トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 マレイミド及び/又はビニル化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物
【発明者】 【氏名】ダーシェム,スチーブン エム.

【氏名】パターソン,デニス ビー.

【氏名】オスナ,ジョセ エー.,ジュニア

【要約】 【課題】液体マレイミド化合物及び該マレイミド化合物を含む硬化性組成物を提供する。

【構成】本発明によれば、好適な取り扱いに適した粘度を有する系を与えるのに溶媒を必要としない新規な熱硬化性樹脂組成物が提供される。本発明の組成物は急速に硬化すると言う利点を有する。得られる熱硬化樹脂は、昇温に対して安定であり、可撓性に極めて優れ、吸湿性が小さく、従って各種の用途に、例えばそれら樹脂は支持体とこれに取り付けられるデバイスの両者に対して良好な接着性を示すので、接着剤用途に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式を有する液体マレイミド化合物:
【化1】



但し、上記の式において、
Rは各々独立に水素又は低級アルキルであり、
Xは、前記マレイミド化合物を液体とするために十分な長さと分枝を有する、分枝鎖のアルキル基種、アルキレン基種又はアルキレンオキシド基種であって、12乃至500個の炭素原子を有するものであり、そして
m=1、2又は3である、上記液体マレイミド化合物。
【請求項2】
以下の性状の一つあるいは両方を有する、請求項1に記載の化合物:
(i)200度以下の温度で、15秒〜2分の時間で硬化できること;及び
(ii)7.62×7.62mmのシリコンダイとAg被覆Cuリードフレームとの間に0.025mmの接着剤層として分配した時に、少なくとも52.2kgの初期接着力及び37.6kgの圧力釜処理後接着力を示し、かつ200℃において1分で硬化すること。
【請求項3】
ステアリルマレイミド、オレイルマレイミド、ベヘニルマレイミド、1,20−ビスマレイミド−10,11−ジオクチル−エイコサン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが−(CH)−CH(C17) −CH(C17) −(CH) である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
(a)請求項1〜4のいずれか1項に記載のマレイミド化合物、及び
(b)過酸化物硬化開始剤、を含む組成物。
【請求項6】
一官能性及び多官能性アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを更に含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ビニルエーテル成分、(メタ)アクリレート成分及びエポキシ成分の一つ以上を更に含む、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
架橋触媒を更に含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
カップリング剤を更に含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
充填材を更に含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
硬化した、既知少量の請求項5〜10のいずれか1項に記載の組成物で第二の物品に恒久的に接着された第一の物品から成る組立品。
【請求項12】
次の:
(a)第一の物品及び(又は)第二の物品に、請求項5〜10のいずれか1項に記載の組成物を含むダイ取付用組成物を適用する工程、
(b)該第一の物品と該第二の物品とを緊密に接触させて組立品を形成する工程であって、ここで該第一の物品と該第二の物品とは工程(a)で適用されたダイ取付用組成物で分離されている上記工程、及び
(c)工程(b)で形成された該組立品を、該ダイ取付用組成物を硬化させるのに適した条件に付する工程を含む、第一の物品を第二の物品に接着結合させる方法。
【請求項13】
ダイ取付用組成物を硬化させるのに適した条件が、15秒〜2分の時間、200℃以下の温度とすることを含む、請求項12に記載の方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は1995年6月2日に出願され、現在も出願中である米国特許出願第08/460,495号の一部継続出願である。後者の米国特許出願も1994年9月2日に出願され、現在も出願中である米国特許出願第08/300,721号の一部継続出願である。これら両米国特許出願の全体を本発明で引用し、参照するものとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は熱硬化性の樹脂組成物とその用途に関する。1つの特定の面から見ると、本発明はマレイミド樹脂、ビニル樹脂又はこれら両樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ビスマレイミド自体は熱硬化性樹脂の領域で傑出した地位を占めている。実際、幾つかのビスマレイミドが商業的に入手できる。ビスマレイミド樹脂は極めて望ましい広範囲の物理的性質を有する熱硬化重合体の製造用出発材料として使用される。特定の樹脂と処方に依存して、その樹脂は優れた貯蔵安定性、耐熱性、更には良好な接着性、電気的性質及び機械的性質を有する硬化製品を与える。従って、ビスマレイミド樹脂は成形物、耐熱性の複合材料、耐熱塗料の製造や、接着ジョイントの製造に使用されて来た。一般的には、しかし、個々の樹脂配合物においては、各種性質間で入れ換えがある。例えば、“スナップ”硬化性接着剤(即ち、≦200℃において2分以下で硬化する接着剤)の配合物では、取り扱いを容易にするのに希釈剤の添加を要しない系を使用することが望ましい。言い換えると、スナップ硬化性製品は100%反応性の材料を含有する配合物を必要とするのである。従って、取り扱いの容易さのためには、室温又はその付近で液体(即ち、低粘度材料)であるスナップ硬化性樹脂を製造することが望ましい。
【0004】
残念ながら、今日まで、急速硬化性で、かつ取り扱いが容易であり(即ち、室温又はその付近で液体)、同時に吸湿性が小さいビスマレイミド組成物を処方することが可能であることは証明されていない。従って、急速硬化性と低吸水性との組み合わせを含めて極めて望ましい性質の組み合わせを示す硬化樹脂を生成させる熱硬化性のビスマレイミド樹脂組成物を得ることが切実に求められている点である。
【0005】
上記の色々な適用タイプにビスマレイミド樹脂を使用することの1つの特定の欠点は、このような材料は室温では固体の樹脂として存在し、この樹脂が有用かつ加工可能な粘度を得るためには、液体希釈剤の添加が必要になることである。この困難はビスマレイミドの有機溶媒中での溶解性が乏しいことによって大きくなっている。この貧溶解性は、一般的には、N−メチル−2−ピロリドン又はジメチルホルムアミドのような極性希釈剤の使用を不可避なものにする。これらの希釈剤は、とりわけ、環境汚染の観点から望ましくない。従って、取り扱いを容易にするために、反応性があってもそれは少ししかない非反応性の希釈剤しか必要としないビスマレイミド樹脂を提供することが、切望されているもう1つの点である。
【0006】
希釈剤が必要であると言う問題を解決する1つのアプローチは、これまで反応性の液体希釈剤を使用することであった。例えば、単純なビスマレイミドが比較的単純なジビニルエーテルにより同時に硬化することは、この技術分野で公知である。このような希釈剤の使用は、これら材料が熱硬化性樹脂組成物中に配合されて行き、従って廃棄問題を生まないと言う点で有利である。しかし、適した液体反応性希釈剤の範囲は非常に限られている。入手できる希釈剤の多くは次のようなことにより制限される:その沸点が低いこと、従って揮発性が高いこと;そのような材料が持つ臭気;そのような材料が持つ毒性及び/又はそのような材料が誘発する皮膚刺激に関する問題;そのような材料が持つビスマレイミドを溶解する能力;そのような材料が持つ高粘度―これもビスマレイミドの溶解性を制限し、またその配合物に粘着性をほとんど又は全くもたらさない―;そのような材料が持つ貧弱な熱安定性及び/又は加水分解安定性;そのような材料の他の配合改質剤との非相溶性等々。特に、希釈剤は熱硬化性樹脂組成物の一体成分となるものであるから、それらは必然的にその性質に影響を及ぼす。従って、上記の欠点を招かず、急速硬化性と低吸水性を含めて極めて望ましい物理的性質の組み合わせを示す硬化樹脂を生成させる、ビスマレイミド樹脂と反応性希釈剤との組み合わせを提供することが、切望されているもう1つの点である。
【0007】
従って、急速硬化性と低吸水性を含めて極めて望ましい物理的性質の組み合わせを示す硬化樹脂を生成させるビスマレイミド樹脂の明白な必要が存在している。また、取り扱いを容易にするために、反応性があってもそれは少ししかない非反応性の希釈剤の添加しか必要としないビスマレイミド樹脂の更なる必要が存在している。また、公知の反応性樹脂の制限を受けず、しかも急速硬化性と低吸水性を含めて極めて望ましい物理的性質の組み合わせを示す硬化樹脂を生成させる、ビスマレイミド樹脂と反応性希釈剤との組み合わせの更にもう1つの必要が存在している。本発明はこれらの及び他の必要を満たし、更なる関連の利点を提供するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な説明)
本発明により、本発明者は、上記の必要を全て満たし、即ち急速硬化性と低吸水性を含めて極めて望ましい物理的性質の組み合わせを示し、そして取り扱いを便利にするのに適した粘度を持つ系を提供するために、希釈剤を、あってもそれは少ししか必要としない硬化樹脂を生成させる新規な熱硬化性組成物を開発した。本発明のもう1つの面において、本発明者は、公知の反応性物質の制限を受けず、しかも急速硬化性と低吸水性を含めて極めて望ましい物理的性質の組み合わせを示す硬化樹脂を生成させる、マレイミド化合物と反応性希釈剤との新規な組み合わせを開発した。得られる硬化樹脂は昇温下で安定であり、可撓性が高く、吸湿性が低く、そして良好な接着性を有する。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、一般式Iで表される新規なマレイミド組成物又はその異性体若しくは前駆体が提供される。ここで、一般式Iは次のとおりである:
【0010】
【化1】


【0011】
但し、上記の式において、
m=1、2又は3であり、
Rは各々独立に水素又は低級アルキルから選ばれ、そして
xは、次の:
骨格中に約12乃至約500個の原子を有する、高分子量の、分枝鎖のアルキル基種、アルキレン基種又はアルキレンオキシド基種、
構造式:
【0012】
【化2】


