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【発明の名称】 感光性化合物、感光性組成物、レジストパターンの形成方法及び基板の加工方法
【発明者】 【氏名】伊藤 俊樹

【氏名】山口 貴子

【要約】 【課題】低ラインエッジラフネス(LER)なレジストパターンを形成可能な感光性化合物、該感光性化合物を含む感光性組成物及びレジストパターンの形成方法を提供する。

【構成】下記一般式(1)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物、該感光性化合物を有機溶剤に溶解させてなる感光性組成物及び該感光性組成物を用いたレジストパターンの形成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする感光性化合物。
【化1】


(式中、R1は水素原子またはアルキル基である。R2、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも1つはニトロ基であり、その他は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、または一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基からなる群から選択される基である。R7は置換されていてもよいフェニレン基またはナフチレン基である。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性化合物。
【化2】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項3】
下記一般式(3)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性化合物。
【化3】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項4】
下記一般式(4)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性化合物。
【化4】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項5】
下記一般式(5)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の感光性化合物。
【化5】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項6】
下記一般式(6)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする感光性化合物。
【化6】


(式中、R1乃至R7は前記と同義である。)
【請求項7】
下記一般式(7)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項6に記載の感光性化合物。
【化7】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項8】
下記一般式(8)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項6に記載の感光性化合物。
【化8】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項9】
下記一般式(9)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項6に記載の感光性化合物。
【化9】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項10】
下記一般式(10)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする請求項6に記載の感光性化合物。
【化10】


(式中、R7は前記と同義である。)
【請求項11】
2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするポリヒドロキシスチレン。
【化11】


(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
【請求項12】
2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするカリックスアレーン。
【化12】


(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
【請求項13】
2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするフェノール・ノボラック樹脂。
【化13】


(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
【請求項14】
2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするクレゾール・ノボラック樹脂。
【化14】


(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
【請求項15】
請求項1乃至14記載の化合物の少なくとも1種あるいは2種以上を有機溶剤に溶解させてなることを特徴とする感光性組成物。
【請求項16】
請求項15記載の感光性組成物を基板上に積層する積層工程と、基板を加熱する工程と、前記感光性組成物層に放射線を照射して露光部と未露光部を形成する露光工程と、露光後に現像してパタ−ンを形成する工程を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項17】
基板上に、酸素プラズマエッチングにより除去可能な下層レジスト層と、酸素プラズマエッチング耐性層と、請求項15記載の感光性組成物からなる層とをこの順に形成する工程と、前記感光性組成物層に放射線を照射して露光部と未露光部を形成する露光工程と、露光後に現像して感光性組成物層のパタ−ンを形成する工程と、前記感光性組成物のパターンをマスクとして酸素プラズマエッチング耐性層をエッチングする工程と、酸素プラズマエッチング耐性層のパターンをマスクとして下層レジスト層を酸素プラズマエッチングする工程を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項18】
前記感光性組成物層の膜厚が20nm以下であることを特徴とする請求項16または17記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項19】
前記露光工程に近接場光を用いることを特徴とする請求項16乃至18のいずれかの項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項20】
露光工程に、極端紫外線(波長13nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)または電子線を用いることを特徴とする請求項16乃至19のいずれかの項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項21】
請求項16乃至20のいずれかに記載のレジストパターン形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、ドライエッチング、ウエットエッチング、金属蒸着、リフトオフまたはめっきすることを特徴とする基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は感光性化合物、該感光性化合物を溶剤に溶解させてなる感光性組成物、該感光性組成物を用いたレジストパターンの形成方法及び該レジストパターンを用いた基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスを始めとする微細加工を必要とする各種電子デバイスの分野では、デバイスの高密度化、高集積化の要求がますます高まってきている。半導体デバイス製造工程で、微細パターン形成に重要な役割を果たしているのがフォトリソグラフィー工程である。
【0003】
フォトリソグラフィーでは、100nm以下の微細加工を安定的に行なうことのできる技術が必要とされている。そのため、用いられるレジストにおいても、100nm以下のパターンを精度良く形成することが必要である。
【0004】
最近では、活性光線照射によって酸(H+)を発生させ、酸の触媒作用により、酸分解性保護基で保護されたアルカリ可溶性基の脱保護反応を起こし、アルカリ再可溶化させることを原理とする化学増幅型レジストが使用されている。また、ジアゾナフトキノン化合物のフェノール樹脂に対する溶解阻害効果を原理とするジアゾナフトキノン−ノボラック型レジストも一般的に使用されている(非特許文献1乃至3)。
【0005】
また、非特許文献4には、カプサイシン分子中のフェノール性ヒドロキシル基をニトロベンジルエーテル化し、生理活性を光潜在化したケージド化合物が開示されている。しかし、この化合物は、パターン形成材料としては使用するものではない。
【非特許文献1】「ULSIリソグラフィ技術の革新」、サイエンスフォーラム社刊、1994年
【非特許文献2】「レジスト材料ハンドブック」、株式会社リアライズ社刊、1996年
【非特許文献3】「エレクトロニクス用レジストの最新動向」、株式会社東レリサーチセンター調査研究部門刊、2003年
【非特許文献4】J.Org.Chem.,68,9100(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化学増幅型レジストのレジストパターンを作製する際には、露光部に発生した酸を触媒とする脱保護反応を促進することを目的として、現像前に加熱処理が行なわれる。この際、熱により酸が10nm程度拡散する(“Proc. SPIE”,6154,710、2006年参照)。これによりパターンエッジの微小な凹凸であるラインエッジラフネス(LER)が生じるという課題があった。また、酸の拡散は解像度の低下要因ともなっている。
【0007】
なお、本発明では、LERをラインパターン幅の標準偏差の3倍(3σ)と定義する。本発明で定義するLERは、長さ0.5から2μmのラインパターンにおいて、ライン長さ方向に間隔10nmで等間隔に50ポイント以上サンプリングし、各ポイントでラインパターン幅を測定し、この測定値を母集団として算出される。測定には走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などを用いることが出来る。
【0008】
他のLER発生要因として、ベース化合物の分子量の影響が挙げられる。なお、本発明でいうベース化合物とは、レジスト組成物中で、アルカリ可溶性基または保護化されたアルカリ可溶性基を有する化合物のこととする。現像液への溶解は、ベース化合物1分子単位で生じるので、分子量が大きいほどLERが大きい。
【0009】
低分子量化合物ほど、ガラス転移温度及び融点が低い。化学増幅レジストはガラス転移温度より高い温度で現像前加熱を行なうと、酸の拡散長が長く、結果として解像度が低くなる。つまり、化学増幅レジストのベース化合物には、酸触媒下の脱保護反応温度よりも高いガラス転移温度が要求される。この要求が化学増幅型レジストの低LER化設計、すなわち低分子量化設計の制約となっている。
【0010】
また、本発明者らの検討によると、化学増幅型レジストは、近接場露光を用いたパターン形成において、有機溶剤で希釈して10nm厚に塗布して用いると、レジストパターンのLERがさらに大きいくなることが確認された。
【0011】
ジアゾナフトキノン−ノボラック型レジストにおいては、低分子量のフェノール樹脂を利用すると、ジアゾナフトキノン化合物の溶解阻害効果が十分に発揮されず、露光部と未露光部との現像コントラストが低い。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて、薄い膜厚で用いても低LERなレジストパターンを形成可能な感光性化合物、該感光性化合物を含む感光性組成物、レジストパターンの形成方法及び基板の加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する感光性化合物は、下記一般式(1)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする。
【0014】
【化1】


