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【発明の名称】 ピペリジル基含有化合物を有する炭素材料
【発明者】 【氏名】南部 洋子

【氏名】滝 敬之

【要約】 【課題】樹脂耐候剤、二次電池の活物質および安定剤、酸化触媒等への用途として有用なピペリジル基含有化合物を有する炭素材料を提供すること。

【構成】活性水素基を有する炭素材料をトリメチルシリル化した後、トリメチルシリル化した炭素材料に、下記一般式(1)で表されるピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させて得られる下記一般式(2)で表されるピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素基を有する炭素材料をトリメチルシリル化した後、トリメチルシリル化した炭素材料に、下記一般式(1)で表されるピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させて得られる下記一般式(2)で表されるピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【化1】


【化2】


(式中、X1は、直接結合、酸素原子、硫黄原子、若しくは−OCO−又は−COO−を含んでもよいアルキレン基を表し、X2は、直接結合又は酸素原子を表す。Aは、ピペリジル基含有化合物をグラフト重合させた後の炭素材料の残基を表す。nは、2〜10000の数を表す。Rは水素原子又はトリメチルシリル基を表し、mは、1〜100の数を表す。)
【請求項2】
上記活性水素基を有する炭素材料が、カーボンブラック、導電性カーボンファイバー、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ又はグラファイトの少なくとも1種以上から選ばれる請求項1記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【請求項3】
上記活性水素基を有する炭素材料がカーボンブラック又は導電性カーボンファイバーである請求項1記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【請求項4】
上記一般式(1)のRが水素原子である請求項1〜3のいずれかに記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【請求項5】
上記一般式(1)の−X1−X2−が−CH2O−である請求項1記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【請求項6】
活性水素基を有する炭素材料の活性水素基をトリメチルシリル化させた後、トリメチルシリル化した炭素材料に、無機フッ素化触媒により上記一般式(1)で表されるピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させることにより得られる請求項1記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【請求項7】
上記無機フッ素化触媒が、フッ化セシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム又はフッ化カリウムのいずれかから選ばれる請求項6記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【請求項8】
上記無機フッ素化触媒がフッ化セシウムであることを特徴とする請求項7記載のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペリジル基含有化合物を有する炭素材料に関するものであり、本発明のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料は、各種炭素材料及び有機高分子材料に対する高い相溶性および電解質に対する高いイオン移動性を発現する高分散性のピペリジル基含有炭素材料としてラジカル電池正極に添加して電池性能を向上させる優れた性能をもつものである。
【背景技術】
【0002】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を有する誘導体は、ラジカル捕捉能を有するので、有機高分子材料の耐候性付与剤又は重合禁止剤として広く用いられており、さらにN−オキシラジカルを有する誘導体は、これらの樹脂耐候性改良剤用途のほかに特異的な電気的特性も期待できる。非特許文献1にはシリルエーテルを用いたエポキシドの重合に関して記載されている。
また、特許文献1には、トリアルキルシリルエーテル化合物とエポキシ化合物との反応により、グラフト高分子を得る製造方法が報告されている。しかしながら、グラフト重合させるエポキシ化合物は側鎖にアルキル基をもつグリシジルエーテル化合物であり、得られる高分子はニトロキシラジカル重合体を含むものではなかった。
特許文献2には、有機材料にN−オキシラジカル化合物をスピンラベル化処理し、電池の電極活物質として用いることにより、電池特性を向上させることが記載されている。また、特許文献3及び特許文献4には、水酸基をもつニトロキシラジカル高分子が電池の電極活物質として有効であることが記載されている。しかしながらこれらの高分子は活物質として使用されるだけであり、他の有機材料に反応させてニトロキシラジカル基を含有させる方法について何ら記載はなかった。
【0003】
【非特許文献1】Y.Nambuら,Macromolecules,1991,24,2127
【特許文献1】特開平4−332728号公報
【特許文献2】特開2002−117852号公報
【特許文献3】特開2003−132891号公報
【特許文献4】特開2004−207249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、樹脂耐候剤、二次電池の活物質および安定剤、酸化触媒等への用途として有用なピペリジル基含有化合物を有する炭素材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、活性水素基を有する炭素材料をトリメチルシリル化させた後、ピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させることにより得られるピペリジル基含有化合物を有する炭素材料が上記目的を達成しえることを知見した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、活性水素基を有する炭素材料をトリメチルシリル化した後、トリメチルシリル化した炭素材料に、下記一般式(1)で表されるピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させて得られる下記一般式(2)で表されるピペリジル基含有化合物を有する炭素材料を提供するものである。
【0007】
【化1】


