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【発明の名称】 複合粉体の製造システム及び複合粉体の製造方法
【発明者】 【氏名】菅野 弦

【氏名】細野 武彦

【氏名】岩城 一夫

【要約】 【課題】複合粉体を効率的に製造することができ、製造コストを格段に低減することができる複合粉体の製造システム及び複合粉体の製造方法を提供する。

【構成】本発明の複合粉体の製造システムは、熱可塑性複合組成物とこの熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒とを、熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱、混合し、この混合物を上記熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒であって分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と攪拌して、熱可塑性複合組成物の融点以下の温度に冷却すると共に、分散媒を展開溶媒に溶解させて熱可塑性複合組成物の懸濁液とし、この懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状粒子として分離回収することにより複合粉体を製造するものであって、上記分離回収手段として、懸濁液を加圧濾過して熱可塑性複合組成物の固体状粒子を分散媒から分離して複合粉体として回収する加圧濾過装置13を設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂及び少なくとも一種の充填剤を含む熱可塑性複合組成物とこの熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒とを、上記熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱、混合し、この混合物を上記熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒であって上記分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と攪拌して、上記熱可塑性複合組成物の融点以下の温度に冷却すると共に、上記分散媒を上記展開溶媒に溶解させて上記熱可塑性複合組成物の懸濁液とし、この懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を複合粉体として分離回収する複合粉体の製造システムであって、
上記懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子として分離回収する手段として、上記懸濁液を加圧濾過して上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を上記分散媒から分離して複合粉体として回収する加圧濾過装置を設けた
ことを特徴とする複合粉体の製造システム。
【請求項2】
上記加圧濾過装置の下流側に、上記複合粉体を洗浄液中に分散させてリスラリー化する攪拌装置と、上記洗浄液中に分散した複合粉体の固体状粒子を所定の粒径範囲に分級する分級装置と、分級された上記複合粉体から上記洗浄液を除去する遠心濾過装置と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の複合粉体の製造システム。
【請求項3】
上記加圧濾過装置は、水平濾過板式加圧濾過装置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合粉体の製造システム。
【請求項4】
上記分級装置は、振動式分離装置であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の複合粉体の製造システム。
【請求項5】
上記遠心濾過装置は、バスケット型遠心濾過洗浄装置であることを特徴とする請求項2〜請求4のいずれか1項に記載の複合粉体の製造システム。
【請求項6】
熱可塑性樹脂及び少なくとも一種の充填剤を含む熱可塑性複合組成物とこの熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒とを、上記熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱、混合し、この混合物を上記熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒であって上記分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と攪拌して、上記熱可塑性複合組成物の融点以下の温度に冷却すると共に、上記分散媒を上記展開溶媒に溶解させて上記熱可塑性複合組成物の懸濁液とし、この懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を複合粉体として分離回収することにより複合粉体を製造する方法であって、
上記懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を複合粉体として分離回収する分離回収工程では、上記懸濁液を加圧濾過して上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を上記分散媒から分離して複合粉体として回収する
