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【発明の名称】 ポリウレアコロイド溶液、その製造方法および分散安定剤
【発明者】 【氏名】渡辺 明弘

【氏名】秋田 晃男

【氏名】佐藤 浩正

【氏名】高橋 賢一

【氏名】花田 和行

【要約】 【課題】塗料、接着剤、インキ用ワニス、これらの改質剤、樹脂、エラストマーの改質剤、顔料分散安定剤、乳化重合用の安定剤などとして有益なポリウレアコロイド溶液を提供すること。

【構成】非水溶媒と該溶媒中に分散したコロイド粒子とからなり、上記コロイド粒子が、溶媒に対して溶媒和されているアクリルポリオール鎖と非溶媒和部分とからなるポリウレア粒子であり、その非溶媒和部分の粒子径が1nm〜500nmであることを特徴とするポリウレアコロイド溶液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒と該溶媒中に分散したコロイド粒子とからなり、上記コロイド粒子が、溶媒に対して溶媒和されているアクリルポリオール鎖と非溶媒和部分とからなるポリウレア粒子であり、その非溶媒和部分の粒子径が1nm〜500nmであることを特徴とするポリウレアコロイド溶液。
【請求項2】
ポリウレアコロイド粒子が、アクリルポリオールとポリイソシアネートとポリアミンとの反応で得られるポリウレアコロイド粒子であって、非溶媒和部分がウレア結合の水素結合からなるドメインである請求項1に記載のポリウレアコロイド溶液。
【請求項3】
官能基数が1または2のアクリルポリオールとポリイソシアネートとを官能基比1≦NCO/OH≦2で反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマーを合成し、さらにポリアミンと前記プレポリマーのイソシアネート基の一部または全部とを非水溶媒中で反応させることを特徴とするポリウレアコロイド溶液の製造方法。
【請求項4】
アクリルポリオールの分子量が、500〜5,000である請求項3に記載のポリウレアコロイド溶液の製造方法。
【請求項5】
イソシアネート基を有するアクリルプレポリマーの分子量が、1,000〜15,000である請求項3に記載のポリウレアコロイド溶液の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のポリウレアコロイド溶液からなることを特徴とする分散安定剤。
【請求項7】
ポリウレアコロイド溶液が、請求項3に記載の方法で得られたものである請求項6に記載の分散安定剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、接着剤、インキ用ワニス、これらの改質剤、樹脂、エラストマーの改質剤、顔料分散安定剤、乳化重合用の安定剤などとして有益なポリウレアコロイド溶液およびその製造方法および該ポリウレアコロイド溶液からなる分散安定剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーコロイド溶液の従来の製造方法としては、ラジカル反応を用いた非水分散重合法や水性エマルジョン重合法などが公知である。また、水性のポリウレタンウレアコロイド溶液の製造方法としては、特許文献1に記載の方法が知られている。上記の非水系ポリウレタンウレアコロイド溶液の製造方法では、その合成過程で粒子同士が凝集或は融着し、安定なコロイド溶液が得難いために、多量の乳化剤の使用が要求されたり、或は媒体としてポリオールや樹脂溶液中で粒子を合成し、粒子同士の凝集を防止する方法が知られている。
【特許文献1】特開平1−110506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの方法のうち、乳化剤を多量に使用する方法では、乳化剤による最終製品に対する悪影響があり、一方、媒体としてポリオールや樹脂溶液を使用する場合には、得られるコロイド溶液の用途が限定され、応用範囲が狭いなどの問題がある。
従って本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、塗料、接着剤、インキ用ワニス、これらの改質剤、樹脂、エラストマーの改質剤、顔料分散安定剤、乳化重合用の安定剤などとして有益なポリウレアコロイド溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、非水溶媒と該溶媒中に分散したコロイド粒子とからなり、上記コロイド粒子が、溶媒に対して溶媒和されているアクリルポリオール鎖(以下単に「ポリマー鎖」と云う場合がある)と非溶媒和部分とからなるポリウレア粒子であり、その非溶媒和部分の粒子径が1nm〜500nmであることを特徴とするポリウレアコロイド溶液を提供する。該ポリウレアコロイド溶液は各種粒子の分散安定剤として有用である。
【0005】
上記本発明においては、ポリウレアコロイド粒子が、アクリルポリオールとポリイソシアネートとポリアミンとの反応で得られるポリウレアコロイド粒子であって、非溶媒和部分がウレア結合の水素結合からなるドメインであることが好ましい。
【0006】
また、本発明は、官能基数が1または2のアクリルポリオールとジイソシアネートとを官能基比1≦NCO/OH≦2で反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマーを合成し、さらにポリアミンと前記プレポリマーのイソシアネート基の一部または全部とを非水溶媒中で反応させることを特徴とするポリウレアコロイド溶液の製造方法を提供する。
