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【発明の名称】 路面標示材料用着色材及び該路面標示材料用着色材を用いた路面標示材料用塗料
【発明者】 【氏名】岩崎 敬介

【氏名】林 一之

【氏名】森井 弘子

【要約】 【課題】本発明は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、路面標示材料用塗料の流動性を改善することのできる路面標示材料用着色材、及び、該路面標示材料用着色材を用いた路面標示材料用塗料を提供するものである。

【構成】無機粒子の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子の粒子表面に、ポリオレフィンワックスなどの流動化剤及び/又はフタル酸エステル系化合物などの可塑剤が被覆されている路面標示材料用着色材、および、該着色材、結着剤樹脂及び充填材からなる路面標示材料用塗料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子の粒子表面に、流動化剤及び/又は可塑剤が被覆されていることを特徴とする路面標示材料用着色材。
【請求項2】
請求項1記載の流動化剤が、ポリオレフィンワックスであることを特徴とする路面標示材料用着色材。
【請求項3】
請求項1記載の可塑剤が、フタル酸エステル系化合物であることを特徴とする路面標示材料用着色材。
【請求項4】
少なくとも結着剤樹脂、着色材、充填材からなる路面標示材料用塗料であって、前記着色材として、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の路面標示材料用着色材を用いることを特徴とする路面標示材料用塗料。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性及び耐熱性に優れ、且つ、路面標示材料用塗料の流動性を改善することのできる路面標示材料用着色材、及び、該路面標示材料用着色材を用いた路面標示材料用塗料を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通法規の遵守及び交通事故の防止・減少を図ることを目的に、区画線及び道路標示等に、白や黄色の路面標示材料が用いられている。
【0003】
一方、近年では、種々の文字や複雑なマークを路面標示として用いることも多くなっており、スクールゾーンや自転車道などに、緑色やレンガ色などの色相の路面標示材料が使用されている他、コミュニティ広場や買い物道路、ジョギングコース、サイクリングロード、遊歩道、公園等に、環境美化やPR効果を期待して、デザイン化されたカラーマークの要望も多く出されている。
【0004】
路面標示材料は、JIS K 5665により、ペイント式常温用(1種)、ペイント式加熱用(2種)、溶融式(3種)に分類されている他、上記カラーマークに対応して、貼り付け式路面標示材料(加熱接着タイプ、常温接着タイプ)がある。
【0005】
路面標示材料は、上記いずれの場合も、屋外において長期に亘って用いられることから、敷設後の経時変化に伴う色相変化が少ないことが要求される。色相変化を引き起こす要因としては、紫外線や酸性雨等による着色顔料の変色及び樹脂の劣化、着色顔料の表面活性による樹脂の劣化等が知られており、路面標示材料に用いられる着色材には、高い耐候性と低い表面活性度が必要とされている。
【0006】
また、上記路面標示材料のうち、溶融式(3種)の場合、200℃前後の高温で加熱溶融させて用いるため、この用途に用いられる着色材には、高温の加熱によって変色しない耐熱性が求められている。
【0007】
更に、アスファルトやコンクリート等の路面を隠蔽し、目的とする色相を発現させるため、路面標示材料に用いられる着色材には、隠蔽力及び着色力に優れていることが求められている。
【0008】
路面標示材料の中でも、道路標示における「黄色」は、その目的が交通上の「規制」、「警戒」を表わす色として、道路利用者にとっては大きな意味を持っており、「道路標示黄色」として、警察庁より色相が統一されている。
【0009】
現在、黄色の路面標示材料用顔料としては、耐熱性、耐候性が優れると共に、鮮明な色相が得られることから、黄鉛が主に用いられているが、黄鉛は、クロムや鉛等の重金属を含有しており、衛生面、安全性面及び環境汚染防止の観点から、代替となる黄色顔料が望まれている。
【0010】
黄鉛以外の路面標示材料用黄色顔料としては、チタンイエロー、含水酸化鉄、バナジウム酸ビスマス等の無機顔料及びアゾ系、イソインドリノン系、アンスラキノン系等の黄色系有機顔料が知られている。
【0011】
しかしながら、前記無機顔料は、耐熱性及び耐候性は優れているが、着色力が小さいと共に、鮮明な色相が得られにくく、一方、前記有機顔料は、色相は鮮明であるが、隠蔽力が小さく、耐熱性及び耐光性が劣るという問題があった。更に、一般的に粒子径を微細化したり、有機顔料を用いた場合には路面標示材料用塗料の流動性が悪くなり、塗布のし難さなどから施工時間の増大を招いている。
【0012】
そこで、環境汚染等の問題がなく、耐候性、耐熱性等を改善することを目的として、無機顔料と有機顔料とを組み合わせる技術が試みられており、これまでに、無機顔料の存在下で有機顔料を析出させる方法(特許文献1乃至3)、無機顔料と有機顔料とを攪拌混合して路面標示塗料として用いる方法(特許文献4乃至5)、無機粒子の表面に表面改質剤を介して有機顔料が付着している複合粒子を路面標示材料に用いる方法(特許文献6)が提案されている。
【0013】
また、熱融着型路面標示材料の流動性を改善する目的として、ロジン系樹脂金属塩を用いる方法(特許文献7乃至8)や、高粘度熱可塑性結合材と低粘度熱可塑性結合材を混合して用いる方法(特許文献9)が提案されている。
【0014】
【特許文献1】特開平4−132770号公報
【特許文献2】特開平7−331113号公報
【特許文献3】特開平9−100420号公報
【特許文献4】特開平8−209030号公報
【特許文献5】特開2001−220550号公報
【特許文献6】特開2004−91599号公報
