トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 ポリイミドフィルム
【発明者】 【氏名】菊池 剛

【氏名】金城 永泰

【氏名】藤本 省吾

【要約】 【課題】ポリイミドフィルムならびに該ポリイミドフィルム中に滑剤として添加する無機粒子の耐薬品性を改善することによって、配線板加工時の歩留まりを改善できるポリイミドフィルムを提供する。

【構成】芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(3)の条件
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(3)の条件
(1)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入したものである
(2)フィルム中に無機粒子を含有する
(3)フィルムを40℃に保った5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬してから水洗する処理を行う前後における、厚み減少率が5%以下の範囲内である
を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。
【請求項2】
芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(3)の条件
(1)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入したものである
(2)フィルム中に無機粒子を含有する
(3)フィルムを40℃に保った5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬してから水洗する処理を行う前後における、重量減少率が5%以下の範囲内である
を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。
【請求項3】
上記ポリイミドフィルムに含有される無機粒子が、4重量%の塩酸に溶解しないことを特徴とする、請求項1または請求項2記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
上記無機粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタンのいずれかであることを特徴とする、請求項3記載のポリイミドフィルム。
【請求項5】
ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入する方法が、下記(A)〜(B)の手順
(A)屈曲性芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、屈曲性芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を反応させる際に、どちらかの成分を過剰に添加して、熱可塑性ポリイミドのプレポリマーを得る
(B)上記(A)で得られたプレポリマーに、剛直性の芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、剛直性の芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を添加、反応させて、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
を行うものであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入する方法が、下記(A)〜(C)の手順
(A)熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(B)非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(C)上記(A)と(B)の溶液を混合する
を行うものであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルムならびに該ポリイミドフィルム中に滑剤として添加する無機粒子の耐薬品性を改善することによって、配線板加工時の歩留まりを改善できるポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化に伴い、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCとも称する)の需要が伸びている。フレキシブルプリント配線板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。
【0003】
上記フレキシブル配線板の元となるフレキシブル金属張積層板(以下、FCCLとも称する)は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。また、上記絶縁性フィルムには、フィルム搬送性を向上させるため、滑材として無機粒子が添加されるのが一般的である。
【0004】
一方、FCCLからFPCを作製する際、金属層エッチング時のマスキングとしてフォトレジストを使用することが多いが、フォトレジストの現像ならびにレジスト剥離の工程で、アルカリ性の処理液が使用される。更に、このアルカリ性の処理液を効率良く除去するため、酸性の水溶液で中和洗浄する工程を追加する場合もある。また、金属層のエッチングに使用される溶液は酸性である。
【0005】
以上のことから、FCCLはFPCに加工されるまでの間に、アルカリ性と酸性の両方の環境にさらされることになる。しかしながら、ポリイミドは一般的にアルカリによる加水分解が起こりやすい材料であり、フィルム表面が加水分解、溶出することによって、表面近傍に埋まっている無機粒子がフィルムから一度分離し、別の部分に再付着する場合がある。この再付着無機粒子を洗浄作業で除去できなかった場合、後工程の汚染や異物の原因となる場合がある。また、無機粒子が耐酸性に劣ると、レジスト除去後に酸性溶液で中和洗浄した際、もしくは金属層をエッチング処理した際に、再付着無機粒子がフィルム上で溶解して残存することにより、材料汚染の原因となる場合がある。
