トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 発泡体の製造方法
【発明者】 【氏名】小山 悟

【要約】 【課題】ポリエチレン系樹脂からなり、気泡性状および強度に優れる発泡体を製造する方法を提供すること。

【構成】下記エチレン系樹脂組成物に照射量1〜20Mradの電離性放射線を照射してなる樹脂組成物を加熱発泡させる発泡体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記エチレン系樹脂組成物に照射量1〜20Mradの電離性放射線を照射してなる樹脂組成物を加熱発泡させる発泡体の製造方法。
[エチレン系樹脂組成物]
下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(B)の含有量が成分(A)100重量部あたり1〜40重量部であるエチレン系樹脂組成物
成分(A):JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜5g/10分であり、密度が900〜935kg/m3であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):分解温度が100〜240℃である熱分解型発泡剤
【請求項2】
下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(B)の含有量が成分(A)100重量部あたり1〜40重量部であるエチレン系樹脂組成物に、照射量1〜20Mradの電離性放射線を照射してなる樹脂組成物。
成分(A):JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜5g/10分であり、密度が900〜935kg/m3であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):分解温度が100〜240℃である熱分解型発泡剤
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂組成物を加熱発泡してなる発泡体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はエチレン系樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直鎖状低密度ポリエチレンや高圧法低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂からなる発泡体は、柔軟性、断熱性に優れるため、緩衝材あるいは断熱材として種々の用途に利用されている。このようなエチレン系樹脂からなる発泡体の製造方法としては、エチレン系樹脂と発泡剤と過酸化物とを、発泡剤と過酸化物とが分解しない温度で溶融混合し、シ−トに成形した後、過酸化物が分解する温度に加熱してシートを架橋し、次いで発泡剤の分解温度以上にシートを加熱して発泡させる方法、あるいは、エチレン系樹脂と発泡剤とを、発泡剤が分解しない温度で溶融混合し、シ−トに成形した後、該シートに電子線を照射してシートを架橋し、次いで発泡剤の分解温度以上にシートを加熱して発泡させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−286059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、直鎖状低密度ポリエチレン等の従来のエチレン系樹脂を用いて製造された発泡体は、気泡性状および強度において必ずしも満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、ポリエチレン系樹脂からなり、気泡性状および強度に優れる発泡体を製造する方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、ポリエチレン系樹脂からなり、気泡性状および強度に優れる発泡体を製造する方法を提供することができる。また、本発明の製造方法は、高発泡倍率の発泡体の製造に好適である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記エチレン系樹脂組成物に照射量1〜20Mradの電離性放射線を照射してなる樹脂組成物を加熱発泡させる発泡体の製造方法にかかるものである。
[エチレン系樹脂組成物]
下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(B)の含有量が成分(A)100重量部あたり1〜40重量部であるエチレン系樹脂組成物
成分(A):JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜5g/10分であり、密度が900〜935kg/m3であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):分解温度が100〜240℃である熱分解型発泡剤
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いられる成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0008】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体である。
【0009】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
【0010】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は長鎖分岐を有するものであり、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、発泡体に用いられてきた従来のエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、流動の活性化エネルギー(Ea)が高く、通常40kJ/mol以上である。従来から知られている発泡体に用いられてきたエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、通常40kJ/molよりも低い値である。
【0011】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、気泡性状を高める観点から、好ましくは45kJ/mol以上であり、より好ましくは50kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、強度を高める観点から、該Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
【0012】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の温度の中から、190℃を含む4つの温度について、夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。