【0008】
【化2】


(式中、X1は、直接結合、酸素原子、硫黄原子、若しくは−OCO−又は−COO−を含んでもよいアルキレン基を表し、X2は、直接結合又は酸素原子を表す。Aは、ピペリジル基含有化合物をグラフト重合させた後の炭素材料の残基を表す。nは、2〜10000の数を表す。Rは水素原子又はトリメチルシリル基を示し、mは、1〜100の数を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料は、各種炭素材料及び有機高分子材料に対する高い相溶性および電解質に対する高いイオン移動性を発現する高分散性のピペリジル基含有炭素材料として樹脂耐候剤、二次電池の活物質および安定剤、酸化触媒等への用途として優れた性能をもつものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について好ましい実施形態に基づき詳述する。
【0011】
本発明において、活性水素を有する炭素材料とは、例えば、カーボンブラック、導電性カーボンファイバー、アセチレンブラック、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック)、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等、カーボンナノファイバー、グラファイト、カーボンナノチューブ、非晶質炭素等の炭素質材料等が挙げられる。
【0012】
これらの中でもカーボンブラック、導電性カーボンファイバー、ケッチェンブラック、アセチレンブラック及びグラファイトが好ましく、カーボンブラック及び導電性カーボンファイバーがより好ましく、酸化処理により炭素材料の表面に芳香族水酸基やカルボキシル基の含量を上げた炭素材料が更に好ましく、その中でもPHが6以下さらに好ましくは4以下のもの好ましく使用される。
【0013】
上記炭素材料の市販品としては、旭カーボン社製のカーボンブラックの酸化品であるSUNBLACK Xシリーズ、ライオン社製のケッチェンブラックECシリーズ、昭和電工社製のカーボンナノファイバーVGCFシリーズ、Degussa社製のカラーブラックFWシリーズ等が挙げられる、
【0014】
本発明の上記一般式(1)及び(2)においてX1表される−OCO−又は−COO−を含んでも良いアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
【0015】
また、上記一般式(2)において、重合度を示すmは、2〜100000であり、高分子に対して所望の分子量を与えるべく任意に選択できる。分子量については、例えば、熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の他の高分子材料に対して耐候性や導電性を付与する耐候性付与剤として用いる場合には、混合される高分子材料への相溶性や分散性が良好であり、揮散性を示さない分子量を与えるように設定すればよい。また、耐候性高分子、導電性高分子、反応触媒等の高分子自体を構造体として使用する場合は、耐溶剤性、機械的強度の良好な50000以上(数平均分子量)に設定される。
【0016】
また、本発明に係る上記一般式(2)におけるnの数は1〜100である。nが50を超えると高分子が着色し、色調が悪くなることがあるので、2〜50が好ましく、2〜20がより好ましい。
【0017】
本発明の上記一般式(2)で表されるピペリジル基含有化合物を有する炭素材料としては、上記一般式(2)において、Rが水素原子であるものが好ましく、また−X1−X2−が−CH2O−であるものが好ましい。
本発明の上記一般式(2)で表されるピペリジル基含有化合物を有する炭素材料の具体例としては、下記に示す炭素材料No.1〜No.4が挙げられる。
【0018】
【化3】