【0006】
ポリイミドフィルムに接着剤を介して金属層を設けたFCCLの場合、接着層がバリア層となって、直接ポリイミドフィルムがアルカリ性や酸性の雰囲気にさらされる可能性が減るため、上記問題は発生しにくい。しかしながら、ポリイミドフィルムに蒸着やメッキ等で直接金属層を設けたFCCLでは、上記問題が発生しやすくなる。
【0007】
また、接着剤を使用するFCCLでも、金属層を片面にしか設けない場合は、接着剤が塗工されていない側の面で、上記問題が発生する場合がある。その結果、補強板を貼り合わせたり、FPCを積層する工程で、密着不良等の不具合が発生する場合がある。
【0008】
ポリイミドフィルムの耐アルカリ性の改良については、既にいくつかの報告がなされている(例えば特許文献1〜3参照)。しかしながら、特許文献1記載の技術は、フッ素原子を含有する特殊なモノマーを使用することによって達成されるものである。特許文献2記載の技術も、特定構造の芳香族酸二無水物を使用することによって達成されるものである。特許文献3の技術は、ポリイミドフィルム上に設ける下地金属層の組成を適正化することによって達成されるものであり、ポリイミドフィルム自体の耐アルカリ性を改良したものではない。
【特許文献1】特許第2835052号公報
【特許文献2】特許第3322028号公報
【特許文献3】特開2005−125721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐アルカリ性に優れたポリイミドフィルムを使用することにより、フレキシブルプリント配線板への加工時の不具合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入することにより、得られるポリイミドフィルムの耐アルカリ性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、以下の新規なポリイミドフィルムによって、上記目的を達成し得る。
【0011】
1)芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(3)の条件
(1)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入したものである
(2)フィルム中に無機粒子を含有する
(3)フィルムを40℃に保った5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬してから水洗する処理を行う前後における、厚み減少率が5%以下の範囲内である
を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。
【0012】
2)芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られる非熱可塑性ポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(3)の条件
(1)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入したものである
(2)フィルム中に無機粒子を含有する
(3)フィルムを40℃に保った5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬してから水洗する処理を行う前後における、重量減少率が5%以下の範囲内である
を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。
【0013】
3)上記ポリイミドフィルムに含有される無機粒子が、4重量%の塩酸に溶解しないことを特徴とする、前記1)または2)記載のポリイミドフィルム。
【0014】
4)上記無機粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタンのいずれかであることを特徴とする、前記3)記載のポリイミドフィルム。
【0015】
5)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入する方法が、下記(A)〜(B)の手順
(A)屈曲性芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、屈曲性芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を反応させる際に、どちらかの成分を過剰に添加して、熱可塑性ポリイミドのプレポリマーを得る
(B)上記(A)で得られたプレポリマーに、剛直性の芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、剛直性の芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を添加、反応させて、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
を行うものであることを特徴とする、前記1)乃至4)のいずれか1つに記載のポリイミドフィルム。
【0016】
6)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入する方法が、下記(A)〜(C)の手順
(A)熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(B)非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(C)上記(A)と(B)の溶液を混合する
を行うものであることを特徴とする、前記1)乃至4)のいずれか1つに記載のポリイミドフィルム。
【発明の効果】
