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【発明の名称】 セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
【発明者】 【氏名】本 隆裕

【要約】 【課題】面内及び膜厚方向のレターデーションが小さく、あるいは負の値を持ち、かつフィルムに異物や筋ムラ、傷などの少なく、平面性にも優れたセルロースアシレートフィルムを得率よく、安価に提供すること。さらには、安価で光学特性に優れたセルロースアシレートフィルムを用いて、安価で光学特性に優れた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を提供すること。

【構成】面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ長径50μm以上200μm以下の異物が20個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、波長590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ長径50μm以上200μm以下の異物が20個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
【請求項2】
面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、波長590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ幅方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下の流延ムラが10個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
【請求項3】
幅方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下の流延ムラが10個/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項4】
面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、波長590nmでの光線透過率が88%以上であり、表面凹凸の最大高さRyが3.0μm以下であり、かつ表面凹凸の平均間隔Smが1μm以上1mm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
【請求項5】
表面凹凸の最大高さRyが3.0μm以下であり、かつ表面凹凸の平均間隔Smが1μ以上1mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項6】
面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、波長590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ流延方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下のフィルム傷が0個/m以上10個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
【請求項7】
波長590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ流延方向1mあたり、幅10
μm以上100μm以下のフィルム傷が0個/m以上10個/m以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項8】
溶液流延法によるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、(I)セルロースアシレート溶液調製工程、(II)セルロースアシレート溶液を流延して、流延膜を形成する工程、(III)流延膜の剥離前乾燥工程、(IV)流延膜の剥離工程、(V)流延膜のテンター乾燥工程、(VI)耳部切断巻取り工程、を含み、該(I)セルロースアシレート溶液調製工程が、(i)セルロースアシレートと有機溶媒とを25℃以上95℃以下で混合溶解する工程、(ii)該工程(i)で調製した溶液を−55℃以上20℃以下にまで冷却する工程、(iii)該工程(ii)で調製した溶液を40℃以上115℃以下に加熱する工程、を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記(III)流延膜の剥離前乾燥工程において、流延膜の残留溶媒量が固形分量に対して220質量%から100質量%の範囲にある間、残留溶媒量の平均減少速度が1〜18質量%/秒であることを特徴とする請求項8に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記(V)流延膜のテンター乾燥工程において、剥離した膜をテンター延伸している間、剥離した膜は、40〜150℃の乾燥風で乾燥され、残留溶媒量の平均減少速度が0.01質量%〜3質量%/秒であることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記(VI)耳部切断巻取り工程において、巻取り時にフィルムに接触するパスロールの表面粗さが0.5μm以下であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって作製されたことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって作製されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項14】
アシル置換度(X+Y)が下記式(10)を満たすことを特徴とする請求項1〜7、12〜13のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(10) 2.6<X+Y≦3.0
[式中、Xはアセチル置換度、Yはアセチル以外のアシル置換度である。]
【請求項15】
厚みが30〜120μmであることを特徴とする請求項1〜7、12〜14のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項16】
請求項1〜7、12〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム上に、Re(590)=0〜200nmで、且つ|Rth(590)|=0〜400nmの光学異方性層を積層してなることを特徴とする光学補償フィルム。
【請求項17】
請求項1〜7、12〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムあるいは請求項16に記載の光学補償フィルムを偏光板の液晶セル側の偏光子保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項18】
偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの
少なくとも1枚が請求項1〜7、12〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムあるいは請求項16に記載の光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
【請求項19】
請求項1〜7、12〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム、請求項16に記載の光学補償フィルム、及び請求項17あるいは18に記載の偏光板、の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等に有用なセルロースアシレートフィルム及びその製造方法に関するものである。また、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能など様々な利点からパーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は液晶セル内の液晶の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流である。
【0003】
一般に液晶表示装置は液晶セル、位相差フィルム、偏光板から構成される。位相差フィルムは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。
しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が様々に研究されている。
【0004】
各種の液晶表示装置の表示モードに対して、視野角特性等を改善するための位相差板、光学補償フィルムの特性は様々であり、それらに応じた偏光板保護フィルムや、位相差板、光学補償フィルムの支持体に対する要求性能も様々である。その結果、偏光板保護フィルムや位相差板や光学補償フィルムの支持体の光学的異方性を高めたものや、光学的等方性を高めたものなどの要求が多様化するとともに、要求性能が厳しくなってきている。また、液晶表示装置の低価格化についても要求が強くなっており、各部材の生産性向上(得率向上、低コスト化)が強く求められるようになってきた。
【0005】
偏光板保護フィルムには、光学的等方性が高く、透湿性に富み、偏光子として用いられるポリビニルアルコール(PVA)との接着性が高い、セルロースアセテートフィルムが従来から用いられてきた。
近年、従来の常識を覆して、セルロースアシレートフィルムに正の高いレターデーションを付与し、安価で薄膜な位相差板や位相差フィルム付偏光板が開示されている。例えば、特許文献2には、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる正の高いレターデーション値を有するセルロースアセテートフィルムが開示されている。該特許ではセルローストリアセテートで正の高いレターデーション値を実現するために、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物、中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物を添加し、延伸処理を行っている。
【0006】
一方、セルロースアセテートフィルムの光学的等方性をさらに高め、正面だけでなく、膜厚方向のレターデーションも小さくして斜めから見た場合にも正面と光学特性が変わら
ないことが求められている。セルロースアセテートフィルムに代えてレターデーションを小さくできる素材として、ポリカーボネート系のフィルムや環状オレフィン系フィルムが開示されている(特許文献3,4)が、これらのフィルムは疎水性が高く、偏光子として用いられるPVAとの貼合性に劣ることなどの問題があった。
【0007】
それに対して特許文献5ではPVAへの貼合適正に優れるセルロースアシレートフィルムを、より光学的異方性を低下させて改良し、正面のReをほぼゼロとし且つレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした光学的に等方性である光学的に透明なフィルムも提案されている。
【0008】
【特許文献1】特許第2587398号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開0911656A2号明細書
【特許文献3】特開2001−318233号公報
【特許文献4】特開2002−328233号公報
【特許文献5】特開2005−120352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献5に開示されているセルロースアシレートフィルムの作製方法では、溶解後、時間が経過した溶液を用いた場合には、作製フィルム中に異物を含むようになり、改善が求められていた。さらに、流延時に筋ムラ(流延ムラとも呼ぶ)が発生することがあり、改善が求められていた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、面内及び膜厚方向のレターデーションが小さく、あるいは負の値を持ち、かつフィルムに異物や筋ムラ、傷などの少なく、平面性にも優れたセルロースアシレートフィルムを得率よく、安価に提供することである。
本発明のさらなる別の目的は、安価で光学特性に優れたセルロースアシレートフィルムを用いて、安価で光学特性に優れた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らによる鋭意検討の結果、セルロースアシレートフィルムに発生する異物の低減は、セルロースアシレート溶液の溶解状態を改善することによって達成できることがわかった。セルロースアシレートはセルロースのOH基をアシル置換したものであるが、一部はOH基のまま存在するほか、微結晶部位が多量に存在する。流延するためのセルロースアシレート溶液は高濃度・高粘度であり、分子分散状態にさせることが難しく、その液を流延製膜して作製したフィルムには異物が発生しやすいものであった。本発明では、セルロースアシレート溶液を加熱状態から冷却状態へ、冷却状態から加熱状態へとすることにより、セルロースアシレート溶液の溶解状態を改善し、フィルム中に発生する異物数を改善することができた。また、不溶解性物のギーサーへの付着も減少させることにより筋ムラの数も改善することができた。
一方、フィルムの表面粗さ(表面凹凸)は流延後、高揮発分状態の膜の乾燥速度を制御すること、及びテンターゾーンの乾燥条件を制御することにより、改善することができた。フィルムの傷は耳部裁断後のパスロールの表面粗さを制御することにより減少させることができた。
フィルム異物、筋ムラ、フィルム傷はフィルム全体の光線透過率が高いほど、また、正面および斜めからのレターデーションが小さいほど検出されやすいが、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムや偏光板に用い、液晶パネルや液晶表示装置に組み込んだ場合、問題とならないことが多いことがわかった。その結果、本発明のセルロ
ースアシレートフィルムを用いることで、安価で、欠陥の少ない、優れた光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置を提供することに成功した。
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0012】
(1) 面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ長径50μm以上200μm以下の異物が20個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(2) 面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ幅方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下の流延ムラが10個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(3) 幅方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下の流延ムラが10個/m以下であることを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(4) 面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、波長590nmでの光線透過率が88%以上であり、表面凹凸の最大高さRyが3.0μm以下であり、かつ表面凹凸の平均間隔Smが1μm以上1mm以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(5) 表面凹凸の最大高さRyが3.0μm以下であり、かつ表面凹凸の平均間隔Smが1μ以上1mm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6) 面内レターデーション値Re(590)および膜厚方向のレターデーション値Rth(590)が下記式(I)および(II)を満たし、590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ流延方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下のフィルム傷が0個/m以上10個/m以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
式(I) 0≦Re(590)≦10
式(II) −25≦Rth(590)≦25
[式中、Re(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける面内レターデーション値(単位:nm)である。Rth(590)は25℃60%RH下、波長590nmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(7) 590nmでの光線透過率が88%以上であり、かつ流延方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下のフィルム傷が0個/m以上10個/m以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(8) 溶液流延法によるセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、(I)セルロースアシレート溶液調製工程、(II)セルロースアシレート溶液を流延して、流延
