トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用

【発明の名称】 亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物
【発明者】 【氏名】近藤 元

【氏名】吉田 育生

【要約】 【課題】ガルバリウム鋼板を含む亜鉛メッキ鋼板に対し、ストロンチウムクロメートなどの有害重金属を含む防錆顔料に匹敵する防錆性能を発揮する無公害型防錆顔料組成物を提供する。

【構成】(a)Mg/Si原子比が0.025〜1.0である無定形ケイ酸マグネシウム、またはこの無定形ケイ酸マグネシウムで緻密な無機担体粒子を被覆してなる粉体; (b)水に難溶性の縮合リン酸アルミニウム塩、または4価金属の層状リン酸塩;および (c)酸化マグネシウムの3成分を含み; 重量基準で(a):(b)が1:0.5ないし1:40であり、(a):(c)が1:0.03ないし1:3であり、(b):(c)が1:0.02ないし1:0.6であることを特徴とする亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Mg/Si原子比が0.025〜1.0である無定形ケイ酸マグネシウム、またはこの無定形ケイ酸マグネシウムで緻密な無機担体粒子を被覆してなる粉体;
(b)水に難溶性の縮合リン酸アルミニウム塩、または4価金属の層状リン酸塩;および
(c)酸化マグネシウムの3成分を含み;
重量基準で(a):(b)が1:0.5ないし1:40であり、(a):(c)が1:0.03ないし1:3であり、(b):(c)が1:0.02ないし1:0.6であることを特徴とする亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物。
【請求項2】
前記(a)成分の無機担体粒子が二酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、クレー、硫酸バリウム、カオリンおよび酸化アルミニウムよりなる群から選ばれる請求項1の防錆顔料組成物。
【請求項3】
前記(b)成分の層状リン酸塩の4価金属がTi,ZrまたはCeである請求項1の防錆顔料組成物。
【請求項4】
前記(a)成分の無定形ケイ酸マグネシウムのMg/Si原子比が0.05〜0.8である請求項1の防錆顔料組成物。
【請求項5】
前記(a)成分の無定形ケイ酸マグネシウムで被覆した担体粒子のケイ酸マグネシウム:担体粒子が重量で10:1ないし1:10である請求項1の防錆顔料組成物。
【請求項6】
前記(b)成分の縮合リン酸アルミニウム塩がトリポリリン酸二水素アルミニウムまたはメタリン酸アルミニウムである請求項1の防錆顔料組成物。
【請求項7】
前記(b)成分の層状リン酸塩が第二リン酸チタンである請求項1の防錆顔料組成物。
【請求項8】
(a),(b)および(c)成分が粉砕機能を有する混合機で混合される請求項1ないし7のいずれかの防錆顔料組成物。
【請求項9】
亜鉛メッキ鋼板がガルバリウム鋼板である請求項1ないし8のいずれかの防錆顔料組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物、特に亜鉛メッキ鋼板を素材とするプレコートメタル(PCM)のプライマーに配合される防錆顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛メッキ鋼板を素材とするPCMは、メッキ層を化成処理した後、プライマー次いでトップコート層を塗装して製造される。PCMは塗装後に切断、曲げ等の機械加工が行われるので切断面では鋼板および亜鉛メッキ層が露出している。そのため切断面の亜鉛メッキ層に犠牲電極効果のない白錆が発生し、遂にはそこから鋼板部にまで錆が発生する。それ故亜鉛メッキ鋼板に使用される防錆顔料には一次的に亜鉛メッキ層に対する防錆性能が求められる。
【0003】
この用途に対してはこれまでストロンチウムクロメート系防錆顔料が多く用いられて来たが、この顔料は有害な6価クロムを含むので、これに代わる無公害型防錆顔料の開発が望まれていた。
【0004】
上記要望を満たすため、例えば、特開2000−273363号では、Mg/Si原子比が0.025〜1.0である無定形含水ケイ酸マグネシウム化合物よりなる亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料が開示されている。また、特開2001−192869では、Mg/Si原子比が0.025〜1.0である無定形含水ケイ酸マグネシウム化合物により、緻密な無機担体の表面を被覆してなる亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料が開示されている。
【0005】
しかしながら、これら無定形含水ケイ酸マグネシウム化合物自体の防錆性能はストロンチウムクロメートに匹敵するものの、吸油量が高く、結果として粉体としてかさ高いものとなり、塗料として使用する場合には、その扱いが難しいという問題があった。
【0006】