【0017】
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムは、耐アルカリ性を向上させることにより、配線板加工時の不具合発生を抑えることが可能となり、歩留まりを改善することが可能となる。更に、耐酸性に優れた無機粒子をフィルムの滑剤として使用することにより、不具合発生をより抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。まず、本発明に係るポリイミドフィルムの場合について、その実施の形態の一例に基づき説明する。
【0019】
(本発明のポリイミドフィルム)
本発明は、ポリイミドフィルムが下記(1)〜(3)のすべての物性を満たせば、得られるポリイミドフィルムの耐アルカリ性が改善され、配線板加工時の不良発生を効果的に抑制しうるというものである。
(1)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入したものである
(2)フィルム中に無機粒子を含有する
(3)フィルムを40℃に保った5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬してから水洗する処理を行う前後における、厚み減少率が5%以下の範囲内である
また、上記特性のうち、(3)の特性中、厚み減少率に代えて、重量減少率でも同様に規定することができる。すなわち、ポリイミドフィルムが下記(1)〜(3)のすべての物性を満たせば、得られるポリイミドフィルムの耐アルカリ性が改善され、配線板加工時の不良発生を効果的に抑制しうると言える。
(1)ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入したものである
(2)フィルム中に無機粒子を含有する
(3)フィルムを40℃に保った5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬してから水洗する処理を行う前後における、重量減少率が5%以下の範囲内である
本発明における厚み減少率とは、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する前のフィルム厚みを初期値とし、水酸化ナトリウム水溶液へ浸漬して水洗後のフィルム厚みを処理後の値とした場合、下記式で表されるパラメータである。重量減少率の場合も同様の式で求められ、測定対象をフィルム厚みからフィルム重量に変更するだけである。
【0020】
減少率(%)=(初期値−処理後の値)/(初期値)×100
一般に、ポリイミドフィルムはプラスチックフィルムの中でも吸水性の高い材料である。そのため、上記減少率、特に重量減少率を測定する際には、フィルムに含まれる水分の影響を排除する必要がある。最も望ましい方法は、測定前にフィルムを乾燥させ、フィルム中の水分を除去した状態で測定することであるが、測定作業中にフィルムが大気中の水分を吸収するため現実的ではない。
【0021】
そこで、本発明では、フィルム厚みならびに重量を測定する際には、測定前にフィルムを恒温恒湿状態の場所に静置し、フィルムの吸水量が飽和した時点で測定を行うこととする。吸水量が飽和するために要する時間については、組成等の影響を受けるため、フィルムの種類によって異なるが、20℃、60%R.H.の環境下で12時間静置すれば、フィルムの種類、厚みに関係なく吸水量を飽和状態にすることが可能である。
【0022】
当然のことながら、フィルム厚みや重量の測定も、フィルムを静置していた恒温恒湿状態の場所で実施する必要がある。
【0023】
本願でいう「非熱可塑性ポリイミド」とは、そのフィルムを400℃で加熱処理を行っても軟化、溶融せず、フィルムの形状を保持しているものを言う。
【0024】
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液から得られる。ポリアミド酸は、通常、芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物とを、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて、得られた溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0025】
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムは、耐アルカリ性を向上させるために、ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位を導入することが必要となる。ポリイミド分子骨格中への熱可塑性部位の導入方法については適宜選択し得るが、工業レベルでの生産性を考慮すると、下記1または2の方法を取ることが好ましい。
【0026】
(方法1)
(A)屈曲性芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、屈曲性芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を反応させる際に、どちらかの成分を過剰に添加して、熱可塑性ポリイミドのプレポリマーを得る
(B)上記(A)で得られたプレポリマーに、剛直性の芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、剛直性の芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を添加、反応させて、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(方法2)
(A)熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(B)非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有した溶液を得る