膜を形成する工程(流延膜はウェブとも呼び、本明細書において、溶媒を含んでいる状態や、溶媒を含んでいない状態も両方含む。)、(III)流延膜の剥離前乾燥工程、(IV)流延膜の剥離工程、(V)流延膜のテンター乾燥工程、(VI)耳部切断巻取り工程、を含み、該(I)セルロースアシレート溶液調製工程が、(i)セルロースアシレートと有機溶媒とを25℃以上95℃以下で混合溶解する工程、(ii)該工程(i)で調製した溶液を−55℃以上20℃以下にまで冷却する工程、(iii)該工程(ii)で調製した溶液を40℃以上115℃以下に加熱する工程、を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(9) 前記(III)流延膜の剥離前乾燥工程において、流延膜の残留溶媒量が固形分量に対して220質量%から100質量%の範囲にある間、残留溶媒量の平均減少速度が1〜18質量%/秒であることを特徴とする(8)に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(10) 前記(V)流延膜のテンター乾燥工程において、剥離した膜をテンター延伸している間、剥離した膜は、40〜150℃の乾燥風で乾燥され、残留溶媒量の平均減少速度が0.01質量%〜3質量%/秒であることを特徴とする(8)または(9)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(11) 前記(VI)耳部切断巻取り工程において、巻取り時にフィルムに接触するパスロールの表面粗さが0.5μm以下であることを特徴とする(8)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(12) (8)〜(11)のいずれかに記載の製造方法によって作製されたことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(13) (8)〜(11)のいずれかに記載の製造方法によって作製されたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(14) アシル置換度(X+Y)が下記式(10)を満たすことを特徴とする(1)〜(7)、(12)〜(13)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(10) 2.6<X+Y≦3.0
[式中、Xはアセチル置換度、Yはアセチル以外のアシル置換度である。]
(15) 厚みが30〜120μmであることを特徴とする(1)〜(7)、(12)〜(14)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(16) オクタノール−水分配係数(Log P値)が0〜7であるレターデーション低減剤を含有することを特徴とする(1)〜(7)、(12)〜(15)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(17) レターデーションの波長分散調整剤を含有することを特徴とする(1)〜(7)、(12)〜(16)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(18) (1)〜(7)、(12)〜(17)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム上に、Re(590)=0〜200nmで、且つ|Rth(590)|=0〜400nmの光学異方性層を積層してなることを特徴とする光学補償フィルム。
(19) (1)〜(7)、(12)〜(17)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムあるいは(18)に記載の光学補償フィルムを偏光板の液晶セル側の偏光子膜保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
(20) 偏光膜の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が(1)〜(7)、(12)〜(17)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムあるいは(18)に記載の光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
(21) (1)〜(7)、(12)〜(17)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、(18)に記載の光学補償フィルム、及び(19)あるいは(20)に記載の偏光板、の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透明性が高く、光学的等方性(Re、Rth)に優れた、異物欠陥・
ムラ・傷の少ない安価なセルロースアシレートフィルムを得ることができ、安価で優れた光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置を得ることができる。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
〈セルロースアシレートフィルムの光学特性〉
[セルロースアシレートフィルムのレターデーション]
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃60%RH下、波長590nmでの面内レターデーション値Re(590)値は下記式(I)を満たす。この式でReの単位はnmで表す。
式(I) 0 ≦ Re(590) ≦ 10
【0016】
Re(590)値のより好ましい範囲は0nm以上7nm以下であり、0nm以上5nm以下がさらに好ましく、0nm以上2nm以下が特に好ましい。
【0017】
また、25℃60%RH下、波長590nmでの膜厚方向のレターデーション値Rth(590) は下記式(II)を満たす。この式でRthの単位はnmで表す。
式(II) −25 ≦ Rth(590) ≦ 25
【0018】
Rth(590)値のより好ましい範囲は、−20nm以上20nm以下であり、−15nm以上15nm以下がさらに好ましく、−10nm以上10nm以下が特に好ましい。
【0019】
膜厚方向のレターデーションが小さい本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム厚み方向に余計な複屈折を生じないという特徴を有しており、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることにより液晶表示装置の光学設計の自由度を著しく高めることができる。特に面内および膜厚方向のレターデーションがともに小さいセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムや光学補償フィルムの支持体として用いた場合、他の部材や光学補償フィルム中の光学補償層の光学補償能を邪魔することなく、それらの部材の複屈折をそのまま利用することが可能となる。
【0020】
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内レターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましく、下記式(III)及び下記式(IV)を満たすことが好ましい。
【0021】
式(III) |Re10%−Re80%| ≦ 25
式(IV) |Rth10%−Rth80%| ≦ 35
[式(III)において、Re10%は25℃10%RH下、Re80%は25℃80%RH下、波長590nmでの面内レターデーション、式(IV)において、Rth10%は25℃10%RH下、Rth80%は25℃80%RH下、波長590nmでの膜厚方向レターデーションを表す。]
|Re10%−Re80%|のより好ましい範囲は0〜20nmであり、さらに好ましくは0〜15nmである。
また、|Rth10%−Rth80%|のより好ましい範囲は0〜25nmであり、さらに好ましくは0〜15nmである。
【0022】
本発明のセルロースアシレートフィルムは、波長400nmと700nmでのRe、Rthの差、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|が小さいことが好ましく、|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35であることが好ましい。より好ましくは、|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦25であり、|Re(400)−Re(700)|≦3かつ|Rth(400)
Rth(700)|≦15であることが特に好ましい。
各レターデーションは、25℃60%RH下で測定する。
【0023】
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0024】
[レターデーションのばらつき]
レターデーション値のばらつきは、製膜したフィルムの幅方向5点(中央、端部(両端からそれぞれ全幅の5%の位置)、および中央部と端部の中間部2点)を長手方向に100mごとにサンプリングしたものの値の最大値と最小値との差であり、10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、1nm以下であることが特に好ましい。
【0025】
[フィルム透明性]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、透明性が高く光学用途のフィルムとして好ましい。590nmの波長の光線透過率は88%以上が好ましく、より好ましくは90%以上のフィルムである。
【0026】
[フィルム異物]
本発明のセルロースアシレートフィルムの一態様においては、1mあたり、長径50μm以上200μm以下の異物数が0個/m以上20個/m以下である。異物とは、ルーペまたは、光学顕微鏡、偏光顕微鏡などを用いて、透過光、反射光、偏光光の何れかがその周辺の正常領域と異なる状況にあるものとして確認することができるものである。異物としては工程の塵埃等外部からの混入によるものや流延液に用いる原材料中の不溶解物(例えば、セルロースアシレートを合成する際に微結晶を形成していて、十分な反応ができずに生じた低置換度のセルロースアシレートや未反応のセルロース)、不純物(可塑剤などの添加剤に含まれる)、流延液中のかわばり、反応物などの成分が固形になったものものなどがある。光学用途のフィルムとして異物は少ないほうが好ましいが、好ましい異物数は10個/m以下であり、より好ましくは5個/m以下であり、特に好ましくは3個/m以下である。
【0027】
[フィルム流延ムラ]
本発明のセルロースアシレートフィルムの一態様においては、幅方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下のフィルム流延ムラ数が0個/m以上10個/m以下である。
フィルム流延ムラとはルーペまたは、光学顕微鏡、偏光顕微鏡などを用いて、透過光、反射光、偏光光の何れかがその周辺の正常領域と異なる状況にあるものとして確認することができるものであり、厚み、レターデーションReやRth、面内の遅相軸方向や表面処理の程度などが幅方向に見て断続的に変化している領域である。光学用途のフィルムとしてフィルム流延ムラは少ないほうが好ましいが本発明のセルロースアシレートフィルムは光線透過率が高く、また正面及び斜め方向のレターデーションが小さいため、フィルム流延ムラが識別されやすい。好ましいフィルム流延ムラ数は10個/m以下であり、より好ましくは5個/m以下であり、特に好ましくは3個/m以下である。
【0028】
[フィルム傷]
本発明のセルロースアシレートフィルムの一態様においては、流延方向1mあたり、幅10μm以上100μm以下のフィルム傷数が0個/m以上10個/m以下である。フィルム傷とはルーペまたは、光学顕微鏡、偏光顕微鏡などを用いて、透過光、反射光、偏光光の何れかがその周辺の正常領域と断続的に異なる凹凸として確認することができるもので、3mm以上の長さ、凹凸は高さが0.1μm以上のものである。光学用途のフィルムとしてフィルム傷は少ないほうが好ましいが、本発明のセルロースアシレートフィルムは光線透過率が高く、また正面及び斜め方向のレターデーションが小さいため、フィルム傷が識別されやすい。好ましいフィルム傷数は10個/m以下であり、より好ましくは5個/m以下であり、特に好ましくは3個/m以下である。
【0029】
[フィルム平面性]
本発明セルロースアシレートフィルムの一態様においては、表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の最大高さ(Ry)が3.0μm以下である。より好ましくは、0.5μm以上2.5μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上2.0μm以下である。フィルム表面の凹凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。 また、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の平均間隔(Sm)が1μm以上1mm以下であることが好ましく、より好ましくは、10μm以上1mm以下であり、さらに好ましくは100μm以上1mm以下である。
【0030】
[セルロースアシレートフィルムの原料]
本発明のセルロースアシレートフィルムの原料としては、以下に述べるセルロースアシレートを用いることができ、後述の各種の化合物や添加剤等のその他の成分を適宜用いることができる。
【0031】
〈セルロースアシレート〉
セルロースを形成するグルコースユニットは、結合できる3つの水酸基を有しており、例えば、セルローストリアセテートにおいて、グルコースユニットの3個の水酸基全てがアセチル基に結合している場合には、アセチル基による置換度は3.0である。セルロースアシレートの置換度は高ければ高いほど膜厚方向のレターデーションを小さくすることができ好ましい。セルロースアシレートは置換度が大きくなると固有複屈折が正から負に変わる性質を有している。高置換度で固有複屈折が負であるセルロースアシレートは延伸することによって膜厚方向のレターデーションを低下させることが可能である。
これらアシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースアシレートの好ましいアシル置換度は、酢酸によるアセチル置換度をX、プロピオン酸や酪酸などの酢酸以外によるアシル置換度をYとして表した場合に、下記の式(10)を満たすセルロースアシレートである。
【0032】
式(10) 2.6<X+Y≦3.0
【0033】
これはX+Yが2.6より大きく、3.0以下の範囲のものがRthを小さくするのに
好ましい。より好ましくは、2.70〜3.00であり、さらに好ましくは2.85〜2.98であり、特に好ましくは、2.91〜2.98である。
【0034】
本発明に用いられるセルロースアシレートは、セルロースアシレートの原料であるセルロースが、綿花リンターから由来するもの、あるいは、木材パルプから由来するもののいずれをも用いることができる。また、これらを混合したものを用いること、および、綿花リンターや木材パルプ以外のケナフなどを含ませることができる。
【0035】
本発明に用いられるセルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等の脂肪族のカルボン酸、無機酸のほか、芳香環を有するカルボン酸さらには、ジカルボン酸やトリカルボン酸のような多価カルボン酸や多価カルボン酸の部分エステルなどのセルロースエステル類が挙げられる。
【0036】
本発明に用いられるセルロースアシレートは、吸水性を有し、0.4%〜4.4%の水分を含水率として含んでいることが好ましい。含水率が上記範囲にあると、セルロースアシレート溶液の固形分量を管理する上で好ましい。
【0037】
また、本発明のセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度でそれぞれ200〜800が好ましく、250〜650がより好ましい。粘度平均重合度は宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)に従い測定できる。粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
【0038】
セルロースアシレートの分子量が大きいとフィルムの弾性率を多少大きくすることができるが、分子量を上げすぎるとセルロースアシレートの溶解液の粘度が高くなりすぎるため、風ムラなどが発生し、その生産性が低下しやすくなる。セルロースアシレートの分子量は数平均分子量(Mn)で50,000〜200,000のものが好ましく、100,000〜200,000のものがより好ましい。本発明で用いられるセルロースアシレートは、Mw/Mn比が1.6〜4.5であることが好ましく、より好ましくは2.4〜3.6である。
【0039】
セルロースアシレートの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
【0040】
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
【0041】
〈レターデーション低減剤〉
本発明に用いられるレターデーション低減剤は膜厚方向のレターデーションを低減させる化合物であり、具体的な例としては、下記一般式(1)や一般式(2)で表される化合物などが挙げられるがこれに限られるものではない。
【0042】
【化1】