【0015】
(式中、R1は水素原子またはアルキル基である。R2、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも1つはニトロ基であり、その他は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、または一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基からなる群から選択される基である。R7は置換されていてもよいフェニレン基またはナフチレン基である。)
下記一般式(2)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0016】
【化2】


【0017】
(式中、R7は前記と同義である。)
下記一般式(3)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0018】
【化3】


【0019】
(式中、R7は前記と同義である。)
下記一般式(4)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0020】
【化4】


【0021】
(式中、R7は前記と同義である。)
下記一般式(5)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0022】
【化5】


【0023】
(式中、R7は前記と同義である。)
また、上記の課題を解決する感光性化合物は、下記一般式(6)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする。
【0024】
【化6】


【0025】
(式中、R1乃至R7は前記と同義である。)
下記一般式(7)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0026】
【化7】


【0027】
(式中、R7は前記と同義である。)
下記一般式(8)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0028】
【化8】


【0029】
(式中、R7は前記と同義である。)
下記一般式(9)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0030】
【化9】


【0031】
(式中、R7は前記と同義である。)
下記一般式(10)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物が好ましい。
【0032】
【化10】


【0033】
(式中、R7は前記と同義である。)
また、本発明は、2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするポリヒドロキシスチレンに関する。
【0034】
【化11】


【0035】
(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
また、本発明は、2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするカリックスアレーンに関する。
【0036】
【化12】


【0037】
(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
また、本発明は、2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするフェノール・ノボラック樹脂に関する。
【0038】
【化13】


【0039】
(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
また、本発明は、2つ以上のフェノール性ヒドロキシル基の水素原子が、下記一般式(11)または(12)で表される置換基に置換されていることを特徴とするクレゾール・ノボラック樹脂に関する。
【0040】
【化14】