【特許文献7】特開昭59−215362号公報
【特許文献8】特開昭59−206510号公報
【特許文献9】特開2000−336317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
有害な元素を含有しないとともに、着色力、隠蔽力、耐光性、耐熱性に優れ、且つ、路面標示材料用塗料の流動性を改善できる路面標示材料用着色材は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0016】
即ち、特許文献1乃至3には、無機顔料の存在下で有機顔料を析出させる方法が記載されているが、有機顔料の付着強度が十分ではないために、有機顔料の脱離がおこり、これを用いて得られた路面標示材料用塗料は、流動性が悪くなるとともに、十分な耐光性及び耐熱性を得ることは困難である。
【0017】
また、特許文献4乃至5には、無機顔料と有機顔料とを攪拌混合して路面標示材料用塗料として用いる方法が記載されているが、単に無機顔料と有機顔料を混合しているだけであり、単独で存在する有機顔料に起因して、これを用いて得られた路面標示塗料組成物は、流動性が悪くなるという問題を有している。
【0018】
また、特許文献6には、無機粒子の表面に表面改質剤を介して有機顔料が付着している複合粒子を路面標示材料用着色材として用いる方法が記載されているが、経時に伴う色相変化の抑制を目的としており、後出比較例に示す通り、流動性についての考慮はなされていない。
【0019】
また、特許文献7乃至9には、ロジン系樹脂金属塩を用いる方法や、高粘度熱可塑性結合材と低粘度熱可塑性結合材を混合して用いる方法が記載されており、路面標示用塗料の流動性はある程度改善されるが、一般的に粒子径を微細化したり、有機顔料を用いた場合には流動性改善効果は小さく、更にこの結合材量を増加させると路面標示材料の耐熱性、耐候性等を低下する弊害は避けられない。
【0020】
そこで、本発明は、有害な元素を含有しないと共に、着色力、隠蔽力、耐光性、耐熱性に優れ、且つ、路面標示材料用塗料の流動性を改善できる路面標示材料用着色材を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記技術的課題は次の通りの本発明によって達成できる。
【0022】
即ち、本発明は、無機粒子の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子の粒子表面に、流動化剤及び/又は可塑剤が被覆されていることを特徴とする路面標示材料用着色材である(本発明1)。
【0023】
また、本発明は。本発明1の流動化剤が、ポリオレフィンワックスであることを特徴とする路面標示材料用着色材である(本発明2)。
【0024】
また、本発明は、本発明1の可塑剤が、フタル酸エステル系化合物であることを特徴とする路面標示材用着色材である(本発明3)。
【0025】
また、本発明は、少なくとも結着剤樹脂、着色材、充填材からなる路面標示材料用塗料であって、前記着色材として、本発明1乃至本発明3のいずれかに記載の路面標示材料用着色材を用いることを特徴とする路面標示材料用塗料である(本発明4)。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る路面標示材料用着色材は、着色力、隠蔽力、耐光性、耐熱性に優れ、且つ、無害であることから路面標示材料用着色材として好適である。
【0027】
本発明に係る路面標示材料用塗料は、上記路面標示材料用着色材を着色材として用いていることにより、環境汚染を考慮しつつ路面標示材料用塗料の流動性を改善することができ、作業効率を向上させることができることから、路面標示材料用塗料として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0029】
先ず、本発明に係る路面標示材料用着色材について述べる。
【0030】
本発明に係る路面標示材料用着色材は、芯粒子である無機粒子の粒子表面に表面改質剤が被覆されており、該表面改質剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子の粒子表面に、更に、流動化剤及び/又は可塑剤が被覆されている表面被覆複合粒子からなる。
【0031】
本発明における無機粒子としては、二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化亜鉛等の白色顔料、シリカ微粒子(シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土等)、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク及び透明性酸化チタン等の体質顔料、チタンイエロー、ヘマタイト、含水酸化鉄等の無機顔料が挙げられる。これらは、単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0032】
無機粒子の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。
【0033】
無機粒子粉末の粒子サイズは、平均粒子径0.01〜10.0μmが好ましい。平均粒子径が10.0μmを超える場合には、得られる路面標示材料用着色材が粗大粒子となり、着色力が低下するため好ましくない。平均粒子径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすくなるため、無機粒子の粒子表面への表面改質剤による均一な被覆処理及び有機顔料による均一な付着処理が困難となる。より好ましくは0.02〜5.0μm、更により好ましくは0.03〜3.0μmである。
【0034】
本発明における無機粒子粉末のBET比表面積値は0.5m/g以上が好ましい。BET比表面積値が0.5m/g未満の場合には、無機粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる路面標示材料用着色材は粗大粒子となり着色力が低下する。得られる路面標示材料用着色材の着色力を考慮すると、BET比表面積値は、より好ましくは1.0m/g以上、更により好ましくは1.5m/g以上である。無機粒子の粒子表面への表面改質剤による均一な被覆処理及び有機顔料による均一な付着処理を考慮すると、その上限値は500m/gが好ましく、より好ましくは400m/g、更により好ましくは300m/gである。
