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セルロースエステルフィルム - 特開2008−7780 | j-tokkyo
トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 セルロースエステルフィルム
【発明者】 【氏名】立花 範幾

【要約】 【課題】偏光子との接着性に優れた偏光板保護用のセルロースエステルフィルムを提供する。

【構成】架橋剤により架橋されたことを特徴とするセルロースエステルフィルム。該架橋剤が、ビニルスルホン基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、活性ハロゲン基、アルデヒド基、エチレンイミン基、活性エステル生成基から選ばれる少なくとも一種の基を有する。また、前記セルロースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤により架橋されたことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
【請求項2】
該架橋剤が、ビニルスルホン基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基、活性ハロゲン基、アルデヒド基、エチレンイミン基、活性エステル生成基から選ばれる少なくとも一種の基を有することを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
【請求項3】
前記セルロースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースエステルフィルムに関し、更に詳しくは偏光子との接着性にすぐれた偏光板保護用のセルロースエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶画像表示装置の形成に用いられる偏光板は、通常偏光機能を有する二色性染料で着色し一軸延伸されたポリビニルアルコールからなる偏光子に、トリアセチルセルロースからなる偏光板用保護フィルム2枚を両側より貼り合わせることにより製造されている。
【0003】
この場合、トリアセチルセルロースフィルムと偏光膜の接着性を高めるために、トリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる前に苛性ソーダのようなアルカリ水溶液に浸漬、鹸化することが行われている。
【0004】
近年、液晶画像表示装置は、カーナビゲーション、携帯電話表示装置に代表されるように外部で使用される機会が多くなり、様々な環境下での高い耐久性が強く求められている。
【0005】
しかしながら、これまでの偏光板は、ガラス基板に偏光板を貼り付ける工程の一部で偏光板が裂けてしまうという欠点があった。
【0006】
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、その原因が偏光子と偏光板用保護フィルムの接着性の不足であることを突き止めた。
【特許文献1】特開平09−113727号公報
【特許文献2】特開平08−240712号公報
【特許文献3】特開平08−050204号公報
【特許文献4】特開平09−090101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、偏光子との接着性に優れた偏光板保護用のセルロースエステルフィルムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、下記構成により達成された。
1.架橋剤により架橋されたことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
2.該架橋剤が、ビニルスルホン基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基、活性ハロゲン基、アルデヒド基、エチレンイミン基、活性エステル生成基から選ばれる少なくとも一種の基を有することを特徴とする前記1記載のセルロースエステルフィルム。
3.前記セルロースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムであることを特徴とする前記1または2に記載のセルロースエステルフィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の目的は、偏光子との接着性に優れた偏光板保護用のセルロースエステルフィルムにより達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明に係るセルロースエステルフィルムについて説明する。
【0012】
本発明で用いられるセルロースエステルとしては、セルロースエステルが低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0013】
セルロースエステルの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましい例として挙げられる。
【0014】
また、上記以外にも、特開平10−45804号、同08−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。
【0015】
上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテートである。
【0016】
更に、ベース強度の観点から、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%が好ましく用いられ、更に好ましいのは、結合酢酸量が58〜62.5%のセルローストリアセテートである。
【0017】
セルローストリアセテートは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
【0018】
ベルトやドラムからの剥離性がもし問題になれば、ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートを多く使用すれば生産性が高く好ましい。
【0019】
木材パルプから合成されたセルローストリアセテートを混合し用いた場合、綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートの比率が40質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、単独で使用することが最も好ましい。
【0020】
本発明に用いられる偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステルフィルムをアルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。
【0021】
アルカリケン化処理とは、このときの水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0022】
本発明に用いられる偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
【0023】