【0041】
(式中、R1乃至R6は前記と同義である。)
上記の課題を解決する感光性組成物は、上記の化合物の少なくとも1種あるいは2種以上を有機溶剤に溶解させてなることを特徴とする。
【0042】
上記の課題を解決するレジストパターンの形成方法は、上記の感光性組成物を基板上に積層する積層工程と、基板を加熱する工程と、前記感光性組成物層に放射線を照射して露光部と未露光部を形成する露光工程と、露光後に現像してパタ−ンを形成する工程を有することを特徴とする。
【0043】
また、上記の課題を解決するレジストパターンの形成方法は、基板上に、酸素プラズマエッチングにより除去可能な下層レジスト層と、酸素プラズマエッチング耐性層と、上記の感光性組成物からなる層とをこの順に形成する工程と、前記感光性組成物層に放射線を照射して露光部と未露光部を形成する露光工程と、露光後に現像して感光性組成物層のパタ−ンを形成する工程と、前記感光性組成物のパターンをマスクとして酸素プラズマエッチング耐性層をエッチングする工程と、酸素プラズマエッチング耐性層のパターンをマスクとして下層レジスト層を酸素プラズマエッチングする工程を有することを特徴とする。
【0044】
前記感光性組成物層の膜厚が20nm以下であることが好ましい。
前記露光工程に近接場光を用いることが好ましい。
露光工程に、極端紫外線(波長13nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)または電子線を用いることが好ましい。
【0045】
上記の課題を解決する基板の加工方法は、上記のレジストパターン形成方法によりレジストパターンが形成された基板を、ドライエッチング、ウエットエッチング、金属蒸着、リフトオフまたはめっきすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、薄い膜厚、例えば10nm厚で用いても低LERなレジストパターンを形成可能な感光性化合物、該感光性化合物を溶剤に溶解させてなる感光性組成物、該感光性組成物を用いたレジストパターンの形成方法及び該レジストパターンを用いた基板の加工方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の感光性化合物は、下記一般式(1)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする。
【0048】
【化15】


【0049】
式中、R1は水素原子またはアルキル基である。R2、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも1つはニトロ基であり、その他は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、または一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基からなる群から選択される基である。R7は置換されていてもよいフェニレン基またはナフチレン基である。
【0050】
また、本発明の感光性化合物は、下記一般式(6)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含むことを特徴とする。
【0051】
【化16】


【0052】
式中、R1乃至R7は前記と同義である。
本発明における前記一般式(1)または(6)で表される構造単位を、分子内に2つ以上含む感光性化合物は、下記式(21)または(22)で表されるニトロベンジルアルコール誘導体と、フェノール性ヒドロキシル基を分子内に2つ以上含有する化合物(以下、多価フェノール化合物と称す。)との公知の縮合反応により合成することができる。この縮合反応により、フェノール基がニトロベンジルエーテル化またはニトロベンジルカーボネート化され、前記一般式(1)または(6)で表される構造が生成する。縮合反応は、例えば、J. Org. Chem.,68,9100(2003年)やJ. Am. Chem. Soc.,110,301(1988年)に記載されているような公知の方法により行うことができる。
【0053】
【化17】


【0054】
式中、R1乃至R6は前記と同義であり、Xは水酸基またはハロゲン原子である。
式(21)で表される化合物の具体例としては、2−ニトロベンジルアルコール、2−ニトロベンジルクロライド、2−ニトロベンジルブロマイド、2−メチル−2−ニトロベンジルアルコール、2−メチル−2−ニトロベンジルクロライド、2−メチル−2−ニトロベンジルブロマイド、3−メチル−2−ニトロベンジルアルコール、3−メチル−2−ニトロベンジルクロライド、3−メチル−2−ニトロベンジルブロマイド、5−メチル−2−ニトロベンジルアルコール、5−メチル−2−ニトロベンジルクロライド、5−メチル−2−ニトロベンジルブロマイド、3−クロロ−2−ニトロベンジルアルコール、3−クロロ−2−ニトロベンジルクロライド、3−クロロ−2−ニトロベンジルブロマイド、4−クロロ−2−ニトロベンジルアルコール、4−クロロ−2−ニトロベンジルクロライド、4−クロロ−2−ニトロベンジルブロマイド、5−クロロ−2−ニトロベンジルアルコール、5−クロロ−2−ニトロベンジルクロライド、5−クロロ−2−ニトロベンジルブロマイド、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルアルコール、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルクロライド、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルブロマイド、5−(3−ヨードプロポキシ)−2−ニトロベンジルアルコール、5−(3−ヨードプロポキシ)−2−ニトロベンジルクロライド、5−(3−ヨードプロポキシ)−2−ニトロベンジルブロマイド、などが挙げられる。
【0055】
【化18】