【0043】
上記一般式(1)において、R11はアルキル基またはアリール基を表し、R12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R11、R12およびR13の炭素原子数の総和は10以上であることが好ましい。R11、R12およびR13において、各々のアルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよい。
【0044】
上記アルキル基又はアリール基の置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基がより好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。
【0045】
一般式(1)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、これらの具体例に限定されない。
【0046】
【化2】


【0047】
【化3】


【0048】
【化4】


【0049】
次に、一般式(2)の化合物について説明する。
式中、R14はアルキル基またはアリール基を表し、R15およびR16はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。
【0050】
より好ましくは、R14、R15およびR16はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
【0051】
上記のアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基およびアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
【0052】
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、これらの具体例に限定されない。
【0053】
【化5】


【0054】
【化6】


【0055】
【化7】


【0056】
【化8】


【0057】
【化9】


【0058】
【化10】


【0059】
【化11】


【0060】
【化12】


【0061】
これらのレターデーション低減剤は、光学異方性を低下させる機能を有している。
このレターデーションを低下させる化合物を含有することにより、セルロースアシレートフィルム中のポリマーが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学異方性を十分に低下させ、Reはゼロに近く、さらにRthは負にすることができる。レターデーションを低下させる化合物は、ポリマーに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
【0062】
また、本発明に用いるレターデーション低減剤の含水率は2%以下であることが好ましい。
【0063】
(LogP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制してレターデーションを低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。セルロースアシレートとの相溶性に富み、フィルムの白濁や粉吹きを生じにくい点で、logP値が7以下の化合物が好ましい。また、親水性が高すぎず、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させにくい点で、logP値が0以上の化合物が好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
【0064】
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法 (J. Chem. Inf. Comput. Sci., 27, 21(1987))、Viswanadhan's fragmentation法(J. Chem. Inf. Comput. Sci., 29, 163(1989))、Broto's fragmentation法(Eur. J. Med. Chem. Chim. Theor., 19, 71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J. Chem. Inf. Comput. Sci., 27, 21(1987))がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
【0065】
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学異方性を低下させる化合物(レターデーション低減剤)を、下記式(a)、(b)を満たす範囲で少なくとも1種含有することが好ましい。
【0066】
(a)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(b)0.01≦A≦100
【0067】
[式中、Rth(A)はRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)、Rth(0)はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、Aは前記ポリマーの固形分質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
【0068】
上記式(a)、(b)は
(a1)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(b1)0.05≦A≦50であることがより好ましく、
(a2)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(b2)0.1≦A≦20であることがさらに好ましい。
上記Rthは、590nm、25℃60%RHでの値である。
【0069】
〈波長分散調整剤〉
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ReおよびRthの波長による依存性、すなわち波長分散が小さいことが望ましい。この、波長分散を低下させる手段として、本発明においてはセルロースアシレートフィルムに対して波長分散を調整する化合物(以下波長分散調整剤ともいう)を添加することが有効である。
波長分散調整剤としては、下記式(c)で表されるRthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物であることが好ましく、本発明のセルロースアシレートフィルムは、この化合物を下記式(d)、(e)をみたす範囲で少なくとも1種含有することが好ましい。
【0070】
(c)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)
(d)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(e)0.01≦B≦30
[式中、ΔRth(B)はRthの波長分散を調整する化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)、ΔRth(0)はRthの波長分散を調整する化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはポリマーの固形分質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
【0071】
上記式(d)、(e)は
(d1)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(e1)0.05≦B≦25であることがより好ましく、
(d2)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(e2)0.1≦B≦20であることがさらに好ましい。
【0072】
上記の波長分散調整剤としては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムのΔRe=|Re(400)−Re(700)|およびΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物であることがより好ましく、このような化合物を少なくとも1種含むことによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散をより効果的に調整することができる。
【0073】
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は長波長側よりも短波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
【0074】
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側ほど大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はポリマー固形分に十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
【0075】
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるのに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。よって、波長分散調整剤をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れたものを用いることが好ましい。波長分散調整剤の分光透過率としては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であることが好ましく、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがより好ましい。
【0076】
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましいため、分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
【0077】
波長分散調整剤の添加量は、ポリマーの固形分の0.01ないし30質量%であることが好ましく、0.1ないし20質量%であることがより好ましく、0.2ないし10質量%であることが特に好ましい。
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して
用いてもよい。
【0078】
加えて、波長分散調整剤の含水率は2%以下であることが好ましい。
【0079】
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸アシレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
【0080】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(101)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(101): Q101−Q102−OH
(式中、Q101は含窒素芳香族ヘテロ環、Q102は芳香族環を表す。)
【0081】
101は、含窒素方向芳香族へテロ環を表し、好ましくは5乃至7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環である。例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等が挙げられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
101で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
【0082】
102で表される芳香族環は、特に限定されず、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよいが、芳香族炭化水素環であることが好ましい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環としては、炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であることが好ましく、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環であることがより好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環であることがさらに好ましく、ナフタレン環、ベンゼン環であることが特に好ましく、ベンゼン環であることが最も好ましい。
【0083】
芳香族ヘテロ環としては、特に限定されないが、好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。この芳香族ヘテロ環の具体例としては、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン等が挙げられる。中でも、ピリジン、トリアジン、キノリンが好ましい。
【0084】
102は、更に置換基を有してもよく、下記の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素
数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル等が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸ア
ミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル等が挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる)等が挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0085】
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
【0086】
【化13】


【0087】
(式中、R101、R102、R103、R104、R105、R106、R107およびR108はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
【0088】
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、およびR108はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
101およびR103として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
【0089】
102、およびR104として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0090】
105およびR108として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ア
ルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0091】
106およびR107として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
【0092】
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
【0093】
【化14】


【0094】
(式中、R101、R103、R106およびR107は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に、一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、下記具体例に限定されない。
【0095】
【化15】


【0096】
【化16】


【0097】
以上のベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずにセルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で有利である。
【0098】
また、波長分散調整剤として用いられるベンゾフェノン系化合物としては、下記一般式(102)で示されるものが好ましい。
【0099】
【化17】


【0100】
(式中、Q111およびQ112はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X111は、NR110(R110は水素原子または置換基を表す。)、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
【0101】
111およびQ112で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
111およびQ112で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
111およびQ112で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
111およびQ112であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
111およびQ112は更に置換基を有してもよく、前述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
【0102】
111はNR110(R110は水素原子または置換基を表す。置換基としては前述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表す。X111がNR110である場合、R110として好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。X111として好ましくは、NR110または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
【0103】
置換基Tとしては一般式(101)と同様のものを用いることができる。
【0104】
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
【0105】
【化18】


【0106】
(式中、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118およびR119は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
【0107】
111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118およびR119は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
【0108】
111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118およびR119として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0109】
112として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0110】
117として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
【0111】
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
【0112】
【化19】


【0113】
(式中、R120は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
【0114】
120は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
120として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
【0115】
一般式(102)で表される化合物は特開平11−12219号公報記載の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、下記具体例に限定されない。
【0116】
【化20】


