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【発明の名称】 黒色微小複合粒子粉末及び該黒色微小複合粒子粉末を含有する分散体並びに黒色微小複合粒子粉末の製造法
【発明者】 【氏名】堀江 真司

【氏名】森井 弘子

【氏名】西川 弘文

【氏名】林 一之

【要約】 【課題】本発明は、着色力及び漆黒性が高いと共に、分散性に優れたシリカが内包された黒色微小複合粒子粉末並びに該黒色微小複合粒子粉末を含有する分散性に優れた分散体を提供するものである。

【構成】カーボンブラックにシリカが内包されている黒色微小複合粒子からなり、該黒色微小複合粒子粉末の酸量が0.3mol/kg以下である黒色微小複合粒子粉末は、シリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して、前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させて得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックにシリカが内包されている黒色微小複合粒子からなり、該黒色微小複合粒子粉末の酸量が0.3mol/kg以下であることを特徴とする黒色微小複合粒子粉末。
【請求項2】
黒色微小複合粒子粉末に含まれるシリカが、黒色微小複合粒子粉末に対して、Si換算で0.01〜9.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の黒色微小複合粒子粉末。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の黒色微小複合粒子粉末を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散体。
【請求項4】
溶媒が水及び/又は水溶性有機溶剤であることを特徴とする請求項3記載の水系分散体。
【請求項5】
溶媒が有機溶剤であることを特徴とする請求項3記載の溶剤系分散体。
【請求項6】
シリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して、前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の黒色微小複合粒子粉末の製造法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、着色力及び漆黒性が高いと共に、分散性に優れたシリカが内包された黒色微小複合粒子粉末並びに該黒色微小複合粒子粉末を含有する分散性に優れた分散体を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックやアニリンブラック等に代表される黒色顔料は、着色性に優れると共に、可視光における紫外線、赤外線吸収特性等を有することから、塗料、樹脂、印刷インキ、繊維、化粧品、表示材関係等、様々な分野で使用されている。
【0003】
殊にカーボンブラックは、各種黒色顔料の中で最も黒色度が優れており、カーボンブラックを用いて得られた塗膜や樹脂組成物は耐酸性や耐老化性にも優れているが、一方、粒子サイズが一次平均粒子径で5nm〜50nm程度が多く、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難であり、また、かさ密度が0.1g/cm程度とかさ高い粉末であるため、取り扱いが困難で、作業性が悪いことが知られている。
【0004】
そこで、微小な粒子サイズであっても、ビヒクル中への分散性が優れた黒色粒子粉末が強く要求されている。
【0005】
これまでに、カーボンブラックの各種特性の向上のために、カーボンブラックの表面にAl又はSiを含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させたカーボンブラック粒子からなる改質ブラック粒子粉末が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また、カーボンブラックを、全ての有機基が酸素を介してケイ素と結合しているケイ素含有化合物で表面処理することによりシリカを添着させた、シリカ添着量が10重量%以下、OH基が0.6個/nm以上であるシリカ添着カーボンブラックが提案されている(特許文献2)。
【0007】
また、粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆の少なくとも1部にカーボンブラックが付着されているシリカ粒子粉末からなる平均粒子径が0.001〜0.5μmの複合シリカ粒子粉末であって、前記カーボンブラックの付着量が前記シリカ粒子粉末100重量部に対して1〜1000重量部であることを特徴とする黒色複合充填材料が提案されている(特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−327867号公報
【特許文献2】特開平11−116841号公報
【特許文献3】特開2002−338846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
微小な黒色粒子粉末においても、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ漆黒性に優れた黒色粒子粉末は、最も要求されるところであるが、未だ得られていない。
【0010】
