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【発明の名称】 高反射率フィルム及びその製造方法
【発明者】 【氏名】高岸 進

【氏名】高岸 美也子

【要約】 【課題】製造コストを高騰させる金属蒸着を行わずに製造できて、金属蒸着フィルムと同等レベルの正反射率を付与することができる高反射率フィルム及びその製造方法を提供する。

【構成】合成樹脂製の基材フィルムと、この基材フィルムの表裏面のいずれかに積層される印刷層とを備え、前記印刷層が複数の金属顔料粒子を含む印刷インキにより形成される高反射率フィルムであって、前記金属顔料粒子は、基材フィルムを透過する波長450nmにおける可視光線の正反射率を85%以上にすべく、平均粒径が4〜10μmであって比表面積が1.2〜3.0m2/gに偏平化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の基材フィルムと、この基材フィルムの表裏面のいずれかに積層される印刷層とを備え、前記印刷層が複数の金属顔料粒子を含む印刷インキにより形成される高反射率フィルムであって、
前記金属顔料粒子は、基材フィルムを透過する波長450nmにおける可視光線の正反射率を85%以上にすべく、平均粒径が4〜10μmであって比表面積が1.2〜3.0m2/gに偏平化されていることを特徴とする高反射率フィルム。
【請求項2】
前記金属顔料粒子は、銀より形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高反射率フィルム。
【請求項3】
前記金属顔料粒子は、アトマイズ法により得られる平均粒径0.8〜2.0μmの金属原料粒子を偏平化手段により偏平に塑性変形して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高反射率フィルム。
【請求項4】
前記基材フィルムは、光透過度が85%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高反射率フィルム。
【請求項5】
合成樹脂製の基材フィルムの表裏面のいずれかに、金属顔料粒子を含む印刷インキで印刷層を形成する印刷工程を備える高反射率フィルムの製造方法であって、
前記印刷工程の前に、平均粒径が4〜10μmであって比表面積が1.2〜3.0m2/gになるまで金属原料粒子を偏平状に塑性変形する顔料調製工程を設けることを特徴とする高反射率フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記金属原料粒子が、アトマイズ法により得られる平均粒径0.8〜2.0μmの銀粒子であることを特徴とする請求項5に記載の高反射率フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記印刷層を塗布量2g/m2以上に形成することを特徴とする請求項5または6に記載の高反射率フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子、自動車、医療、包装、衣類・服飾、建材、OA機器等、特に液晶モニタに用いられる高反射率フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属光沢フィルムとしてはアルミニウムなどの金属元素をフィルムに蒸着してなる金属蒸着フィルムが知られている。この金属蒸着フィルムは、例えばOA機器、カーフィルム、包装、アクセサリー、玩具等の用途に用いられ、オフラインでPETフィルムやナイロンフィルムに前記金属元素を蒸着して製造されている。
前記金属蒸着フィルムは、蒸着工程の不良率が高く、また蒸着には加熱や真空引きに時間とコストとが必要とされ、フィルム価格を高騰させる原因となっていた。
そこで、特許文献1に示すように、金属蒸着膜を剥離粉砕してなる金属顔料粒子を配合したメタリックタイプの印刷インキをポリエステルフィルムに印刷した金属光沢フィルムも提案されている。この金属光沢フィルムは、金属蒸着膜の表面平滑性が高く金属顔料粒子の粒子表面で鏡面反射が可能なため、印刷タイプでありながら高い正反射率を有している。
【特許文献1】特開2004−99642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の金属顔料粒子は、ランニングコストの高い蒸着工程で形成された金属蒸着膜を剥離粉砕してなるため、化学還元法やアトマイズ法により製造される金属顔料粒子に比べて顔料製造コストがかかり、価格面で金属蒸着フィルムに取って替われるものではない。
