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【発明の名称】 発泡充填用組成物、発泡充填部材および充填用発泡体
【発明者】 【氏名】満岡 由明

【氏名】藤井 隆裕

【氏名】栗生 豊

【氏名】松本 光生

【氏名】松永 学

【要約】 【課題】簡易に形成および簡易に設置することができ、良好な発泡を確保しつつ、発泡時の垂れを低減することのできる、発泡充填用組成物、その発泡充填用組成物が用いられる発泡充填部材、および、その発泡充填用組成物を発泡させることにより得られる充填用発泡体を提供すること。

【構成】スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン・ブタジエンゴムが併用されるポリマー、発泡剤および架橋剤を含有し、100℃の溶融粘度が7000Pa・s以上であり、発泡倍率が10倍以上である発泡充填用組成物を調製する。そして、発泡充填用組成物をシート状に成形して樹脂層7を形成するとともに、その樹脂層7に、シート状の粘着層6を貼着して、発泡充填部材5を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、発泡剤および架橋剤を含有し、100℃の溶融粘度が7000Pa・s以上であり、発泡倍率が10倍以上であることを特徴とする、発泡充填用組成物。
【請求項2】
発泡充填用組成物100重量部に対して、前記発泡剤を5重量部以上含有することを特徴とする、請求項1に記載の発泡充填用組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン・ブタジエンゴムを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡充填用組成物。
【請求項4】
前記スチレン・ブタジエンゴムは、前記スチレン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して、70重量部以下の割合で含まれていることを特徴とする、請求項3に記載の発泡充填用組成物。
【請求項5】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が、130000以上であることを特徴とする、請求項3または4に記載の発泡充填用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発泡充填用組成物からなる樹脂層と、
前記樹脂層が積層され、前記樹脂層を被充填部材に固定するための粘着層と
を備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の発泡充填用組成物を発泡させることによって得られることを特徴とする、充填用発泡体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の部材の間や中空部材の内部空間などを充填するために用いられる充填用発泡体、および、その充填用発泡体を形成するための発泡充填部材および発泡充填用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のピラーなどの閉断面として形成される中空部材には、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを防止するために、充填材として発泡体を充填することが知られている。
中空部材に発泡体を充填するには、通常、まず、中空部材の内壁面に、発泡体を形成するための発泡性材料を固定し、次いで、その固定された発泡性材料を発泡させる。
【0003】
このような充填において、鉛直方向に配置される中空部材に発泡体を充填する場合には、中空部材において、鉛直方向に配置される内壁面に発泡性材料を固定した後、発泡する必要があるので、その発泡性材料は、発泡途中で軟化し、下方に垂れながら発泡する。そうすると、発泡性材料の固定位置から上方において、未充填部分(空隙)が発生し易くなり、さらには、発泡性材料が、発泡途中において内壁面から脱落する場合もある。
【0004】
そのため、例えば、重ね合わせて形成される中空体の壁により囲まれた空隙を加熱により膨張して充填する空隙充填材において、壁に沿って形成された板状部と該板状部から対向する壁に向かって壁に接触するまで突出された突状部とを有し、かつ、板状部と突状部とが発泡樹脂で一体に形成され、また、中空体を重ね合わせて形成する際に、邪魔にならない位置に突状部を形成した空隙充填材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この空隙充填材は、発泡時において、壁に接触するまで突出された突状部が、その壁に接着されるので、空隙充填材の垂れがなく、空隙を充填できる、というものである。
【特許文献1】特開2005−153715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載される空隙充填材では、板状部と突状部とを発泡樹脂から一体に形成しなければならず、その形状が限定され、かつ、複雑となるため、製造の手間やコストがかかるという不具合がある。
また、この空隙充填材を中空体の壁に設置するときにも、板状部を壁に沿って配置するとともに、中空体を重ね合わせて形成する際に、突状部を邪魔にならない位置に配置する必要があり、設置箇所が限定されるとともに、設置に手間がかかるという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、簡易に形成および簡易に設置することができ、良好な発泡を確保しつつ、発泡時の垂れを低減することのできる、発泡充填用組成物、その発泡充填用組成物が用いられる発泡充填部材、および、その発泡充填用組成物を発泡させることにより得られる充填用発泡体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の発泡充填用組成物は、ポリマー、発泡剤および架橋剤を含有し、100℃の溶融粘度が7000Pa・s以上であり、発泡倍率が10倍以上であることを特徴としている。