即ち、特許文献1及び2には、カーボンブラックの各種特性の向上のためにカーボンブラックの表面にAl又はSiを含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させたカーボンブラック粒子からなる改質ブラック粒子粉末やカーボンブラック表面にシリカを添着したシリカ添着カーボンブラックが提案されているが、後出比較例に示す通り、カーボンブラック表面にシリカが固着しているために粒子表面に存在するシラノール基(≡Si−OH)が多くなり、粒子表面の酸量が0.3mol/kgを超えるため、本発明の黒色微小複合粒子粉末とは粉の表面特性が異なる。また、カーボン表面にシリカを固着させているため、シリカはビヒクル中で透明〜半透明を呈するとはいえ、殊に、黒色を要求される用途において、未添加のものに比べ白みがかった色を呈する。即ち、原料カーボンに比べL値が高くなるため、漆黒性の高い黒色顔料を得ることは困難であった。
【0011】
また、特許文献3には、白色無機粒子の粒子表面にアルコキシシラン等の糊剤を介してカーボンブラックを付着させる方法が記載されているが、後出比較例に示す通り、芯粒子としてシリカ粒子等の白色無機粒子粉末を用いているため、付着させる原料黒色顔料と同等もしくはそれ以上の高い着色力を得ることは困難である。
【0012】
そこで、本発明は、微細でありながらビヒクルへの分散性に優れ、且つ漆黒性に優れた、黒色複合粒子粉末を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0014】
即ち、本発明は、カーボンブラックにシリカが内包されている黒色微小複合粒子からなり、該黒色微小複合粒子粉末の酸量が0.3mol/kg以下であることを特徴とする黒色微小複合粒子粉末である(本発明1)。
【0015】
また、本発明は、黒色微小複合粒子粉末に含まれるシリカが、黒色微小複合粒子粉末に対して、Si換算で0.01〜9.0重量%であることを特徴とする本発明1に記載の黒色微小複合粒子粉末である(本発明2)。
【0016】
また、本発明は、本発明1又は本発明2に記載の黒色微小複合粒子粉末を溶媒中に分散させてなることを特徴とする分散体である(本発明3)。
【0017】
また、本発明は、溶媒が水及び/又は水溶性有機溶剤であることを特徴とする本発明3記載の水系分散体である(本発明4)。
【0018】
また、本発明は、溶媒が有機溶剤であることを特徴とする本発明3記載の溶剤系分散体である(本発明5)。
【0019】
また、本発明は、シリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して、前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることを特徴とする本発明1又は本発明2記載の黒色微小複合粒子粉末の製造法である(本発明6)。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末は、ビヒクルへの分散性に優れ、且つ漆黒性に優れていることから、様々な用途の黒色着色材として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る黒色微小複合粒子粉末について述べる。
【0022】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末は、カーボンブラックにシリカが内包されている複合粒子からなる。
【0023】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の酸量は、0.3mol/kg以下である。酸量が0.30mol/kgを超える場合、粒子表面に存在するシラノール基が多すぎ、反応性が高くなるため好ましくない。好ましくは0.25mol/kg以下であり、より好ましくは0.20mol/kg以下である。
【0024】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末に含まれるシリカ量は、Si換算で、黒色微小複合粒子粉末に対して0.01〜9.0重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜7.0重量%であり、更に好ましくは0.1〜5.0重量%である。シリカ量がSi換算で黒色微小複合粒子粉末に対して0.01重量%未満の場合には、黒色微小複合粒子粉末に内包されるシリカ量が少なすぎるため、黒色微小複合粒子粉末のζ電位がほぼゼロとなり、静電反発効果が得られないため、ビヒクル中における分散性が低下する。一方、9.0重量%を超える場合には、黒色微小複合粒子粉末に内包されるシリカ量が多すぎるため、十分な着色力及び漆黒性を得ることが困難となる。
【0025】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の平均一次粒子径は、1〜50nmが好ましく、より好ましくは1〜40nm、更により好ましくは1〜30nmである。
【0026】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の個数換算平均粒子径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは1〜150nm、更に好ましくは1〜100nm、最も好ましくは1〜50nmである。黒色微小複合粒子粉末の個数換算平均粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため着色力が低下する。
【0027】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の体積換算平均粒子径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは1〜150nm、更に好ましくは1〜100nmである。黒色微小複合粒子粉末の体積換算平均粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため着色力が低下する。
