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【発明の名称】 加硫活性成分処理炭酸カルシウム
【発明者】 【氏名】川島 孝博

【氏名】筒井 昌一

【要約】 【課題】ゴムに配合した場合に、加工性(ハンドリング)が良好で、かつゴムの補強性を低下させることなく、耐スリップ性等、炭酸カルシウムに起因するメリットを最大限に発現さもることができる加硫活性成分処理炭酸カルシウムを得る。

【解決手段】脂肪酸類または樹脂酸類とケイ酸類を表面処理した、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmである改質炭酸カルシウムに、常温で液体の加硫活性成分を、その含有量が9.1〜35重量%となるように混合したことを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸類または樹脂酸類とケイ酸類を表面処理した、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmである改質炭酸カルシウムに、常温で液体の加硫活性成分を、その含有量が9.1〜35重量%となるように混合したことを特徴とする加硫活性成分処理炭酸カルシウム。
【請求項2】
加硫活性成分が、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、及び有機アルミネート化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の加硫活性成分処理炭酸カルシウム。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の加硫活性成分処理炭酸カルシウムと、ケイ酸およびケイ酸塩とをゴムに含有させたことを特徴とするゴム組成物。
【請求項4】
ゴム成分100重量部に対して、ケイ酸およびケイ酸塩が0.1〜100重量部配合されていることを特徴とする請求項3に記載のゴム組成物。
【請求項5】
ゴム成分100重量部に対し、加硫活性成分が0.1〜20重量部となるように加硫活性成分処理炭酸カルシウムが含有されていることを特徴とする請求項3または4に記載のゴム組成物。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、改質炭酸カルシウムに、常温で液体の加硫活性成分を混合した加硫活性成分処理炭酸カルシウムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウムは、従来からゴム、プラスチックス、塗料、インキ、シーリング剤、製紙、農薬、中和剤、食品添加物、化粧品等幅広い分野で利用されている。これらの中でも、液状製品の担体(キャリア)として作業性の改善を図った利用方法があり、例えば、特許文献1及び特許文献2に例示されている。
【0003】
上記方法によれば、シランカップリング剤等をより高濃度で、炭酸カルシウム単独、或いは高吸液量無機充填剤と混合した粉体に担持することができるが、例えば、ゴムに一定量のシランカップリング剤等を配合する場合、ハンドリング性は良くなるものの、添加量が制約されるため、炭酸カルシウムの配合効果が発現しにくくなる。
【0004】
一方、担持量の少ない例としては、特許文献3等に例示されているが、同じくゴムに配合する場合、一定量のシランカップリング剤等を配合しようとすると、より多くの量を配合する必要があるため、例えば補強性が低下する等の問題を生じる。
【特許文献1】国際公開WO2006/025423号公報
【特許文献2】特開昭56−104950号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/009711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ゴムに配合した場合において、加工性(ハンドリング)が良好で、かつゴムの補強性を低下することなく、耐スリップ性、耐発熱性など、炭酸カルシウムに起因するメリットを最大限に発現させることができる加硫活性成分処理炭酸カルシウムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、脂肪酸類または樹脂酸類とケイ酸類を表面処理した、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmである改質炭酸カルシウムに、常温で液体の加硫活性成分を、その含有量が9.1〜35重量%となるように混合したことを特徴としている。
【0007】
本発明における加硫活性成分は、例えば、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機アルミネート化合物等が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、ゴムに配合した場合において、加工性(ハンドリング)が良好で、かつゴムの補強性を低下させることなく、耐スリップ性、耐発熱性等、炭酸カルシウムに起因するメリットを最大限に発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0010】
