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【発明の名称】 ブチルゴムの水系乳化分散液及びその製造方法
【発明者】 【氏名】大久保 幸浩

【氏名】新井 貴光

【要約】 【課題】制振材、接着剤、粘着剤、塗料、コーティング材等に好適な、特に絶縁性に優れた、ブチルゴムの水系乳化分散液及びその製造方法を提供する。

【構成】ノニオン系乳化剤を含む乳化剤により乳化分散されたことを特徴とするブチルゴムの水系乳化分散液であり、ブチルゴムを有機溶剤に溶解して得られたゴム溶液と、少なくとも1種のノニオン系乳化剤を含む乳化剤とを混合し攪拌することにより該ゴム溶液を乳化させ、次いで、該乳化ゴム溶液を水に希釈した後に、前記有機溶剤を留去し製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブチルゴムが、少なくとも1種のノニオン系乳化剤を含む乳化剤により乳化分散されたことを特徴とするブチルゴムの水系乳化分散液。
【請求項2】
前記ノニオン系乳化剤の配合量が、前記ブチルゴム100重量部に対し1〜20重量部であることを特徴とする請求項1に記載のブチルゴムの水系乳化分散液。
【請求項3】
ブチルゴムを有機溶剤に溶解して得られたゴム溶液と、少なくとも1種のノニオン系乳化剤を含む乳化剤とを混合し攪拌することにより該ゴム溶液を乳化させ、次いで、該乳化ゴム溶液を水に希釈した後に、前記有機溶剤を留去することを特徴とするブチルゴムの水系乳化分散液の製造方法。
【請求項4】
前記ノニオン系乳化剤の配合量が、前記ブチルゴム100重量部に対し1〜20重量部であり、前記有機溶剤を留去した後の固形分含量が40〜65重量%であることを特徴とする請求項3に記載のブチルゴムの水系乳化分散液の製造方法。
【請求項5】
前記有機溶剤が、ヘキサン、イソヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、キシレン、トルエン、ベンゼン、及び、超臨界状態にある二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一つよりなることを特徴とする請求項3又は4に記載のブチルゴムの水系乳化分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ブチルゴムの水系乳化分散液に関する。更に詳しくは、ブチルゴムの優れた絶縁性、制振性、ガスバリヤー性等を維持する貯蔵安定性に優れた水系乳化分散液であり、例えば、制振材、接着剤、粘着剤、塗料、コーティング材などの製造に好適に使用することができるブチルゴムの水系乳化分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
ブチルゴムの水系乳化分散液を得る方法は、今日まで種々の方法が提案されているが、貯蔵安定性に優れた水系乳化分散液を工業的に製造供給している例は見当たらず、工業的規模での製造は実施されていない。
【0003】
上記ブチルゴムの水系乳化分散液については、例えば、特開平2−70725号公報には、ブチルゴムの有機溶剤溶液を、ゴムエキステンダー油およびリン酸エステルの存在下に乳化する方法が示されているが、添加したゴムエキステンダー油およびリン酸エステルがブチルゴム中に残留し、制振性やガスバリヤー性の著しい低下を招く問題がある。
【0004】
特公平5−63423号公報には、ブチルゴムとポリブテン等をニーダーで素練りし、トルオールを添加混練した後、水を少しずつ添加してエマルジョンを得る方法が示されているが、この方法で得られるエマルジョン中のブチルゴムの粒径は大きく、速やかにゴム分が分離してしまうという問題があり、また、特開平9−221610号公報には、ステアリン酸とポリイソブチレンと水に高剪断をかけることによりポリイソブチレンエマルジョンを得る方法が示されているが、この場合も速やかにゴム分が分離し良好な貯蔵安定性は得られない。
【0005】
特開平11−140250号公報には、イソブチレン系重合体と溶剤の混合液を、乳化剤の存在下で水と剪断混合する方法の具体例として、ケイ素含有基末端イソブチレン重合体のヘプタン溶液を、ラウリル硫酸ナトリウムを乳化剤として水に乳化する方法が示されているが、乳化液が経時的に不安定化するという問題がある。
【0006】
特開2003−321551号公報には、ゴム有機溶剤溶液を、低級アルコール含有乳化剤水溶液に分散後、溶剤と低級アルコールを加熱減圧して除去する方法が示されており、ゴムの微分散が可能となるとされているが、溶剤と低級アルコールが同時に留去するため、工業的に溶剤の再利用をする場合、溶剤とアルコールを分離する工程が必要で、経済的に好ましいものでない。
【0007】
特公平2−52934号公報には、常温で液状または粘稠固体状のポリイソブチレンを、ショ糖脂肪酸エステルとポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルと分岐型ドデシルベンゼンスルホン酸塩を乳化剤として水に乳化してエマルジョンを得る方法が示されているが、本方法では常温で固体の高分子ポリイソブチレンは乳化できないことが記述されており、低強度のポリイソブチレンエマルジョンしか得られないという欠点がある。
【特許文献1】特開平2−70725号公報
【特許文献2】特公平5−63423号公報
【特許文献3】特開平9−221610号公報
【特許文献4】特開平11−140250号公報
【特許文献5】特開2003−321551号公報
【特許文献6】特公平2−52934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ブチルゴムの絶縁性、制振性、ガスバリヤー性等を実質的に低下させることなく、制振材、接着剤、粘着剤、塗料、コーティング材等に好適な、特に絶縁性に優れた、ブチルゴムの水系乳化分散液及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、ブチルゴムおよび有機溶剤からなる溶液に、更にノニオン系乳化剤の混合水溶液を添加、混合して乳化させ、水にて希釈した後に、有機溶剤を留去することにより、ブチルゴムの絶縁性、制振性、ガスバリヤー性等を実質的に低下させることなく、制振材、接着剤、塗料、コーティング材等に好適な、特に絶縁性に優れた、ブチルゴムの水系乳化分散液を得ることを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】