【0056】
式中、R1乃至R6は前記と同義であり、Yは水素原子またはハロゲン原子である。
式(22)で表される化合物の具体例としては、2−ニトロベンジルフォルメート、2−ニトロベンジルクロロフォルメート、2−ニトロベンジルブロモフォルメート、2−メチル−2−ニトロベンジルフォルメート、2−メチル−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、2−メチル−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、3−メチル−2−ニトロベンジルフォルメート、3−メチル−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、3−メチル−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、5−メチル−2−ニトロベンジルフォルメート、5−メチル−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、5−メチル−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、3−クロロ−2−ニトロベンジルフォルメート、3−クロロ−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、3−クロロ−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、4−クロロ−2−ニトロベンジルフォルメート、4−クロロ−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、4−クロロ−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、5−クロロ−2−ニトロベンジルフォルメート、5−クロロ−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、5−クロロ−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルフォルメート、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、5−(3−ヨードプロポキシ)−2−ニトロベンジルフォルメート、5−(3−ヨードプロポキシ)−2−ニトロベンジルクロロフォルメート、5−(3−ヨードプロポキシ)−2−ニトロベンジルブロモフォルメート、などが挙げられる。
【0057】
本発明における、多価フェノール化合物は、高分子化合物と低分子化合物に大別することができる。本発明においては、分子量分散が1.0以上1.5以下の高分子化合物、または低分子化合物を用いることが好ましい。本発明において、低分子化合物とは、分子量が2000以下の化合物、または1種類以上の単量体の重合体でない化合物を表す。
【0058】
本発明の感光性化合物は、露光後の加熱を必要としない。このため、ガラス転移温度及び融点の制約により化学増幅型レジストでは使用できなかったような低分子量のフェノール化合物であっても本発明では用いることが可能であり、本発明の感光性化合物によって低LERなレジストパターンが形成される。
【0059】
本発明における高分子の多価フェノール化合物の具体例としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類との縮合反応生成物、フェノール類とケトン類との縮合反応生成物、ポリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール系重合体、イソプロペニルフェノール系重合体などが挙げられる。高分子の多価フェノール化合物は重量平均分子量(Mw)が1000以上100000以下、好ましくは3000以上50000以下で、分子量分散(Mw/Mn)が1.0以上3.0以下、好ましくは1.0以上1.2以下が望ましい。特に、重量平均分子量3,000以上50,000以下、分子量分散1.0以上1.2以下のポリヒドロキシスチレン単独重合体が好ましい。分子量分散が小さいほどLERが小さいためである。
【0060】
フェノール類とアルデヒド類との縮合反応生成物の具体例としては、フェノール・ノボラック樹脂、クレゾール・ノボラック樹脂、カリックスアレーン等が挙げられる。
フェノール類とアルデヒド類との縮合反応生成物の合成で用いるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、フェニルフェノールなどの一価のフェノール類;レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ピロガロールなどの多価のフェノール類;などが挙げられる。
【0061】
アルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなどが挙げられる。これらの縮合反応は、常法にしたがって行なうことができる。
【0062】
ビニルフェノール系重合体は、ビニルフェノール(ヒドロキシスチレン)の単独重合体およびビニルフェノールと共重合可能な成分との共重合体から選択される。共重合可能な成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0063】
イソプロペニルフェノール系重合体は、イソプロペニルフェノールの単独重合体およびイソプロペニルフェノールと共重合可能な成分との共重合体から選択される。共重合可能な成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0064】
低分子の多価フェノール化合物の具体例として、カリックスアレーン誘導体や、下記式(31)から(36)で表される化合物等が挙げられる。
【0065】
【化19】


【0066】
(式(31)において、R31は炭素数1から4のアルキル基、フェニル基または1−ナフチル基を示し、複数存在するR31は相互に同一でも異なってもよく、pは1以上の整数、qは0以上の整数で、p+q≦6である。)
【0067】
【化20】


【0068】
(式(32)において、R31は式(31)と同義であり、Zは単結合、−S−、−O−、−CO−、−COO−、−SO−、−SO2−、−C(R322−(但し、R32は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜11のアシル基、フェニル基またはナフチル基を示し、複数存在するR32は相互に同一でも異なってもよい。)または下記式(33)
【0069】
【化21】


【0070】
(但し、R31は式(31)と同義であり、tは0〜4の整数である。)を示し、p、q、rおよびsはそれぞれ0以上の整数で、p+q≦5、r+s≦5、p+r≧1である。)
【0071】
【化22】


【0072】
(式(34)において、R31は式(31)、R32は式(32)と同義であり、p、q、r、s、uおよびvはそれぞれ0以上の整数で、p+q≦5、r+s≦5、u+v≦5、p+r+u≧1である。)
【0073】
【化23】


【0074】
(式(35)において、R31は式(31)、R32とZは式(32)と同義であり、複数存在するR31、R32は相互に同一でも異なってもよく、p、q、r、s、u、v、wおよびxはそれぞれ0以上の整数で、p+q≦5、r+s≦5、u+v≦5、w+x≦5、p+r+u+w≧1である。)
【0075】
【化24】