【0035】
本発明における無機粒子粉末の色相は、目的とする路面標示材料用着色材の色相に応じて適宜選択すればよいが、L値は30.0以上が好ましく、より好ましくは50.0以上、更により好ましくは60.0以上であり、最も好ましくは70.0以上である。C値は70.0以下が好ましい。調色性を考慮すれば、C値は20.0以下がより好ましく、更により好ましくは15.0以下、最も好ましくは10.0以下である。
【0036】
本発明における無機粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法により、ΔE値が12.0以下のものを用いることが好ましく、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下である。
【0037】
本発明における表面改質剤としては、シリカ粒子の粒子表面へ有機顔料を付着できるものであれば何を用いてもよく、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。より好ましくは、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物である。
【0038】
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0039】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0040】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0041】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0042】
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
【0043】
表面改質剤の被覆量は、表面改質剤被覆無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合には、無機粒子粉末100重量部に対して1重量部以上の有機顔料を付着させることが困難であるとともに、表面活性度を所望の値にまで低減することが困難となる。15.0重量%までの表面改質剤の被覆によって無機粒子粉末100重量部に対して有機顔料を1〜500重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。より好ましくは0.02〜12.5重量%、更により好ましくは0.03〜10.0重量%である。
【0044】
本発明における有機顔料としては、一般に塗料及び樹脂組成物の着色剤として用いられている赤色系有機顔料、青色系有機顔料、黄色系有機顔料、緑色系有機顔料、橙色系有機顔料、褐色系有機顔料及び紫色系有機顔料等の各種有機顔料を使用することができる。
【0045】
各種有機顔料の中で、赤色系有機顔料としては、キナクリドンレッド等のキナクリドン顔料、パーマネントカーミン、パーマネントレッド等のアゾ系顔料、縮合アゾレッド等の縮合アゾ顔料及びペリレンレッド等のペリレン顔料を用いることができる。青色系有機顔料としては、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料及びアルカリブルーを用いることができる。黄色系有機顔料としては、ハンザエロー等のモノアゾ系顔料、ベンジジンエロー、パーマネントエロー等のジスアゾ系顔料、縮合アゾイエロー等の縮合アゾ顔料、イソインドリノンエロー等のイソインドリノン顔料、キノフタロンエロー等のキノフタロン顔料及びイソインドリンエロー等のイソインドリン顔料を用いることができる。緑色系有機顔料としては、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料を用いることができる。橙色系有機顔料としては、パーマネントオレンジ、リソールファストオレンジ、バルカンファストオレンジ等のアゾ系顔料を用いることができる。褐色系有機顔料としては、パーマネントブラウン、パラブラウン等のアゾ系顔料を用いることができる。紫色系有機顔料としては、ファストバイオレット等のアゾ系顔料を用いることができる。
【0046】
なお、要求される色相に応じて前記各有機顔料を混合して用いてもよい。また、求められる色相及び特性等に応じて同系色の色であっても二種以上を用いてもよい。必要により、芯粒子である無機粒子の粒子表面に有機顔料からなる有色付着層を複数層設けてもよい。
【0047】
全有機顔料の付着量は、無機粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部が好ましい。1重量部未満の場合には、無機粒子の粒子表面に付着する有機顔料が少なすぎるため、本発明の目的とする着色力の大きい路面標示材料用着色材を得ることが困難となる。500重量部を超える場合には、有機顔料の付着量が多いため有機顔料が脱離しやすくなり、その結果、それを用いて得られた路面標示材料用塗料の流動性が低下すると共に、均一な路面標示材料を得ることが困難となる。より好ましくは5〜300重量部であり、更により好ましくは10〜200重量部である。
【0048】
本発明における流動化剤としては、路面標示材料用塗料の流動性を改善できるものであれば何を用いても良く、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロワックス等の石油系ワックスが挙げられ、好ましくはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスが挙げられる。
【0049】