即ち、本発明は、ブチルゴムが、少なくとも1種のノニオン系乳化剤を含む乳化剤により乳化分散されたことを特徴とするブチルゴムの水系乳化分散液である。
【0011】
本発明のブチルゴムの水系乳化分散液においては、前記ノニオン系乳化剤の配合量が、前記ブチルゴム100重量部に対し1〜20重量部であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、ブチルゴムを有機溶剤に溶解して得られたゴム溶液と、少なくとも1種のノニオン系乳化剤を含む乳化剤とを混合し攪拌することにより該ゴム溶液を乳化させ、次いで、該乳化ゴム溶液を水に希釈した後に、前記有機溶剤を留去することを特徴とするブチルゴムの水系乳化分散液の製造方法にある。
【0013】
本発明のブチルゴムの水系乳化分散液の製造方法においては、前記ノニオン系乳化剤の配合量が、前記ブチルゴム100重量部に対し1〜20重量部であり、有機溶剤を留去した後の固形分含量が40〜65重量%であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の製造方法においては、前記有機溶剤が、ヘキサン、イソヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、キシレン、トルエン、ベンゼン、及び、超臨界状態にある二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一つよりなることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって得られるブチルゴムの水系乳化分散液は、特に絶縁性に優れ、有用な制振性やガスバリヤー性等を呈するので、自動車、鉄道、船舶、建築、産業機械、住宅設備、家電機器、事務機器、航空機などの広範な分野で有用な制振材、接着剤、粘着材、塗料、コーティング材等の製造に好適に使用することができ、工業的価値が大きく有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明は、ノニオン系乳化剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種のノニオン系乳化剤を含む水溶液の存在下で乳化分散させることを特徴とするブチルゴムの水系乳化分散液及びその製造方法を内容とする。
【0018】
本発明において、ブチルゴムとは、一般名「ブチルゴム」で市販されているイソブチレンと少量のイソプレンの共重合体であるブチルゴム(IIR)、これをハロゲン化した塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等のハロゲン化ブチルゴム、及びイソブチレンを重合して得られるポリイソブチレンを意味する。
【0019】
ブチルゴムの市販品としては、JSR(株)の「JSR Butyl 065、268、365」、「JSR CHLOROBUTYL 1066、1068」、「JSR BROMOBUTYL 2244、2255」等、また、Exxon Chemical社の「EXXON BUTYL EB065、268、365」、「EXXON CHLOROBUTYL 1066、1068」、「EXXON BROMOBUTYL 2244、2255」等が挙げられる。
【0020】
本発明において、前記ブチルゴムを有機溶剤に溶解した溶剤溶液を乳化、分散させるために乳化剤が使用される。
【0021】
前記乳化剤としては、ブチルゴムを乳化分散させることができるものであり、乳化力と得られたエマルジョンの乾燥後のブチルゴム物性の再現性、特に絶縁性という観点からみた場合、ノニオン系乳化剤が最も優れた効果を示す。
【0022】
ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等が好ましい。
【0023】
ブチルゴムの水系乳化分散液において、上記ノニオン系乳化剤の配合量は、ブチルゴム100部(重量部)に対して、好ましくは1〜20部、より好ましくは3〜10部である。配合量がこの範囲を外れて少なくなる場合、製造工程での乳化不良や、乳化後の安定性の保持に問題を生じ、この範囲を外れて多くなる場合には、水系分散液乾燥後のブチルゴムの物性を損なったり、ブリードアウトを起こすなどの問題の原因となる。
【0024】
前記ブチルゴムの水系乳化分散液の製造は、ブチルゴムの有機溶剤溶液に特定の乳化剤の水溶液を添加し、角度付平羽根やヘリカルスクリューのような撹拌羽根やホモディスパー、ホモミキサーで攪拌することにより混合するか、ラインミキサーのような外部乳化機で混合して乳化させ、さらに乳化機を用いて希釈水を混合するなどの方法により乳化、分散させたのち、有機溶剤を例えば60℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)で除去することにより行うことができる。除去後に残存する有機溶剤の含有量は、1%以下、好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下である。
【0025】
ここで用いる有機溶剤としては、ブチルゴムを溶解させ、乳化後に留去が可能であればいずれも使用可能である。好ましい溶剤としては、例えば、ヘキサン、イソヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタンなどの飽和脂肪族系有機溶剤や、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの芳香族系有機溶剤を挙げることができる。これらの中で安全性や使いやすさの面からヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、トルエンなどが好ましい。また超臨界状態にある二酸化炭素を、上記のような炭化水素系溶剤に代えて、同様の役割をする溶媒としても使用することができる。従って、本発明に用いられる有機溶剤には、超臨界二酸化炭素も含まれるものとする。
【0026】
ブチルゴムの水系乳化分散液に含まれる粒子の粒径は、乳化の方法、使用する乳化剤の量、ブチルゴム水系乳化分散液の濃度などによっても異なるが、通常5μm以下、さらには0.5〜3μm、ことに0.7〜2μmであるものが好ましい。粒径が大きすぎる場合には、乳化分散液の安定性が不充分となりやすく、逆に小さすぎる場合には、製造しにくく、粘度が高くなりポンプ輸送上の問題が生じやすくなる傾向にある。なお、ここでの平均粒子径は、(株)島津製作所のSALD2000を用いたレーザー回折散乱法によって測定し算出したものである。