また、本発明の発泡充填用組成物では、発泡充填用組成物100重量部に対して、前記発泡剤を5重量部以上含有することが好適である。
【0008】
また、本発明の発泡充填用組成物では、前記ポリマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン・ブタジエンゴムを含有することが好適である。
また、本発明の発泡充填用組成物では、前記スチレン・ブタジエンゴムは、前記スチレン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して、70重量部以下の割合で含まれていることが好適である。
【0009】
また、本発明の発泡充填用組成物では、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が、130000以上であることが好適である。
また、本発明の発泡充填部材は、上記した発泡充填用組成物からなる樹脂層と、前記樹脂層が積層され、前記樹脂層を被充填部材に固定するための粘着層とを備えていることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の充填用発泡体は、上記した発泡充填用組成物を発泡させることによって得られることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡充填用組成物は、ポリマー、発泡剤および架橋剤を含有し、100℃の溶融粘度が7000Pa・s以上であり、発泡倍率が10倍以上である。そのため、良好な発泡を確保しつつ、発泡途中の軟化による垂れを低減することができる。そのため、鉛直面に固定して発泡させても、隙間なく充填することができる。
また、この発泡充填用組成物は、それ自体の組成により、良好な発泡と垂れの低減を確保している。そのため、簡易かつ自由な形状に成形することができ、また、簡易かつ自由に設置することができる。
【0012】
そのため、本発明の発泡充填用組成物が用いられる本発明の発泡充填部材は、低コストかつ自由な形状に製造することができ、かつ、粘着層を被充填部材に貼着するのみで、簡易かつ自由な箇所に固定することができる。
さらには、本発明の発泡充填用組成物を発泡させることにより得られる本発明の充填用発泡体は、各種の部材の間や中空部材の内部空間を、隙間なく充填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の発泡充填用組成物は、ポリマー、発泡剤および架橋剤を含有している。
本発明において、ポリマーは、特に制限されないが、例えば、熱可塑性エラストマーやゴムなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、特に制限されないが、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0014】
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロック(ハードセグメント)とゴム中間ブロック(ソフトセグメント)とを有するスチレンブロックコポリマーであって、ポリスチレンブロックの配列状態によって、直鎖状(リニア)タイプ、放射状(ラジアル)タイプなどに分類される。ゴム中間ブロックは、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはポリオレフィン(エチレン・ブチレン)から選択される。
【0015】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、より具体的には、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロックコポリマー、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、B型粘度計により測定されるブルックフィールド粘度(BF粘度:25℃、77F)が、2000mPa・s以上、好ましくは、3000mPa・s以上、さらに好ましくは、4000mPa・s以上であり、また、20000mPa・s以下、好ましくは、10000mPa・s以下である。また、そのメルトフローレート(MFR:200℃、5kg荷重、JIS K 7210(1999年))が、5g/10min以下、好ましくは、1g/10min以下である。
【0016】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーは、その重量平均分子量(Mw)が、50000以上、好ましくは、13万以上であり、また、100万以下、好ましくは、50万以下である。重量平均分子量(Mw)が、13万以上であれば、垂直面へ貼り付けた場合のタレ性が良好となる。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCによるポリスチレン換算値として算出される。
【0017】
また、ゴムは、特に制限されないが、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)などの芳香族系ゴム、例えば、ブタジエンゴム(1,4−ポリブタジエンゴム)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、天然ゴムなどの非芳香族系ゴムが挙げられる。好ましくは、芳香族系ゴム、さらに好ましくは、スチレン・ブタジエンゴムが挙げられる。
【0018】