これらは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に偏光板用保護フィルムである透明なプラスチックフィルムが張り合わされて偏光板を形成する。
【0024】
しかしながら、従来の偏光板は、基盤に偏光板を貼り付ける工程の一部で、偏光板が裂けてしまうという重大な欠点を生じることが判明した。
【0025】
本発明者らは、この原因が、偏光子と偏光板用保護フィルムの接着性の不足であることを突き止めた。本発明者らは、鋭意検討の結果、偏光子と偏光板用保護フィルムの引っ張り弾性率を近づけることにより、偏光子と偏光板の裂ける欠点が改良されることを見いだした。
【0026】
引っ張り弾性率を調整する方法としては、製造工程の最終段階で強い加熱処理を行う、引っ張り弾性率の大きいポリマーを混合する、架橋する方法等が挙げられる。
【0027】
引っ張り弾性率は、23℃相対湿度55%にて引っ張り試験器により測定しS−S曲線より求めた。引っ張り弾性率は、3.3×109〜3.9×109Pa(340〜400Kgf/mm2)が好ましく、更に好ましくは3.4×109〜3.9×109Pa(345〜395Kgf/mm2)、特に好ましくは3.4×109〜3.8×109Pa(350〜390Kgf/mm2)である。
【0028】
本発明におけるポリマーとしては、セルロースエステルフィルムとの相溶性の点からは、多糖類が挙げられ、特にキチン及びキトサンが好ましい。
【0029】
本発明におけるキチンは、主としてカニの甲羅から製造されている。一般に粉砕、水洗したカニ殻を、希塩酸で処理して無機質を除き、次いで希苛性ソーダで処理して有機質を除去し、不溶の残分としてキチンを得るという方法で行われる。
【0030】
又、本発明におけるキトサンは、キチンの脱アセチル化で得られる。キチンの脱アセチル化は、キチンを50%前後の熱苛性ソーダ溶液で処理することで行われる。通常、キトサンの脱アセチル化度は、0〜100%であり、好ましくは、50〜90%である。
【0031】
100%脱アセチル化されていなくとも希酢酸(1%)に溶けるようになったものは、一般にキトサンと呼ばれており、本発明に用いることができる。
【0032】
本発明においては、キトサンをキトサン誘導体とすることで膜強度、溶解性をコントロールすることができる。誘導体としては、アセチル化、アルキル化、カルボキシアルキル化、スルホン化、アルキルスルホン化したもの等が挙げられる。
【0033】
本発明において、前記キトサン又はキトサン誘導体の好ましい分子量Mwは、10,000から500,000である。
【0034】
キチン及びキトサンの添加量は、任意に選択することができるが、好ましくはセルロースエステルフィルムに対し0.5〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
【0035】
本発明に係るセルロースエステルフィルムには可塑剤が含有される。用いることのできる可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。
【0036】
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましい。液晶表示部材用としては、寸法安定性の観点から、2〜10質量%が好ましく、特に好ましくは3〜7質量%である。
【0037】
ここで言う加工性とはベースフィルムや液晶表示部材をスリット加工や打ち抜き加工する際のことで、加工性が悪いと切断面がノコギリ状になり切り屑が発生し、製品に付着し欠陥となるため好ましくない。
【0038】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには、他に必要ならマット剤として酸化珪素等の微粒子を加えてもよい。前記微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
【0039】
フィルムのヘイズとしては1%以下であり、好ましくは0.8%以下である。
【0040】
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均径が大きい方がマット効果は大きく、平均径の小さい方は透明性に優れるため、本発明においては、微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。
【0041】
酸化珪素の微粒子としては、アエロジル(株)製のAEROSIL200、300、R972、R974、R202、R812、OX50、TT600などがあげられ、好ましくはAEROSIL R972、R974、R202、R812などがあげられる。
【0042】
請求項1に係る発明のセルロースエステルフィルムには架橋剤が含有される。
【0043】
架橋剤としては、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、ホウ酸、酸化コバルト等が好ましい。また、メタキシレンビニルスルホン酸等のビニルスルホン基を有する化合物、ビスフェノールグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、ブロックドイソシアネート基を有する化合物、2−メトキシ−4,6−ジクロルトリアジン、2−ソディウムオキシ−4,6−ジクロルトリアジン等の活性ハロゲン基を有する化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール等のアルデヒド基を有する化合物、ムコクロル酸、テトラメチレン−1,4−ビス(エチレンウレア)、ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア)等のエチレンイミン基を有する化合物及び活性エステル生成基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物を使用することができ、又2種以上の架橋剤を併用しても良い。
【0044】
これらのうち、金属酸化物、ビニルスルホン基を有する化合物、エチレンイミン基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物が特に好ましい。
【0045】
本発明において、ビニルスルホン基を有する化合物とは、スルホニル基に結合したビニル基あるいはビニル基を形成しうる基を有する化合物であり、好ましくはスルホニル基に結合したビニル基またはビニル基を形成しうる基を少なくとも2つ有しており、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0046】
一般式(1)
(CH2=CHSO2n
式中、Aはn価の連結基であり、例えばアルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基、置換フェニレン基であり、間にアミド連結部分、アミノ連結部分、エーテル連結部分あるいはチオエーテル連結部分を有していても良い。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、スルホン酸基、硫酸エステル基等が挙げられる。nは1、2、3又は4である。
【0047】
以下にビニルスルホン系架橋剤の代表的具体例を挙げる。
【0048】
【化1】