【0028】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末のBET比表面積値は、20〜1000m/gが好ましく、より好ましくは25〜800m/g、更により好ましくは30〜500m/gである。BET比表面積値が20m/g未満の場合には、粒子が粗大であり、着色力が低下する。BET比表面積が1000m/gを超える場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすく、ビヒクル中への分散が困難となる。
【0029】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の黒色度は、後述する評価方法において、黒色度差ΔL値で100.0以上であることが好ましく、より好ましくはΔL値が101.0以上であり、更により好ましくはΔL値が102.0以上である。ΔL値が100未満の場合、原料カーボンブラックに比べ漆黒性が低下するため好ましくない。
【0030】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の着色力は、後述する評価方法により103%以上が好ましく、より好ましくは104%以上であり、更により好ましくは105%以上である。
【0031】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末のζ電位は、水系で測定した場合−5mV以下であることが好ましく、より好ましくは−8mV以下であり、更に好ましくは−10mV以下である。水系で測定した場合のζ電位が−5mVよりゼロに近くなると、水系分散体における静電反発効果による良好な分散性及び分散安定性を得ることは困難である。
【0032】
溶剤系でζ電位を測定した場合、−2mV以下であることが好ましく、より好ましくは−3mV以下であり、更に好ましくは−5mV以下である。溶剤系で測定した場合のζ電位が−2mVよりゼロに近くなると、溶剤系分散体における静電反発効果による良好な分散性を得ることは困難である。
【0033】
次に、本発明に係る黒色微小複合粒子粉末を含有する分散体ついて述べる。
【0034】
本発明に係る分散体は、水及び/又は水溶性有機溶剤を主な溶媒とする水系分散体と有機溶剤を主な溶媒とする溶剤系分散体のいずれをも含むものであり、溶媒中に本発明に係る黒色微小複合粒子粉末を分散させることにより得ることができる。
【0035】
本発明に係る分散体は、本発明に係る黒色微小複合粒子粉末を分散体構成基材100重量部に対して3〜300重量部含有し、好ましくは4〜150重量部、より好ましくは5〜100重量部、更により好ましくは5〜75重量部、最も好ましくは5〜50重量部含有している。分散体の構成基材としては、水、水溶性有機溶剤、有機溶剤等の溶媒であり、必要に応じて樹脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
【0036】
水系分散体用の溶媒としては、水及び/又は水系塗料等に通常使用されているエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤を単独、又は併用して使用することができる。
【0037】
溶剤系分散体用の溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル類;乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸プロピルエステル等の乳酸エステル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類等を用いることができる。殊に、アルコール類、エーテルアルコール類、エーテルアセテート類に代表される、極性の高い有機溶剤を使用することで、静電反発効果を効果的に得ることができる。これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
本発明に係る分散体の個数換算分散平均粒子径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは1〜150nm、更により好ましくは1〜100nm、最も好ましくは1〜50nmである。個数換算分散粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きくなるため、好ましくない。
【0039】
本発明に係る分散体の体積換算分散平均粒子径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは1〜150nmであり、更により好ましくは1〜100nmである。体積換算分散粒子径が200nmを超える場合には、粒子サイズが大きくなるため、好ましくない。
【0040】
本発明に係る分散体の分散安定性は、後述する評価方法のうち、粒子粉末の沈降程度を目視で評価した場合、3、4又は5であることが好ましく、より好ましくは4又は5である。また、粘度の変化率は20%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。粒子粉末の沈降程度を目視で評価した場合に1又は2になるか、粘度の変化率が20%より大きくなると、安定した分散状態で長期貯蔵することが困難となる。
【0041】
本発明に係る分散体の着色力を表わす比吸光係数ε(重量基準)は、後述する評価方法で、1.10以上であることが好ましく、より好ましくは1.20〜5.00であり、更に好ましくは1.30〜5.00である。
【0042】