スチレン・ブタジエンゴムは、そのムーニー粘度(JIS K 6300−1(2001年))が、例えば、50(ML1+4、at100℃)以上、好ましくは、70(ML1+4、at100℃)以上であり、また、150(ML1+4、at100℃)以下、好ましくは、100(ML1+4、at100℃)以下である。
また、上記したポリマーは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。好ましくは、熱可塑性エラストマーおよびゴムを併用し、さらに好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマーとスチレン・ブタジエンゴムとを併用する。これらを併用すれば、熱可塑性エラストマーにより、良好な発泡性が確保されるとともに、ゴムにより、発泡途中の垂れを低減することができる。また、これらを併用する場合、両者の配合割合は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、ゴムが、例えば、70重量部以下、好ましくは、60重量部以下、さらに好ましくは、50重量部以下であり、また、10重量部以上、好ましくは、25重量部以上である。
【0019】
また、ポリマーの配合割合は、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、10〜80重量部、好ましくは、20〜60重量部である。
本発明において、発泡剤は、特に制限されないが、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤が挙げられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
【0020】
また、有機系発泡剤としては、例えば、N−ニトロソ系化合物(N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなど)、アゾ系化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレートなど)、フッ化アルカン(例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなど)、スルホニルヒドラジン系化合物(例えば、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)など)、スルホニルセミカルバジド系化合物(例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)など)、トリアゾール系化合物(例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなど)などが挙げられる。
【0021】
なお、発泡剤としては、加熱膨張性化合物(例えば、イソブタン、ペンタンなど)がマイクロカプセル(例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂からなるマイクロカプセル)に封入された熱膨張性微粒子なども挙げられる。そのような熱膨張性微粒子としては、例えば、市販品として、マイクロスフェア(商品名、松本油脂社製)などが挙げられる。
【0022】
これら発泡剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
これら発泡剤のうち、好ましくは、アゾ系化合物やスルホニルヒドラジド系化合物が挙げられる。アゾ系化合物やスルホニルヒドラジド系化合物を用いれば、発泡ガスが窒素ガスであるため、ポリマーに対する透過性が低く、高発泡を実現することができる。さらに好ましくは、アゾジカルボンアミドや4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が挙げられる。これらを用いれば、変異原生がないため人体に対する有害性を低減することができるとともに、単位重量当たりのガス発生量を増大させることができる。
【0023】
また、発泡剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、5〜40重量部、好ましくは、10〜30重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、5重量部以上、好ましくは、5〜20重量部、さらに好ましくは、7〜15重量部である。
発泡剤の配合割合が発泡充填用組成物100重量部に対して5重量部以上であると、発泡倍率10倍以上を容易に達成することができる。また、発泡剤の配合量が上記範囲を超えても、配合割合に対応した発泡倍率が得られず、コストデメリットを生ずる場合がある。
【0024】
また、発泡剤とともに、必要により、発泡助剤を併用することができる。発泡助剤としては、例えば、尿素系化合物、サリチル酸系化合物、安息香酸系化合物、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これら発泡助剤は、単独で使用してもよく、あるいは併用することもできる。これら発泡助剤のうち、好ましくは、尿素系化合物が挙げられる。発泡助剤の配合割合は、例えば、ポリマー100重量部に対して、例えば、2〜30重量部、好ましくは、5〜25重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、0.1〜15重量部、好ましくは、1〜10重量部である。
【0025】
