OSO3Na、C817SO2N(C37)(CH2CH2O)16−H、C817SO2N(C37)CH2COOK、C715COONH4、C817SO2N(C37)−(CH2CH2O)4−(CH24−SO3Na、C817SO2N(C37)(CH23−N+(CH33・I-、C817SO2N(C37)CH2CH2CH2+(CH32−CH2COO-、C817CH2CH2O(CH2CH2O)16−H、C817CH2CH2O(CH23−N+(CH33・I-、H(CF28−CH2CH2OCOCH2CH(SO3)COOCH2CH2CH2CH2(CF28−H、H(CF26CH2CH2O(CH2CH2O)16−H、H(CF28CH2CH2O(CH23−N+(CH33・I-、H(CF28CH2CH2OCOCH2CH(SO3)COOCH22CH2CH2817、C917−C64−SO2N(C37)(CH2CH2O)16−H、C917−C64−CSO2N(C37)(CH23−N+(CH33・I-等が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0042】
《表面処理方法》
本発明においては前記表面改質剤と分散剤とを併用することが重要である。表面処理工程では前記表面改質剤と分散剤を同時に添加してもよいが、好ましくは前記表面改質剤を処理した後に分散剤を添加し分散処理を行う方が分散性に優れ望ましい。更に好ましくは表面改質剤を十分に炭酸塩微粒子表面に吸着させた後に、分散剤を添加して分散処理を行うことが好ましい。これは、炭酸塩微粒子表面が高い親水性を有することから、微粒子表面をある程度疎水化した後に、吸着基を有する分散剤を処理した方が、吸着反応が穏やかに進むため凝集が抑制されるものと推察される。
【0043】
また、分散剤の反応プロセスは、前記分散剤を添加した後、一般公知に用いられる各種分散機中で粒子凝集を解しながら行うことが好ましい。具体的にはビーズミル分散機や、超音波ホモジナイザーといった分散機を用いることが出来る。
【0044】
前記、炭酸塩微粒子に表面改質処理を行い、更に分散剤の処理を施した後、分散液を後述する樹脂バインダー液に滴下して混合する。混合時は、分散機を用いて樹脂バインダー液を充分に撹拌しながら行うことが好ましく、本発明で好ましく用いられる分散機としては、2本〜3本ロールミル、高速撹拌ミキサー、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインドミルなどを挙げることができ、本発明においてはビーズミルなどを用いることが望ましい。また、用いる樹脂の処方量に対して一部、又は/及び最終樹脂組成物とは異なる樹脂を予め少量添加し、比較的粘度が低いところで前記分散機を用いて分散処理を行い、得られたマスター液に残りの樹脂を添加して仕上げる工程が好ましい。これは、溶剤中で高度に分散された微粒子分散液から、樹脂の溶解によって溶剤を奪われるためで、いわゆるピグメントショックが発生し、粒子凝集を引き起こすためである。
【0045】
《炭酸塩微粒子》
樹脂組成物に添加される微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子、燐化物、複酸化物微粒子、オキソ酸塩微粒子、複塩微粒子、錯塩微粒子等。更には、フッ化物、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、シュウ酸塩、水酸化物などから選ばれる。より具体的には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム等、更には、リン酸塩、硫酸塩等、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ケイフッ化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、チオ硫酸カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、酢酸バリウム、塩化バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化バリウム、フッ化バリウムなどが挙げられる。
【0046】