【0013】
(式中、
n=1、2又は3であり、
Arは各々モノ置換、ジ置換又はトリ置換された、3乃至10個の範囲の炭素原子を有する芳香族環又はヘテロ芳香族環であり、そして
Zは骨格中に約12乃至約500個の原子を有する、高分子量の、分枝鎖のアルキル基種、アルキレン基種又はアルキレンオキシド基種である。)
を有する芳香族基、及び
それらの混合物
から選ばれる一価又は多価のラジカルである。
【0014】
本明細書で使用される式Iの前駆体とは、本発明で意図されている環式の化学種に現場で転化され得る化合物を意味する。例えば、ジ(メタ)アクリルアミド(即ち、ジアクリルアミド又はジメタアクリルアミド)並びにモノ置換及びジ置換ジ(メタ)アクリルアミドは、重合条件下で5員環又は6員環を有する高分子鎖を形成するが、これは本発明で意図される環構造物と同等である。
【0015】
本明細書で使用される式Iの異性体とは、本明細書に記載される化学種と同じ実験式を有するが、1個又はそれ以上の結合の位置が式Iの前記構造に対して異なっている化合物を意味する。例えば、本明細書に記載されるマレイミドの、容易に製造される異性体はイタコン酸アミドである。
【0016】
式Iのマレイミド組成物の1つの明白な利点は、それら組成物が、あっても少ししか添加されない希釈剤と共に使用できると言うことである。一般的に言えば、取り扱いと処理の容易さのためには、熱硬化性樹脂組成物の粘度は約10乃至約12,000センチポイズ、好ましくは約10乃至約2,000センチポイズの範囲に入らなければならない。式Iのマレイミド組成物は、通常、希釈剤の添加を必要としないか、又は希釈剤を式Iにより意図される組成物と共に使用するときは、希釈剤は、取り扱いを容易にするのに、従来のマレイミド含有熱硬化性樹脂系に添加しなければならない量よりもはるかに少ない量しか必要とされない。式Iの好ましいマレイミド組成物に、ステアリルマレイミド、オレイルマレイミド及びベヘニルマレイミド、即ち1,20−ビスマレイミド−10,11−ジオクチル−エイコサン(これは、以下において更に詳細に議論されるように、マレイミドが製造される二量体酸を生成させるのに用いられるエン反応(ene reaction)で生成する他の異性体種と混合した状態で存在する可能性がある)等、更にはそれらの任意の2種又はそれ以上の混合物がある。
【0017】
希釈剤を使用するとき、それは、前記マレイミド組成物に対して不活性で、その組成物が十分な溶解性を持って取り扱いが容易である任意の希釈剤であることができる。代表的な不活性希釈剤に、ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;トルエン;キシレン;塩化メチレン;テトラヒドロフラン;メチルエチルケトン;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリプロピレングリコールのモノアルキル若しくはジアルキルエーテル;グリコールエーテル等がある。
【0018】
また、別に、希釈剤は、マレイミド組成物との組み合わせにおいて熱硬化性樹脂組成物を生成させる任意の反応性希釈剤であることができる。このような反応性希釈剤に、一官能性及び多官能性アルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステル、本明細書で更に詳細に説明されるビニル化合物(例えば、ビニルエーテル、ポリブタジエン等)、スチレン系単量体(即ち、ビニルベンジルクロリド類とモノ−、ジ−又はトリ官能性のヒドロキシ化合物との反応により誘導されるエーテル)等がある。
【0019】
本発明によれば、下記の一般式を有するビニル又はポリビニル化合物に相当する、特に好ましい一群の反応性希釈剤がここに見いだされた。即ち、一般式:
【0020】
【化3】


【0021】
但し、上記の式において、
qは0、1、2又は3であり、但し、qが0であるとき、Yは不飽和の基種であり、
Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、
Qは各々独立に−O−、−O−C(O) −、−C(O) −又は−C(O) −O−から選ばれ、そして
Yは次の:
飽和の、直鎖のアルキル、アルキレン若しくはアルキレンオキシド、又は分枝鎖のアルキル、アルキレン若しくはアルキレンオキシドにして、場合によってはそのアルキル鎖、アルキレン鎖若しくはアルキレンオキシド鎖に置換基として、又はそのアルキル鎖、アルキレン鎖若しくはアルキレンオキシド鎖の骨格の一部として、飽和の環式部分を含んでいるそれら直鎖又は分枝鎖のアルキル、アルキレン若しくはアルキレンオキシド(但し、そのアルキル基種、アルキレン基種若しくはアルキレンオキシド基種は少なくとも6個の炭素原子を有し、そして好ましくはそのアルキル基種、アルキレン基種若しくはアルキレンオキシド基種は約12乃至約500個の炭素原子を有する高分子量で、分枝鎖の基種である)、
構造式:
【0022】
【化4】


【0023】
(式中、Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、Arは前記で定義されたとおりであり、tは2乃至10の範囲に入り、そしてuは1、2又は3である。)
を有する芳香族部分、
構造式:
【0024】
【化5】


【0025】
(式中、Rは各々独立に前記で定義したとおりであり、R’は各々独立に水素、低級アルキル又はアリールから選ばれ、m’は1乃至10の範囲に入り、n’は1乃至10の範囲に入り、そしてq’は1乃至50の範囲に入る。)
を有するポリシロキサン、
構造式:
【0026】
[化6]
−[(CR−O−]q’−(CR
【0027】
(式中、Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、rは1乃至10の範囲に入り、sは1乃至10の範囲に入り、そしてq’は前記で定義されたとおりである。)
を有するポリアルキレンオキシド、並びに
それらの任意の2種又はそれ以上の混合物
から選ばれる。
【0028】
上記の一般構造式が包含する代表的なビニル又はポリビニル化合物に次のものがある:ステアリルビニルエーテル、ベヘニルビニルエーテル、エイコシルビニルエーテル、イソエイコシルビニルエーテル、イソテトラコシルビニルエーテル、ポリ(テトラヒドロフラン)ジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリス−2,4,6−(1−ビニルオキシブタン−4−)オキシ−1,3,5−トリアジン、ビス−1,3−(1−ビニルオキシブタン−4−)オキシカルボニル−ベンゼン[また、ビス(4−ビニルオキシブチル)イソフタレートとも称される;NJ州、モリスタウン(Morristown)のアライド−シグナル社(Allied-Signal Inc.)からベクトマーTM(VectomerTM)4010なる商標名で入手できる]、低級ビニルエーテルと高分子量のジ−アルコール(例えば、二量体酸から上記のようにして製造されるα,ω−ジヒドロキシ炭化水素;このような二量体アルコールから製造することができる代表的なジビニルエーテルは10,11−ジオクチルエイコサン−1,20−ジビニルエーテルであって、二量体酸を生成させるために使用されるエン反応で生成する他の異性体種と混合した状態で存在している可能性があるだろう)との間の、適当なパラジウム触媒の存在下におけるビニル交換反応(transvinylation )で製造されるジビニルエーテル(例えば、実施例9を参照されたい)、ポリブタジエン[例えば、1,2−ポリブタジエン(シス−又はトランス−)、1,4−ポリブタジエン(シス−又はトランス−)又はそれらの混合物]、所望によってハロゲン化されたα,ω−ジ置換ポリブタジエン、所望によってハロゲン化されたα,ω−ジ置換ポリイソプレン、所望によってハロゲン化されたα,ω−ジ置換ポリ[(1−エチル)−1,2−エタン]等。好ましいジビニル樹脂に次のものがある:ステアリルビニルエーテル、ベヘニルビニルエーテル、エイコシルビニルエーテル、イソエイコシルビニルエーテル、ポリ(テトラヒドロフラン)ジビニルエーテル、低級ビニルエーテルと高分子量のジ−アルコール[例えば、二量体酸から上記のようにして製造されるα,ω−ジヒドロキシ炭化水素;このような二量体アルコールから製造することができる代表的なジビニルエーテルは10,11−ジオクチルエイコサン−1,20−ジビニルエーテルであって、二量体酸を生成させるために使用されるエン反応で生成する他の異性体種と混合した状態で存在している可能性があるだろう)との間の、適当なパラジウム触媒の存在下におけるビニル交換反応で製造されるジビニルエーテル(例えば、実施例9を参照されたい)等。好ましいポリブタジエンは低粘度の液体ポリブタジエンである。
【0029】
更に、本発明のもう1つの態様によれば、−Q−が−C(O) −O−であり、そしてYが約12乃至約500個の炭素原子を有する高分子量の、分枝鎖のアルキレン基種である式IIに相当するジビニル化合物が、ビスマレイミド樹脂が存在しなくても有用な熱硬化性樹脂組成物であることが見いだされた。これらのジビニルエーテル樹脂は、適当な量の少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤及び少なくとも1種のカップリング剤と混合されると、そのビニルエーテル樹脂単独で、速い硬化速度と低吸水性を含めて優れた物理的性質を示す熱硬化性樹脂組成物を形成することができる。
【0030】
本発明の更にもう1つの態様によれば、式IIのビニル化合物と下記の一般式に相当するマレイミドとの混合物(一般に、マレイミド1当量当たり約0.01乃至約10当量のビニル化合物を含有するが、ビニル化合物がモノビニル−又はポリビニルエーテルである場合は約0.01乃至約1当量の範囲が好ましい)から製造される熱硬化性樹脂組成物が提供される。即ち、構造式:
【0031】
【化7】


【0032】
但し、上記の式において、
mは前記で定義されたとおりであり、
Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、そして
x’は、次の:
飽和の、直鎖のアルキル若しくはアルキレン、又は分枝鎖のアルキル若しくはアルキレンにして、場合によってはそのアルキル鎖若しくはアルキレン鎖に置換基として、又はそのアルキル鎖若しくはアルキレン鎖の骨格の一部として、飽和の環式部分を含んでいるそれら直鎖又は分枝鎖のアルキル若しくはアルキレン(但し、そのアルキル基種若しくはアルキレン基種は少なくとも6個の炭素原子を有し、そして、好ましくは、それは約12乃至約500個の炭素原子を有する高分子量の、分枝鎖の基種である)、
構造式:
【0033】
【化8】