(C)上記(A)と(B)の溶液を混合する
まず方法1について、具体的に説明する。最初に(A)工程として、屈曲性芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、屈曲性芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分とを、どちらかの成分が過剰となるように、有機溶剤中に添加、反応させることにより、熱可塑性ポリイミドのプレポリマーを得る。
【0027】
本発明における、屈曲性芳香族ジアミン、屈曲性芳香族酸二無水物とは、分子主鎖中にエーテル基、カルボニル基、エステル基、スルホン基、アルキル基等の屈曲性を発現する部位を一つ以上有するものを言う。また、過剰とは、ジアミンと酸二無水物のモル比が100:85〜100:95もしくは100:105〜100:115の範囲内にあることを言う。
【0028】
屈曲性芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0029】
屈曲性芳香族酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,4’−オキシフタル酸二無水物、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)等が挙げられる。
【0030】
本発明における熱可塑性ポリイミドとは、そのフィルムを400℃に加熱した際に軟化もしくは溶融し、フィルムの形状を保持しないようなものを指す。即ち、(A)工程で得られる熱可塑性ポリイミドのプレポリマーは、ジアミン成分または酸二無水物成分を更に添加して実質的に等モル反応させてポリマーとし、これをフィルム化した際に、400℃で加熱するとフィルム形状を保持しない。
【0031】
続いて、(B)工程として、得られた熱可塑性ポリイミドのプレポリマーに、剛直性芳香族ジアミンを含有する芳香族ジアミン成分と、剛直性芳香族酸二無水物を含有する芳香族酸二無水物成分を添加、反応させる。ここで、本発明における剛直性芳香族ジアミン、剛直性芳香族酸二無水物とは、上記屈曲性を発現する部位を主鎖に持たないものを言う。ここまでの工程で、芳香族ジアミンおよび芳香族酸二無水物における屈曲成分、剛直成分の割合を適宜調整することにより、熱可塑性部位が分子鎖中に点在し、なおかつ最終的に得られるポリイミドが非熱可塑性となるポリアミド酸が得られる。
【0032】
剛直性芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)等が挙げられる。
【0033】
剛直性芳香族酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0034】
(A)〜(B)工程で反応溶媒として用いる有機溶剤に関しては、芳香族ジアミン成分、芳香族酸二無水物成分、ならびに得られるポリアミド酸を溶解するものであれば、特に限定されない。反応温度については、高すぎるとポリアミド酸の分解反応が起こってしまうため、50℃以下とすることが好ましい。逆に低すぎても、反応速度が低下して生産性に問題が生じる場合があるため、−10℃以上とすることが好ましい。
【0035】
次に、方法2について、具体的に説明する。最初に(A)工程として、芳香族ジアミン成分と芳香族酸二無水物成分とを有機溶剤中に添加、反応させることにより、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を得る。熱可塑性の定義については、方法1と同様である。ここで使用する芳香族ジアミン、芳香族酸二無水物については、屈曲性のものに限定されるわけではなく、剛直性のものを使用することも可能である。屈曲性成分と剛直性成分との割合を適宜調整し、最終的に得られるポリアミド酸が、熱可塑性ポリイミド由来の前駆体であれば良い。
【0036】
続いて、(B)工程として、芳香族ジアミン成分と芳香族酸二無水物成分とを有機溶剤中に添加、反応させることにより、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を得る。ここでも、屈曲性、剛直性の両方の原料を使用可能であり、最終的に得られるポリアミド酸溶液が、非熱可塑性ポリイミド由来の前駆体であれば良い。
【0037】
反応溶媒の選択、反応温度の制御についても、方法1と同様にして行う。
【0038】
続いて、(C)工程として、上記(A)工程と(B)工程で得られた二種類のポリアミド酸溶液を混合する。混合方法については従来公知の方法が使用可能であり、特に限定されない。二種類のポリアミド酸溶液の混合比率についても特に限定されず、混合後のポリアミド酸溶液をイミド化した際に、非熱可塑性を示す範囲であるならば良い。ここでいう、非熱可塑性を示す範囲とは、上述の「フィルムを400℃で加熱処理を行っても軟化、溶融せず、フィルムの形状を保持している」範囲のことである。
方法1または方法2で得られたポリアミド酸溶液をフィルム化ならびにイミド化することにより、本発明に関わるポリイミドフィルムが得られる。これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。その一例を以下に示す。
回転しているドラム、エンドレスベルト等の支持体上に、上記ポリアミド酸溶液をTダイ等から押し出してキャストする。この際、イミド化反応を促進させるために、脱水閉環剤及び/または触媒を含有するイミド化促進剤を予めポリアミド酸溶液に混合しておいた方が、生産性の面から好ましい。脱水閉環剤としては脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物等の酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の第三級アミンが好適に用いられ得る。