次に、本発明に係る黒色微小複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0043】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末は、芯粒子としてのシリカ粒子と表面改質剤とを混合攪拌してシリカ粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して前記表面改質剤が被覆されたシリカ粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子を得た後に、アルカリ溶液を用いて該複合粒子中のシリカ粒子及び表面改質剤の一部を溶解させることにより得ることができる。
【0044】
本発明におけるシリカ粒子の平均一次粒子径は、1〜100nmが好ましく、より好ましくは1〜50nm、更に好ましくは1〜40nmである。
【0045】
本発明におけるシリカ粒子のBET比表面積値は10〜1000m/gであることが好ましく、より好ましくは15〜500m/gである。
【0046】
本発明における表面改質剤としては、シリカ粒子の粒子表面へカーボンブラックを付着できるものであれば何を用いてもよく、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。より好ましくは、アルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物である。
【0047】
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0048】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0049】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0050】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0051】
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
【0052】
表面改質剤の被覆量は、芯粒子であるシリカ粒子に対してC換算で0.05〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜12.0重量%、更により好ましくは0.15〜10.0重量%である。0.05〜15重量%とすることで、シリカ粒子100重量部に対して、カーボンブラックを10〜500重量部付着させることができる。
【0053】
本発明におけるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
【0054】
なお、黒色をより鮮明にするために他の有機顔料を補色として併用してもよい。例えば、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料からなる青色系有機顔料を使用することができる。但し、アルカリブルーのような耐アルカリ性の弱い顔料を用いることは好ましくない。
【0055】
カーボンブラックの添加量は、芯粒子であるシリカ粒子粉末100重量部に対して10〜500重量部であり、好ましくは30〜400重量部、より好ましくは50〜300重量部である。
【0056】
本発明における複合粒子は、シリカ粒子粉末と表面改質剤とを混合し、シリカ粒子の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで、表面改質剤によって被覆されたシリカ粒子粉末とカーボンブラックとを混合することによって得ることができる。添加した表面改質剤は、ほぼ全量がシリカ表面に被覆される。
【0057】
シリカ粒子粉末と表面改質剤の混合攪拌、カーボンブラックと粒子表面に表面改質剤が被覆されているシリカ粒子粉末とを混合攪拌するための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混錬機、ボール型混錬機、ブレード型混錬機、ロール型混錬機を用いることができ、ホイール型混錬機がより効果的に使用できる。
【0058】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、このましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラー、であり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
【0059】
シリカ粒子の粒子表面を表面改質剤で被覆した後、カーボンブラック及び有機顔料を添加し、混合攪拌してカーボンブラック又はカーボンブラック及び補色の有機顔料を表面改質剤被覆シリカ粒子の粒子表面に付着させる。この後、必要に応じて乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。カーボンブラック又はカーボンブラック及び補色の有機顔料は少量ずつを、5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度の時間をかけながら添加するか、若しくは、シリカ粒子100重量部に対して5〜25重量部のカーボンブラック及び補色の有機顔料を、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0060】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常、40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0061】
得られた複合粒子の平均一次粒子径は1〜100nmであり、より好ましくは1〜50nm、更により好ましくは1〜30nmである。
【0062】
複合粒子のBET比表面積値は、10〜1000m/gであることが好ましく、より好ましくは15〜800m/g、更により好ましくは20〜500m/gである。