【0007】
上記製造方法においては、アクリルポリオールの分子量が、500〜5,000であること;およびイソシアネート基を有するアクリルプレポリマーの分子量が、1,000〜15,000であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
非水溶媒(以下単に「溶媒」という場合がある)中でポリウレアコロイド粒子を合成するに当たり、予めアクリルポリオールの活性水素の一部または全部をポリイソシアネートと反応させて、末端イソシアネート基を有し、かつ溶媒中に溶解しているプレポリマーを調製し、次いで、溶媒中に溶解するポリアミンを上記プレポリマーに反応させることによって、本発明が目的とするポリウレアコロイド溶液が得られる。
【0009】
本発明者は、溶媒中に溶解したイソシアネート基を有するプレポリマーとポリアミンとの反応が進むにつれて、ウレア結合同士の水素結合により、溶媒中に不溶解のドメインが形成されると同時に、ポリマー鎖が溶媒中で溶媒和されることにより、非溶解性のドメインの凝集などによりコロイド粒子の巨大化が防止され、安定なポリウレアコロイド溶液が容易に得られることを見出した。
【0010】
さらに、本発明においては、使用するアクリルポリオールが、溶媒中での凝集性が少なく、反応が進むにつれて生じる高分子化の過程でも、溶媒中でポリマー鎖がある程度自由に動き得るために、非溶解性結晶部分と溶解性非結晶部分の分離が容易に行われ、ウレア結合同士の水素結合による非溶解性結晶部分を粒子の中心とするドメインを形成し、その周囲に溶媒和されたポリマー鎖が規則正しく外向きに配向される。このような作用は、従来のミセル下に重合することにより得られる公知のコロイド溶液の製造方法とは根本的にその原理が異なる作用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明においては、アクリルポリオールとポリイソシアネートとを溶媒中または無溶媒で反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマーを合成する。次にこのプレポリマーを撹拌機付きのジャケット式合成釜に仕込み、濃度が5〜70質量%になるように溶媒を添加して濃度を調整する。この溶液を撹拌しながら、予め2〜20質量%の濃度に調整したポリアミンの溶液を徐々に添加し、ポリウレア化反応によりポリウレアコロイド溶液を製造する。
【0012】
ポリアミンの添加方法は、上記の方法の他にポリアミン溶液に前記プレポリマーまたはその溶液を添加する方法でもよい。ポリマー合成のための温度は特に限定されないが、好ましい温度は30℃〜120℃である。ポリマー合成のための反応濃度、温度、撹拌機の形態、撹拌力、ポリアミン溶液およびプレポリマーまたはその溶液の添加速度などは特に限定されないが、ポリアミンとプレポリマーのイソシアネート基との反応は速いので、急激な反応が行われないように、反応を制御することが好ましい。
【0013】
本発明に使用されるアクリルポリオールは、官能基(水酸基)が2以下のポリオールであって、好ましい分子量は500〜5,000であるが、これに限定されない。アクリルポリオールは、水酸基含有アクリル酸エステルと他の重合性モノマーとを共重合させることにより得ることができる。水酸基含有アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプルピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。他の重合性モノマーとしては(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。このようなアクリルポリオールは、溶液重合法などの通常の方法により製造することができる。
【0014】
アクリルポリオールとポリイソシアネートとの反応は、1≦NCO/OH≦2の条件で行い、溶媒和されるプレポリマー鎖の分子量をコントロールする。このように合成されるプレポリマーの分子量は、特に限定されないが、好ましい範囲は約1,000〜15,000である。本発明で使用されるポリイソシアネートとしては、公知のポリイソシアネートの全てが挙げられる。特に好ましいものはヘキサメチレンジイソシアネート、水添加TDI、水添加MDI、イソホロジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環族系ジイソシアネートである。
【0015】
本発明に使用される溶媒としては、使用原料であるアクリルポリオール、ポリイソシアネートおよびポリアミンを溶解するもので、活性水素を有さない全ての溶媒を使用することができる。特に好ましいものはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒である。なお、本発明において「溶解」とは常温および高温下での溶解の両方を包含する。
【0016】
本発明で使用されるポリアミンとして、例えば、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス−アミノプロピルピペラジン、ポリオキシプロピレンジアミン、4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、チオ尿素、メチルイミノビスプロピルアミンなどのジアミンの単独および混合物を好ましく使用することができる。
【0017】
