トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用

【発明の名称】 撥水撥油性顔料およびそれを含有する化粧料
【発明者】 【氏名】田中 巧

【氏名】後藤 武弘

【要約】 【課題】撥水性および撥油性に優れるとともに、化粧料への配合時に高価なフッ素化合物系のバインダーを用いることなく、一般に用いられているバインダーを用いて容易に分散配合することのできる撥水撥油性顔料およびそれを含有する化粧料を提供する。

【構成】パーフルオロアクリレート共重合体と、アルキルアルコキシシランもしくはアルコキシチタニウムアルキレートとを顔料粉体に表面処理して撥水撥油性顔料を得る。この撥水撥油性顔料が配合された化粧料は化粧くずれや色くすみが抑えられるとともに、肌へのフィット感があり粉っぽさを感じさせない化粧料となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
下記一般化学式(2)にて示されるアルキルアルコキシシランと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とする撥水撥油性顔料。
【化1】


【化2】


【請求項2】
下記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
下記一般化学式(3)にて示されるアルコキシチタニウムアルキレートと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とする撥水撥油性顔料。
【化3】


【化4】


【請求項3】
下記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
下記一般化学式(4)にて示されるポリシロキサンと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とする撥水撥油性顔料。
【化5】


【化6】


【請求項4】
下記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
下記一般化学式(5)にて示される、分子量が30000〜300000のアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステルと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とする撥水撥油性顔料。
【化7】


【化8】


【請求項5】
下記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
下記一般化学式(6)にて示される分岐型シリコンと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とする撥水撥油性顔料。
【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の撥水撥油性顔料を含有してなることを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンデーション、アイシャドー、ほほ紅等に代表されるメークアップ化粧料あるいはサンスクリーン化粧料に配合されて好適な撥水撥油性顔料およびそれを含有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンデーション、アイシャドー、ほほ紅等のメークアップ化粧料、あるいはサンスクリーン化粧料に撥水撥油性を付与するために、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物で表面処理された顔料粉体を化粧料に配合しているものがある(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかし、良好な分散状態で感触が良好な化粧料を得るためには、一般的に用いられている油分(脂肪族系、シリコン系)いわゆるバインダーや界面活性剤だけでは満足される化粧料が得られず、例えば特許文献4や特許文献5にて開示されているように、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系の高価な油剤を使用しなければならないという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特公平5−86984号公報
【特許文献2】特開平3−246210号公報
【特許文献3】特開平4−330007号公報
【特許文献4】特開平4−224506号公報
【特許文献5】特開平5−39209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、下記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーで表面処理された顔料ではそのフィット感や粉っぽさは改良されるものの、やはり前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物で表面処理された顔料と同様に、良好な分散状態で感触が良好な化粧料を得るためには、一般的に用いられている油分(脂肪族系、シリコン系)いわゆるバインダーや界面活性剤だけでは満足される化粧料が得られず、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系の高価な油剤を使用しなければならないという問題点がある。
【0005】
【化13】


【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、撥水性および撥油性に優れるとともに、化粧料への配合時に高価なフッ素化合物系のバインダーを用いることなく、一般に用いられているバインダーを用いて容易に分散配合することのできる撥水撥油性顔料およびそれを含有する化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物と、下記一般化学式(2)にて示されるアルキルアルコキシシラン、下記一般化学式(3)にて示されるアルコキシチタニウムアルキレート、下記一般化学式(4)にて示されるポリシロキサン、下記一般化学式(5)にて示される、分子量が30000〜300000のアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステル、および下記一般化学式(6)にて示される分岐型シリコンよりなる群から選択される物質とを同時または連続的に顔料粉体に表面処理することにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
【化14】