【0063】
複合粒子のカーボンブラックの脱離の程度は、後出評価方法における目視観察において、4又は3が好ましく、より好ましくは4である。カーボンブラックの脱離の程度が2又は1の場合には、脱離したカーボンブラックが再結晶化又は凝集等を起こすことにより粗大化したまま、最終生成物である黒色微小複合粒子粉末に混在するため、好ましくない。
【0064】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末は、上記複合粒子をアルカリで処理して一部のシリカ成分が残存するように、シリカ又はシリカ及び表面改質剤を溶解することで得られる。
【0065】
溶解に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア等を使用することができる。
【0066】
溶解処理を行う際の溶解液中の複合粒子濃度は、水100mlに対して1.0〜30.0重量部が好ましく、より好ましくは2.5〜25.0重量部、更に好ましくは5.0〜20.0重量部である。
【0067】
複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤の溶解処理を行う際の溶解液のアルカリ量は、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を全量溶解させるために必要なアルカリ量の0.01〜0.95倍が好ましく、より好ましくは0.02〜0.90倍、更に好ましくは0.05〜0.85倍である。0.95倍を超えるアルカリ量で処理した場合、残存Si量が少なくなりすぎるため、分散性及び分散安定性に必要なζ電位を得ることができない。アルカリ量が0.01倍より少ない場合、シリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を、黒色微小複合粒子粉末に対してSi換算で9重量%以下となるまで溶解させるのに非常に長時間を有するために工業的に好ましくない。
【0068】
複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤の溶解処理を行う際のpHは10.0〜13.8が好ましく、より好ましくは11.0〜13.6であり、更に好ましくは11.5〜13.4である。pHが13.8を超えると、アルカリによるカーボンブラックへのダメージが大きくなり、優れた漆黒性を有する黒色微小複合粒子粉末を得ることが困難である。pHが10.0未満の場合、複合粒子中のシリカ粒子又はシリカ粒子及び表面改質剤を、黒色微小複合粒子粉末に対してSi換算で9重量%以下となるまで溶解させるのに非常に長時間を有するために工業的に好ましくない。
【0069】
溶解処理を行う際の処理温度は、40〜100℃が好ましく、より好ましくは45〜90℃、更により好ましくは50〜80℃である。40℃未満の場合にはシリカの溶解に50時間を超えるような長時間を要するため、工業的に不利となる。100℃を超える場合には、オートクレーブ等の装置を必要とするため工業的にも好ましくない。
【0070】
溶解処理を行う際の処理時間は、5分〜50時間が好ましく、より好ましくは10分〜30時間、更により好ましくは20分〜10時間である。処理時間が50時間より長い場合、長時間の溶解処理となるため工業的に好ましくない。
【0071】
溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、洗浄後、通常の乾燥又は凍結乾燥させる方法を用いて取り出すことができる。本発明で得られた黒色微小複合粒子粉末は、通常の乾燥を行った場合においてもシリカ又はシリカ及び表面改質剤による静電反発効果により分散が容易である。
【0072】
次に、本発明に係る分散体の製造方法について述べる。
【0073】
本発明に係る分散体のうち、水系分散体は、得られた黒色微小複合粒子粉末を水又は水及び水溶性有機溶剤中に再分散させるか、あるいは、溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、水洗した後、乾燥させずに取り出した固形分を水又は水溶性有機溶剤中に分散させることにより得ることができる。必要により、添加剤として、樹脂、分散剤、消泡剤、界面活性剤等を添加することもできる。
【0074】
本発明に係る分散体のうち、溶剤系分散体は、得られた黒色微小複合粒子粉末を有機溶剤又は油性ビヒクル中に再分散させるか、あるいは、溶解処理後、固形分と溶解液を濾別、水洗した固形分を有機溶剤又は油性ビヒクルでフラッシングした後、有機溶剤又は油性ビヒクル中に分散させることにより得ることができる。必要により、添加剤として、樹脂、分散剤、消泡剤、界面活性剤等を添加することもできる。
【0075】
前記黒色微小複合粒子粉末と前記溶媒との混合・分散は、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、エッジランナー、超音波分散機、2本又は3本ロールミル、エクストルーダー及び高速衝撃ミル等を用いることができる。ボールミルやビーズミル等の磨砕型ミルに用いられる磨砕媒体としては、ミルの材質に応じて、スチールビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ等が使用でき、その大きさは0.01〜10mmの範囲が好ましく、0.03〜3mmの範囲がより好ましい。磨砕温度は特に限定されず、室温から用いる溶媒の沸点以下の範囲にあればよい。
【0076】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末は、一般的に使用されている塗料、印刷インキ等へ、水系又は溶剤系を問わず様々な用途の着色材として使用することができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0078】