さらに本出願人の特許第3004486号公報には、トリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、層状リン酸チタン、層状リン酸ジルコニウムまたは層状リン酸セリウムから選ばれた水に難溶性のリン酸化合物と、酸化マグネシウム、含水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムまたはホウ酸マグネシウムより選ばれたマグネシウム化合物よりなる亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物が記載されている。
【0007】
これら公知の亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物は、1成分系または2成分系であるが、それらの防錆性能、特にアルミニウム55%の溶融アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板であるガルバリウム鋼板に対する防錆性能がすぐれた無公害防錆顔料組成物の開発が要望されている。
【発明の開示】
【0008】
この要望を満たすため、本発明は以下の3成分よりなる亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料組成物を提供する。
【0009】
(a)Mg/Si原子比が0.025〜1.0である無定形ケイ酸マグネシウム、またはこの無定形ケイ酸マグネシウムで緻密な無機担体粒子を被覆してなる粉体;
(b)水に難溶性の縮合リン酸アルミニウム塩、または4価金属の層状リン酸塩、および
(c)酸化マグネシウムの3成分を含み;
重量基準で(a):(b)が1:0.5ないし1:40であり、(a):(c)が1:0.003ないし1:3であり、(b):(c)が1:0.02ないし1:0.6であることを特徴とする。
【0010】
上の3成分系とすることにより、公知の1成分系または2成分系防錆顔料組成物に比較してガルバリウム鋼板を含む亜鉛メッキ鋼板に対する防錆性能が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(a)成分
Mg/Si原子比が0.025〜1.0の無定形ケイ酸マグネシウム化合物、およびこの化合物で二酸化チタン等の緻密な無機担体を被覆してなる粉体は亜鉛メッキ鋼板用防錆顔料としてそれぞれ本出願人の特開2000−273363号および特開2001−192869号に開示されている。従ってここではそれらの製造法の詳細は記載しないが、無定形ケイ酸マグネシウムは、アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性マグネシウム塩とMg/Si原子比0.025〜1.0の割合で水溶液中で反応させることにより得られる。Mg/Si原子比が0.025〜0.8であることが好ましい。生成する沈澱を濾過、水洗、乾燥、粉砕することによって本発明の防錆顔料組成物の(a)成分として使用することができる。
【0012】
この無定形含水ケイ酸マグネシウム化合物を無機担体粒子に被覆する場合には、担体粒子の存在下、水溶液中で無定形含水ケイ酸マグネシウムの合成反応を行うことによって製造することができる。
【0013】
上記反応液中に担体粒子が存在すれば、生成した無定形含水ケイ酸マグネシウムが担体粒子を被覆する。反応終了後はこれを濾過して反応液から分離し、水洗、乾燥、粉砕することによって本発明で用いる組成物を得ることができる。
【0014】
担体として使用し得る物質は水に不溶であり、かつ緻密構造を持つ無機化合物である。一般にこれらは結晶性である。さらに無定形含水ケイ酸マグネシウム自体が白色であるので、担体も白色ないし灰色もしくは黄色がかった白色であることが好ましい。そのような物質の非限定例は、酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、酸化アルミニウム等である。
【0015】
一般に顔料の平均粒子径は0.1〜10μmの範囲内にある。従って担体の粒子径は被覆後の顔料の粒子径がこの範囲であるように選ばれる。担体の比表面積は粒子径に反比例するので、担体単位重量あたり被覆可能な無定形含水ケイ酸マグネシウムの量は粒子径の関数である。この理由により無定形型含水ケイ酸マグネシウムの被覆量は、担体/被覆層の重量比で表して1/10〜10/1の範囲を変動し得る。
【0016】
(b)成分
(b)成分は水に難溶性の縮合リン酸アルミニウム塩、または4価金属の層状リン酸塩である。
【0017】
前者の典型例はトリポリリン酸二水素アルミニウムおよびメタリン酸アルミニウムである。トリポリリン酸二水素アルミニウムは主として鋼板用防錆顔料として市販されており、例えば出願人会社からK−フレッシュ#100Pの商品名で販売されている。メタリン酸アルミニウムは例えばトリポリリン酸二水素アルミニウムを高温で焼成し、粉砕することによって製造することができ、例えばK−ボンド#90の商品名で出願人会社から市販されている。
【0018】