また、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の中から190℃を含む4つの温度でのシフトファクターと温度から得られる一次近似式(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0013】
上記の溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm)を配合することが好ましい。
【0014】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜5g/10分である。該メルトフローレートは、発泡体の軽量性を高める観点から、好ましくは0.2g/10分以上である。また、気泡性状および強度を高める観点から、好ましくは4g/10分以下である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定される。
【0015】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、発泡体の軽量性を高める観点から、好ましくは935kg/m3以下であり、より好ましくは、930kg/m3以下である。また、発泡体のベタツキ感を低減する観点から、好ましくは900kg/m3以上であり、より好ましくは、905kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K7112−1999に規定された方法でのA方法に従って測定される。
【0016】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、5〜25である。該分子量分布は、発泡体の軽量性を高める観点から、好ましくは6以上であり、より好ましくは7以上である。また、該M分子量分布は、発泡体の強度を高める観点から、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは17以下である。なお、該分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によってポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求め、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。
【0017】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、低温押出特性を高める観点から、温度190℃、角周波数100rad/secでの溶融複素粘度をη*(単位:Pa・sec)とし、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)として、下記式(1)を充足するものが好ましく、
η* < 1550×MFR-0.25−420 式(1)
下記式(1−2)を充足することがより好ましく、
η* < 1500×MFR-0.25−420 式(1−2)
下記式(1−3)を充足することが更に好ましく、
η* < 1450×MFR-0.25−420 式(1−3)
下記式(1−4)を充足することが特に好ましい。
η* < 1350×MFR-0.25−420 式(1−4)
【0018】
溶融複素粘度η*は、エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)を求めるために行われる測定のうち、190℃の溶融複素粘度−角周波数の測定において得られた、角周波数100rad/secにおける溶融複素粘度である。
【0019】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、例えば、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物などの助触媒成分を粒子状担体に担持させてなる固体粒子状の助触媒成分(以下、成分(イ)と称する。)と、アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン錯体(以下、成分(ロ)と称する。)とを触媒成分として用いてなる重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
【0020】
上記固体粒子状の助触媒成分としては、メチルアルモキサンを多孔質シリカと混合させた成分、ジエチル亜鉛と水とフッ化フェノールを多孔質シリカと混合させた成分等をあげることができる。
【0021】
上記固体粒子状の助触媒成分のより具体例として、成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)フッ素化フェノール、成分(c)水、成分(d)多孔質シリカおよび成分(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させてなる助触媒担体成分(イ)をあげることができる。
【0022】
成分(b)のフッ素化フェノールとしては、ペンタフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール等をあげることができる。成分(A)の流動活性化エネルギー(Ea)、分子量分布(Mw/Mn)を高める観点から、フッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いることが好ましく、この場合、フッ素数が多いフェノールとフッ素数が少ないフェノールとのモル比としては、通常、20/80〜80/20であり、該モル比は高い方が好ましい。
【0023】
上記成分(a)、成分(b)および成分(c)の使用量としては、各成分の使用量のモル比率を成分(a):成分(b):成分(c)=1:y:zとすると、yおよびzが下記の式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
【0024】
成分(a)に対して使用する成分(d)の量としては、成分(a)と成分(d)との接触により得られる粒子に含まれる亜鉛原子のモル数が、該粒子1gあたり0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。成分(d)に対して使用する成分(e)の量としては、成分(d)1gあたり成分(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0025】
上記メタロセン錯体としては、2つのインデニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのメチルインデニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのメチルシクロペンタジエニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのジメチルシクロペンタジエニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体等をあげることができる。また、成分(ロ)の金属原子としては、ジルコニウムとハフニウムが好ましく、さらに金属原子が有する残りの置換基としては、ジフェノキシ基やジアルコキシ基が好ましい。成分(ロ)として、好ましくは、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドがあげられる。