キャストしたポリアミド酸溶液を支持体上で加熱して、溶剤を揮発させると共に、ある程度イミド化を進行させ、自己支持性を持ったゲルフィルムを得る。このゲルフィルムを支持体から引き剥がし、幅方向の両端を固定した状態で加熱炉を通し、残っている溶剤の除去ならびにイミド化を完了させることにより、ポリイミドフィルムが得られる。ゲルフィルムの状態での溶剤残存率ならびにイミド化の程度、加熱炉の温度設定については、ポリアミド酸の種類、得られるポリイミドフィルムの厚み、物性ばらつき等を鑑みて、適宜調整すれば良い。
【0039】
本発明に関わるポリイミドフィルムには、フィルム製造時ならびにフィルム加工時における搬送性向上(フィルム摩擦係数低減)のため、無機粒子からなるフィラーを添加する。無機粒子の粒子径は特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりすることがある。
【0040】
無機粒子の材質については、配線板加工時の溶出等による不具合発生を防ぐため、耐酸性に優れたものであることが好ましい。具体的には、無機粒子を4重量%の塩酸に添加して5分間撹拌を行った後でも、無機粒子が溶解しないことが好ましい。上記条件を満たす無機粒子であれば、配線板加工時の不具合発生を防ぐことが可能と考えられる。 上記耐酸性を有する無機粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく用いられ得る。無機粒子の添加部数については、無機粒子の硬度や粒子径によって、フィルム摩擦係数の低減度合いが変わってくるため特に限定されず、適宜調整し得る。但し、無機粒子の添加部数を上げすぎると、フィルムの機械特性が大きく損なわれる可能性があるため、その点も留意して添加部数を調整する。
【0041】
無機粒子を添加するタイミングについては、
1.ポリアミド酸重合時に、ジアミン成分、酸二無水物成分と同時に添加する
2.ポリアミド酸重合後、添加する
3.支持体にポリアミド酸溶液をキャストする直前に添加する
などが例として挙げられるが、無機粒子の分散性を考慮して、最適な時期を選択すれば良い。添加方法についても、無機粒子の粉体を直接添加する方法、有機溶媒に分散させて添加する方法、ポリアミド酸溶液に無機粒子を高濃度に分散させた溶液を別途調製して添加する方法などの中から最適な方法を選択すれば良い。
【0042】
上記操作によって得られる本発明に関わるポリイミドフィルムは、ポリイミド分子骨格中に熱可塑性部位が導入されていることにより耐アルカリ性が向上する。これにより、レジスト現像・剥離工程などのアルカリ性の環境に曝される工程において、フィルム表面が溶出することを抑えることが可能となり、無機粒子の分離・再付着に起因する不具合の発生を防ぐことが可能となる。熱可塑性部位の導入により、ポリイミドフィルムの耐アルカリ性が向上する理由としては、複数の要因が作用し合うと予想され、一つに限定することは出来ないが、本発明者らは、熱可塑性部位導入によるイミド基濃度の低下の影響が大きいのではないかと考えている。即ち、熱可塑性を発現する柔軟性の芳香族ジアミン、芳香族酸二無水物は一般的に分子量が大きいため、ポリイミド単位分子量当たりのイミド基の数(イミド基の濃度)が減る。これにより、加水分解を受ける頻度が減るため、耐アルカリ性が向上すると予想される。
【0043】
本発明に関わるポリイミドフィルムは、耐アルカリ性向上のための熱可塑性部位の導入、耐酸性向上のための無機粒子の選択を行っていることが重要であり、これら物性に影響しない範囲で、従来公知の技術を取り入れても良い。例えば、フィルム中に残留している内部応力を緩和させるために、必要最低限の張力下において加熱処理を行っても良い。また、ポリイミドフィルムの接着性を向上させる目的で、各種表面処理を行っても良い。
【0044】
本発明にかかるポリイミドフィルムは、前述したように、フレキシブルプリント配線板の絶縁層として好適に用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、フィルムの物性が要求値を満たすものであれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0046】
なお、実施例及び比較例におけるポリイミドフィルムの耐アルカリ性、無機粒子の耐酸性、フィルム可塑性の評価方法は次の通りである。
【0047】
(フィルムの耐アルカリ性)
ポリイミドフィルムを10cm角のサイズにカットし、20℃、60%R.H.の環境下で12時間静置した後、フィルム重量とフィルム厚みを測定した。フィルム厚みは、サンプル縦方向に均等に3列、横方向に均等に3列の計9点測定した平均値として算出した。
一方、ビーカーに5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を調製し、40℃に保ったウォーターバスに漬けて10分間放置した。10分後、ビーカー中の水酸化ナトリウム水溶液の温度が40℃になっていることを確認した後、水酸化ナトリウム水溶液にフィルムを浸漬し、5分間静置した。
5分後、フィルムを取り出し、流水でフィルム表面を洗浄した後、50℃で30分間乾燥を行った。その後、20℃、60%R.H.の環境下で12時間靜置してから、フィルム重量とフィルム厚みを測定した。フィルム厚みは初期値と同様、9点測定した平均値を算出した。
測定した値から、下記式によりフィルムの厚み減少率ならびに重量減少率を算出した。
【0048】
減少率(%)=(初期値−処理後の値)/(初期値)×100
(無機粒子の耐酸性)
ポリイミドフィルムを10cm角のサイズにカットした後、顕微鏡観察を行った。観察後、20℃に保った4重量%の塩酸にフィルムを浸漬し、5分間静置した。5分後、フィルムを取り出し、流水でフィルム表面を洗浄した後、50℃で30分間乾燥を行った。乾燥後、再度顕微鏡観察を行い、無機粒子に由来する突起が塩酸処理の前後で減少しているかどうかを確認した。減少していない場合は合格○、減少している場合は不合格×として判定した。
【0049】
(フィルム可塑性)