【0049】
【化2】


【0050】
エポキシ基を有する化合物としては、特にエポキシ基を2つ以上有し1つの官能基当たりの分子量が300以下のものが好ましい。以下にエポキシ基を有する架橋剤の具体例を挙げる。
【0051】
【化3】


【0052】
【化4】


【0053】
エチレンイミン基を有する化合物としては、特に2官能、3官能で分子量が700以下のものが好ましく用いられる。以下にエチレンイミン基を有する架橋剤の具体例を挙げる。
【0054】
【化5】


【0055】
【化6】


【0056】
本発明における架橋剤の使用量は、適用されるセルロースエステルフィルムにより異なるが、好ましくは添加される多糖類の0.1〜10質量%、好ましくは1〜8%である。
【0057】
次に発明のセルロースエステルフィルムに含有される紫外線吸収剤について説明する。
【0058】
本発明で用いられる紫外線吸収剤は、融点が100℃以上であるが、好ましくは135℃以上であり、更に好ましくは140℃以上である。
【0059】
更に、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
【0060】
本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく用いられる。以下に具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−ter−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−ter−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
また本発明で用いられる紫外線吸収剤のひとつであるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−7:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−8:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−9:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−10:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0061】
紫外線吸収剤の添加方法としては、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0062】
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常はセルロースエステルフィルム1m2当り、0.2g〜2.0gが好ましく、0.4g〜1.5gがさらに好ましく、0.6g〜1.0gが特に好ましい。
【0063】
係る発明においては、融点が100℃以上の少なくとも1種の紫外線吸収剤がセルロースエステルフィルム中に含有されるが、融点100℃未満の紫外線吸収剤を併用してもよい。
【0064】
融点100℃以上の紫外線吸収剤の量はセルロースエステルフィルムに含有される全紫外線吸収剤に対しての割合が多いほどその効果を発揮する。好ましくは30質量%以上で、さらに好ましくは50質量%、最も好ましくは、全量が融点100℃以上の紫外線吸収剤を使用する場合である。
【0065】
本発明のセルロースエステルフィルムは、高い寸法安定性、良好な紫外線カット性能から液晶表示用部材に用いられるのが好ましい。液晶表示用部材とは液晶表示装置に使用される部材のことで、例えば、偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差板、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルム等があげられる。
【0066】
上記記載の中でも、寸法安定性に対しても厳しい要求のある偏光板、偏光板用保護フィルムにおいて、本発明のセルロースエステルフィルムは特に好適に用いられる。
【0067】
次に、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
【0068】
本発明において、セルロースエステルが溶解しているドープ液とは、セルロースエステルが溶剤(溶媒)に溶解している状態であり、前記ドープ液には、可塑剤等の添加剤を加えてもよく、勿論、必要によりこの他の添加剤を加えることも出来る。ドープ液中のセルロースエステルの濃度としては、10〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、18〜20質量%である。
【0069】
本発明で用いられる溶剤は、単独でも併用でもよいが、良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、更に好ましくは、良溶剤と貧溶剤の混合比率は良溶剤が70〜95質量%であり、貧溶剤が30〜5質量%である。
【0070】
本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの結合酢酸量によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となってしまう。
【0071】
本発明に用いられる良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類が挙げられる。また、本発明に用いられる貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等が好ましく用いられる。
【0072】
ドープ液を調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、好ましい方法としては、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させ、さらに良溶剤と混合する方法が好ましく用いられる。