縮合リン酸アルミニウム塩の代りに4価金属の層状リン酸を(b)成分として使用することができる。このものは本出願人の特許第3004486号公報に記載されている防錆顔料組成物の成分の一つであり、その製造法も該公報に記載されている。それらは一般に4価金属の酸化物、水酸化物などをオルトリン酸と反応させることによって製造することができ、生成物はM(IV)(HPO・nHOの形の第二リン酸塩の形を取る。4価金属としてTi,ZrまたはCeが好ましい。
【0019】
(c)成分
市販の酸化マグネシウムを(c)成分として使用することができる。
【0020】
防錆顔料組成物
一般に本発明の防錆顔料組成物は、特許第3004486号の2成分系組成物に(a)成分を加えて3成分系としたものに相当し、その場合の各成分の配合比は、重量基準で(a):(b)が1:0.5ないし1:40であり、(a):(c)が1:0.03ないし1:3であり、(b):(c)は1:0.02〜1:0.6である。
【0021】
3成分の混合方法は任意であり、混合順序および使用する装置のタイプは問わない。典型的には3成分を所定の比率で混合機に仕込み、均一になるまで乾式で混合される。その際粉砕機能を有する混合装置、例えばジェットミル、サンドグライドミル、アトマイザー、スーパーミクロンミル、フィッツミル、レイモンドミル、ボールミル等を用いて組成物の混合と同時に微細に粉砕するのが好ましい。
PCMでは、防錆顔料が配合される下塗り塗料は、一般的に3〜10μmと非常に薄膜に塗装されて使われる為、微細な粒径の顔料がより適している。
塗料適性だけではなく、ジェットミルなどで超微細化することにより、防錆顔料組成物の比表面積が増大し有効成分が溶出しやすくなるとともに、塗膜中に均一に存在していることで腐食局部近傍に防錆顔料組成物が存在していることで、腐食時の防錆顔料組成物の反応速度が増大し、防錆性能が向上する。
【0022】
本発明の顔料組成物の塗料化および亜鉛メッキ鋼板への塗装方法は、先に引用した特開2001−192869号に開示した方法と同じである。
【実施例】
【0023】
以下の実施例は例証目的であって限定ではない。これらにおいて部および%は特記しない限り重量基準による。
【0024】
製造例1 Ti/Mg/Si=8.0/1.0/9.9のケイ酸マグネシウム被覆酸化チタンの製造
1Lのビーカーに水400mLを入れ、塩化マグネシウム無水物2.4gを溶解し、これに酸化チタン16.0gを加えた。別の300mLビーカーに3号水ガラス(SiOとして29%、NaSOとして9.4%)51.7gを入れ、水100mLを加えて希釈した。この液を上記塩化マグネシウム溶液に攪拌下10分を要して滴下した。滴下後30分攪拌し、次に200mLビーカーに濃塩酸11.2gを入れ、水100mLを加えて希釈し、これを上記混合液に10分を要して滴下し、滴下後30分攪拌した。得られた反応沈澱物を濾過、水洗し、110℃で一夜乾燥し、粉砕して31.7gの白色粉末を得た。このものは蛍光X線分析の結果、Ti/Mg/Ti=8.0/1.0/9.9であった。この白色粉末を(a1)と呼ぶ。
【0025】
製造例2 Mg/Si=0.1の無定形ケイ酸マグネシウムの製造
1Lのビーカーに水400mLを入れ、塩化マグネシウム無水物2.4gを溶解した。別の300mLビーカーに3号水ガラス(SiOとして29%、NaSiとして9.4%)51.7gを入れ、水100mLで希釈した。この液を上記塩化マグネシウム溶液に攪拌下10分で滴下した。滴下後30分攪拌を続け、次に200mLのビーカーに濃塩酸11.2gを入れ、水100mLで希釈したものを上記混合液に10分を要して滴下した。滴下後30分攪拌し、得られた反応沈澱物を濾過、水洗し、110℃で一夜乾燥し、粉砕して白色粉末16gを得た。このものは蛍光X線分析の結果、Mg/Si=0.096であり、X線回折の結果は無定形であった。この白色粉末を(a2)とする。
【0026】
製造例3 結晶性リン酸チタン
水酸化チタンTi(OH)11.6gと85%リン酸34.6g(P/TiOモル比1.5)とを磁製ルツボ中で攪拌混合し、混合物をルツボごと210℃に温度設定された電気炉に入れ、210℃の加熱水蒸気を吹き込み、水蒸気の存在下210℃で5時間反応させた。この反応生成物を水洗、脱水、乾燥した後粉末し、白色粉末を得た。X線回折の結果、このものは組成式Ti(HPO・2HOを有する結晶性層状リン酸チタンであり、この層状リン酸チタンの層間距離を粉末X線回折により測定したところ11.6オングストロームであった。このものを(b2)とし、テイカ(株)製トリポリリン酸二水素アルミニウム、商品名K−フレッシュ#100Pを(b1)とした。
【0027】
製造例4 メタリン酸アルミニウム
テイカ(株)製トリポリリン酸アルミニウム(商品名K−フレッシュ#100P)500gを箱形電気炉に入れ、500℃で2時間焼成し、粉砕することによって白色粉末409.3gを得た。X線回折の結果このものはメタリン酸アルミニウムであることが判明した。このものを(b3)とする。
【0028】
実施例1−20
表1〜3に示す(a)成分と、(b)成分と、酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製酸化マグネシウムT)と、表に示す重量部で記載した装置を用いて混合(粉砕)し、本発明の防錆顔料組成物を得た。
【0029】
【表1】