ことを特徴とする複合粉体の製造方法。
【請求項7】
上記分離回収工程の後工程として、
上記分離回収工程で得られた複合粉体を洗浄液中に分散させた後、上記複合粉体を分級する分級工程と、
上記分級工程で分級された上記複合粉体を遠心濾過して上記洗浄液を除去する遠心濾過工程と、
上記遠心濾過工程で得られた上記複合粉体を乾燥する工程と、を備えた
ことを特徴とする請求項6に記載の複合粉体の製造方法。
【請求項8】
上記分離回収工程では、懸濁液を0.05〜0.42MPaの濾過圧力で加圧濾過することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の複合粉体の製造システム。
【請求項9】
上記遠心濾過工程では、100〜1500Gの遠心力を付与することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の複合粉体の製造システム。
【請求項10】
上記熱可塑性樹脂は、少なくともPA、PP、PE、SAN、PCL及びPLAから選択されるいずれか一つを含む熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の複合粉体の製造システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粉体の製造システム及び複合粉体の製造方法に関し、更に詳しくは、例えば熱可塑性樹脂及び少なくとも一種の充填剤を含む熱可塑性複合組成物の固体状微粒子からなる複合粉体を効率良く製造することができる複合粉体の製造システム及び複合粉体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合粉体を製造する技術としては、特許文献1、2に記載された技術がある。特許文献1には球状複合粉体の製造方法について記載され、特許文献2には生分解性球状複合粉体の製造方法について記載されている。特許文献1の球状複合粉体を更に生分解性球状複合粉体に特定していること以外は、特許文献1の技術と特許文献2の技術は基本的に共通しているため、特許文献1の記載の従来技術について説明する。
【0003】
特許文献1の技術では、熱可塑性樹脂と充填剤を含む熱可塑性複合組成物を、この熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒と共にこの熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱し、熱可塑性複合組成物を分散媒中に分散させた混合物を得た後、この混合物を冷却し、熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒で、分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と混合して、分散媒を展開溶媒中に溶解させると共に熱可塑性複合組成物の固体状微粒子が分散した懸濁液を得る。この懸濁液を遠心分離、濾過して目的とする複合粉体を得ている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−114901
【特許文献2】特開2002−327066
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状微粒子を回収する際に、熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒で、分散媒に対して良溶媒の展開溶媒を用いて、分散媒を展開溶媒へ溶解させた後、遠心分離、濾過、あるいはこれらを組み合わせて懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状微粒子を分離して、複合粉体を得るにあたり、従来の単なる遠心分離、濾過あるいはこれらを組み合わせて操作する手法では大量の展開溶媒を用いて分散媒の展開溶媒への溶解を促進しない限り、分散媒を熱可塑性複合組成物の固体状微粒子から十分に分離除去することが難しく、しかも分散媒は熱可塑性組成物との間に親和性があるため、分散媒を固体状微粒子から十分に除去するためには従来の単なる遠心分離、濾過あるいはこれらを組み合わせて操作する手法では遠心分離操作や濾過操作を何回も繰り返さなくてはならないため、操作工程が複雑になり、複合粉体を効率的に得ることができず、複合粉体の製造コストが高くなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複合粉体を効率的に製造することができ、製造コストを格段に低減することができる複合粉体の製造システム及び複合粉体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の複合粉体の製造システムは、熱可塑性樹脂及び少なくとも一種の充填剤を含む熱可塑性複合組成物とこの熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒とを、上記熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱、混合し、この混合物を上記熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒であって上記分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と攪拌して、上記熱可塑性複合組成物の融点以下の温度に冷却すると共に、上記分散媒を上記展開溶媒に溶解させて上記熱可塑性複合組成物の懸濁液とし、この懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を複合粉体として分離回収する複合粉体の製造システムであって、上記懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子として分離回収する手段として、上記懸濁液を加圧濾過して上記分散媒から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を分離して複合粉体として回収する加圧濾過装置を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の複合粉体の製造システムは、請求項1に記載の発明において、上記加圧濾過装置の下流側に、上記複合粉体を洗浄液中に分散させてリスラリー化する攪拌装置と、上記洗浄液中に分散した複合粉体の固体状粒子を所定の粒径範囲に分級する分級装置と、分級された上記複合粉体から上記洗浄液を除去する遠心濾過装置と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の複合粉体の製造システムは、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記加圧濾過装置は、水平濾過板式加圧濾過装置であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の複合粉体の製造システムは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記分級装置は、振動式分離装置であることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の複合粉体の製造システムは、請求項2〜請求4のいずれか1項に記載の発明において、上記遠心濾過装置は、バスケット型遠心濾過洗浄装置であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の複合粉体の製造方法は、熱可塑性樹脂及び少なくとも一種の充填剤を含む熱可塑性複合組成物とこの熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒とを、上記熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱、混合し、この混合物を上記熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒であって上記分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と攪拌して、上記熱可塑性複合組成物の融点以下の温度に冷却すると共に、上記分散媒を上記展開溶媒に溶解させて上記熱可塑性複合組成物の懸濁液とし、この懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を複合粉体として分離回収することにより複合粉体を製造する方法であって、上記懸濁液から上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を複合粉体として分離回収する分離回収工程では、上記懸濁液を加圧濾過して上記熱可塑性複合組成物の固体状粒子を上記分散媒から分離して複合粉体として回収することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項7に記載の複合粉体の製造方法は、請求項6に記載の発明において、上記分離回収工程の後工程として、上記分離回収工程で得られた複合粉体を洗浄液中に分散させた後、上記複合粉体を分級する分級工程と、上記分級工程で分級された上記複合粉体を遠心濾過して上記洗浄液を除去する遠心濾過工程と、上記遠心濾過工程で得られた上記複合粉体を乾燥する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の複合粉体の製造方法は、請求項6または請求項7に記載の発明において、上記分離回収工程では、懸濁液を0.05〜0.42MPaの濾過圧力で加圧濾過することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項9に記載の複合粉体の製造方法は、請求項7または請求項8に記載の発明において、上記遠心濾過工程では、100〜1500Gの遠心力を付与することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項10に記載の複合粉体の製造方法は、請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の発明において、上記熱可塑性樹脂は、少なくともPA、PP、PE、SAN、PCL及びPLAから選択されるいずれか一つを含む熱可塑性樹脂であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複合粉体を効率的に製造することができ、製造コストを格段に低減することができる複合粉体の製造システム及び複合粉体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1〜図4に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明の複合粉体の製造システムの一実施形態を示す構成図、図2は図1に示す加圧濾過装置の要部を拡大して示す断面図、図3の(a)〜(d)はそれぞれ図2に示す加圧濾過装置において複合粉体となる固体状粒子を回収する工程を工程順に示す要部断面図、図4は図1に示す遠心濾過装置を示す構成図である。