【0019】
【化4】


【0020】
【化5】


【0021】
【化6】


【0022】
本発明の炭素材料の製造方法は、酸化処理等により芳香族水酸基又はカルボキシル基等の活性水素基を表面に有する炭素材料をトリメチルシリル化した後、無機フッ素化触媒により、前記一般式(1)で表されるピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させるものであり、これによりピペリジル基が導入された本発明の炭素材料が得られる。また、必用に応じてNOラジカル基を還元することによりNOH基にした後、イソシアネート化合物と反応させて末端をカルバモイル化させることもできる。
【0023】
本発明では、前記トリメチルシリル化された炭素材料と前記ピペリジル基含有エポキシ化合物を無機フッ素化触媒の存在下で反応させる。理論的には、トリメチルシリル化炭素材料中のトリメチルシリルエーテル基に対し、モル比でa倍のピペリジル基含有エポキシ化合物を反応させるとa個のピペリジンを有するオリゴマーユニットを持つ高分子が得られる。実際は、全てのポリマーユニットに対して、必ずしもa個のピペリジンユニットが均一にグラフトされるとは限らず、トリメチルシリルエーテル基が残存する場合もあり、水酸基が残存する場合もあり、部分的にaより少ないか多いピペリジンオリゴマーユニットがグラフトする場合もある。通常、平均すると理論量aよりも少ない値になる。
【0024】
前記無機フッ素化触媒としては、フッ化セシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等が好ましく、更にフッ化セシウムがより好ましい。また、触媒の使用量は、トリメチルシリル化炭素材料に対して、0.001〜0.05当量が好ましく、0.005〜0.02当量がより好ましい。
【0025】
本発明の炭素材料の製造は特に限定されないが、好ましくは有機溶媒中(又は無溶媒で)で、無機フッ素化触媒を用いて容易に行うことができる。前記炭素材料は、単量体のみをグラフト重合させても、2種以上の単量体をブロック重合でもランダム重合でも、ブロック/ランダム重合で重合させてもよい。
【0026】
上記トリメチルシリル化炭素材料に対し、上記一般式(1)で表されるピペリジル基含有エポキシ化合物をグラフト重合させる際、溶媒中でも無溶媒中でも重合反応させて得ることができるが、好ましくは溶媒中で行われる。グラフト重合反応に使用される溶媒の種類としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系溶媒等を例示することができ、好ましくはN,N−ジメチルアセトアミドが用いられる。溶媒の使用量は、原料のモノマー100質量部に対して50〜3000質量部の範囲が好ましい。
【0027】
さらに上記重合反応の反応温度は、触媒反応では50℃〜150℃の範囲で行われ、好ましくは90℃〜130℃である。また、反応時間は1時間〜7日間であり、更に好ましくは10時間〜150時間行われ、窒素雰囲気下あるいは密閉系で行われる。
【0028】
次に本発明の炭素材料の用途としては、高耐候性導電性材料、高分子型耐候剤として合成樹脂等に添加して光安定剤または電池正極材料として使用する用途が挙げられる。
【0029】
本発明の炭素材料を有機材料用安定剤として用いる場合、配合する前記合成樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンおよびこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンンテレフタレート等の直鎖ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリラクトン(ポリ乳酸)、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。
【0030】
本発明の炭素材料を高分子材料に対して耐候性や導電性を付与する耐候性付与剤として用いる場合には、必要に応じて周知一般に用いられる他の添加剤を併用して用いてもよい。
【0031】
上記の他の添加剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、造核剤、結晶核剤、難燃剤、金属石けん、加工助剤、充填剤、分散剤、乳化剤、滑剤、着色染料、着色顔料、帯電防止剤、防腐剤、抗菌剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、界面活性剤、蛍光増白剤、pH調整剤、増粘剤、凝集防止剤、香料等の周知一般に用いられている添加剤等を併用することができる。
【0032】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などが挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
【0033】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイトなどが挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
【0034】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等の ジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
【0035】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部、より好ましくは、0.05〜10質量部が用いられる。
【0036】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部、より好ましくは、0.05〜10質量部が用いられる。
【0037】
本発明のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料は、自動車用のタイヤ、感熱記録材料、感圧記録材料、インクジェット記録材料、熱転写シート記録材料、塗料、コーティング材、フィルム、成形体、樹脂耐候性改良剤、重合禁止剤、酸化触媒等の各種用途にも用いることができる。特にラジカル補足能を有するニトロキシ基を有し、有機溶剤に不溶なものは取り出しが容易でリサイクル可能な重合禁止剤として有用である。
【0038】
本発明のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料は、電池電極材料としても用いることもできる。例えば、正極、負極及び電解質を構成要素とする二次電池において、正極と負極の少なくとも一方に本発明の重合体を含有させることにより高容量で充放電のサイクルに安定な二次電池が得られることが期待出来る。さらに正極、負極、セパレータ及び非水電解液を用いた二次電池において、電極又はセパレータに本発明の重合体を含有させることにより、過充電による発熱や発火を防ぐことが期待出来る。本発明のピペリジル基含有重合体を電池材料に添加する際の添加量としては、正極(必要に応じて負極、セパレータなど)に対して質量比で0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%である。0.01質量%より少ない場合は電池特性改良効果が少なく、20質量%を超えて添加すると、電池の充放電特性が不十分となる場合がある。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を合成例、実施例または評価例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
【0040】
(合成例1)エポキシモノマーGENOの合成
【0041】
【化7】