改質炭酸カルシウム
本発明において使用する改質炭酸カルシウムとしては、原料炭酸カルシムに脂肪酸類または樹脂酸類よりなる群から選ばれる少なくとも1種以上とケイ酸類を表面処理したものが使用される。
【0011】
改質炭酸カルシウムは、脂肪酸類、樹脂酸類及びケイ酸類により原料炭酸カルシウム粒子又は処理された炭酸カルシウム粒子の表面の全部又は一部を覆う構造のものであればよく、必ずしも、表面全てを連続的に覆う必要はない。また処理する順番も限定されない。
【0012】
改質炭酸カルシウムの原料となる炭酸カルシウムとしては、公知の重質炭酸カルシウム、合成(沈降性)炭酸カルシウムなどを用いることができる。
【0013】
重質炭酸カルシウムは、天然に産出する炭酸カルシウム原石を、ローラーミル、高速回転ミル(衝撃剪断ミル)、容器駆動媒体ミル(ボールミル)、媒体撹拌ミル、遊星ボールミル、ジェットミルなどを用いて、乾式または湿式で粉砕する方法などにより、調製できる。
【0014】
合成(沈降性)炭酸カルシウムは、石灰乳−炭酸ガス反応法、塩化カルシウム−ソーダ灰反応法、石灰乳−ソーダ灰反応法等などの公知の方法により得ることができる。具体的には、石灰乳−炭酸ガス反応法の一例として、石灰石原石を、コークスあるいは石油系燃料(重油、軽油)、天然ガス、LPG等で混焼することによって生石灰とし、この生石灰を水和して水酸化カルシウムスラリーとし、これに混焼時に発生する炭酸ガスをバブリングして反応させることによって、炭酸カルシウムを生成する方法等が挙げられる。炭酸ガス反応時の条件を設定することによって、所望のサブミクロンオーダーの微粒子を得ることができる。
【0015】
本発明における改質炭酸カルシウムを、走査型電子顕微鏡で観察した場合、最小単位である一次粒子の粒子形状は立方体あるいは球状である。本発明における改質炭酸カルシウムの一次粒子径は、このように走査型電子顕微鏡により測定することができ、好ましくは0.01〜0.5μm程度であり、より好ましくは、0.01〜0.1μm程度である。
【0016】
本発明における改質炭酸カルシウムの一次粒子径は、粒子形状が立方体であれば一辺の長さを示し、球状であれば直径を示す。本発明における改質炭酸カルシウムは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成していてもよい。
【0017】
粒子が大きすぎる場合には、十分に加硫活性成分を保持できず、またモジュラス、耐摩耗性といった補強性を損なう恐れがあるため好ましくない。一方、小さすぎる場合には分散性が悪くなり、ゴム成分に対する補強効果が損なわれるおそれがあるので好ましくない。
【0018】
本発明において、改質炭酸カルシウムに使用する脂肪酸類とは、炭素数が6〜24程度の飽和若しくは不飽和の脂肪酸、その塩又はエステルなどが挙げられる。
【0019】
炭素数が6〜24程度の飽和若しくは不飽和の脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸などを挙げることができる。特に、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸が好ましい。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0020】
脂肪酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
【0021】
また脂肪酸のエステルとしては、例えば、炭素数が6〜24程度の飽和もしくは不飽和の脂肪酸と、炭素数が6〜18程度の低級アルコールとのエステルなどが挙げられる。
【0022】
脂肪酸類による処理方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
【0023】
まず、脂肪酸をNaOH水溶液、KOH水溶液などのアルカリ金属水溶液中で加熱しながら鹸化(Na塩、K塩等の金属塩にすること)し、溶液状にする。次いで、シリカ層を形成させた炭酸カルシウムの水懸濁液を、予め30〜50℃に加熱しておき、この懸濁液に前述の溶液状の脂肪酸石鹸を添加し、攪拌させて、混合し、脂肪酸層を形成させる。脂肪酸Naなどの石鹸をそのまま使用する場合については、予め加熱した水溶液を調整しておき、上記と同様の方法で処理を行う。
【0024】
また、脂肪酸を鹸化せずに用いて処理を行うこともできる。例えば、母体炭酸カルシウムを脂肪酸の融点以上に加温しながら攪拌し、これに脂肪酸を添加し、攪拌させて、混合することにより、脂肪酸層を形成させることができる。
【0025】
本発明において使用する樹脂酸類としては、例えば、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸などのアビエチン酸類或いはその重合体、不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、これらの塩(例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)又はエステルなどが挙げられる。これらの中では、アビエチン酸及びデヒドロアビエチン酸が好ましい。