【0019】
本発明の複合粉体の製造システムは、熱可塑性樹脂及び少なくとも一種の充填剤を含む熱可塑性複合組成物とこの熱可塑性複合組成物と相溶性のない分散媒とを、熱可塑性複合組成物の融点以上の温度に加熱、混合し、この混合物を上記熱可塑性複合組成物に対して貧溶媒であって上記分散媒に対して良溶媒である展開溶媒と攪拌して、上記熱可塑性複合組成物の融点以下の温度に冷却すると共に、分散媒を展開溶媒に溶解させて熱可塑性複合組成物の懸濁液とし、この懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状粒子として分離回収することにより複合粉体を製造するものである。
【0020】
複合粉体を構成する熱可塑性樹脂は、充填剤のバインダの役割を有している。充填剤は、種々の物理的、化学的特性を有する物質で、複合粉体の用途に応じて選択され、複合粉体に種々の物理的、化学的特性を付与することができる。熱可塑性樹脂は、特に制限されないが、例えばポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、ポリカプロラクトン(PCL)及びポリ乳酸(PLA)から選択されるいずれか一つを含む熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
【0021】
また、分散媒は、熱可塑性複合組成物に対して相溶性のある溶媒であれば、特に制限されず、熱可塑性複合組成物によって適宜選択することができる。熱可塑性複合組成物を構成する熱可塑性樹脂がポリプロピレンやポリエチレンの場合には、分散媒として例えばポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド類を用いることができ、また、熱可塑性樹脂がポリ乳酸の場合には、分散媒としてポリアクリル酸を用いることができる。展開溶媒は、熱可塑性複合組成物を溶解し難い貧溶媒であって分散媒と相溶性のある良溶媒であれば、特に制限されない。展開溶媒としては、例えば、水、有機溶媒及びこれらの混合物を用いることができる。例えば分散媒としてポリアルキレンオキサイド類を用いる場合には、水を展開溶媒として用いることができる。懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状微粒子を分離回収すると、この固体状微粒子を洗浄液によって洗浄する。洗浄する場合には、展開溶媒として水を用いる場合には、洗浄液としても水を用いることができる。
【0022】
而して、本実施形態の複合粉体の製造システム10は、例えば図1に示すように、熱可塑性樹脂としてポリエチレンを含む熱可塑性複合組成物とその分散媒(例えば、ポリエチレングリコール)とを加熱、混合してこれら両者の混合物を得る混練機11と、混練機11からの混合物に展開溶媒(例えば、水)を加え、混合物と展開溶媒とを混合、冷却し、展開溶媒中で熱可塑性複合組成物の固体状微粒子(以下、必要に応じて単に「固体状微粒子」と称する。)を形成すると共に分散媒を展開溶媒に溶解させた懸濁液を調製する第1の攪拌装置12と、第1の攪拌装置12からの懸濁液を加圧濾過して固体状微粒子を分散媒及び展開溶媒から分離、回収する加圧濾過装置13と、加圧濾過装置13からの固体状微粒子に洗浄液(例えば、洗浄水)を加えて固体状微粒子を洗浄すると共にリスラリー化する第2の攪拌装置14と、第2の攪拌装置14からの固体状微粒子を湿式分級して所望の粒径範囲にある固体状微粒子からなる複合粉体として得る分級装置15と、分級装置15からの複合粉体を洗浄水中で攪拌する第3の攪拌装置16と、第3の攪拌装置からの複合粉体のスラリーを遠心分離すると共に洗浄水で複合粉体を洗浄する遠心濾過装置17と、遠心濾過装置17からの複合粉体を乾燥する乾燥機18を備え、熱可塑性複合組成物から固体状微粒子を複合粉体として製造するように構成されている。
【0023】
上記混練機11は、従来公知の押出機等種々のタイプのものを使用することができる。この混練機11は、熱可塑性複合組成物をその供給源11Aから受給すると共に分散媒をその供給源11Bから受給し、熱可塑性複合組成物をその融点(例えば、220〜240℃)以上の温度に加熱して熱可塑性複合組成物と分散媒とを混練し、熱可塑性複合組成物を分散媒中で微粒子状に分散させた混合物を調製する。この混練操作によって熱可塑性複合組成物は、分散媒中で微粒子状になって分散する。混練機11は、溶融状態の混合物を第1の攪拌装置12へ供給する。
【0024】
第1の攪拌装置12は、混練機11から混合物を受給すると共に展開溶媒をその供給源12Aから受給し、上記混合物と展開溶媒を攪拌すると共に上記混合物を冷却することにより、熱可塑性複合組成物の固体状微粒子(例えば、粒径が60〜70μm)を形成すると共に分散媒を展開溶媒に溶解させて、固体状微粒子が展開溶媒中で懸濁した懸濁液を調製する。この懸濁液を第1の攪拌装置12の下流側に配置された第1のポンプ19によって本発明の最大の特徴部分である加圧濾過装置13へ供給する。