本発明に使用されるアクリルポリオール、ポリイソシアネート、ポリアミン、得られるプレポリマーの種類、使用量および使用比率は、使用する溶媒中でのコロイド粒子の大きさおよび安定性などを制御する目的で決定される。すなわち、本発明のコロイド溶液中のポリウレアコロイド粒子は、溶媒中で溶媒和されない結晶部分のドメインと、そのドメインから伸びて溶媒中で溶媒和されたポリマー鎖とにより形成されている。
【0018】
本発明では、コロイド溶液中のコロイド粒子のドメインの大きさおよび溶媒和されたポリマー鎖の大きさと形態がポリウレアコロイド溶液の性質を左右する。このように、溶媒和されないドメインと溶媒和されたポリマー鎖とで形成されたポリウレアコロイド粒子は、溶媒中で安定なコロイド粒子であり、その溶液中のポリウレアコロイド粒子のドメインの粒径は、1nm〜500nmであり、溶媒和されているポリマー鎖の1個の分子量は約1,000〜15,000であり、両者の質量比はドメイン(ウレア結合またはポリアミン)/ポリマー鎖が0.5〜30の範囲が好ましい。ウレア結合の割合が上記範囲未満であると、得られるコロイド粒子中の非溶媒和性ドメインが形成されにくく、コロイド粒子が溶媒に溶解し易くなり、良好なコロイド溶液が生成されない。一方、ウレア結合の割合が上記範囲を超えると、非溶媒和性ドメインが大きくなり、得られるコロイド溶液の安定性が低下し、コロイド粒子の凝集が生じ易くなる。
【0019】
以上の如き本発明のコロイド溶液は光の錯乱により青い乳光色から黄味がかった乳光色に見える。該コロイド溶液を乾燥固化したものは、比較的溶解力の低い炭化水素系溶媒中に容易に再分散し、任意の濃度のコロイド溶液とすることができ、また、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、酢酸ブチルなどの極性溶媒には殆ど溶解し、これに上記の如き溶解力の低い溶媒を適当量添加混合することにより、ポリマー中の尿素結合が析出結晶化して非溶媒和ドメインを形成し、コロイド溶液とすることができる。
【0020】
本発明のコロイド溶液中のポリウレアコロイド粒子は、溶媒和されていない結晶部のドメインと溶媒和されたポリマー鎖とから形成されている不均一粒子であるために、その性質は溶媒和されていないドメインと溶媒和されたポリマー鎖の両者の性能を合わせ持っている。1例として、イソシアネート基を有するプレポリマーとポリアミンをNCO/NH2=1.0のモル比で反応させて合成したポリウレアコロイド溶液を、固形分で10質量%の溶液としてガラス板の上に、乾燥膜厚が10μmになるように塗付し乾燥して製膜したところ、この乾燥塗膜は、透明性に優れ、粘着性の無い、しかも驚くべきことに、溶融温度は200℃以上を示した。
【0021】
このことは、ポリマー鎖の優れた被膜形成能と、結晶部分のドメインの耐熱性の結果と考えられる。従って、上記のコロイド粒子がイソシアネート基を実質上含有しないコロイド溶液は、非架橋型の耐熱性および耐摩耗性の優れた塗料やインキのベヒクルとして有用である。他方、NCO/NH2>1でプレポリマーとポリアミンとを反応させて、イソシアネート基を残存させたポリウレアコロイド粒子を含むコロイド溶液は、上記の効果の他にイソシアネート基の優れた反応性を利用することができるために、架橋型の塗料やインキのベヒクル、接着剤およびそれらの改質剤としても有用である。
【0022】
本発明のポリウレアコロイド溶液中のコロイド粒子の形態は、図1に示すようなものと想像される。このコロイド粒子の粒径の制御については、溶媒和部分とドメインを含んだ大きさと、溶媒和部分とドメインのそれぞれの制御によって可能である。先に記載のポリウレアコロイド溶液の外観色およびコロイドの粒径は、ドメイン部分を表現している。
【0023】
本発明のポリウレアコロイド溶液の製造方法は、溶媒中でイソシアネート基を有するプレポリマーとポリアミンの反応が行われると同時に、溶媒和部分とドメインとを含んだコロイド粒子が形成されることを特徴としている。すなわち、合成過程でコロイド粒子の核となるドメインと、該ドメインの分散安定剤となる溶媒和部分とを形成する方法であり、従来の分散安定剤を予め使用する方法とは根本的にその原理を異にしている。
【0024】
安定に制御されたポリウレアコロイド溶液を製造するためには、図1のように、溶媒和部分とドメイン部分とが明瞭に相分離しているのが望ましく、そのためには溶媒和されるポリマー鎖と結晶部分のドメインとが混在しないように製造することが必要である。このためには、合成過程で溶媒和部分とドメイン部分が分離しやすい合成条件が要求される。
【0025】
好ましい合成条件は、イソシアネート基を有するプレポリマーおよびポリアミンの溶液濃度が低く、一方の溶液に他の溶液を添加する添加速度が遅いほど良く、撹拌はプロペラミキサーによる撹拌で充分である。溶液の濃度が高い場合や添加速度が速い場合には、ホモジナイザーなどの使用による高剪断力の混合を行いながら合成する。反応温度は使用する溶媒の種類と、その溶媒によるドメインの溶解性により決まるが、好ましい温度は合成を制御し易い30℃〜120℃であるが、特に限定されない。ドメインの形成は合成過程で形成する方法、或は高温で合成したものを冷却過程で形成する方法でもよい。
【実施例】
【0026】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0027】
(イソシアネート基を有するアクリルプレポリマーの合成)
[実施例1]