【0026】
樹脂酸類の処理方法としては、脂肪酸類と同様の手法をとることができる。具体的には、樹脂酸をNaOH水溶液、KOH水溶液などのアルカリ金属水溶液中で加熱しながら鹸化(Na塩、K塩等の金属塩にすること)し、溶液状にする。次いで、シリカ層を形成させた炭酸カルシウムの水懸濁液を、予め30〜50℃に加熱しておき、この懸濁液に前述の溶液状の樹脂酸石鹸を添加し、攪拌させて、混合し、樹脂酸層を形成させる。樹脂酸Naなどの石鹸をそのまま使用する場合については、予め加熱した水溶液を調整しておき、上記と同様の方法で処理を行う。また、樹脂酸を鹸化せずに用いて処理を行うこともできる。例えば、母体炭酸カルシウムを樹脂酸の融点以上に加温しながら攪拌し、これに樹脂酸を添加し、攪拌させて、混合することにより、樹脂酸層を形成させることができる。
【0027】
有機酸層を構成する、脂肪酸類及び樹脂酸類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機酸の付着量は、特に限定されるものではないが、原料となる炭酸カルシウム100重量部に対して、通常0.5〜20重量部程度である。より好ましくは1〜15重量部程度、さらに好ましくは2〜12重量部程度である。
【0028】
本発明において、改質炭酸カルシウムに使用されるケイ酸類は、公知の方法により製造することができる。例えば、酸分解法によるシリカヒドロゾル、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液に、塩酸、硫酸などの無機酸、硫酸アルミニウム、或いは酢酸、アクリル酸などの有機酸、その他の炭酸ガス等の酸性物質を加えることによって生成する非晶質シリカヒドロゾルを用いることができる。或いは、半透膜にケイ酸ナトリウムを通して生成せしめる透析法によって生成されるシリカヒドロゾル、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法によって生成されるシリカヒドロゾルを用いることもできる。
【0029】
ケイ酸類による炭酸カルシウムの処理方法としては、例えば、炭酸カルシウムスラリーに適当濃度のケイ酸ナトリウムを加え、攪拌しながら無機酸または有機酸などの酸性物質を滴下し、生成する活性なシリカヒドロゾルによって、炭酸カルシウム表面を処理する手法が挙げられる。
【0030】
予め調整したシリカヒドロゾルを用いる場合は、炭酸カルシウムスラリーに、シリカヒドロゾルを添加し、強力に攪拌することにより、処理することができる。
【0031】
本発明において、ケイ酸類の炭酸カルシウムに対する付着量は、特に限定されるものではないが、原料となる炭酸カルシウム100重量部に対して、通常0.5〜15重量部程度であり、より好ましくは1〜12重量部程度であり、さらに好ましくは2〜10重量部程度である。付着量は、付着の対象となる炭酸カルシウムのBET比表面積などに応じて適宜調整される。
【0032】
炭酸カルシウムに対するケイ酸類の付着量が少なすぎる場合には、後述するシランカップリング剤等の加硫活性成分を結合させるに足る反応部位が少なくなるため、所望のゴム物性を発現できないおそれがある。一方、付着量が多すぎる場合には、炭酸カルシウム表面に付着する以外に余剰のシリカヒドロゾル等が溶液中に存在することになるので、乾燥時にシリカヒドロゾル等が炭酸カルシウムを強く凝集固化させて、粉砕困難な粗大粒子が増大する。このような粗大粒子を含む炭酸カルシウム充填剤は、ポリマーの引裂強さ、耐屈曲亀裂性などを低下させるおそれがある。
【0033】
本発明で使用される走査型電子顕微鏡で観察した改質炭酸カルシウムの平均粒子径は、所期の効果を奏し得る範囲で設定できるが、0.01〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.1μmである。
【0034】
粒子径が大きすぎる場合には、十分な耐摩耗性を有するゴム組成物が得られないので好ましくない。一方、粒子径が小さすぎる場合には分散性が悪くなり、ゴム成分に対する補強効果が損なわれるおそれがあるので好ましくない。
【0035】
改質炭酸カルシウムのBET比表面積は、5〜120m/g程度が好ましく、より好ましくは10〜120m/g程度であり、さらに好ましくは60〜110m/g程度である。
【0036】
BET比表面積が5m/gよりも小さすぎる場合には、充分な耐摩耗性を得ることができない点で好ましくなく、120m/gより大きい場合には、飛散性が激しくなるため、好ましくない。
【0037】
本発明において、脂肪酸類または樹脂酸類による表面処理と、ケイ酸類による表面処理の順序は、特に限定されるものではないが、原料(すなわち未処理)の炭酸カルシウムに、まずケイ酸類を表面処理した後、脂肪酸類または樹脂酸類を表面処理することが好ましい。
【0038】