【0073】
このとき加圧下で、溶剤の常温での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。
【0074】
本発明において、セルロースエステルの溶解に使用する加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器はそのほか圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。
【0075】
加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0076】
溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば40℃以上、50〜110℃の範囲に設定するのが好適である。又、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
【0077】
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
【0078】
本発明においては、セルロースエステルを溶剤に溶解させたドープ液と、微粒子や紫外線吸収剤などと少量のセルロースエステルが溶解している溶液がインラインで添加、混合され、次いで、支持体上に流延(キャスト工程)し、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)し、本発明のセルロースエステルフィルムが得られる。
【0079】
キャスト工程における支持体はベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、0〜30℃の支持体上に流延するほうが、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。
【0080】
剥離限界時間とは透明で平面性の良好なフィルムを連続的に得られる流延速度の限界において、流延されたドープが支持体上にある時間をいう。剥離限界時間は短い方が生産性に優れていて好ましい。
【0081】
流延(キャスト)される側の支持体の表面温度は、10〜55℃、溶液の温度は、25〜60℃、更に溶液の温度を支持体の温度より0℃以上高くするのが好ましく、5℃以上に設定するのが更に好ましい。
【0082】
溶液温度、支持体温度は、高いほど溶媒の乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
【0083】
支持体の温度の更に好ましい範囲は、20〜40℃、溶液温度の更に好ましい範囲は、35〜45℃である。
【0084】
また、剥離する際の支持体温度を10〜40℃、更に好ましくは、15〜30℃にすることでフィルムと支持体との密着力を低減できるので、好ましい。
【0085】
製造時のセルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残留溶媒量は、10〜80%が好ましく、更に好ましくは、20〜40%または60〜80%であり、特に好ましくは、20〜30%である。
【0086】
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
【0087】
残留溶媒量=(加熱処理前質量−加熱処理後の質量)×100/(加熱処理後質量)%
尚、残留溶媒量を測定する際の、加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
【0088】
支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常20〜25kg/mで剥離が行われるが、薄膜化されている場合のセルロースエステルフィルムは、剥離の際にシワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜17kg/mで剥離することが好ましく、更に好ましくは、最低張力〜14kg/mで剥離することである。
【0089】
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を3質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
【0090】
フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示部材用としては、ピンテンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。
【0091】
特に支持体より剥離した直後の残留溶媒量の多いところで幅保持を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮するため特に好ましい。フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。
【0092】
簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
【0093】
セルロースエステルフィルムの膜厚が薄すぎると、偏光板の保護フィルムとしての強度が不足し、偏光板の寸法安定性や湿熱での保存安定性が悪化する。膜厚が厚いと偏光板が厚くなり、液晶ディスプレイの薄膜化が困難になる。
【0094】
これらを両立するセルロースエステルフィルムの膜厚は20〜120μmで、好ましくは30〜60μm、更に好ましくは35〜45μmであり、最も好ましいのは40μmである。
【0095】
上記薄膜化した場合のセルロースエステルフィルムの好ましい水分率は、0.5〜4.0%であり、より好ましくは1.5〜3.5%、さらに好ましくは1.5〜3.0%である。
【0096】
セルロースエステルフィルムの含水率は、下記の方法により測定ができる。