【0034】
{式中、
nは前記で定義されたとおりであり、Arは前記で定義されたとおりであり、そしてZ’は、次の:
飽和の、直鎖のアルキル若しくはアルキレン又は分枝鎖のアルキル若しくはアルキレンにして、場合によってはそのアルキル鎖若しくはアルキレン鎖に置換基として、又はそのアルキル鎖若しくはアルキレン鎖の骨格の一部として、飽和の環式部分を含んでいるそれら直鎖又は分枝鎖のアルキル若しくはアルキレン(但し、これらの基種は少なくとも6個の炭素原子を有し、そして、好ましくは、それら基種はその骨格の一部として約12乃至約500個の原子を有する高分子量の、分枝鎖の基種である)、
構造式:
【0035】
【化9】


【0036】
(式中、R及びR’は各々独立に前記で定義されたとおりであり、m’、n’及びqは各々前記で定義されたとおりである。)
を有するシロキサン、
構造式:
【0037】
[化10]
−[(CR−O−]q’−(CR
【0038】
(式中、Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、そしてr、s及びq’は各々前記で定義されたとおりである。)
を有するポリアルキレンオキシド
から選ばれる一価又は多価のラジカルである。}
を有する芳香族基、
構造式:
【0039】
【化11】


【0040】
(式中、Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、Arは前記で定義されたとおりであり、そしてt及びuは前記で定義されたとおりである。)
を有する芳香族部分、
構造式:
【0041】
【化12】


