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ポリオレフィン成形体の表面修飾 - 特開2008−1773 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ポリオレフィン成形体の表面修飾
【発明者】 【氏名】松木 智昭

【氏名】斎藤 純治

【氏名】川原 信夫

【氏名】松尾 真吾

【氏名】金子 英之

【氏名】柏 典夫

【要約】 【課題】ポリオレフィン本来の性質を可能な限り損なうことなく、工業的に有利な手法にてポリオレフィン成形体表面を改質、好ましくはハロゲン化する技術、並びに該技術によって表面が改質されたポリオレフィンを提供すること。

【構成】ポリオレフィン成形体にハロゲン化剤を作用させることにより得られ、該成形体の表面にハロゲン原子が導入されたハロゲン化ポリオレフィン成形体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン成形体にハロゲン化剤を作用させることにより得られ、該成形体の表面にハロゲン原子が導入されたハロゲン化ポリオレフィン成形体。
【請求項2】
表面に導入されたハロゲン原子が、隣接する炭素原子との共有結合の解離を伴う原子移動ラジカル重合開始基としての機能を有することを特徴とする請求項1記載のハロゲン化ポリオレフィン成形体。
【請求項3】
ポリオレフィン成形体にハロゲン化剤を作用させることにより、該成形体の表面にハロゲン原子が導入されたハロゲン化ポリオレフィン成形体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン成形体表面の改質方法、詳しくは成形体表面のハロゲン原子による被覆方法、並びに該方法により得られる表面改質されたポリオレフィン成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、加工性、耐薬品性、機械的強度、透明性などの物性が優れているために、フィルム、シート、容器などをはじめとする各種成形品として広く使用されている。しかしながら、ポリオレフィンは本来疎水性であるために、成形品の表面を塗装する必要があるなどの用途によっては、そのままでは対処できないという問題点がある。
【0003】
このようなポリオレフィン成形品の表面の性質を改良するため、熱処理、波動エネルギーまたは粒子線による処理、プラズマ処理、コロナ処理などさまざまな表面処理が試みられており、それぞれに一応の成果を上げている。コロナ処理もポリオレフィン成形品の親水性を高めるために利用されているが、ポリプロピレンのような熱分解型ポリオレフィンの場合には、コロナ処理後に経時的に親水性が低下する傾向が見られ、根本的な解決方法とは言えない状況にある。熱分解型ポリオレフィンにおけるこのように親水性が低下する原因は、熱分解型ポリオレフィンにおいては、成形時に生成した低分子量重合体が経時的に表面にブリードアウトし、これがコロナ処理面を覆うためと考えられる。
【0004】
一方、本出願人らによる特開2004−131620号公報では、オレフィンと極性基含有モノマーとの共重合により得られたポリオレフィン中の極性基を、ハロゲン原子を有する原子移動ラジカル重合開始末端に変換してアクリル酸エステルなどの極性基含有モノマーを原子移動ラジカル重合によりグラフト化する方法が開示されている。該方法によれば、架橋や分解といった副反応が抑えられ、低分子量重合体成分や非グラフト化極性重合体などが極力存在しない、ポリオレフィン−極性重合体グラフトポリマーが得られる。この手法で得られたポリオレフィン系材料から得られる成形体では、前述のようなさまざまな表面処理方法に比べ、表面のブリードアウトなどの問題が改善されることが予想される。しかしながら、該成形体は、極性重合体セグメントがポリオレフィン内部及び表面の両方に存在するため、ポリオレフィン成形体の表面の性質を十分に改質する効果を発現させにくいばかりでなく、異種ポリマーが内部に分散しているためポリオレフィン本来の物性的特性を損ねてしまうことが問題である。
【特許文献1】特開2004−131620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる実状において本発明者らが解決しようとする課題は、ポリオレフィン本来の性質を可能な限り損なうことなく、工業的に有利な手法にてポリオレフィン成形体表面を改質する技術、並びにこの改質技術によって得られる表面改質されたポリオレフィン成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、従来にない新しい手法にてポリオレフィン表面が改質された成形体を提供するものである。すなわち、本発明によればポリオレフィン成形体の表面に効果的にハロゲン原子が導入され、成形体表面にハロゲン原子が導入されたポリオレフィン成形体を与えるのである。該ハロゲン原子導入部位は、原子移動ラジカル重合開始末端としての機能を持ち、例えば非オレフィン系モノマ
ーを原子移動ラジカル重合させることによって非オレフィン系ポリマーで表面改質されたポリオレフィン成形体を提供する。
【0007】