【0117】
【化21】



【0118】
【化22】


【0119】
また、波長分散調整剤として用いられるシアノ基を含む化合物としては、下記一般式(103)で示されるものが好ましい。
【0120】
【化23】


【0121】
(式中、Q121およびQ122はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X121およびX122は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つは少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。)
121およびQ122であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でも
よい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0122】
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
【0123】
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
【0124】
121およびQ122であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
121およびQ122は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tは一般式(101)と同様である。
【0125】
121およびX122は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。X121およびX122で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X121およびX122はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X121およびX122はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
【0126】
121およびX122として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR′(R′は:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの))である。
【0127】
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103−A)で表される化合物である。
【0128】
【化24】


【0129】
(式中、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129およびR130
は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X121およびX122は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
【0130】
121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129およびR130はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
【0131】
121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129およびR130として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0132】
123およびR128として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0133】
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103−B)で表される化合物である。
【0134】
【化25】


【0135】
(式中、R123およびR128は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X123は水素原子または置換基を表す。)
【0136】
123は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X123として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR″(R″は:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
【0137】
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103−C)で表される化合物である。
【0138】
【化26】


【0139】
(式中、R123およびR128は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R131は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【0140】
131として好ましくは、R123およびR128が両方とも水素原子である場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
【0141】
131として好ましくは、R123およびR128が水素以外の場合には、一般式(103−C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
【0142】
一般式(103)で表される化合物は、Journal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)に記載の方法によって合成できる。
【0143】
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、下記具体例に限定されない。
【0144】
【化27】