【0009】
【化15】


【0010】
【化16】


【0011】
【化17】


【0012】
【化18】


【0013】
【化19】


【0014】
【化20】


【0015】
【化21】


【0016】
要するに、前記目的を達成するために、第1発明による撥水撥油性顔料は、
前記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
前記一般化学式(2)にて示されるアルキルアルコキシシランと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とするものである。
【0017】
また、第2発明による撥水撥油性顔料は、
前記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
前記一般化学式(3)にて示されるアルコキシチタニウムアルキレートと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とするものである。
【0018】
また、第3発明による撥水撥油性顔料は、
前記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
前記一般化学式(4)にて示されるポリシロキサンと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とするものである。
【0019】
また、第4発明による撥水撥油性顔料は、
前記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
前記一般化学式(5)にて示される、分子量が30000〜300000のアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステルと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とするものである。
【0020】
また、第5発明による撥水撥油性顔料は、
前記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体と、
前記一般化学式(6)にて示される分岐型シリコンと、
を顔料粉体に表面処理してなることを特徴とするものである。
【0021】
次に、第6発明による化粧料は、
第1発明〜第5発明のいずれかの発明に係る撥水撥油性顔料を含有してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高価なフッ素化合物系のバインダーを用いることなく、一般に用いられているバインダーを用いて化粧料に容易に配合することができ、また化粧料に配合されたときにその化粧料に撥水性および撥油性を付与することができるとともに、肌へのフィット感があり粉っぽさを感じさせない撥水撥油性顔料を得ることができる。この撥水撥油性顔料を化粧料に配合することにより、化粧くずれや色くすみが抑えられるとともに、肌へのフィット感があり粉っぽさを感じさせない化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明による撥水撥油性顔料およびそれを含有する化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
【0024】
本発明に用いられる下記化学構造式(1)にて示されるパーフルオロアクリレート共重合体(以下、「フッ素化合物ポリマー」と称する。)は、旭硝子(株)より市販されている商品名AG−E067のフッ素化合物ポリマーをアルカリにて析出することにより得ることができる。
【0025】
【化22】


【0026】
前記、旭硝子(株)より市販の商品名AG−E067のフッ素化合物ポリマーをそのまま用いて表面処理顔料を製造することはできるが、この市販品のフッ素化合物ポリマーには酢酸が含有されており、水洗工程を入れても完全に酢酸を取り除くことができず、化粧料として配合されたときに異臭を放つという問題がある。
【0027】
そこで、本発明における前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを得る方法としては、以下のような方法が挙げられる。まず、旭硝子(株)製AG−E067のフッ素化合物ポリマーを水に分散させ、その後、アルカリにて析出後、加温し熟成する。次いで、中和処理を行い、水洗ろ過を繰り返した後、乾燥を行うことで、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを得ることができる。
【0028】
本発明において、顔料粉体への表面処理方法としては以下のような方法が例として挙げられる。すなわち、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを適当な有機系溶剤にて沸点以下10℃から沸点までの温度に加温溶解後、下記一般化学式(2)(3)(4)(5)(6)にて示される処理剤の1種もしくは2種以上を、その有機系溶剤にて加温溶解したフッ素化合物ポリマー中に混合し、混合分散機内で滴下または添加する方法で顔料粉体と混合した後、溶剤を除去し、必要に応じて粉砕することにより、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーと、下記一般化学式(2)(3)(4)(5)(6)にて示される処理剤の1種もしくは2種以上とで表面処理された顔料粉体を得ることができる。ここで、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを有機系溶剤中で加温撹拌する際の温度としては、できるだけ該溶剤の沸点に近いほうがよく、沸点以下10℃よりも低い温度では、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーが完全に溶解しないため好ましくない。
【0029】
【化23】