流動化剤の被覆量は、複合粒子粉末100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合には、流動化剤の被覆量が少なすぎるため、本発明の目的とする路面標示材料用塗料の流動性を改善することが困難となる。30重量部を超える場合には、流動化剤の被覆量が多すぎるため、着色力や耐汚染性等が低下する。より好ましくは0.5〜20重量部であり、更により好ましくは1〜10重量部である。
【0050】
本発明における可塑剤としては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル系化合物、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル系化合物、リン酸トリクレシル等のリン酸エステル系化合物、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル系化合物、ポリエステル系化合物、エポキシ系化合物等が挙げられ、好ましくはフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル系化合物が挙げられる。
【0051】
可塑剤の被覆量は、複合粒子粉末100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合には、可塑剤の被覆量が少なすぎるため、本発明の目的とする路面標示材料用組成物の流動性を改善することが困難となる。20重量部を超える場合には、可塑剤の被覆量が多すぎるため、着色力や色相変化及び耐汚染性が低下する。より好ましくは0.5〜15重量部であり、更により好ましくは1〜10重量部である。
【0052】
更に、前記流動化剤と可塑剤を混合して用いてもよく、流動化剤及び可塑剤の混合物の被覆量は、複合粒子粉末100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましい。より好ましくは0.5〜20重量部であり、更により好ましくは1〜10重量部である。流動化剤/可塑剤の混合比率は1/1以上で、流動化剤の比率が多い方が好ましい。
【0053】
本発明に係わる路面標示材料用着色材の粒子サイズは、芯粒子である無機粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0054】
即ち、本発明に係る路面標示材料用着色材の平均粒子径は0.01〜10.0μmが好ましい。路面標示材料用着色材の平均粒子径が10.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する場合がある。平均粒子径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすくなるため、路面標示材料用塗料中における分散が困難となる場合がある。より好ましくは0.02〜5.0μm、更により好ましくは0.03〜3.0μmである。
【0055】
本発明に係る路面標示材料用着色材のBET比表面積値は0.5〜500m/gが好ましい。BET比表面積値が0.5m/g未満の場合には、粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、着色力が低下する場合がある。より好ましくは1.0〜400m/g、更により好ましくは1.5〜300m/gである。
【0056】
本発明に係る路面標示材料用着色材の着色力は、後述する評価方法において、110%以上が好ましく、より好ましくは115%以上、更により好ましくは120%以上である。
【0057】
本発明に係る路面標示材料用着色材の隠蔽力は、200cm/g以上が好ましい。得られる路面標示材料の隠蔽率を考慮すれば、400cm/g以上がより好ましく、更により好ましくは600cm/g以上、最も好ましくは800cm/g以上である。
【0058】
本発明に係る路面標示材料用着色材の表面活性度は、後述する評価方法において、2%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下である。表面活性度が2.0%を超える場合には、路面標示材料用着色材の表面活性が高すぎるため、路面標示材料に含有されている樹脂を劣化させ、路面標示材料の色相を変化させたり、強度の低下を引き起こしたりする。
【0059】
本発明に係る路面標示材料用着色材の耐熱性は、後述する評価方法において、180℃以上が好ましい。殊に、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式の路面標示材料用塗料に用いられる場合には、190℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上、更により好ましくは210℃以上である。この場合、耐熱温度が190℃未満の場合には、加熱溶融中に塗料が変色してしまう場合がある。
【0060】
本発明に係る路面標示材料用着色材の耐光性は、ΔE値で5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下である。耐光性がΔE値で5.0を超える場合には、路面標示材料用着色材が紫外線等によって変色しやすく、これを用いて得られた路面標示材料は、敷設後の経時変化に伴う色相変化が大きくなるため好ましくない。
【0061】
本発明に係る路面標示材料用着色材の有機顔料の脱離率は20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。有機顔料の脱離率が20%を超える場合には、脱離した有機顔料により路面標示材料用塗料の流動性が低下するため好ましくない。
【0062】
本発明に係る路面標示材料用着色材の流動性は、後述する評価方法において、Aである。
【0063】
次に、本発明に係る路面標示材料用着色材を配合した路面標示材料用塗料と、それを用いて得られた路面標示材料について述べる。
【0064】
本発明に係る路面標示材料用着色材を配合した路面標示材料用塗料のうち、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式路面標示材料用塗料の場合、塗料流動性は、後述する評価方法により、3又は4が好ましく、より好ましくは4である。