具体的には、ポリオレフィン成形体にハロゲン化剤を作用させることにより得られる該成形体の表面にハロゲン原子が導入されたハロゲン化ポリオレフィン成形体、及びその工業的に有効な製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、低コスト、簡略プロセスにて、表面にてラジカル重合可能なビニルモノマーの原子移動ラジカル重合能を有すハロゲン原子が導入されたポリオレフィン成形体を得ることが可能となる。本発明の技術により、低コストかつ従来にない全く新しい手法で、幅広い種類の重合体セグメントが導入されたポリオレフィン成形体を得ることが可能となり、成形体表面に導入された重合体の量や種類に応じ、印刷性、塗装性、耐熱性、耐衝撃性、親水性、疎水性、生体適合性、刺激応答性、・強度・硬さ、耐磨耗性、導電性、ガスバリア性、生体適合性、または金属、プラスチック、紙類などとの接着性能などに優れた性能を発揮するポリオレフィン系成形体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、ポリオレフィン成形体にハロゲン化剤を作用させることにより、該成形体の表面にハロゲン原子が導入されたハロゲン化ポリオレフィン成形体、及びその製造方法について具体的に説明する。
【0010】
まず、本発明に係るポリオレフィン成形体にハロゲン化剤を作用させることにより得られる、該成形体の表面にハロゲン原子が導入されたハロゲン化ポリオレフィン成形体について説明する。
【0011】
本発明のハロゲン化ポリオレフィン成形体を得るために用いられるポリオレフィン成形体は、ポリオレフィン樹脂を必須とする成形体であって、射出成形、押出成形、押出しラミネート成形、インフレーション加工、中空成形、圧縮成形、キャスト成形あるいはそれらを二次加工したものなど、ポリオレフィン樹脂に熱および圧力を同時に、又は別々に作用させ、型を用いて所望の形状付与処理を施した後、その形状が保持されたものであれば、本発明に係るハロゲン化ポリオレフィン成形体の原料として用いることができる。
【0012】
本発明に用いられるポリオレフィン成形体は、ハロゲン化するために、表面の一部、または全面にポリオレイン樹脂が露出している成形体であって、このような要件を満たす限りは、ポリオレフィン以外の材料との複合加工品の一部であってもかまわない。
【0013】
ポリオレフィン成形体を構成する主成分のポリオレフィン樹脂とは、エチレンまたはα-オレフィンを主成分モノマーとする(共)重合体であり、好ましいポリオレフィン樹脂として、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン系エラストマ−、プロピレン系エラストマー、イソタクチックポリポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、高圧法低密度ポリエチレン及びそのアクリル酸、アクリル酸エステル、酢酸ビニルとのコポリマー、ポリオレフィン系アイオノマー、4−メチルペンテン−1重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体などが挙げられる。また、過酸化物存在下、アクリル酸エステルや無水マレイン酸などで、グラフト変性されたポリオレフィン樹脂など、上記のポリオレフィン樹脂をあらゆる手法で変性させた樹脂や、架橋剤によって架橋された樹脂も、本発明に係るポリオレフィン成形体を構成するポリオレフィン樹脂として用いることができる。
これらは単独で、或いは2種類以上を含む樹脂であっても構わない。
【0014】
ポリオレフィン成形体には、本発明のハロゲン化反応を阻害しない範囲において必要に
応じて、あらゆる非ポリオレフィン系樹脂、改質剤、相溶化剤や無機フィラー成分または添加剤等が配合されていてもよい。添加剤としては、例えば軟化剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、結晶核剤、ワックス、増粘剤、機械的安定性付与剤、レベリング剤、濡れ剤、造膜助剤、架橋剤、防腐剤、防錆剤、顔料、充填剤、分散剤、凍結防止剤、消泡剤等が挙げられ、これらは単独で、或いは2種類以上組み合わせて添加される。
【0015】
ポリオレフィン成形体表面へ導入されるハロゲン原子として、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、分子構造の安定性及び原子移動ラジカル重合の容易さより、臭素原子が特に好ましい。
ポリオレフィン成形体表面へのハロゲン原子導入は、ハロゲン化剤を用いて反応条件を制御することで可能となる。
【0016】
