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強化繊維の分離方法 - 特開2008−13614 | j-tokkyo
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【発明の名称】 強化繊維の分離方法
【発明者】 【氏名】立花 孝

【要約】 【課題】環境汚染を招来することなく、強化繊維を分離して回収できるようにした強化繊維の回収方法を提供する。

【構成】強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂製品の廃棄物から強化繊維を分離するにあたり、繊維強化樹脂製品の廃棄物を高温のエチレングリコール又はトリエチレングリコールと接触させることにより樹脂を溶解して強化繊維を分離し、分離した強化繊維からエチレングリコール又はトリエチレングリコールを水洗によって除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂製品の廃棄物から強化繊維を分離するにあたり、
繊維強化樹脂製品の廃棄物を高温のエチレングリコール又はトリエチレングリコールと接触させることにより樹脂を溶解して強化繊維を分離し、分離した強化繊維からエチレングリコール又はトリエチレングリコールを水洗によって除去するようにしたことを特徴とする強化繊維の分離方法。
【請求項2】
繊維強化樹脂製品の廃棄物を、180°C〜190°Cの範囲内の温度のエチレングリコールと常圧下で接触させるようにした請求項1記載の強化繊維の分離方法。
【請求項3】
繊維強化樹脂製品の廃棄物を、180°C〜190°Cの範囲内の温度のエチレングリコールと加圧下で接触させるようにした請求項1記載の強化繊維の分離方法。
【請求項4】
繊維強化樹脂製品の廃棄物を、275°C〜290°Cの範囲内の温度のトリエチレングリコールと常圧下で接触させるようにした請求項1記載の強化繊維の分離方法。
【請求項5】
強化繊維が炭素繊維である請求項1記載の強化繊維の分離方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は強化繊維の分離方法に関し、特に環境汚染を招来することなく、強化繊維を分離して回収できるようにした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチック(以下、FRPという)は軽量性や耐久性という点で優れていることから、自動車、航空機、スポーツ用品、その他の分野で広く採用される傾向にあるが、強化繊維に起因してリサイクルし難い。特に、熱硬化性樹脂を用いたFRP製品では機械的な解糸は困難である。
【0003】
従来、廃棄されたFRP製品をリサイクルする場合、FRP製品を破砕して回収し、他の製品の原料、例えばコンクリート製品の骨材等に利用する方法(特許文献1、特許文献2)、あるいはハロゲン化合物、例えばメチレンクロライド又はメチルクロライドと水の混合気体を用いて強化繊維とプラスチックとを分離し、強化繊維を回収する方法(特許文献3)、が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−254919号公報
【特許文献2】特開平11−368563号公報
【特許文献3】特開2005−350504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、強化繊維によく用いられる炭素繊維を製造する場合、まずアクリロニトリルを重合してポリアクリロニトリルとし、製糸によってアクリル繊維とし、次に耐炎化して繊維とし、これを炭素化することによって炭素繊維が得られ、更に黒鉛化によって高弾性率化する、などの工程を経て製造され、一般的に高価の繊維である。
【0006】
しかるに、特許文献1、2記載の方法では回収されたFRP製品があまり有効に利用されず、例えば高価な強化繊維が無駄になってしまう。
【0007】
他方、特許文献3記載の方法では強化繊維が分離して回収できるものの、ハロゲン化合物と水の混合気体を用いているので、ハロゲン化合物が系外に洩れ出ると、環境汚染が懸念される。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、環境汚染を招来することなく、強化繊維を分離して回収できるようにした強化繊維の分離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る強化繊維の分離方法は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂製品の廃棄物から強化繊維を分離するにあたり、繊維強化樹脂製品の廃棄物を高温のエチレングリコール又はトリエチレングリコールと接触させることにより樹脂を溶解して強化繊維を分離し、分離した強化繊維からエチレングリコール又はトリエチレングリコールを水洗によって除去するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つは溶媒に高温のエチレングリコール又はトリエチレングリコールを用いて熱硬化性樹脂を溶解させ、強化繊維、例えば炭素繊維を分離するようにした点にある。これにより、たとえ溶媒が系外に洩れ出しても環境が汚染されるおそれはない。
【0011】
また、エチレングリコール又はトリエチレングリコールは水洗によって強化繊維から除去することができるので、清浄な強化繊維を回収できる。
【0012】
例えば、エチレングリコールを180°C〜190°Cの範囲内の温度、好ましくは約186°Cに加熱し、繊維強化樹脂製品の廃棄物を加熱したエチレングリコールと常圧下で接触させることによって熱硬化性樹脂を溶解させ、強化繊維を回収することができる。この場合、エチレングリコールを加圧、例えば0.6MPa〜1.0MPaに加圧すると、常圧下におけるよりも処理時間を短くできる。
【0013】
また、トリエチレングリコールを275°C〜290°Cの範囲内の温度、好ましくは280°Cに加熱し、繊維強化樹脂製品の廃棄物を加熱したトリエチレングリコールと常圧下で接触させることによって熱硬化性樹脂を溶解させ、強化繊維を回収することができる。この方法ではエチレングリコールと常圧下で反応させる場合に比して処理時間を短くできる。
【0014】