加硫活性成分
本発明において用いる加硫活性成分は、ゴム等における加硫を活性させることができる成分であれば特に限定されるものではないが、例えば、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、有機アルミネート化合物などが挙げられる。これらの他に公知の加硫促進剤、加硫促進助剤なども用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0039】
有機シラン化合物としては、例えばシランカップリング剤として知られているものを用いることができる。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−ジサルファン、ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−テトラサルファン(TESPT)などを挙げることができる。これらは単独で使用しても良く、或いは2種以上を併用して使用しても良い。
【0040】
これらの中では、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−テトラサルファンを用いるのが好ましい。
【0041】
有機チタネート化合物としては、従来ゴム、プラスチックスに配合されている任意のチタネートカップリング剤を配合することができ、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用しても良く、或いは2種以上を併用して使用しても良い。これらのなかでは、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートが好ましい。
【0042】
有機アルミネート化合物としては、アルミネートカップリング剤を使用でき、例えばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
【0043】
ケイ酸及びケイ酸塩
本発明で、改質炭酸カルシウムとは別にゴムに配合されるケイ酸及びケイ酸塩としては、例えば湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、ゾル-ゲル法シリカ、溶融シリカ、シリカサンド、クリストバライト、カオリンクレー、焼成クレー、セリサイト、マイカ、タルク、ネフェリンサイナイトなどを例示することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0044】
加硫活性成分処理炭酸カルシウムの調製
本発明の加硫活性成分配合炭酸カルシウム組成物は、上記の改質炭酸カルシウムと、加硫活性成分を混合することにより調製することができる。混合方法は特に限定されるものではないが、一般には、粉末である改質炭酸カルシウムの撹拌下に、液状の加硫活性成分を添加して混合する方法が好ましく採用される。
【0045】
加硫活性成分の含有量は、全体(改質炭酸カルシウムカルシウムと加硫活性成分の合計量)に対して9.1〜35重量%であり、好ましくは9.1〜30重量%であり、さらに好ましくは10〜25重量%である。
【0046】
加硫活性成分の含有量が9.1重量%未満であると、加硫活性成分処理炭酸カルシウムとして多くの量をゴム等に配合する必要があるので、補強性が低下したり、あるいはスコーチ安定性が低下するおそれがある。また、逆に、加硫活性成分の含有量が35重量%を超えると、粉末の性状を保持できなくなる場合がある。
【0047】
ゴム組成物の調製
本発明の加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、特にゴムに配合した場合において、耐摩耗性を損なわず、耐スリップ性、圧縮永久歪み及び耐発熱性を改善するという効果を得ることができる。このようなゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
【0048】
合成ゴムとしては、架橋可能なジエン系ゴムが用いられる。合成ゴムの具体的な例としては、例えば、シス−1,4−ポリイソプレン、乳化重合スチレンブタジエン共重合体、溶液重合スチレンブタジエン共重合体、低シス−1,4−ポリブタジエン、高シス−1,4−ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロプレン、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
【0049】
上述したゴムの中でも、天然ゴム、シス−1,4−ポリイソプレン、乳化重合スチレンブタジエン共重合体、溶液重合スチレンブタジエン共重合体、低シス−1,4−ポリブタジエン、及び高シス−1,4−ポリブタジエンが、特に好適に用いられる。
【0050】
ゴムは、上述した天然ゴム又はジエン系合成ゴムを1種用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。混合比は、要求される特性などに応じて、適宜設定することができる。