【0065】
本発明に係る路面標示材料用着色材を配合した路面標示材料のうち、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式路面標示材料の場合、耐アルカリ性は4又は5が好ましく、より好ましくは5であり、耐摩耗性は200mg以下が好ましく、より好ましくは180mg以下であり、耐光性はΔE値で5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下であり、耐老化性はΔE値で2.5以下が好ましく、より好ましくは2.0以下である。
【0066】
本発明に係る路面標示材料中における路面標示材料用着色材の配合割合は、目的とする路面標示材料の色相に応じて路面標示材料構成基材に対して0.1〜60重量%の範囲で使用することができる。殊に、JIS K 5665(3種)に規定されている溶融式路面標示材料の場合は、路面標示材料構成基材に対して0.5〜30重量%の範囲で使用することができる。
【0067】
路面標示材料構成基材としては、路面標示材料用着色材、樹脂、充填材の他、路面標示材料の種類に応じて必要により、ガラスビーズ(反射材)、可塑剤等が配合される。
【0068】
樹脂としては、路面標示用塗料に一般的に使用されている植物油変性アルキド樹脂、ウレタン化アルキド樹脂、ビニル化アルキド樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、石油樹脂、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、フタル酸樹脂、フェノール樹脂、天然ゴム、合成ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を単独、もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
充填材としては、路面標示用塗料に一般的に使用されている炭酸カルシウム、タルク、硅石粉、ガラスビーズ等の体質顔料を用いることができる。
【0070】
次に、本発明に係る路面標示材料用着色材の製造法について述べる。
【0071】
本発明に係る路面標示材料用着色材は、まず、無機粒子粉末と表面改質剤とを混合し、無機粒子の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、該表面改質剤によって被覆された無機粒子粉末と有機顔料を混合することによって、該表面改質剤被覆無機粒子の粒子表面に有機顔料が付着している複合粒子を得る。次いで、該複合粒子と流動化剤及び/又は可塑剤とを混合し、該複合粒子に流動化剤及び/又は可塑剤を被覆することによって得ることができる。
【0072】
無機粒子の粒子表面への表面改質剤による被覆は、無機粒子粉末と表面改質剤又は表面改質剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、無機粒子粉末に表面改質剤の溶液又は表面改質剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した表面改質剤は、ほぼ全量が無機粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0073】
表面改質剤を均一に無機粒子の粒子表面に被覆するためには、無機粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0074】
無機粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌、有機顔料と粒子表面に表面改質剤が被覆されている無機粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0075】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
【0076】
得られる複合粒子の平均粒子径は0.01〜10.0μmである。BET比表面積値は0.5〜500m/gであり、着色力は、後述する評価方法において、110%以上である。隠蔽力は、200cm/g以上であり、表面活性度は、後述する評価方法において、2%以下である。耐熱性は、後述する評価方法において、180℃以上であり、耐光性は、ΔE値で5.0以下である。
【0077】
得られる複合粒子の有機顔料の脱離率は20%以下である。20%を超える場合には、脱離した有機顔料により得られる路面標示材料用着色材の流動性が低下するため好ましくない。
【0078】
得られる複合粒子の流動性は、後述する評価方法において、B又はCである。
【0079】
前記複合粒子と流動化剤及び/又は可塑剤を混合攪拌するための機器としては、粉体層にせん断力を加えながら加熱することのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0080】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。
【0081】
本発明に係る路面標示材料用着色材は、前記処理工程を経ることによって、添加した有機顔料が微細化されて均一、且つ緻密に表面改質剤を介して無機粒子粉末の粒子表面に付着層を形成し、更にその表面に、流動化剤及び/又は可塑剤の被覆層を形成しているものである。
【0082】
次に、本発明に係る路面標示材料用塗料と、それを用いて得られる路面標示材料の製造法について述べる。
【0083】
本発明に係る路面標示材料用塗料は、前記路面標示材料用着色材と樹脂、充填材、ガラスビーズ、可塑剤等の路面標示材料構成基材を溶融釜で160〜190℃の温度範囲で加熱混合し得ることができる。
【0084】
路面標示材料は、例えば、路面にプライマー等の下地処理を施して、上記路面標示材料用塗料を、平滑標示、区画線用施工機で、塗布厚0.5〜3.0mmに塗布し、塗布直後に散布用ガラスビーズを15cm幅の路面標示線1mあたり30〜60g散布することで得ることができる。
【0085】
<作用>