【0076】
(式(36)において、R31は式(31)、R32は式(32)と同義であり、複数存在するR31、R32は相互に同一でも異なってもよく、p、q、r、s、u、v、wおよびxはそれぞれ0以上の整数で、p+q≦5、r+s≦5、u+v≦5、x+w≦4、p+r+u+w≧1である。)
前記縮合反応において、多価フェノール化合物中の全てのフェノール基がニトロベンジルエーテル化またはニトロベンジルカーボネート化される必要はない。ニトロベンジルエーテル化またはニトロベンジルカーボネート化されたフェノール基が分子内に2つ以上で、かつ、10%以上90%以下のニトロベンジルエーテル化率またはニトロベンジルカーボネート化率が好ましく、10%以上50%以下が特に好ましい。ニトロベンジルエーテル化率またはニトロベンジルカーボネート化率が90%を越えて高いと、レジストパターン形成に多くの露光量を必要とし、また、極性が低いため被加工基板との密着性が低い。ニトロベンジルエーテル化率が10%未満と低いと、レジストパターンの耐現像液性が低い。
【0077】
本発明の感光性化合物は、下記の反応式(1)または(2)に示すような光化学反応を経由して、直接的にアルカリ可溶性基であるフェノール性ヒドロキシル基を発生する。つまり、露光部が現像液に溶解するポジ型レジストとして機能する。反応式(1)はニトロベンジルフェニルエーテルの光化学反応式を示す。反応式(2)はニトロベンジルフェニルカーボネートの光化学反応式を示す。
【0078】
【化25】