また、前記金属顔料粒子は薄い金属蒸着膜を剥離粉砕して成り、非常に軽い顔料粒子であるからバインダ中でも浮動しやすい。よって、印刷層中の全ての金属顔料粒子がその平滑な粒子表面を鏡面反射側に配向させているわけではないので、拡散反射率が比較的高く正反射率を一定レベル以上に高くすることが困難であった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであって、顔料製造コストの高い金属蒸着膜を用いる代わりに、通常の金属粉体製造方法により微粒子化された金属原料粒子を所定の偏平状態まで偏平化して用いることにより、従来の印刷タイプの金属光沢フィルムに比べて高い正反射率を付与することができる高反射率フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は金属蒸着に代えて印刷を行うことで従来からのフィルム製造ラインに組み込むことができ、また金属顔料粒子の顔料製造コストを下げることのできる高反射率フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明の高反射率フィルムは次の手段を講じている。
即ち、合成樹脂製の基材フィルムと、この基材フィルムの表裏面のいずれかに積層される印刷層とを備え、前記印刷層が複数の金属顔料粒子を含む印刷インキにより形成される高反射率フィルムであって、前記金属顔料粒子は、基材フィルムを透過する波長450nmにおける可視光線の正反射率を85%以上にすべく、平均粒径が4〜10μmであって比表面積が1.2〜3.0m2/gに偏平化されていることを特徴とする。
前記金属顔料粒子は、銀粒子であるのが好ましく、前記金属顔料粒子は、アトマイズ法により得られる平均粒径1.0〜2.0μmの金属原料粒子を偏平化手段により偏平に塑性変形して形成されているのがより好ましい。また、前記基材フィルムは光透過度が85%以上であるのが良い。
【0006】
これによって、顔料製造コストの高い金属蒸着膜を用いる代わりに、通常の金属粉体製造方法により微粒子化された金属原料粒子を所定の偏平状態まで偏平化して用いることにより、従来の印刷タイプの金属光沢フィルムに比べて高い正反射率を付与することができる。即ち、製造コストを高騰させる金属蒸着を行わずに製造された金属粒子(金属原料粒子)を用いてこれを偏平化しているので金属顔料粒子の製造コストを低減することが可能であり、また金属蒸着箔を粉砕した場合ほど薄膜状の粒子にはならないので金属顔料粒子の拡散反射を抑えることができて金属蒸着フィルムと同等レベルの正反射率を付与することができる。加えて、基材フィルムを透過して光を反射させているので、凹凸の生じ易い印刷層の表面で光が散乱することがない。
【0007】
また、前記金属顔料粒子に金属元素の中でも可視光線の全波長領域に亘って安定して高い反射率を有する銀粒子を用いることで、反射光に特定の波長に対する偏り(色つき)がなく可視光線の全領域に亘って正反射率が高いフィルムが得られて、液晶モニタのバックライト等のように鏡面反射が要求される用途に用いることができるようになる。
前記金属顔料粒子は、アトマイズ法により得られる平均粒径0.8〜2.0μmの金属原料粒子を偏平化手段により偏平に塑性変形して形成するのが好ましい。前記アトマイズ法は電解法、還元法等の金属粒子製造方法に比べて形状や粒度の揃った微細な金属原料粒子を得ることができるので、このアトマイズ法により得られる金属原料粒子を偏平に塑性変形(偏平化)することで金属顔料粒子の形状や粒度も揃えることが可能となり、この金属顔料粒子を用いることで印刷層の表面平滑性を上げて正反射率を良好にすることが可能となるからである。
【0008】
また、前記基材フィルムには光透過度が85%以上の高透明性フィルムを用いるのが好ましく、これにより基材フィルムに吸収または反射される可視光線の割合を下げて、基材フィルムにより印刷層の高い反射率が損なわれない。
また、前記目的を達成するため、本発明の高反射率フィルムの製造方法は次の手段を講じている。
即ち、合成樹脂製の基材フィルムのいずれかに、金属顔料粒子を含む印刷インキで印刷層を形成する印刷工程を備える高反射率フィルムの製造方法であって、
前記印刷工程の前に、平均粒径が4〜10μmであって比表面積が1.2〜3.0m2/gになるまで金属原料粒子を偏平状に塑性変形する顔料調製工程を設けることを特徴とする。
【0009】
前記顔料調製工程は、アトマイズ法により得られる平均粒径0.8〜2.0μmの金属原料粒子を用いるのが好ましく、前記印刷層を塗布量2g/m2以上に形成するのがよい。
これによって、金属蒸着に代えて印刷を行うことで従来からのフィルム製造ラインに組み込むことができ、また金属顔料粒子の顔料製造コストを下げることのできる。
また、前記顔料調製工程にアトマイズ法により得られる平均粒径0.8〜2.0μmの金属原料粒子を用いると、形状と粒度とが揃った金属顔料粒子を得ることができ、分級選別に必要とされる手間が省けて、顔料調製工程にかかるコストを下げることができる。
【0010】