【0025】
加圧濾過装置13は、例えば図2、図3に示すように水平濾過板式加圧濾過装置として構成されている。この加圧濾過装置13は、同図に示すように、上下方向に積み重ねられた複数の矩形状の濾板131と、上下の濾板131間に挟まれた濾材132と、を備え、懸濁液を加圧濾過洗浄して熱可塑性複合組成物の固体状微粒子を複合粉体として分離回収する。また、積み重ねられた複数の濾板131は、濾材132を交換する際に互いに所定の寸法ずつ持ち上げられるようになっている。濾板131の下面には第1の凹陥部131Aが懸濁液の流路として形成され、その周囲に第1の枠体部131Bが形成されている。第1の枠体部131Bの上流側には懸濁液及び洗浄水を供給する供給部131Cが形成され、この供給部131Cに第1のポンプ19が接続されている。また、濾板131の上面には浅い第2の凹陥部が濾材132で濾過された濾液の流路として形成され、その周囲に第2の枠体部131Dが形成されている。第2の枠体部131Dの下流側には懸濁液の濾液を排出する排出部131Eが形成され、この排出部131Eが排水管20に接続されている。尚、洗浄水は、供給部131Cの上流側に接続された洗浄水源21から供給する。
【0026】
更に、濾板131には第1、第2の凹陥部の間には流路131Fが形成され、この流路131Fに必要に応じて蒸気を通して濾板131を加熱するようにしてある。第1の枠体部131Bの下流側には空気供給部131Gが形成され、空気供給部131Gに接続された空気源22から例えば乾燥空気を第1の凹陥部131Aからなる流路へ供給して濾材132上に堆積した複合粉体を乾燥するようにしてある。尚、濾材132は、上側の濾板131の第1の枠体部131Bと下側の濾板131の第2の枠体部131Dによって液密になるように挟持されていることは云うまでもない。
【0027】
次に、図3の(a)〜(d)を参照しながら加圧濾過装置13の動作について説明する。同図の(a)に示すように第1のポンプ19を介して第1の攪拌装置12から懸濁液が濾板131の供給部131Cから第1の凹陥部131Aからなる流路内に所定の圧力(例えば、0.05〜0.42MPa)で供給されると、懸濁液は濾材132によって加圧濾過されて熱可塑性複合組成物の固体状微粒子が濾材132上に複合粉体として堆積され、分散媒及び展開溶媒が濾液として排出部131Eから排水管20へ排出される。この際、複合粉体に付着した分散媒は、粘度があっても所定の圧力で展開溶媒と一緒に強制的に濾材132から押し出されて複合粉体から殆ど除去され、複合粉体に対する分散媒の含有率が例えば1%程度まで低下する。懸濁液の供給圧力が0.05MPa未満では分散媒の除去効率が低下し、0.42MPaを超えても分散媒の除去効率がそれほど変化しない。このように加圧濾過装置13を用いることで、複合粉体に付着した分散媒を十分に除去すると共に、展開溶媒の使用量を格段に少なくすることができ、しかも懸濁液から複合粉体を短時間で効率良く分離、回収することができる。
【0028】
図3の(b)に示すように濾材132上に複合粉体がケーキ状に堆積し、同図の(c)に示すようにその時の入口側と出口側の圧力差が大きくなると、その差圧に基づいて制御装置(図示せず)が濾材132の交換時期を判断する。その後、懸濁液の供給を止めると共に洗浄水を供給してケーキ層を洗浄した後、洗浄水の供給を止める。この洗浄により複合粉体に対する分散媒の含有率は0.01%程度まで低下する。そして、同図の(c)に示すように空気供給源23から空気供給部131Gを介して凹陥部内へ乾燥空気を供給してケーキ層を乾燥させる。然る後、同図の(d)に示すように各濾板131を持ち上げて開枠して濾材132を交換すると共に、濾材131で分離回収した固体状微粒子を第2の攪拌装置14へ供給する。開枠した濾板131を閉枠して上述の加圧濾過洗浄を繰り返す。
【0029】
第2の攪拌装置14は、加圧濾過装置13から供給された複合粉体と洗浄水の供給源21から供給された洗浄水とを攪拌してリスラリー化すると共に、複合粉体を洗浄することができる。そして、第1の攪拌装置14の下流側に配置された第2のポンプ23によって第1の攪拌装置14のリスラリーを分級装置15へ供給する。
【0030】
分級装置15は、例えば振動式湿式分離装置として構成され、所望の粒径の固体状微粒子からなる複合粉体を選別する。分級装置15によって得られた所望の複合粉体を含むスラリーを第3のポンプ24によって第3の攪拌装置16へ供給する。第3の攪拌装置16は、分級装置15から供給されたスラリーを攪拌して複合粉体の固体状微粒子を洗浄水内に均一に分散させる。このスラリーを第3の攪拌装置16の下流側に配置された第4のポンプ25によって遠心濾過装置17へ供給する。
【0031】
遠心濾過装置17は、例えば図4に示すようにバスケット型遠心濾過洗浄装置として構成されている。この遠心濾過装置17は、図4に示すように、内周面に濾材171Aが張設された回転バスケット171と、この回転バスケット171を回転させる回転軸172と、回転バスケット171の濾液側と連通孔173を介して連通するサイホン室174と、サイホン室174内の濾液を吸引排出する浸漬深さを調整できるサイホン管175と、回転バスケット171内にスラリーを供給する供給管176と、回転バスケット171の内周面に形成された複合粉体のケーキ層を掻き取る掻き取りナイフ177と、掻き取りナイフ177で掻き取られた複合粉体を排出する排出シュート178と、を備え、回転バスケット171を回転させて上記スラリーに所定の遠心力を付与して、上記スラリーから洗浄水を分離除去する。