【0079】
【化26】


【0080】
本発明の感光性化合物は、その使用に際して、例えば固形分濃度が2重量%以上50重量%以下となるように溶剤に溶解して感光性組成物として調製する。感光性組成物は、孔径0.1から0.2μm程度のフィルターでろ過することが望ましい。
【0081】
前記溶剤は、本発明の感光性化合物を溶解し、かつ該感光性組成物と反応を生じないものならば基本的に何でもよく、目的に応じて自由に選択できるが、例えば、エーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、(ハロゲン化)炭化水素類等を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、乳酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、(非)環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、プロピオン酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、γ−ラクトン類、(ハロゲン化)脂肪族炭化水素類、(ハロゲン化)芳香族炭化水素類等を挙げることができる。
【0082】
このような溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらの溶剤のうち、安全性を考慮すればプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンなどが望ましい。これらの溶剤は単独または2種類以上混合して用いてもよい。
【0083】
さらに前記溶剤には、必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を1種以上添加することもできる。
【0084】
本発明の感光性組成物は、界面活性剤を含有することもできる。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤;シリコン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類等を挙げることができる。
【0085】
このような界面活性剤の市販品としては、BM−1000、BM−1100(BM CHEMIE社製)、メガファックF142D、同F144D、同F171,同F172、同F173、同F177、同F178A、同F178K、同F179、同F183、同F184、同F191(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−171、同FC−176、同FC−430、同FC−431、メガファックRS−1、同RS−7、同RS−9、同RS−15、同R−08(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学(株)製)、フタージェントFT−250、同FT−251、同FTX−218((株)ネオス製)等を挙げることができる。
【0086】
これらの界面活性剤は、感光性化合物の総量100重量部に対して、通常、0.2重量部以下、好ましくは0.001重量部以上0.05重量部以下、より好ましくは0.003重量部以上0.02重量部以下で用いられる。
【0087】
また、本発明の感光性組成物は、必要に応じて着色剤、接着助剤、保存安定剤、消泡剤等の公知の添加剤を含むことができる。
本発明の感光性組成物溶液の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどのような公知の塗布装置、方法を使用して行なうことができる。膜厚は用途によって自由に設定できるが、通常、プリベーク後で0.01μm以上5μm以下となるように塗布するのが望ましい。
【0088】
前記感光性組成物を塗布する基板には、金属、半導体、ガラス、石英、BN、有機物などの基板、またはこれらの基板上にレジスト、スピン・オン・グラス、有機物、金属、酸化物、窒化物など1種類あるいは複数種類の膜を成膜したもの等が用いられる。複数種類の膜が成膜された基板の具体例としては、酸素ドライエッチングにより除去可能な下層レジスト層、酸素プラズマエッチング耐性層がこの順に成膜された基板が好ましい。下層レジスト層の具体例としては、熱硬化性フェノール樹脂などの有機物が挙げられるが、これに限られたものではない。酸素プラズマ耐性層としては、SiO2、TiO2、スピン・オン・グラスなどが挙げられるが、これらに限られたものではない。前記下層レジスト層は厚さ0.01μm以上1μm以下、前記酸素プラズマエッチング耐性層は厚さ0.001μm以上1μm以下となるように成膜するのが好ましい。
【0089】
前記感光性組成物の塗布膜は、使用される感光性組成物の溶剤の沸点等に応じて適宜調整されるが、50℃以上150℃以下、好ましくは80℃以上110℃以下でプリベークされる。プリベークにはホットプレート、熱風乾燥機などの加熱手段を用いることができる。
【0090】
以上のようにして塗布が完了した感光性組成物層は通常、公知の露光装置を用い、マスクを介して画像状に露光される。露光用の放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等を適宜選択して使用することができるが、水銀灯光(波長436nm、365nm、254nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、F2エキシマレーザ光(波長157nm)、極端紫外線(EUV、波長13nm)等の遠紫外線、あるいは電子線が好ましい。これら放射線は1つまたは複数で使用できる。
【0091】
他の露光方法として、露光用光源の波長よりも狭い開口幅を有する遮光層を備えるフォトマスクから発生する近接場光も好ましく使用することができる。近接場光の露光用の放射線としては、前記の放射線を用いることができる。これら放射線は1つまたは複数で使用できる。近接場光による露光は、遮光層を被露光物に密着させることで行なう。
【0092】
より微細なレジストパターンを得るためには、波長の短いArFエキシマレーザ光、F2エキシマレーザ光、EUV、電子線、あるいは回折限界の影響を受けない近接場光による露光が特に好ましい。
【0093】
次に、本発明の感光性組成物の光化学反応について説明する。