【0026】
上記の固体粒子状の助触媒成分とメタロセン錯体とを用いてなる重合触媒においては、適宜、有機アルミニウム化合物を触媒成分として併用してもよく、該有機アルミニウム化合物としては、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等をあげることができる。
【0027】
上記メタロセン錯体の使用量は、上記固体粒子状の助触媒成分1gあたり、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物の使用量として、好ましくは、上記メタロセン錯体の金属原子1モルあたり、有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子が1〜2000モルとなる量である。
【0028】
また、上記の固体粒子状の助触媒成分とメタロセン錯体とを用いてなる重合触媒においては、適宜、電子供与性化合物を触媒成分として併用してもよく、該電子供与性化合物としては、トリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミン等をあげることができる。
【0029】
上記成分(b)のフッ素化フェノールとしてフッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いる場合は、電子供与性化合物を用いることが好ましい。
【0030】
電子供与性化合物の使用量としては、上記の触媒成分として用いられる有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル数に対して、通常0.1〜10mol%であり、成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)を高める観点から、該使用量は高い方が好ましい。
【0031】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、より具体的には、上記助触媒担体(イ)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体および有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒の存在下、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
【0032】
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の成形を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
【0033】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられる重合触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。重合触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0034】
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。本重合と予備重合では異なるα−オレフィンを用いてもよく、炭素原子数が4〜12のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することが好ましく、炭素原子数が6〜8のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することがより好ましい。
【0035】
重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度よりも低く、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃であり、さらに好ましくは50〜90℃である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合温度は高い方が好ましい。
【0036】
重合時間としては(連続重合反応である場合は平均滞留時間として)、通常1〜20時間である。エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合時間(平均滞留時間)は長い方が好ましい。
【0037】
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、重合反応ガスに水素を分子量調節剤として添加してもよく、重合反応ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。重合反応ガス中のエチレンのモル濃度に対する重合反応ガス中の水素のモル濃度は、重合反応ガス中のエチレンのモル濃度100モル%として、通常、0.1〜3mol%である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、該重合反応ガス中の水素のモル濃度は、高い方が好ましい。
【0038】
本発明で用いられる成分(B)の熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボン酸バリウム、ニトログアジニン、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、ヒドラゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどの有機系熱分解型発泡剤;炭酸水素ナトリウム、無水クエン酸ソーダなどの無機系熱分解型発泡剤があげられ、これらは、単独または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、アゾジカルボンアミド(ADCA)である。
【0039】
成分(B)の熱分解型発泡剤の分解温度は、通常100〜240℃であり、好ましくは、130〜240℃である。
【0040】
成分(A)および成分(B)を含有するエチレン系樹脂組成物での成分(B)の含有量は、成分(A)100重量部あたり1〜40重量部であり、好ましくは2〜30重量部である。
【0041】
成分(A)および成分(B)を含有するエチレン系樹脂組成物には、必要に応じ、発泡助剤、架橋剤、架橋助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、顔料、充填剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
【0042】
該発泡助剤としては、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物;炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;塩化亜鉛等の金属塩化物;尿素;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、二塩基性フタル酸鉛等の金属石鹸;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート等の有機錫化合物;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛等の無機塩類をあげることができる。