さらに、前記印刷層を塗布量2g/m2以上に形成することで、ヌケやムラのない印刷層が得られ、印刷層により可視領域の光を確実に反射することができて、正反射率が面内で安定して高い高反射率フィルムを得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、顔料製造コストの高い金属蒸着膜を用いる代わりに、通常の金属粉体製造方法により微粒子化された金属原料粒子を所定の偏平状態まで偏平化して用いることにより、従来の印刷タイプの金属光沢フィルムに比べて高い正反射率を付与することができる。
また、金属蒸着に代えて印刷を行うことで従来からのフィルム製造ラインに組み込むことができ、また金属顔料粒子の顔料製造コストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の高反射率フィルム及びその製造方法を以下の実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
前記高反射率フィルムは、合成樹脂製の基材フィルムと、前記基材フィルムの表裏面のいずれかに積層される印刷層とを備えている。前記高反射率フィルムは、基材フィルムに直接印刷層を積層するのが好ましいが、前記基材フィルムと印刷層との間に1層以上の透明または光透過性に優れる中間層を設けることもできる。
前記中間層は、接着剤層、粘着剤層、プライマ層、樹脂や顔料の塗工層、あるいは各種の機能フィルム(紫外線吸収フィルム、ガスバリヤフィルム等)の少なくとも1つ以上から構成することができる。
【0013】
前記高反射率フィルムは、基材フィルム側または印刷層側の少なくともいずれかの表面に印刷層、空気遮断層(ガスバリヤ層)、接着層、ホットメルト層、光遮断層、紫外線吸収剤層またはこれらを塗布等した紙、フィルム、金属箔などをラミネート等して使用でき、これによって例えばOA機器、電子機器、電気製品、包装材、建材、自動車用ガラスフィルム、アクセサリー、装飾等の様々な用途に用いることができる。
前記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマーなどのポリオレフィン系樹脂、ナイロン、アラミドなどのポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂のいずれか1種を少なくとも含む合成樹脂で形成され、これらの樹脂でも好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いるのがよい。前記基材フィルムにポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることで従来の金属蒸着PETフィルムが用いられてきた用途にそのまま本発明の高反射率フィルムを用いることができるようになる。また、前記基材フィルムにナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂を用いると強度や耐伸縮疲労性に優れる高反射率フィルムを得ることができ、また蒸着時の耐熱性や価格面から金属蒸着フィルムが普及し難かったこれらのフィルム(分野)についても高い反射率を有するフィルムを安価に提供することができる。
【0014】
前記基材フィルムは、厚み25〜350μm、好ましくは厚み50〜250μmとするのが良い。前記基材フィルムの厚みを25〜350μmとすることで従来の金属蒸着フィルムの厚みに合わせることが可能となり、金属蒸着フィルムを用いた既存の各種製品の製造工程にそのまま本発明の高反射率フィルムを転用可能となるからである。また、前記基材フィルムの厚みを50〜250μmすることで特に液晶テレビの反射シートに本発明の高反射率フィルムを利用可能となり、液晶モニタの反射シートを従来の金属蒸着フィルムに比べて安価にかつ安定して供給することができる。
【0015】
前記基材フィルムには、前記合成樹脂で形成されたものであれば、透明性、帯電防止、耐熱性(耐ヒートシール性、耐ボイル性、耐レトルト性)、熱収縮性、耐衝撃性、耐ブロッキング性、易引き裂き性等の特性をそれぞれ満足させられるように、原料樹脂、延伸方法、添加物、表面処理等が異なる各種グレードのフィルムを用いることができる。前記基材フィルムは印刷層との密着性を考慮して表裏面のいずれかにコロナ処理かプライマー塗工が行われているのが好ましい。
前記基材フィルムは、光透過率が波長450nmの可視光線について85%以上、好ましくは90%以上とするのが良い。これにより、基材フィルムを通して反射する反射光が基材フィルムに吸収あるいは反射されるのを防止して、基材フィルムを通して反射する高反射率フィルムの波長450nmにおける可視光線の正反射率を85%以上に維持することができる。
【0016】
なお、前記可視光線の波長450nmはあくまでも可視領域にある波長の代表値であり、可視光線の全波長領域において光透過率が85%以上、好ましくは90%とされた基材フィルムを用いる方が良いのは当然である。