本発明における最も重要な点は、無機粒子の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆に有機顔料が付着している複合粒子の表面に、更に、流動化剤及び/又は可塑剤を被覆することにより、路面標示材料用塗料の流動性を改善できるという事実である。
【0086】
本発明に係る路面標示材料用塗料の流動性を改善できる理由として、複合粒子表面に被覆された流動化剤及び/又は可塑剤が、路面標示材料用塗料を作製する際に溶融加熱することで、路面標示材料用着色材と樹脂との親和性をより良好にしたことによるものと、本発明者は考えている。
【実施例】
【0087】
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0088】
粒子の平均粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0089】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0090】
無機粒子の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量、路面標示材料用着色材に付着している有機顔料の付着量及び路面標示材料用着色材の粒子表面に被覆されている流動化剤及び/又は可塑剤の量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0091】
無機粒子粉末及び有機顔料の色相は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数で示した。なお、C値は彩度を表し、下記数1に従って求めることができる。
【0092】
<数1>
値=((a値)+(b値)1/2
【0093】
複合粒子及び路面標示材料用着色材の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
【0094】
次いで、複合粒子及び路面標示材料用着色材の標準試料として、複合粒子及び路面標示材料用着色材と同様の割合で有機顔料と無機粒子粉末とを単に混合した混合顔料を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
【0095】
得られた複合粒子及び路面標示材料用着色材のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0096】
<数2>
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
【0097】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0098】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0099】
複合粒子及び路面標示材料用着色材の隠蔽力は、上記で得られた原色エナメルを用いて、JIS K 5101 8.2のクリプトメーター法に従って得られた値で示した。
【0100】
無機粒子粉末、有機顔料、複合粒子及び路面標示材料用着色材の耐光性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0101】
<数3>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
【0102】
複合粒子及び路面標示材料用着色材の流動性は、試料20.0gと石油系樹脂80.0gを170〜190℃の温度範囲で加熱混練しながら、塗料粘度をB型粘度計にて測定し、下記基準により流動性の優劣を判定した。
A:1,000mPa・s未満
B:1,000〜5,000 mPa・s
C:5,000mPa・sを超える
【0103】
複合粒子及び路面標示材料用着色材の表面活性度は、下記に示した残存溶剤量を測定することによって評価した。
【0104】
まず、試料粉末1gと溶剤(MEK)10gを秤り取り、試料粉末を溶剤中に3時間浸漬した後、24時間風乾し、更に、60℃で24時間乾燥し、乾燥後の試料粉末のカーボン量を「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定し、残存カーボン量を定量して求めた。残存カーボン量が少ないほど溶剤の残存が少なく、粉体の表面活性が抑制されていることを示す。
【0105】
複合粒子及び路面標示材料用着色材の耐熱性は、熱分析装置SSC5000(セイコー電子工業株式会社製)を用いて被測定粒子粉末の示差走査熱量測定(DSC)を行い、得られた該DSCチャート上に示されるピークを形成する2つの変曲点のうち、最初の変曲点を構成する2つの曲線のそれぞれについて接線を引き、両接線の交点に対応する温度を読み取って、その温度で示した。
【0106】
複合粒子及び路面標示材料用着色材に付着している有機顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。有機顔料の脱離率が0%に近いほど、路面標示材料用着色材の粒子表面からの有機顔料の脱離量が少ないことを示す。
【0107】
被測定粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって被測定粒子粉末と脱離した有機顔料を分離した。次いで、この被測定粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、被測定粒子粉末と脱離した有機顔料を分離した。この被測定粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記数4に従って求めた値を有機顔料の脱離率(%)とした。
【0108】
<数4>
有機顔料の脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:路面標示材料用着色材の有機顔料付着量
We:脱離テスト後の路面標示材料用着色材の有機顔料付着量
【0109】
路面標示材料用塗料の流動性は、後述する処法によって調製した塗料100gを15cmの高さから水平のアルミ板に鉛直方向へ流し、下記基準により流動性の優劣を判定した。