【0042】
(式中、R及びR’は各々独立に前記で定義されたとおりであり、そしてm’、n’及びq’は各々前記で定義されたとおりである。)
を有するシロキサン、
構造式:
【0043】
[化13]
−[(CR−O−]q’−(CR
【0044】
(式中、Rは各々独立に前記で定義されたとおりであり、そしてr、s及びq’は各々前記で定義されたとおりである。)
を有するポリアルキレンオキシド、並びに
それらの任意の2種又はそれ以上の混合物
から選ばれる。
【0045】
このような混合物は速い硬化速度と低吸水性の両特性を含めて極めて望ましい物理的性質の組み合わせを有している。
【0046】
式IIIが包含する代表的なマレイミドに無水マレイン酸と二量体アミド(即ち、モノ−、ジ−及びトリ−官能性の、オリゴマーとしての脂肪族カルボン酸の混合物である二量体酸から製造されるα,ω−ジアミノ炭化水素;二量体酸は、一般に、オレイン酸、リノール酸等のような不飽和脂肪酸の熱反応で製造され、その熱反応ではエン反応が誘起され、諸成分の上記混合物がもたらされる)との反応により製造されるビスマレイミドがある。このような二量体アミドから製造できる代表的なビスマレイミドは1,20−ビスマレイミド−10,11−ジオクチル−エイコサンで、これは二量体酸を製造するのに用いられるエン反応で生成する他の異性体種と混合した状態で存在している可能性があるだろう。本発明の実施で使用が意図される他のマレイミドに、α,ω−アミノプロピル末端基付きポリジメチルシロキサン類[例えば、NJ州、ピスカタウエイ(Piscataway)のヒュエルス アメリカ社(Huls America)が販売する“PS510”]、ポリオキシプロピレンアミン類[例えば、TX州、ヒュウストン(Houston )のテキサコ ケミカル社(Texako Chemical Company )が販売する“D−230”、“D−400”、“D−2000”及び“T−403”]、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート類[例えば、PA州、アレンタウン(Allentown )のエア プロダクツ社(Air Products)が“バーサリンク(Versalink )”、例えば“バーサリンク P−650”なる商標名で販売するそのような製品群]等がある。式IIIの好ましいマレイミド組成物に、ステアリルマレイミド、オレイルマレイミド、ベヘニルマレイミド、1,20−ビスマレイミド−10,11−ジオクチル−エイコサン(これは、本明細書の他の所で更に詳しく議論されるように、そのマレイミドが製造される二量体酸を製造するのに用いられるエン反応で生成する他の異性体種と混合した状態で存在している可能性がある)等、更にはこれらの任意の2種又はそれ以上の混合物がある。
【0047】
本発明の好ましい態様では、ビスマレイミドとジビニル化合物との混合物が用いられる場合、(そのビスマレイミドの)X’か、又は(そのジビニル化合物の)Yのいずれかは芳香族であることができるが、同じ処方物においてX’とYの両者が同時に芳香族であることはない。更に、本発明の好ましい態様において、ビスマレイミドとジビニル化合物との混合物が用いられる場合、X’又はYの少なくとも一方は約12乃至約500個の炭素原子を有する高分子量の、分枝鎖のアルキレン基種である。
【0048】
マレイミドは当業者に周知の技術を用いて製造することができる。マレイミドの最も直接的な製造は、対応する第一アミンと無水マレイン酸との反応によるマレインアミド酸の形成と、それに続くそのマレインアミド酸の無水酢酸による脱水閉環(dehydrative closure )を伴うものである。複雑さの1つの主たるものは、その閉環の一部又は全部がマレイミドには至らず、イソマレイミドに至ってしまうことである。本質的には、このイソマレイミドが支配的な、排他的でさえある動力学的生成物であり、これに対して所望とされるマレイミドは熱力学的生成物である。このイソマレイミドのマレイミドへの転化はゆっくりした工程であるのが効果的であり、そして、特に脂肪族アミドの場合は、その転化に収率を下げる可能性がある条件が余儀なく必要となるだろう。それにもかかわらず、長い分枝鎖の炭化水素[例えば、−(CH−CH(C17) −CH(C17) −(CH) −]によって与えられるもののような安定な骨格の場合、単純な無水酢酸法がコスト的に最も効果的な方法であると思われる。勿論、他の種々の方法も使用できる。
【0049】
例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)がマレインアミド酸を無水酢酸を用いて行うよりはるかに容易に閉環する。DCCによれば、その生成物は専らイソマレイミドである。しかし、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)のような適当な異性化剤の存在下では、その生成物は専らマレイミドである。HOBtの機能は、マレイミドに恐らく優先的に閉環させる(DCCの作用により形成される)マレインアミド酸のHOBtエステルを介してその閉環を進行させ得ることがあるだろう。しかし、このようなエステルが何故そのような優先的反応性を示すかは明確ではない。いずれにしても、10,11−ジオクチルエイコサンのビスマレインアミド酸と、無水酢酸かEEDQ(2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン)のいずれかとの反応で生成するイソイミドが触媒量のHOBtによりビスマレイミドに異性化されることが本発明で証明される。3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オンが、この異性化を遂行するに当たってHOBtと少なくとも同じくらい有効であるように思われ、これに対してN−ヒドロキシスクシンイミドはそれよりは効果が実質的に小さい。
【0050】
同様に、HOBtのような異性化剤はイソイミドを増加させてアミド酸エステルを生成させる。もしこのことがイミドに閉環させる何らかの傾向を示すとするならば(そのようになる強い傾向は、可能性としては、前記よりはるかに小さいが)、それによってイソイミドおよびイミドを相互変換するルートができ、最後には熱力学的生成物であるイミドが支配的となるであろう。従って、もしDCCによる反応で形成されるエステルの初めの閉環が何らかのイソイミドを生成させるとするならば、或いは何らかのイソイミドが前記酸の直接的な閉環で生成せしめられるとするならば、この状況は、次に、異性化剤としての活性エステルアルコールの作用によるそのイソイミドのイミドへの転化によって“正される”ことになる。
【0051】
マレイミド、特にビスマレイミドで遭遇する1つの問題はオリゴマー化の傾向である。このオリゴマー化はマレイミドの合成で生ずる邪魔な主たる反応であって、使用時に問題となる可能性がある。ラジカル禁止剤が前記合成の際にこの潜在的問題を幾らかは軽減し得るが、これら禁止剤は使用時に問題となるだろう。幸い、オリゴマーは生成物をオリゴマーが本質的に溶けないペンタン、ヘキサン又は石油エーテルの中に抽出してやることによって除去することができる。
【0052】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、また、例えば遊離ラジカル触媒、アニオン性触媒等のような適当な触媒も含有している。
【0053】
本発明の組成物の架橋を遊離ラジカル触媒で促進する場合、一般に、0.2乃至3重量%(組成物中の有機物質、即ち充填材が存在しない状態のその有機物質の総重量基準)の範囲の少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤が用いられる。本明細書で使用される“遊離ラジカル開始剤”なる用語は、十分なエネルギー(例えば、光、熱等)に暴露されたとき、帯電していないが、各々少なくとも1個の不対電子を有している2つの部分に分解する全ての化学種を意味する。本発明の実施に使用するための遊離ラジカル開始剤としては、約70乃至180℃の範囲の温度で分解する(即ち、約10時間の範囲の半減期を有する)化合物が好ましい。
【0054】
本発明の実施における使用に意図される代表的な遊離ラジカル開始剤に、過酸化物[例えば、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、2−ブタノンペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ビス(tert−ブチル ペルオキシイソプロピル)ベンゼン及びtert−ブチルヒドロペルオキシド]、アゾ化合物[例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)]等がある。ペルオキシド系開始剤が、分解するときにガスの放出を伴わずに遊離ラジカルとなるので、現在のところ好ましい。しかし、当業者であれば認められるように、ある特定の接着剤用途では、その接着剤の硬化中にガス(例えば、N)の放出があっても、それは真に心配なものではないだろう。一般的に言えば、約0.2乃至3重量%(有機相の総重量基準)の範囲の少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤が用いられ、この場合約0.5乃至1.5重量%の範囲が好ましい。
【0055】
本発明の組成物の架橋をアニオン性触媒で促進する場合、一般に、0.1乃至約5重量%(組成物中の有機物質、即ち充填材が存在しない状態のその有機物質の総重量基準)の範囲の少なくとも1種のアニオン性種が用いられる。本明細書で使用される“アニオン性種”なる用語は、ルイス塩基として作用することができる任意の化学種を意味する。
【0056】
本発明の実施における使用に意図される代表的な遊離アニオン性種に次のものがある:イミダゾール類[例えば、イミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリシアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−ベンジル−1,4−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、イミダゾール類の塩(例えば、トリメリット酸又はイソ−シアヌル酸のイミダゾール塩)等]、第三アミン類[例えば、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジメチル−1−ヘキサデシルアミン、N,N−ジエチル−1−オクタデシルアミン、N,N−ジエチル−1−ヘキサデシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノール、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,20−ジアミノ−(10,11−ジオクチル)エイコサン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N−トリメチル−N’−オクタデシル−1,2−ジアミノエタン、N−ヘキサデシルピペリジン、N−オクタデシルピペリジン、アジリジン類(例えば、トリメチロールプロパン トリス(2−メチル−1−アジリジン プロピオネート)等]及び同様のアニオン性化学種。一般的に言えば、約0.1乃至約10重量%(有機相の総重量基準)の範囲の少なくとも1種のアニオン性種が用いられ、この場合約0.5乃至約5重量%の範囲が好ましい。
【0057】
アニオン系で硬化される樹脂配合物は、場合によっては、得られる配合物の硬化速度を加速するのに役立つ少なくとも1種のグリシジルエーテルエポキシ化合物を触媒として有効な量で更に含有していることができる。脂肪族又は脂環式のエポキシ化合物はこの目的に効果がないことが判明している。
【0058】
少なくとも1種のグリシジルエーテルエポキシ化合物がアニオン系で硬化される樹脂配合物に含められるとき、このエポキシ化合物は、一般に、0.5乃至25重量%(組成物中の有機物質、即ち充填材が存在しない状態のその有機物質の総重量基準)の範囲で用いられる。本発明で用いられる“グリシジルエーテルエポキシ化合物”なる用語は、1個又はそれ以上のエポキシド官能基を含んでいる任意のグリシジルエーテルエポキシ化合物を意味する。
【0059】