前記基材フィルムは、透明性、防湿性、耐熱性、寸法安定性、透明性、機械適性などを用途に合わせて種々変更できるように顔料、染料、安定剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、または潤滑剤等が含添されていても良い。また、前記基材フィルムは2軸延伸フィルムであっても1軸延伸フィルムであっても良い。
【0017】
前記印刷層は、複数の金属顔料粒子とこれらの金属顔料粒子を基材フィルムに定着(結着)させるバインダとを含む印刷インキより成り、基材フィルムの表面に印刷手段やコーティング手段を用いて形成される。
前記印刷手段にはフレキソ印刷、シルク(スクリーン)印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が選択でき、前記コーティング手段にはロールコート、グラビアコート、ブレードコート等が選択できるが、これらの中でも好ましくはフレキソ印刷、シルク(スクリーン)印刷、グラビア印刷、オフセット印刷を用いるのが良い。これによって、塗布量が揃った印刷層を再現良く形成することができ、既存のフィルム印刷設備をそのまま用いるため新たな設備投資等に掛かる費用を低減することができる。また、前記印刷手段の中でもより好ましくはフレキソ印刷を用いるのが良い。フレキソ印刷は他の印刷方法に比べて塗布量を大きくでき前記印刷層を厚くできるので、可視光線が印刷層を透過し難くなって、入射された可視光線を確実に反射させられるからである。
【0018】
前記印刷層は、塗布量を2g/m2以上、好ましくは3〜8g/m2とするのが良い。塗布量を2g/m2以上、好ましくは3g/m2以上とすることでヌケやムラのない印刷層が得られ、印刷層により可視領域の光を確実に反射することができて、正反射率が面内で安定して高い高反射率フィルムを得ることができる。また、塗布量を8g/m2以下とすることで過分なインキの消費を抑えることができ、厚塗りしすぎて印刷層が剥離しやすくなるのを防止できる。
前記印刷層の上にはオーバーコート層のような印刷保護層を設けても良く、この印刷保護層にはラッカー、ニスのようなクリヤータイプ(透明な)樹脂を用いるのが良い。印刷保護層を設けることで、印刷層が剥がれ難くなり、長期間に亘って使用しても金属光沢が損なわれにくくなる。
【0019】
前記金属顔料粒子は、可視領域(波長380〜780nm)の反射率が全領域に亘って85%を超える銀またはアルミニウムの少なくともいずれかを用いるのが好ましく、特に反射率が最も高い銀で形成されるのが良い。前記金属顔料粒子に銀またはアルミニウムを用いた場合は、波長380〜780nmの可視領域において金属元素固有の反射率が大きく変化しないので、波長450nmの正反射率のみを85%以上とすることで波長380〜780nmの可視領域の全域に亘って安定して高い反射率を得ることができ、反射光に波長による偏り(反射光の色つき)がない金属光沢を得ることができる。
【0020】
前記金属顔料粒子は、金属原料粒子をさらに偏平化手段により偏平状に塑性変形(偏平化)して得られる。一般的に通常の金属粉体製造方法(アトマイズ法、電解法、還元法等の金属粒子製造方法)で得られる球状や鱗片状の金属粒子は、光学式(レーザー式)の粒度計による平均粒径4〜10μmの粒子について、比表面積が0.6〜1.0m2/gとされている。これに対して、前記金属顔料粒子は比表面積が1.2〜3.0m2/g、好ましくは1.4〜2.4m2/gと非常に大きな比表面積を有している。
前記金属顔料粒子の比表面積を1.2m2/g以上、好ましくは1.4m2/g以上とすることで、十分に偏平化された金属顔料粒子を得ることができ、この偏平化された金属顔料粒子の偏平面(平滑面)が可視光線を高い反射率で反射するので、高反射率フィルムの正反射率を85%以上とすることが可能となる。前記比表面積を3.0m2/g以下とすることで、金属顔料粒子を薄くし過ぎて印刷層中で粒子表面(反射面)がばらつくのを防止でき、高反射率フィルムの拡散反射率を抑えつつ正反射率を85%以上とすることが可能となる。また、比表面積を2.4m2/g以下とすることで、余計な偏平化処理を行うことがなくなり金属顔料粒子の製造コストを抑えることが可能となる。
【0021】
前記金属顔料粒子は、光学式(レーザー式)の粒度計による平均粒径が4〜10μm、好ましくは4〜8μmとされるのが良く、これによって金属顔料原料を印刷インキ中に分散させやすくなると共に、印刷層で反射されずに金属顔料粒子の粒子間を透過する可視光線の割合を下げることが可能となる。
前記金属原料粒子は、電解法、アトマイズ法、熱処理法、化学還元法などの金属粒子製造方法により微粒子化された、光学式(レーザー式)の粒度計による平均粒径が0.8〜1.5μmの金属粒子である。前記金属粒子は金属粒子製造方法によって略球状粒子、魚鱗状粒子(板状またはフレーク状粒子ともいわれる)、針状、その他の不定形状に形成されるが、これらの形状に依らずいずれの粒子も単独であるいは組み合わして用いることができる。
【0022】