フィルム可塑性の判定は、得られたフィルム20×20cmを正方形のSUS製枠(外径20×20cm、内径18×18cm)に固定し、400℃3分間熱処理して判定し、形態を保持しているものを非熱可塑性、シワが入ったり、のびたりしたものを熱可塑性とした。
【0050】
(実施例1)
反応系内を5℃に保った状態で、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)に、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、3,4’−ODAともいう)ならびにビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン(以下、BAPPともいう)をジアミン成分全モル数に対してそれぞれ10モル%、40モル%となるように添加し、撹拌を行った。溶解したことを目視確認した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)を酸二無水物成分全モル数に対して10モル%となるように添加し、30分間撹拌を行った。
【0051】
続いて、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)を酸二無水物成分全モル数に対して35モル%となるように添加し、30分間撹拌を行った。続いて、p−フェニレンジアミン(以下、p−PDAともいう)をジアミン成分全モル数に対して50モル%となるように添加し、50分間撹拌を行った。続いて、PMDAを再度、酸二無水物成分全モル数に対して52モル%となるように添加し、30分間撹拌を行った。
【0052】
一方、平均粒径5μmの球状シリカをDMFに添加し、スラリーを作製した。このスラリーを上記反応溶液に添加し、更に10分間撹拌を行った。なお、スラリーの添加量は、反応溶液100gに対して、球状シリカが0.03gとなるようにした。
【0053】
最後に、3モル%分のPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気をつけながら上記反応溶液に徐々に添加し、20℃での粘度が2500ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0054】
このポリアミド酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.3/4.0)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比45%で添加し、連続的にミキサーで攪拌しTダイから押出してダイの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして(揮発分含量40重量%)テンタークリップに固定し、300℃×12秒、400℃×12秒、450℃×30秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
【0055】
なお、一回目のPMDA添加により得られたプレポリマーに、PMDA溶液を添加して粘度2500ポイズとしたワニスを用いてポリイミドフィルムを作製したところ、得られたポリイミドフィルムは熱可塑性であった。
【0056】
実施例1で得られた非熱可塑性のポリイミドフィルムを評価したところ、厚み減少率3%、重量減少率3%、無機粒子耐酸性○であった。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例2)
反応系内を5℃に保った状態で、DMFに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、4,4’−ODAともいう)ならびにBAPPをジアミン成分全モル数に対してそれぞれ20モル%、40モル%となるように添加し、撹拌を行った。溶解したことを目視確認した後、BTDAを酸二無水物成分全モル数に対して10モル%となるように添加し、30分間撹拌を行った。
続いて、PMDAを酸二無水物成分全モル数に対して44モル%となるように添加し、30分間撹拌を行った。続いて、p−PDAをジアミン成分全モル数に対して40モル%となるように添加し、50分間撹拌を行った。続いて、PMDAを再度、酸二無水物成分全モル数に対して43モル%となるように添加し、30分間撹拌を行った。
平均粒径5μmの球状シリカをDMFに添加し、スラリーを作製した。このスラリーを上記反応溶液に添加し、更に10分間撹拌を行った。なお、スラリーの添加量は、反応溶液100gに対して、球状シリカが0.03gとなるようにした。
最後に、3モル%分のPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気をつけながら上記反応溶液に徐々に添加し、20℃での粘度が2500ポイズに達した時点で重合を終了した。
このポリアミド酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.3/4.0)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比45%で添加し、連続的にミキサーで攪拌しTダイから押出してダイの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして(揮発分含量40重量%)テンタークリップに固定し、300℃×12秒、400℃×12秒、450℃×30秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
なお、一回目のPMDA添加により得られたプレポリマーに、PMDA溶液を添加して粘度2500ポイズとしたワニスを用いてポリイミドフィルムを作製したところ、得られたポリイミドフィルムは熱可塑性であった。
【0058】
実施例2で得られた非熱可塑性のポリイミドフィルムを評価したところ、厚み減少率3%、重量減少率3%、無機粒子耐酸性○であった。結果を表1に示す。
【0059】
(実施例3)