本発明の実施における使用に意図される代表的なグリシジルエーテルエポキシ化合物に、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、2−エチルヘキサノールのグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエーテル、トリグリシジルアミノフェノール、グリセロールのトリグリシジルエーテル、ポリグリシレート化ノボラック類等がある。一般的に言えば、約0.5乃至約25重量%(有機相の総重量基準)の範囲の少なくとも1種のグリシジルエーテルエポキシ化合物が用いられ、この場合約1乃至約5重量%の範囲が好ましい。
【0060】
本発明の更にもう1つの態様によれば、本発明の配合物の硬化に用いられる触媒系にフェノール類、ビスフェノール類、アルコール類又はポリオール類を加えることにより、速硬化性に関して更なる相乗効果を達成することができる。任意成分として更に添加されるこのような添加剤の例に、ジアリルビスフェノールA、オクタデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリメチルエタン、10,11−ジオクチル−1,20−エイコソンジオール等がある。このような添加剤を用いる場合、この添加剤は約0.5乃至約5重量%(有機相の総重量基準)の範囲の量で存在する。
【0061】
本発明の熱硬化性組成物は、それらを“スナップ”硬化性接着剤の製造に使用するのに特に適したものにする種々の物理的性質を有している。このような接着剤は、例えばダイ取付用途において有用である。接着剤用途に用いられる場合、その配合物にカップリング剤(1種又は複数種)を加えることが望ましい。
【0062】
本発明で用いられる“カップリング剤”なる用語は、鉱物質の表面に結合することができ、かつ接着剤組成物と相互作用できるようにするように重合反応性の官能基(1個又は複数個)も含んでいる化学種を意味する。カップリング剤は、従って、接着剤組成物のそれが塗布される基材に対する結合を助長する。
【0063】
本発明の実施における使用に意図される代表的なカップリング剤に、珪酸エステル類、金属アクリル酸塩(例えば、メタクリル酸アルミニウム)、チタネート類(例えば、チタン メタクリルオキシエチルアセトアセテート・トリイソプロポキシド)、又は共重合性基とキレート性配位子とを含む化合物(例えば、ホスフィン、メルカプタン、アセトアセテート等)がある。一般的に言えば、約0.1乃至10重量%(有機相の総重量基準)の範囲の少なくとも1種のカップリング剤が用いられ、この場合約0.5乃至2重量%の範囲が好ましい。
【0064】
現在のところ好ましいカップリング剤は、共重合性官能基(例えば、ビニル部位、アルリレート部位、メタクリレート部位、スチレン部位、シクロペンタジエン部位等)と、更には珪酸エステル官能基を共に含むものである。カップリング剤の珪酸エステル部分は基材の鉱物質表面に存在する金属ヒドロキシドと縮合することができ、一方共重合性官能基は本発明接着剤組成物の他の反応性成分と共重合することができる。本発明の実施における使用に意図される特に好ましいカップリング剤は、ポリ(メトキシビニルシロキサン)のようなオリゴマー性の珪酸塩系カップリング剤である。
【0065】
カップリング剤の本発明接着剤組成物への添入に加えて、数パーセントの前駆体ビスマレインアミド酸を随意に添入することが接着性を著しく高めることも見いだされている。実際、水に激しく曝露した後でも良好な接着が保持される。
【0066】
本発明の接着剤組成物は、商業的用途で成功するために決定的に重要であると考えられる、次の物理的性質の組み合わせを有している:
1.接着剤組成物は良好な取り扱い特性を有し、この組成物に不活性希釈剤を加える必要は、それがあっても小さい(即ち、この樹脂組成物は十分低い粘度を有する100%反応性の系をなしている);
2.接着剤組成物は急速(“スナップ" )硬化することができる、即ち≦200℃で2分以下(好ましくは、15秒ほどの短時間)で硬化することができる;
3.得られる熱硬化物は少なくとも250℃まで安定である;ここで“安定”とは、その熱硬化物が、熱重量分析(TGA)で空気中において10℃/分の温度勾配に付されたとき、250℃での重量減が1%未満であると定義されるものである;
4.得られる熱硬化物は十分に可撓性であって(例えば、≦2ミルの硬化接着剤層を使用して銅リードフレームに取り付けた300平方ミルのシリコーン製ダイの曲率半径は>1.0メートルである)、それは大きな応力が掛かる各種用途で使用することを可能にする;
5.得られる熱硬化物は低吸湿性(非気密性のパッケージ中)を示す;及び
6.得られる熱硬化物は湿分に激しく曝露した後でも基材に対して良好な接着性を示す。
【0067】
本発明の接着剤組成物は、約10乃至80重量%の範囲の前記熱硬化性樹脂組成物と約20乃至90重量%の範囲の充填材から成るダイ取付(die-attach)用ペーストの製造に用いることができる。本発明の実施における使用に意図される充填材は導電性及び/又は熱伝導性であることができ、及び/又は、主として、得られる組成物のレオロジー特性を修正する働きをする充填材であることができる。本発明の実施に際して使用できる適した導電性充填材の例に、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、パラジウム、金、グラファイト、金属被覆グラファイト(例えば、ニッケル被覆グラファイト、銀被覆グラファイト等)及び同様の充填材がある。本発明の実施に際して使用できる適した熱伝導性充填材の例に、グラファイト、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化ホウ素、ダイヤモンドダスト、アルミナ等がある。主としてレオロジー特性を修正する働きをする化合物に、煙霧シリカ、アルミナ、チタニア、高表面積のスメクタイトクレー等がある。
【0068】
本発明の更にもう1つの態様によれば、前記の接着剤組成物及び/又はダイ取付用組成物を一緒に使用して接着された構成部材の集成体が提供される。しかして、例えば、硬化した、既知少量の前記接着剤組成物で第二の物品に恒久的に接着された第一の物品から成る集成体が提供される。本発明の組成物を使用している集成体に意図される物品に、メモリーデバイス、ASICデバイス、マイクロプロセッサー、フラッシュメモリーデバイス等がある。
【0069】
また、硬化した、既知少量の前記ダイ取付用ペーストで支持体に恒久的に接着されたミクロ電子デバイスを含んで成る集成体も意図される。本発明のダイ取付用ペーストと共に使用するのに意図されるミクロ電子デバイスに、銅リードフレーム、合金42リードフレーム、シリコンダイス、ガリウム・ヒ素ダイス、ゲルマニウムダイス等がある。
【0070】
本発明の更にもう1つの態様によれば、前記集成体を製造するために2つの構成部品を接着結合する方法が提供される。しかして、例えば、次の:
(a)第一の物品に前記接着剤組成物を適用し、
(b)その第一物品と第二の物品とを緊密に接触させて集成体を形成し、ここでその第一物品と第二物品とは工程(a)で適用された接着剤組成物だけで分離されており、その後に
(c)その集成体をその接着剤組成物を硬化させるのに適した条件に付す
ことから成る方法を用いて第一物品を第二物品に接着結合することができる。
【0071】
同様に、次の:
(a)支持体及び/又はミクロ電子デバイスに前記ダイ取付用ペーストを適用し、
(b)その支持体とデバイスとを緊密に接触させて集成体を形成し、ここでその支持体とデバイスとは工程(a)で適用されたダイ取付用組成物だけで分離されており、その後に
(c)その集成体をダイ取付用組成物を硬化させるのに適した条件に付す
ことから成る方法を用いて、ミクロ電子デバイスを支持体に接着結合することができる。
【0072】
本発明のダイ取付用組成物を硬化させるのに適した条件は、上記の集成体を約200℃以下の温度に約0.25乃至2分間付すことから成る。この急速、短時間の加熱は色々なやり方で、例えばインラインの加熱されたレール、ベルト式炉又は同様の手段で遂行することができる。
【0073】
本発明の更に他の態様によれば、ジアミンからビスマレイミドを製造するための方法が提供される。本発明のこの合成法は、次の:
ジアミンを無水マレイン酸の溶液に加え、
ジアミンの添加が終わったらその溶液に無水酢酸を加え、次いで得られた混合物を一晩撹拌し、その後に
得られた反応混合物を適当な異性化剤で処理する
ことから成る。
【0074】
本発明の実施における使用に意図されるジアミンに次のものがある:飽和及び不飽和の二量体ジアミン類[例えば、PA州、アンブラー(Ambler)のヘンケル社(Henkel Corporation)が“バーサミン(Versamine )552”及び“バーサミン551”なる商標名で販売する二量体アミン]、α,ω−アミノプロピル末端基付きポリジメチルシロキサン類[例えば、NJ州、ピスカタウエイのヒュエルス アメリカ社が販売する“PS510”]、ポリオキシプロピレンアミン類[例えば、TX州、ヒューストンのテキサコ ケミカル社が販売する“D−230”、“D−400”、“D−2000”及び“T−403”]、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート[例えば、PA州、アレンタウンのエア プロダクツ社が“バーサリンク”、例えば“バーサリンクP−650”なる商標名で販売するそのような製品群]等。ジアミンと無水マレイン酸は、一般に、大体等モル量で混合されるが、無水マレイン酸が僅かに過剰である方が好ましい。本発明の実施における使用に意図される異性化剤に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド等がある。
【0075】
ここで、本発明を次の非限定実施例を参照して更に詳細に説明する。
【0076】
実施例1
ビスマレインアミド酸を無水酢酸により閉環してイソマレイミドとマレイミドとの混合物となし、次いでそのイソマレイミドを緩和な条件下で1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)によりマレイミドに異性化することによる、水素化二量体酸ジアミン(ヘンケル社のバーサミン552)のビスマレイミドの製造。バーサミン552・30.0gの無水のテトラヒドロフラン(THF)90mL中溶液を、無水マレイン酸12.5gのTHF60mL中溶液にゆっくり加えた。添加1時間後に、無水酢酸125mLを加え、その反応混合物をアルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。
【0077】
フーリエ変換赤外減衰全反射法(FTIR ATR)スペクトルは、上記アミド酸が上記イソイミドに実質的に転化され、アミドはあってもほんの少ししか生成してないことを示した。その反応混合物を還流させ、その還流温度に3時間保持した。FTIRは、このとき、イソイミドとマレイミドとの混合物であって、前者が、明らかに(未較正スペクトル)、主成分であることを示した。この反応混合物にベンゾキノン0.1gを加え、そしてその溶媒/無水酢酸/酢酸を30℃、真空(最終的には0.1mmHg)下においてストリッピングして除去した。得られた残分を新しいTHF75mLに吸収させ、そしてHOBt(HO<5%の物質)を加え、室温で溶解させた。
【0078】
添加1時間後のFTIRスペクトルは、その混合物中のイソマレイミドが大部分、多分完全に消費されたことを示した。そのほとんどはマレインアミド酸HOBtエステルに転化されているようであった。この反応混合物を一晩撹拌した。FTIRはそのときマレイミドに本質的に完全に転化されたことを示した。
その溶媒を30℃でストリッピングして除去し、その残分を数百mLのペンタンで2回抽出した。それらのペンタン部分を合わせ、それをドライアイス/イソプロピルアルコール浴中で冷却すると、白色の固体が晶出した。(この固体は若干のフリーHOBtを含むHOBtの酢酸塩であると思われる。)このペンタン懸濁液を冷時濾過し、室温まで暖め、無水のMgSO上で乾燥し、そして溶媒をストリッピングして(FTIRで測定して)高純度の生成物16.9g(43.8%)を得た。
【0079】
実施例2