【0030】
【化24】


【0031】
【化25】


【0032】
【化26】


【0033】
【化27】


【0034】
【化28】


【0035】
【化29】


【0036】
前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを溶解させるための有機系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、エタノール、塩化メチレン等が挙げられるが、安全性、経時安定性を考慮すると、イソプロピルアルコールが好ましい。
【0037】
前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを有機系溶剤に溶解させた溶液と顔料粉体との混合分散方法としては、溶液の濃度や粘度などに応じて適当な方法を選択することができ、好適な例としては、ディスパー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、ニーダー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、2軸混練機等の混合機による方法や、水溶液と顔料を加熱空気中に噴霧して水分を一気に除去するスプレードライなどの方法を選択することができる。なお、溶剤除去後に粉砕を行う場合においては、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常の粉砕機を用いることができるが、いずれの粉砕機によっても同等の品質のものが得られるため、特に限定されるものではない。
【0038】
本発明で用いられる前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーの顔料に対する被覆量は、顔料粒子径によって異なるが、0.02〜30質量%が適当である。被覆量が0.02質量%以下であると、本来の撥油性および撥水性を十分に得ることができない。また、被覆量が30質量%を超えると、被覆処理剤同士の反応等により感触が悪くなる懸念がある。
【0039】
また、本発明で用いられる、前記一般化学式(2)にて示されるアルキルアルコキシシラン、前記一般化学式(3)にて示されるアルコキシチタニウムアルキレート、前記一般化学式(4)にて示されるポリシロキサン、前記一般化学式(5)にて示される、分子量が30000〜300000のアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステル(以下、「アクリルシリコン共重合物」と称する。)、前記一般化学式(6)にて示される分岐型シリコンの顔料に対する被覆量は、顔料粒子径によって異なるが、0.02〜20質量%が適当である。しかしながら、処理された顔料の撥油性を損なわない範囲で処理されることが重要である。
【0040】
本発明で用いられる前記一般化学式(2)にて示されるアルキルアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
本発明で用いられる前記一般化学式(3)にて示されるアルコキシチタニウムアルキレートとしては、例えばイソプロポキシチタニウムトリステアレート、トリイソプロポキシチタニウムイソステアレート、イロプロポキシチタニウムトリパルミチレート、イソプロポキシチタニウムトリミリスチレート等が挙げられる。
【0042】
本発明で用いられる前記一般化学式(4)にて示されるポリシロキサンとしては、例えばハイドロメチルポリシロキサン、ハイドロエチルポリシロキサン、ハイドロフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0043】
本発明で用いられる前記一般化学式(5)にて示されるアクリルシリコン共重合物としては、例えば信越化学工業(株)社製KP−541等が挙げられる。
【0044】
本発明で用いられる前記一般化学式(6)にて示される分岐型シリコンとしては、例えばトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、信越化学工業(株)社製KF−9908や、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、信越化学工業(株)社製KF−9909等が挙げられる。
【0045】
本発明において、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーと、前記一般化学式(2)〜(6)にて示される処理剤のうちの1種もしくは2種以上とを同時にあるいは連続的に表面処理される顔料としては、無機顔料、有機顔料、プラスチック粉体顔料などが挙げられる。このうち、無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン被覆雲母、窒化ホウ素等が挙げられる。また、有機顔料としては、例えばリソールルビンB、レーキレッドC、リソールレッド、ローダミンB、ヘリンドンピンクCN、ベンジジンオレンジG、フタロシアニンブルー等が挙げられる。また、プラスチック粉体顔料としては、例えばナイロンパウダー、アクリルパウダー、シリコンパウダー、ウレタンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等が挙げられる。
【0046】
本発明の撥水撥油性顔料が配合される化粧料においては、その撥水撥油性顔料以外に、通常の化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分を同時に配合することができる。
【0047】
前記粉体としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコンパウダー、セルロースパウダー、シリコンエラストマー等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素等の無機粉体、微粒子酸化チタン、微粒子酸化鉄、アルミナ処理微粒子酸化チタン、シリカ処理微粒子酸化チタン、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。これらの粉体の形状、大きさに特に制限はない。また、これらの粉体は従来公知の各種の表面処理がされていてもいなくても構わない。表面処理の例としては、例えばアクリルシリコン処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコンレジン処理、オクチルトリエトキシシラン処理、片末端反応性シリコン処理、N−アシル化リジン処理、有機チタネート処理、シリカ処理、アルミナ処理、セルロース処理、パーフルオロポリエーテル処理、フッ素化シリコンレジン処理など親水性、親油性、撥水性の各種の処理を用いることが可能である。
【0048】
本発明の撥水撥油性顔料を用いて化粧料を調製する場合、硫酸バリウム、窒化ホウ素などの滑りのよい板状の粉体や、樹脂または無機の球状粉体を合わせて配合することで、感触のよい、滑り性に優れる化粧料となる。これらの内、特に前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーと、前記一般化学式(2)〜(6)にて示される処理剤のうちの1種もしくは2種以上とが顔料表面に2〜6質量%の量にて被覆された顔料粉体100質量部に対して、球状粉体を0.1〜5質量部の範囲で配合することにより、塗布感が向上し、塗布後の肌感触も向上させることができる。なお、球状粉体の配合量が0.1質量部未満では塗布感が向上せず、5質量部を超えると、製剤の剤型によっては、化粧料が肌にうまく密着せず、化粧が汚くなったり、何度も化粧料を肌に馴染ませたりする必要が発生する場合がある。
【0049】
本発明において用いられる球状粉体としては、例えばシリコンレジン、シリコンエラストマー、ウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アルギン酸塩、ナイロン、アクリル樹脂等の樹脂製粉体や、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機製粉体が挙げられる。ここでいう球状粉体とは、真球状または略球状の形態を持つものを指し、滑り性に優れるという特徴を持つ。また、球状粉体の大きさについては、その最大径が1〜20μmの範囲にあるものが好ましく、特に好ましくは1〜10μmの範囲にあるものである。
【0050】
前記油剤としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ミリスチン酸ミリスチン、ラウリル酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ油、ヤシ油、バーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。また、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコンゲル、アクリルシリコン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコンRTVゴム等のシリコン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フッ素化シリコンレジン等のフッ素化合物が挙げられる。
【0051】
前記界面活性剤としては、例えばアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤を用いることができる。
【0052】
前記溶媒としては、例えば精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、パーフルオロポリエーテル、代替フロン、揮発性シリコン等が挙げられる。
【0053】
本発明の化粧料の具体例としては、例えば、ファンデーション、白粉、コンシーラー、フェイスパウダー、ほほ紅、アイシャドー、アイライナー、チーク、口紅、ネイルカラー等のメイクアップ化粧料、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、パック料、クレンジング剤、洗顔料、アクネ対策化粧料等の基礎化粧料、ヘアカラー、ボディーパウダー、デオドラント、石鹸、ボディーシャンプー、入浴剤、香水等が挙げられる。
【0054】
本発明の化粧料に配合される前記撥水撥油性顔料の配合量としては、化粧料の総量に対して、0.1〜80質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜60質量%である。なお、坑酸化剤の配合量としては、0.001〜10質量%が好ましい。
【0055】
本発明の化粧料の剤型としては、二層状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、ジェル状、スプレー、ムース状、油性、固型状等、従来公知の剤型を使用することができる。特に、サンスクリーン剤の用途には、二層状、油中水型エマルション、ジェル状、水中油型エマルション、油性、ムース状等が好ましい。
【実施例】
【0056】
次に、本発明による撥水撥油性顔料およびそれを含有する化粧料の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
【0057】
(処理剤製造実施例)
ビーカーに旭硝子(株)製AG−E067を精製水と撹拌混合しフッ素ポリマー濃度2質量%になるように調整した。その後、1質量%水酸化ナトリウム溶液を混合液中へ滴下し、pHが9以上になるようにした。そして、60℃にまで加温し1時間熟成を行った後、希塩酸にて中和を行い、水洗ろ過後乾燥機によって乾燥を行い、下記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーを得た。
【0058】
【化30】