水酸基価119.5の2官能のアクリルポリオール100部とN−オクタン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=2になるように予め用意したイソホロンジイソシアネート47.3部を1時間かけて徐々に添加し、この条件で3時間反応を続け、さらに80℃3時間の反応を行い合成反応を完結した。次にN−オクタンで濃度50%に調整し、イソシアネート基を2.9%含有するプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーをPP−1とする。このプレポリマーの分子量は1,383である。
【0028】
[実施例2]
水酸基価119.5の2官能のアクリルポリオール100部とN−オクタン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=1.5になるように予め用意したイソホロンジイソシアネート35.5部を1時間掛けて徐々に添加し、この条件で3時間反応を続け、さらに80℃4時間の反応を行い合成反応を完結した。次にN−オクタンで濃度50%に調整し、イソシアネート基を1.64%含有するプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーをPP−2とする。このプレポリマーの分子量は2,543である。
【0029】
[実施例3]
水酸基価119.5の2官能のアクリルポリオール100部とN−オクタン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=1.1になるように予め用意したイソホロンジイソシアネート26.0部を1時間掛けて徐々に添加し、この条件で3時間反応を続け、さらに80℃4時間の反応を行い合成反応を完結した。次にN−オクタンで濃度50%に調整し、イソシアネート基を0.42%含有するプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーをPP−3とする。このプレポリマーの分子量は11,832である。
【0030】
[実施例4]
水酸基価157.8の1官能のアクリルポリオール100部を撹拌機付き合成釜に仕込み、撹拌しながら温度を60℃に制御し、NCO/OH=2.0になるように、予め用意したトリレンジイソシアネート49.0部を1時間掛けて徐々に添加し、この条件で5時間の反応を行い合成反応を完結した。次にN−ヘプタンで濃度60%に調整し、イソシアネート基を4.71%含有するプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーをPP−4とする。このプレポリマーの分子量は528である。
【0031】
[実施例5]
水酸基価165.5の2官能のアクリルポリオール100部とN−デカン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=2.0になるように、予め用意したヘキサメチレンジイソシアネート49.6部を1時間掛けて徐々に添加し、この条件で3時間反応を続け、さらに80℃3時間の反応を行い合成反応を完結した。次にN−デカンで濃度50%に調整し、イソシアネート基を4.05%含有するプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーをPP−5とする。このプレポリマーの分子量は1,012である。
【0032】
[実施例6]
水酸基価123.1の2官能のアクリルポリオール100部とトルエン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=2.0になるように、予め用意した4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート54.9部を1時間掛けて徐々に添加し、この条件で3時間の反応を続け、さらに65℃3時間の反応を行い合成反応を完結した。次にトルエンで濃度30%に調整し、イソシアネート基を1.72%含有するプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーをPP−6とする。このプレポリマーの分子量は1,410である。
【0033】
(ポリウレアコロイド溶液の合成)
[実施例7]
実施例1で合成したPP−1の40部とN−オクタン60部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を70℃に制御しながら、予め用意したイソホロンジアミンのN−オクタンの10%溶液23.4部を5時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン(ウレア結合部)/プレポリマー鎖)×100=11.2%の本発明のポリウレアコロイド溶液を得た。この溶液は青い乳光色の安定な溶液であった。
【0034】
[実施例8]
実施例2で合成したPP−2の40部とN−オクタン60部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を70℃に制御しながら、予め用意したイソホロンジアミンのN−オクタンの5%溶液26.4部を5時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン/プレポリマー鎖)×100=6.6%の本発明のポリウレアコロイド溶液を得た。この溶液は青い乳光色の安定な溶液であった。
【0035】
[実施例9]