【0051】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分に、ケイ酸及びケイ酸塩及び上述の加硫活性成分処理炭酸カルシウムを配合したものである。
【0052】
ケイ酸及びケイ酸塩の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜100重量部であり、好ましくは20〜100重量部であり、さらに好ましくは20〜90重量部である。
【0053】
ケイ酸及びケイ酸塩の配合量が少なすぎる場合には、ゴム組成物の耐摩耗性が低下するので好ましくなく、多すぎる場合には、ゴムの粘度が上昇し、加工性が悪くなるため、好ましくない。
【0054】
加硫活性成分処理炭酸カルシウムの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、加硫活性成分が0.1〜20重量部となるように配合されることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜20重量部であり、さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0055】
加硫活性成分処理炭酸カルシウムの配合量が少なすぎると、ゴム配合時の補強性が改善できない点で好ましくなく、多すぎるとゴム組成物のコストが高くなるため好ましくない。
【0056】
また、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、更に公知の配合剤を加えてもよい。例えば、酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラックなど他の充填剤を適宜併用して用いることができる。更に、プロセスオイル、酸化防止剤、老化防止剤、活性剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックスなどの添加剤、DCP、硫黄、加硫促進剤などの加硫剤等も、所望に応じて配合することができる。
【0057】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、湿式シリカ及び加硫活性成分処理炭酸カルシウムと、必要に応じて選択したその他の配合剤とを、混練り、熱入れ、押出、加硫などすることにより製造できる。
【0058】
混練りの条件としては、特に制限はなく、混練り装置への投入体積、ローターの回転速度、ラム圧等、混練温度、混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について目的に応じて適宜選択できる。混練り装置は特に制限されず、密閉式または開放式いずれのものも用いることができ、例えば、通常ゴム組成物の混練りに用いる公知の混練装置、具体的には、バンバリーミキサー(登録商標)、インターミックス(登録商標)、ニーダー、ロール等が挙げられる。
【0059】
熱入れの条件としては、特に制限はなく、熱入れ温度、熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜選択できる。熱入れ装置としては、例えば、通常ゴム組成物の熱入れに用いるロール機等が挙げられる。
【0060】
押出しの条件としては、特に制限はなく、押出時間、押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜選択できる。押出装置としては、例えば、通常ゴム組成物の押出しに用いる押出機等が挙げられる。押出温度は、適宜決定できる。
【0061】
加硫をおこなう装置、方式、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。加硫をおこなう装置としては、例えば金型による成形加硫機等が挙げられる。加硫の条件として、加硫温度は通常100〜190℃である。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
〔改質炭酸カルシウムの調製〕
BET比表面積75m/gの合成炭酸カルシウムスラリーを良く撹拌しながら40℃に加熱した。この合成炭酸カルシウム100重量部に対し、室温下、水で十倍に希釈したケイ酸ナトリウム(和光純薬製)水溶液7重量部を添加し、希塩酸を導入し、炭酸カルシウム表面にシリカ層を生成させた。次にこの合成炭酸カルシウム100重量部に対し、90℃に加温撹拌させて鹸化した混合脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸(和光純薬製))を5重量部添加し、次いで、脱水、乾燥、粉砕を行い、脂肪酸層を有する炭酸カルシウム粉末(平均一次粒子径0.02μm)を得た。得られた炭酸カルシウムを改質炭酸カルシウムとする。
【0064】
〔加硫活性成分処理炭酸カルシウムの調製〕
上記の改質炭酸カルシウム、並びに以下のシリカ、及び加硫活性成分としてのシランカップリング剤(TESPT)を用い、以下のようにして加硫活性成分処理炭酸カルシウムを調製した。
【0065】
