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【発明の名称】 透湿性チューブの製造方法
【発明者】 【氏名】近藤 悟

【氏名】橋爪 克浩

【氏名】別所 正博

【氏名】米谷 秀雄

【氏名】瀧 久仁

【氏名】岡田 有二

【要約】 【課題】ブツや破れを大幅に低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる透湿性チューブの製造方法を提供する。

【構成】透湿性ポリウレタンをフレーク状に粉砕してフレーク材を製造し、フレーク材をペレット化して、ペレットを製造するペレット製造工程と、ペレットをチューブ状に成形し、チューブ状の成形体を製造するチューブ製造工程とを備えた透湿性チューブの製造方法であって、チューブ製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにしたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透湿性ポリウレタンをフレーク状に粉砕してフレーク材を製造し、
前記フレーク材をペレット化して、ペレットを製造するペレット製造工程と、
前記ペレットをチューブ状に成形し、チューブ状の成形体を製造するチューブ製造工程とを備えた透湿性チューブの製造方法であって、
前記チューブ製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにしたことを特徴とする透湿性チューブの製造方法。
【請求項2】
前記ペレット製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の透湿性チューブの製造方法。
【請求項3】
前記再結晶化温度領域を外した前記温度が、190℃以上194℃以下あるいは196℃以上、好ましくは197℃以上、より好ましくは205℃以上とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の透湿性チューブの製造方法。
【請求項4】
透湿性ポリウレタンをフレーク状に粉砕してフレーク材を製造し、
前記フレーク材をチューブ状に成形し、チューブ状の成形体を製造するチューブ製造工程とを備えた透湿性チューブの製造方法であって、
前記チューブ製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにしたことを特徴とする透湿性チューブの製造方法。
【請求項5】
前記再結晶化温度領域を外した前記温度が、190℃以上204℃以下あるいは206℃以上、好ましくは190℃以上200℃以下あるいは210℃以上、より好ましくは215℃以上とされていることを特徴とする請求項4に記載の透湿性チューブの製造方法。
【請求項6】
イソシアネート成分と、鎖延長剤としてのポリオールと、ポリオール成分としてのポリエチレングリコールとが少なくとも原料として用いられ、これら原料が反応させられて得られた透湿性ポリウレタンからなる透湿性チューブであって、
前記透湿性ポリウレタンの熱履歴が、再結晶化領域を外した温度領域を有することを特徴とする透湿性チューブ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、透湿性ポリウレタンからなる透湿性チューブの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透湿性ポリウレタンからなる透湿性チューブの製造方法としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【特許文献1】特開2003−246832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献に開示された透湿性チューブの製造方法では、不良品(例えば、1.5mm以上の異常な肉厚部(以下、「ブツ」という。)や破れを有するもの)率が高くなるとともに、材料歩留まり(良品と判定された透湿性チューブの総重量/使用された透湿性ポリウレタンの総重量)が低くなり、製造コストが増加してしまうといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ブツや破れを大幅に低減させることができ、良品率(良品と判定された透湿性チューブの本数/透湿性チューブの総生産本数)を向上させることができるとともに、材料歩留まり(良品と判定された透湿性チューブの総重量/使用された透湿性ポリウレタンの総重量)を向上させることができて、製造コストを低減させることができる透湿性チューブの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明による透湿性チューブの製造方法は、透湿性ポリウレタンをフレーク状に粉砕してフレーク材を製造し、前記フレーク材をペレット化して、ペレットを製造するペレット製造工程と、前記ペレットをチューブ状に成形し、チューブ状の成形体を製造するチューブ製造工程とを備えた透湿性チューブの製造方法であって、前記チューブ製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにした。