本発明において、架橋剤は、特に制限されないが、例えば、硫黄(粉末硫黄、不溶性硫黄)、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、有機過酸化物類(例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(ターシャリブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート)、ポリアミン類、オキシム類(例えば、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなど)、ニトロソ化合物類(例えば、p−ジニトロソベンジンなど)、樹脂類(例えば、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物など)、アンモニウム塩類(例えば、安息香酸アンモニウムなど)などが挙げられる。
【0026】
これら架橋剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。また、これら架橋剤のうち、硬化性、補強性を考慮すると、好ましくは、硫黄が挙げられる。
また、架橋剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。架橋剤の配合割合が上記範囲より少ないと、補強性が低下する場合があり、一方、上記範囲より多いと、接着性が低下し、コスト的に不利となる場合がある。
【0027】
また、架橋剤とともに、必要により、架橋促進剤を併用することができる。架橋剤促進剤としては、例えば、スルフィド類(例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのモノチウラム類、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドなどのジスルフィド類など)、ジチオカルバミン酸類、チアゾール類、グアニジン類、スルフェンアミド類、チウラム類、キサントゲン酸類、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類、酸化亜鉛などが挙げられる。これら架橋促進剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
【0028】
これら架橋促進剤のうち、好ましくは、スルフィド類が挙げられる。また、スルフィド類のなかでも、テトラブチルチウラムジスルフィドを含有すれば、架橋速度を最適にすることができる。そのため、架橋速度が遅くなり過ぎることによるガス抜けや、架橋速度が速くなり過ぎることによる独立気泡の増加を、防止することができる。
架橋促進剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、0.5〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。
【0029】
また、本発明において、発泡充填用組成物には、必要に応じて、例えば、充填材、粘着付与剤、軟化剤、さらには、例えば、加工助剤、揺変剤、顔料、スコーチ防止剤、安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を、適宜選択して含有することもできる。
充填材としては、特に制限されないが、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ケイ酸およびその塩類、マイカ、クレー、タルク、雲母粉、ベントナイト、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、アルミナ、アルミニウムシリケート、アルミニウム粉、カーボンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。
【0030】
これら充填材は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。これら充填材のうち、好ましくは、炭酸カルシウムやカーボンブラックが挙げられる。充填材の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、20〜200重量部、好ましくは、40〜120重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、10〜90重量部、好ましくは、15〜45重量部である。
【0031】
粘着付与剤としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂(例えば、テルペン−芳香族系液状樹脂など)、クマロンインデン系樹脂、石油系樹脂(例えば、C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂など)などが挙げられる。
これら粘着付与剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。これら粘着付与剤のうち、好ましくは、石油系樹脂が挙げられる。粘着付与剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、1〜10重量部、好ましくは、2〜6重量部である。
【0032】
軟化剤としては、特に制限されないが、例えば、フタル酸系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、脂肪酸系オイル、リン酸系オイルなどが挙げられる。
これら軟化剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。これら軟化剤のうち、好ましくは、フタル酸系オイル、パラフィン系オイルが挙げられる。軟化剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、10〜150重量部、好ましくは、30〜120重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、10〜50重量部、好ましくは、15〜25重量部である。
【0033】