4:充分広がる(直径10cmを超える)
3:わずかに広がる(直径5〜10cm)
2:流れおちても広がらない
1:流れ落ちない
【0110】
路面標示材料の耐アルカリ性は、後述する処方によって調製した各路面標示材料用塗料を用いてJIS K 5665に従って試験片の作製及び評価を行った。また、試験片のアルカリ溶液への浸漬前後の色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、アルカリ溶液に浸漬する前の測定値を基準に、下記数5に従ってΔE値を算出し、下記基準により耐アルカリ性の優劣を判定した。
【0111】
<数5>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値:比較する試料片のアルカリ溶液浸漬前後のL値の差
Δa値:比較する試料片のアルカリ溶液浸漬前後のa値の差
Δb値:比較する試料片のアルカリ溶液浸漬前後のb値の差
【0112】
5:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴が認められず、且つ、ΔE値が3.0未満であった。
4:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴が認められず、且つ、ΔE値が3.0以上4.0未満であった。
3:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴が認められず、且つ、ΔE値が4.0以上5.0未満であった。
2:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれ及び穴は認められないが、ΔE値が5.0以上であった。
1:試料片の塗膜に膨れ、割れ、はがれまたは穴が認められた。
【0113】
路面標示材料の耐摩耗性は、後述する処方によって調製した各塗料を用いてJIS K 5665に従って試験片の作製及び測定を行った。
【0114】
路面標示材料の耐光性は、後述する処方によって調製した各塗料をガラス板(約200×100×2mm)に塗布した試験片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、前記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0115】
路面標示材料の耐老化性は、後述する処方によって調製した各塗料をガラス板(約200×100×2mm)に塗布した試験片を温度60℃、相対湿度90%の環境下に1ヶ月間放置し、放置前後の色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、下記数6に従って算出したΔE値によって示した。
【0116】
<数6>
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値:比較する試料の放置前後のL値の差
Δa値:比較する試料の放置前後のa値の差
Δb値:比較する試料の放置前後のb値の差
【0117】
路面標示材料の耐汚染性は、後述する処方によって調製した各塗料を用いてJIS K 5665に従って作成した試験片を40〜50℃に加熱した後に、車両のタイヤで走踏して、強制的に付着させた汚れの度合いを目視で判断した。
【0118】
<実施例1−1:路面標示材料用着色材の製造>
酸化チタン粒子粉末(粒子形状:粒状、平均粒子径:0.253μm、BET比表面積値:10.3m/g、L値:96.26、a値:−0.64、b値:−0.81、C値:1.03、耐光性ΔE値:6.13)20kgを凝集を解きほぐすために、純水150lに攪拌機を用いて邂逅し、更に「TKパイプラインホモミクサー」(特殊機化工業株式会社製)を3回通して酸化チタン粒子粉末を含むスラリーを得た。
【0119】
次いで、この酸化チタン粒子粉末を含むスラリーを横型サンドグラインダー「マイティーミルMHG−1.5L」(井上製作所株式会社製)を用いて軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせて、酸化チタン粒子粉末を含む分散スラリーを得た。
【0120】
得られた分散スラリーの325mesh(目開き44μm)における篩残分は0%であった。この分散スラリーを濾別、水洗して、酸化チタン粒子粉末のケーキを得た。この酸化チタン粒子粉末のケーキを120℃で乾燥した後、乾燥粉末11.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入し、294N/cmで30分間混合撹拌を行い、粒子の凝集を軽く解きほぐした。
【0121】
次に、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:GE東芝シリコーン株式会社製)220gを、エッジランナーを稼動させながら上記酸化チタン粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0122】
次に、有機顔料Y−1(種類:ジスアゾ系有機黄色顔料、粒子形状:粒状、平均粒子径:0.15μm、BET比表面積値:41.7m/g、L値:69.51、a値:38.31、b値:76.96、耐光性ΔE値:18.25)3,300gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて徐添加し、更に588N/cmの線荷重で20分間、混合攪拌を行い、次いで、有機顔料R−1(種類:縮合多環系有機赤色顔料、粒子形状:粒状、平均粒子径0.10μm、BET比表面積値:89.8m/g、L値:37.81、a値:44.03、b値:24.09、耐光性ΔE値:15.47)220gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて徐添加し、更に588N/cmの線荷重で20分間、混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆の上に有機顔料Y−1及び有機顔料R−1を付着させ複合粒子粉末を得た。