【0030】
【表2】


【0031】
【表3】


【0032】
比較例8
市販のCaイオン交換シリカ(グレース社製シールデックスC303)を使用した。
【0033】
比較例9
市販のストロンチウムクロメート(キクチカラー社製)を使用した。
【0034】
塗料試験
1.塗料化および試験板作製
製造例および比較例の顔料を用いて、下表に示す配合組成の焼付型ポリエステル樹脂系塗料(下塗り)を調製し、被塗板の表裏両面に塗膜形成、焼き付け後、予め調製しておいた下表2.に示す配合組成の焼付型ポリエステル樹脂系塗料(上塗り)を片面のみ塗装、焼き付け塗装板を作製した。この塗装板の両面を切断し端面(切り上げ、切り下げ)とし、上部を2Tの厚みで折り曲げたものを試験板とし、防錆試験を実施した。
【0035】
塗料配合(下塗り)
スーパーベッコライト M−6801−30(NV=30%)1) 52.7%
スーパーベッカミン L−117−60(NV=60%)2) 1.8%
スーパーベッカミン L−105−60(NV=60%)3) 3.7%
酸化チタン JR−6034) 8.7%
試料 13.1%
溶剤(ソルベッソ1005)/シクロヘキサノン/n−ブタノール/ブチルセロ
ソルブ=60/30/6/10) 20.1%
合計 100.0%

P/B=1.1 PVC=26.9
1)大日本インキ化学社製 オイルフリーポリエステル樹脂
2)大日本インキ化学社製 ブチル化メラミン樹脂
3)大日本インキ化学社製 メチル化メラミン樹脂
4)テイカ社製 白色顔料
5)エクソン化学社製 芳香族溶剤
【0036】
塗料配合(上塗り)
スーパーベッコライト M−6401−50(NV=50%)6) 53.3%
スーパーベッカミン LJ820−60(NV=60%)7) 7.8%
酸化チタン JR−6034) 31.3%
溶剤(ソルベッソ1005)/シクロヘキサノン/n−ブタノール/ブチルセロ
ソルブ=60/30/6/10) 7.5%
合計 100.0%

P/B=1.0 PVC=20.0
1)大日本インキ化学社製 オイルフリーポリエステル樹脂
2)大日本インキ化学社製 ブチル化メラミン樹脂
3)大日本インキ化学社製 メチル化メラミン樹脂
4)テイカ社製 白色顔料
5)エクソン化学社製 芳香族溶剤

被塗板1:溶融亜鉛メッキ鋼板(GI) SGCC(日本テストパネル製)
目付244g/m 厚み0.3mm
被塗板2:ガルバリウム鋼板(GL)(日本テストパネル製)
目付150g/m 厚み0.6mm
塗装 :バーコーター
硬化条件:焼き付け温度 210℃(物温)
膜厚 :下塗り塗料 5μm、上塗り塗料 15μm
分散 :ペイントコンディショナー
【0037】
2.防錆性試験(トータル140点満点)
被塗板1種類当たり70点、一般亜鉛メッキとガルバリウムとで別採点。

