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【発明の名称】 複合粒子及びこれを配合した化粧料
【発明者】 【氏名】神谷 正人

【氏名】鈴木 利宏

【氏名】高橋 和彦

【氏名】曽山 美和

【要約】 【課題】アルミナ粉末の有する艶、伸び、密着性、カバー力等の物性を生かしながら、ぎらつき感や不自然な仕上がりを改善した粉体を提供する。

【構成】球状粉末の表面をアルミナ粉末で被覆したことを特徴とする複合粒子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状粉末の表面をアルミナ粉末で被覆したことを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
球状粉末に対するアルミナ粉末の被覆量が10〜70重量%である請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
球状粉末の平均粒子径が0.1〜500μm、アルミナ粉末の平均粒子径が0.1〜50μm、平均厚み0.001〜2.0μmの範囲である請求項1または2に記載の複合粒子。
【請求項4】
球状粉末が球状有機粉末である請求項1〜3のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の複合粒子を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項6】
複合粒子を粉体配合成分の0.1〜50重量%含有する請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
球状有機粉末の表面に静電力でアルミナ粉末を付着せしめた後、強制的な物理力により、球状有機粉末とアルミナ粉末との結合を強固にすることを特徴とする請求項4に記載の複合粒子の製造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は複合粒子及びこれを含有する化粧料に関し、更に詳細には、球状粉末の表面にアルミナ粉末を被覆した複合粒子及びこれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧料には粉体を含有するものが種々知られている。これらの化粧料に使用する粉体は、それらの持つ個々の特性、すなわち、伸び、付着性、滑らかさ、隠蔽力等の使用性、仕上がり性を考慮して選択され、その配合量も決定されている。アルミナ粉末は化粧料用粉体として伸び、密着性、カバー力などを向上させる目的で化粧料に配合されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、アルミナ粉末は、正反射率が高いことから艶がある反面、ぎらつき感があり、これを配合した化粧料はぎらつき感を生じ、不自然な仕上がりになるという欠点を有していた。
【0004】
そこで、アルミナ粉末のもつ艶、伸び、密着性、カバー力の良さを損ねることなしに、いかにぎらつき感や不自然な仕上がりを抑えるかが課題とされていた。
【特許文献1】特開2003−192338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、アルミナ粉末の有する艶、伸び、密着性、カバー力等の物性を生かしながら、ぎらつき感や不自然な仕上がりを改善した粉体の提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アルミナ粉末の有するぎらつき感を抑えるべく鋭意研究を行った結果、従来より化粧料粉体として利用されている球状粉末の表面をアルミナ粉末で被覆することにより上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、球状粉末の表面をアルミナ粉末で被覆したことを特徴とする複合粒子及びこれを含有する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る球状粉末表面にアルミナ粉末を被覆してなる複合粒子は、艶、伸び、密着性、カバー力が良好でかつ、従来のアルミナ粉末とは異なりぎらつき感を生じない優れたものであった。さらに、この複合粒子を配合した化粧料は肌ざわり、付着感、伸びが良好で不自然なぎらつき感がなく、化粧膜の仕上がりにも優れ、使用感、化粧効果ともに優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の複合粒子において、母粒子として使用できるものとしては、化粧料の成分として公知である球状粉末と同じであればよく、具体的には、この平均粒子径が0.1〜500μmであることが好ましく、特には1.0〜50μmであることが好ましい。これは、この平均粒子径がこの範囲より小さくなるとアルミナ粉末による被覆が難しくなり、一方、この範囲より大きくなると、ざらざらした感触を生じるようになるためである。
【0010】
球状粉末としては、シリカ、タルクその他の一般的な無機粉末でも良いが、有機粉末を用いた場合に比べ効果がやや劣る点、並びに無機粉末を用いた場合は接着付与剤等を必要とする等の製法の面から、有機粉末を用いることが特に好ましい。
【0011】
この球状有機粉末としては、シリコーン粉末、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、スチレン−アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、セルロース、ポリオレフィン等が例示される。