このような透湿性チューブの製造方法によれば、チューブ製造工程において透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを低減させることができるので、ブツや破れを低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
なお、再結晶化温度領域は、透湿性ポリウレタンの内部に再結晶が生じる温度のピーク近傍を外した温度領域であればよい。
【0006】
上記透湿性チューブの製造方法において、前記ペレット製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにした。
このような透湿性チューブの製造方法によれば、ペレット製造工程において透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを低減させることができるので、ブツや破れを低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
【0007】
上記透湿性チューブの製造方法において、前記再結晶化温度領域を外した前記温度が、190℃以上194℃以下あるいは196℃以上、好ましくは197℃以上、より好ましくは205℃以上とされている。
このような透湿性チューブの製造方法によれば、透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを防止することができるので、ブツや破れを大幅に低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
なお、この場合の再結晶化温度領域は、195℃近傍となる。
【0008】
本発明による透湿性チューブの製造方法は、透湿性ポリウレタンをフレーク状に粉砕してフレーク材を製造し、前記フレーク材をチューブ状に成形し、チューブ状の成形体を製造するチューブ製造工程とを備えた透湿性チューブの製造方法であって、前記チューブ製造工程が、再結晶化温度領域を外した温度で行われるようにした。
このような透湿性チューブの製造方法によれば、チューブ製造工程において透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを低減させることができるので、ブツや破れを低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
なお、再結晶化温度領域は、透湿性ポリウレタンの内部に再結晶が生じる温度のピーク近傍を外した温度領域であればよい。
【0009】
上記透湿性チューブの製造方法において、前記再結晶化温度領域を外した前記温度が、190℃以上204℃以下あるいは206℃以上、好ましくは190℃以上200℃以下あるいは210℃以上、より好ましくは215℃以上とされている。
このような透湿性チューブの製造方法によれば、透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを防止することができるので、ブツや破れを大幅に低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
なお、この場合の再結晶化温度領域は、205℃近傍となる。
【0010】
本発明による透湿性チューブは、イソシアネート成分と、鎖延長剤としてのポリオールと、ポリオール成分としてのポリエチレングリコールとが少なくとも原料として用いられ、これら原料が反応させられて得られた透湿性ポリウレタンからなる透湿性チューブであって、前記透湿性ポリウレタンの熱履歴が、再結晶化領域を外した温度領域を有するように構成されている。
このような透湿性チューブによれば、透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを低減させることができるので、ブツや破れを低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による透湿性チューブの製造方法によれば、ブツや破れを大幅に低減させることができ、良品率を向上させることができるとともに、材料歩留まりを向上させることができて、製造コストを低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る透湿性チューブの製造方法の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