【0043】
成分(A)および成分(B)を含有するエチレン系樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)と必要に応じ配合される他の成分とを、成分(B)の発泡剤の分解温度未満の温度で公知の方法、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどで混合した後、更に単軸押出機や多軸押出機などにより溶融混練する、またはニーダーやバンバリーミキサーなどで溶融混練することにより得られる。
【0044】
本発明の発泡体の製造方法では、上記成分(A)および成分(B)を含有するエチレン系樹脂組成物に電離性放射線を照射してなる樹脂組成物を加熱発泡するものである。
【0045】
成分(A)および成分(B)を含有するエチレン系樹脂組成物に照射する電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線などが用いられる。このうちコバルト−60のγ線、電子線が好ましい。
【0046】
電離性放射線の照射は、公知の電離性放射線照射装置を用いて行われ、照射量は、通常1〜20Mradであり、好ましくは2〜15Mradである。
【0047】
成分(A)および成分(B)を含有するエチレン系樹脂組成物は、通常、電離性放射線を照射する前に、成分(B)の発泡剤の分解温度未満の温度で所望の形状に成形する。例えば、シートに成形する方法としては、カレンダーロールでシート状に成形する方法、プレス成形機でシート状に成形する方法、Tダイまたは環状ダイから溶融押出ししてシート状に成形する方法などがあげられる。
【0048】
電離性放射線を照射してなる樹脂組成物を加熱発泡する方法としては、公知の方法をいずれも適用することができ、縦型熱風発泡法、横型熱風発泡法、横型薬液発泡法等のエチレン系樹脂組成物からなるシートを連続的に加熱発泡処理できる方法の適用が好ましい。加熱温度は、成分(B)の発泡剤の分解温度以上の温度であり、好ましくは、発泡剤の分解温度から5〜50℃高い温度である。また、加熱時間は、オーブンで加熱する場合、通常3〜5分である。
【0049】
本発明により得られる発泡体は、気泡性状および強度に優れ、また、軽量性を良好である。そのため、緩衝材、断熱材、遮音材、保温保冷材等に用いられる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0051】
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定した。
【0052】
(2)密度(単位:kg/m3)
密度は、JIS K7112−1999に規定された方法でのA方法に従って測定した。
【0053】
(3)分子量分布(Mw/Mn)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(7)により測定を行った。予め分子量分布が単分散とみなせる分子量分布の狭い標準ポリスチレン(東ソー製TSK STANDARD POLYSTYRNE)を用いて作成しておいた検量線を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)をもとめ、それらより分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
【0054】
(4)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.2〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
【0055】
(5)溶融複素粘度(η*、単位:Pa・sec)
上記の(4)流動の活性化エネルギーを測定した際に得られた190℃での溶融複素粘度−角周波数の測定結果から、角周波数が100rad/secにおける190℃の溶融複素粘度を求めた。
【0056】
(6)発泡倍率(単位:倍)
上記の(2)密度の方法で求めた樹脂の密度と発泡体との密度から、下記式により算出した。
発泡倍率=樹脂の密度/発泡体の密度
【0057】
(7)引張物性
発泡体からASTM D1822 タイプL型ダンベル形状の試験片を打ち抜き、つかみ間距離30mm、引張速度50mm/分の条件で引張試験を行い、引張破壊強さ(単位:N)と引張破壊伸び(単位:%)を求めた。これらの値が大きいほど強度に優れる。
【0058】
(8)発泡体の性状
発泡体の性状を目視にて以下の通り評価した。
○:気泡形状の均一性が高い。
×:気泡形状の均一性が低い。
【0059】
実施例1
(1)助触媒担体の調製
特開2003−171415号公報の実施例10(1)および(2)の成分(A)と同様な方法で、固体生成物を得た。
【0060】
(2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記固体生成物0.68kgと、ブタン80リットル、1−ブテン0.02kg、常温常圧の水素として3リットルを仕込んだ後、オートクレーブを30℃まで上昇した。さらにエチレンをオーツクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム216mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド72.5mmolを投入して重合を開始した。30.7℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記(1)で得た固体生成物1g当り14.2gのエチレン・1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
【0061】
(3)連続気相重合
上記の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度75.4℃、全圧2MPa、ガス線速度0.28m/s、エチレンに対する水素モル比は0.835%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.96%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、ヘキセン−1、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間3.4hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、23.4kg/hrの重合効率でエチレン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE−1と称する。)のパウダーを得た。
【0062】
(4)エチレン−1−ヘキセン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE−1のパウダーを神戸製鋼所社製LCM50押出機により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−1のペレットを得た。PE−1のペレットの物性を表1に示す。
【0063】