【0027】
このようにして製造された本発明の水系乳化分散液は、特定の乳化剤の乳化性および保護コロイド性が良好であるため、経時安定性および機械的安定性が良好である。
【0028】
本発明の水系乳化分散液を製造する際には、さらに増粘剤を添加してもよい。増粘剤を添加することにより、短期的にはブラウン運動の抑制効果で二次凝集を生じにくくし、長期間保存したときにも水とブチルゴムの分離が生じにくい保存安定性の良好な増粘剤入りの乳化分散液となる。
【0029】
前記増粘剤の具体例としては、例えば、ベントナイト、アルミノシリケート、非イオン系セルロース誘導体であるヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースなど、さらにはキサンタンガム、ラムザンガムなどが挙げられる。
【0030】
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、非イオン系セルロース誘導体のうちのヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、キサンタンガム、ラムザンガムが好ましい。
【0031】
前記増粘剤を添加する場合、ブチルゴム100部に対して0.1〜3部、さらには0.1〜2部添加するのが好ましい。なお、増粘剤が非イオン系セルロース誘導体の場合の添加量としては、0.1〜2部、さらには0.4〜1部、キサンタンガムおよび/またはラムザンガムの場合の添加量としては、0.1〜3部、さらには0.1〜2部であるのが、本発明の乳化分散液の保存安定性およびポンプ輸送に適する粘性を与えることができる点から好ましい。該使用量が少なすぎる場合には、前記乳化分散液の保存安定性が充分向上せず、多すぎる場合には、粘度が高くなりすぎポンプ輸送が行いにくくなる傾向が生ずる。
【0032】
増粘剤としてキサンタンガムおよび/またはラムザンガムを使用し、他の増粘剤と組み合わせて使用する場合、他の増粘剤の使用量は、増粘剤合計重量を100部として50部以下、さらには40部以下であるのが本発明の水系乳化分散液の保存安定性およびポンプ輸送時の粘度の点から好ましい。また、他の増粘剤を用いる場合にも、ブチルゴム100部に対してキサンタンガムおよび/またはラムザンガムを0.1部以上含まれるのが、保存安定性およびポンプ輸送の観点から好ましい。
【0033】
以上説明したように本発明の水系乳化分散液は、一般に、固形分濃度が40〜65%、さらには45〜60%、粘度(25℃、B型粘度計で測定)が100〜700mPa・s、さらには150〜500mPa・sであり、増粘剤を添加することにより、固形分濃度が40〜65%、さらには45〜60%、粘度(25℃、B型粘度計で測定)が200〜6000mPa・s、さらには350〜4000mPa・sであることが好ましい。
【0034】
また、本発明により得られるブチルゴムの水系乳化分散液は、他のゴムラテックスや樹脂エマルジョンと混合して使用することができる。ゴムラテックスとしては一般に市販されている各種のものが使用でき、例えば天然ゴムラテックス、SBRラテックス、カルボキシ変性SBRラテックス、BRラテックス、NBRラテックス、CRラテックスなどが挙げられる。
【0035】
樹脂エマルジョンとしては、ポリアクリルエマルジョン、ポリアクリル−シリコンエマルジョン、ポリアクリル−フッ素エマルジョン、ポリアクリル−スチレンエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、EVAエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、シリコンエマルジョン、エポキシエマルジョン、EPゴムエマルジョン、SBSエマルジョン、SISエマルジョンなどが挙げられる。また、オイルエマルジョンやアスファルトエマルジョンと混合して使用してもよい。
【0036】
ただし、イオン性の異なるラテックスなどと混合する場合には、作業性を損わない範囲とする。
【0037】
本発明により得られるブチルゴムの水系乳化分散液は、必要に応じて、無機フィラー、ポリマー粉体、磁性粉、金属粉、導電性カーボン、オイル、可塑剤、粘着付与剤、難燃剤、分散安定剤、顔料、防腐防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、コロイド硫黄、加硫促進剤、加硫剤などを加えて使用してもよい。またこれらの内、使用する溶剤に溶解するものは、乳化前のブチルゴム溶液に事前に添加した状態で、ブチルゴムと同時に乳化してもよい。
【0038】
さらに、セメント、石こう、石灰、イソシアネート化合物などの水反応性化合物と併用してもよい。
【0039】
本発明により得られるブチルゴムの水系乳化分散液は、優れた制振性、ガスバリヤー性、電気特性、機械的強度、耐候性、耐熱性、耐オゾン性、耐化学薬品性、ポリオレフィンへの密着性等を呈するので、制振材、接着剤、粘着剤、塗料、コーティング材、インキ、包装用ラミネートフィルム、パッキン、パンク修理剤、防水材、防湿材、電気絶縁材、絶縁防湿材などに好適に使用することができる。また、他のゴムラテックスや樹脂エマルジョンに混合して、上記特性の改良に使用することができる。
【0040】
また、塗工、乾燥して、シートあるいはテープの形状で使用しても良い。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
【0042】
実施例で使用する主要原料の内容および略号について以下に説明する。
【0043】
[ブチルゴム(IIR)]
・JSR(株)製、JSR Butyl 268、ムーニー粘度ML1+8(125℃)51
[乳化剤]
・ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル水溶液:第一工業製薬(株)製、ノイゲンEA−207D(有効成分55%水溶液)
・ポリオキシエチレントリデシルエーテル:第一工業製薬(株)製、ノイゲンTDS−500F
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル:第一工業製薬(株)製、DSK NL−450
・ポリオキシエチレンイソデシルエーテル:第一工業製薬(株)製、ノイゲンSD−400
・ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル:第一工業製薬(株)製、ノイゲンET−189
・アルキルベンゼンスルホン酸塩水溶液:第一工業製薬(株)製、ネオゲンS−20F(有効成分20%水溶液)
・アルキル硫酸塩:第一工業製薬(株)製、モノゲンY−100
[増粘剤]
・キサンタンガム:大日本製薬(株)製、KELDENT
【0044】
以下に、実施例及び比較例のIIRの水系乳化分散液の調製方法について説明する。得られたIIR水系乳化分散液の自着性を下記の測定法に従い測定した。結果を表1に示す。
【0045】
〈実施例1〉
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル水溶液109g(有効成分10部)を50℃の温水70gに希釈したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0046】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.2μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0047】
〈実施例2〉
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、ポリオキシエチレントリデシルエーテル10部(60g)を50℃の温水240gに溶解したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0048】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.2μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0049】
〈実施例3〉
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10部(60g)を50℃の温水240gに溶解したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0050】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.3μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0051】
〈実施例4〉
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10部(60g)を50℃の温水240gに溶解したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0052】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.3μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0053】
〈実施例5〉
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル10部(60g)を50℃の温水240gに溶解したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0054】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.3μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0055】
〈実施例6〉
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル水溶液109g(有効成分10部)を50℃の温水70gに希釈したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIR水系乳化分散液を得た。
【0056】
増粘剤を添加せず、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.2μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0057】
〈比較例1〉(請求範囲以外の乳化剤で乳化した場合(アニオン系乳化剤))
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、アルキルベンゼンスルホン酸塩水溶液210g(有効成分7部)を投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0058】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR水系乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.0μmのIIRの水系分散液が得られた。
【0059】
〈比較例2〉(請求範囲以外の乳化剤で乳化した場合)
ディスパーとミキサーおよびアンカーを備えた乳化機(特殊機化工業(株)製、TKコンビミックス型)へ、IIR100部(600g)とトルエン400部(2400g)を投入し、90℃に昇温してIIRを溶解させた。溶解後、内温を50℃に保ち、アルキル硫酸塩7部(42g)を50℃の温水180gに溶解したものを投入し、ミキサーの周速12.8m/s、ディスパーの周速9.6m/s、アンカーの回転数60rpmにて乳化した後、希釈水250部(1500g)を60分かけて均一に滴下してIIRの水系乳化分散液を得た。
【0060】
増粘剤としてキサンタンガムの1%水溶液20部(120g)を投入し、10分間混合した後、IIR乳化分散液をロータリーエバポレーター(東京理化器械(株)製、N−11型)にて50℃、720〜640mmHg(96.0〜85.3kPa)でトルエンを留去し、トルエン残存量を0.05%にした。固形分50%、粒径1.1μmのIIRの水系乳化分散液が得られた。
【0061】
[自着性]
得られたIIR水系乳化分散液をポリエステルフィルム上にバーコーターにて乾燥膜厚50μmで塗工し、室温乾燥して造膜させた後、その上に再度乾燥膜厚50μmでオーバーコートする。オーバーコート層が十分に乾燥した後、上層と下層の境界を引掻き、界面剥離を生じるか確認した。界面剥離が容易に起こるなら、自着性が不良(×)と評価し、界面剥離が起こらないものを良好(○)とした。
【0062】
【表1】