・シランカップリング剤:ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)テトラサルフォン(TESPT)、デグサ社製
・シリカ:ホワイトカーボン、吸油量200ml/100g、商品名「ニプシールVN3」、日本シリカ工業(株)製
・加硫活性成分処理炭酸カルシウムA(比較)
粉末成分である改質炭酸カルシウムをスーパーミキサー中で撹拌混合し、撹拌下に加硫活性成分の含有量が1重量%になるようスプレーで噴霧してさらに混合した。得られた炭酸カルシウムを、加硫活性成分処理炭酸カルシウムAとする。
【0066】
・加硫活性成分処理炭酸カルシウムB(本発明)
粉末成分である改質炭酸カルシウムをスーパーミキサー中で撹拌混合し、撹拌下に加硫活性成分の含有量が10重量%になるようスプレーで噴霧してさらに混合した。得られた炭酸カルシウムを、加硫活性成分処理炭酸カルシウムBとする。
【0067】
・加硫活性成分処理炭酸カルシウムC(本発明)
粉末成分である改質炭酸カルシウムをスーパーミキサー中で撹拌混合し、撹拌下に加硫活性成分の含有量が20重量%になるようスプレーで噴霧してさらに混合した。得られた炭酸カルシウムを、加硫活性成分処理炭酸カルシウムCとする。
【0068】
・加硫活性成分処理炭酸カルシウムD(本発明)
粉末成分である改質炭酸カルシウムをスーパーミキサー中で撹拌混合し、撹拌下に加硫活性成分の含有量が30重量%になるようスプレーで噴霧してさらに混合した。得られた炭酸カルシウムを、加硫活性成分処理炭酸カルシウムDとする。
【0069】
・加硫活性成分処理炭酸カルシウム+シリカE(比較)
粉末成分である改質炭酸カルシウムとシリカを、重量比で90:10になるようにスーパーミキサーに投入し、撹拌混合した。撹拌下に加硫活性成分の含有量が50重量%になるようスプレーで噴霧してさらに混合した。得られた炭酸カルシウムを、加硫活性成分処理炭酸カルシウム+シリカEとする。
【0070】
・加硫活性成分処理炭酸カルシウムF(比較)
粉末成分である改質炭酸カルシウムをスーパーミキサー中で撹拌混合し、撹拌下に加硫活性成分の含有量が50重量%になるようスプレーで噴霧してさらに混合した。得られた炭酸カルシウムを、加硫活性成分処理炭酸カルシウムFとする。
【0071】
〔ゴム組成物の調製〕
上記の各加硫活性成分処理炭酸カルシウムを、ゴム成分に配合してゴム組成物を調製した。ゴム成分としては、以下のNBR、BR、NRを用い、その他の添加剤としては酸化亜鉛、ステアリン酸、湿式シリカ、老化防止剤、PEG、Si69(TESPT)、加硫促進剤DM、加硫促進剤M、加硫促進剤TS、及び硫黄を用いた。ゴム薬品として具体的には以下のものを用いている。
【0072】
表1において、加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、ゴム100重量部に対しTESPTとして1重量部となるように添加されている。
【0073】
(ゴム組成物の配合)
NBR:10重量部
BR:85重量部
NR:5重量部
酸化亜鉛:5重量部
ステアリン酸:1重量部
PEG:5重量部
湿式シリカ:表1に示す通り
Si69:1重量部
老化防止剤:1重量部
加硫促進剤DM:1.5重量部
加硫促進剤M:0.3重量部
加硫促進剤TS:0.2重量部
硫黄:2重量部
加硫活性成分処理炭酸カルシウムA〜E:表1に示す通り
・NBR:中高ニトリル含有量NBR、商品名「Nipol 1042」、アクリルニトリル含有量33%、日本ゼオン製。
【0074】
・BR:ブタジエンゴム、商品名「BR01」、JSR製。
【0075】
・NR:SMR-L、標準マレーシアゴム。
【0076】
・老化防止剤:商品名「BHT」、大内新興化学工業(株)製。
【0077】
・加硫促進剤DM:商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業(株)製。
【0078】
・加硫促進剤M:商品名「ノクセラーM」、大内新興化学工業(株)製。
【0079】
・加硫促進剤TS:商品名「ノクセラーTS」、大内新興化学工業(株)製。
【0080】
・PEG:商品名「PEG4000」、和光純薬製、試薬特級。
【0081】
表2において、加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、ゴム100重量部に対しTESPTとして5重量部となるように添加されている。
【0082】
(ゴム組成物の配合)
S−SBR:100重量部
酸化亜鉛:4重量部
ステアリン酸:2重量部
PEG:5
湿式シリカ:表2に示す通り
Si69:5重量部
老化防止剤:1重量部
加硫促進剤D:1重量部
加硫促進剤CZ:1重量部
硫黄:2重量部
加硫活性成分処理炭酸カルシウムB〜E:表2に示す通り
・S-SBR:溶液重合SBR、商品名「SL552」、JSR製。
【0083】
・加硫促進剤D:商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業(株)製。
【0084】
・加硫促進剤CZ:商品名「ノクセラーCZ」、大内新興化学工業(株)製。