そして、本発明の発泡充填用組成物は、上記した各成分を、上記した配合割合において配合し、特に制限されないが、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、バンバリーミキサ、シグマブレード、押出機などによって、発泡剤の分解が少ない温度条件下で、混練して、混練物として調製される。
より具体的には、例えば、発泡剤、発泡促進剤、架橋剤、架橋促進剤をファイナルバッチ成分とし、それ以外の各成分をマスターバッチ成分として、まず、マスターバッチ成分を混練して、マスターバッチを調製し、次いで、得られたマスターバッチとファイナルバッチ成分とを混練して、発泡充填用組成物の混練物を得る。
【0034】
このように、混練物として得られる発泡充填用組成物は、その100℃における溶融粘度が、7000Pa・s以上、好ましくは、10000Pa・s以上、また、100000Pa・s以下、好ましくは、50000Pa・s以下に処方される。100℃における溶融粘度が上記の範囲となるように処方するには、上記した各成分を、適宜上記した配合割合で配合する。
【0035】
発泡充填用組成物の100℃における溶融粘度が、7000Pa・s未満であると、鉛直面に固定して発泡すると、発泡充填用組成物の発泡途中に垂れを生じる。発泡充填用組成物の100℃における溶融粘度が7000Pa・s以上であれば、鉛直面に固定して発泡すると、水平方向に発泡することができる。
なお、100℃における溶融粘度は、より具体的には、後述する実施例に示す方法により測定することができる。
【0036】
また、混練物として得られた発泡充填用組成物は、その発泡時の発泡倍率が、10倍以上、好ましくは、12倍以上、また、30倍以下、好ましくは、25倍以下である。
発泡充填用組成物の発泡倍率が10倍未満であると、良好な発泡性が得られず、充填不足を生じる。
本発明の発泡充填部材は、上記した発泡充填用組成物からなる樹脂層と、樹脂層が積層され、樹脂層を被充填部材に固定するための粘着層とを備えている。
【0037】
本発明の発泡充填部材において、樹脂層は、上記した混練物を、特に制限されないが、発泡剤が実質的に分解しない温度条件下で、例えば、カレンダー成形、押出成形、プレス成形などによって、シート形状に圧延することにより、形成することができる。
なお、樹脂層の厚みは、例えば、0.5〜20mm、好ましくは、1.0〜10mmである。
【0038】
本発明の発泡充填部材において、粘着層は、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などの公知の粘着剤を、上記と同様に、例えば、カレンダー成形、押出成形、プレス成形などによって、シート形状に圧延することにより、形成することができる。
また、粘着層の厚みは、例えば、0.1〜3.0mm、好ましくは、0.3〜2.0mmである。
【0039】
そして、本発明の発泡充填部材は、上記した樹脂層と粘着層とを、貼り合わせて積層することにより、得ることができる。樹脂層と粘着層とを貼り合わすには、特に制限されないが、例えば、発泡充填用組成物からなる混練物を押出機により連続的に押し出して、樹脂層を連続的に形成するとともに、粘着剤を押出機により連続的に押し出して、粘着層を連続的に形成した後、これら樹脂層と粘着層と重ね合わせて、カレンダーロールにより連続的に圧着させる。なお、これによって得られた発泡充填部材は、適宜の長さに裁断される。
【0040】
なお、得られた発泡充填部材には、必要により、粘着層の表面(樹脂層が積層されている裏面に対して反対側の表面)に、実際に使用するまでの間、セパレータ(離型紙)を貼着しておくこともできる。
そして、このように得られた本発明の発泡充填部材は、各種の部材に対する、補強、制振、防音、防塵、断熱、緩衝、水密など、種々の充填効果を付与することができるので、各種の部材の間や中空部材の内部空間に充填する、例えば、補強材、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材など、各種の産業製品の充填材として、好適に用いることができる。
【0041】
とりわけ、上記により得られた発泡充填用組成物は、100℃の溶融粘度が7000Pa・s以上であり、発泡倍率が10倍以上であるため、良好な発泡を確保しつつ、発泡途中の軟化による垂れを低減することができる。そのため、本発明の発泡充填部材において、粘着層を鉛直面に貼着した後、樹脂層を加熱すれば、発泡充填部材を鉛直面に対して簡易かつ確実に固定できながら、樹脂層を、良好に発泡および架橋させることができ、それによって、充填用発泡体を形成することができる。そして、その充填用発泡体によって、部材の間や中空部材の内部空間を、隙間なく充填することができる。
【0042】
しかも、発泡充填用組成物は、それ自体の組成により、良好な発泡と垂れの低減とを確保しているので、被充填部材の空間(充填用発泡体の充填が必要な部材の間や中空部材の内部空間)に合わせて、簡易かつ自由な形状に成形することができる。そのため、本発明の発泡充填部材は、低コストかつ自由な形状に製造することができ、かつ、粘着層を被充填部材に貼着するのみで、簡易かつ自由な箇所に固定することができる。
【0043】
次に、本発明の発泡充填部材の使用方法の一実施形態として、中空部材として自動車のピラーの内部空間を充填する方法について説明する。
図1において、ピラー1は、フロントピラー、サイドピラーまたはリヤピラーなどであって、断面視略矩形状をなす中空角筒形状に形成され、鉛直方向に配置されている。
そして、この方法では、まず、図1(a)に示すように、発泡充填部材5を、鉛直方向に配置されるピラー1の内壁面2に固定する。発泡充填部材5を内壁面2に固定するには、例えば、セパレータが貼着されている場合には、そのセパレータを発泡充填部材5の粘着層6の表面から剥離した後、その粘着層6をピラー1の内壁面2に貼着する。
【0044】