本発明においては前記微粒子群から、特に炭酸塩微粒子を用いることが特徴である。更にはアルカリ土類金属の炭酸塩が無機微粒子の安定性の観点から好ましい。本発明で用いることができる更に好ましい無機微粒子の例としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムが挙げられ、最も好ましいのは炭酸カルシウムである。
【0047】
本発明の樹脂組成物に用いる炭酸塩微粒子の結晶形態としては特に制限は無く、例えばカルサイト型、アラゴナイト型、バテライト型いずれであってもよい。
【0048】
本発明の微粒子を配合した樹脂組成物においては、その性能向上の観点から、配合する微粒子の粒子形態を制御することが好ましい。特に高い分散性を得るには、数ナノ〜百数十ナノの粒子に均一な表面処理を施す必要があり、その為には粒径分布の揃った単分散粒子を用いることが好ましい。
【0049】
本発明で用いる炭酸塩微粒子は、天然に存在する鉱物の粉砕及びメディア分散により得ることが出来るが、分布の揃った数ナノ〜百数十ナノの粒子を均一に得るためには、液中で沈殿させる合成微粒子であることが好ましい。
【0050】
前記、炭酸カルシウム、及び炭酸ストロンチウムといったアルカリ土類金属炭酸塩の合成微粒子は、アルカリ土類金属イオンと炭酸イオンを反応させて形成することができる。アルカリ土類金属イオン源はCa2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+であり、Ca2+の場合の具体的な化合物としてはCaCl2、Ca(NO32、CaSO4、Ca(OH)2、Ca(CH3COO)2、及びそれらの水和物等を挙げることができる。Sr2+、Ba2+、Ra2+の場合の具体的な化合物も同様である。炭酸イオン源として用いることができる化合物としては、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、KHCO3、(NH42NO3、NH4HCO3、(NH22CO等が挙げられる。本発明においては、アルカリ土類金属イオン源と炭酸イオン源のいずれも溶媒に対する溶解度が高く濃度の高い溶液を調製できる化合物がより好適である。
【0051】
本発明で用いる前記粒子合成方法としては、水溶液中で2液混合するダブルジェット法による粒子合成が好ましい。ダブルジェット法とは、2種類の溶液を必要に応じて適当な送液装置等を用いて各々反応容器内の液の液面上または液中に滴下または噴射、あるいは注入することにより該容器内の液中で反応させる方法である。またシングルジェット法とは反応液の一方を反応容器内に予め注入しておき、もう一方の溶液を適当な送液装置等を用いて反応容器内の液中に滴下または噴射、或いは注入することにより該容器内の液中で反応させる方法でありダブルジェット法と区別される。
【0052】
ダブルジェット法では、撹拌混合装置内の過飽和度を高めて単位時間当たりの核発生数を増大することができるため、少粒径化できるだけでなく、核形成工程の時間を短縮し核形成工程における分布劣化を改善することが可能となる。更には、核形成工程が終了後、原料溶液を追加注入して、発生させた核粒子に対し分布が揃った成長粒子を得ることもできる。
【0053】
ダブルジェット法においては、反応容器内の液のpHを任意に設定することができるが、粒子の凝集抑制及び微粒化の観点から、核形成工程および/または粒子成長工程の少なくとも一部をpH9以上の条件下で行うことが好ましい。さらにはpH値9〜13.5が好ましい。
【0054】
本発明で用いられる炭酸塩微粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)像の投影面積から見積もった平均円相当径が10〜200nmであることが好ましく、好ましくは20〜150nm、更に好ましくは30〜100nmであることが望ましい。また、同様にして求めた円相当径の相対標準偏差が50%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましく、30%以上が望ましい。
【0055】
また、得られた粒子の窒素吸着法により測定したBET値が1〜200m2/gであることが好ましく、更に好ましくは10〜100m2/g、最も好ましくは20〜80m2/gである。
【0056】
本発明に用いられる無機微粒子の形状としては、球形だけでなく、ファイバー状、繊維状、棒状、針状、円盤状、平板状、ラグビーボール状、紡錘状、等を挙げることができる。