図1は本発明の感光性組成物の光化学反応を説明する説明図、図2は従来の化学増幅型レジストの光化学反応を説明する説明図である。図2に示す化学増幅型レジストでは1つの光子が1つの酸を発生し、該1つの酸が触媒となり、加熱による熱により拡散しながら複数の脱保護反応を誘起し、複数のアルカリ可溶性基が発生する。
【0094】
これに対し、本発明においては、化学増幅型レジストで行なわれていたような現像前加熱は不要である。ここで、本発明でいう光反応点を、図1に示すように、1つの光子が脱保護反応を誘起し得る範囲と定義する。化学増幅型レジストでは1つの光子が1つの酸を発生し、該酸が触媒となって熱で拡散しながら複数の脱保護反応を誘起するのに対し、本発明の感光性化合物は1つの光子が1つの脱保護反応を誘起する。つまり、化学増幅型レジストは光反応点が10nm程度であるのに対し、本発明の感光性化合物は光反応点が分子スケール(0.1nm以上1nm以下)であるため、低LERなレジストパターンが形成される。
【0095】
次いで、露光後の感光性組成物を現像して、感光性組成物の露光部分を除去し、レジストパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等を溶解したアルカリ性水溶液を挙げることができる。また、これらのアルカリ性水溶液には、水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加することもできる。テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液が特に好ましい。
【0096】
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。その後、洗浄して、乾燥することにより、所望のレジストパターンを形成する。
【0097】
上記レジストパターンが、酸素ドライエッチングにより除去可能な下層レジスト層、酸素プラズマエッチング耐性層がこの順に成膜された被加工基板上に成膜された場合、上記レジストパターンをマスクとして、酸素プラズマエッチング耐性層をエッチングする。エッチングにはウエットエッチング、ドライエッチングが適用できるが、ドライエッチングの方が微細パターン形成に適しており、より好ましい。ウエットエッチング剤としては、エッチング対象に応じてフッ酸水溶液、フッ化アンモニウム水溶液、リン酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液、硝酸セリウムアンモニウム水溶液等を挙げることができる。ドライエッチング用ガスとしては、CHF3、CF4、C26、SF6、CCl4、BCl3、Cl2、HCl、H2、Ar等を挙げることができ、必要に応じてこれらのガスを組み合わせて使用される。次に、前記レジストパターンが転写された酸素プラズマ耐性層パターンをマスクとして酸素プラズマエッチングを行なう。酸素プラズマエッチングに使用する酸素含有ガスとしては、例えば、酸素単独、酸素とアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス、または酸素と一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、一酸化二窒素、二酸化硫黄などとの混合ガスを用いることができる。上記の2段階のエッチングにより、露光、現像工程後のレジストパターンよりもアスペクトの高いレジストパターンを形成することができる。
【0098】
以上のようにして形成されたレジストパターンをマスクとしてドライエッチング、ウエットエッチング、金属蒸着、リフトオフまたはめっきすることで基板を加工し、所望のデバイスを製造することができる。
【0099】
より詳細には例えば、以下のようにして半導体デバイスを作成することができる。半導体デバイスの回路設計を行い、これに基づいて回路パターンを形成したマスクを作製する。デバイスを作製する基板(例えば、シリコンウェハ)を用意し、該基板上に本発明の感光性組成物を積層する。ここで、上記マスクと通常使用される露光装置を用いてリソグラフィ技術により基板に回路を形成する。回路の形成に際しては、酸化膜の形成、エッチング、絶縁膜の形成、配線用導電性膜の形成、パターニング等を行なう。次いで、回路の形成された基板をアッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程等を経てチップ化する。
【実施例】
【0100】
次に、本発明を具体的に説明するために、実施例を示す。
実施例1
感光性化合物の合成
100mL反応器に窒素雰囲気下で、重量平均分子量(Mw)4,100、分子量分散(Mw/Mn)1.1のポリヒドロキシスチレン(PHS)を4.0g(ヒドロキシスチレンモノマ単位で33.3mmol、これを1.0モル当量とする)、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えた。室温(23℃)でこの溶液に水素化ナトリウム0.21g(8.75mmol、0.265モル当量)を加え30分間撹拌した後、50℃に加熱し2時間攪拌した。この懸濁液に4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルブロミド2.15g(7.8mmol、0.235モル当量)を一度に加え50℃で1時間攪拌した。この溶液に再び水素化ナトリウム0.21g(8.75mmol、0.265モル当量)を加え1時間撹拌した。その後、この懸濁液に4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルブロミド2.15g(7.8mmol、0.235モル当量)を一度に加え50℃で2時間攪拌した。この溶液の加熱を止めて室温で18時間そのまま攪拌した。この溶液に10%塩酸アンモニウム水溶液100mLを加え、水層を酢酸エチル100mLで3回抽出し、有機層を集め水100mLで8回、飽和食塩水100mLで1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液を濃縮した。この溶液にトルエンを加え目的のポリマーをオイルアウトさせ、上澄みを除き再度トルエンを加えて懸濁静沈後上澄みを除いた。この粘稠なポリマーを酢酸エチル80mLに溶解させ、ヘキサン1.2Lにゆっくり滴下させた。再沈殿によって析出した結晶を濾過し、この結晶をヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥して淡黄色の固体の感光性化合物A(ニトロベンジルエーテル基導入率38%)を得た。上記の感光性化合物Aの合成経路を下記の反応式(3)に示す。
【0101】
【化27】