各粒子粉末の一次粒子の平均粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0079】
黒色微小複合粒子粉末の個数換算平均粒子径及び体積換算平均粒子径は、被測定粒子粉末と水を混合した水溶液を、超音波分散機を用いて1分間分散させた後、動的光散乱法「濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社)を用いて測定した。
【0080】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0081】
シリカ粒子の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0082】
黒色微小複合粒子粉末に内包されるシリカ量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K 0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0083】
各粒子粉末のζ電位は、水系の場合イオン交換水を、溶剤系の場合PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を用いて試料が0.5g/lの濃度になるように調製し、超音波分散機を用いて3分間分散させた後、「Model501」(PEN KEN社製)を用い、電気泳動法により測定した。
【0084】
各粒子粉末の酸量は、試料2gと、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の10−2Nメチルイソブチルケトン(MIBK)溶液30mlを三角フラスコにとり密栓した後、槽温度を20℃に制御した超音波洗浄器中で1時間、超音波分散を行い、この分散液から、試料を遠心分離して得た上澄み液10mlを、MIBK100mlで希釈した後、10−2Nの過塩素酸MIBK溶液で逆滴定することにより、試料表面の酸によって消費されたTBAHの量を求め、試料単位重量あたりの酸量を決定した。
【0085】
各粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L値を測定した。なお、各複合粒子粉末及び黒色微小複合粒子粉末作製に用いたカーボンブラックについては、L値とした。
【0086】
複合粒子及び黒色微小複合粒子粉末の黒色度差ΔL値は、複合粒子及び黒色微小複合粒子粉末の黒色度L値と複合粒子及び黒色微小複合粒子粉を作製する際に用いたカーボンブラックの黒色度L値の差として、下記数1に従って算出した。
【0087】
<数1>
ΔL値=L値/L値×100
ΔL値:黒色度差
値:各複合粒子及び黒色微小複合粒子粉末を作製する際に用いたカーボンブラックの黒色度
値:各複合粒子及び黒色微小複合粒子粉末の黒色度
【0088】
複合粒子及び黒色微小複合粒子粉末の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
【0089】
次いで、黒色微小複合粒子粉末の標準試料として、黒色微小複合粒子粉末を作製する際に用いたカーボンブラックを用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
【0090】
得られた黒色微小複合粒子粉末のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0091】
<数2>
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
【0092】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して、3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0093】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)80gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0094】
複合粒子に付着しているカーボンブラックの脱離の程度は、下記の方法により4段階で評価した。4が複合粒子の粒子表面からのカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
【0095】
被測定粒子粉末2gとエタノール20mlを50mlの三角フラスコに入れ、60分間超音波分散を行った後、回転数10,000rpmで15分間遠心分離を行い、被測定粒子粉末と溶剤部分とを分離した。得られた被測定粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、電子顕微鏡写真に示される視野の中に存在する、脱離して再凝集したカーボンブラックの個数を目視で観察し、4段階で評価した。
【0096】
1:複合粒子100個当たりに30個以上。
2:複合粒子100個当たりに10個以上30個未満。
3:複合粒子100個当たりに5個以上10個未満。
4:複合粒子100個当たりに5個未満。
【0097】
黒色微小複合粒子粉末を含む分散体の個数換算分散平均粒子径及び体積換算分散平均粒子径は、動的光散乱法「濃厚系粒子径アナライザー FPAR−1000」(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。
【0098】
分散体の分散安定性は、分散体25mlを50mlの比色管に入れ、60℃で1週間静置した後、粒子粉末の沈降程度を目視で評価し、下記の5段階で評価を行った。
【0099】
1:非着色部分が10cm以上。
2:非着色部分が5cm以上、10cm未満。