【0042】
LA−7RDのNaアルコラートを調製した後、エピブロムヒドリンを氷冷下滴下し40℃、3時間反応させ、シリカゲルカラム精製によりグリシジルエーテル型NOモノマーGENOを得た(収率86.8%、GC純度99.7%)。
【0043】
(実施例1)カーボンブラックへのエポキシモノマーGENOグラフト重合
【0044】
【化8】


【0045】
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を溶媒としてカーボンブラック(旭カーボン社製SUNBLACK X25;PH=3)の活性水素部位をトリメチルシリル化し、脱溶媒して得られた黒色粉体を開始剤としてCsF触媒存在下で上記合成例1のエポキシモノマーGENOの重合反応を行なった。
【0046】
エーテルに再沈濾別後エーテル洗浄によりGENOオリゴマーがグラフトしたカーボンブラックCBGEが黒色固体として得られた。重量増加分は67.6質量%であった。CBGEはメタノール、アセトン等の極性溶媒に高い分散性を示し、分散液のキャストにより薄膜を形成した。
【0047】
下記の分析によりカーボンブラック(CB−X25)のフェノール性水酸基にエポキシモノマー(GENO)がグラフト重合したCBGEの生成が確認できた。
IR(cm-1):1361(NO・)、1094(エーテル)
【0048】
(実施例2)導電性カーボンファイバーVGCFへのGENOグラフト重合
【0049】
【化9】


【0050】
カーボンブラック(CB−X25)へのグラフト重合と同様にして導電性カーボンファイバー(昭和電工社製VGCF)のシリル化体CFTMSへのエポキシモノマー(GENO)のグラフト重合を行なった。エーテル再沈後、エーテルおよび含水溶媒で洗浄し、黒色固体が得られた。16.4質量%の質量増が認められ、中性炭素材料VGCFにおいてもエポキシモノマーGENOのグラフト体CFGEが得られた。
【0051】
〔評価例1〕グラフトカーボンブラックCBGEのCV挙動
グラフトカーボンブラックCBGEを5質量%添加したN−メチルピロリドンスラリー(以下、NMPスラリーともいう)をキャストしたPt電極を調整し、CV測定を行った。(スキャン速度;10mV/s、20mV/s、40mV/s又は60mV/s、0.1M TBAPアセトニトル中、対極:白金、参照電極:Ag/Ag+)。結果を〔図1〕及び〔表1〕に示す。
【0052】
【表1】


【0053】
〔図1〕より、NOラジカルのレドックスに基づくCV波が得られグラフト化が確認出来た。また、表1よりスキャン速度の上昇に伴い酸化還元ピーク電位幅(ΔEp)および酸化還元ピーク間電流値(Δlp)は上昇するこ
とが確認出来た。
【0054】
〔評価例2〕グラフトカーボンファイバーCFGEのCV挙動
グラフトカーボンファイバーCFGE5質量%添加したN−メチルピロリドンスラリーをキャストしたPt電極を調整し、CV測定を行った。(スキャン速度 10mV/s、20mV/s、40mV/s又は60mV/s、0.1M TBAPアセトニトリル中、対極:白金、参照電極:Ag/Ag+)。結果を〔図2〕及び〔表2〕に示す。
【0055】
【表2】