【0057】
本発明では、粒子形成工程を形態制御剤の存在下で実施することができる。形態制御剤に用いることができる化合物としてはアミン類を挙げることができ、一級アミン類やアミノアルコール類などが挙げられる。
【0058】
更に、本発明では、粒子形成工程を凝集抑制剤の存在下で行うことが出来る。凝集抑制剤としてポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンなどの窒素含有ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどの中性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系ポリマーなどの水溶性ポリマーを用いることが出来る。ポリマーの平均分子量に制限はないが 分子量が小さいと凝集抑制効果が小さく、大きいと反応液の増粘を引き起こす。好ましくは5000以上200万以下、より好ましくは8000以上100万以下である。使用した水溶性ポリマーは最終製品が疎水性塗料、プラスチックなどの場合で製品性能に問題を残す場合は中途の脱塩工程、或いは溶媒置換の工程等で取り除くことが出来る。
【0059】
本発明においては、前記合成した炭酸塩微粒子を、乾燥工程を経ることなく分散液のまま表面処理を施すことが好ましい。これは、原料イオン、及び/または副生成物、各種添加剤の存在下で微粒子を乾燥してしまうと、強固な凝集体を形成してしまうため、後工程の分散機による分散で十分に凝集を解せなくなる可能性があるからである。
【0060】
本発明の具体的な表面処理工程は、炭酸塩微粒子を合成後、脱塩工程、溶媒置換工程を経て、前記改質工程と、前記分散工程を行うこが好ましい。さらには、脱塩工程、溶媒置換工程が乾燥工程を経ることなく行われることが好ましく、乾燥による粒子間の強い凝集を抑制することが狙いである。
【0061】
前記合成した粒子分散液中には、残存原料や副生成物、各種添加剤など、最終完成物である樹脂組成物にしたときの性能を劣化させる物質を含んでおり、前記脱塩工程にてそれらを取り除く。更には、本発明の樹脂組成物に微粒子を配合して成る構成の場合、非水系の樹脂を用いる場合も考えられ、その場合は合成時の合成媒である水から溶剤への置換した後に、前記表面改質工程、前記分散工程を行うことがより好ましい。
【0062】
より具体的には、遠心分離機などを用いて粒子を沈降させ、上澄みを除去/交換する処理を繰り返すことで、脱塩処理や溶媒置換を行うことができる。しかしながら、遠心分離法では粒子間の距離が近づくため、凝集状態を形成する可能性があり、本発明においては限外ろ過装置を用いて濃縮脱塩工程、溶媒置換工程を行うことが好ましい。
【0063】
《樹脂および樹脂組成物》
用途によって異なるが、例えば、本発明の炭酸塩微粒子を光学フィルム中に配合させる場合、一般的には光学的に透明性が高く、また複屈折性を示さない樹脂が用いられることが通例である。このような特性をもつ樹脂としては、セルロースエステル樹脂、ノルボルネン系開環重合体であるシクロオレフィン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。
【0064】
本発明に用いることのできるセルロースエステル樹脂は、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。あるいは、特開2002−179701号、同2002−265639号、同2002−265638号に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステル、セルロースアシレートも好ましく用いられる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。
【0065】
前記シクロオレフィン系樹脂としては、モノマーとしてノルボルネンを用いている日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、三井化学(株)製のトーパス、JSR(株)アートンなどが挙げられる。これらのポリマーは、一般的な汎用ポリオレフィンと比較して水分透過率が低く、またガラス転移温度が高いことから熱安定性に優れていることが知られている。
【0066】