【0123】
得られた複合粒子は、平均粒子径が0.256μmの粒状粒子粉末であった。BET比表面積値は14.8m/g、着色力は127%、隠蔽力は1,423cm/g、表面活性度は1.33%、耐熱性は231℃、耐光性ΔE値は2.60であり、有機顔料の脱離率は6.8%であり、流動性はBであった。メチルトリエトキシシランから生成したオルガノシラン化合物の被覆量はC換算で0.13重量%であり、付着している有機顔料の量は、C換算で13.89重量%(酸化チタン粒子粉末100重量部に対して有機顔料Y−1と有機顔料R−1の総量で32重量部に相当する)であった。
【0124】
上記で得られた複合粒子に対して、更に、流動化剤S−1(種類:ポリエチレンワックス、分子量:1000、融点:109℃)330gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて徐添加し、更に588N/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行い、路面標示材料用着色材を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0125】
得られた路面標示材料用着色材は、平均粒子径が0.257μmの粒状粒子粉末であった。BET比表面積値は6.6m/g、着色力は125%、隠蔽力は1,420cm/g、表面活性度は1.21%、耐熱性は232℃、耐光性ΔE値は2.54であり、有機顔料の脱離率は6.4%であり、流動性はAであった。付着している流動化剤の量は、C換算で2.50重量%であった。
【0126】
<実施例2−1:路面標示材料用塗料(3種)の製造>
前記路面標示材料用着色材を含む、路面標示用塗料構成基材を下記配合割合で190℃の温度で加熱混練し、路面標示用塗料(3種)を得た。
【0127】
路面標示材料用着色材 3.0重量部、
石油樹脂 15.0重量部、
可塑剤 2.0重量部、
ガラスビーズ 20.0重量部、
重質炭酸カルシウム 60.0重量部、
【0128】
得られた路面標示材料用塗料の流動性は4であった。
【0129】
上記で得られた路面標示材料用塗料を用いて試料片を作製し、各種試験を行った。
【0130】
得られた路面標示材料の耐アルカリ性は5であり、耐摩耗性は145mgであり、耐光性はΔE値で2.87であり、耐老化性はΔE値で1.75であり、耐汚染性は良好であった。
【0131】
前記実施例1−1及び2−1に従って路面標示材料用着色材及び路面標示材料用塗料を作製した。各製造条件及び得られた路面標示材料用着色材及び路面標示用塗料の諸特性を示す。
【0132】
芯粒子1〜4:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する無機粒子粉末を用意した。
【0133】
【表1】


【0134】
有機顔料:
有機顔料として表2に示す諸特性を有する有機顔料を用意した。
【0135】
【表2】


【0136】
複合粒子2〜6:
芯粒子の種類、表面改質剤による付着工程おける表面改質剤の種類及び添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間、有機顔料の付着工程における有機顔料の種類及び添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記実施例1−1と同様にして複合粒子を得た。
【0137】
このときの製造条件を表3に、得られた複合粒子の諸特性を表4に示す。
【0138】
【表3】


【0139】
【表4】


【0140】
流動化剤及び可塑剤:
流動化剤及び可塑剤として表5に示す諸特性を有する流動化剤及び可塑剤を用意した。
【0141】
【表5】


【0142】
実施例1−2〜1−5、比較例1−1〜1−3:
複合粒子の種類、流動化剤及び可塑剤による付着工程における流動化剤及び可塑剤の種類及び添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記実施例1−1と同様にして路面標示材料用着色材を得た。
【0143】
このときの製造条件を表6に、得られた路面標示材料用着色材の諸特性を表7に示す。
【0144】
なお、複合粒子5は、芯粒子として芯粒子1と芯粒子2を4:6の割合で混合したものである。
【0145】
また、複合粒子3は、有機顔料R−1(種類:縮合多環系有機赤色顔料、粒子形状:粒状、平均粒子径0.10μm、BET比表面積値:89.8m/g、L値:37.81、a値:44.03、b値:24.09、耐光性ΔE値:15.47)を、芯粒子100重量部に対して20重量部づつ3回に分けて分割添加した。
【0146】
【表6】


【0147】
【表7】


【0148】
実施例2−2〜2−5、比較例2−1〜2−4:
路面標示材料用着色材の種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にして路面標示材料用塗料を得た。
【0149】
このときの製造条件及び得られた路面標示材料用塗料並びに路面標示材料の諸特性を表8に示す。
【0150】
【表8】


【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明に係る路面標示材料用着色材は、着色力、隠蔽力、耐光性、耐熱性に優れ、且つ、無害であることから路面標示材料用着色材として好適である。
【0152】
本発明に係る路面標示材料用塗料は、上記路面標示材料用着色材を着色材として用いていることにより、路面標示材料用塗料組成物の流動性を改善できるとともに、環境汚染を配慮した路面標示材料を得ることができるので、路面標示材料用塗料として好適である。

【出願人】 【識別番号】000166443
【氏名又は名称】戸田工業株式会社
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−63497(P2008−63497A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−244626(P2006−244626)