【0145】
【化28】


【0146】
【化29】


【0147】
〈フィルム性質〉
【0148】
[フィルムの厚さ]
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さは、30〜120μmであることが好ましく、光学補償フィルムや偏光板保護膜としては、40〜100μmであることが好ましく、60〜80μmであることがさらに好ましく、65〜75μmであることが特に好ましい。
【0149】
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。セルロースアシレートフィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6
714に従って測定した。
【0150】
[フィルムのカール特性]
本発明のセルロースアシレートフィルムのカール値は、25℃10%RHから25℃80%RHの温湿度条件のすべての範囲で、MD方向(流延方向)及びTD方向(幅方向)ともに、−21〜+21/mが好ましく、より好ましくは−15/m〜+15/mであり、更に好ましくは−10/m〜+10/mであり、−5/m〜+5/mであることが特に好ましい。
【0151】
また本発明のセルロースアシレートフィルムのカールは温度や湿度によって変化しないことが好ましく、25度80%RH下でのMD方向のカール値CMD,80と25度10%RH下でのMD方向のカール値CMD,10との差(CMD,80−CMD,10)が−14/m〜+14/mであり、かつ、25度80%RH下でのTD方向のカール値CTD,80と25度10%RH下でのTD方向のカール値CTD,10との差(CTD,80−CTD,10)が−14/m〜+14/mであることが好ましい。より好ましくは、(CMD,80−CMD,10)および(CTD,80−CTD,10)が−11/m〜11/mであり、更に好ましくは−7/m〜+7/mであり、−5/m〜+5/mであることが特に好ましい。
【0152】
さらに、25℃10%RHでのカール値と45℃10%RHでのカール値の差は、MDおよびTD方向ともに−19/m〜+19/mであることが好ましい。より好ましくは−14/m〜+14/mであり、−9/m〜+9/mであることが特に好ましい。さらにまた、25℃60%RHでのカール値と45℃60%RHでのカール値の差及び25℃80%RHでのカール値と45℃80%RHでのカール値の差が、MDおよびTD方向ともに、−19/m〜+19/mであることが好ましい。より好ましくは−14/m〜+14/mであり、−9/m〜+9/mであることが特に好ましい。
【0153】
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムとして偏光膜との貼りあわせを行なう場合、特に、長尺の偏光膜と長尺のセルロースアシレートフィルムを効率的に貼りあわせる場合のほか、セルロースアシレートフィルムに表面処理、光学異方性層を塗設したりする際のラビング処理の実施や光学異方性層や様々な機能層の塗設などを長尺品で行なう際に、本発明のセルロースアシレートフィルムのカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きるトラブルが発生することがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムなどの光学用フィルムとして、擦れ傷、点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。さらにカール値を上述の範囲とすることで偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減することができる。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
【0154】
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、3.0%以下であることが好ましい。光学補償フィルムの支持体として用いる際のレターデーションの湿度変化による依存性の観点などから、0.1〜2.5%であることがより好ましく、1〜2%であることが特に好ましい。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフ
ィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出できる。
【0155】
[フィルムの透湿度]
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して100g/m2・24h以上、2000g/m2・24h以下であることが好ましい。200〜1200g/m2・24hであることがより好ましく、300〜1000g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.3nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.3nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償フィルムや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすこともある。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が100g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じることもある。
【0156】
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めることができる。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
【0157】
〈フィルムの添加剤〉
本発明のセルロースアシレートフィルムは種々の添加剤を含有させることができ、添加剤としては、膜厚方向のレターデーションを所望の範囲とできる添加量であれば制限はない。例えば、上述のレターデーション低減剤(光学異方性を低下させる化合物)、波長分散調整剤の他に、その他光学特性調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、等が挙げられる。
種々の添加剤は、製造の各段階において添加することができる。添加する時期は特に限定されない。ポリマー溶液(以下、ドープともいう)の調製工程に添加することができる。この場合、ドープ調製工程の最後の工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
【0158】
[添加剤の含有量]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートの0.3質量%以上、例えば0.3質量%以上45質量%以下の添加剤を含有することが好ましい。添加剤は樹脂素材の光学特性、物理特性などのフィルムの諸特性を樹脂素材のみからなるフィルムよりも広範囲に調整することができる。より好ましくは5〜40質量%であり、さらにのぞましくは10〜30質量%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下させる化合物、架橋構造を形成する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が0.3質量%未満であると、基材樹脂素材単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題が
ある。またこれら化合物の総量が45質量%を超えると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
【0159】
[添加剤の厚み方向分布]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、分子量が3000以下の化合物の添加物を、セルロースアシレートフィルムを構成する樹脂素材質量に対して少なくとも1種類以上、0.3%以上含有し、セルロースアシレートフィルムを厚み方向に10等分した領域の中で、最外層を除く8つの領域それぞれの添加剤存在量がセルロースアシレートフィルム全体の平均添加剤存在量(フィルム中全添加剤量を10で割った値)の80%〜120%であることが好ましい。このように添加剤分布が均一であることにより、常温常湿、低湿、高湿の他、低温や高温でもセルロースアシレートフィルムのカール値を0に近づけることができるものと考えられ、湿度変化によるカールの変動や温度変化によるカールの変動も小さく抑えられるものと考えられる。各領域の添加剤存在量はフィルム平均存在量の85%〜115%であることがより好ましく、90%〜110%であることが特に好ましい。
【0160】
添加剤の厚み方向分布の評価はION―TOF社製TOF−SIMS IV(一次イオンとしてAu1+、25keV)を用いて評価することができる。フィルム流延時の支持体面から空気表面(反支持体面)へ膜厚方向に10等分した各層の添加剤強度を算出し評価する。複数の添加剤を有する場合、それぞれの添加剤ごとに添加強度を算出し、フィルム全体に含有する添加剤量を算出し、その割合に応じて各層の添加剤量を評価することができる。
【0161】
[剥離剤]
本発明に使用される樹脂素材、例えばセルロースアシレートフィルムには、剥離時の荷重を小さくするために剥離剤を添加することが好ましい。
剥離剤としては、公知の界面活性剤を用いることが有効である。この界面活性剤としては、リン酸系、スルホン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系等の界面活性剤を用いることができ、特に限定されない。ここで用いることができる界面活性剤の例としては、例えば特開昭61−243837号公報等に記載されている。
【0162】
なお、剥離剤に関しては、特開2003−055501号公報に、セルロースアシレート溶液の白濁を防止し、フィルム製造剥離性とフィルム面状を改良するため、非塩素系溶剤に溶解したセルロースアシレート溶液で、酸解離指数pKAが1.93〜4.5の多塩基酸部分アシル体、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩から選ばれる添加剤を含有するセルロースアシレート溶液について記載がある。
なお、添加剤に関しては特開2003−128838号公報には、剥ぎ取り性、面状、膜強度を良化させるために、少なくとも一種類の活性水素と反応する基を2個以上有する架橋剤をセルロースアシレートに対して0.1〜10質量%含有するセルロースアシレートドープ溶液についての記載がある。
また、特開2003−165868号公報には、添加剤を添加し、良好な透湿度を有し、寸法安定性に優れたフィルムを提案している。
本発明では、上記公報に記載されている剥離剤を用いることができる。
【0163】
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネ
シウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0164】
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
【0165】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0166】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vは、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、セルロースアシレートフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0167】
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行ない、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
【0168】
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアシレートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0169】
[可塑剤、劣化防止剤]
上記のレターデーションを低下させる化合物、波長分散調整剤などの他に、本発明のセ
ルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0170】
[セルロースアシレートフィルムの製造方法]
(セルロースアシレート溶液の作製)
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について述べる。尚、本発明の製造方法によれば、好適に本発明のセルロースアシレートフィルムを得ることができるが、本発明のセルロースアシレートフィルムは、これに限定されるものではない。
本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法は溶液流延法によるものであり、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を用いることができる。
【0171】
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造に用いるセルロースアシレート溶液(ドープ)は、セルロースアシレートを有機溶媒と25℃以上95℃以下で混合溶解する工程、−55℃以上20℃以下に冷却する工程、及び、再び40℃以上115℃以下に加熱して溶解を行う工程を含んで調製されたセルロースアシレート溶液であり、セルロースアシレートを溶解機(釜)で溶解したドープを貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をすることができる。
【0172】
セルロースアシレートの溶解の状況は、以下のようであると推測される。
25℃以上95℃以下で膨潤溶解後、冷却することにより、微結晶を形成していて、アシル置換反応率が小さかった部位などに有機溶媒が浸透しやすくなり、その後の加熱により、溶解しやすくなって、セルロースアシレートの溶解状態が分子分散状態となるものと考えられる。
このようにして溶解したセルロースアシレート溶液を用いることで、フィルム中の異物数を所望の範囲にすることができ、また流延ムラ数も所望の範囲とすることができる。
【0173】
好ましい溶解温度は、最初の加熱は30℃以上90℃以下がより好ましく、40℃以上85℃以下がさらに好ましい。冷却温度は10℃以下−50℃以上がより好ましく、0℃以下−50℃以上がさらに好ましい。再度の加熱は40℃以上105℃以下であることがより好ましく、45℃以上95℃以下がより好ましい。
本発明のセルロースアシレートは、セルロースアシレートの原料であるセルロースが、綿花リンターから由来するもの、木材パルプから由来するもののいずれも用いることができる。また、両者の混合品を用いることができるほか、綿花リンターや木材パルプ以外のケナフなどを含ませることができる。
溶解機にはセルロースアシレートのほかにUV吸収剤溶液、レターデーション調整剤溶液、波長分散調整剤、剥離剤溶液あるいは可塑剤溶液などあらかじめ混合することもできる。
このようにして調整したドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定
量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して送り、必要に応じて不溶解物をろ過した後、流延ダイの手前であらかじめ調製しておいたマット剤溶液、UV吸収剤溶液、レターデーション調整剤溶液、波長分散調整剤、剥離剤溶液あるいは可塑剤溶液などを必要に応じてインラインで混合する。これら添加液の混合は逐次で行ってもよい。
調整したセルロースアシレート主溶液、マット剤溶液など各液はろ過により、不溶解物や凝集物を除くことが好ましい。流延ダイの手前で実施することあるいは、インラインでマット剤溶液などの各添加液を混合する前に実施することができる。前述した異物数の制御ができるかぎり、これらを単独あるいは、両者を用いて実施することが好ましい。
【0174】
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0175】
本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
【0176】
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許文献に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号などに記載されている。これらの特許文献によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても適用可能である。
【0177】
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
【0178】
(流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから無端金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによ
る方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたり、あるいは研磨によって表面粗さが0.05μm以下に仕上げされたステンレス板無端バンドやドラムが用いられる。金属支持体の表面温度は一般的には0〜35℃が使用される。また、冷却ゲル化流延法では−50〜0℃であり、−35〜−3℃が好ましく、−25〜−5℃であることが更に好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基又は2基である。
【0179】
2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるセルロースアシレート溶液の温度は−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。使用する溶剤の沸点よりも5ないし15℃低い温度が好ましい。工程のすべての場所でセルロースアシレート溶液の温度が同一でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で前記範囲の温度であればよい。
【0180】
エンドレス金属支持体の幅は0.8から2.5m、長さは5から120m、厚さは0.8から3.5mmのものが好ましく使用できる。流延幅は40cmから2.3m、金属支持体の移動速度(すなわち流延速度)はドープの固形分濃度や出来上がりのフィルム厚さ、エンドレス金属支持体の長さ、支持体温度などにもよるが、0.5から300m/分が使用できる。
【0181】
さらに特開2001−129838号、特開2000−317960号、特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平11−221833号、特開平07−032391号、特開平05−185445号、特開平05−086212号、特開平03−193316号、特開平02−276607号、特開平02−111511号、特開平02−208650号特開昭62−037113号、特開昭62−115035号、特開昭55−014201号および特開昭52−10362号の各公報に記載の技術を本発明では応用できる。
【0182】
(重層流延)
セルロースアシレート溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延してもよい。複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよく、特にこの方法は高粘度溶液を用いる冷却ゲル化流延法においては好ましい流延方法である。更に又、特開昭61−9
4724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
【0183】
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることがあった。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述のレターデーション調整剤、波長分散調整剤、マット剤、剥離剤、可塑剤、紫外線吸収剤等の添加物濃度が異なるセルロースアシレート溶液を共流延して、積層構造のセルロースアシレートフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースアシレートフィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、又はスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。又、コア層とスキン層でレターデーション調整剤、波長分散調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性のレターデーション調整剤、波長分散調整剤、可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れたレターデーション調整剤、波長分散調整剤、可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ゲル化流延法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。
【0184】
流延から後述の剥離までの間、流延膜の残留溶媒量が固形分量に対して220質量%から100質量%の範囲にあるときの残留溶媒量減少平均速度が0.1〜20質量%/秒となるように乾燥することが好ましく、この範囲とすることによって、フィルムの表面粗さを適切な値とすることができる。より好ましくは、1〜18質量%/秒、さらに好ましくは、1.2〜15質量%/秒、特に好ましくは、1.5〜12質量%/秒である。
【0185】
(剥離)
セルロースアシレート溶液を、無端金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に流延したのち、乾燥するかあるいは冷却することによりゲル化させ、支持体上から剥離させる。
流延後剥離までの時間は5秒〜150秒とすることが好ましい。より好ましくは7秒〜135秒であり、さらに好ましくは8秒〜120秒である。
【0186】
(冷却ゲル化)
本発明で行われる冷却ゲル化は、特開昭62−115035号公報に記されている如き、冷却ゲル化流延法の使用が、乾燥が速く生産性に優れるため好ましい。該方法では金属支持体は0℃以下に冷却され、支持体表面温度が上昇しない程度の温度と風量の乾燥風を、2秒以上あてて乾燥することが好ましい。この方法ではフィルムは主に冷却による粘度上昇あるいは冷却ゲル化により自己保持性が付与されるため、高残留溶剤分でも剥離可能になる。剥離時の好ましい残留溶剤分は80から300%であり、更に好ましくは150から280%である。剥離時の好ましいフィルム温度は5℃から−50℃であり、更に好ましくは0℃から−25℃である。本方法では支持体上における片面乾燥の時間を短くできるので、トータルの乾燥時間を大幅に短縮でき、コスト及び環境負荷の削減効果が大きい。冷却ゲル化流延では金属支持体としてドラムを使用することが多い。ドラム中に冷却液を封入することにより、流延液膜を効果的に冷却ゲル化できる。ドラムの好ましい外周長さは2から20mである。好ましい流延速度は毎分0.5から300mである。ドラム外周長1mあたりの更に好ましい流延速度は毎分2から20mであり、特に好ましくは5から15mである。
【0187】
(テンター乾燥)
フィルムを支持体から剥離する時、フィルムは支持体速度の1.01倍から1.4倍の速度で引っ張られる。引張速度比が大きくなるほど、フィルムの流延方向弾性率を大きく出来る。剥離されたフィルムは例えば特開昭62−115035号公報に記されている如き、幅規制装置(例えばテンター装置)によりフィルム両端を保持されて、フィルムの収縮を規制しながらあるいは幅方向に延伸しながら乾燥される。幅規制装置の入り口と出口におけるフィルム幅の比は、0.75から1.4が好ましい。幅方向に延伸するとフィルムの幅方向弾性率を大きく出来るので好ましい。乾燥は40〜150℃の熱風を吹き込むことによって行われる。幅規制装置の中を複数に区切り、順次乾燥風の温度を低い方から高いほうに変化させることが好ましい。乾燥速度は、延伸領域における残留溶剤の平均減少速度を0.01質量%〜3質量%/秒とすることが好ましく、0.03質量%〜2質量%/秒とすることがより好ましい。