【0032】
また、供給管176は洗浄水源21にも接続され、遠心濾過により濾材171Aに複合粉体のケーキ層が形成された後、洗浄水を供給してケーキ層を洗浄するようにしてある。また、サイホン管175は、排水管20に接続され、遠心濾過装置17の濾液を廃水として排出する。尚、図4において、179は、掻き取りナイフ177の濾材171に対する角度を調整する回転軸である。
【0033】
遠心濾過装置17で上記スラリーから洗浄水を分離除去する場合には、例えば回転バスケット171の回転により複合粉体に100〜1500Gの遠心力を付与することによって複合粉体に付着する殆どの水分を除去し、複合粉体のケーキ層の水分含有率を約5〜10%程度まで低下させることができる。付与する遠心力が100G未満では水分の含有率を十分に低下させることができず、次の乾燥工程での負荷が大きくなり乾燥に長時間を要し、1500Gを超えても水分の含有率に殆ど差がなくなる。しかも、遠心濾過装置17はバスケット型遠心濾過洗浄装置として構成されているため、密閉式であり、外部からの不純物の混入を防止することができ、高純度の複合粉体を得ることができる。この遠心濾過装置17において複合粉体の水分含有率を約5〜10%程度まで低下させた後、複合粉体を乾燥機18へ供給する。
【0034】
乾燥機18は、例えば図1に示すようにダブルコーン型乾燥機として構成されている。この乾燥機18は、同図に示すように、ダブルコーン型の真空引きの容器181と、その内部に設けられた解砕羽根182と、を備え、容器181には温水供給源26が接続されている。そして、乾燥機18では、容器181内で水分を含んだ複合粉体を解砕羽根182で攪拌すると共に容器181のジャケット部に供給された温水によって複合粉体を加熱して乾燥する。この乾燥機18において複合粉体は乾燥し、その水分含有率は0.5%程度まで低下する。
【0035】
以上説明したように本実施形態によれば、熱可塑性複合組成物が固体状微粒子として分散媒中に分散した混合物に展開溶媒を加えて調製された懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状粒子として分離回収する手段として、加圧下で懸濁液から熱可塑性複合組成物の固体状粒子を分離、洗浄して複合粉体を回収する加圧濾過装置13を設けたため、複合粉体から分散媒を効率良く短時間で除去することができ、延いては展開溶媒である水の使用量を格段に低減することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、加圧濾過装置13の下流側に、複合粉体を洗浄水中に分散させてリスラリー化する第2の攪拌装置14と、洗浄水中に分散した複合粉体の固体状粒子を所定の粒径範囲に分級する分級装置15と、分級された複合粉体から洗浄水を除去する遠心濾過装置17と、を備えているため、所望の粒径を有する複合粉体を効率良く洗浄し、しかも高純度の複合粉体を得ることができる。
【0037】
また、加圧濾過装置13は、水平濾過板式加圧濾過装置によって構成されているため、複合粉体から分散媒をより確実に除去することができる。また、分級装置15は、振動式分離装置によって構成されているため、所望の粒径範囲の複合粉体を確実に得ることができる。更に、遠心濾過装置17は、バスケット型遠心濾過洗浄装置によって構成されているため、外部からの不純物の混入を防止して、高純度の複合粉体をより確実に得ることができる。
【0038】
本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を適宜設計変更することができ、必要に応じて適宜の機器を付加することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、種々の物理的、化学的特性を付与した複合粉体を製造する場合に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の複合粉体の製造システムの一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す加圧濾過装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)はそれぞれ図1に示す加圧濾過装置において複合粉体となる固体状粒子を回収する工程を工程順に示す要部断面図である。
【図4】図1に示す遠心濾過装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0041】
10 複合粉体の製造システム
13 加圧濾過装置
14 第2の攪拌装置
15 分級装置
17 遠心濾過装置
【出願人】 【識別番号】302050123
【氏名又は名称】トライアル株式会社
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100096910
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 肇


【公開番号】 特開2008−1772(P2008−1772A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171206(P2006−171206)