まずはじめに、イソシアネート成分と特定の鎖延長剤及びポリオール成分を主原料として用い、これら主原料をそれぞれが適宜な配合比となるようにして反応させることにより重合して得られた透湿性ポリウレタンをフレーク状に粉砕し、フレーク材を製造する。
【0013】
イソシアネート成分としては、特に限定されることなく従来一般的な種々のものが用いられる。例えば、4,4’−メチレンビスフェニルイソシアネート(MDI)や、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンイソシアネートなどが用いられるが、特に4,4’−メチレンビスフェニルイソシアネート(MDI)は、蒸気圧が低いために取り扱い性や作業性に優れ、また、得られるポリウレタンの機械的物性も高くなることから、好適に用いられる。
【0014】
鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオールが用いられる。これは、従来例えば衣料用の透湿性ポリウレタン樹脂では、鎖延長剤としてエチレングリコールを用いていたが、その場合に溶媒中で重合・成形を行うことになっていたのを、このように1,4−ブタンジオールを用いることにより、後述するように溶媒レス化を図っているのである。なお、ポリウレタンの原料に用いられる鎖延長剤としては、これ以外にもジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等各種が利用できる。得られるポリウレタンの成形性や機械的物性を確保する観点からは、1,4−ブタンジオールが特に好ましく利用できる。
【0015】
ポリオール成分としては、分子量が600以上4000以下のポリエチレングリコール(PEG)が用いられる。ポリエチレングリコールは、例えばポリテトラメチレングリコール(PTMG)やポリプロピレングリコール(PPG)とポリエチレングリコールとの共重合体に比べ、得られるポリウレタン樹脂の透湿性がより良好になるからである。また、分子量、すなわち重量平均分子量を600以上4000以下としたのは、4000を越えると反応性が低くなってしまい、また600未満であると逆に反応性が高くなって安定したポリマーの重合が困難になってしまうとともに、透湿性も低くなって実用的でなくなるおそれがあるからである。また、この分子量については、特に2500以上3000以下の範囲にするのが好ましく、このような範囲にすることにより、ポリマーの安定した重合性と、得られたポリウレタンの良好な透湿性を確保することができる。
【0016】
このポリオール成分としては、前記のポリエチレングリコールに加えて、シリコン型ポリオールを用いることができる。このシリコン型ポリオールとしては、特に以下に示すポリシロキサンカルビノール変性体が用いられ、中でも分子量が100以上3000以下のものが好適に用いられる。
【0017】
【化1】


【0018】
このシリコン型ポリオールは、得られるポリウレタンをシリコンの分子間力(凝集力)が小さいという特性を付与するために少量添加する。シリコン型ポリオールは、成形物、特にチューブ成形時の離型性を高くし、成形物のタック性を低減するために用いる。このようなシリコン型ポリオールのポリオール成分全体に対する配合量としては、1wt%以上70wt%以下、好ましくは2wt%以上4wt%以下とされる。1wt%未満では得られるポリウレタン中のシリコン含有量が少なくなるため、離型性を高くし、タック性を低減する効果が十分に得られず、70wt%を越えると高価なシリコン型ポリオールを添加して得られる成形性や機械強度等の物性が飽和するからである。また、2wt%以上、4wt%以下の範囲では、チューブ成形時の離型性を高くし、かつ成形物のタック性を低減でき、十分な透湿性が得られる。
【0019】
また、前記鎖延長剤とポリオール成分との配合量については、その比が、好ましくはポリオール成分1モルに対して鎖延長剤が3モル以上10モル以下となる範囲内、さらに好ましくは4モル以上10モル以下となる範囲内に調製されて用いられる。ポリオール成分1モルに対して鎖延長剤が3モル未満であると、得られるポリウレタンの強度が不足し、実用性が低下してしまうからであり、10モルを越えると、得られるポリウレタンの透湿性が低下し、またポリマーの重合も困難になってしまうからである。また、4モルを越えると、得られるポリウレタンの強度が良好となり、好ましい。
【0020】
また、イソシアネート成分とポリオール成分との配合量については、その比が、好ましくはポリオール成分1モルに対してイソシアネート成分が4モル以上12モル以下、さらに好ましくは5モル以上10モル以下となる範囲内に調製されて用いられる。このような範囲にすることにより、良好なポリマー重合性を確保することができるとともに、得られるポリウレタンの良好な強度を確保することができる。
【0021】