実施例3で合成したPP−3の20部とN−オクタン80部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を70℃に制御しながら、予め用意したイソホロンジアミンのN−オクタンの1%溶液17.0部を8時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン/プレポリマー鎖)×100=1.7%の本発明のポリウレアコロイド溶液を得た。この溶液は青い乳光色の安定な溶液であった。
【0036】
[実施例10]
実施例4で合成したPP−4の100部を撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御しながら、予め用意したトリメチルヘキサメチレンジアミンのN−ヘプタンの10%溶液88.5部を5時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン/プレポリマー鎖)×100=14.75%の本発明のポリウレアコロイド溶液を得た。この溶液は黄味の乳光色の安定な溶液であった。
【0037】
[実施例11]
実施例5で合成したPP−5の40部とN−デカン60部とを撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を70℃に制御しながら、予め用意したヘキサメチレンジアミンのN−デカンの5%溶液49.8部を8時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン/プレポリマー鎖)×100=12.45%の本発明のポリウレアコロイド溶液を得た。この溶液は青い乳光色の安定な溶液であった。
【0038】
[実施例12]
実施例6で合成したPP−6の100部を撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を40℃に制御しながら、予め用意した4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタンのトルエンの5%溶液43.0部を8時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン/プレポリマー鎖)×100=7.16%の本発明のポリウレアコロイド溶液を得た。この溶液はNCOを0.55%含む、わずかに不透明な乳白色の安定な溶液であった。
【0039】
(ポリウレタンゲル微粒子の製造への応用)
[実施例13]
平均分子量1,000のポリブチレンアジペート20部を60℃で溶解し、この中にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートポリイソシアネート8.12部を添加し均一に混合した。このものを予め1リットルのステンレス容器に準備した実施例7のポリウレアコロイド溶液4.0部とn−オクタン25部の混合液の中に徐々に加え、ホモジナイザーで15分間撹拌乳化した。この乳化液は分散質の平均分散粒子径が13.5μmで分離もなく安定な乳化液であった。
【0040】
次にこれを錨型撹拌機付き反応釜に仕込み、400rpmの回転をさせながら温度を80℃まで上げ、6時間の反応を終了しポリウレタンゲル微粒子の分散液を得た。この分散液を100Toorで真空乾燥を行ってn−オクタンを分離しポリウレタンゲル微粒子を得た。このものは平均粒子径が15μmの真球状の白色粉末状であり、塗料や樹脂の艶消剤として有用であった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は下記の効果を奏する。
1.コロイド粒子の粒径およびそのドメインの大きさがコントロールされたポリウレアコロイド溶液の製造が可能である。
2.上記のコロイド溶液中のコロイド粒子は、溶媒中で溶媒和部分と非溶媒和部分のドメインとから構成されているために、ソフトな溶媒和部分の塗膜形成能とハードなドメインの塗膜物性を高める効果があるために広い用途が期待できる。
3.溶媒和部分にイソシアネート基を有するポリウレアコロイド溶液の製造が可能であり、イソシアネート基の強い反応性を応用した用途が期待できる。
4.得られたコロイド溶液中のポリウレアコロイド粒子は表面張力が小さく、表面の活性が大きいために他の粒子の表面に対する吸着性に優れている。
以上の効果から、本発明のポリウレアコロイド溶液は、塗料、インキのベヒクル、接着剤の改質剤、粘度コントロール剤、非水系分散体製造のための分散安定剤、顔料の分散剤などの広範囲の用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のポリウレアコロイド粒子の断面の想像図。
【符号の説明】
【0043】
1:溶媒和されているポリマー鎖
2:非溶媒和部分のドメイン
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【識別番号】000238256
【氏名又は名称】浮間合成株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子

【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広

【識別番号】100146042
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克哲


【公開番号】 特開2008−1842(P2008−1842A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174413(P2006−174413)