【0085】
・ナフテンオイル:商品名「NP-24」、出光興産製
ゴム成分への混合は、8インチ2本ロールを用いて行った。得られたゴム組成物を、キュラストメーター(160℃)で算出した最適加硫時間tc(90)を元にしてプレス加硫を行い、厚さ2mmのゴムシートを得た。
【0086】
〔ゴム組成物の評価〕
実施例1〜7及び比較例1〜7の各ゴム組成物から得られたゴムシートについて、以下の方法で、引張試験、圧縮永久歪み、耐摩耗性、耐スリップ性を測定した。
【0087】
1.引張試験
JIS K 6251に規定された方法に従って、ショッパー抗張力試験機を用い、23℃における300%モジュラス(300%伸長時の応力を断面積で除した値)の測定を行った。
【0088】
2.圧縮永久歪み
JIS K 6262に規定された方法に従って、大型試験片を25%圧縮し、24時間この状態で保持した。24時間経過後、外力を除き、さらに30分間静置し、この時の試験片の厚みを測定した。結果は、JIS K 6262,5.5に準拠して標記した。
【0089】
3.耐摩耗性
島津製作所製のアクロン摩耗試験機を用い、荷重6lb、角度15°の条件下で、予備擦り200回、本擦り1000回で摩耗容積を調べた。
【0090】
4.耐スリップ性
PVC板に試験片(30×20×2mm)を設置し、6gの錘を試験片の上部に取り付けた。PVC板の傾斜角度を徐々に上げ、試験片が滑り始めた傾斜角度を滑り角とし、耐スリップ性として評価した。
【0091】
5.耐発熱性
JIS K 6265に規定された方法に従って、フレキソメーターを用いて初期温度40℃からの発熱温度と永久歪みを測定した。試験片は直径17.80mm、高さ25.0mmの円柱状のものを使用し、静的圧縮応力1MPaを、毎分1800回、4m/mのストロークで与え、25分間経過時の発熱温度(△t)を測定した。
【0092】
評価結果を表1、2に示す。
【0093】
【表1】


【0094】
表1から明らかなように、本発明に従う実施例1〜5の加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、粉末状であり、比較例1及び比較例5に比べ、計量が容易である。また、混練時の作業性及び加工性に優れ、ゴムに配合した際に、モジュラス、耐摩耗性を損なわず、耐スリップ性、圧縮永久歪みを改善することができる。
【0095】
比較例2には、改質炭酸カルシウムとシリカを重量比で90:10に混合した混合物に、加硫活性成分の含有量が50重量%となるように混合したものであるが、圧縮永久歪み及び耐スリップ性において、改善効果が認められていない。
【0096】
比較例3は、加硫活性成分を1重量%としたものであるが、シリカ及び炭酸カルシウムの配合量が多くなるため、ゴムに対する混練が困難となった。
【0097】
比較例4は、加硫活性成分の処理量が1重量%である比較の加硫活性成分処理炭酸カルシウムを用いているが、耐スリップ性は良好であるものの、耐摩耗性は著しく低下している。
【0098】
比較例5は、加硫活性成分を50重量%含有したものであるが、粉末状の形態を保持できず、ペースト状となるため、計量やゴム混練時における加工性が非常に悪くなる。また、耐摩耗性及び耐スリップ性の改善効果が認められない。
【0099】
【表2】


【0100】
表2から明らかなように、本発明に従う実施例6〜7の加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、粉末状であり、比較例7に比べ、計量が容易である。また、混練時の作業性及び加工性に優れ、ゴムに配合した際にモジュラスを低下させることなく、耐発熱性、圧縮永久歪みを改善することができる。
【0101】
比較例6は、改質炭酸カルシウムとシリカを重量比で90:10に混合した混合物に、加硫活性成分の含有量が50重量%となるように混合したものであるが、耐発熱性は良好なものの、圧縮永久歪みにおいて、顕著な改善効果が認められていない。
【0102】
以上のように、本発明の加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、計量が容易で、かつゴムに配合した場合に、混練時の作業性及び加工性に優れ、さらにモジュラス、耐摩耗性、耐スリップ性、耐発熱性が良好なことがわかる。
【0103】
本発明の加硫活性成分処理炭酸カルシウムは、靴底、タイヤ、ベルト等のゴム製品への展開が期待できる。
【出願人】 【識別番号】598039965
【氏名又は名称】白石工業株式会社
【出願日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【代理人】 【識別番号】100095382
【弁理士】
【氏名又は名称】目次 誠

【識別番号】100086597
【弁理士】
【氏名又は名称】宮▲崎▼主税


【公開番号】 特開2008−81666(P2008−81666A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−265268(P2006−265268)