本発明の樹脂組成物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、寸法安定性、耐熱性、低吸水性に優れる。そのため、本発明に係る樹脂組成物は各種光学素子、導光板や各種光学フィルムなどに好ましく用いることができる。
【0067】
本発明に係る樹脂組成物は用途を特に限定しないが、一般的な透明部材として適用することができる。具体的な適用例としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクの基材として、また、液晶ディスプレイなどの導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、オーバーコートフィルム、反射防止フィルム、タッチパネル用フィルムなどの光学フィルム、光拡散板、光カード、液晶表示素子基板などが挙げられる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0069】
《炭酸塩微粒子の合成》
溶液の調製
容量8Lのステンレス製の反応容器に、エタノール800mlと水を加え、形態制御剤としてエチレンジアミンを0.3モル加え、さらに塩化カルシウム2水和物を0.1モル加え、水を追加して4000mlの(溶液A)を調製した。溶液AのpHは約12であった。また、塩化カルシウム2水和物から調製した1.0mol/l水溶液900ml(溶液B)と、炭酸ナトリウムから調製した1.0mol/l水溶液1000ml(溶液C)を準備した。
【0070】
核形成工程
反応容器内の溶液Aを5℃に保持し800rpmで攪拌しながら、5℃に冷却した各々125mlの溶液Bと溶液Cを、ダブルジェット法を用いて等しい添加速度で溶液Aの液中に30秒間で添加した。
【0071】
粒子成長工程
核形成工程に引き続き、5℃に保持した反応液を攪拌しながら、5℃に保持した溶液Bの残量775mlと溶液Cの残量875mlを、溶液Cの添加終了時の添加速度が添加開始時の3.6倍となるようにダブルジェット法を用いて反応容器内の液中に240分間で添加した。溶液Bも溶液Cと同じ流速で添加し、溶液Cに先立ち添加を終了した。なお、粒子成長工程開始前と工程間、及び工程終了後に反応液を採取し電子顕微鏡を用いて確認したところ、粒子成長工程での新たな核の生成は認められなかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、300個以上の粒子の投影像から個々の形状を画像処理により計測し、平均円相当径は約80nmと見積もられた。さらに、粒径の標準偏差と平均円相当径から求めた粒径分布は約25%であった。
【0072】
前記得られた水分散液についてろ過装置を用いて濃縮し、数回水を加えて塩濃度が0.01%未満になるまで洗浄を行い、そのままろ過して120℃で乾燥し炭酸塩微粒子粉末を得た。
【0073】
《表面処理および樹脂組成物の作製》
前記方法により作製した炭酸塩微粒子に、以下に示す表面処理を行い、樹脂組成物を作製した。
【0074】
〔サンプルNo.1の作製〕
容量200mlのビーカーに、前記方法により作製した炭酸塩微粒子を3.0gとり、エタノール27.0gに分散させ、SMT社製超音波分散機UH−300を用いて連続60分間分散させ、分散液を約30g得た。この分散液を以下に示す組成の樹脂量1/3バインダー液に滴下し、約10分間撹拌後、前記超音波分散機を用いて10分間分散させ、残りの樹脂を加え1時間撹拌して樹脂バインダー液を得た。
【0075】
バインダー液組成
分散液 12.5質量%
エタノール 1.5質量%
ジクロロメタン 67.0質量%
トリフェニルホスフェート(TPP) 1.6質量%
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG) 0.4質量%
セルロースアセテートプロピオネート(CAP) 17.0質量%
前記バインダー液をステンレスベルト上に流延し、残存溶剤が20%程度になったところでベルトから剥離し、120℃で15分間乾燥させ、フィルム状樹脂組成物である、サンプルNo.1を作製した。
【0076】
〔サンプルNo.2の作製〕
後述する「表面塩基量測定法」にしたがって測定した炭酸塩微粒子表面の全塩基吸着サイト数に対して、30モル%となるように表面改質剤ステアリン酸を量り、エタノール27.0gに溶解させ、そこに前記炭酸塩微粒子の合成により合成した炭酸塩微粒子3.0gを入れた以外はサンプルNo.1と同様にしてサンプルNo.2を作製した。