【0059】
(製造実施例1)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1kgを入れ、続いて前記処理剤製造実施例にて得られたフッ素化合物ポリマー50gをイソプロピルアルコール100gに80℃にて加温溶解させた溶液にn−オクチルトリエトキシシラン(デグサ(株)社製DYNASYLAN OCTEO)20gを滴下混合し、あらかじめ加温したヘンシェルミキサー内に入れて酸化チタンとよく混合した。その後、必要ならばヘンシェルミキサー内を減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。そして、顔料粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕してフッ素化合物ポリマーが5質量%、n−オクチルトリエトキシシランが2質量%表面処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、酸化チタンに代えて、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄および黒酸化鉄のそれぞれに対し同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを準備した。
【0060】
(製造実施例2)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1kgを入れ、続いて前記処理剤製造実施例にて得られたフッ素化合物ポリマー50gをイソプロピルアルコール100gに80℃にて加温溶解させた溶液にイソプロポキシチタニウムトリステアレート20gを滴下混合し、あらかじめ加温したヘンシェルミキサー内に入れて酸化チタンとよく混合した。その後、必要ならばヘンシェルミキサー内を減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。そして、顔料粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕してフッ素化合物ポリマーが5質量%、イソプロポキシチタニウムトリステアレートが2質量%表面処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、酸化チタンに代えて、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄および黒酸化鉄のそれぞれに対し同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを準備した。
【0061】
(製造実施例3)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1kgを入れ、続いて前記処理剤製造実施例にて得られたフッ素化合物ポリマー50gをイソプロピルアルコール100gに80℃にて加温溶解させた溶液にポリシロキサン(信越化学工業社製KF−9901)20gを滴下混合し、あらかじめ加温したヘンシェルミキサー内に入れて酸化チタンとよく混合した。その後、必要ならばヘンシェルミキサー内を減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。そして、顔料粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕してフッ素化合物ポリマーが5質量%、ポリシロキサンが2質量%表面処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、酸化チタンに代えて、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄および黒酸化鉄のそれぞれに対し同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを準備した。
【0062】
(製造実施例4)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1kgを入れ、続いて前記処理剤製造実施例にて得られたフッ素化合物ポリマー50gをイソプロピルアルコール100gに80℃にて加温溶解させた溶液にアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体(以下、「ASCポリマー」と称す。)のイソプロピルアルコール60%溶解物(信越化学工業社製KP−541)33gを滴下混合し、あらかじめ加温したヘンシェルミキサー内に入れて酸化チタンとよく混合した。その後、必要ならばヘンシェルミキサー内を減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。そして、顔料粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕してフッ素化合物ポリマーが5質量%、ASCポリマーが2質量%表面処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、酸化チタンに代えて、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄および黒酸化鉄のそれぞれに対し同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを準備した。
【0063】
(製造実施例5)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1kgを入れ、続いて前記処理剤製造実施例にて得られたフッ素化合物ポリマー50gをイソプロピルアルコール100gに80℃にて加温溶解させた溶液に分岐型シリコン(信越化学工業(株)社製KF−9908)20gを滴下混合し、あらかじめ加温したヘンシェルミキサー内に入れて酸化チタンとよく混合した。その後、必要ならばヘンシェルミキサー内を減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。そして、顔料粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕してフッ素化合物ポリマーが5質量%、分岐型シリコンが2質量%表面処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、酸化チタンに代えて、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄および黒酸化鉄のそれぞれに対し同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを準備した。
【0064】
(製造比較例1)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1kgを入れ、続いて前記処理剤製造実施例にて得られたフッ素化合物ポリマー50gをイソプロピルアルコール100gに80℃にて加温溶解させた溶液をあらかじめ加温したヘンシェルミキサー内に入れて酸化チタンとよく混合した。その後、必要ならばヘンシェルミキサー内を減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。そして、顔料粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、粉砕してフッ素化合物ポリマーが5質量%表面処理された酸化チタンを得た。同様の工程にて、酸化チタンに代えて、セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄および黒酸化鉄のそれぞれに対し同様の表面処理を施し、それぞれのサンプルを準備した。
【0065】
前記製造実施例1〜5および製造比較例1により得られたそれぞれの表面処理顔料の撥水撥油性を評価するために、水と流動パラフィンによる接触角を測定した。その結果が表1に示されている。なお、接触角の測定には、エルマー社製ゴニオメーター式接触角測定装置を用いた。
【0066】
【表1】