各々THF40mL中のバーサミン552・10.0gと無水マレイン酸3.9gからビスマレインアミド酸を生成させた。2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)9.3gを加えた。FTIRでモニターすると、イソマレイミドに本質的に完全に転化させるのに2日で十分であることが示された。この反応混合物にHOBt4.9gを溶解した。FTIRでモニターすると、そのイソイミドを全てイミドに転化させるのに6時間で十分であることが示された。その溶媒をストリッピングして除去し、その残分をペンタンで抽出すると、生成物のビスマレイミドが6.0g生成していた。この生成物はEEDQからのキノリンで汚染されたいた。
【0080】
実施例3
E.C.マーチン(E. C. Martin)及びA.A.デ・フスコ(A. A. DeFusco)は、米国法定発明登録第H424号明細書(1988年2月2日)において、HOBtとDCCによる“2量体ジアミン”(供給源は示されていないが、オレフィン性不飽和が取り除かれていない物質である)からのビスマレイミドの製造を教示している。但し、報告されたマレイミドの最高収率は50%である。しかして、マーチンとフスコの方法に従って、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を使用してバーサミン552(ヘンケル社)のビスマレイミドを製造した。即ち、バーサミン552・50.0g(0.179アミン当量)の無水テトラヒドロフラン(THF)60mL中溶液を、アルゴン雰囲気下で無水マレイン酸20.2g(0.206モル)のTHF300mL中溶液にゆっくり加えた。添加完了後に、この反応混合物を一時間撹拌し、次いでHOBt(H0<5%)25.2g(0.186モル)をその中に溶解させた。この撹拌された反応混合物を氷浴中で冷却し、そして溶融したDCCを合計49.2g(0.238モル)まで少しずつ整然と加えた。この添加の完了後に、その反応混合物を氷浴中で更に1時間撹拌した。次いで、氷浴を取り外し、その撹拌された反応混合物を一晩かけて室温まで暖めた。この反応混合物を濾過し、得られた固体をTHFで洗浄した。THF相を全部合わせ、これにメトキシフェノール0.2gを加え、そしてTHFを回転蒸発器で30℃においてストリッピングして除去した。濃厚な半固体の残分が得られた。この残分をヘキサンで抽出し、そのヘキサンをストリッピングすると、ある種の固体不純物がなお含まれている生成物が40.7g(63.3%)得られた。この物質をペンタンで抽出すると、その固体不純物はきれいに分離された。そのペンタン抽出物をMgSO上で乾燥し、その溶媒をストリッピングすると、予想されたFTIRスペクトルを有する、淡く着色した、低粘度の物質が32.1g(49.9%)得られた。
【0081】
実施例3A
実施例3に記載した方法と同様の方法を用いてオレイルアミンのモノマレイミドを製造した。オレイルアミンはアルドリッチ ケミカル社(Aldrich Chemical Company )[WI州、ミルウォーキー(Milwaukee )]から入手した。このアミン(40.0グラム、150ミリ当量)を無水のTHF100mLに溶解した。この溶液を無水THF100mLに溶解した無水マレイン酸(14.7g、150ミリ当量)を含有する機械的に撹拌されている溶液に(アルゴンパージ下で)ゆっくり加えた。この添加が完了した後、撹拌を更に1時間続けた。この撹拌された反応混合物を次に外部氷浴により冷却し、そして無水THF30mLに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)30.8g(149ミリ当量)を加えた。この冷却された混合物を更に1時間撹拌し、その後1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)19.7g(146ミリ当量)を加えた。この混合物を、撹拌を更に16時間続けながら、室温まで加温した。その反応混合物を濾過し、その濾過残分を追加のTHFで洗浄した。そのTHF溶液を合わせ、それを、十分な機械的真空下での圧力が≦0.5トルになるまで、回転蒸発器で40℃においてストリッピングした。その粘稠な残分を次にペンタンに溶解した。このペンタン溶液を50mLずつのメタノール水溶液(MeOH70%)で5回抽出した。その洗浄されたペンタン溶液部分に硫酸マグネシウムを加え、冷蔵庫の中で一晩静置して置いた。その溶液を翌朝に室温まで暖め、濾過し、そして溶媒を回転蒸発器でストリッピングして除去し(水アスピレーターを用い、次いで圧力が1時間の間≦0.5トルのままになっているまで機械的に十分な真空にした)。回収された生成物は淡褐色、低粘度の液体で、予想された構造を予言している思われるFTIRスペクトルに一致するFTIRスペクトルを有していた。
【0082】
実施例3B
オレイン酸に由来する2量体ジオールから次のようにしてジアクリレートを製造した。このジオールはユニケマ ノース アメリカ社(Unichema North America )[IL州、シカゴ(Chicago )]からプリポール(Pripol)2033なる名称で入手したものである。プリポール2033約53.8グラムとトリエチルアミン(WI州、ミルウォーキーのアルドリッチ ケミカル社から入手した試薬級トリエチルアミン)22.3グラムを乾燥アセトン136.0グラムに溶解した。この溶液を氷浴中で、そのフラスコの内容物をゆっくり流れているアルゴンによるパージで覆いながら、5℃まで冷却した。その溶液を機械的撹拌に付し、その間に2時間にわたりアクロイル(acroyl)クロリド(乾燥アセトン107.3グラムに溶解したアクロイルクロリド18.1グラム)を滴下した。撹拌を更に1時間続け、そしてその氷浴を室温まで暖めた。この最終生成物にメトキシヒドロキノン(禁止剤)を約7.1mg加え、そしてそのアセトンを回転蒸発器で除去した。次いで、その生成物を塩化メチレンに溶解し、この溶液を次に7%重炭酸ナトリウム水溶液で3回、18メグオームの水で更に2回抽出した。その溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、次いで濾過した。最後に、溶媒の塩化メチレンを回転蒸発器により十分な機械的真空下で除去した。この生成物のFTIR分析は、波数1727の回りに特性エステル吸収を示した。最終収率は(出発原料のプリポール2033に対して)71%であった。
【0083】
実施例4
この実施例はHOBtの代わりに3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン(HOBtCO)を用いることにより得られる収率の改善を説明するものである。バーサミン552・144.0gの乾燥ジクロロメタン(CHCl)100mL中溶液を、無水マレイン酸50.4gを氷浴中で冷却された乾燥CHCl・300mLに溶かした撹拌されている溶液に1時間にわたり滴下する(乾燥アルゴン雰囲気)ことにより、バーサミン552のビスマレインアミド酸を製造した。その添加の終点で氷浴を取り外し、その反応混合物を更に1時間撹拌した。次いで、その氷浴を適所に戻し、そして3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン84.0g(100%)を加えた。この冷却された反応混合物に、次に、撹拌しながら、DCC106.1gのCHCl・100mL中溶液を30分にわたり添加した。添加完了後、その氷浴を取り外し、その反応混合物を室温で一晩撹拌した。その反応混合物を吸引濾過し、集められた固体を100mLずつのCHClで2回洗浄し、それを原CHCl濾液と合わせた。そのCHClを35〜40℃において、そして最後にはオイルポンプによる真空(0.1トル)下で、回転蒸発器によりストリッピングした。得られた残分を500mLずつのペンタンで2回、1000mLのペンタンで1回抽出し、その全てを合わせ、そして回転蒸発器でストリッピングした。原残分を、最後に合計4リットルとなる更なるペンタンで抽出した。500mLの容積まで濃縮した後、その溶液をフリーザー中で一晩貯蔵した。それを室温まで暖め、細かい濾紙を通して吸引濾過し、そして残りのペンタンをストリッピングして前記ビスマレイミドを145.0g(80.0%)得た。
【0084】
実施例5
この実施例は、当量よりはるかに少ない量の共反応体化合物・3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン(HOBtCO)を用いると、非常に満足できる収率が得られること、及びそれはDCCの添加後に加えることができることを証明するものである。バーサミン552のビスマレインアミド酸を、バーサミン552・136.5gと無水マレイン酸46.3gから、溶媒がCHClではなく、THFであったこと以外は実施例4におけるようにして生成させた。その冷却された(氷浴)反応混合物にDCCを100.5g含有するDCCのTHF溶液を加えた。FTIRスペクトルが、そのアミド酸がイソイミドに完全に転化されたことを示したら、HOBtCO・12g(15%)を加え、その反応混合物を45℃で4時間保持した。この時間は、FTIRで調べて、そのイソイミドをイミドに完全に転化するのに十分なものであった。前の実施例におけるように処理すると、収量122g(70%)のビスマレイミドが得られた。
【0085】
実施例6
この実施例は、共反応体化合物として1−ヒドロキシ−7−アゾ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOAt)を、この場合も低レベルで使用することを説明するものである。前の実施例に記載した方法を用いるが、20%のHOAt、51.5gのバーサミン552を使用すると、BMIが48.8g(70.0%)得られた。反応生成物からのHOAtの分離は容易であり、4.4gが回収された。
【0086】
実施例7
次の実験は、マーチンとフスコの方法で得られた収率の、HOBtをなおも使用しつつ、手順と実験計画の変更による改善を証明するものである。使用した手順と実験計画は実施例4で詳述されたものであるが、ここでは、反応溶媒が全ケースで実施例4で使用されたジクロロメタンではなくTHFであったこと以外は、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オンが使用されている。100%HOBtを使用した1つの反応では、51.9%の収率が得られ;80%HOBtを使用した4つの反応では、それぞれ56.8%、60.0%、65.1%及び70.2%の収率が得られた。また、米国法定発明登録第H424号明細書におけるように、オレフィン性不飽和が除去されていない二量体ジアミン(ヘンケル社のバーサミン552ではなく、同551)を使用した反応では、得られた対応するBMIの収率は52.2%であった。
実施例4〜7は、溶媒と手順の変更で、HOBtを使用した場合には70%もの高収率が得られ、またHOBtの代わりに3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オンを使用した場合には80%もの高収率が得られることを示している。また、HOBt及びHOBtCOのような化合物はイソイミトをイミドに異性化する強力な試剤であると言う、この研究の過程で明らかになった事項は、この反応をそのような化合物の完全な当量より少ない量で行い得ることを意味している。このような化合物が初めに消費され、次いで脱水環化反応中に遊離し、従ってそれらは原理的に触媒であると言う事実は、DCCによるアミド酸のイソイミドへの直接シクロ脱水の潜在的競争反応が依然として心配な点であろうから、それら化合物が完全な当量より少ない量で使用できることを、当然に、そして必然的に暗示するものではない。しかし、あとで分かることであるが、HOBt、HOBtCO等は、所望とされる生成物をもたらすその容易な異性化を助長するときに有効である。
【0087】
実施例8