【0077】
〔サンプルNo.3の作製〕
表面改質剤を味の素ファインケミカル社製プレンアクトKR44(チタネート系カップリング剤)に変更した以外は、サンプルNo.2と同様にしてサンプルNo.3を作製した。
【0078】
〔サンプルNo.4の作製〕
分散剤として表1に示す花王株式会社製エマルゲン120(ノニオン性活性剤)を0.3g量り、エタノール27.0gに溶解させ、そこに前記炭酸塩微粒子の合成により合成した炭酸塩微粒子3.0gを入れた以外はサンプルNo.1と同様にしてサンプルNo.4を作製した。
【0079】
〔サンプルNo.5の作製〕
分散剤として表1に示すビックケミー社製Disperbyk−111(リン酸基を有する湿潤分散剤)を用いた以外はサンプルNo.4と同様にしてサンプルNo.5を作製した。
【0080】
〔サンプルNo.6〜11の作製〕
サンプルNo.2と同様にして得た粒子表面改質済みの分散液に対し、更に続けて表1に示す各々の分散剤(Disperbykはビックケミー社製、Solsperseは日本ルーブリゾール社製、EFKAはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のものをそれぞれ用いた)を0.3g加え、前記超音波分散機により60分間分散処理を行って分散液を得た以外はサンプル2と同様にしてサンプルNo.6〜11を得た。
【0081】
〔サンプルNo.12〜13の作製〕
サンプルNo.7の表面改質剤を、表1に示す味の素ファインケミカル社製プレンアクト(チタネート系カップリング剤)にそれぞれ変更した以外は、サンプルNo.7と同様にしてサンプルNo.12〜13を得た。
【0082】
〔サンプルNo.14の作製〕
サンプルNo.7の表面改質剤を、炭酸塩微粒子表面の全塩基吸着サイト数に対して、ステアリン酸6モル%およびデカン酸24モル%の併用にした以外は、サンプルNo.7と同様にしてサンプルNo.14を得た。
【0083】
〔サンプルNo.15の作製〕
サンプルNo.6の表面改質剤を、炭酸塩微粒子表面の全塩基吸着サイト数に対して、ステアリン酸6モル%およびラウリン酸24モル%の併用にした以外は、サンプルNo.6と同様にしてサンプルNo.15を得た。
【0084】
〔サンプルNo.16の作製〕
サンプルNo.15の分散剤を、Disperbyk−111にした以外は、サンプルNo.15と同様にしてサンプルNo.16を得た。
【0085】
〔サンプルNo.17の作製〕
サンプルNo.16の表面改質剤を、炭酸塩微粒子表面の全塩基吸着サイト数に対して、ステアリン酸12モル%およびラウリン酸48モル%の併用にした以外は、サンプルNo.16と同様にしてサンプルNo.17を得た。
【0086】
〔サンプルNo.18の作製〕
サンプルNo.16の表面改質剤を、炭酸塩微粒子表面の全塩基吸着サイト数に対して、ステアリン酸3モル%およびラウリン酸12モル%の併用にした以外は、サンプルNo.16と同様にしてサンプルNo.18を得た。
【0087】
〔サンプルNo.19の作製〕
サンプルNo.16の作製において、分散剤の処理を行った後に、続けて表面改質剤の処理を行った以外はサンプルNo.16と同様にしてサンプルNo.19を作製した。
【0088】
〔サンプルNo.20の作製〕
前記炭酸塩微粒子の合成において作製した水分散液を、限外ろ過装置(ビバフロー200)を用いて溶解塩濃度が0.01%未満になるまでバッチ脱塩処理を行い、更に同様な方法で水分量が1.0%未満になるまでエタノール置換を行うことにより、固形分濃度が約3質量%のエタノール分散液を得た。更に、ロータリーエバポレータを用いて、固形分濃度が10質量%となるまで濃縮し、その分散液30.0gに表面改質剤を添加した以外はサンプルNo.16と同様にしてサンプルNo.20を作製した。
【0089】
〔サンプルNo.21の作製〕
サンプルNo.2の作製において、バインダー液組成を以下に示すノルボルネン構造を有する樹脂構成とした以外はサンプルNo.2と同様にしてサンプルNo.21を得た。
【0090】
バインダー液組成
分散液 12.5質量%
エタノール 1.5質量%
ジクロロメタン 67.0質量%
トリフェニルホスフェート(TPP) 1.6質量%