2.1 塩水噴霧試験(SST)(30点満点×2種類)
上記塗装条件で被塗板上に塗膜を形成することによって作成した試験板に、カッターナイフで被塗板表面に達するクロスカットを入れ、槽内温度を35℃に保った塩水噴霧試験器内に静置して、5%塩化ナトリウム水溶液を1kg/cmの圧力で所定時間(GI1500時間、GL750時間)、塗膜に噴霧し、錆発生状況および塗膜の膨れを観察して、以下の評価基準に基づき評価した。なお、腐食状況は平面部の膨れと錆の発生面積、並びにカット部、端面切り上げ部、端面切り下げ部、折り曲げ部の腐食幅で評価した。いずれの評価においても、評価点が高いほど防錆能が優れている。

サビ発生防止効果の評価基準(ASTM D610−68(1970) に準拠)
平面部
サビ発生面積 0.1%未満 : 5点
サビ発生面積 0.1%以上〜1%未満 : 4点
サビ発生面積 1%以上〜10%未満 : 3点
サビ発生面積 10%以上〜33%未満 : 2点
サビ発生面積 33%以上 : 1点

フクレ発生防止効果の評価基準(ASTM D−714−59(1965)に準拠)

平面部
8F以下 : 5点
8M,6F : 4点
8MD,6M,F : 3点
8D,6MD,4M,2F : 2点
6D,4MD以上、2M以上 : 1点
カット部、端面部
腐食幅 0〜1mm : 5点
腐食幅 1〜2mm : 4点
腐食幅 2〜3mm : 3点
腐食幅 3〜4mm : 2点
腐食幅 4〜5mm : 1点

2.2 複合サイクル試験(CCT)(30点満点×2種類)
塩水噴霧試験と同様にカッターナイフで被塗板表面に達するクロスカットを入れた試験板を、複合サイクル試験器内に静置して、JIS H8502 めっきの耐食性試験に記載されている中性塩水噴霧サイクル試験の条件(1) 塩水噴霧試験 5%NaCl溶液噴霧 35℃ 2時間 (2) 乾燥 60℃ 4時間(3) 湿潤 湿度95RH%以上 50℃ 2時間(8時間/1サイクル)で、所定時間(GI 1504時間 188サイクル、GL 752時間 94サイクル)、試験を行った。錆発生状況および塗膜の膨れを観察して、塩水噴霧試験と同様の評価基準に基づき評価した。

2.3 耐湿試験(HT)(10点満点×2種類)
クロスカットしていない上記試験板を槽内温度50℃,相対湿度95%以上に保った耐湿試験器内に500時間静置し、塗膜の膨れを観察し、塩水噴霧試験の平面部のフクレ発生防止効果と同様の評価基準により評価した。
【0038】
3.分散性試験(20点満点)
上記の塗料化において、ペイントコンディショナーにより顔料を10μm以下に分散するまでの時間(分)によって分散性を評価した。採点の方法としては、20分以内を10点とし、以降10分毎に2点ずつ減点することとした。〔分散時間が短い方が優れている、という形にしている〕なお、10μm以下の判定はJIS K 5400の分散度(分布図法)によって行った。
【0039】
4.光沢(20点満点)
防錆試験に供する前のプライマーの塗板の鏡面光沢度(60度)を測定した。
【0040】
【表4】


【0041】
5.塗料粘度(20点満点)
調製直後の塗料について回転粘度計(60rpm)を用いて粘度(mPa・s)を測定した。〔低い方が好ましいという観点から点数付けした〕
粘度(mPa・s)
【0042】
【表5】


【0043】
6.結果
結果は表6に示す。
【0044】
【表6】


【0045】
7.考察
実施例の顔料組成物はすべて防錆性においてストロンチウムクロメート(比較例9)に匹敵する。これに対し(a)成分、または(b)成分単独の比較例1〜3の顔料および(a),(b),(c)成分の配合比が規定した範囲にない組成物は防錆性においてストロンチウムクロメートにも、実施例の組成物にも及ばない。また比較例9を除く比較例1〜8の顔料または組成物を配合した塗料は初期粘度において実施例の組成物を配合した塗料より高くなる傾向がある。さらに組成物の配合の段階で粉砕が十分に行われない実施例19および20の組成物は、比較例1〜3の顔料と同様に塗料への分散時間が長くなる傾向にある。これらを綜合して実施例の顔料組成物は比較例1〜8の顔料または顔料組成物に優れており、かつ有害な重金属を含まない。
【出願人】 【識別番号】000215800
【氏名又は名称】テイカ株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫

【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫


【公開番号】 特開2008−7645(P2008−7645A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179812(P2006−179812)