また、本発明の透湿性ポリウレタンにおいては、抗菌剤を含有するのが好ましい。すなわち、本発明の透湿性ポリウレタンでは、前記のイソシアネート成分、鎖延長剤、及びポリオール成分からなる主原料に加え、前記抗菌剤を好ましくは全体の0.1重量%を越え、1.0重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上1.0重量%以下、望ましくは0.5重量%以上1.0重量%以下の範囲で添加配合する。添加する抗菌剤は、一般には防カビ剤とも呼ばれ、または抗菌・防かび剤とも呼ばれる粉状あるいは顆粒状等のもので、特に限定されることなく公知のもの、すなわち無機系のもの(例えば銀系抗菌剤)や有機系のもの(例えばヨード系抗菌剤;3−ヨード−2−プロピルブチルカルバメート)、さらには無機/有機の複合系のもの(例えばヨード系複合抗菌剤)が用いられる。なお、これら三つの系の中では、特に無機/有機の複合系のものが好ましい。これは、無機系のものは低活性である反面耐久性が高く、一方有機性のものは高活性である反面耐久性に乏しいという、相反する特性を有しているため、双方の抗菌剤の特性をうまく利用するうえで、複合抗菌剤を用いるのが好ましいからである。
【0022】
また、抗菌剤の含有量(添加量)を、好ましくは全体の0.1重量%以上1.0重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上1.0重量%以下、望ましくは0.5重量%以上1.0重量%以下の範囲としたのは、後述する実験結果より、0.1重量%以下では添加による抗菌(防カビ)効果が十分に認められず、また、1.0重量%を越えてもその効果が飽和してしまい、抗菌剤が前記の主原料に比べて高価であるためコスト的に不利になってしまうからである。また、0.2重量%以上1.0重量%以下とすれば効果がより顕著になるからであり、さらに0.5重量%以上1.0重量%以下とすれば効果が飽和した範囲となってより良好な効果が得られるからである。
【0023】
なお、透湿性ポリウレタンは、前記のイソシアネート成分と鎖延長剤とポリオール成分とを主原料としてこれらが反応させられ、その後必要に応じて前記の抗菌剤が添加されることにより形成されるが、特に主原料の反応に際しては、公知のウレタン化触媒、安定化剤、相溶化剤、着色剤等を適宜に添加することができる。
【0024】
以上のように、透湿性ポリウレタンは、イソシアネート成分と特定の鎖延長剤及びポリオール成分を主原料として用い、これら主原料をそれぞれが適宜な配合比となるようにして反応させることにより、溶剤を用いることなく重合して得られるものである。反応法としては、特に限定されることなく、プレポリマー法、ワンショット法等、公知の方法を採用することが可能である。また、抗菌剤を含有させる場合には、例えば主原料を反応させた後、得られた反応物に抗菌剤を添加混合する方法が採用される。
【0025】
このようにして得られる透湿性ポリウレタンは、特に主原料からなる場合にそれ自体で良好な高透湿性および機械的物性を有しており、さらには良好な成形性を備えることから、例えば常法の造粒法によるペレット化が可能となる。また、このようなペレット化時、すなわち造粒時に、前記の抗菌剤(防カビ剤)を造粒機に投入添加し、溶融混合することによって得られるペレット中に該抗菌剤を練り込むことができる。同様に、タルクやシリカ、炭酸カルシウム等の各種増量剤、カーボン等の導電剤、さらには触媒や酵素など、各種添加剤を練り込むこともできる。このようなペレット化時(造粒時)の温度は、例えば200℃程度とされる。さらに、このようにして得られるペレットを用いることにより、各種の成形法、例えば押出成形法等が可能になる。
【0026】
つぎに、図1に示すような第1の押出成形機11を用いて、前記フレーク材をペレット化(粒状化)し、ペレットを製造する。
第1の押出成形機11は、材料としてフレーク材(フレーク状に粉砕された透湿性ポリウレタン)を収容するホッパー12と、このホッパー12から供給されたフレーク材(透湿性ポリウレタン)を加熱溶融しつつ、スクリュー13によってこれを押し出す成形機本体14と、この成形機本体14の先端部に設けられたアダプタ15およびダイ16とを備えたものである。
ダイ16の先端には、図示しない複数の貫通孔があけられたダイスプレートが取り付けられている。また、このダイスプレートの貫通孔の近くには、図示しないモータと、このモータによって回転させられる回転軸の先端に取り付けられた回転刃とから構成される破断機が設けられている。そして、ペレット化された透湿性ポリウレタン(ペレット)は、破断機の近くに供給された冷却水とともに下流側に流れていき、図示しない遠心分離式の脱水機などに導かれるようになっている。
第1の押出成形機11における温度条件、すなわち、図1におけるC1,C2,C3,アダプタ15,ダイ16の温度は、以下の通りである。
C1:200℃,C2:200℃,C3:190℃,
アダプタ15:190℃,ダイ16:210℃
【0027】