(5)発泡体の成形
PE−1のペレット100重量部、アゾジカルボンアミド(三協化成(株)製 商品名 セルマイクCE;分解温度208℃)20重量部、およびステアリン酸亜鉛1.5重量部を130〜140℃の温度にてブラベンダーで混練した後、得られた混練物を130℃のプレス上の金型に投入し、5分余熱した後、加圧、冷却を行い厚み2mmの未架橋かつ未発泡のシートを得た。次に、該シートを電子線加速器により4.5Mradの電子線を照射し、未発泡の架橋シートを得た。該架橋シートを215℃のオーブンにて加熱し、発泡体を得た。得られた発泡体の物性を表2に示す。
【0064】
実施例2
電子線の照射量を4.8Mradに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の物性を表2に示す。
【0065】
実施例3
(1)助触媒担体の調製
特開2003−171415号公報の実施例10(1)および(2)の成分(A)と同様な方法で、固体生成物を得た。
【0066】
(2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記固体生成物0.73kgと、ブタン80リットル、1−ブテン0kg、常温常圧の水素として0リットルを仕込んだ後、オートクレーブを30℃まで上昇した。さらにエチレンをオーツクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム160mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド101.2mmolを投入して重合を開始した。30.6℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50.3℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記(1)で得た固体生成物1g当り16.0gのエチレン・1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
【0067】
(3)連続気相重合
上記の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度87.2℃、全圧2MPa、ガス線速度0.25m/s、エチレンに対する水素モル比は1.451%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.09%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、ヘキセン−1、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間3.7hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、21.6kg/hrの重合効率でエチレン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE−2と称する。)のパウダーを得た。
【0068】
(4)エチレン−1−ヘキセン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE−2のパウダーを神戸製鋼所社製LCM50押出機により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−2のペレットを得た。PE−2のペレットの物性を表1に示す。
【0069】
(5)発泡体の成形
PE−2のペレット100重量部、アゾジカルボンアミド(三協化成(株)製 商品名 セルマイクCE;分解温度208℃)20重量部、およびステアリン酸亜鉛1.5重量部を130〜140℃の温度にてブラベンダーで混練した後、得られた混練物を130℃のプレス上の金型に投入し、5分余熱した後、加圧、冷却を行い厚み2mmの未架橋かつ未発泡のシートを得た。次に、該シートを電子線加速器により3.5Mradの電子線を照射し、未発泡の架橋シートを得た。該架橋シートを215℃のオーブンにて加熱し、発泡体を得た。得られた発泡体の物性を表2に示す。
【0070】
比較例1
(1)固体触媒成分の調製
特開平11−322833号公報の実施例16(1)の固体触媒成分と同様な方法で、固体生成物を得た。
【0071】
(2)予備重合
撹拌機を備えた内容積210Lのオートクレーブを窒素で置換した後、上記固体生成物を常温で1.55kg、ブタン100L、トリエチルアルミニウムを2.63mol添加した。ブタン添加後は、槽内温度27.3℃で槽内圧は0.30MPaGであった。次に水素を槽内圧が1.37MPaGになるまで加えたあとに、槽内温度を40℃に昇温を開始した。また昇温と同時にエチレンの供給を開始した。エチレンは平均2.6kg/hで投入した。昇温終了後は平均温度39.7℃、平均圧力1.85MPaGで重合を進行させた。エチレンの供給を開始後10.8時間で供給を停止し、反応を停止した。その後ブタンをフラッシュし、窒素乾燥を3時間行い、窒素雰囲気下で36メッシュの金網を用いて分級を実施し粗粒品を除去し、予備重合触媒を得た。上記(1)の固体生成物に対する予備重合体の質量比(予備重合体/固体生成物)は15.6g/gであった。
【0072】
(3)連続気相重合
連続式の流動床気相反応装置でエチレンと1−ブテンの共重合を実施した。重合条件は、反応器内温度89℃、反応器内圧力2.0MPaG、ホールドアップ80kg、反応器内のガス流速は28cm/sで、ガス組成をエチレン58mol%、1−ブテン22.6mol%、水素10.6mol%、窒素8.8mol%とし、上記の予備重合触媒を32.2g/hrで、トリエチルアルミニウムを80mmol/hrで供給した。重合により、22.4kg/hrの重合効率でエチレン−1−ブテン共重合体のパウダー(以下、PE−3と称する。)を得た。PE−3のパウダーを30φmm押出機にて造粒し、PE−3のペレットを得た。PE−3のペレットの物性を表1に示す。
【0073】
(3)発泡体の成形
PE−3のペレット100重量部、アゾジカルボンアミド(三協化成(株)製 商品名 セルマイクCE;分解温度208℃)20重量部、およびステアリン酸亜鉛1.5重量部を130〜140℃の温度にてブラベンダーで混練した後、得られた混練物を140℃のプレス上の金型に投入し、5分余熱した後、加圧、冷却を行い厚み2mmの未架橋かつ未発泡のシートを得た。次に、該シートを電子線加速器により4.5Mradの電子線を照射し、未発泡の架橋シートを得た。該架橋シートを215℃のオーブンにて加熱し、発泡体を得た。得られた発泡体の物性を表2に示す。
【0074】
比較例2
電子線照射量を5.0Mradに変更した以外は、比較例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の物性を表2に示す。
【0075】
【表1】


【0076】
【表2】


【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之


【公開番号】 特開2008−1792(P2008−1792A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172355(P2006−172355)