【0102】
式中、m、nはともに0以上の整数である。
上記感光性化合物Aと同様の合成経路において、水素化ナトリウム及び4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルブロミドの添加量を適宜調整して、感光性化合物B(ニトロベンジルエーテル基導入率26%)、感光性化合物C(ニトロベンジルエーテル基導入率20%)、感光性化合物D(ニトロベンジルエーテル基導入率16%)を得た。
【0103】
実施例2
感光性組成物の調整
前記感光性化合物AからDを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に、10重量%となるように溶解させ、感光性組成物A’からD’を得た。
【0104】
また、前記感光性化合物AからDを、PGMEAに1.25重量%となるように溶解させ、感光性組成物A”からD”を得た。
実施例3
感光性化合物の耐現像液性評価
上記感光性組成物A’からD’、および重量平均分子量(Mw)4,100、分子量分散(Mw/Mn)1.1のPHSの10重量%PGMEA溶液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理されたSi基板上にそれぞれスピンコートにより塗布し、ホットプレート上で90℃、90秒の条件で加熱し、感光性化合物AからDおよびポリヒドロキシスチレン(PHS)の5種の塗膜を得た。
【0105】
上記5種の基板をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液に浸漬した。浸漬前後の膜厚を、分光エリプソメトリを用いて測定して、現像液への溶解速度(nm/s)を算出した。感光性化合物のニトロベンジルエーテル基導入率と現像液への溶解速度の関係を図3に示す。
【0106】
一般に、ポジ型レジストの未露光部の現像速度は0.1nm/s以下であることが望ましいとされる。よって、ニトロベンジルエーテル基導入率38%、26%の感光性化合物A、Bがポジ型レジストとして適していることがわかった。なお、感光性化合物Aの現像液浸漬前後の膜厚変化は、分光エリプソの測定限界以下であったため、現像速度の測定が出来なかった。
【0107】
実施例4
感光性化合物の消衰係数の測定
実施例3において作製した感光性化合物AからDの塗膜の消衰係数を、分光エリプソメトリを用いて測定した。波長200nmから500nmにおける、感光性化合物AからDおよびPHSの塗膜の消衰係数を図4に示す。
感光性化合物AからDが波長420nm以下に光吸収を有することがわかった。
【0108】
実施例5
近接場露光によるレジストパターンの形成1
Si基板上に、熱硬化性フェノール樹脂(ローム・アンド・ハース製、AR2455)からなる層が100nm厚、スピン・オン・グラス材料(ハネウエル社製、T−03AS)からなる層が20nm厚を、この順にスピンコートにより積層された基板を準備した。
【0109】
前記スピン・オン・グラス材料層の表面にヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した。
比較用の感光性組成物Mとして、ポリヒドロキシスチレンからなるKrFエキシマレーザ露光用化学増幅ポジ型レジスト(東京応化製、TDUR−P308EM)100重量部に対して光酸発生剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、CGI1397)5重量部を添加し、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で適宜希釈した感光性組成物を準備した。
【0110】
感光性組成物A”または感光性組成物Mを、それぞれ前記基板上に加熱後の膜厚20nmとなるようにスピンコートにより塗布し、ホットプレート上で90℃、90秒の条件で加熱し、これをレジスト基板とした。
【0111】
近接場露光用のフォトマスクとして、ピッチ90nm、スペース幅約30nmのライン・アンド・スペースパターンが形成された50nm厚のアモルファスSi膜を遮光層、400nm厚の窒化シリコン膜を透明基材として有する、メンブレン構造のフォトマスクを準備した。上記フォトマスクを、遮光層を前記レジスト基板と平行に対向させて50μmのギャップを空けて設置し、透明基材側を空気加圧することでメンブレン部位を撓ませ、フォトマスクとレジスト基板を密着させた。この状態で、透明基材側から、i線バンドパスフィルタを用いて超高圧水銀灯光から取り出されたi線(波長365nm、照度250mW/cm2)を照射した。遮光層の開口スペースが約30nmと、露光光よりも十分に狭いので、伝搬光は透過せず、近接場光(波長365nm)のみが遮光層と接触したレジスト膜内に発生する。
【0112】
上記の方法で近接場露光されたレジスト基板を、感光性組成物A”の場合は露光後直ちに、また感光性組成物Mの場合はホットプレート上で110℃90秒の条件で露光後加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液に10秒浸漬、蒸留水で20秒間リンスし、ピッチ90nmのレジストパターンを形成した。露光量を振り分けていくつかのレジストパターンを形成し、それぞれもっとも良好に解像したレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真を図5Aおよび図5Bに示す。
【0113】
図5Aは感光性組成物Mのピッチ90nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真である。図5Bは感光性組成物A”のピッチ90nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
上記に示したように、本発明の感光性組成物A”は低LERなレジストパターンを形成した。
【0114】
実施例6
近接場露光によるレジストパターンの形成2
実施例5と同様の工程で、膜厚20nmまたは10nmの感光性組成物A”を塗布した2種類のレジスト基板、膜厚30nm、20nmまたは10nmの感光性組成物Mを塗布した3種類のレジスト基板を準備した。
【0115】
アモルファスSi遮光層上のパターンがピッチ160nm、スペース幅約60nmであること以外は実施例5と同様のフォトマスク用い、実施例5と同様にフォトマスクとレジスト基板を密着させ、近接場露光を行なった。
【0116】
実施例5と同様に露光後加熱および現像工程を行い、ピッチ160nmのレジストパターンを形成した。それぞれのレジスト基板に対し、露光量を振り分けていくつかのレジストパターンを形成し、もっとも良好に解像したレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真を図6から図10に示す。
【0117】
図6は、感光性組成物Mの膜厚30nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
図7は、感光性組成物Mの膜厚20nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【0118】
図8は、感光性組成物Mの膜厚10nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
図9は、感光性組成物A”の膜厚20nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【0119】
図10は、感光性組成物A”の膜厚10nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
上記に示したように、感光性組成物Mは膜厚30nmから10nmの範囲において、膜厚が薄いほどLERが大きくなる傾向が見られた。一方で、本発明の感光性組成物A”は、10nm厚においても低LERなレジストパターンを形成した。
【0120】
感光性組成物Mが膜厚10nmでLERが大きかった原因として、多成分からなる感光性組成物Mを、薄膜化を目的としてPGMEAで希釈したことにより、塗布時に成分間の組成比がずれたことが推測される。
【0121】
また、化学増幅型レジストには大気雰囲気中の塩基性成分により、露光部に発生した酸が表面で中和され、パターン異常をもたらす、という課題も一般に知られている。この影響が膜厚10nmにおいて一層顕在化したということも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、低LERなレジストパターンを形成可能な感光性組成物を用いたレジストパターンの形成方法及び該レジストパターンを用いた基板の加工方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の感光性組成物の光化学反応を説明する説明図である。
【図2】従来の化学増幅型レジストの光化学反応を説明する説明図である。
【図3】感光性化合物のニトロベンジルエーテル基導入率と現像液への溶解速度の関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例4における感光性化合物AからDおよびPHSの塗膜の消衰係数を示す図である。
【図5A】感光性組成物Mのピッチ90nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図5B】感光性組成物A”のピッチ90nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図6】感光性組成物Mの膜厚30nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【図7】感光性組成物Mの膜厚20nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【図8】感光性組成物Mの膜厚10nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【図9】感光性組成物A”の膜厚20nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【図10】感光性組成物A”の膜厚10nm、ピッチ160nmのレジストパターンの原子間力顕微鏡(AFM)写真(1μm2)である。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成19年2月6日(2007.2.6)
【代理人】 【識別番号】100069017
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 徳廣


【公開番号】 特開2008−13745(P2008−13745A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−27368(P2007−27368)