本発明で用いられるハロゲン化剤としては、ポリオレフィン成形体をハロゲン化してハロゲン化ポリオレフィン成形体を製造できるものであれば特に制限はないが、具体的には、塩素、臭素、ヨウ素、三塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、五塩化リン、五臭化リン、五ヨウ化リン、塩化チオニル、塩化スルフリル、臭化チオニル、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ブロモカプロラクタム、N−ブロモフタルイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−クロログルタルイミド、N−ブロモグルタルイミド、N,N‘−ジブロモイソシアヌル酸、N−ブロモアセトアミド、N−ブロモカルバミド酸エステル、ジオキサンジブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド、ピロリドンヒドロトリブロミド、次亜塩素酸t−ブチル、次亜臭素酸t−ブチル、塩化銅(II)、臭化銅(II)、塩化鉄(III)、塩化オキサリル、IBrなどが挙げられるが、特に、温和な条件でハロゲン化が可能な、臭素及びN−ブロモスクシンイミドが好ましい。
【0017】
本発明においては、ポリオレフィン成形体へのハロゲン原子の導入方法については特に限定されるものではないが、ポリオレフィン成形体へのハロゲン原子の導入のし易さ、ポリオレフィン成形体の種類、反応条件がマイルドであるかどうか等の視点から、最適の手法が選択される。
【0018】
例えば臭素化について、G. A. Russelらによる、J. Am. Chem. Soc., 77, 4025 (1955)に開示されているような、臭素を光照射下で反応させることによってアルケンを臭素化させる光臭素化反応やP. R. Schneinerらによる、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 37, 1895
(1998)に開示されているような、50%NaOH水溶液と四臭化炭素の存在下に溶媒中で加熱還流することで、環状アルキルを臭素化する方法、M. C. Fordらによる、J. Chem.
Soc., 2240 (1952)に開示されているN−ブロモコハク酸イミドをアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いてラジカル反応でアルキル末端を臭素化する方法等がある。
【0019】
本発明のポリオレフィン成形体表面へのハロゲン原子導入、すなわちハロゲン化を行うに当たり、溶媒を使用してもしなくても良い。溶媒を使用する場合、ハロゲン化反応を阻害せず、かつポリオレフィン成形体を溶解しないものであれば何れでも使用することができる。具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テトラ
ヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等を挙げることができる。また、水を溶媒とすることもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは二種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
反応温度はポリオレフィン成形体が溶融または膨潤しない温度でかつハロゲン化反応が進行する温度であれば何れでも構わず一様ではないが、通常、-50℃〜150℃である。好ましくは0℃〜80℃であり、更に好ましくは0℃〜50℃といった温和な条件での反応が好ましい。反応は場合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施できる。
【0021】
なお、本願明細書に記載した実施例においては、無溶媒下、臭素蒸気を用いる常温ブロム化方法を採用したが、簡便性、ブロム化効率性の視点から推奨される方法の一つである。
ポリオレフィン成形体表面へのハロゲン原子の導入は、X線光電子分光法、電子線マイクロアナライザー、または核磁気共鳴スペクトル等の分光学的手法により確認することができる。
【0022】
また、本発明における製造法によれば、ハロゲン原子をポリオレフィン成形体内部に比べ表面に高濃度に導入することが可能であり、ポリオレフィン樹脂の物性低下、すなわち融点の低下や成形時の着色を極力抑えることが可能となる。
【0023】
本発明において、望ましいハロゲン化ポリオレフィン成形体は、該成形体における表層、すなわち、通常は成形体表面より0〜500μmの深さの表層部分、好ましくは、0〜200μmの深さの表層部分、更に好ましくは0〜100μmの深さの表層部分のハロゲン化濃度が、その内部に比べて相対的に高い成形体である。
【0024】
前述により得られた本発明に係るハロゲン化ポリオレフィン成形体は、表面に導入されたハロゲン原子がその炭素原子との共有結合間の解離を伴う原子移動ラジカル重合開始基としての機能を有することが特徴である。
原子移動ラジカル重合(ATRP)は、Science,(1996),272,866、Chem. Rev., 101, 2921 (2001)、WO96/30421号公報、WO97/18247号公報、WO98/01480号公報、WO98/40415号公報、WO00/156795号公報、あるいは澤本ら、Chem. Rev., 101, 3689 (2001)、特開平8-41117号公報、特開平9-208616号公報、特開2000-264914号公報、特開2001-316410号公報、特開2002-80523号公報、特開2004-307872号公報で開示されているように、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてラジカル重合性単量体をラジカル重合する方法であり、本発明に係る表面に導入されたハロゲン原子がその炭素原子との共有結合間の解離を伴う重合開始基として機能する。