前記金属原料粒子は、金属粒子製造方法の中でもアトマイズ法で得られる金属粒子であって、形状が略球状(塊状)の金属粒子が最も好ましい。アトマイズ法は他の金属粒子製造方法より形状や粒度の揃った粒子を得られやすく、この金属原料粒子を偏平化処理することで金属原料粒子の粒子形状や粒度を揃えて、比表面積を1.2〜3.0m2/g、好ましくは1.4〜2.4m2/gに金属顔料粒子を調製することができる。
前記偏平化手段には、ボールミル、ロール圧延等の微粒子化手段(粉砕手段)を用いることができるが、好ましくはボールミルを用いるのが良い。
【0023】
前記バインダ(結着樹脂)は、スクリーンインキ、グラビアインキ、またはオフセットインキ等に通常用いられている樹脂であって、モノマー、オリゴノマー、プレポリマー等の反応性化合物に属する樹脂である。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンマレイン酸共重合樹脂、石油系樹脂、アルキッド樹脂などであり、これらの中でも基材フィルムとの接着性と前記金属粒子との相溶性とに優れるアクリル樹脂またはポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。これによって、印刷層の基材フィルムに対する接着強度を高めて、印刷層の剥離を防止できるからである。
【0024】
前記印刷層は金属顔料粒子が前記バインダで結着されて層状に基材フィルムの表面に積層され、金属顔料粒子の偏平(平坦な)な粒子表面が基材フィルムの表面に揃って(平行に)積層するので、それぞれの金属顔料粒子が印刷層中で入射光を基材フィルムの表面とは垂直な方向に反射し、高反射率フィルムに金属蒸着フィルムと同等レベルの正反射率を付与することができる。
また、前記印刷層を反射光を利用する側から見て基材フィルムの裏面側に設けられるのが好ましく、印刷層を基材フィルムに直接塗布等することで、基材フィルムの平滑な表面に沿って印刷層が形成されるので、印刷層の表面で光が散乱されるのを防ぐことができ、印刷層の正反射率を向上させることが可能となる。
【0025】
本発明の高反射率フィルムの製造方法は、基材フィルムの表裏面のいずれかに印刷インキで印刷層を形成する印刷工程の前に、予備的に印刷インキ及びこの印刷インキに含まれる前記金属顔料粒子を調整する顔料調製工程を設けている。
前記印刷工程は、前記基材フィルムの表裏面のいずれかに前記金属顔料粒子を含む印刷インキで印刷層を形成するものである。前記印刷は基材フィルムの表裏面のいずれかに行われていれば良く、コロナ面の方が好ましいが非コロナ面に行われても良い。前記印刷工程は、既存のフィルム印刷設備に前記印刷インキを用いればよく、これにより過分な設備投資を避けながら高反射率フィルムを製造できる。
【0026】
前記顔料調製工程は、前記金属原料粒子を前記偏平化手段により偏平状に塑性変形して金属顔料粒子を得るものであり、金属原料粒子をバインダに配合して印刷インキを調整するものである。前記印刷インキは、金属原料粒子のバインダに対する配合量(配合率)をフレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷手段またはコーティング方法に合わせて適宜変更することができる。また、前記印刷インキにはバインダ以外に光沢剤、乳化剤、酸化防止剤等の添加剤を加えることもできる。
前記偏平化手段は、例えばボールミル、ロール圧延式粉砕機、スタンプミル、サンドミルのような粉体を偏平状に塑性加工する設備を用いて、前記金属原料粒子を偏平状に塑性加工するものである。この偏平化手段には特にボールミルを用いるのが好ましく、これによって金属原料粒子を高収率で偏平化することができ、顔料調製工程にかかるコストを下げることができる。
【0027】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
アトマイズ法(超高圧旋回水アトマイズ法)により得られた銀の原料粉体粒子(福田金属箔粉社製、「Ag−HWQ」、略球状、粒径1.5μm)を、ボールミル粉砕機を用いて平均粒径4.0μm、比表面積1.2m2/gに偏平化した。偏平化後の銀粒子をアクリル酸メチル系接着剤や溶剤よりなるバインダに混合して印刷インキを調整し、この印刷インキを基材フィルム(ポリエステルフィルム、片面コロナ処理、25μmt)のコロナ処理面側に塗布量3g/m2となるようフィルム印刷機を用いて印刷して高反射率フィルムのサンプルを得た。
【0029】
得られたサンプルは、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、JASCO V−550)を用いて450nmにおける可視光線の正反射率を基材フィルム側から測定し、表1に示される結果を得た。
なお、正反射率の測定結果は、正反射率85%未満を×、85%以上88%未満を△、88%以上を○とした。また、製造コストの評価は、金属蒸着フィルムの製造コストと比較してコスト高になる場合を×、同等レベルの製造コストの場合を△、コスト安になる場合を○と評価した。