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG) 0.4質量%
ノルボルネン樹脂(アートンG JSR社製) 17.0質量%
〔サンプルNo.22の作製〕
サンプルNo.5の作製において、バインダー液組成をサンプルNo.21に示す構成とした以外はサンプルNo.5と同様にしてサンプルNo.22を得た。
【0091】
〔サンプルNo.23の作製〕
サンプルNo.16の作製において、バインダー液組成をサンプルNo.21に示す構成とした以外はサンプルNo.16と同様にしてサンプルNo.23を得た。
【0092】
〔サンプルNo.24の作製〕
サンプルNo.20の作製において、バインダー液組成をサンプルNo.21に示す構成とした以外はサンプルNo.20と同様にしてサンプルNo.24を得た。
【0093】
《表面塩基量測定法》
表面改質剤の処理量指標として以下に示す表面塩基量の評価を行った。
【0094】
炭酸塩の場合、表面は塩基性であることが知られているので、まずは未処理の粒子に濃度既知の酸を吸着させ、溶液中の残存酸量を適当なアルカリ溶液で滴定して求めることで、逆算的に表面の塩基吸着サイト数を求めることができる。
【0095】
合成した炭酸塩微粒子の2.0gを取り、0.01モル/Lの過塩素酸/エタノール溶液を30ml入れて分散液を作り、撹拌しながら超音波ホモジナイザーを用いて2時間分散し充分に反応を行った。続いて、該分散液の粒子を遠心分離機により沈降させ、上澄み液5mlを取ってエタノール45mlを加えて希釈した。この希釈溶液を0.01モル/Lの水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)/エタノール溶液で滴定し、溶液中に残存する過塩素酸量を測定した。滴下量から粒子表面に吸着した過塩素酸量を見積もり、そのモル数を炭酸塩微粒子表面の全吸着サイト数とした。
【0096】
本発明で合成した炭酸カルシウム微粒子の吸着サイト数は約108.8μmol/gであった。また、日本ベルソープ社製ベルソープ18を用いて測定した窒素吸着法によるBET値約42.9m2/gから、単位表面積あたりの吸着サイト数は約2.54μmol/m2と見積もられた。
【0097】
以上、作製した分散液、及び樹脂組成物について、以下に示す項目について評価を行った。また、その結果を表1に示した。
【0098】
《分散液の分散性評価》
前記作製した樹脂バインダー液に滴下する前の分散液について、分散処理後の粒子沈降速度を以下の指標に基づいて評価し表1に示した。ただし、平均粒径測定は大塚電子社製FPAR−1000型動的光散乱法によるマルカットヒストグラム解析により求めた。
【0099】
◎:一昼夜放置しても沈降せず、且つ平均粒径が200nm未満
○:一昼夜放置しても沈降せず、且つ平均粒径が200nm以上
△:一時間以上放置して、若干の沈降が見られる
×:放置して一時間以内に沈降が見られる
××:放置するとすぐさま沈降が見られる。
【0100】
《樹脂バインダー液の濁度評価》
前記作製した1/3量樹脂添加バインダー液について、分散機による分散処理を行った後、5mm厚セル、三菱化学製SEP−PT−706D型濁度計を用いて濁度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0101】
《樹脂組成物フィルムのヘイズ測定》
ヘイズはJIS K7136に従い日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を用いて測定し、膜厚100μm換算での値を表1に示した。
【0102】
【表1】


【0103】
以上のように、本発明の実施により、高い透明性を確保した樹脂組成物フィルムを得るために、溶剤中において高い分散性を有する炭酸塩微粒子の表面処理方法を提供することができた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年10月17日(2006.10.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−101051(P2008−101051A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−282331(P2006−282331)