無水のTHF80mLに溶解したバーサミン552・30.0gからそのアミンのビスイソマレイミドのマスターバッチを製造し、これを無水マレイン酸11.7gの無水THF100mL中溶液に滴下してビスマレインアミド酸を生成させ、続いて純粋の無水酢酸125mLを加えた。この反応混合物の半分を室温で3日間放置した。その溶媒と過剰の無水酢酸をストリッピングすると、後にイソマレイミドが残った。このイソマレイミドを複数の部分に分けて次のように処理した。5gの1つの試料を3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン(HOBtCO)2.6gと共に無水THFに溶解させた。この溶液を一晩放置したが、この時間はマレイミドに完全転化させるのに十分なもので、そのマレイミドは最後に収率56%で回収された。上記イソマレイミドのもう1つの試料5.0gをHOBt2.3gで同じように処理した;ビスマレイミドは収率46%で回収されたが、HBtCO反応におけるよりも大量のオリゴマー化物質も回収された。イソマレイミドの第三の部分4.9gをアセトニトリルに溶けているN−ヒドロキシスクシンイミド2.1gで処理した。この場合、マレイミドに転化させるのに一晩の還流を用いた。そのマレイミドはわずか36%の収率でしか回収されなかった。
【0088】
実施例9
オレイン酸に由来する二量体ジオールから、ユニケム ノース アメリカ社(IL州、シカゴ)から入手した二量体ジオールのプリポール2033、BASF社(BASF Corp.)[NJ州、パーシパニー(Parsippany)]から入手したビニルプロピルエーテル、及びパラジウム 1,10−フェナントロリン・ジアセテート[Pd(phen)(OAc)]を使用して、ジビニルエーテルを次のようにして製造した。しかして、プリポールを使用前に分子篩(3A)上で約3時間予備乾燥した。次に、大きな卵形のテフロン(登録商標)製撹拌棒を持つ、きれいな、乾燥した、1リットルのフラスコにプリポール2033・149.1グラム(523.3ミリ当量)、ビニルプロピルエーテル280グラム(3256ミリ当量)及びPd(phen)(OAc) ・1.0グラム(2.5ミリ当量)を加えた。このフラスコの頭部空間をアルゴンでパージし、その反応フラスコにオイルバブラーを取り付けた(フラスコ内にできるいかなる圧力も排除するため)。このフラスコを磁気撹拌板の上に乗せ、撹拌を開始し、その撹拌を約48時間続けた。その溶液の色は淡黄色から深い暗褐色に変化した。48時間後に、既知少量を取り出し、ビニルプロピルエーテルの大部分をアルゴンを用いて吹き出させた。その残分に対してFTIR分析を行うと、実際上全てのアルコールが反応していた(即ち、3400cm−1と3500cm−1との間のOHの吸光が残っていない)ことが確認された。
【0089】
原溶液に約10〜15グラムの活性炭を加えた。この溶液を磁気撹拌板上で約1時間混合し、次いでセライト(Celite)約5グラムを加えた。その活性炭とセライトを、追加のセライト(追加量約15g)が充填されているガラス漏斗を通して吸引濾過することにより除去した。漏斗を通過した溶液は僅かな褐色を保持していた。
【0090】
次に、過剰のビニルプロピルエーテルの大部分を浴温35〜40℃、部分(水アスピレーター)真空下で回転蒸発器を用いて除去した。濃縮が止まったら、冷トラップを空にし、取り替えた。十分な機械的真空を次に印加し、それを35〜40℃の浴温で約1時間継続した。その真空度は1時間以内に1.0トル以下に下がった。この時点で回収された生成物は淡褐色、低粘度の液体であった。
ビニルプロピルエーテルの最後の痕跡を(ストリッピング温度70℃、真空度1トル以下で運転される)落下フィルム型分子蒸留機を用いて除去した。蒸留ヘッド内の生成物の滞留時間は約15乃至20分で、完全なストリッピング操作には約2時間要した。その生成物には、このストリッピングが行われた後では、ビニルプロピルエーテルの残留臭の特徴がなかった。熱重量分析は200℃まで有意の重量減はないことを示した。この生成物は、従って、出発原料のビニルプロピルエーテル及び何らかのプロピルアルコール同時生成物を含んでいないと考えられるものであった。
【0091】
実施例9A
アルファー−オメガ末端基付きの水素化1,2−ポリブタジエンからジビニルエーテルを製造した。このジオールは1モル当たり約3,000グラムの分子量を有するもので、ケン セイカ社(Ken Seika Corporation )[NJ州、リトルシルバー(Little Silver)]からGI−3000なる商標名で入手した。このジビニルエーテルを合成するために用いられた方法は、実施例9で説明したものに類似するものであった。GI−3000約51.5グラム(34.4ミリ当量)をビニルプロピルエーテル158.9グラム(1,840ミリ当量)に溶解した。この混合物を均質な溶液が得られるまで機械的に撹拌した。次に、パラジウム 1,10−フェナントロリン・ジアセテート(0.53グラム、1.33ミリ当量)を加え、その混合物全体をアルゴン雰囲気下で室温において5日間撹拌した。その反応生成物の既知少量を取り出し、揮発物(ビニルプロピルエーテルとプロパノール)を吹き出させた。この残分について得られたFTIRのトレースは、上記ジオールが対応するジビニルエーテルに完全に転化されていたことを証明した。
【0092】
上記反応生成物の大部分を次いで実施例9に記載した手順に従って処理した。即ち、その溶液を活性炭を用いて脱色し、セライトで処理し、次いでその懸濁液を追加のセライトが充填されているフィルターを通過させた。過剰のビニルプロピルエーテルとプロパノールの大部分を、機械的ポンプによる十分な真空下において回転蒸発器(浴温≦40℃)を用いて除去した。蒸発を圧力が1トル以下に下がるまで続けた。揮発物の最後の痕跡を、実施例9で説明した落下フィルム型分子蒸留機を用いてストリッピングして除去した。最終生成物は粘稠な(但し、出発ジオールよりは非常に低い)藁色の液体であった。
【0093】
実施例9B
もう1種のオリゴマージオールをビニル交換反応に付した。この実施例では、水素化ポリイソプレンのアルファー−オメガジオールが用いられた。このジオールはケン セイカ社から“TH−21”なる名称で入手できる。このオリゴマーは1モル当たりのおおよその分子量として2,600グラムを有するものである。実施例9で説明したのと同じ方法を用いて、このジオールを対応するジビニルエーテルに転化した。しかして、TH−21(52.0グラム、40ミリ当量)をビニルプロピルエーテル83.7グラム(972ミリ当量)に溶解し、そして触媒のパラジウム 1,10−フェナントロリン・ジアセテート0.4グラム(1.0ミリ当量)を加えた。この混合物を室温、アルゴン雰囲気下で6日間磁気撹拌した。この反応混合物の蒸発された既知少量には、FTIR分析によれば、アルコール官能基が本質的に含まれていないことが見いだされた。その反応生成物の大部分を実施例9で説明した方法により処理した。最終生成物は琥珀色の粘稠な液体(この場合もこのジビニル化合物の粘度は出発ジオールより相当低かった)であった。
【0094】
実施例9C
M.ミッシェル社(M. Michel and Co., Inc. )[NY州、ニューヨーク(NewYork )から入手したイソ−エイコシルアルコールを、実施例9で説明した方法によりビニル交換した。即ち、そのアルコール(100.3グラム、336ミリ当量)を前記ビニルプロピルエーテル377.4グラム(4,383ミリ当量)に溶解し、そして触媒のパラジウム 1,10−フェナントロリン・ジアセテート1.0グラム(2.5ミリ当量)を加えた。この混合物をアルゴン雰囲気下で4日間磁気撹拌した。蒸発されたこの反応混合物のFTIRトレースは、検出可能なアルコール残分は残っていないことを示した。その反応生成物を前記のように処理した。最終生成物は“水様”の粘度を有する淡黄色の液体であった。
【0095】
実施例9D
M.ミッシェル社(NY州、ニューヨーク)から入手したベヘニルアルコール(1−ドコサノール)を、実施例9で説明したように実質的にビニル交換した。但し、この出発アルコールはビニルプロピルエーテル中での室温溶解性が限られているワックス状の固体であったので、昇温下で反応を行うことが必要であった。しかして、そのアルコール(100.8グラム、309ミリ当量)、ビニルプロピルエーテル(406.0グラム、4,714ミリ当量)及び触媒のパラジウム1,10−フェナントロリン・ジアセテート(1.0グラム、2.5ミリ当量)の混合物をアルゴン雰囲気下、50℃において20時間磁気撹拌した。この期間後の蒸発された既知少量を分析すると、検出可能なアルコールは残っていないことが示された。そのベヘニルビニルエーテルを前記のように処理した。最終生成物は灰色がかった白色のワックス状固体であった。
【0096】
実施例10
実施例8に従って製造されたBMI・2.78グラム(1.0当量)、実施例9に従って製造されたジビニルエーテル0.94グラム(0.5当量)及びベクトマー4010[即ち、ビス(4−ビニルオキシブチル)イソフタレート]0.58グラム(0.5当量)を用いて有機接着剤ビヒクルを製造した。追加のジクミルペルオキシド(開始剤)1重量%、ガンマーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(カップリング剤)0.5重量%及びベーター(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(カップリング剤)0.5重量%を加えて、上記有機接着剤混合物を完全なものにした。
【0097】
上記の有機接着剤混合物22重量%を銀金属充填材78重量%に加えた。この混合物を均質になるまで高剪断下で撹拌した。得られたペーストを次に1トルで脱泡した。このペーストを星形分配ノズルを用いて銀メッキ銅リードフレームに施した。次に、裸シリコンダイス(1つの面で300×300ミル)を一番上に置き、2.0ミルの接着剤層が得られるまでその接着剤に押し込んだ(このプロセスは、自動化“ピック・アンド・プレース(pick and place)”装置を使用するときは、実際上瞬間的に進む)。次に、これらの集成部品を200℃に制御された加熱面(ホットプレート)上で2分間硬化させた。追加のボイド試験用部品(これらはシリコンダイに代えて300×300ミルのガラススライドを用いて平行集成されたものである)は、上記の硬化した接着剤皮膜にはボイドの形成がないことを示した。これら集成部品の半数を直ちに引張試験に付した。他方の半数を121℃の圧力釜に168時間(即ち、1週間)入れて置いた。この圧力釜試験は非常に攻撃的な試験法であると考えられるものであって、非気密環境で使用される接着剤の長期耐久性(robustness)を予言できると言う価値がある。
【0098】
これらの部品に対する接着強度試験は、“ティニアス オルセン(Tinius Olsen)”引張試験機を用いて行われた。即ち、複数の鋼製立方スタッド(0.25×0.25×08インチ)を、それぞれ上記ダイの上面と上記リードフレームの底面に、シアノアクリレート系接着剤のロクタイト(Loctite )415を用いて室温で取り付けた。これらの立方体は、それらが共に直線性(co-linearity)を確実に保つようにするために、V−ブロック型取付装置を用いて取り付けられた。室温での接着操作が終わったら(約1時間後)、その集成体全体を引張試験機に装着した。ピンを用いてその鋼製ブロック(この試験ブロックの各々に貫通孔がある)をスタッド引張機の上下のアームに固定した。使用した引張速度は3.00インチ/分で、接着力の測定はポンド表示の力で記録した。初めの部品及び圧力釜処理後の部品の引張試験結果を表1に示す。
【0099】
表1
初期接着力(ポンド) 保持接着力(ポンド)
191 141
169 147
179 112
180 153
166 126
155 138
174 161
175 121
111 133
149 149
164 154
144 119
【0100】
表1の結果が証明しているように、この接着剤製品は良好な初期接着力及び保持接着力を有することが見いだされた。圧力釜処理前の各集成部品の平均接着力は163ポンドで、圧力釜処理後のそれは138ポンドであった。従って、2つの雰囲気の水蒸気圧(14.7psig、121℃)で1週間の全期間後でも、初期接着力の約85%が保持されていた。同じ時間行われた競争材料では、その初期接着力は338ポンドであったが、圧力釜処理後にはそれがゼロにまで落ちたことは、注目に値する。
【0101】
実施例10A