強化繊維は炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、その他の繊維が挙げられる。また、熱硬化性樹脂は代表的には不飽和ポリエステル樹脂を挙げることができるが、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などにも同様に適用できる。
【0015】
上述の分離方法を実施する場合、廃棄されたFRP製品が投入され、エチレングリコール又はトリエチレングリコールに浸漬され、FRP製品のプラスチックを溶解する溶解槽と、該溶解槽の下部から水平に延び、FRP製品を送ることによってFRP製品のプラスチックを溶解するとともに強化繊維を解糸する溶解スクリュー槽と、該溶解スクリュー槽の先端から斜め上方に延び、強化繊維をエチレングリコール又はトリエチレングリコールから引き上げる傾斜スクリュー槽と、該傾斜スクリュー槽の前方に設けられ、強化繊維に付着しているエチレングリコール又はトリエチレングリコールを遠心分離する遠心分離機と、強化繊維を水洗することにより付着しているエチレングリコール又はトリエチレングリコールを分離する水洗装置とを備えたことを特徴とする強化繊維の分離装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る強化繊維の分離装置の好ましい実施形態を示す。図において、溶解槽10にはエチレングリコール(又はトリエチレングリコール)が入れられ、溶解槽10の上部には廃FRPの投入口が形成されている。
【0017】
溶解槽10の底部には溶解スクリュー槽11が連通して設けられ、溶解スクリュー11は水平方向に延び、エチレングリコールに浸漬されて溶解し始めた廃FRPをスクリューによって送ることによって更に溶解し強化繊維を解糸するようになっている。
【0018】
溶解スクリュー槽11の端部には傾斜スクリュー槽12が連通して設けられ、傾斜スクリュー槽12は解糸された強化繊維を斜め上方に送ってエチレングリコールから引き上げることにより分離するようになっている。
【0019】
この傾斜スクリュー槽12の上部には冷却ゾーン13が設けられ、気化したエチレングリコールを冷却して凝縮するようになっている。傾斜スクリュー12の上部には遠心分離機14が設けられ、強化繊維に付着したエチレングリコールを遠心分離するようになっている。
【0020】
遠心分離機14の下流側には水噴霧器15、遠心分離機16及び乾燥機17が設けられ、強化繊維に付着したエチレングリコールが水の噴霧によって水洗され、強化繊維に付着した水分が遠心分離機16で遠心分離され、最後に強化繊維は乾燥機16で乾燥されるようになっている。
【0021】
冷却ゾーン13の下側には回収槽18が接続され、樹脂を含むエチレングリコールが回収されるようになっている。回収槽18には分離槽21が接続され、エチレングリコールと樹脂が分離されるようになっている。
【0022】
分離槽21には溶媒槽23が接続され、分離槽21と溶媒槽23の間には冷却器22が設けられ、溶媒槽23には真空ポンプ24が接続され、又溶媒槽23内のエチレングリコールは回収槽18に循環されるようになっている。
【0023】
回収槽18内のエチレングリコールは加熱器20によって加熱されてポンプ19によって溶解槽10に向けて送られるようになっている。
【0024】
次に、強化繊維の分離方法について説明する。溶解槽10内のエチレングリコールは加熱器20によって加熱されたエチレングリコールが送り込まれることによって180°C〜190°Cに保持されている。今、廃FRPが溶解槽10内に投入されると、廃FRPの熱硬化性樹脂は高温のエチレングリコールと接触し、溶解し始める。
【0025】
熱硬化性樹脂がある程度溶解すると、廃FRPは溶解槽10の底部から溶解スクリュー槽11内に移動し、スクリューによって溶解スクリュー槽11内を横方向に送られ、熱硬化性樹脂が更に溶解され、スクリューの回転によって強化繊維が解糸される。
【0026】
解糸された強化繊維は溶解スクリュー槽11から傾斜スクリュー槽12に移動し、傾斜スクリュー12内を斜め上方に送られ、傾斜スクリュー槽12内のエチレングリコールから引き上げられ、遠心分離機14でエチレングリコールが遠心分離された後、水の噴霧によって強化繊維からエチレングリコールが洗浄される。
【0027】
その後、強化繊維は遠心分離機16で水を遠心分離された後、乾燥機17で乾燥され、こうして清浄な強化繊維が回収されることとなる。
【0028】
傾斜スクリュー槽12内では気化したエチレングリコールが冷却ゾーン13で冷却されて凝縮され、樹脂を溶解したエチレングリコールは傾斜スクリュー槽12から回収槽18に送られ、回収槽18の底部から分離槽21に送られ、回収槽18で樹脂とエチレングリコールとに比重分離され、回収槽18の上層のエチレングリコールはポンプ19によって送られ、加熱器20によって加熱されて溶解槽10内に送り込まれる。
【0029】
回収槽18の底部に溜まった樹脂とエチレングリコールとは分離槽21に送られ、攪拌されながら加熱されるとともに、真空ポンプ24の作用によって減圧されることにより、エチレングリコールが分離され、冷却器22によって冷却され、真空ポンプ24の作用によって溶媒槽23に吸引され、溶媒槽23から回収槽18に戻される。分離槽21底部に溜まった樹脂は系外に排出される。
【0030】
通常、FRP製品の強化繊維、例えば炭素繊維は一般ごみの焼却炉では燃えない。また、電気集塵機用設置炉では炭素繊維を燃やすことができるものの、燃え残りの短い繊維(フライ)により電気短絡事故の原因となる。これに対し、本例ではFRP製品から清浄な強化繊維を回収できるので、上述のように不具合は起こらない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る強化繊維の分離方法の好ましい実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0032】
10 溶解槽
11 溶解スクリュー槽
12 傾斜スクリュー槽
14 遠心分離機
15 水噴霧器
【出願人】 【識別番号】597104916
【氏名又は名称】アースリサイクル株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100071434
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 孝美


【公開番号】 特開2008−13614(P2008−13614A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184138(P2006−184138)