【0056】
〔図2〕よりグラフトカーボンファイバーCFGEにおいてもNOラジカルのレドックスに基づくCV波が得られグラフト化が確認出来た。また、〔表2〕よりスキャン速度の上昇に伴い酸化還元ピーク電位幅(ΔEp)
および酸化還元ピーク間電流値(Δlp)は上昇することが確認できた。
【0057】
〔評価例3〕電極膜製膜性評価
2,2,6,6−テトラメチル−4−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]−1−ピペリジノキシ(TMA)/エチレングリコールジメタクリレート(EDA)=98:2の共重合体(以下、PTMAともいう)10質量部をベースポリマーとし、炭素材料として実施例1で得られたCBGE(NO当量566)又は実施例2で得られたCFGE(NO当量1717)を2質量部添加したNMPスラリー(評価例3−1及び3−2)及びPTMAに上記炭素材料を添加しないNMPスラリー(評価比較例3−1)を作成した。次にこれらのNMPスラリーを白金ディスク電極上にキャストし、調整したキャスト膜の製膜性を評価した。結果を〔表3〕に示す。
尚、製膜性の評価基準は次の通りである。
◎:表面が平滑で電極材料への密着性が高い膜を形成。
○:表面の平滑性を欠くが電極材料への密着性が高い膜を形成。
△:一部クラックを有する膜を形成。
【0058】
【表3】


【0059】
〔表3〕より、評価比較例3−1に比較してグラフトカーボンブラックCBGEを添加した系では炭素材料が均一に分散し低粘度のスラリーが得られた。また電極へのキャストにより平滑で密着性の高い良好なキャスト膜電極が得られた。またグラフトカーボンファイバーCBGEを添加した系でも炭素材料が均一に分散し低粘度のスラリーが得られ、密着性の高いキャスト膜電極が得られた。
続いて、評価例3−1及び3−2並びに評価比較例3−1のキャスト膜電極のCV測定(スキャン速度 10mV/s、 0.1M TBAPアセトニトリル中、対極:白金、参照電極:Ag/Ag+)を行なった。結果を〔図3〕および〔表4〕に示す。
【0060】
【表4】


【0061】
〔図3〕より、NOラジカルのレドックスに基づくCV波が得られた。また、〔表4〕より、評価比較例3−1に比較して、グラフトポリマーCBGEおよびCFGEを添加した系では、酸化還元ピーク電位幅(ΔEp)が減
少したことが確認できた。
【0062】
上記〔表1〕、〔表2〕及び〔表3〕の結果より、本発明のピペリジル基含有化合物を有する炭素材料は、極性溶媒に高い分散性を示し、良好なキャスト膜が得られた。さらにPt電極に本発明の炭素材料のN−メチルピロリドンスラリーをキャストしCV波を測定したところ、CV波が確認できた。また、ΔEpの値およびスキャン速度による変化から、特にCFGEにおけ
る高いレート特性が示唆された。
また、本発明の炭素材料をPTMAに添加することにより密着性の高い表面が平滑なキャスト膜が得られた。しかも導電剤を加えることなくΔEpの
値を低下させることから、電極の活物質の含有量増加およびレート特性の向上が見込まれる。
【0063】
(実施例3)導電性炭素材料ケッチェンブラックへのGENOグラフト重合
【化10】


【0064】
カーボンブラック(CB−X25)へのグラフト化と同様にして導電性炭素材料ケッチェンブラック:KB(ライオン社製ケッチェンブラック)のシリル化体KBTMSへのエポキシモノマー(GENO)のグラフト重合を行なった。エーテル再沈後、エーテルおよび含水溶媒で洗浄し、黒色固体が得られた。7.5質量%の質量増が認められ、中性炭素材料KBにおいてもエポキシモノマーGENOのグラフト体KBGEが得られた。
この実施例3で得られたグラフトケッチェンブラックKBGEも、実施例1で得られたグラフトカーボンブラックCBGE及び実施例2で得られたグラフトカーボンファイバーCFGEと同様の効果を奏するものであった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、CBGEのNMPスラリーをキャストしたPt電極キャスト膜において、スキャン速度が10mV/sであるCV曲線を示した図である。
【図2】図2は、CFGEのNMPスラリーをキャストしたPt電極キャスト膜において、スキャン速度が10mV/sであるCV曲線を示した図である。
【図3】図3は、PTMAにCBGEを添加したNMPスラリーをキャストしたPt電極キャスト膜において、スキャン速度が10mV/sであるCV曲線を示した図である。
【出願人】 【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修


【公開番号】 特開2008−7667(P2008−7667A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180710(P2006−180710)