3:非着色部分が1cm以上、5cm未満。
4:非着色部分が1cm未満。
5:非着色部分が認められず。
【0100】
黒色微小複合粒子粉末を含む分散体の粘度変化率は、得られた分散体を60℃で1週間静置した後、「E型粘度計EMD−R」(株式会社東京計器製)を用いて、25℃でずり速度D=383sec−1における粘度値を測定し、静置前後の粘度の変化量を静置前の値で除した値を変化率として百分率で示した。
【0101】
黒色微小複合粒子粉末を含む分散体の着色力は、水系分散体の場合、黒色微小複合粒子粉末の濃度を0.08重量%に調整した水溶液を、溶剤系分散体の場合、黒色微小複合粒子粉末の濃度を0.08重量%に調整したPGMEA溶液を、石英セルに入れ、波長550nmにおける吸光係数を、「自記光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いてそれぞれ測定し、下記数3に従って算出した比吸光係数εによって示した。比吸光係数の値が大きいほど、黒色微小複合粒子粉末を含む分散体の着色力が高いことを示す。
【0102】
<数3>
ε=ε/ε
ε:比吸光係数
ε:各黒色微小複合粒子粉末の単位重量当たりの吸光係数
ε:各黒色微小複合粒子粉末の原料として用いているカーボンブラックの単位重量当たりの吸光係数
【0103】
<複合粒子1:黒色複合粒子粉末の製造>
シリカ1(平均一次粒子径:16nm、BET比表面積値:204.3m/g)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0104】
次に、C−1(種類:カーボンブラック、平均粒子径:22nm、BET比表面積値:103.0m/g、L値:23.12、酸量:0.09mol/kg、水系のζ電位:−4.1mV、溶剤系のζ電位:−1.6mV)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら30分間かけて添加し、更に392N/cmの線荷重で100分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆にカーボンブラックC−1を付着させ、複合粒子1を得た。なお、このときの攪拌速度は22rpmで行った。
【0105】
得られた複合粒子1は、平均一次粒子径が18nmであり、BET比表面積値は114.2m/g、カーボンブラックC−1の脱離の程度は4であった。黒色度L値は23.36、黒色度差ΔL値は99.0、着色力は94%、酸量は0.20mol/kg、水系におけるζ電位は−23.9mV、溶剤系におけるζ電位は−7.1mVであった。また、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.54重量%であった。付着しているカーボンブラックC−1はC換算で49.94重量%(シリカ粒子粉末100重量部に対して100重量部に相当する)であった。
【0106】
得られた複合粒子の電子顕微鏡写真の観察結果より、添加したカーボンブラックC−1の粒子がほとんど認められないことから、カーボンブラックC−1のほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
【0107】
<実施例1−1:黒色微小複合粒子粉末の製造>
3lのビーカーに、上記で得られた複合粒子粉末200gと0.65mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2l(芯粒子であるシリカ粒子及び表面改質剤を溶解できる理論量の0.2倍)を入れ、pHを13.1とし、60℃で30分間攪拌した。これを濾過、水洗後、乾燥させて黒色微小複合粒子粉末を得た。
【0108】
得られた黒色微小複合粒子粉末は、平均一次粒子径が14nm、個数換算平均粒子径が20nm、体積換算平均粒子径が72nm、BET比表面積値が119.4m/gであった。黒色微小複合粒子粉末が内包するシリカ量は、Si換算で1.12重量%、黒色度L値は22.38、黒色度差ΔL値は103.3、着色力は105%、酸量は0.10mol/kgであり、水系におけるζ電位は−14.2mV、溶剤系におけるζ電位は−6.3mVであった。
【0109】
<実施例2−1:水系分散体の製造>
140mlガラス瓶に、前記黒色微小複合粒子粉末15重量部、分散剤(アクリル系高分子分散剤)1.5重量部、消泡剤(シリコン系消泡剤)0.2重量部、イオン交換水100重量部を0.35mmφガラスビーズ100gとともに添加し、ペイントシェーカーで2時間分散させて、水系分散体を得た。
【0110】
得られた、黒色微小複合粒子粉末を含む水系分散体の個数換算分散粒子径は19nmであり、体積換算分散粒子径は40nm、分散安定性のうち目視による判定は5、粘度の変化率は5.6%、比吸光係数εは1.46であった。
【0111】
<実施例3−1:溶剤系分散体の製造>
140mlガラス瓶に、前記黒色微小複合粒子粉末15重量部、分散剤(アクリル系高分子分散剤)1.5重量部、PGMEA100重量部を0.35mmφガラスビーズ100gとともに添加し、ペイントシェーカーで2時間混合分散させて溶剤系分散体を得た。
【0112】
得られた黒色微小複合粒子粉末を含む溶剤系分散体の個数換算分散粒子径は19nmであり、体積換算分散粒子径は39nm、分散安定性のうち目視による判定は5、粘度の変化率は5.4%、比吸光係数εは1.48であった。
【0113】
前記複合粒子1及び実施例1−1〜3−1に従って、複合粒子粉末、黒色微小複合粒子粉末、水系分散体、溶剤系分散体を作製した。各製造条件及び得られた複合粒子粉末、黒色微小複合粒子粉末、水系分散体及び溶剤系分散体の諸特性を示す。
【0114】
シリカ1〜3:
芯粒子として、表1に示す特性を有するシリカ粒子粉末1〜3を用意した。
【0115】
【表1】