ここで、フレーク材とペレットとを比較すると、フレーク材は熱履歴を有していないのに対して、ペレットは上述したような熱履歴を有している。また、フレーク材の形状は不定形となるのに対して、ペレットの形状は略定形(例えば、米粒大の粒状)となる。さらに、フレーク材の溶融粘度は6000〜20000Pa.s/210℃であるのに対して、パレットの溶融粘度は1000〜3000Pa.s/200℃である。さらにまた、ペレットの透湿性能を100とした場合、フレーク材の加湿性能は約80である。
【0028】
つづいて、図2に示すような第2の押出成形機21を用いて、前記ペレットをチューブ状に成形する。
第2の押出成形機21は、材料としてペレット(ペレット化された透湿性ポリウレタン)を収容するホッパー22と、このホッパー22から供給されたペレットを加熱溶融しつつ、スクリュー23によってこれを押し出す成形機本体24と、この成形機本体24の先端部に設けられたダイゲート25およびダイ26とを備えたものである。
【0029】
ダイ26は、その内部に図6に示すような中子27が配置されるとともに、透湿性ポリウレタンが通過する流路28が形成されている。すなわち、流路28内を通過する透湿性ポリウレタンは、中子27の先端(上流端)に達したところから徐々に拡径させられ、その後暫くの間同径のまま移動させられた後、出口端に向かって徐々に縮径させられるようになっている。
また、ダイ26の出口端は所望径の円形状に形成されており、ダイゲート25またはこのダイ26の内部には、その中心部に空気ノズル(図示せず)が設けられている。このような構成のもとに、この第2の押出成形機21は、供給されたペレットを溶融しつつスクリュー23によって成形機本体24の先端側に押し出し、さらに空気ノズルより成形体の中心部に空気を吐出してこれの中心部に孔をあけつつダイ26から押し出すことにより、チューブ状の成形体(例えば、外径4.5mm、内径4.0mm、厚さ0.25mm、長さ135mmの管体)を得る。なお、材料として用いるペレット化された透湿性ポリウレタンとしては、前記の抗菌剤を含有したものでもよく、また含有しないものでもよい。
【0030】
ここで、本発明者らは、フレーク材をペレット化する際、およびペレット化されたペレットをチューブ状に成形する際に、所定の温度以上の条件下でこれらの処理をすることにより、ブツや破れを大幅に低減させることができるという知見を得た。
まずはじめに、フレーク材を図3に示すような熱(ヒート)サイクルにしたがって加熱・冷却する。すなわち、一旦、所定温度(例えば、200℃)まで加熱し、その温度で所定時間(例えば、30分)ホールド(保持)した後冷却し、再加熱する。
そして、再加熱していった際の融解ピーク温度および吸熱量を測定していく。すると、例えば、図5に示すようなグラフを得ることができる。図5において横軸は温度(℃)、縦軸はダイ26を加熱するための電熱線に与えられた(加えられた)熱量(mW)である。なお、図5では、所定時間が60分とされている。
つぎに、所定温度を変化させて同様の試験を繰り返し行い、これらの測定結果をまとめたものが図4である。図4において横軸は前記所定の温度(℃)、縦軸は再加熱していった際の融解ピーク温度(℃)および吸熱量(J/g)である。
【0031】
図4から、所定の温度が215℃以上になると、融解ピーク温度が消滅するとともに吸熱量が0(零)になることがわかる。すなわち、これは、フレーク材を215℃以上の条件下で処理すると、その内部で再結晶化が起こらず、その内部には結晶状の物質(高融点物質)が存在しなくなることを意味している。
【0032】
つぎに、第1の押出成形機11で製造されたペレットを図3に示すような熱(ヒート)サイクルにしたがって加熱・冷却する。すなわち、一旦、所定温度(例えば、200℃)まで加熱し、その温度で所定時間(例えば、30分)ホールド(保持)した後冷却し、再加熱する。
そして、再加熱していった際の融解ピーク温度および吸熱量を測定していく。すると、例えば、図5に示すようなグラフを得ることができる。図5において横軸は温度(℃)、縦軸はダイ26を加熱するための電熱線に与えられた(加えられた)熱量(mW)である。なお、図5では、所定時間が60分とされている。
つぎに、所定温度を変化させて同様の試験を繰り返し行い、これらの測定結果をまとめたものが図4である。図4において横軸は前記所定の温度(℃)、縦軸は再加熱していった際の融解ピーク温度(℃)および吸熱量(J/g)である。
【0033】
図4から、所定の温度が205℃以上になると、融解ピーク温度が消滅するとともに吸熱量が0(零)になることがわかる。すなわち、これは、ペレットを205℃以上の条件下で処理すると、その内部で再結晶化が起こらず、その内部には結晶状の物質(高融点物質)が存在しなくなることを意味している。
【0034】