反応系内を5℃に保った状態で、DMFに、3,4’−ODAとBAPPとBTDAをモル比50:50:97となるように添加し、30分撹拌を行った。
平均粒径5μmの球状シリカをDMFに添加し、スラリーを作製した。このスラリーを上記反応溶液に添加し、更に10分間撹拌を行った。なお、スラリーの添加量は、反応溶液100gに対して、球状シリカが0.03gとなるようにした。
最後に、3モル%分のBTDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気をつけながら上記反応溶液に徐々に添加し、20℃での粘度が1500ポイズに達した時点で重合を終了した。この反応溶液を溶液Aとした。
【0060】
反応系内を5℃に保った状態で、DMFに、p−PDAとPMDAをモル比97:100となるように添加し、30分撹拌を行った。
平均粒径5μmの球状シリカをDMFに添加し、スラリーを作製した。このスラリーを上記反応溶液に添加し、更に10分間撹拌を行った。なお、スラリーの添加量は、反応溶液100gに対して、球状シリカが0.03gとなるようにした。
最後に、3モル%分のp−PDAを固形分濃度5%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気をつけながら上記反応溶液に徐々に添加し、20℃での粘度が1500ポイズに達した時点で重合を終了した。この反応溶液を溶液Bとした。
【0061】
上記反応溶液AとBを重量比30:70となるように混合し、反応系内の温度を5℃に保った状態で30分間撹拌してポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.3/4.0)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比45%で添加し、連続的にミキサーで攪拌しTダイから押出してダイの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして(揮発分含量40重量%)テンタークリップに固定し、300℃×12秒、400℃×12秒、450℃×30秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
【0062】
なお、反応溶液A単独をフィルム化して得られたポリイミドフィルムは熱可塑性であり、反応溶液B単独をフィルム化して得られたポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
【0063】
実施例3で得られた非熱可塑性のポリイミドフィルムを評価したところ、厚み減少率5%、重量減少率5%、無機粒子耐酸性○であった。結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1)
反応系内を5℃に保った状態で、DMFに、4,4’−ODAとp−PDAとPMDAをモル比80:20:97となるように添加し、30分撹拌を行った。
平均粒径5μmの球状シリカをDMFに添加し、スラリーを作製した。このスラリーを上記反応溶液に添加し、更に10分間撹拌を行った。なお、スラリーの添加量は、反応溶液100gに対して、球状シリカが0.03gとなるようにした。
最後に、3モル%分のPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気をつけながら上記反応溶液に徐々に添加し、20℃での粘度が2500ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0065】
このポリアミド酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.3/4.0)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比45%で添加し、連続的にミキサーで攪拌しTダイから押出してダイの下20mmを走行しているステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がして(揮発分含量40重量%)テンタークリップに固定し、300℃×12秒、400℃×12秒、500℃×30秒で乾燥・イミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
【0066】
比較例1で得られた非熱可塑性のポリイミドフィルムを評価したところ、厚み減少率15%、重量減少率10%、無機粒子耐酸性○であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
球状シリカを、平均粒径5μmのリン酸カルシウムに変更した以外は、比較例1と同様の操作を行い、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
【0067】
比較例2で得られた非熱可塑性のポリイミドフィルムを評価したところ、厚み減少率15%、重量減少率10%、無機粒子耐酸性×であった。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】


比較例1に示すように、熱可塑性部位を導入していないポリイミドフィルムの場合、アルカリ処理による厚みならびに重量の減少度合いが大きく、ポリイミド表面がアルカリにより溶出する結果となった。更に、比較例2に示すように、耐酸性に劣る無機粒子を添加した場合には、酸処理により、フィルム表面の無機粒子が溶出することが確認された。
【0069】
これに対し、熱可塑性部位を導入した実施例では、得られるポリイミドフィルムはアルカリ耐性が問題無い結果となっている。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−7631(P2008−7631A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179456(P2006−179456)