【0116】
カーボンブラック及び有機顔料(補色):
カーボンブラックとして、表2に示す特性を有するカーボンブラックC−1〜C−3を、また補色としての有機顔料B−1を用意した。
【表2】


【0117】
<複合粒子粉末の製造>
複合粒子2〜4:
芯粒子の種類、表面改質剤の種類及び添加量、表面改質剤の被覆工程におけるエッジランナー処理の線荷重及び時間、カーボンブラックの付着工程におけるカーボンブラックの種類及び添加量、補色としての有機顔料の添加の有無及び添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記複合粒子1と同様にして複合粒子粉末を得た。
【0118】
このときの製造条件を表3に、得られた複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
【0119】
【表3】


【0120】
【表4】


【0121】
<黒色微小複合粒子粉末の製造>
実施例1−2〜1−7、比較例1−1〜1−3:
複合粒子の種類、アルカリ溶解時における溶解液のpH及び添加するアルカリの理論量対比量、処理温度及び処理時間を種々変化させた以外は前記実施例1−1と同様にして黒色微小複合粒子粉末を得た。なお、複合粒子粉末の濃度(g/100ml)は、溶解液100mlに対する複合粒子粉末の重量(g)である。なお、実施例1−2は、乾燥工程として、凍結乾燥を行ったものである。
【0122】
このときの製造条件を表5に、得られた黒色微小複合粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0123】
比較例1−4(特開2003−327867号公報 実施例1 追試実験)
カーボンブラックC−1(種類:カーボンブラック、平均粒子径:22nm、BET比表面積値:103.0m/g、L値:23.12、酸量:0.09mol/kg、水系のζ電位:−4.1mV、溶剤系のζ電位:−1.6mV)1.5kgを水に投入し、攪拌・分散した後、NaOH水溶液を加えてpH10.0とした。次いで、3号水ガラス溶液524gを添加して攪拌・混合した後、当該懸濁液を攪拌しながら酢酸水溶液を用いてpH7.0に調整した。直ちに、濾別・水洗・乾燥してカーボンブラック粒子粉末とシリカ超微粒子との混合物を得た。得られたカーボンブラック粒子粉末を「エッジランナー MSH−0LH型」(新東工業株式会社製)に投入して線荷重421N/cmで30分間圧密粉砕を行い、改質カーボンブラック粒子粉末を得た。
【0124】
得られた改質カーボンブラック粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0125】
【表5】


【0126】
【表6】


【0127】
<水系分散体>
実施例2−2〜2−7、比較例2−1〜2−8:
黒色微小複合粒子粉末の種類及び配合量を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にして水系分散体を得た。
【0128】
このときの製造条件を表7に、得られた水系分散体の諸特性を表8に示す。
【0129】
実施例2−8:
黒色微小複合粒子粉末100重量部、分散剤(アクリル系高分子分散剤)10.0重量部、消泡剤(シリコン系消泡剤)1.3重量部とイオン交換水100重量部を混合し、50℃の加熱条件下で3本ロールミルを用いて混練分散させることにより、水系分散体を得た。
【0130】
このときの製造条件を表7に、得られた水系分散体の諸特性を表8に示す。
【0131】
【表7】


【0132】
【表8】


【0133】
<溶剤系分散体>
実施例3−2〜3−7、比較例3−1〜3−8:
黒色微小複合粒子粉末の種類及び配合量を種々変化させた以外は、前記実施例3−1と同様にして溶剤系分散体を得た。
【0134】
このときの製造条件を表9に、得られた溶剤系分散体の諸特性を表10に示す。
【0135】
実施例3−8:
黒色微小複合粒子粉末100重量部、分散剤(アクリル系高分子分散剤)1.5重量部、PGMEA100重量部を混合し、50℃の加熱条件下で3本ロールミルを用いて混練分散させることにより、溶剤系分散体を得た。
【0136】
このときの製造条件を表9に、得られた溶剤系分散体の諸特性を表10に示す。
【0137】
【表9】


【0138】
【表10】


【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明に係る黒色微小複合粒子粉末及び分散体は、一般的に使用されている塗料、印刷インキ等、水系又は溶剤系を問わず様々な用途の黒色着色材として使用することができる。

【出願人】 【識別番号】000166443
【氏名又は名称】戸田工業株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−50405(P2008−50405A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225523(P2006−225523)