【0030】
また、表1における総合評価は正反射率の評価と製造コストの評価とを総合的に判断したものであり、正反射率と製造コストとの双方で○の評価である場合を◎(非常に優れる)の総合評価とし、◎の総合評価以外であって正反射率と製造コストとのいずれにも×の評価がない場合を○(優れる)の総合評価とし、いずれかに×の評価があれば×(劣る)の総合評価とした。
【実施例2】
【0031】
粒径1.0μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径4.0μm、比表面積1.4m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例3】
【0032】
粒径1.5μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径8.0μm、比表面積2.4m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例4】
【0033】
粒径2.0μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径10.0μm、比表面積3.0m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例5】
【0034】
粒径1.0μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径4.0μm、比表面積1.4m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを塗布量を3.0g/m2で基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例6】
【0035】
粒径1.0μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径4.0μm、比表面積1.4m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを塗布量を8.0g/m2で基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例7】
【0036】
粒径1.0μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径4.0μm、比表面積1.4m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを塗布量を2.0g/m2で基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例8】
【0037】
粒径1.0μmの銀の金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径4.0μm、比表面積1.4m2/gの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを塗布量を10.0g/m2で基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
【実施例9】
【0038】
粒径1.0μmのアルミニウムの金属原料粒子を実施例1同様な方法で偏平化して、平均粒径4.0μm、比表面積1.4m2/gのアルミニウムの金属顔料粒子を調製し、この金属顔料粒子を用いた印刷インキを基材フィルムに印刷して金属光沢フィルムのサンプルを得た。測定結果を表1に示す。
「比較例1」
金属顔料粒子にアトマイズ法により得られた銀粒子(略球状、粒径4.0μm)を、偏平化処理なしに用いたものである。
「比較例2」
銀の蒸着箔を粉砕して粒度調整し、これを金属顔料粒子に用いたものである。
「比較例3」
金属原料粒子に粒径2.6μmの大きめの銀粒子(アトマイズ法)を用いて、これに実施例4同様の偏平化処理を行って、比表面積及び平均粒径が実施例4より大きな金属顔料粒子を調整し、これを印刷インキに配合してサンプルを得たものである。
「比較例4」
実施例2の金属顔料粒子を用いた印刷インキを塗布量1.0g/m2で塗工したものである。
【0039】
【表1】



【出願人】 【識別番号】300078763
【氏名又は名称】株式会社高友産業
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄

【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄


【公開番号】 特開2008−1784(P2008−1784A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171870(P2006−171870)