【0188】
(乾燥、巻取り)
フィルム中の残留溶剤分がフィルム固形分の20質量%以下になった後、フィルムを幅規制装置からはずし、更に100から150℃の温度で乾燥することが好ましい。幅規制装置によって変形している両耳部を切り落とし、両端部にナーリングを付与して巻き取ることが好ましい。ナーリングの幅は3mm〜50mm、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmであり、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。巻き取る長さは1ロールあたり100〜10000mが好ましく、より好ましくは500〜6000mであり、さらに好ましくは1000〜4000mである。
本発明のセルロースアシレートフィルムは耳部裁断の後、フィルムが接触するパスロールの表面粗さ(表面凹凸の算術平均粗さ)Raを0.1μm以上、10μm以下とすることにより、フィルムの傷つきを低減することができる。
【0189】
(偏光板)
偏光板は、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜を含んで構成されている。この透明保護膜として、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光子の両側に使用してもよいし、片側だけに使用してもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子などがある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板保護膜として用いる場合、液晶セル側に用いることが好ましい。偏光板の作製方法は特
に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面に偏光板保護フィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。偏光板保護フィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、偏光板保護フィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
【0190】
本発明のセルロースアシレートフィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の光軸との貼りあわせ角度には特に制限はない。セルロースアシレートフィルムの遅相軸と偏光子の透過軸とを平行にしてもよいし、直交させてもよいし、あるいはその中間の適当な角度にしてもよい。
【0191】
本発明の偏光板は、25℃60%RHにおける単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CT、偏光度Pが下記式(A)〜(D)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(A)40.0≦TT≦45.0
(B)30.0≦PT≦40.0
(C)CT≦2.0
(D)95.0≦P
【0192】
単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTはこの順でそれぞれ、より好ましくは、40.5≦TT≦45、32≦PT≦39.5、CT≦1.5であり、さらに好ましくは41.0≦TT≦44.5、34≦PT≦39.0、CT≦1.3である。偏光度Pは95.0%以上であることが好ましく、より好ましくは96.0%以上、さらに好ましくは97.0%以上である。
本発明の偏光板は、波長λにおける直交透過率をCT(λ)としたときに、CT(380)、CT(410)、CT(700)が下記式(E)〜(G)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(E)CT(380)≦2.0
(F)CT(410)≦1.0
(G)CT(700)≦0.5
【0193】
より好ましくはCT(380)≦1.95、CT(410)≦0.9、CT(700)≦0.49であり、さらに好ましくはCT(380)≦1.90、CT(410)≦0.8、CT(700)≦0.48である。
【0194】
本発明の偏光板は、60℃95%RHの条件下に500時間静置した場合の直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(J)、(K)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
【0195】
(J)−6.0≦ΔCT≦6.0
(K)−10.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−5.8≦ΔCT≦5.8、−9.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−5.6≦ΔCT≦5.6、−9.0≦ΔP≦0.0である。
本発明の偏光板は、60℃90%RHの条件下に500時間静置した場合の直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(H)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(H)−3.0≦ΔCT≦3.0
(i)−5.0≦ΔP≦0.0
【0196】
本発明の偏光板は、80℃の条件下に500時間静置した場合の直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(L)、(M)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(L)−3.0≦ΔCT≦3.0
(M)−2.0≦ΔP≦0.0
【0197】
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTは、UV3100PC(島津製作所社製)を用い、380nm〜780nmの範囲で測定し、TT、PT、CTともに、10回測定の平均値(400nm〜700nmでの平均値)を用いる。偏光度Pは、偏光度(%)=100×{(平行透過率−直交透過率)/(平行透過率+直交透過率)}1/2で求めることができる。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行う。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に本発明のセルロースアシレートフィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を本発明のセルロースアシレートフィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。
【0198】
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムはレターデーションが小さく、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
【0199】
したがって本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のReおよびRthはRe(590)=0〜200nmかつ|Rth(590)|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
【0200】
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
【0201】
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,p.111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,p.1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,p.2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
【0202】
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
【0203】
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
【0204】
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号などに記載の化合物が含まれる。
【0205】
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
【0206】
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフ
ィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
【0207】
(液晶表示装置の構成例)
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0208】
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0209】
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.、Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.、Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
【0210】
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0211】
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶
表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとして特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
【0212】
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、前記偏光板の保護膜と保護膜と液晶セルの間に配置された光学異方性層のレターデーションの値は、液晶層のΔn・d(屈折率差×厚み)の値の2倍以下に設定するのが好ましい。またRth値の絶対値|Rth|は、25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下に設定するのが好ましいため、本発明のセルロースアシレートフィルムが有利に用いられる。
【0213】
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとしても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
【0214】
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00−65384号に記載がある。
【0215】
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体または偏光板保護フィルムとしても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモ
ードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kumeet al.,SID98 Digest,1089(1998))に記載がある。
【0216】
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムも好ましく用いることができる。
【実施例】
【0217】
実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0218】
本発明においてセルロースアシレートフィルムの特性評価は以下のようにして実施した。
面内レターデーション値Re、膜厚方向のレターデーション値Rthの評価は試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(590)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(590)は前記Re(590)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長590nmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率および膜厚を入力し算出した。
【0219】
平面性の評価は、JISB0601−1994に基づく膜の表面凹凸の最大高さ(Ry)、表面凹凸の平均距離を表面粗さ計により評価した。
【0220】
[実施例1]
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。93℃で3時間攪拌溶解した。このタンク内を5℃までに2℃/分で冷却し、2時間後、70℃に加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、73℃の温度に10分間保った後、冷却熱交換器にて35℃に冷却した。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行は遅かった。更に孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LA1)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0221】
<セルロースアセテート溶液(LA1)組成>
セルロースアシレート(綿花リンター由来、アセチル置換度2.94(アシル置換度2.94)、6%粘度 343mPa・s含水率2.8%) 100質量部
メチレンクロライド 433質量部
エタノール 75質量部
レターデーションを低下する化合物(A19)(純度98.0%、含水率1.4%)
12質量部
クエン酸エチルエステル 0.003質量部
【0222】
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)20質量部及びメタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、平均孔径20μmの不織布フィルターでろ過し、マット剤溶液(LC1)を調製した。
【0223】
<マット剤溶液(LC1)組成>
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 12.0質量部
メチレンクロライド 68.5質量部
エタノール 11.8質量部
セルロースアシレート溶液(LA1) 11.3質量部
【0224】
(添加剤溶液の調製)
下記組成の液を作成し、平均孔径47μmのろ紙でろ過し、添加剤溶液(LD1)を調製した。
【0225】
<添加剤溶液(LD1)組成>
波長分散調整剤(UV−102) 7.3質量部
メチレンクロライド 55.3質量部
エタノール 9.5質量部
セルロースアシレート溶液(LA1) 12.8質量部
【0226】
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F1)の作製)
上記セルロースアシレート溶液(LA1)を76.2質量部、マット剤溶液(LC1)1.8質量部及び添加剤溶液(LD1)2.6質量部をそれぞれスタチックミキサーで混合し、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLA1溶液はストックタンク内で36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を40秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから60m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は60秒であった。テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.01倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(F1)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.3μmであった。
巻き取り時の残留溶媒量は0.07%であった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は91.6%であり、フィルムの表面粗さRyは0.6μmであり、表面凹凸の平均間隔は217μmであった。フィルム中央のRe(590)レターデーションは1.2nmであり、Rth(590)レターデーションは−2nmであった。フィルム中の長径50μm以上200μm以下の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ2個であり、1mあたりの異物数は1.4個/mであった。
【0227】
[実施例2]
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。33℃で6時間攪拌溶解した。このタンク内を5℃までに2℃/分で冷却し、2時間後、90℃に加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、93℃の温度に10分間保った後、冷却熱交換器にて35℃に冷却した。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行は遅かった。更に孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LA1)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0228】
<セルロースアセテート溶液(LA2)組成>
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.92(アシル置換度2.92)、6%粘度 313mPa・s、含水率2.2%) 100質量部
メチレンクロライド 438質量部
メタノール 70質量部
1−ブタノール 4質量部
レターデーションを低下する化合物(A−19)(純度98.0%含水率1.4%)
12質量部
クエン酸エチルエステル 0.003質量部
【0229】
(マット剤溶液の調製)
分散液組成を下記に変更したほかは実施例1と同様にして、マット剤溶液(LC2)を調製した。
【0230】
<マット剤溶液(LC2)組成>
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 12.0質量部
メチレンクロライド 76.6質量部
メタノール 3.7質量部
1−ブタノール 0.8質量部
セルロースアシレート溶液(LA2) 11.3質量部
【0231】
(添加剤溶液の調製)
下記組成の液を作成し、平均孔径47μmのろ紙でろ過し、添加剤溶液(LD2)を調製した。
【0232】
<添加剤溶液(LD2)組成>
波長分散調整剤(UV−102) 7.3質量部
メチレンクロライド 55.2質量部
メタノール 9.6質量部
1−ブタノール 0.6質量部
セルロースアシレート溶液(LA2) 12.8質量部
【0233】
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F2)の作製)
上記セルロースアシレート溶液(LA2)を76.2質量部、マット剤溶液(LC2)1.8質量部及び添加剤溶液(LD2)2.6質量部をそれぞれスタチックミキサーで混合し、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLA2溶液はストックタンク内で36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を40秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから60m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は60秒であった。テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.01倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚70μmのセルロースアシレートフィルム(F2)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.3μmであった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は92.8%であり、フィルムの表面粗さRyは2.6μmであり、表面凹凸の平均間隔は91μmであった。フィルム中央のReレターデーションは1.2nmであり、Rthレターデーションは−5nmであった。フィ
ルム中のフィルム傷数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ1個であり、1mあたりのフィルム傷数は1.0個/mであった。
【0234】
[実施例3]
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。83℃で3時間攪拌溶解した。このタンク内を5℃までに2℃/分で冷却し、2時間後、80℃に加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、83℃の温度に10分間保った後、冷却熱交換器にて35℃に冷却した。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行は遅かった。更に孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LA3)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0235】
<セルロースアセテート溶液(LA3)組成>
セルロースアシレート(綿花リンター由来、アセチル置換度2.94(アシル置換度2.94)、6%粘度 343mPa・s、含水率2.3%) 60質量部
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.91(アシル置換度2.91)、6%粘度 243mPa・s、含水率2.5%) 40質量部
メチレンクロライド 391質量部
メタノール 70質量部
1−ブタノール 15質量部
レターデーションを低下する化合物(A−19)(純度98.0%、含水率1.3%)
12質量部
クエン酸エチルエステル 0.003質量部
【0236】
(マット剤溶液の調製)
分散液組成を下記に変更したほかは実施例1と同様にして、マット剤溶液(LC3)を調製した。
【0237】
<マット剤溶液(LC3)組成>
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 12.0質量部
メチレンクロライド 67.3質量部
メタノール 12.0質量部
1−ブタノール 2.4質量部
セルロースアシレート溶液(LA3) 11.3質量部
【0238】
(添加剤溶液の調製)
下記組成の液を作成し、平均孔径47μmのろ紙でろ過し、添加剤溶液(LD3)を調製した。
【0239】
<添加剤溶液(LD3)組成>
波長分散調整剤(UV−102) 7.3質量部
メチレンクロライド 53.8質量部
メタノール 9.7質量部
1−ブタノール 2.0質量部
セルロースアシレート溶液(LA3) 12.8質量部
【0240】
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F3)の作製)