したがって、第1の押出成形機11においてフレーク材をペレット化する際、215℃以上の温度で処理するとともに、第2の押出成形機21においてペレット化されたペレットをチューブ状に成形する際、205℃以上の温度で処理することにより、透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを防止することできる。
【0035】
本実施形態による透湿性チューブの製造方法によれば、透湿性ポリウレタンの内部に結晶状の物質が発生してしまうことを防止することできるので、異常な肉厚部(「ブツ」ともいう。)や破れを大幅に低減させることができ、良品率(良品と判定された透湿性チューブの本数/透湿性チューブの総生産本数)を向上させることができるとともに、材料歩留まり(良品と判定された透湿性チューブの総重量/使用された透湿性ポリウレタンの総重量)を向上させることができて、製造コストを低減させることができる。
なお、ここでいう「良品」とは、ブツのないもののことである。
【0036】
本発明による透湿性チューブの製造方法の他の実施形態について説明する。
本実施形態に係る透湿性チューブの製造方法は、第1の押出成形機11を使用せずに、前記フレーク材を第2の押出成形機21のホッパー22に直接供給するようにしているという点で上述した実施形態のものと異なる。
【0037】
なお、本実施形態においては、第2の押出成形機11にフレーク材が供給されることとなるので、第2の押出成形機21においてフレーク材をチューブ状に成形する際、215℃以上の温度で処理されることとなる。
【0038】
作用効果については、上述した実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0039】
本発明は上述した実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、ブツの大きさが1mmよりも小さく、かつ、尾引きのないものまでを良品とする場合には、フレーク材をペレット化する際、あるいはフレーク材をチューブ状に成形する際の温度を、210℃以上あるいは190℃〜200℃とすることができ、ペレット化されたペレットをチューブ状に成形する際の温度を、197℃以上とすることができ、温度管理をより緩やかなものとすることができる。
なお、図6は、ペレット化されたペレットをチューブ状に成形する際の温度を、197℃以上に設定した場合の一具体例を示している。図6に示すように、本具体例では、ダイ26における流路28の外側の温度が略200℃に保たれ、かつ、流路28の内側の温度が204℃以上に保たれている。中子27の近傍において流路28の内側の温度が外側の温度よりも高くなるのは、ダイ26を加熱するための電熱線(図示せず)が、ダイ26の外側に巻き付けられていて、中子27に熱がこもりやすい構成となっているからである。
【0040】
また、例えば、ブツの大きさが1mm以下で、かつ、尾引きの有無を判別することができないものあるいは尾引きのあるものまでを良品とする場合には、フレーク材をペレット化する際、あるいはフレーク材をチューブ状に成形する際の温度を、例えば、206℃以上あるいは190℃〜204℃とする(すなわち、205℃近傍を避けた温度領域とする)ことができ、ペレット化されたペレットをチューブ状に成形する際の温度を、190℃〜194℃あるいは196℃以上とする(すなわち、195℃近傍を避けた温度領域とする)ことができ、温度管理をさらに緩やかなものとすることができる。
なお、透湿性ポリウレタンの融解点は、190℃である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による透湿性チューブの製造方法を説明するための図であって、第1の押出成形機の側断面図である。
【図2】本発明による透湿性チューブの製造方法を説明するための図であって、第2の押出成形機の側断面図である。
【図3】本発明の知見を得るために行った試験の試験条件を説明するための図である。
【図4】本発明の知見を得るために行った試験の結果をまとめたグラフである。
【図5】本発明の知見を得るために行った試験の一試験結果を示すグラフである。
【図6】本発明による透湿性チューブの製造方法の一具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
11 第1の押出成形機
12 ホッパー
13 スクリュー
14 成形機本体
15 アダプタ
16 ダイ
21 第1の押出成形機
22 ホッパー
23 スクリュー
24 成形機本体
25 ダイゲート
26 ダイ
27 中子
28 流路
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生


【公開番号】 特開2008−13603(P2008−13603A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183466(P2006−183466)