【0012】
この母粒子の形状は、球状粉体が良い。理由としては球状粉末のほうが被覆後の拡散反射が高いためである。
【0013】
一方、母粒子に被覆するアルミナは被覆しやすいよう、球状よりも板状のほうが好ましい。平均粒子径は0.1〜50μm、平均厚み0.001〜2.0μmが好ましく、特に平均粒子径が0.2〜25μmが望ましい。平均粒子径がこの範囲にあるとき母粒子への被覆性が向上し、ぎらつき感の少ない複合粒子が得られるようになる。
【0014】
母粒子に対するアルミナ粉末の被覆量は、特に限定されないが、好ましくは10〜70重量%、特に20〜60重量%が望ましい。アルミナ粉末の量が20重量%より少ないと、本発明の複合粒子の特性が発現し難く、また60重量%より多いと、母粒子から脱落するものが多くなり、ぎらつき感が出てくる。
【0015】
球状有機粉末の表面をアルミナ粉末で被覆し、本発明の複合粒子を得る方法としては、球状有機粉末とアルミナ粉末を上述した配合比で混合し、主として荷電現象を利用して、静電気力により球状有機粉末表面にアルミナ素粉末を付着させる。次いで、球状有機粉末とアルミナ粉末の結合を強固にするために、アルミナ粉末が静電付着した球状有機粉末に高速気流中衝撃により物理的な力を外部より強制的に加える。
【0016】
このような処理により、微粒子間の摩擦あるいは接触による粉体間の相互作用によって、母粒子を構成する高分子の表面が一部軟化し、同時にここに物理力でアルミナ粉末がめり込みより強固に結合する。更に物理的な力を強制的に加える目的のために、高速ジェット気流粉砕機、ハイブリタイザー、メカノフュージョン等の周知の複合化機器が用いられ、上記機構により球状有機粉末の表面に直接アルミナ粉末が被覆される。
【0017】
上記の如く得られる本発明の複合粒子は、アルミナ粉末の有する伸び、艶、密着性等の優れた物性を有するものであるが、後記試験例に示すように、ぎらつき感が従来のアルミナ粉末よりも低く、化粧料用の粉体として広く利用可能なものである。また、本発明の複合粒子は、カップリング剤等の特殊な薬品を用いないため、経済的にも有利に得られるものである。
【0018】
この複合粒子は、化粧料全般に配合でき、例えば、ファンデーション、白粉、下地化粧料、頬紅、アイシャドウ、口紅、アイライナー、マスカラ、美爪料、乳液、クリーム等の化粧料に配合することができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは粉体配合成分の0.1〜50重量%である。
【0019】
さらに、本発明の複合粒子を配合する化粧料には、化粧品用原料として用いられる水性成分や油性成分、粉体成分、着色剤、その他の添加成分、例えば保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、水溶性高分子等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【実施例】
【0020】
次に本発明について実施例を挙げて更に説明する。なお、これらは本発明を何ら制約するものではない。
(球状有機粉末−アルミナ粉末複合粒子の製造)
実施例1
球状有機粉末であるジメチルメチルシリコーンレジン(東レ・ダウコーティングシリコーン株式会社トレフィルE−506S 平均粒子径12μm)60gと、アルミナ粉末(平均粒子径:2μm、平均厚み0.03μm)40gとをボールミルに投入し、30分間混合して静電気力によりジメチルメチルシリコーンレジン表面にアルミナ粉末を均一に付着させた。
【0021】
さらに、ジメチルメチルシリコーンレジン粉末とアルミナ粉末の結合をより強固にするために、この混合粒子を高速ジェット気流粉砕機の粉砕室に投入し、200m/秒の高速ジェット噴流にて粒子同士の摩擦と衝突を起こさせ、アルミナ粉末をジメチルメチルシリコーンレジン粉末の表面にめり込ませた。
実施例2
球状有機粉末ジメチルメチルシリコーンレジン(東レ・ダウコーティングシリコーン株式会社トレフィルE−506S 平均粒子径:2μm)1200gと、アルミナ粉末(平均粒子径:2μm、平均厚み0.03μm)800gとを粉体複合機(ハイブリタイザー:奈良機械製作所製)に投入し、8000rpmで10分間循環させて、ジメチルメチルシリコーンレジンとアルミナの複合粉末を得た。
実施例3
球状シリカ(平均粒子径:2μm)1200gと、アルミナ粉末(平均粒子径:2μm、平均厚み0.03μm)800gとを粉体複合機(ハイブリタイザー:奈良機械製作所製)に投入し、8000rpmで10分間循環させて、球状シリカとアルミナの複合粉末を得た。
試験例1
正反射率の測定:実施例1、2で得た複合粒子について、次のようにしてその正反射率を測定した。この結果を表1に示す。
(試料調製方法)
粉体をポスト・イットフラッグ(住友スリーエム株式会社製)に化粧品用パフで均一に塗布し、測定用サンプルとする。
(測定方法)
偏角分光測色計カラーロボIII(株式会社カラーテクノシステム製)を用いて、投光を45゜の角度で測定用サンプルに入射し、反射光の強度を測定した。ぎらつき感を下記のような式にて数値化し評価した。この数値が高いとぎらつき感を感じ、数値が低いとぎらつき感を感じにくくなる。
【0022】
ぎらつき感=正反射のピーク反射値/0°の反射値
【0023】
【表1】