上記セルロースアシレート溶液(LA3)を76.2質量部、マット剤溶液(LC3)
1.8質量部及び添加剤溶液(LD3)2.6質量部をそれぞれスタチックミキサーで混合し、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLA3溶液はストックタンク内で36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を40秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから60m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は60秒であった。テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.01倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚61μmのセルロースアシレートフィルム(F3)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.3μmであった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は92.2%であり、フィルムの表面粗さRyは1.8μmであり、表面凹凸の平均間隔は67μmであった。フィルム中央のReレターデーションは1.1nmであり、Rthレターデーションは+2nmであった。フィルム中の流延ムラ数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ2個であり、幅1mあたりの流延ムラ数は1.4個/mであった。
【0241】
[実施例4]
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。92℃で3時間攪拌溶解した。このタンク内を−10℃までに3℃/分で冷却し、2時間後、45℃に12時間加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、48℃の温度に保った後、冷却熱交換器にて35℃に冷却した。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行は遅かった。更に孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LA4)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0242】
<セルロースアセテート溶液(LA4)組成>
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.88(アシル置換度2.88)、6%粘度328mPa・s、含水率2.7%) 40質量部
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.89(アシル置換度2.89)、6%粘度95mPa・s、含水率2.8%) 60質量部
メチレンクロライド 391質量部
メタノール 70質量部
1−ブタノール 15質量部
レターデーションを低下する化合物(A−19)(純度98%、含水率1.5%)
12質量部
【0243】
(マット剤溶液の調製)
分散液組成を下記に変更したほかは実施例1と同様にして、マット剤溶液(LC4)を調製した。<マット剤溶液(LC4)組成>
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 12.0質量部
メチレンクロライド 67.3質量部
メタノール 12.0質量部
1−ブタノール 2.4質量部
セルロースアシレート溶液(LA4) 11.3質量部
【0244】
(添加剤溶液の調製)
下記組成の液を作成し、平均孔径47μmのろ紙でろ過し、添加剤溶液(LD4)を調製した。<添加剤溶液(LD4)組成>
波長分散調整剤(UV−102) 7.3質量部
メチレンクロライド 53.8質量部
メタノール 9.7質量部
1−ブタノール 2.0質量部
セルロースアシレート溶液(LA4) 12.8質量部
【0245】
(希釈用混合溶剤液の調製)
下記組成の液を作成し、平均孔径44μmのろ紙でろ過し、希釈用混合溶剤液(LE4)を調製した。
【0246】
<希釈用混合溶剤液(LE4)組成>
メチレンクロライド 82質量部
メタノール 15質量部
1−ブタノール 3質量部
【0247】
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F4)の作製)
セルロースアシレート溶液(LA4)80質量部及び添加剤溶液(LD4)2.6質量部の割合で送液し、スタチックミキサーで混合した。この混合液を乾燥後のフィルム厚さが49μmになるように、3層重層流延用加圧ダイの中央部のスリットに送液した。一方同時に、セルロースアシレート溶液(LA4)80質量部、マット剤溶液(LC4)2.4質量部、添加剤溶液(LD4)2.6質量部及び稀釈用混合溶剤液(LE4)5質量部の割合で送液し、スタチックミキサーで混合した。この混合液を乾燥後のフィルム厚さが3μmになるように、3層重層流延用加圧ダイの両端部のスリットにそれぞれ送液した。このようにして3層重層させて、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLA4溶液はストックタンク内でそれぞれ36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を45秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから60m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は60秒であった。
テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.02倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(F4)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.3μmであった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は91.6%であり、フィルムの表面粗さRyは2.6μmであり、表面凹凸の平均間隔は9μmであった。フィルム中央のReレターデーションは0.3nmであり、Rthレターデーションは1nmであった。フィルム中の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ6個であり、1mあたりの異物数は4.2個/mであった。フィルム中のフィルム傷数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ3個であり、1mあたりのフィルム傷数は3個/mであった。
【0248】
[実施例5]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。33℃で6時間攪拌溶解した。このタンク内を−10℃までに3℃/分で冷却し、2時間後、90℃に加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、93℃の温度に保った後、冷却熱交換器にて35℃に冷却した。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行は遅かった。更に孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LA5)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0249】
<セルロースアセテート溶液(LA5)組成>
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.92(アシル置換度2.
92)、6%粘度322mPa・s、含水率3.1%) 70質量部
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.89(アシル置換度2.89)、6%粘度 95mPa・s、含水率2.8%) 30質量部
メチレンクロライド 391質量部
メタノール 70質量部
1−ブタノール 15質量部
レターデーションを低下する化合物(A−19)(純度98%、含水率1.5%)
12質量部
【0250】
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F5)の作製)
セルロースアシレート溶液(LA5)80質量部及び添加剤溶液(LD4)2.6質量部の割合で送液し、スタチックミキサーで混合した。この混合液を乾燥後のフィルム厚さが79μmになるように、3層重層流延用加圧ダイの中央部のスリットに送液した。一方同時に、セルロースアシレート溶液(LA4)80質量部、マット剤溶液(LC4)2.4質量部、添加剤溶液(LD4)2.6質量部及び稀釈用混合溶剤液(LE4)5質量部の割合で送液し、スタチックミキサーで混合した。この混合液を乾燥後のフィルム厚さが3μmになるように、3層重層流延用加圧ダイの両端部のスリットにそれぞれ送液した。このようにして3層重層させて、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLA5溶液はストックタンク内でそれぞれ36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を45秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから60m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は60秒であった。
テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.02倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚78μmのセルロースアシレートフィルム(F5)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.3μmであった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は91.2%であり、フィルムの表面粗さRyは2.5μmであり、表面凹凸の平均間隔は8μmであった。フィルム中央のReレターデーションは8.5nmであり、Rthレターデーションは22nmであった。フィルム中の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ1個であり、1mあたりの異物数は0.7個/mであった。フィルム中の流延ムラ数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ1個であり、幅1mあたりの流延ムラ数は0.7個/mであった。
【0251】
[実施例6]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。80℃で6時間攪拌溶解した。このタンク内を−50℃までに5℃/分で冷却し、2時間後、80℃に加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、83℃の温度に保った後、冷却熱交換器にて35℃に冷却した。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行は遅かった。更に孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LA6)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0252】
<セルロースアセテート溶液(LA6)組成>
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度1.96.プロピオニル置換度0.88(アシル置換度2.84)、6%粘度322mPa・s、含水率3.1%)
70質量部
セルロースアシレート(木材パルプ由来、アセチル置換度2.89(アシル置換度2.89)、6%粘度95mPa・s、含水率2.8%) 30質量部
メチレンクロライド 391質量部
メタノール 70質量部
1−ブタノール 15質量部
レターデーションを低下する化合物(A19)(純度98%、含水率1.5%)
12質量部
【0253】
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F6)の作製)
セルロースアシレート溶液(LA6)80質量部及び添加剤溶液(LD4)2.6質量部の割合で送液し、スタチックミキサーで混合した。この混合液を乾燥後のフィルム厚さが59μmになるように、3層重層流延用加圧ダイの中央部のスリットに送液した。一方同時に、セルロースアシレート溶液(LA4)80質量部、マット剤溶液(LC4)2.4質量部、添加剤溶液(LD4)2.6質量部及び稀釈用混合溶剤液(LE4)5質量部の割合で送液し、スタチックミキサーで混合した。この混合液を乾燥後のフィルム厚さが3μmになるように、3層重層流延用加圧ダイの両端部のスリットにそれぞれ送液した。このようにして3層重層させて、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLA6溶液はストックタンク内でそれぞれ36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を45秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから60m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は60秒であった。
テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.02倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚61μmのセルロースアシレートフィルム(F6)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.3μmであった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は91.4%であり、フィルムの表面粗さRyは2.7μmであり、表面凹凸の平均間隔は12μmであった。フィルム中央のReレターデーションは6.6nmであり、Rthレターデーションは20nmであった。フィルム中の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ7個であり、1mあたりの異物数は5.0個/mであった。フィルム中の流延ムラ数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ5個であり、幅1mあたりの流延ムラ数は3.5個/mであった。フィルム中のフィルム傷数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ6個であり、1mあたりのフィルム傷数は6.0個/mであった。
【0254】
[実施例7]
(本発明のセルロースアシレートフィルム(F7)の作製)
実施例1で調製したセルロースアシレート溶液(LA1)76.2質量部、マット剤溶液(LC1)1.6質量部及び添加剤溶液(LD1)2.3質量部をそれぞれスタチックミキサーで混合し、−15℃に冷却したステンレスドラム上に均一に流延した。このときLA1溶液はストックタンク内で36時間貯蔵した。液温が約−10℃になるまで冷却後ドラムから75m/分で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.02倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、78m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚82μmの本発明のセルロースアシレートフィルム(F7)を得た。巻き取り時の残留溶媒量は0.05%であった。
フィルムの波長590nmでの光線透過率は91.8%であり、フィルムの表面粗さRyは0.5μmであり、表面凹凸の平均間隔は111μmであった。フィルム中央のReレターデーションは1.3nmであり、Rthレターデーションは−3nmであった。フィルム中の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ3個であり、1mあたりの異物数は2.1個/mであった。フィルム中の流延ムラ数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ4個であり、幅1mあたりの流延ムラ数は2.8個/
mであった。フィルム中のフィルム傷数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ2個であり、1mあたりのフィルム傷数は1.4個/mであった。
【0255】
[比較例1]
(セルロースアシレート溶液の調製)
実施例1にて記載した組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。83℃で3時間攪拌溶解した。このタンク内を15℃までに2℃/分で冷却し、2時間後、30℃に加温して、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、33℃の温度に10分間保った後、冷却熱交換器にて35℃とした。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行はやや早かった。孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LH1)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0256】
(比較のセルロースアシレートフィルム(H1)の作製)
上記セルロースアシレート溶液(LH1)を76.2質量部、マット剤溶液(LC1)1.8質量部及び添加剤溶液(LD1)2.6質量部をそれぞれスタチックミキサーで混合し、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLH1溶液はストックタンク内で36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を5秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステンレスバンドから40m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は20秒であった。テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.01倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、42m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚60μmのセルロースアシレートフィルム(F1)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは0.07μmであった。
【0257】
フィルムの波長590nmでの光線透過率は87.6%であり、フィルムの表面粗さRyは3.7μmであり、表面凹凸の平均間隔は0.8μmであった。フィルム中央のReレターデーションは3.3nmであり、Rthレターデーションは4.9nmであった。フィルム中の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ32個であり、1mあたりの異物数は23個/mであった。フィルム中の流延ムラ数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ16個であり、幅1mあたりの流延ムラ数は11.4個/mであった。フィルム中のフィルム傷数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ232個であり、1mあたりのフィルム傷数は166個/mであった。
【0258】
[比較例2]
実施例1にて記載した組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。83℃で3時間攪拌溶解した。このタンク内を30℃までに2℃/分で冷却し、2時間後、再攪拌し、さらにこの溶液をギアポンプで熱交換器に送り、33℃の温度に10分間保った後、冷却熱交換器にて35℃とした。この溶液を平均孔径47μmのろ紙でろ過した。目詰まり進行はやや早かった。孔径10μmの金属メッシュフィルターでろ過して、セルロースアセテート溶液(LH2)を調製し、ストックタンクに蓄えた。
【0259】
(比較のセルロースアシレートフィルム(H2)の作製)
上記セルロースアシレート溶液(LH2)を76.2質量部、マット剤溶液(LC1)1.8質量部及び添加剤溶液(LD1)2.6質量部をそれぞれスタチックミキサーで混合し、表面温度20℃のステンレスバンド上に均一に流延した。このときLH1溶液はストックタンク内で36時間貯蔵した。残留溶剤量が220質量%から100質量%となるまでの乾燥時間を5秒とし、残留溶剤分が40%から50%の間になるまで乾燥し、ステ
ンレスバンドから58m/分の速度で剥離し、フィルムをテンター装置に固定した。流延後剥離までの時間は40秒であった。テンター装置における乾燥温度は70℃から段階的に130℃まで変化させた。乾燥速度は0.2質量%/秒であった。テンター装置入り口のフィルム幅に対して、出口のフィルム幅を1.01倍にした。テンター装置を出た後更に130℃から140℃で乾燥し、62m/分の速度で巻き取った。このようにして膜厚60μmのセルロースアシレートフィルム(F1)を得た。耳部スリット後のパスロール表面粗さは30μmであった。
【0260】
フィルムの波長590nmでの光線透過率は86.9%であり、フィルムの表面粗さRyは3.8μmであり、表面凹凸の平均間隔は0.9μmであった。フィルム中央のReレターデーションは2.6nmであり、Rthレターデーションは4.2nmであった。フィルム中の異物数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ35個であり、1mあたりの異物数は25個/mであった。フィルム中の流延ムラ数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ18個であり、幅1mあたりの流延ムラ数は12.9個/mであった。フィルム中のフィルム傷数は、流延方向に1mサンプリングして評価したところ51個であり、1mあたりのフィルム傷数は36個/mであった。
【0261】
[実施例8]
(光学補償フィルムの作製)
(下塗り層の作製)
実施例1に記載のセルロースアシレートフィルム支持体に下記組成の塗布液を28cm3/m2 塗布乾燥し、0.1μのゼラチン層(第1下塗り層)を塗設した。
───────────────────────────────────
第1下塗り層塗布液組成
──────────────────────────────────
ゼラチン 0.542質量部
ホルムアルデヒド 0.136質量部
サリチル酸 0.160質量部
アセトン 39.1質量部
メタノール 15.8質量部
メチレンクロライド 40.6質量部
水 1.2質量部
───────────────────────────────────
さらにその上に下記組成の塗布液を7cm3/m2 塗布乾燥して、第2下塗り層を塗設した。
───────────────────────────────────
第2下塗り層塗布液組成
───────────────────────────────────
下記のアニオン性共重合体 0.079質量部
クエン酸モノエチルエステル 1.01質量部
アセトン 20質量部
メタノール 87.7質量部
水 4.05質量部
───────────────────────────────────
【0262】
【化30】