希釈剤のモノビニルエーテルと共単量体のジビニルエーテル“ゴム”を用いて組成物を処方した。これら物質の添加は接着剤組成物のある種特定の性質を向上させるために使用された。具体的に言うと、モノビニルエーテルは組成物の粘度を下げ、そのチキソトロピー指数(1rpmのときの粘度と20rpmのときの粘度との比と定義される)を上げるために使用された。“ゴム”共単量体は硬化した接着剤を“可撓性にする”ために使用された。可撓性は、応力は接着剤層が厚くなるにつれて増すから、薄い接着剤層が用いられるときに特に重要である。硬化部品の応力の1つの便利な尺度は曲率半径(ROC)である。この測定は、従来から、表面粗面計を用いて行われ、シリコンダイの“弓反り”の指数である。ROCが大きいほど(即ち、測定された弧で記述される球が大きいほど)、応力は小さい。≧1メートルのROCを有することが一般的には望ましい。実施例10に記載の組成物は、接着剤層の厚さ2.0ミルで使用されるとき、1.5メートルより大の曲率半径をもたらすが、しかし接着剤層の厚さが1.0ミルまで薄くなると、1メートル未満のROCを与える。
【0102】
使用したモノビニルエーテル希釈剤、即ちビニルオクタデシルエーテルはBASF社(NJ州、パーシパニー)から購入した。ジビニルエーテル“ゴム”は実施例9Bで説明した製品であった。実施例8に従って製造されたBMI・1.29グラム(3.7ミリ当量)、ビニルオクタデシルエーテル0.1125グラム(0.38ミリ当量)及び実施例9Bに従って製造されたジビニルエーテル0.1127グラム(0.08ミリ当量)を用いて有機接着剤ビヒクルを製造した。追加のジクミルペルオキシド(開始剤)1.0重量%及びガンマーメタクリロキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤2.7%を加えて、上記有機接着剤混合物を完全なものにした。
【0103】
上記の有機接着剤混合物27重量%を銀充填材73重量%に加えた。この混合物を高剪断下で均質化し、次いで機械的ポンプによる十分な真空を用いて脱泡した。この接着剤を星形分配ノズルを用いて銀メッキ銅リードフレームに施した。裸シリコンダイス(1つの面で300×300ミル)を一番上に置き、その接着剤に押し込んで1.0ミルの接着剤層を得た。実施例10に記載した接着剤組成物を用いて同様の部品セットを作成した。これら部品を200℃で1分間硬化させた。ここに記載した接着剤を使用した部品の曲率半径は1.29メートルであった。対照部品のROCは0.76メートルであった。ここに記載した接着剤の10rpmでの粘度(ブルックフィールド粘度計)は25.0℃において5,734センチポイズで、チキソトロピー指数は6.60であった。対照接着剤の25.0℃における10rpm粘度は12,040センチポイズであり、またそのチキソトロピー指数は4.97であった。ここに記載した接着剤及び対照接着剤の後硬化接着力の結果は次のとおりであった:
【0104】
表2
試験ペーストの接着力 対照接着剤の接着力
(ポンド) (ポンド)
157 72
149 139
154 175
134 149
158 97
159 136
【0105】
ここに与えられた結果は、接着剤組成物の性質の幾つかは反応性希釈剤と可撓性化用共単量体を適量配合することによって、初期接着力を少ししか犠牲にしないか又は全く犠牲にせずに、改善できることを証明している。
【0106】
実施例10B
以上の実施例により、ビニルエーテル共単量体がわずか1当量程度の量で過剰のビスマレイミドと共に使用されている接着剤組成物を、どのようにすれば処方できるかが証明された。この組成物には、しかし、ビニルエーテルを存在させることは必要ない。即ち、その組成物はマレイミドが唯一の重合性機能成分である場合に処方することができるものである。
【0107】
しかして、実施例8に従って製造されたBMI・96.25重量%、USP90MD[1,1−ビス(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン―TX州、マーシャル(Marshall)のウィトコ社(Witco Corporation )から入手できる開始剤]1重量%、ガンマーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(カップリング剤)0.76%及びベーター(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(カップリング剤)1.72%を用いて、有機接着剤ビヒクルを製造した。
【0108】
上記の有機接着剤混合物25重量%を銀金属充填材75重量%に加えた。この混合物を前記のように剪断下で処理し、脱泡した。分配とダイ配置は先に説明したようにして行った(Ag被覆Cuリードフレーム上の300×300ミルのシリコンダイ)。使用した接着剤層は1.0ミルで、その硬化時間は200℃において1分であった。初期接着力及び圧力釜処理後(16時間)の接着力の値を次の表に与える。
【0109】
表3
初期接着力 圧力釜処理後接着力
(ポンド) (ポンド)
165 83
137 188
115 143
171 122
148 208
154 200
【0110】
この組成物は、示差走査測熱法(DSC)で128.8℃に最高点を有する狭い発熱域と、TGA(10℃/分、空気パージを採用)で350℃まで0.75%未満の重量減を示した。この組成物は、従って、“全マレイミド”スナップ硬化性接着剤系の実行能(viability )を証明している。
【0111】
実施例10C
前記の実施例では、接着剤として用いるための、マレイミド/ビニルエーテルの同時硬化とマレイミドの単独硬化の使用が明らかにされた。アクリレート及びメタクリレートを含めて他の重合性官能基も単独で、或いはマレイミド及び/又はビニルエーテル単量体との組み合わせで使用することができる。
【0112】
しかして、実施例3Bに従って製造されたジアクリレート4.00グラム、デカンジオール・ジメタクリレート[PA州、ワーリントン(Warrington)のポリサイエンセス社(Polysciences, Inc.)から購入]1.00グラム及びリコンR−130 エポキシ(Ricon R-130 Epoxy )[CO州、グランド ジャンクション(Grand Junction)のアドバンスド レジンズ社(Advanced Resins, Inc. )から入手]1.00グラムを用いて、有機接着剤ビヒクルを製造した。この混合物にジクミルペルオキシド開始剤2重量%を溶解した。
【0113】
上記の有機接着剤混合物20重量%を銀金属充填材80重量%に加えた。この混合物を高剪断を用いて均質化し、次いで脱泡した。AgメッキCuリードフレーム上で300×300シリコン使用し、前のようにして部品を集成した。硬化条件は200℃、1分で、使用した接着剤層の厚さは1.0ミルであった。初期接着力値と対応する破壊モードの情報を次の表に与える:
【0114】
表4
初期接着力(ポンド) 破壊モード(ポンド)
66 材料
55 材料
67 材料
62 材料
63 材料
59 材料
【0115】
この混合物について測定された接着力は、BMI含有組成物のほとんどで観察された接着力よりも低かった。破損モードは、しかし、最も好ましい(全て材料)タイプ(即ち、接着剤の破壊ではなく、専ら凝集破壊である)のものであった。硬化した接着剤の使用した接着剤層の厚さにおける曲率半径は2.51メートルであった。
【0116】
実施例11
バーサリンク650(PA州、アレンタウンのエア プロダクツ社が市販するポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート)のビスマレイミド及びテトラエチレングリコールのジビニルエーテルを各々1当量含有する試験ペーストを調製した。その有機層はジクミルペルオキシドを1重量%含有していた。このペーストでは75重量%の銀充填材が用いられていた。カップリング剤を含有していないこのペーストを用いて前の実施例により10個の部品を集成し、硬化させた。次に、上記のペーストに前記と同じ混合カップリング剤を1重量%添加した。この新しいペースト混合物を用いてもう10個の部品を集成し、硬化させた。両部品群を次いでそれぞれ2つの組に分けた。各群からの部品の半数について直ちに引張強度試験を行い、他方の半数については圧力釜中で4時間の浸漬処理を行った。引張強度の測定は実施例10に記載した方法に従って行った。この試験の結果を表5にまとめて示す。
【0117】
表5
接着結合の引張強度
カップリング剤なし カップリング剤あり
初期値 湿分処理後 初期値 湿分処理後
110.7 0 112.3 88.8
111.2 0 102.6 84.3
107.7 0 108.5 83.8
110.5 0 109.2 87.9
106.5 0 115.6 93.3
【0118】
表5のデーターは、カップリング剤の存在は極端な湿度環境では接着剤結合の存続に劇的な影響を及ぼすことを示している。
【0119】
実施例12
本発明組成物の200℃で1分の硬化を行った後の接着性能試験を行った。これら部品に使用した接着剤層も取付工程中に2.0ミルから1.0ミルまで落とされた。シリコンとリードフレームとの間の熱の不釣り合いが大きいことにより誘発される応力は、接着剤層が薄くなると増加する。ペーストの有機接着剤部分は実施例8に従って製造されたBMI及びベクトマー4010[即ち、ビス(4−ビニルオキシブチル)イソフタレート]各1当量より成っていた。それは、また、カップリング剤としてのガンマーメタクリロキシプロピル−トリメトキシシランを4.5%、更には開始剤としてのジクミルペルオキシドを0.95%含有していた。この接着剤組成物22重量%と銀フレーク78重量%より成るペーストを調製した。このペーストを脱泡し、これを、次いで、薄い接着剤層と短い硬化時間を用いて300×300ミルのシリコンダイを銀メッキ銅リードフレームに取り付けるために使用した。6個の部品をそれぞれ集成、作成し、硬化させた。2個のボイド試験用部品(同じ条件を使用するが、シリコンダイに代えて300×300ミルのガラススライドを使用した)も作成した。ボイド試験用部品に気孔が存在していると言う証拠はなかった。引張試験の測定は実施例10に記載の方法に従って行った。他方の部品についての引張試験値は、ポンド表示の力として116、114、119、122、128及び134ポンドであった。
【0120】
実施例13
実施例8に従って製造されたBMI・89.5重量%、MY510[シバ−ガイギー社(Ciba-Geigy)が販売する、4−アミノフェノールのトリグリシジルエーテルアミン]10重量%及びN,N,N’,N’−テトラメチル−1,20−ジアミノ−(10,11−ジオクチル)エイコサン0.5重量%から成る接着剤組成物を調製した。この混合物は混合時に明赤橙色となり、その粘度は25℃において約1,300センチポイズであった。この組成物に75重量%の銀フレークを加えて均質なペーストを作った。このペーストを脱泡し、これを、次いで、300平方ミルのシリコンジスクを銀被覆銅リードフレームに取り付けるために使用した。
【0121】
こうして3個の部品をそれぞれ集成、作成し、次いで200℃での硬化に1分間付した。次に、これらの部品について引張試験を行った。それらの測定された接着力は、ポンド表示の力としてそれぞれ71、81及び121ポンドであった。これらの部品には、(脱泡工程を行い、また樹脂系自体には同様の条件下でボイドがなかったと言う事実にもかかわらず)有意の程度でボイドの形成が認められた。これらのボイドは銀フレーク上に存在する脂肪酸潤滑剤の脱カルボキシル化反応に由来すると考えられた。従って、その銀フレークに非イオン系の潤滑剤を使用することでこの問題をなくすることが可能であろう。
【0122】
本発明をある種特定の好ましい態様を参照して詳細に説明したが、色々な改変及び変更も、次に説明され、特許請求されるものの精神と範囲に入ることは理解されるであろう。
【出願人】 【識別番号】507268880
【氏名又は名称】クアンタム マテリアルズ,インコーポレイテッド
【出願日】 平成19年8月8日(2007.8.8)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100117569
【弁理士】
【氏名又は名称】亀岡 幹生

【識別番号】100107504
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 克則


【公開番号】 特開2008−13772(P2008−13772A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−207106(P2007−207106)