【0024】
上記結果から明らかなように、本発明品の複合粒子は反射を全体的に低減することができ、ぎらつき感も1.32、1.30、1.31と参考例であるアルミナ粉末より低くすることができた。
【0025】
以下、本発明の複合粉体を化粧品製剤に配合した場合の効果を実施例によって更に詳細に説明する。
【0026】
有用性の評価は、評価品目ごとに専用パネラー10名で評価した。ただし、パネラーが重複する場合もある。
「塗布感」:塗布時の使用性や感触、伸びの良さ、塗布感の良さ。
「透明感」:自然な仕上がり、適度な艶、メイキャップ効果。
「カバー力」:シミ・しわを補正する効果、ソフトフォーカス効果。
「ムラ付きの無さ」:密着性、化粧のりの良さ。
「化粧持ち」:化粧膜の経時的変化。よれ、くすみ、テカリ(ぎらつき感のなさ)。
「パフへの取れ」:適度にバルクがパフへ取れるか(実施例7は除く)について「良い」から「悪い」を5から1の5段階として評価を行い、全パネラーの平均点を以って評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す。
(固形ファンデーション)
実施例4
複合粉体(実施例1で得た複合粒子)2.0重量%、セリサイト28.5重量%、マイカ4.75重量%、酸化チタン8.33重量%、ナイロン末8.0重量%、着色顔料適量、アミノプロピルジメチコン3.55重量%、ジメチコン6.0重量%、PEG(ポリエチレングリコール)−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン1.0重量%、タルクにて100.0重量%とする。
比較例1
アルミナ粉末2.0重量%、セリサイト28.5重量%、マイカ4.75重量%、酸化チタン8.33重量%、ナイロン末8.0重量%、着色顔料適量、アミノプロピルジメチコン3.55重量%、ジメチコン6.0重量%、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン1.0重量%、タルクにて100.0重量%とする。
製法:それぞれの成分を秤量し、高速混合機にて調整したものを圧縮成型して固形ファンデーションとした。
【0027】
結果を表2に示す。
【0028】
【表2】


【0029】
(粉白粉)
実施例5
複合粉体(実施例1で得た複合粒子)10.0重量%、セリサイト30.0重量%、酸化チタン5.0重量%、着色顔料適量、スクワラン0.5重量%、パルミチン酸2−エチルヘキシル0.5%、タルクにて100.0重量%とする。
比較例2
アルミナ粉末10.0重量%、セリサイト30.0重量%、酸化チタン5.0重量%、着色顔料適量、スクワラン0.5重量%、パルミチン酸2−エチルヘキシル0.5%、タルクにて100.0重量%とする。
製法:それぞれの成分を秤量し、高速混合機にて調整したものを容器へ充填して粉白粉とした。
【0030】
結果を表3に示す。
【0031】
【表3】


【0032】
(油性ファンデーション)
実施例6
複合粉体(実施例1で得た複合粒子)10.0重量%、(油相)パルミチン酸オクチル39.95重量%、キャンデリラロウ3.0重量%、カルナウバロウ2.0重量%、トコフェロール0.05重量%、(粉体部)45.0重量%(粉体部の内訳:酸化チタン45.0重量%、着色顔料適量、マイカにて100.0重量%)とする。
比較例3
アルミナ粉末10.0重量%、(油相)パルミチン酸オクチル39.95重量%、キャンデリラロウ3.0重量%、カルナウバロウ2.0重量%、トコフェロール0.05重量%、(粉体部)45.0重量%(粉体部の内訳:酸化チタン45.0重量%、着色顔料適量、マイカにて100.0重量%)とする。
製法:秤量した油相成分を80℃に加温した後、粉体を加えて十分混合し、容器に充填し冷却後、油性ファンデーションとした。
【0033】
結果を表4に示す。
【0034】
【表4】


【0035】
(下地クリーム)
実施例7
複合粉体10.0重量%(実施例1で得た複合粒子)、(油相)トリエチルヘキサノイン5.0重量%、スクワラン3.0重量%、イソステアリン酸5.0重量%、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー0.75重量%、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン3.0重量%、シクロペンタシロキサン22.25重量%、(水相)BG(ブチレングリコール)5.0重量%、グリセリン3.0重量%、クエン酸ナトリウム0.6重量%、精製水にて100.0重量%とする。
比較例4
アルミナ粉末10.0重量%、(油相)トリエチルヘキサノイン5.0重量%、スクワラン3.0重量%、イソステアリン酸5.0重量%、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー0.75重量%、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン3.0重量%、シクロペンタシロキサン22.25重量%、(水相)BG5.0重量%、グリセリン3.0重量%、クエン酸ナトリウム0.6重量%、精製水にて100.0重量%とする。
製法:秤量した油相成分へ複合粉体を加えて十分に混合する。油相を攪拌しながら水相をゆっくりと添加して乳化し下地クリームとした。
【0036】
結果を表5に示す。
【0037】
【表5】


【出願人】 【識別番号】595137022
【氏名又は名称】東色ピグメント株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡

【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦

【識別番号】100091845
【弁理士】
【氏名又は名称】持田 信二

【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌


【公開番号】 特開2008−7536(P2008−7536A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176319(P2006−176319)