【0263】
(配向膜層の作製)
このセルロースアセテートフィルムのゼラチン層上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2 塗布した。25℃で60秒、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
乾燥後の配向膜厚みは1.1μmであった。
次に、セルロースアセテートフィルムの遅相軸(波長632.8nmで測定)の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0264】
───────────────────────────────────
配向膜塗布液組成
───────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 361質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
──────────────────────────────────
【0265】
【化31】


【0266】
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記の円盤状(液晶性)化合物41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1
.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#4のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成した。光学補償フィルム(KHF1)を作製した。
波長633nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は48nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との間の角度(傾斜角)は平均で42゜であった。
【0267】
【化32】


【0268】
また、配向欠陥の数を100倍のルーペを用いて観測したところ、50μm以上の欠陥が1.3個/m2 であった。本発明に用いたセルロースアシレートフィルム(F1)の表面粗さRyは0.6μmであり、表面凹凸の平均間隔は217μmであることにより、配向欠陥の少ない光学補償フィルムを得ることができた。
【0269】
同様にして本発明の実施例2〜7で作製したセルロースアシレートフィルム(F2)〜(F7)についても、それぞれ光学補償フィルム(KHF2)〜(KHF7)を作製した。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた光学補償フィルムは所望の表面粗さと表面凹凸の平均間隔を有することにより配向欠陥の少ない光学補償フィルムを得ることができた。
【0270】
[比較例3]
実施例8で用いた本発明のセルロースアシレートフィルムに代えて比較例1、2で作製したセルロースアシレートフィルム(H1)〜(H2)を用いて、実施例8に記載の方法により光学異方性層を形成し、光学補償フィルム(KHFH1)〜(KHFH2)を作製した。光学異方性層のReレターデーション値は48nmであり、円盤面と第1透明支持体面との間の角度(傾斜角)は平均で42゜であり、実施例8と同じであった。
しかし、配向欠陥の数を実施例8と同様の方法で観測したところ、50μm以上の欠陥がそれぞれ、20.3個/m、24.7個/mと多いことがわかった。このように表面粗さの大きい、表面凹凸の平均間隔の狭いセルロースアシレートフィルムでは、配向欠陥の少ない良好な光学補償フィルムが得られないことが分かった。
【0271】
[実施例9]
(偏光板の作製)
実施例1で得た本発明のセルロースアシレートフィルム(F1)を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃
の温風で乾燥した。このようにして、表面をケン化したセルロースアシレートフィルム(F11)を得た。市販のセルロースアセテートフィルムTD80UF(富士写真フイルム(株)製)にも同様の表面ケン化処理を行い、フィルム(F100)を作成した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光膜の片面に保護フィルムとしてフィルム(F11)を、反対面にフィルム(F100)を貼り合わせ、偏光板(P1)を得た。この際フィルム(F11)及び(F100)の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。
【0272】
同様にして本発明の実施例2〜7で作製したセルロースアシレートフィルム(F2)〜(F7)および、比較例1、2で作製したセルロースアシレートフィルム(H1)〜(H2)についても、それぞれ偏光板(P2)〜(P7)および、(PH1)〜(PH2)を作製した。本発明のセルロースアシレートフィルムおよび比較例のセルロースアシレートフィルムはいずれも延伸したポリビニルアルコールとの貼合性は十分であり、優れた偏光板加工適性を有していた。
【0273】
[実施例10]
(液晶表示装置への組込み)
<対向偏光板の作製>
偏光膜の両面に貼りあわせるフィルムを両方共に市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF(富士写真フイルム(株)製))(F0)をケン化したものにしたほかは、実施例9と同じようにして偏光板(P0)を作製した。
【0274】
<IPSモード液晶セルの作製>
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
【0275】
作製したIPSモード液晶セルのバックライト側に、実施例9で作成した本発明の偏光板P1を、その吸収軸が液晶セルのラビング方向と平行になるよう、且つ本発明のセルロースアシレートフィルム(F1)が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、IPSモード液晶セルのもう一方の側に偏光板P0をクロスニコルの配置で貼り付けた。
このように作製した液晶表示装置の黒の色味を極角60度における全方位角方向で観察したが、色味変化が殆ど感じられなかった。加えて、フィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。また、フィルム異物、フィルム傷、流延ムラに基づく画質の不良は認められなかった。このように、本発明のセルロースアシレートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判った。
【0276】
また、同様にして作製した偏光板(P2)〜(P7)および、(PH1)〜(PH2)について同じく、評価を行った。偏光板(P2)〜(P7)を用いたものは、いずれも良好な結果が得られた。
【0277】
[比較例4]
比較例1および2で作製したセルロースアシレートフィルム(H1)、(H2)を用いた偏光板PH1、PH2を用いて、実施例10と同様にしてIPSモードの液晶表示装置
を作製した。このように作製した液晶表示装置の黒の色味を極角60度における全方位角方向で観察したが、色味変化が殆ど感じられなかった。加えて、フィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。しかしながら、フィルム異物によると思われる異物輝点が生ずる液晶表示装置がPH1を用いたものでは100組中8組に、PH2では100組中4組に発生していた。また、流延ムラに基づく画面ムラが認められる液晶表示装置がPH1を用いたものでは100組中2組に、PH2では100組中に3組発生していた。加えて、フィルム傷によると思われる画面不良が認められる液晶表示装置がPH1を用いたものでは100組中7組に、PH2では100組中に3組発生していた。
【0278】
以上のように、溶液流延法に用いるセルロースアシレート溶液の溶解方法、流延時及び延伸領域での乾燥条件、並びに耳部裁断後にフィルムが接触するパスロールの表面性状を制御することにより、セルロースアシレートフィルム中の異物、流延ムラ、傷を低減し、平面性を改善し、良好なフィルムを得ることができた。また、このようなフィルムを用いた、液晶表示装置には、輝点異物や流延ムラによる表示品位の低下が少ないことが確認された。
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成19年5月23日(2007.5.23)
【代理人】 【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光

【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛

【識別番号】100132986
【弁理士】
【氏名又は名称】矢澤 清純


【公開番号】 特開2008−1893(P2008−1893A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−136970(P2007−136970)