【0025】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例中に示される成形体表面のX線光電子分光分析は、SSI社製、SSX−100型X線光電子分光装置を用い、臭素原子の分布状態は、島津製作所社製、EPMA−1600型電子線マイクロアナライザーを用いて行った。また、ATR/IR分析は、Biorad社製、FTS−6000型赤外分光光度計を用いて行った。
【実施例1】
【0026】
表面に臭素原子が導入されたハロゲン化ポリプロピレン成形体の製造
市販のポリプロピレン(PP)パウダー(F102WP・三井化学製)をプレス成形機を用いて180℃、10MPaで加圧し、約1mm厚のシート状ポリプロピレン(PP)成形体(以下、PPシート)を作成した。作成したPPシートを1cm×2cmの大きさにカットし、25℃で200mlガラス製容器にセットした。この容器中に臭素0.5mlを入
れたガラス製のミクロチューブを中身がこぼれないように静かに装入し、ナスフラスコの口を栓で閉じ、フラスコ内を臭素の蒸気で充満した状態にして、25℃で1時間静置した。その後、フラスコ内のPPシートをピンセットを用いて取り出し、取り出したPPシートを100mlのメタノール中と100mlのアセトン中で逐次洗浄した。洗浄したPPシートは80℃、10時間減圧下で乾燥させた。乾燥後のPPシートは、成形直後(臭素処理前)と同様の形状であり着色もなかった。
【0027】
得られたPPシートの表面をX線光電子分光法(XPS,ESCA)で分析したところ、0.2atom%の臭素元素が検出された。また、電子線マイクロアナライザー(EPMA)でシートの深さ方向の臭素原子の分布状態を分析したところ、シート表面から約70μmまでの領域で臭素原子が検出され、表面から内部に行くに従って検出量は少なくなるという分布状態が確認された。このようにして、表面に臭素を導入したポリプロピレン成形体を得た。
【0028】
シート状ハロゲン化ポリプロピレン成形体表面の原子移動ラジカル重合開始基としての機能の確認
十分に窒素置換した50mlのガラス製反応器の中に、スターラーチップと上記により得られたシート状ハロゲン化ポリプロピレン成形体1枚を25℃でセットし、窒素雰囲気下で脱気処理した市販アセトン24.5mlとメタクリル酸メチルモノマー(MMA)4.5mlを加え、栓をしてスターラーで緩やかに攪拌した。20分後、別の容器にて調製しておいた、臭化第一銅(CuBr)65mgとN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.17mlのアセトン2ml溶液を反応器に添加しきちんと栓をした後、25℃で30分間緩やかに攪拌を続けた。その後スターラーでの攪拌を停止し、PPシートを装入した反応液を窒素雰囲気下25℃で静置した。3日後、中のシートをピンセットで取り出し、100mlのメタノール中と100mlのアセトン中でそれぞれ良く洗浄した。洗浄したシート状成形体をガラスシャーレーにとり、24時間風乾させた。乾燥したシート表面のATR/IR分析を行ったところ、1730cm-1、1270cm-1、1242cm-1、1193cm-1、1149cm-1にポリメタクリル酸エステルの特徴的なピークが観測され、シート表面のポリメタクリル酸メチルの存在が確認された。
【0029】
〔比較例1〕
実施例1に記載の臭素による処理前のシート状ポリプロピレン(PP)成形体についても同様に、MMAの原子移動ラジカル重合を試みた。得られたシート状成形体の表面をATR/IR分析にて解析したところ、その吸収パターンは、重合前のシート表面の吸収パターンと何ら変化なく、MMAの重合体の生成は確認されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1で得られたハロゲン化ポリプロピレン成形体の、EPMAによる臭素のマッピング結果を示す(分析データをもとに指定した面内において画像処理を行い、臭素の濃度を色調の濃淡によって示している。図中、白色部分が臭素濃度が高いことを示しており、成形体表面付近に臭素がより多く存在していることが判明した。図面の左右方向は成形体の深さ方向に対応)。
【図2】実施例1で得られたハロゲン化ポリプロピレン成形体の、EPMAによる臭素の特性X線スペクトルデータを示す(図面の左右方向は成形体の深さ方向に対応。図面の上下方向はスペクトル強度を示す。上方向に行くほど強度が大きい。すなわち成形体表面付近で臭素の特性X線スペクトル強度が大きいことを示している)。
【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−1773(P2008−1773A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171413(P2006−171413)