【0097】
セルロースエステルフィルム試料を10cm2の大きさに断裁し、23℃相対湿度80%の条件下で48時間放置した後、その質量を測定しW1とした。ついで、該フィルムを、120℃で45分間加熱乾燥処理を施した後、その質量を測定しW2とした。各々得られた測定値から下記計算式により、23℃相対湿度80%における水分率を測定する。
【0098】
水分率(%)=((W1−W2)/W2)×100
【実施例】
【0099】
以下に実施例を用いて、本発明の態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0100】
下記の方法に従いセルロースエステルフィルム試料を作製した。
《試料1の作製》
(ドープ液の作製)
綿花リンターから合成されたセルローストリアセテート 85質量部
(酢化度61.0%)
木材パルプから合成されたセルローストリアセテート 15質量部
(酢化度61.0%)
UV−2(紫外線吸収剤) 1質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 4質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
アエロジルL200 平均粒径0.3μmに分散 2質量部
以上を密閉容器に投入し、70℃まで加熱、攪拌しながらセルローストリアセテート(TAC)を完全に溶解し、ドープ液を調製した。溶解に要した時間は、4時間であった。
【0101】
上記で調製したドープ液を濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ液温度35℃で30℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延し、110℃以下の乾燥風でフィルム中の残留溶媒量が25%になるまで溶媒を蒸発させ、次いでステンレスバンド支持体上からフィルムを剥離した。
【0102】
ドープ液の流延から剥離までに要した時間は3分であった。ステンレスバンド支持体から剥離した後、さらに多数のロールを搬送させながら50℃、90℃、120℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、膜厚40μmのセルローストリアセテートフィルムの試料1を得た。
《試料2の作製》
乾燥終了後さらに120℃で5分間乾燥ゾーンを通した以外は、試料1と同様にして、試料2を作製した。
《試料3、試料4の作製》
セルローストリアセテート(TAC)の代わりにアセチルプロピルセルロース(イーストマンケミカル社製CAP482−0.5)に変更した以外は試料1、試料2と同様にして、それぞれ試料3、試料4を作製した。
《試料5、試料6の作製》
ドープ液の溶解、調製の際に、下記に示す冷却法を用いた以外は試料1、試料2と同様にして、それぞれ試料5、試料6を作製した。
【0103】
実施例1のドープ組成物において、溶媒としてメチレンクロライドから酢酸メチルに変更し、以下の組成物を作製した。
【0104】
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 4質量部
酢酸メチル 475質量部
エタノール 50質量部
得られた上記組成物を−100℃に冷却後、残りのトリアセチルセルロース、UV−2、アエロジルL200を添加し、0℃から120℃に加温する過程で有機溶媒に完全に溶解した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。
《試料7〜試料14の作製》
表1に記載したように、ドープ液作製時にポリマー及び架橋剤を添加した以外は試料1と同様にして試料7から試料14を作製した。
【0105】
以上の様にして得られた試料1〜試料14について、弾性率、水分率及びヘイズを測定し、得られた結果を表1に示す。なお、ヘイズは、ASTM−D1003−52に従って測定した。
【0106】
次いで、得られた各セルロースエステルフィルムを用いて以下の方法にて偏光板を作製した。
【0107】
試料1〜試料14を40℃の2.5N−水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬しアルカリ処理し、3分間水洗して鹸化処理層を形成し、アルカリ処理フィルムを得た。
【0108】
次に、厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸してそれぞれの偏光膜を作製した。
【0109】
得られた偏光膜の両面に前記アルカリ処理済み試料フィルムを完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、各々貼り合わせて偏光板試料を作製した。得られた各偏光板試料について、脆弱性試験器により脆弱度を測定した。
【0110】
得られた結果を表1に示す。なお、脆弱度は、35mm×1mの試料を作製し、23℃相対湿度55%の条件下でウエッジ・ブリトルネス・アパレイタスを用いて測定した。数値は低いほど破断強度が高いことを示している。
【0111】
【表1】


【0112】
(結果)
表1から明らかなように、比較試料に比べ本発明に係わる試料は、弾性率の上昇に伴い、脆弱度が改良され破断強度が向上していることがわかる。とりわけ、本発明に係わるドープ製造時に冷却処理を施したもの、添加ポリマー、架橋剤を用いた試料が、極めて高い破断強度を有していることが明らかである。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【出願日】 平成19年7月11日(2007.7.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−7780(P2008−7780A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−182058(P2007−182058)