なお、ピラー1は、断面略凹状のインナパネル3およびアウタパネル4を備えており、まず、発泡充填部材5を内壁面2に固定した後、これらインナパネル3およびアウタパネル4の両端部を対向当接させて、溶接により接合することで、閉断面として形成されている。
その後、この方法では、ピラー1の内壁面2に、塗装工程において、防錆処理を施した後、図1(b)に示すように、例えば、その後の焼付塗装時の乾燥工程での加熱(例えば、110〜220℃)によって、樹脂層7を発泡および架橋させることにより、充填用発泡体8を形成し、その充填用発泡体8によってピラー1の内部空間を隙間なく充填する。
【0045】
なお、発泡充填部材5の形状、設置位置、配置方向および配置数などは、ピラー1の形状などに応じて適宜選択される。
これによって、ピラー1は、充填用発泡体8によって、十分に補強が図られ、しかも、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを、有効に防止することができる。
【0046】
なお、上記の説明では、本発明の発泡充填部材を鉛直面に固定したが、本発明の発泡充填部材は、鉛直面に限らず、例えば、水平面や傾斜面などに固定してもよく、その使用方法は、その目的およに用途によって適宜選択される。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何ら実施例に限定されるものではない。
1)実施例および比較例
(発泡充填用組成物の調製)
表1に示す配合処方において、各成分を配合し、これをバンバリーミキサで混練することにより、実施例および比較例に示す発泡充填用組成物を混練物として調製した。
【0048】
なお、この混練においては、まず、マスターバッチ成分として、ポリマー、充填材、粘着付与剤および軟化剤を配合して、バンバリーミキサで混練することにより、マスターバッチを調製した後に、そのマスターバッチに、ファイナルバッチ成分として、発泡剤、発泡助剤、架橋剤および架橋促進剤を配合して、さらに、シグマブレードで混練することにより、発泡充填用組成物を混練物として調製した。
【0049】
各実施例および各比較例の溶融粘度(Pa・sec)を表1に示す。なお、溶融粘度の測定は、下記の通りである。
(発泡充填部材の調製)
上記により得られた混練物を、押出機により連続的に押し出して、厚み3mmの樹脂層を連続的に形成するとともに、ゴム系粘着剤(商品名サーマベータRSE−410、日東電工社製)を、押出機により連続的に押し出して、厚み1.0mmの粘着層を連続的に形成した後、これら樹脂層と粘着層と重ね合わせて、カレンダーロールにより連続的に圧着させることにより、厚み4mmの発泡充填部材を得た。
2)発泡倍率
各実施例および各比較例の発泡充填部材を、160℃で20分加熱することにより発泡させ、発泡倍率を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1中の発泡倍率は、発泡倍率=発泡前密度/発砲後密度、から求めた。
3)垂れ性
シート形状に形成された各実施例および各比較例を、3mm(厚み)×25mm(幅)×50mm(長さ)に裁断して、サンプルを作製した。
【0050】
そのサンプルの粘着層を、図2(a)に示ように、鉛直方向に配置される鋼板の表面(鉛直面)に、長手方向が鉛直方向に沿うように貼着した。その後、図2(b)に示ように、160℃で20分加熱して発泡させ、発泡後に粘着層から上下方向にはみ出した部分について、下方向にはみ出した部分(L)の長さから、上方向にはみ出した部分(U)の長さを差し引くことにより、垂れ性を評価した。その結果を表1に示す。
【0051】
なお、垂れ性の目標値は、3mm以下である。
【0052】
【表1】


【0053】
(溶融粘度の測定)
1)測定装置(フローテスターCFT−500D(流動特性評価装置)島津製作所製)
シリンダ内部構造:ピストン面積1cm、ダイ長さ10mm、ダイ穴直径1mm
2)測定条件
プレヒート:3分、試験圧力:1961330Pa(20kgf)、測定間隔:3mm(計算開始位置)〜7mm(計算終了位置)
3)測定方法
JIS K 7210(流れ試験)に準拠し、上記した測定装置および測定条件で、フローレートを測定した。なお、フローレートQは、次式(1)から求められる。その後、溶融粘度nを次式(2)から求めた。
【0054】
Q=(X/10)・(A/t)・・・(1)
Q:フローレート、t:測定時間(s)、X:測定時間tに対するピストンの移動量(mm)、A:ピストン面積(cm
n=(πDP)/(128LQ)×10−3 (Pa・s)・・・(2)
n:溶融粘度、D:ダイ穴直径,P:試験圧力、L:ダイ長さ
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の発泡充填部材の使用方法の一実施形態として、中空部材として自動車のピラーの内部空間を充填する方法の説明図であって、(a)は、発泡充填部材を、鉛直方向に配置されるピラーの内壁面に固定した状態、(b)は、発泡充填部材の樹脂層を発泡および架橋させることにより、充填用発泡体を形成して、ピラーの内部空間を隙間なく充填した状態を示す。
【図2】垂れ性の評価方法を説明するための説明図であって、(a)は、サンプルの粘着層を、鉛直方向に配置される鋼板の表面に貼着した状態、(b)は、サンプルの発泡後の状態を示す。
【符号の説明】
【0056】
1 ピラー
2 内壁面
3 インナパネル
4 アウタパネル
5 発泡充填部材
6 粘着層
7 樹脂層
8 充填用発泡体
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之


【公開番号】 特開2008−7704(P2008−7704A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181849(P2006−181849)