【0063】
次に、制振性、接着性及び電気特性の評価を行った。
【0064】
〈実施例7〉制振性の評価
亜鉛鋼板(1×25×300mm)に実施例1で得られたIIR水系乳化分散液を乾燥厚0.2mmとなるように塗布、乾燥し、別の亜鉛鋼板を貼り合わせ、クリップで固定して評価用試験片を作成した。面密度は15.9Kg/mであった。試験片中央部を電磁非接触加振法で屈曲振動させ、圧電型加速度計で受振し、振動モビリティを測定した。測定温度を−30℃から50℃まで変化させ、周波数500Hzでの損失係数ηを測定した。結果を図1に示した。
【0065】
図1に示す通り、本発明の水系乳化分散液は、固形ブチルゴムと同等の制振性が確認された。
【0066】
〈実施例8〉接着性の評価
厚さ1mmのEPDMシートの上に、実施例1で得られたIIR水系乳化分散液を、乾燥厚0.1mmとなるようにコーティングし、室温で乾燥した。これを2枚貼り合せローラーで圧着後、25mm×150mmの短冊状に切り出し、300mm/分の速度で180度剥離試験を実施した。その結果、剥離強度は8N/25mmであった。
【0067】
〈実施例9〉電気特性の評価
実施例1で得られたIIR水系乳化分散液を用いて、乾燥厚0.78mmのフィルムを作成し、下記方法で体積抵抗率を測定した。その結果、体積抵抗率は2.26×1012(Ωcm)であった。
【0068】
体積抵抗率測定条件:
試験方法:IEC60093に準拠
試験条件:23℃、印加電圧500V×1分
状態調製:23℃・55%×48時間以上
試験器 :超絶縁計 R−503(株)川口電気製作所製
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかる水系乳化分散液は、塗料、プライマー、インキ、接着剤、シーリング用樹脂として用いることができる。また、水性のアクリル、ウレタン、ポリエステル等の樹脂と配合して用いることも可能である。
【0070】
制振材としては、水系の塗布型制振材や、塗工乾燥してシート状制振材としても使用でき、自動車、鉄道、船舶、建築、産業機械、住宅設備、音響機器、家電機器、事務機器、航空機などの制振に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例7の制振性の測定結果を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子

【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人

【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士

【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸

【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進


【公開番号】 特開2008−13608(P2008−13608A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183842(P2006−183842)