【0067】
(実施例1)
製造実施例1〜5で得られた表面処理顔料を用いて以下の配合にてパウダーファンデーションを調製した。
まず、パウダーベースを以下の配合にて調製した。
<パウダーベース配合>
表面処理セリサイト 残量
表面処理タルク 27.0
表面処理酸化チタン 10.0
表面処理黄酸化鉄 2.0
表面処理ベンガラ 0.6
表面処理黒酸化鉄 0.1
球状シリコンレジンパウダー 2.0
メチルパラベン 0.1
合計100.0

次に、バインダーベースを以下の配合で調製した。
<バインダーベース配合>
ジメチルポリシロキサン(6CS) 30.00
ジメチルポリシロキサン(10000CS) 25.00
精製ラノリン 9.00
エステル油 36.00
合計100.00

そして、前記パウダーベースおよびバインダーベースをそれぞれ90%および10%になるようにミキサーで混合しパウダーファンデーションを得た。
【0068】
(比較例1)
製造比較例1で得られた表面処理顔料を用いて実施例1と同様にしてパウダーファンデーションを作製した。しかし、できあがったパウダーファンデーションは、顔料の分散状態が非常に悪く、プレスケーキにならなかった。
【0069】
実施例1および比較例1のそれぞれのパウダーファンデーションについて、分散性、フィット感、粉っぽさ改良、について評価した。その結果が表2に示されている。
【0070】
【表2】


【0071】
表2より明らかなように、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーと、各種表面処理剤とを同時に表面処理した顔料粉体を配合した化粧料(実施例1)の方が、前記化学構造式(1)にて示されるフッ素化合物ポリマーのみにて表面処理された顔料粉体を配合した化粧料(比較例1)と比べて、バインダーへの親和性が向上しているため、分散が非常に良好で、しかも撥水性および撥油性も良好であった。しかしながら、比較例1のパウダーファンデーションは、バインダーへの親和性が良くないため、分散状態が悪く、良好なパウダーファンデーションが得られなかった。
【0072】
以上のように、本製造実施例の化粧料用顔料を配合した本実施例の化粧料によれば、撥水性および撥油性に優れるとともに、化粧料への配合時にパーフルオロデカリン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロオクタン等の高価なフッ素化合物系のバインダーを用いることなく、一般に用いられているバインダー(例えばワセリン、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリアロウ、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、シリコン油、トリグリセライド等)を用いて容易に分散配合することができるという優れた効果を有していると言える。
【出願人】 【識別番号】391015373
【氏名又は名称】大東化成工業株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100097755
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 勉


【公開番号】 特開2008−50388(P2008−50388A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225086(P2006−225086)